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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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21.  恋谷橋 《ネタバレ》 
鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。  物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。
[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)
22.  恋と嘘 《ネタバレ》 
原作とアニメは見ていない。もともと少年マンガか少女マンガか判断がつきにくいものらしいが、少なくともこの映画はまるきり少女マンガ原作風で、見るのにかなりの忍耐を強いられる。主な対象層の人々はどう思うかわからないが、個人的には主人公の言動がいちいち気に障り、嘘を表現するわかりやすいサインとか、同性の級友が登場するタイミングまでもが苛立たしく見える。 主演の森川葵という人は本来何でもありの役者と思っていたが、この映画に関しては単に役をこなしているだけのようで面白味が全くない(可愛くも見えない)。いくら演技派若手女優でも、さすがに合う/合わないということはあるのではという気がして来た。脇役だった「先生!…」(2017)の方がよほどこの女優を生かしていた気がする。  かろうじて出発ロビーの場面だけは少し心に訴えるものがあり、ここではヒロインもおバカな女子高生という縛りを外して普通に恋する女性になったように見える。そこから外国のような場所に飛んで、あとはどうなったのかわからないがとりあえず幸せだったというのなら、もう突っ込む余地もなく、それなりのハッピーエンドとして受け取れたところである。 しかしエンドロール後の追加部分がまたよくわからない。選ぶのが下手なヒロインにここで改めて選択を迫ることで、観客にも同じ問いを投げかけようとする意図かも知れないが、それにしても結局2人とも食べちゃいました、という方向へ持っていきそうな感じで釈然としない。誰を喜ばせるための映画か不明だが、とりあえず男は見なくていいとはいえそうである。  ちなみに全くどうでもいいことだが余談として、宣伝上は「恋愛禁止の世界」と書いてあるにもかかわらず、実際は強制ではなく実質的な不利益を被るだけであるから割と現実味のある制度であり、少女マンガ原作風映画にふさわしいソフトな設定といえる。劇中で厚生労働省の役人が責任逃れしていたのを聞くと、一応は当人同士の意思が優先する建前なのがわかる。 高校生の年齢で早目に結婚させるのは、生涯に産む子どもの数を増やす目的だと思われるが、それが経済的な活力の低下に結びつくことはないのかというのが率直な疑問である。しかし社会的な貢献度の高そうな男とそうでない女を組み合わせて、どうせろくに働かないであろう女にはできるだけ多くの子どもを作らせるという意図なら、なかなか考えた制度なのかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-04-21 21:01:29)
23.  高校デビュー 《ネタバレ》 
[2018-01-07 BD視聴による修正] 原作は読んでいない。世間では「のだめカンタービレ」のキャラクターを真似ていると指摘されていたようだが、自分としては「のだめ」のコミックは全巻読んだが映像化されたものは見たことがない(見る気がない)ので気にしないことにする。  この映画に関しては、初回は宴会後に帰宅してから見て序盤から大笑いしたが、酔っぱらっていたため13分くらいのところで寝てしまった。しかし次の日に改めて見たところ、素面の状態でも序盤から大笑いしたのでこれは本物だと確信した。とにかく最初から最後まで笑える泣けるの大感動作で、細かいネタが連続して飽きさせず、ある意味しっかり作り込んだ映画と感じさせる。終盤では次第に泣かせる場面に移行しているのにまだギャグネタを出してきて(黒ネコは好きだ)、笑い泣きしながら感動のフィナーレに突入するのは最高の幸福感を与えてくれる。 登場人物に関しても、ヒロインが超素朴で悪気がない(変な色気もない)ので純粋な好意を寄せることができる。相手の男もいい奴だったようで安心したが、そのほかヒロインのまわりが自然にいい人たちで固められていくのもいわば人徳のおかげだろう。一つだけ障害のように見えた元彼女にしても、ヒロインが善人のため対立関係にもならず、かえって元彼女の方がかわいそうになったが、しかしこれはヒロインのまっすぐさには誰も勝てないという教訓かと思われる。 ちなみに主演女優は映画初出演とのことだが、この場にふさわしい人物像が適切に表現されていて全く問題を感じない。視覚的にも彩度の高いポップでファンシーな映像によって映画の世界観が端的に提示されている。また音楽としては懐かしめの「愛のしるし」(1998年、PUFFY)が印象的に使われていたが、エンディングの主題歌も切ない感じの曲で好きになった(「フォーリン・ラブ」(2011年、7!!))。  以上により、意外に自分の人生を豊かにしてくれる映画を発見した、というのが初見時以来の実感である。少なくともこれまでの経験では、少女マンガ原作でこれほどしあわせな気分になれる映画は他に見たことがない(脚本が福田雄一というのと関係あるか)。当初段階で9点などという破格の点数を付けてしまったので、いずれ見直しが必要かと思っていたが、改めて見ても修正する気にはならなかった。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2018-01-07 14:21:09)
24.  コドモ警察 《ネタバレ》 
amazonで視聴、TVドラマの方は見ていない。 この監督の映画に共通のことらしいが、自分としては最初から最後まで大笑いというわけでもなく、微妙にニヤニヤしながら見ていて時々大笑いする場面があるという感じである。この映画では、新聞をたたんでから茶をぶちまけたところは笑った。 刑事ドラマとしては特にどうということもなく、要は年齢のギャップが可笑しいだけである。特にギャップが目立つのがデカ長だろうが、これで石原裕次郎なのか渡哲也なのかはわからない。最年長の刑事は役者も年上でベテランの風格が出ているが、劇中人物としては慎重すぎて詰めが甘くなるのが弱点ということらしい。また女刑事はあまりに美形すぎて笑ってしまった(惚れた)。さすが同級生の児童からも一目置かれていたようである。 そのほか新人刑事を含めて、最後はレギュラーメンバーにけっこう愛着がわいて来る作りだったので、TVシリーズの方はさぞ人気が出ていたのだろうと思っておく。
[インターネット(邦画)] 6点(2017-12-01 19:45:20)
25.  心が叫びたがってるんだ。(2015) 《ネタバレ》 
たまたま実写版を先に見たが、その時に書いたことと基本的に変わらない。特に同級生がみな良心的な人々で、ささくれ立つような場面があってもすぐに収まるのは安心する。主人公が廃墟で叫ぶ場面では、実写版よりアニメの方が言葉が荒いと聞いていたが、実際はさんざん悪態ついたようでいて終わってみればその程度かという感じで、これなら聞いた側がまっすぐ受け取って心に収めたことにも共感できる。ラストのほのぼのしたハッピーエンド感も心地いい。 主人公の外見やキャラ設定に関しては、どちらかというと初めからマンガとして作ってある方が可愛いところは可愛く、可笑しいところは可笑しく見えて、「応援したくなる」という言葉もふさわしいように思われる。普段は極度に内向的なようでも、携帯の会話などでは本来の性格がはみ出していたように見え、あらかじめ人格の全体像を想像させる感じにはなっている。 ミュージカルの場面では、当初は主人公の思いに引きずられただけの連中が、その場になればみなそれぞれ自分のこととして本気になっていたのが見ていて嬉しい。2つのメロディを重ねる場面も感動的だったが、聞くだけだと言葉が重なってしまってわかりづらいのも確かである。字幕付きにしてみると、歌っている2人それぞれの心情が歌詞になっていることがわかるので、逆に最初からそういう見方をするものとして作られていると思えばいいか。 なお実写版の方で「普遍性が感じられる」と書いたのは実は少々書きすぎであって(「良」が付いているので今さら直しづらい)、やはりこの物語は基本的に若い人々のものだという気はする。自分の年になると、いくら言葉を尽くしても根本的なところで人はわかり合えない、という思いが強くなってしまっているので、かえってこれから世界が広がる人々は発展性と希望があって羨ましいという気分だった。 以上のようなことで、幸い「ここさけ」への好意は持続できたという結果だった。若い登場人物への優しい視線が感じられるアニメで正直好きだ。劇中歌も思い切り耳に残る。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-10-02 19:56:08)
26.  心が叫びたがってるんだ。(2017) 《ネタバレ》 
アニメ版は見たことがない。チケットカウンターで「ここさけ20:45からです」と言われてそういう略称だったのかと思った。 ここさけ初心者として率直に書くと、意外にも普通に感動的なお話だった。若年者の心情に密着し過ぎて部外者には共感しづらいのではと思っていたが、実際は対象年齢以上にも広く受け入れられそうな普遍性が感じられる。また殊更に人の暗黒面を見せつけるタイプのものでもなく、人間の善性を信頼した物語のようで安心させられる。 なんで突然ミュージカル?とは一応思うわけだが実際やれば当然感動的で、特に2つの旋律にそれぞれの言葉を乗せて重ねる趣向は非常によかった。恋愛感情も絡んで来るがあまり生々しくもなく、物語を進める原動力になった後は一定の整理をつけて未来につなぐ形になっていたのは清々しい。最後に観客みんなが笑顔になるようなものにしたい、というような感じのことを劇中人物が言っていたのは正解である。 全体的には都合良すぎのようでもあり、また細かく見れば説明不足だとか意味不明に思われるところもなくはなかったが、あまり気にならない範囲でうまくまとめてあるようには見えた。アニメ版と雰囲気などの違いがあるかは後で確認したい。  ほかキャストもなかなかいい感じで、芳根京子という人は高校生というには少し年齢が上に見えたが、いかにもアニメ少女っぽい挙動とか“つぶらな瞳”感のある目などはよかった。また石井杏奈という人も親しみやすい顔を見せており、ダンスのような場面も一応入れてある。端役ながら見覚えのある金澤美穂・萩原みのりといった人々が出ていたのも個人的に嬉しい。また成瀬順の幼少時の子役(平尾菜々花)が上手すぎて、父親が呪いの言葉を吐きたくなる気分が大変よくわかった。父親にまで共感してしまった。
[映画館(邦画)] 7点(2017-08-12 18:59:18)(良:2票)
27.  ゴメンナサイ 《ネタバレ》 
携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画である。原作の全3章のうち前の2章分を映画化している。 この映画と同時期に、同じく携帯小説を原作として、同じ監督と同じ主演(鈴木愛理)で製作された「携帯彼女」(2011)とはなぜか出来が段違いで、実際それほど革新的でもなく超怖いわけでもないが、映像や音響面で結構いい感じを出している。主要キャストはアイドルながら結構シビアな役柄で、劇中人物の発言によれば「貞子versus鬼」だそうだが、特に黒羽さん役などはこれで本当にアイドルなのか(本当にこういう人なのではないか)と思わせるものがある。主演の人も前記の映画より少し大人っぽい美少女に見えて結構だ(ナレーションは下手)。ちなみに個人的にはアイドルに関心がないが、相楽樹さんが目立っていたのは嬉しい。 全体構成としては、本来のお話の外側にアイドル映画の枠組みをもう一つ被せておいて、その枠組みも最後にはぶち壊して虚構性を最大限に否定してみせる趣向は面白い(「ファンの人とか見るんだよ」という台詞が生々しい)。冒頭の作品紹介の際に主演の人の態度が変だったのも、後になればそういうことだったかと思わせる。  ところで参考までに書いておくと、自分が本来好む実話系怪談の世界でいえば、実話という触れ込みで読者に実害が及びそうな話を予告なしに読ませるのは、少なくとも商業作品では禁じ手と思われる(最近はそうでもないかも知れないが)。 この映画は実話ではなく「フェイクドキュメンタリー」だそうだが(厳密にはラストのみ?)、原作が携帯小説であり、著者の実体験を匂わせる作りになっていることから再現ドラマの趣がある。現実問題としては台詞にあったように呪いなど真に受ける警察もないわけだが、しかし同じく台詞にあったように、呪われていると本人に自覚させることで、いわば高感受性者には精神面で実害が及ぶ恐れもなくはない。そういう合理的観点からしても、何の警告もなしにこういう映画を多数の観客に見せることはしないのが無難なはずである。 そういう配慮もなかった結果、ネット上あるいは日常会話で若年者が垂れ流す無責任な話を大人が平気で映画化(その前段で書籍化)してしまった印象があり、映倫は通っても倫理面で問題があると思わざるを得ない。劇中でも若年者の思慮のなさを嘲るような台詞があり、そこまでわかってやっているのであればイノセントともいえない。原作もかなり毒気のある小説だが(ふりがなが必要な読者にこういうのを読ませるか?)、さらに映画では最後の章を除去してオープンな構造にしたこともあって、作り手の悪意さえ感じられる状態になってしまっている。 そういうことで点数としては抑えておく。本当は少しいい点を付けたかったが残念だ。  追記:主要キャストのうち嗣永桃子(ももち)という人は本日2017/6/30をもって芸能界引退とのことで、惜しまれつつも祝福されながらの引退らしいのは他人事ながら喜ばしい。15年間お疲れさまでした、これから頑張ってください。
[DVD(邦画)] 1点(2017-06-30 19:48:20)
28.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
どれだけ話題になっていてもすぐに見られない田舎は不利だと思う。 原作を読んだことがあるので概要はわかっていたつもりだったが、始まってみると原作の世界が実際に動いて、カラーで(当然だが)、背景音楽付きで広がっていくのを見て背筋が少し震える気がした。個人的には特に序盤で、戦前の広島の繁華街(中島本町)や広島県産業奨励館を鳥瞰的に捉えた風景が出ただけで泣ける気分になった(その後の出来事を知っているからだが)。 また劇場予告編にも出ていたが、入港する大和が柔らかな緑を背景にして色鮮やかな信号旗をたなびかせ、艦上で多数の人が動いている情景には、無機質な鉄の兵器というよりも、そこにいる多くの人々に目を向けようとする優しさが感じられる。青葉の甲板で洗濯物を干していたのも乗組員の日常風景だったろう。ほか代用食をカラーにすると変にきれいで料理映画のように見え、すみれの花まで入っていたのはちょっと感動的だった。本来は葉を食うものだろうから、食用というより暮らしに彩りを添える工夫ということだろうが。 ちなみにわざわざ書くまでのこともないが爆撃と銃撃は怖かった。  物語に関しては、基本的に原作準拠のようなので特に言うべきこともないが、驚くのはリンさん関係がほとんど省略されていたことである。本筋との接続部分は残っていたようなので完全版を期待したい。また原作を知らずに見る人には、あまり最初から細かいことにこだわらず、まずは感じることを優先して見るようお勧めしたい。 原作になくて映画で加えられたものとして、細かいことだが周作が反乱の鎮圧に赴く際、法務はどこまでも秩序を守るのが仕事、というような台詞があった。これは夫婦関係に関していえば、水原に引け目を感じていた周作の面目を立てる形になっていたのだろうが、同時に周作が社会を維持する立場という意味も出ていたように思われる。その直後に呉市役所の困り事相談の看板が出ていたりもしたが、すずさんのような家庭の生活者とともに、その生活者が暮らす身近な社会を支える人々も加わってこの世界が続いていくという意味に取れば、家庭の生活者としてはちょっと自信のない自分であってもこの映画での居場所を見つけられる気がした。 この映画から何を受け取るかは人それぞれかと思うが、現代に生きるわれわれがこの世界に関する認識を深めるのに役立つよう、原作を含めたこの物語が広く認知されていくことを自分としても願っている。  なお余談として、自分としては原作にない「掃海特務艇第十六号」というのが微妙にユーモラスに感じられた(晴美さんもご存じなかったろう)が、その後の出来事をあらかじめ知っていたのでここで笑っていいのかどうかわからなかった。これはこういう名の知られていない地味な船に乗って、海軍の片隅で身体を張っていた人にも焦点を当てようとしたと解する。
[映画館(邦画)] 9点(2017-01-03 23:43:52)(良:1票)
29.  この世界の片隅に(2011)<TVM> 《ネタバレ》 
日本テレビの2011年の終戦記念番組として8/15に放送されたものである。 原作の情感などは特になく、普通のTVドラマのように見える。安っぽいところや変なところは当然のようにあり、方言も恐らくアクセントが徹底していない。ただ「東京物語」(1953)以来の「ありがとう」だけは全員がそれらしく言っていたようである。 また原作の顕著な特徴である笑いの要素もそれほど目立たないが、「ミヨセンセーノハゲアタマ」はしっかり再現していた(細かく見ると「ネコ」が可笑しい)ほか、時計の「ボーン」という音をコミカルに使うなどの趣向はあったようで、また軽快な背景音楽が気分を和ませていた面もある。なおこのドラマ独自のユーモラスな場面として、周作とすずが二人でいるのを上官に冷やかされたのは微妙に可笑しかった。海軍さんはスマートで結構だ。 主要人物で省略されたのは「鬼いちゃん」くらいのものと思うが、このドラマで問題なのは、すずさんが原作のイメージと全く違うことである。それをいえば周作も水原も原作の面影がなく、そもそも似せるつもりがないのでこれで納得しろということかと思ったが、それにしても基本的に原作のキャラクターを前提としているため「ちいと足らん」とか「温いのう…」といった台詞に全く説得力がない。これは最終段階の人物イメージがこの女優ということだと思うべきなのか。ちなみに個人的には劇中のリンさんが好きだ。  物語の面では、「居場所」「見つける」「記憶の器」といった話題を2時間でコンパクトにまとめた形に見え、もっと独自性を出さなくてよかったのかと思うほどである。最初に重要事項を提示してしまうとか、回想場面などで原作の素っ気ないところを適宜補足しながらTV向けにわかりやすく作っており、意味的な部分の表現という点では文句をつける気にならない。なお玉音放送のところで天下国家に関わる台詞を義父に言わせていたのは自然で、ここは原作よりもこのドラマの方が好きだ(何を言わせたいにしても劇中人物1人に集約する必要はない)。 原作未読の人や原作ファンの人が見てどう思うかわからないが、個人的感覚としては意外に誠実に作られたドラマに見える(終戦記念番組なので真面目で当然だが)。原作に比べれば簡易版のようなものとはいえ、やはりこの原作者の作品を好き勝手にアレンジすることなど許されない、とこの時点で関係者も思っていたのかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-01-03 20:02:26)
30.  恋の罪 《ネタバレ》 
とりあえずデリヘル事務所の顛末は単純に面白かった。派遣先での「ボケー!」の台詞も心に残る(笑った)。 ほか全体的なことに関しては、まずはいかにも頭の悪そうな人物が予定通り堕落していく話になっている。部外者としては目を逸らして見なかったことにするだけの相手であり(こっち見るな!)、おれは関係ない、で終わりである。 また途中で頭のいい人物が出て来て深淵な哲学を語りそうな雰囲気だったので、これは自分などの理解を絶した世界かと思っていたが、実際は普通の言葉でわりと簡単に説明できそうなことを難しくしただけで、結局最後は誰でも想像できる範囲に収まった感じだった。普通に生きることが難しい境遇だったとしても、そこを何とかカバーする知性をこの人物は備えていたはずで、その点で父親の行動はまだしも理性的な範囲にとどまっていたと思われるが、こういうのは性別によっても違うと言いたいのか。 以上の2人に関しては、こうなったことにもそれなりの事情があったらしく、全てが生来の体質によるものともいえないところがあるが、少なくとも次に生まれ変わった時には別の人生が期待できるわけで、その際は例えば修行して悟りを開いて仏になることを志したりするのもいいかも知れない。 そのほか警視庁の刑事には単純に失望した。劇中には全般的に変な連中が多いが、この人物は特に職業と人格の関係、また家庭環境に関する設定が支離滅裂である。またこの映画では三者三様のヘアヌードが出て、見た目でいえば胸の大きさの違いが明らかな特徴になっているが、この人物は中庸であって個性の表現にはつながっていない。別にそんな点は評価項目にならないのでどうでもいいわけだが、頭の良し悪しと胸の大きさに負の相関関係があると主張していたのであれば問題がある。多分そんなことも言ってないだろうが。 なお個人的には、この映画を見ながら大岡越前守の逸話と伝えられる「灰になるまで」の話を思い出したりしたが、それは関係ないか。何にせよあまり深入りしたくない映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-01 13:44:24)
31.  極道大戦争 《ネタバレ》 
当初の設定がどうでもよくなって野放図に展開していくのは意外性があるが、個別の構成要素はどこかで見たようなものであって独創性が感じられず、また特に笑えるようなものにもなっていない。見てしまったからといっていちいち律儀にコメントを付けるのは苦痛である。
[DVD(邦画)] 1点(2016-09-12 20:14:21)
32.  怖譚 コワタン<OV> 《ネタバレ》 
「最恐の女子校生ホラー」とのことで、全5話のオムニバスである。[ ]は点数。 【集金人】 冒頭のナレーションで回想譚とわかり、本人は無事だったと確認されるので安心してしまう。“あとで聞いたらこうだった”というオチまでついているのは、実話というより古風な読者投稿の雰囲気を出しているともいえる。暗闇の顔が不気味。[3] 【異界からの招待状】 怖いことは怖いが心霊写真の怖さである。主人公の行動が不自然で、ベランダに出た時点で右側が気にならないはずがない。[3] 【理想のトモダチ】 時間が最長。子役時代からキャリアの長い役者を出してエピソードとしての充実を図ったのかも知れないが、出来事自体に新味がなく、ただの女子高生?が超自然的能力を発揮して無理矢理な流血沙汰に至る話を素直に受け入れるわけにはいかない。主人公が錯乱した場面で、近くの仮設ゲートが風で揺れていたのは巧妙な表現かと思ったが、これは実際に風の強い日に撮影したようでどれだけ意図したものか不明。童顔の殺人者に+1点。[3] 【ユウタイリダツ】 時間が最短。美少女がパンツを下ろして便器に腰かけているのは大胆。怖いというよりほのぼの系。[4] 【覗き魔】 個人的好みとしてはこれの主役の人(青山奈桜)が一番かわいく見える。見た目は可愛いが近所のオバサンと比べると明らかに長身で(165.5cm)、最近の日本人は体格がよくなったものだという感慨がある。この人に+1点。[4] 【ベッドの下に…】 大変よろしくない特徴を備えた最低ホラーである。題名だけでわかる古いネタを使っているが、原話を改変した結果として何の捻りもないただの殺人になってしまっている。これで警察の追及を受けなくて済むと思っているのかどうか。意外性を優先して現実味を簡単に犠牲にしたように見えるが、超常現象に頼らないつもりならもう少しありそうな話にしてもらいたい。ただし「みんな言ってるよ」が2回出たのは少しよかった。[1]  SDPが製作し、スターダストプロモーションの所属タレントが多く出演するオムニバスホラーで、今回は若手女優に重点を置いたらしい。 女子高生から取材した実話をもとにしたとのことだが、どこまで実話なのか怪しい話ばかりである。オーソドックスな怖さを重視した面もあるが、外と思ったら中にいた、とか、どこかと思ったらここだった、といったありがちなパターンで済ませたところもあり、全体的に納得できる水準ではない。
[DVD(邦画)] 3点(2016-07-03 18:53:27)
33.  告白(2010) 《ネタバレ》 
映像・音響が刺激的で中身も痛快な高級エンターテインメントである。 何より主人公の元教員が一貫した姿勢を堅持していて安定感がある。心の葛藤が外に見える場面もあったが、これは主人公の行動が間違っていることを示唆していたわけではなく、本来この主人公がどこにでもいる普通の人間であって、決して特殊な性向の持ち主ではないことを示しただけと思われる。 またラストの一言には安堵した。直前の台詞がご立派すぎたのでそういう幕引きなのかと落胆しかけたが、ここまで来ておいて正しい教育映画のように終わるのでは到底納得できるものではない。これはいわば刑吏の温情のような形で一応まともな説明をしてみせてから、ただし自分は復讐者の立場であるから実はそのような観点はなく、あくまで非情なだけである、と突き放したと解される。  ところで、いわゆる綺麗事というのはそれ自体が間違いともいえないが現実妥当性の面で難があり、また一方では耳触りがよく反論されにくい、あるいは自己陶酔しやすいといった発言者に都合のよい性質を含むのが厄介である。劇中で最強の綺麗事は主人公の夫の教育論だろうが、そのほか“他人を疑うのはよくない”だとか、また劇中の少女が信じたがっていた“誰の命も重い”も含めて、この映画では綺麗事全般があっさり否定されて終わったようである。 しかし現実には綺麗事に含まれるもの全てを叩き潰していいわけでもなく、例えば少女の“私の命も重いと言ってほしい”という心情まで踏みつけにすることはできない。綺麗事を粉砕してしまった後に、改めて従うべき行動規範が残されるかどうかは別の問題であり、その点主人公は思慮深い人物なので自制していたと思われるが、それでも最後の爆発が事実であれば適正な復讐の範囲を逸脱していた恐れがある。 別に主人公が個人でここまでしなくとも、公権力が適切な刑罰とともに遺族感情の慰撫(公権力が復讐を代行したと感じさせる)をまともに行えればいいはずだが、綺麗事にまみれた社会では今さら何を期待しても仕方ないという諦めもある。まあ世の中などその程度のものであって、何かを期待することの方が間違っているのだろうが。  なお余談として、生徒役のうち別映画で見たことのある近藤真彩と三吉彩花と山谷花純は発見できたが、能年玲奈は最後までわからなかった(探す気がないわけだが)。
[DVD(邦画)] 9点(2016-05-01 10:58:08)
34.  こっくりさん 劇場版 《ネタバレ》 
アイドル主演のホラー映画など最初から全く期待していないわけだが、結果的にこの映画はそれほど悪くなかった。 特に傑出したものがあるわけでもなく題材からしてありきたりだが、落ち着いた雰囲気で一貫した不安感を出しているのが好ましく、いわば標準的というかプレーンタイプのホラー映画を見た感じだった。劇中では、何か起こりそうに見せておいて結局何も起こらない場面が多かったが、それがかえって緊張感の維持につながっている。またときどき出現するバケモノは、明るいところ(メイキング)で見ると苦笑するようなキツネ面だが、劇中では特殊効果でよく見えないようにしていたのがかえってよかった。ホラーに刺激を求める人々には受けないだろうが、安手ながらも一定水準が確保され、かつ失点がそれほど多くないのが相対的な好印象につながっている。 ただ残念だったのは最後の締め方である。世間的には都合のいい終わり方を嫌う傾向もあるだろうが、別にそれが高級なわけでもなくかえって通俗的に見える。それよりも、例えば終了間際までずっと不安感を引っ張っておいて最後だけすっきり終わる、という方が意外感もあって新鮮だったろうと思うが、まあその辺は趣味の問題だと言われればそれまでである。 ちなみにキャストについて、主演は鈴木まりやという人(当時AKB48チームB)だが個人的には知らない人である(続編もこの人が主演だが監督は違う)。また教員役の片岡明日香という人は「再現ドラマの女王」とのことだがTVを見ないので知らない。魅力的な女優だとは思うが、この人がもう少し色気を出すような形だともっとよかったかもしれない。それも趣味の問題か。
[DVD(邦画)] 5点(2016-03-04 19:51:13)
35.  校歌の卒業式 《ネタバレ》 
三重県志摩市大王町船越という場所にあった志摩市立船越中学校が2013年3月をもって閉校することとなった際に、「船越中学校閉校記念事業推進会議」の委員だった地元の人物が、同校出身の映画プロデューサーである山際新平氏に相談したことがきっかけで製作されたとのことである。その経緯からしても学校統廃合の方針自体に異を唱えるものではなく、世の趨勢はそれなりに受け止めた上で、人々の思いをどのようにすくい取るかを主題にしたものらしい。 脚本・監督はアニメ中心に活動してきた宇井孝司氏が担当しているが、出演者に関して本物の役者は中学生の「喜田明日香」役1人だけである。ほか役者のように見えなくもない音楽教員役は映画音楽を担当する音楽家(佐田詠夢)、また飛入りのバイオリニスト役も本職のバイオリニスト(佐田大陸、佐田詠夢の実兄)の飛入り出演とのことである。有名人はここまでで、その他はどうやら地元のまるきり素人らしい。中学生は当時の在校生で、役のある人は一応のオーディションを経てそれなりに選抜したようだが、主人公役については全く別の観点から選出したらしく、この人物の素人感が突出していたのが微笑ましい。ほか「ガールズトーク隊」の4人組などは結構こなれた感じで、やはりこういう場面では女子の方が器用に立ち回るもののようである。  本筋としては題名通りの「校歌の卒業式」になっているが、劇中ではこれと並行して中学生の素朴な青春ラブストーリーが進行する。シナリオ自体が笑えるように書かれているわけだが、これに主人公役の朴訥な演技が輪をかけて大爆笑させられる場面が多く、そういうところがこの映画の自然体でほのぼのとした印象づくりにも役立っている。ラストもあまり作為的でない自然な終わり方になっており、具体的成果というより思いをあとにつなぐ形になっていたのが印象深かった。 劇中に出ていたように、歌は単なる音響芸術というだけでなく人の思いを担う存在でもある。特に校歌は全ての在校生が間違いなく習う歌であり、人口移動のあまり激しくない場所では、世代にかかわらず地域住民が一緒に歌えるという意義を持つことにこの映画で気づかされた。この映画も、映像と音楽と人々の思いを全部まとめて後世に残すことにつながれば部外者としても幸いに思う。 なおついでに、今年の伊勢志摩サミットが平穏裡に開催されることを願っている。
[DVD(邦画)] 6点(2016-01-13 23:39:13)
36.  骨壺 《ネタバレ》 
主要人物4人をそれぞれアイドルグループから選抜した形になっているが、アイドルという割には見事に全員可愛くない。このようになっている意図は不明だが、自分にとってホラー映画で可愛くない人物はいつどのように死んでも構わないから勝手にしろということになるので、こういう救いのない映画にはこれがふさわしい。 かえって1人生き残ったのが気に入らないわけだが、この人物も最初から悪印象のため観客の共感を妨げるものがある。この映画を見て素直に共感できるとすれば、“基本は性悪な女子高生だが実は悔い改める素質を持った者”(要は劇中人物そのまま)に限定されるように思うが、そんな人間が都合よくこの映画を見るものか、あるいは一般に女子高生とはそういうものと見極めた上でやったのかはわからない。原作と映画の比較でどこがどうなったのか知りたいところもあるが、この原作者の著作は読む気にならないので自分にとっては永遠に不明のままである。 そのほか、真に最悪だったのは終盤の叫び声がやかましいことだった。悲痛な叫びとかいう以前にやかましいこと自体が耐えがたい。こういうのはもう理屈も何もなく最低点を付けるに十分な動機になるが、ただし憎悪するほどではなく嫌悪という程度にとどまるので0点にはならない。
[DVD(邦画)] 1点(2015-11-16 00:49:00)
37.  コネコノキモチ 《ネタバレ》 
ネコの出番は意外に少ないが、映像面での美しさは全編にわたり徹底されていたようで、また音楽の使い方もオーソドックスで心地いい。監督はPV制作で有名な人とのことで、その面の特徴も出ていたものと思われる。 主演はアイドルグループ「アイドリング!!!」3号の人(ただし2014.2月卒業)であり、この人のPV的な意味があったような感じもある。別映画で主演していたのを見たときは、役どころのせいもあって茫洋とした感じでどこをほめればいいのかわからなかったが、この映画では喜怒哀楽も出ており、ちゃんと普通の人間だったことがわかって好印象だった。この人の歌う「空の木」が映画のテーマ曲であり、劇中でも墨田区が舞台だったことから、東京スカイツリーのプロモーションを兼ねたような印象もある。   それでストーリーとしては、父親/夫の死による心の欠落を埋められずに2年が経過した家で、ネコの登場により娘と母の心境変化が促され、やがて家族の再生に至るという話である。そのようにまとめてしまうと非常にありきたりな感じだが、実際見れば相応の感動がある。娘と母それぞれの年代に応じた気づきや悟りが描かれているが、特に母親が“生きている今が大事”と思い至る場面は印象的だった。言葉のほかに状況や映像で語られている内容も多いので、一つひとつの場面を大事に見なければという気にはさせられる。 ただし中盤以降では、なぜか意味不明な登場人物が乱立している印象もあった。しかしこれは一見意味がないようでも、世間ではどこで何がどう関係して来るかわからないので、一瞬のつながりでもとりあえず大事にしておこうという意味に取ればいいのかも知れない。   そのほか友情出演のアイドリング!!! 6号(外岡えりか)が、終盤でネコ役になって登場していたのは斬新な試みかも知れない。演じるヒトとネコの年齢がイメージ的に一致せず、とても同一人とは思われないのだが、まあ微笑ましい趣向とはいえる。この擬人化ネコがラストで再登場するのも失笑というかユーモラスだが、ただしいくらアイドルでも本物の子ネコには絶対かなわないだろうと一応書いておく。
[DVD(邦画)] 7点(2015-02-04 22:50:39)
38.  婚活バトルロワイアル<OV> 《ネタバレ》 
どうせどうしようもないバカビデオだろうと思っていたが、しかし見ると結構まともな話になっていたので驚いた。 最初は作り手の良心が全く信用できない状態に見えたが最終的には許容範囲に一応収まり、また演者それぞれの性質に応じて適切な役が振られている(当然だが)ので、何でこの人がこんなものに出ているのか、という不審の念も一応解消される。中盤のインタビューで出ていたシンデレラ観には少し感心したが、最後は少なくとも主人公に関してはちゃんとしたシンデレラストーリーになっていた。 そういうことで、当初のマイナスイメージと、終了後のそれなり感とのギャップが感動的なお話だった。  なお主演女優はこれまでかろうじて存在だけは知っていたという程度だが、これを見るとけっこう可愛いタイプの人だったらしい。汚れ役になりそうでならないハラハラ感が大変結構でした。
[DVD(邦画)] 4点(2014-11-08 20:53:30)
39.  ゴースト・リベンジャーJK<OV> 《ネタバレ》 
主演女優が別のOVでこれの宣伝をしていたので見たが、これを見るよりなら、同時にPRしていたグラビアDVDを見た方がよほど有益だろうと想像する(見てないが)。 これもジャンルとしては「アイドルもの」なのかも知れないが、その性質を除くと他にほとんど何も残らない。笑えるわけでも泣けるわけでもなく、復讐の爽快感もない一方でラストが感動的なわけでもない。あまりに出来が悪いために怒るならまだしも、なぜかそういうこともない(これは自分が寛容な人物だからか)。見た人間の記憶に残さず、スルーさせることを意図して作ったとさえ思えるのが不思議なことである。また「アイドルもの」としても、この人のファンにとって本当に見るべきものになっていたかどうかは怪しいものだが、それは自分が判断すべきことではない。 以上、基本的には見どころのない話だが、それだけでは感想として冷淡すぎるので少し特徴点を書いておくと、主人公の姉役が怪演だったのと(この人は誰?)、魔女館や秘密基地の設えが若干目を引いたとはいえる。 なおどうでもいいことだが、ヒロインは彼氏より背が高く(しほの涼172cm、野崎純平170cm)、かつ顔が小さい。
[DVD(邦画)] 1点(2014-10-26 20:50:40)
40.  高速ばぁば 《ネタバレ》 
「先生を流産させる会」の内藤瑛亮監督の映画ということで注目される(が、個人的には女優の未来穂香を見ようとしただけである)。 まず登場するアイドルグループはコンセプトが極めて適当で、持ち歌を聞いても脱力感を免れず(これのフルバージョンをぜひ見たい)、こんなののファンもバカばっかりだろうと思わせるものがある。メンバーそのものは劇中に出た通り少し性悪な普通の女子なわけだが、アイドルグループとしてのおバカな印象とのギャップがほのかに可笑しい。 またストーリーとしては、最初の事件が起こってこれは大騒ぎになるだろうと思うと場面が飛んで、また何事もなかったように芸能活動が続いているのがとぼけた感じだが、その後も事態が進展して登場人物が次々に破滅していき、これはさすがにただでは済まないだろうと思うような大事件が起きても、なお無反省に脱力系アイドルの営業を続けているのが非常に変である。画面上では公園のステージや事務所の外観が出るたびに、まだやるつもりなのかと呆れてしまう。まったく懲りない連中だと思うが、結果としては微妙にシュールでブラックな世界が表現されていたようで、これは意外に面白い(変な)ものを見せられた気がする。最後のソロデビューの曲は「夢見る少女日記」とのことで、これも聴きたかったが果たせずに終わったのは無念だった。   ところで出演者としては、アヤネ役の女優(未来穂香)はある程度キャリアもあり、この人が主役と思っていたら実際はそれほど出番がなく、かえって他の2人に焦点が当たる場面が多くバランスがいいと感じられる。特にナナミ役(北山詩織)はモデル出身らしく細身で美形だが、劇中人物としてもわりと良心的で実質的な主役のように思われる。一方で最も可愛くなくてアヤネに嫉妬していたという設定のマユコ役(後藤郁)も、現実にはアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーとしてファンに愛されているらしい(よく知らないが)ので決して侮ってはならない。 [2014-05-13追記] 先日、マユコ役の後藤郁が6/7を最後に「アイドリング!!!」を卒業するとの発表があった。映画の価値には関係ないことだが、かおるんの新しい旅立ちを祝して+1としておく。
[DVD(邦画)] 6点(2014-05-13 21:51:59)
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