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1.  ゲッタウェイ(1972) 《ネタバレ》 
ペキンパーでは「男の美学」的なコッテリした作品が尊重され、たしかに『ガルシアの首』など傑作だと思うが、本作のサラッとしたイキのよさも好きだなあ。主人公はけっこう心に鬱屈を抱えているけど、なにせマックィーンだから、立ち居振る舞いはサラッとしている。もっぱら脇筋がコクを担当。追い続けるルディのしつこさはペキンパーの真骨頂だし、それに絡む倦怠期の獣医夫婦は笑いを担当しながらも、主人公二人の対照物として重要な存在。ベッドサイドで縛られている医者の亭主と、女房、ルディの図ってのは、牢屋にいたときのマックィーンと、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソンの形と相似で、しかし女の心情が決定的に違うところが対比によってハッキリする。同じ「車の中の不自由」という状況、主人公二人はゴミにまみれてもなぜかベトベトした生ゴミはよけられるのに、獣医夫婦は人間用の車の中にいてさえスペアリブのベトベトまみれになっている。医者は拘束された後にカタストロフを迎えたが、こちらの夫婦はゴミ回収者という拘束から解放され愛の回復を確認する。だいたいアクションもので男女を描いた部分なんてオマケ的要素が強いんだけど、これは夫婦愛の回復が話の本筋になっていて、しかもそのことがアクションの醍醐味を薄れさせていない。またロッカーコソドロのカウボーイハット男、これももっぱら笑い担当なんだけど、鞄の中を見てウキウキするところなんか、チンケな野郎の束の間の夢がいじらしくさえ感じられて、記憶に残る。そしてラストの銃撃戦、銃声と静寂・リアルスピードとスローモーションのカットつなぎの名人芸。大好きな映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-09 10:11:37)(良:3票)
2.  元禄忠臣蔵 前篇
2カット目で刃傷になる空前絶後の松の廊下。まずセットのすごさを見せて、ついで柱越しに捉えてゆるゆる移動するカメラ、吉良が浅野の悪口を言ってて、こちらに歩いてくるとその後ろのほうで座ってた内匠頭が立ち上がってこちらに走ってきて切り付ける。この緊迫感、文句ないですなあ。知らせを受ける浅野家での部屋を越えていく横移動、あるいは裁きへの不服を訴えるナントカのあとを追いかけていくカメラ、いずれも新鮮。構図美では屏風囲いの中での内匠頭を俯瞰で捉えたカット、障子ごとに座っている侍たちがアクセントになって実に美しい。切腹シーンは俯瞰で始まりゆるゆると下降していきながら、内匠頭が何かにハッとしてカメラが地上に降り立ったときに、家来が画面に入ってくる。内匠頭が中に入ると同時にまたカメラが上昇して、中の儀式と外の家来の嗚咽を同時に収める寸法。あるいは城受け渡しのときや、山科閑居の母と娘が去っていくときの駕篭を追うカメラ、など移動撮影の美の極致を見せてくれる。構図がどんどん変化していくことのサスペンス。俯瞰は権力志向だと言われるけど、クレーンで下降してくると、観客の視線が登場人物の高さに下りてくる、って感じもある。本作は溝口の映像テクニックを堪能するだけのためなら、一番ふさわしい映画。
[映画館(邦画)] 8点(2011-06-08 12:16:01)
3.  ケス 《ネタバレ》 
パブのシーンがあり、ののしり声が聞こえる家庭のシーンがあり、もうこの人の映画の環境がすぐに決まっていく。そういうウンザリする環境の中でも、なんとかウンザリせずに生きていく子どもの強みが描かれていく。サッカー授業のシーンのユーモア感覚。露骨に自分勝手にふるまい、しかもそれをカバーする無邪気さもない救いのない教師を、映画は笑いのめす。画面に得点が出るのもおかしい。ゴールを入れられるとシャワー攻め。あるいは学校での朝礼後の校長のオシオキ。ポイントは伝言に来た少年で、巻き添えにされていく経過が、厳しいユーモアになる。事実とフィクションの授業、ビリーがハヤブサについて語っているうちに次第に熱を帯びてくるさまを、少年の映像だけで描ききる勇気。そういうふうにビリーはいろんな種類の大人たちと関わり、それでも損なわれないものが浮き出されてくる。結末は、象徴的に捉えると暗く閉じたものに見えるが、映画の印象はそうでもない。なんとか彼はやっていくだろう、ケスの魂を抱いたままで、って感じ。「砂嵐の中のラクダのケツの穴みたいに締まり屋だ」ってセリフは、いつか使うために覚えておこうと思ったものだが、まだ使っていない。
[映画館(字幕)] 8点(2009-08-25 12:16:53)
4.  ケープ・フィアー
この監督ジェントルマンの顔して、どうしてこうむかつく男を描くのが好きなんだろう。自分を「裁く男」と規定した人間のドロドロ。『タクシー・ドライバー』以来のモチーフですな。14年間、牢屋の中で勉強する執念。スコセッシが描く嫌な男はピンと張りつめている。いい加減なところ、だらだらしたところがない。前半の嫌がらせの部分なんかも、遊んでる感じがなくピリピリしている。だいたい「嫌がらせ」なんて、どこか薄笑い的なものなんだけど、本気も本気。その絶えず精進している本気さ加減が弁護士を怖がらせるんだからここは大事。怖いのは、弁護士のほうも手を出しちゃうとこで、相手にますます正義を与えてしまうの。ただ後半に宗教性が出てきたことで「悪とはなんぞや」というテーマをやや薄めてしまったか。日常が恐怖という一点に絞られ錐でグリグリ突き通されていくような映画。
[映画館(字幕)] 7点(2012-09-28 09:37:58)
5.  ゲゲゲの女房
ヒロインのむっつり顔は、人がお化け屋敷を歩いているときの顔だろう。どういう人間かよく分からずに結婚し、たちまち東京での暮らし、周囲が未知の妖怪変化のようなもので埋まってしまう。ビクビクしながら手探りで歩いているときの顔だ。頼りとすべき夫は、腰砕け気味の笑いを「ハッハッハッ」と片腕の体から不意に発する。豪快な笑いに似合わない貧相な体つきで。これこそ妖怪である。いや一番妖怪みたいなのは気がつくとそこらにうずくまっている姑か(エンディングタイトルまで誰が演じているのか分からなかった)。しばしば画面に平気で妖怪が映り込んでくるが、それら周囲の人間との差別がない。嫁にいくとは、こういうお化け屋敷に入っていくことなんだ。まだ「内助の功」なんて言葉が生まれる以前の、ビクビクもんの新妻を描いて新鮮で面白かった。マンガが動き出す白黒のアニメも、そのザラッとした貸本タッチがいい。ロケはまた深谷市か。ここでロケした映画はたいてい悪くない。昭和の空気を残しているっていうよりも(実際わざと巨大マンションを画面に入れたりしてる。現在の「東京駅」とか狙いはよく分からないが、妖怪が映り込むのと似た効果か)、ここ深谷には何か空間の広がり具合に映画を豊かにしているものがあるようなのだ、具体的にうまく指摘できないのが残念。
[DVD(邦画)] 7点(2011-11-09 09:49:39)
6.  元禄忠臣蔵 後編
これは原作の真山青果のせいなんだろうけど、まったく大石中心の話なわけね。群像ものではないし、吉良のほうもほとんど描かれない。第一討ち入りシーンがないんだもん。原作がそうなんだけど、これって当時の国策映画が兵隊さんの苦労話だけ描いて、敵が出てこない、ってことと似ている。大石のやったことがいかに善か、ということより、彼の内心の苦衷に共感しようとするほうが大事なんだ。だからあえて悪玉を描く必要がない。あえて中国侵略を正当化するアジテーションを必要としなかったこととパラレル。そういう意味では間違いなく本作もあの時代の国策映画であったわけだ。美しいとこと言ったら、まず冒頭、能舞台の裏手からクレーンで下降してきて大セットを収めていき、そのまま殿様のほうに寄っていく大移動。屋敷の中で吉良を見かけた翫右衛門が、すがりつく妹を引きずりながら奥へ向っていくシーン。長回しで廊下を回り歩いた果てにこれがくるのでいっそう効果があった。ただラストの高峰三枝子のエピソードは退屈だったな。もう疲れてたし。
[映画館(邦画)] 7点(2011-06-09 10:22:56)
7.  現代人 《ネタバレ》 
これ山田五十鈴の特集で観たせいか、『浪花悲歌』との類似に思いがいった。転落することによる告発。社会派映画の得意とした型だ。どこかで主人公は割り切って、世の中へタカを括ったはずなのに、ラスト近くで「俺は甘かった」とモノローグしなければならなくなる。この「甘い」ってとこ、その弱さに、渋谷はずっとこだわっていると思う。人間の、徹底できないとこが好きなんだな。純粋な悪も描かないかわりに、健全な庶民も描かない。池部の実家、寿司を買ってくるとみながもそもそと起きてきて、ガード下で電灯は揺れ、寿司の取り合いがあり、ほっぽり出された赤ん坊は泣いている。これだけの描写で主人公の悪への転換を納得させてしまうんだけど、この実家アカホンを売ってるわけで、マットウな庶民と胸を張れるほどのものではない。ここらへんの弱点の配置がうまいし面白い。動きとしての面白さは、この実家の場をはじめ、酔って五十鈴のバーに入り込んでいき、しゃがんで椅子がわりになり五十鈴が酒を取り出すあたり、手切れ金の小切手を池部の顔にペタンと突き返すとこ、池部と多々良が屋上へ出て喧嘩しかけてやめるとこ、などなど。とにかく昭和20年代末の東京、おもに銀座がたっぷりと出てくるのが嬉しい。屋上で食事してたのはどこなんだろう。
[映画館(邦画)] 7点(2009-12-07 12:04:04)
8.  化粧雪
この監督はほんの数本しか見てなくて、代表作と言われるものもまだ残ってるんだけど、見た中では『夜の鳩』っていうのとこれが気に入っている。『夜の鳩』は酉の市の飲み屋が舞台だったが、こっちは節分の寄席。どちらも寒い季節のさびれた場所。物語よりも、そのさびれた雰囲気の味わいが絶品なの。成瀬が撮るはずだったのが、回ってきたのだそうだ。ラジオからエンタツ・アチャコの「早慶戦」が流れている。寂しい寄席。新しいものに押されている古いもの。大阪弁に押されている江戸ことば。息も白い。全体に何かうずくまっているイメージがある。新しいものに抵抗するというより、しのいでいる感じ。ヒロインを支えているのは、意地と孝行。とにかくおとっつぁんが生きてるうちは寄席を閉じたくない。それは空しいことかも知れないが、でも元いいなずけの手切れ金をピシッと断わり、さっさっと場内を斜めに横切っていく山田五十鈴はやはり美しいわけで、ピンと張りつめた快感がある。時代の流れに反抗はしないが、うちひしがれもしない。金をせびる兄、鋳物工場で働いている弟なども絡む。俯瞰の構図がしばしば現われ、それは見下ろされている惨めさにも通じるが、肩を寄せ合っているニュアンスにもなる。下足番の藤原釜足との図、ライティングもいいのかも知れない、そこだけ明るく隅が暗くなってて。舞台に残る豆の描写など的確。もっとたくさんこの監督の映画を見てみたいのだが、なかなか機会がなくて。
[映画館(邦画)] 7点(2009-04-02 12:11:10)
9.  結婚のすべて 《ネタバレ》 
この監督らしいと思ったところは、歩行シーンに合わせてラジオの時報のポ・ポ・ポが重なり、次のポーンでラジオのある茶の間のシーンにブリッジするとこ。まったく無意味なおかしさ。あるいは団令子が鉄工場のリズムに合わせてお尻ふりふり帰ってくるカット。ああデビュー作からして、こういう無意味なリズム合わせの好きな監督だったのだ。虫の音と炭坑節が対比されたり。ただドラマとしての決着は、同時期で似たタッチの崑の鋭さと比べるとかなり保守的で、旧世代の新世代めぐりを経、最後は旧世代に寄った視点が確保されている。脚本は白坂依志夫、白坂はこの年『巨人と玩具』の脚色も手がけてるんだけど。若水ヤエ子がいい。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-08 12:11:20)
10.  結婚行進曲(1951) 《ネタバレ》 
登場人物たちの早口に、なにか必死なものが感じられる。しゃべり続けることでギリギリ自分を内側から支えているような、黙ってしまうと途端に自分の輪郭がぼやかされてしまう不安に追い立てられているような。ただ一人、おっとりしゃべる浦辺粂子を置くことで、さらにそのスピードが強調される。もちろんコメディとしての演出の一手段ではあるが、このスピードの不安は以後の崑作品で次第にクローズアップされていくわけだ。上原謙が中原謙という役で出てて、杉葉子と映画を見る場面で「(さも侮蔑するように)あの役者なんて言うんだ」「上原謙ですわ」というギャグがあった。戦後の上原謙は、かつての二枚目を自嘲し、ひっくり返すような役どころを好んで演じる(『晩菊』がその代表的傑作だろう)。“二枚目だが大根”と言われ続けて、けっこう傷ついてたんじゃないか。私は戦後の自虐的な上原謙がかなり好き。
[映画館(邦画)] 7点(2008-04-22 12:17:33)(良:1票)
11.  ゲット・バック(1991)
60年代のフィルムなんかも最初のうちは折り込んで、「ロング・アンド・ワィンディング・ロード」なんかにベトナム戦争を重ねたりしてたけど後半は面倒臭くなったか。「フール・オン・ザ・ヒル」、変な台に乗ってクルクル回り出したのはちょっと恥ずかしい。初期のイキのよさが今でも新鮮。「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」なんか。このころの方が音楽としては純度が高かったのでは。クラシック音楽も歌曲より舞踏曲のほうが純粋に発展していったようなもので、ダンスのバックで鳴ってる音楽だったころの純度ね。「ヘイ・ジュード」は、しっかりやれよ、と友を励ます歌だったのか。ほとんどカタカナで丸覚えしていた彼の歌の、詞のニュアンスを知ることができた。
[映画館(字幕)] 6点(2013-04-26 09:45:40)
12.  幻影師アイゼンハイム 《ネタバレ》 
身分違いの初恋が成就する、というおとぎ話のようなストーリーが、世紀末ウィーンという大人の時代(たとえば『アイズワイドシャット』の原作シュニッツラーの世界)を背景に、セピアがかったトーンで描かれるのが、味わい。公爵令嬢だった娘は逢引きを発見され、兵に引き離されて、「私を消して」と手品師志願の少年に訴えた。それをかなえてやった大人の時代。もっと世紀末のすえた匂いを嗅ぎたかった気もするが、あくまでおとぎ話が本作の基本。警部がもうけ役で、宮仕えにウンザリしながら忠実に王室の番人をやっていたのが、最後に駅頭で快活な高笑いをする。やられた、という悔しさではなく、見事なマジックを見て、ブラボーと叫んでいるような高笑い。上流階級が舞台の本作で、おそらく低い身分出身者は警部とアイゼンハイムだけだったわけで(マジックを降霊術と信じたがる大衆の存在も社会背景としては重要だが)、そういう階級的共感も下地にあった高笑いかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-23 09:05:34)(良:1票)
13.  刑事ジョー/ママにお手あげ
監督はペキンパーで編集やってた人って聞いたが、助手かなんかだったんじゃないか。母親の「愛」が、ほとんどコミカルホラーとして出てくるとこが味わい。車に閉じ込められても、手錠かけられても出てきちゃうタフさ。ビッグ・ママっていうのか。開拓史を持つ国の勇壮なオカアチャンであります。『ニューヨーク・ストーリー』のアレンの短編にもいたなあ。『ツインズ』の仕返しに(脚本は同じ)、『ターミネーター』に触れたギャグがあったが、このころはシュワルツェネッガーとスタローン、差がついてた頃だから、ちょっと辛かっただろうね。スタローンのコミカル演技は『オスカー』のときよりは若干こなれてきたようだが、作品としてはまだ『オスカー』のほうが見られたか。
[映画館(字幕)] 6点(2012-04-04 09:56:59)
14.  刑事エデン/追跡者 《ネタバレ》 
この監督は人間としての警官ってのに、ずっと関心を持ち続けていた人で、悪と慣れつつ生活する日常ってものへの興味か。これでもヒロインがパパのところで愚痴るあたり、ストーリー上は必要ないところだけど、わざわざ入れてる。厚みが出る。でも肝心のユダヤ教徒との恋愛ドラマのほうは浅かった。とはいえ、こういう特殊社会を通して自分たちの社会を照らし合わせてみようとする試みが、たとえタテマエだけで実は単なるイロドリだったとしても、あちらの映画ではよく見られ、理想化するでも差別するでもなく「興味」を持つ姿勢は正しいと思う。犯人にもう少し理由をつけてやりたい。グレてた人はやはりダメだみたいでちょっと後味悪い。ヒロインが観てた映画はたぶん『気儘時代』。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-17 10:20:36)
15.  激流(1994) 《ネタバレ》 
けっきょくボートだと漕ぐだけで工夫のつけようがないんだよね。製作者としては「川下りなんてのはなんか目新しいものが出来るんじゃないか」と思って作り始めたんだろうが、旦那を先遣隊にして小細工はしたものの、どうしても本筋は淡泊。まあ映画ってのは疑似体験させるって役割もあるので、そのレベル。でも実際に川下りしたほうが面白いだろうなあという気になる。ラストのケヴィン・ベーコンの「俺を撃つと悩むぜ」とか、いろいろ説得しようとするあたりのネバッとした感じ。相棒のデブの小心ぶりも、定型ではあるが大事なとこ。観客をちょっとホッとさせ、また主ワルを際立たせる。ちゃんと犬と子どもも出る。M・ストリープのアクション映画という珍しさの価値。気になるのは、非白人は、あっさり殺されてかわいそうな役になること。こうなること多いんだよね。パニックものやSFなんかでも、チームのなかに非白人がいると、しばしば「皆に感謝される勇気ある犠牲者」になる。いい役だろ、と与えておいて、実質最後に白人が生き残るための捨て石・厄介払い、って感じがする。無意識の底では、大団円のときは白人だけで祝いたい、と思ってるんじゃないか。って、これ被差別妄想かなあ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-15 11:53:52)(良:1票)
16.  KT
アタマのほうの北朝鮮がらみのとこや女性がらみの部分を刈り込めば、もっと締まって面白くなっただろう。一個の機械と割り切って仕事を進めていくKCIAと、積極的にそのチリチリとした「戦争」の充実感を求めて加わっていく自衛隊員との対比だけで十分面白くなれたはず。匿名の町のたたずまいがいい、どことははっきりしないが、何かが進行しつつある町。スリルとしては、最初のホテルの場が一番上出来だったのでは。常に移動するカメラ。主人公は「狼は生きろ、豚は死ね」だが、原田芳雄は「豚は生きろ、狼は死ね」と言う。原田芳雄が言うと、何か深そうに聞こえる。
[映画館(邦画)] 6点(2008-06-30 12:11:59)
17.  K-19
“革命の英雄”と“強制収容所で死亡”と二つある父親に関する伝説、どっちが正しいのですかと尋ねられ、両方だ、と答えるH・フォード。簡潔に時代を描いている。ただほんとに描くべき時代の像は、冷戦の狂気であったはず。放射線の怖さは出ていたが、全体がヒロイズムの物語で閉じてしまっていた。放射能の危険地帯に乗り込んでいく勇気は賞賛されるが、そういう苛酷な選択を迫られる状況を招いたものへの怒りにまでは結ばれていない。いくら生き残れたものが哀悼したって、いい気なものだ、って気持ちにもなってしまうのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-05-30 12:14:33)
18.  毛皮のエロス~ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト~
この映画、なぜダイアン・アーバスはフリーク写真にこだわったのか、という問いには触れていない。当然の前提となってるみたい。フリークらの不思議の国への探訪記として展開していて、そう割り切ってみれば、多毛症男と親しくなるまではけっこう面白かった。配水管がアリスの落ちるウサギ穴に見立てられているようで、アパートの迷宮感がワクワクさせる。でもフリーク世界への案内人として多毛症男が絡んでくると、三角関係ばなしみたいになり、ちょっと映画がしぼんだ。もっとも、亭主が精いっぱい顎ヒゲをはやかしても「俺は普通の男だ」と引け目を感じるあたりに、奇妙なおかしさはあるのだが。誰だって悪趣味なものへのひそやかな興味はある。でも、おおっぴらに悪趣味を誇示されると辟易させられるし、へんに芸術ぶって提示されてもどういう態度をとっていいか困惑する。映画において悪趣味ほど扱いが難しいものもない。
[DVD(字幕)] 6点(2008-03-24 12:21:09)
19.  K2 ハロルドとテイラー
駄目な邦画みたい。音楽がダサいだけじゃなく、現地ロケ・極地ロケが売り物になってたり、ラストでは友情を歌い上げたり、これって邦画じゃんと思った。老登山家が見限ってヘリを早く早くなんてとこはちょっといいし、シェルパに対する態度にHがやや非難めいたことを言うとこなんかもいいんだけど、基本は登山家の男気・友情の勝利というメインの線はハッキリしてて、自分を置いてTが登頂しようとしたってとこで、そんなにショックを受けるもんかな。登山って、そういうもんなんじゃないの。役者が興奮してるほど、こっちは登頂に興奮できず、こっちが山男の心理よく知らないせいもあるんだろうが、エゴの部分が弱いから友情の感動も表面的にとどまって感じられたと判断した。
[映画館(字幕)] 5点(2013-03-25 09:32:04)
20.  結婚記念日
結婚16年目の夫婦のショッピングモールでの一日の物語(アレンは脚本も監督もタッチせず、出てるだけ)。喜怒哀楽の揺れに無理がなかったか。自分が浮気してても妻ってものはああ居丈高に怒れるものか、というか、ああ居丈高に怒ったあとで告白できるものか。コントと思えばいい話なのかも知れないが、だとすると演出がまずい。ベット・ミドラーがいささか臭く、さらに後ろを白塗りのピエロがウロチョロするのも不愉快だった。クリスマス音楽と世界巡りが背景の趣向。日本のスシで始まって、メキシコ、イタリアン、このときバックに3拍子のアマルコルドのテーマが流れた。
[映画館(字幕)] 5点(2013-02-02 10:41:15)
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