21. グラン・トリノ
《ネタバレ》 私にはグラントリノという車が主人公を象徴しているようには思えませんでした。 今の日本人、特に若者にとって「車」というものはそれほど興味を抱かせるものではないからかもしれません。 過去のトラウマを勲章や銃、ライターで表現して、ラストは「許されざる者」みたいなものかと思ったら、いい意味で裏切られました。 でも、私が主人公の立場だったら、少年よりも乱暴されたお姉ちゃんの方がずっと気がかりになる。 ラストの遺言状のシーンで、期待する身内たちの姿は「ミリオンダラー~」を思い出し、いかにもイーストウッドらしさが出ていました。 これが彼の俳優としての引退作だと思うと、ちょっと寂しいです。 [DVD(吹替)] 8点(2012-05-17 03:13:58) |
22. 黒い画集 あるサラリーマンの証言
ラストは拍子抜けだけど、この時代の清張の映画はどれも面白い。でも、最初のモノローグで主人公が41歳と聞いてショックだった。今だったら、あの主人公は50代後半にしか見えない。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-03-10 20:53:49) |
23. 狂った果実(1956)
津川雅彦さんと長門博之さんはそっくりだなぁと思ったら兄弟なんですね。 本作はドストエフスキーの「白痴」をモチーフにしているとのことですが、北原三枝さんが、あまりにも純粋で綺麗すぎて上品だから、ナスターシャのような裏側に存在する影が全く見えてこないんです。ストーリーがギクシャクしている点がそこにあると思うんです。 でも、まあいいか。 北原三枝さんは顔も小さくて脚も綺麗で最高の美人女優だと思います。 これだけ美人で演技力のある女優さんが今存在するでしょうか? 残念ですが、石原裕次郎さんはデビュー作とはいえ、ダイコン演技です。「ハハハ。チェ。チクショーめ」……(ガックリ) [DVD(邦画)] 5点(2009-09-24 09:08:12) |
24. 蜘蛛女(1993)
この辛口映画レビューのサイトでは高得点なのは、何となく頷けてしまう。 テレビの上映時間が編集の関係から1時間半に短縮されていて、だいぶ端折っているように思えたが、似たような映画を挙げてみろと言われて、なかなか発見することができないオリジナリティがある。 破滅していく主人公は十分描かれているが、タイトルの蜘蛛女が、あまり出てこないこと、展開にも無理にありすぎて、本作に納得できない人がいるのも当然。 ゲイリー・オールドマンは若すぎて私は気付かなかった。 血も涙もない「蜘蛛女」。この女には魅力がある。こんな映画もたまにはいいのではないだろうか? 刺激がある隠れた逸品である。 [地上波(吹替)] 6点(2009-09-06 04:18:05) |
25. クラッシュ(2004)
《ネタバレ》 完全群像劇。話題は終始人種差別。通行中の自動車の衝突も含めて、このタイトルにしたのは言うまでもありませんが、もう少しヒネリを加えたタイトルにすべきですね。 私はアメリカに行ったことはありませんが、本当にこんな世界があるのでしょうか? でも、登場人物全てにそれなりの理由があり、それが正論にも感じられるから不思議です。 ただ、全てが同じような内容で群像劇の割には、バラエティーがないというか、マット・ディロンが黒人女性を助けたところは涙してしまったけど、他は「お涙頂戴」的で感動まではしなかったです。 でも、テンポがいいのであっと言う間に観終えることができました。 前半は汚い言葉のオンパレードですが、それだけ後半を美しく描く作り方は上手いです。 マット・ディロンは久々のグッドジョブ! でもダイエットしなきゃダメだよ! 「アウトサイダー」しか知らない人には、そのうち誰なのかわからなくなるでしょう。 [DVD(吹替)] 7点(2009-06-14 03:45:09) |
26. グーグーだって猫である
《ネタバレ》 友人が勧めてくれたのがきっかけで鑑賞。DVDの宣伝で「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」が流れた時、初めて監督が誰なのか知りました。 私にとって「ジョゼ~」はなかなかだったのですが、本作は、そのスタイルは残っているものの、メリハリが全くなくなったように感じます。 原作未読なので、他のレビュアーが書かれているギャップというものはわかりませんが、キョンキョン、上野樹里、外人のエピソードが、最後まで上手く絡み合っていかなかったように思います。 こういう良くも悪くも「ど~でもいい話」って、評価を得る理由は、観る側の「その時の気分」が一番左右されるから難しいんですよね(笑) でも一つ一つのシーンは丁寧に作ってありますよ。アイサポーターで確認してみてください。 [DVD(邦画)] 6点(2009-05-06 19:01:26) |
27. ぐるりのこと。
ストレスが溜まりすぎて体がボロボロになりました。とにかく長い……ダラダラと長い……本当に長い……いつ終わるんだろう……このシーン、何の意味があるんだろう……早く終わらないかな……こんなに長く感じた映画もめったにありません。1時間40分くらいに編集してくれれば7点くらいになってたかもしれませんが、観終わって鬱病をうつされたような気分です。……しかし本当に長い……(溜息) [DVD(邦画)] 3点(2009-04-18 04:05:24)(笑:1票) |
28. グロリア(1980)
《ネタバレ》 伊丹十三監督が生きていたら、宮本信子を主演にして、これと同じような映画作っていたかもしれない。 カサヴェテス監督って人間ドラマは得意かもしれないけど、ジャンルによって向き不向きがあると思う。 私がここ数年観た、勘違いアクション映画No1に決定! 昔の角川映画を観ているようで、正直70年代前半の作品かと思った。 全てご都合主義。ギャングはマヌケすぎ! 観ていてイライラした。「早く殺しちゃえよ」って中盤まで悪役の方を応援していたが、3度も4度もドジばかり踏んでるので、最後は「もうどっちでもいいや…」って気分だった。 ジーナ・ローランズ演じるグロリアが、ギャングの中でどういう立場なのか全くわからない。娼婦にしては歳取り過ぎているし、一人暮らしのようだから、ボスの二号さんって事? 拳銃は平気で撃ちまくるし…おばさん一人に殺される方もどうかと思うけど…。 ラスト、グロリアとギャングはどうなったのか、銃撃戦でも何でもいいから、そこんとこ描かなきゃダメでしょう? その中でも、一番不快だったのが子役の演技力。アキバ系アニメ声の、調教されたようなあのセリフ回しに、気持ち悪くてどうしようもなかった。 映画の悪口ってあまり言いたくないんだけど…これだけボロクソ書いて、ようやくちょっとだけスッキリした。どうもスミマセン。御拝読ありがとうございました(苦笑) [DVD(字幕)] 1点(2009-02-07 15:15:56)(笑:1票) |
29. ククーシュカ ラップランドの妖精
ジャケットとタイトルから、ファンタジー映画と誤解されそうだが、どちらかというと戦争の嫌な部分を映し出した部分が目立つ。 同じような設定で「ノーマンズ・ランド」があるが、「ノーマンズ~」が男二人だけに対し、本作は女性が入るので、さらにドラマが膨らんでいる。(テーマは全く違うので比べるのもおかしいけど…) 言葉の通じない三人の心が一つになっていく過程が素晴らしいので、音声設定で、それぞれ一ヶ国語しか字幕スーパーが表示されないシステムも入れてくれたら、さらに違う鑑賞方法ができただろう。 エンターテイメント作品ばかり観続けた後の方が、本作の新鮮さは一層増すかと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-28 22:43:01) |