Menu
 > レビュワー
 > すかあふえいす さんの口コミ一覧。2ページ目
すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 
「ビフォア・サンライズ」。 とても素敵な映画だ。これほど平和で、これほど人の心を揺さぶる恋愛映画は。  ゲーセンで不良がナンパしてきたり、ギター持った男が奇声をあげてきたり(「スクール・オブ・ロック」)とか、そういうハラハラする“イベント”はまったくないと言っていい。本当に一時の静かな出会いと別れなのさ。 音楽も冒頭と終盤までほとんど無い。  列車の中でふと出会った男女二人。最初は一人で暇な時間を潰すための会話だったが、やがて互いの心の傷を見せ合って溶け合う中となっていく。  列車にはじまり次々と移動して移動して移動して、喋って喋って喋りまくる。結んだ髪もあっと言う間にほどけるくらいに。 なのに不思議と飽きることなく、延々と聴いていたいような穏やかな時間が流れる。街からは出ないけど、移動しまくる様子はこの映画も立派なロードムービーなのだろう。  手相占いのばあさんとか、二人に絡んでくる人々の会話も面白い。  ゲーセンで体ごと動かしてゲームを愉しむ様子。確かに、解ってても体ごと動いちゃうよねーあーいうのって。  人気の無い公園での交わり。 夜が明け、昇るサンライズ(朝日)は別れの時間が迫っている知らせ。 彼女が三つ編みでラフな服装になっているのは事後を物語るのだろうか。  列車の前でハッとして「もう・・・お別れなのね」なんて表情をする場面はもらい泣きしそうになったよ。  続編の「ビフォア・サンセット」も素敵な映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 19:37:30)
22.  コミック雑誌なんかいらない! 《ネタバレ》 
実際に起きた事件を再現ドラマとして見せる作品。  特に「豊田商事永野会長刺殺事件」の迫力は凄い。江戸っ子の北野武が関西弁で喋ってる(笑) 関西弁下手糞すぎる(最早意図的にやっているとしか思えない) スローモーションがちょっと気になるが、殺人を許容し公開で流し続けるマスコミへの批判も感じられた。あまりにあざとくやっているので完全にケンカ売ってます。 実際のニュース映像がニコニコ動画やyoutube等にも挙がっている。本当に見事な再現だが、閲覧は各自自己責任でお願いいたします。 凄い映画でした。 次はたけしがフライデーに殴り込んだ話も再現して欲しい(嘘ですゴメンなさい)
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-12 17:55:36)
23.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
「ゴッドファーザー」は好きなシリーズだが、特に「PARTⅡ」はもう何度見たか解らない。 人によっては「PARTⅠ」こそ最高という人もいるだろう。 だが、俺は冒頭からヴィトの悲劇で始まり、ヴィトが栄光を掴んでいく“光”とマイケルが様々なものを失っていく“闇”が交錯する「PARTⅡ」が一番好きだ。ヴィトだけでなく、マイケルの過去も映されるんだ。ヴィトの思い出と混ざりながら。 初見の者にとって、ヴィトが今後どうなるかが気になって最後まで画面に釘付けにされたのだから。 シチリア島で葬儀が行われるシーンから物語は始まる。父、兄、母親まで地元のギャングに殴りこんで失ってしまうヴィトの悲劇。この瞬間からマイケルの復讐が始まり、同時に彼を救ってくれた島の人々の優しさがヴィトに生きる力と人を助ける愛情を育む。村の名前がヴィトを守る“偽名”となって。だから彼はシチリアに戻って来たのだと思う。困っている仲間や家族を守るために覚悟を決め、彼らの代わりに引き金を引いて。 彼らが奥さんの手作りパスタを美味そうに食べるシーンは和む。どうしてこの映画はあんなにも飯を美味そうに食うのだろうか。クレメンザとソニーは若い頃(物心つく前)からつるむ仲。 前半2時間のクライマックスを飾るのは、そんなヴィト自らが暗殺に向う場面だ。 ヴィトがどん底から這い上がり仲間や家族を得る一方、現代のマイケルは後半1時間30分をかけて最盛期からまた次々に最愛の仲間や家族を失っていく。フレドとコニーの何気ない会話が、別れの挨拶になるなんてさ。 華やかなパーティーですら暗い影が差し、寝室に銃弾の雨が振り込み安心して眠る事も出来ない。 議員も机の上の大砲をマフィアのボスに向けてケンカ腰。 痩せていたアル・ネリは亡きクレメンザの代わりを果たすかのように膨れ上がる。 数多の血みどろの殺し合いの後に、以前のマイケルたちが揃って食事をする場面なんかもう何回見ても泣きそうになっちゃうよ。ソニーは元気だし、コニーにブツブツ言ったりフレドとじゃれあう姿なんて・・・それが独りで煙草を吹かし、現在のマイケルの瞳に光が失われて幕を閉じる。
[DVD(字幕)] 10点(2014-06-26 19:38:01)(良:1票)
24.  絞死刑 《ネタバレ》 
「絞死刑」・・・タイトルを聞いただけで?と思った。どうやら“くびりころす”国(ひとびと) を描いた作品らしい。 実際に起きた「小松川高校事件」をモデルにした映画。  冒頭はドキュメンタリー風のタッチで、一人の人間が死刑執行される瞬間を描いていく。この頃から死刑制度が必要なのか不必要なのかが問われていたのか。 死刑を執行する人間は、これから罪を犯した“ケジメ”として殺される人間を見届けなければならない。首に喰い込んだ麻縄の跡も・・・。 人間が完全に死ぬまでをストップウォッチで計ったり、必死に諭して、飯まで食わせるんだぜ?酷い話だ。  大昔は磔とか、首を斬られた罪人をそのまま晒し者にして民衆の前で見せたそうだが、今の世の中そんな事はしない。殺される人間にも“人権”て奴が発生するからだろうか。  ところが、そこから事態は急変する。 一度しくじった刑を“殺り直す”って発想がまず思い付かねえよ。 記憶を失えば絞首刑(縊り殺す)が出来ない。 それでこれから殺そうとする人間の記憶を取り戻させようとする様子が何処かユーモラス・・・けど、ゾッとする。 法を破り人殺しもいとわぬ者、法を守って人を殺そうとする者・・・一体どっちが正しいんだろうね。劇中の人間のように、本当に笑いながら人を殺す相談をする奴もいるだろうよ。 つうか教育部長がウザイ。 人一人殺すのに愛情だの何だのと歪んでいるとしか思えない。  もし殺される奴が日本人の“K”で、殺す側が朝鮮の“R”の人々だったら・・・差別とかそういうものが立場によってがらりとひっくり返されたら・・・そう思うと怖くてしょうがない。ステレオタイプな差別描写が、より一層そういう事を考えさせる。  更に日本の男尊女卑の問題や宗教問題にまで踏み込んでしまう大島渚の大胆さ。 映画というジャンルで戦い続けた男のメッセージが刻まれた作品の一だった。  ラストシーンで検事以外の人間が見た“女”の姿。“R”は“R”である事を受け入れる・・・。  後味は悪いが、「儀式」と共に一度は見ておきたい作品だ。 この映画が嘲笑うものは、死刑制度、そして人間そのものに対する矛盾なんだろうね。多分。  俺は「少年」や「戦場のメリークリスマス」の方が好きだが、この映画は大島渚にしか撮れない最高傑作だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-24 18:06:50)
25.  コンドル(1939) 《ネタバレ》 
否、ケーリー・グラントのカッコ良さに惚れる逸品である。 ケーリー・グラントと言えばコメディやヒッチコック作品で有名だが、若い頃はもっぱらコメディだ。 しかし、若い頃も落ち着きのある冷静でカッコイイ役もそつなくこなしてる。  冒頭のシーンが凄い。 特撮技術よりも、飛行機音と無線機から聞こえる音響だけでスリリングな着陸シーンを演出してしまう妙技。 ケーリーの演技も相まって、必見のシーンとなっている。  「コンドル」戦争を背景にした航空映画だが、一番の醍醐味は男たちの人間ドラマだ。 「ヘンリー4世」を引用するシーンの粋なやり取り、リチャード・バーセルメスのカッコ良さ、後半から出てくるコミカルなやり取り。 実に硬派で、ロマンティックで、楽しい映画だ。 スクリュー・ボール・コメディではドアや電話といったアイテムのやり取りが殺人的な笑いを産む。 毎回笑いすぎてしばらく腹痛になってしまうのが毎回の悩みだ。 ジーン・アーサーの変貌振りはギャグとしか言いようがない。  男たちの友情に押され気味のジーン・アーサーよりも、一瞬とはいえ元恋人として強烈な印象を残すリタ・ヘイワースの方が魅力的である。  とにかくオススメ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-07 20:01:47)
26.  港々に女あり
いやあ、こりゃ本当に楽しい映画だよ。 「女あり」ってタイトルだからルイーズ・ブルックスの魅力を堪能する映画・・・かと思ったらヴィクター・マクラグレンたち船乗りが泣いて笑ってド突き合って仲直りするという楽しい映画でしたよまったく。 流石ホークス、この頃からドッカンドッカン見せてくれる。  ルイーズ・ブルックスのキャラと、ホークス特有の女性の個を尊重する演出が上手くハマッている。余計に魅力的な女性像になっているぜ。 こりゃアメリカで勇名を轟かせるよ。やっぱホークスは女を発掘する達人だね。楽しい一時だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:27:43)
27.  恋する惑星 《ネタバレ》 
再見。 激しい銃撃戦といったアクションで魅せる「天使の涙」、本作は恋愛がメイン。  本当に意味あり気なようでけっこうテキトー、意味不明でのんびりした映画だが何故か嫌いじゃない。 ゴダールやトリュフォーにも通じる「いい加減さ」がこの映画にもある。 ある者はその意味のない映像に文句を付け、ある者はインテリや絵画、あるいわ心地良い音楽を聞き流すように受け入れる。俺の場合は後者に近い。  冒頭からいきなり追いかけっこ、手ブレと思いきや一瞬一瞬止めるコマ撮りの演出。 この様子は回想形式で語られ、まるで過去の幻想を見せられるような気持ちになる。  唐突な誘拐事件も、標的も何故彼女がそうするのか理由は語られない。 男と女による交互の回想、終止符を打つ復讐?の弾丸。  国際電話で英語や日本語が混ざり合うカオス。混沌とした文化が拡がる町に生きる主人公の警官。 香港は昔から日本人やらイギリス人やら様々な国の人間が混ざり交流してきた港町だ。三ヶ国語を流暢に喋る人間がザラにいても何も不思議じゃない。94年に公開された時、香港はまだ“外国”だった。 というより、仕事で故郷から離れて生活しているという人間も多い。「心の故郷」であって「生まれ故郷」って奴は少ないだろうな。少なくとも、悪人を追って国境すら越える警官や復讐のために旅をするような人間にとってはその場のしのぎの宿にすぎない。  主人公の警官はどうだろうか。 任務を果たしたはいいが、生きがいとしてきた仕事がなくなり、かったるい日々を送る。そんな彼の心を満たすのが複数の女たちだ。  追ってから逃げる謎の女、売店の少女、客室乗務員(当時は「スチュワーデス」?)といった女たち。  「フィルム・ノワールみたいになるのかな?」と思いきや、序盤のサスペンスは何処吹く風。  終盤はそんな彼の淡い恋模様を延々と見せられる。 だが、不思議と退屈はしない。やたら生活観のある空間に居心地の良さを見出してしまうのだろう。 ゴダールで言えば「はなればなれ」のような・・・とにかく愛らしい、愛すべき映画である。  あの寅のヌイグルミはホワイトタイガーだったのだろうか?  「隠れてないで現実に立ち向かえ」 じゃあおまえも前の彼女は忘れろよ・・・。  思わぬ再会、パスポート、エンドロールが白一色というのも面白い。  あのパスポートで男と女は何処かに旅立つのか、それとも任された店を「第二の故郷」にして永住するのか。それは男と女たちだけの知るところなのです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:58:25)
28.  孤独な場所で 《ネタバレ》 
「夜の人々」か「孤独な場所で」か。 ニコラス・レイの最高傑作として名高いフィルム・ノワール。  レイの描く人間は、常に内側で暴力を爆発させ痛々しいまでに自分を追いつめる人物描写が多い。  ジェームズ・ディーンを主役にした「理由なき反抗」が良い例で、主人公は元より、主人公の親友までもが内側に向かう暴力によって自分を傷つけてしまう。   「孤独な場所で」は、一度怒りだすと己を抑えられない暴力的な脚本家を主人公にしている。  一度は主人公を愛した女も、やがて彼の暴力性に怯え始める。 愛が恐怖や怒りに変わる時、殺人容疑の真相が明らかにされ、新たな事件が生まれてしまう。   終始何かに突き動かされて苛立つ様子は、何かに怯えるように不安定でじっとしていられない。  まるでルイス・ブニュエルの「エル」のように、精神を病んでいるような様子さえある。恐ろしい映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-06 18:32:40)
29.  荒野の決闘 《ネタバレ》 
今作は邦題のような荒々しさはあまり無い。 原題の「My Darling Clementine」の通り、詩情に溢れた愛と淡々とした復讐の物語。 伝説の保安官「ワイアット・アープ」兄弟とドク・ホリデイの復讐劇。 静かに草木を揺らす荒野、そして「殺られたら殺り返される」殺伐とした西部の世界。 降り注ぐ雨の描写が、この映画の静けさを物語る。  ワイアットが酒場で無法者を引っ捕まえる場面、 酒場で銃を抜いて場を制する場面、 ダダッ子ドクを連れ戻す疾走感、 クライトン一家の襲撃、 ラストの決闘とこれだけ見せ場があるにも関わらず徹底した静けさ。  「駅馬車」のようなドラマ面の人物像の掘り下げもあまりない気がする(前半のバージルとモーガンは空気)。  ただドク・ホリデイが馬車馬を走らせる頃から物語は「静」から「動」へと移り変わっていく。それまで退屈だったストーリーも、段々締まりを見せてくる。 平和な街にくすぶっていた「火薬」が「銃火」によって炸裂する瞬間。 仲間の仇を討つために、そして保安官として仕事を果たすためにアープたちは決闘の場へと向かう。 が、死が待っている決闘の場に堂々とした出で立ちで歩み寄る男たち! それぞれが失った者のために、正義のため、何より愛する者を守るため、男たちは引き金を引く。 長き静寂の後に訪れる死の瞬間まで・・・。  愛する人を奪われていく主人公たちと、アープたちの手によって平和を取り戻し歓喜する住民たちの対比が生々しい。  今回のマチュアは文字通り捨て身のギャグを披露してくれた。 敵の背後を取っておきながら咳で位置がバレて撃たれるって・・・しかし柵に手をかけ相手を睨みつけての一撃はカッコイイので結果オーライ。  「赤い河」や「リオ・ブラボー」で好々爺だったウォルター・ブレナンも、昔は悪漢老クライトンとして立ちはだかる。 それが輪廻転生してジョン何とかさん(ジョン・ウェイン)の強い味方に生まれ変わったと考えると・・・胸熱。  そして決闘のラストでハンマーを打ち降ろして三連射するワード・バンドのカッコ良さは異常。  20世紀フォックス発売の特別編DVDに収録された「非公開試写版」も必見。 個人的にはこっちの方が好きだったりするのだ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-05 10:13:17)
30.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
再見。 ダシール・ハメットのハードボイルド探偵がアンドレ・ド・トスの西部劇で「叛逆の用心棒」となり、黒澤明の時代劇で「用心棒」となり、そしてセルジオ・レオーネのヨーロッパ西部劇で「荒野の用心棒」へと生まれ変わった。  その転生のしかたがオマージュとかリスペクトではなく、無断で脚本をそのままパクッてしまったことが原因で黒澤側に訴えられて大騒動になったのは有名な話だが、騒動はそれだけに終わらなかった。 この映画が公開される以前からドイツやイタリア等でヨーロッパ産の西部劇が作られていたが(スペインでロケを敢行したラオール・ウォルシュ「不死身の保安官」等)、クリント・イーストウッドといったアメリカからヨーロッパに“帰還”した移民の子孫たちによって作られたスパゲッティ・ウエスタン(マカロニ・ウエスタン)の大ヒットがアメリカの本場西部劇に与えた影響もデカい。 アメリカ人がヘイズ・コードの検閲を掻い潜るように研鑽してきた西部劇を、レオーネはそんなことお構いなしにヴァイオレンスに染め上げる。 ハワード・ホークスといった痛快な西部劇を思い出す充実したアクション、ディミトリ・ティオムキンを髣髴とさせるエンニオ・モリコーネの爽快な音楽、そして流血と爆発、悪党どもをブッ倒す“悪党”の気持ち良さ! 悪が秘密を隠すようにまとってきたマントは、この映画ではポンチョが風にたなびく頼もしさ。そのポンチョがめくられることによって敵を驚かせる秘密兵器!  低予算のB級的感覚でさっさか撮られた本作は、砂漠を吹き荒れる砂塵のように渇いている。湿っぽい詩情などほざいている余裕はない。  街に馬に乗って流れ着くアウトロー、木に括りつけられた首を吊るためのロープ、ワケあり美女との邂逅。女は何者なのかわからない。街に入ると住人たちが拳銃で盛大にご挨拶だ。名無しの男はこの位じゃ怒らない。いつも他人のために拳銃を引き抜くのである。イーストウッドの地声も良いし、吹き替えの山田康雄の渋さを味わうも良し。  敵を挑発し、鮮やかなファニングによって一瞬で2、3人ブッ倒す! 死んでも役割を与えられるのは「夕陽のガンマン」にも繋がる。死んだはずの男たちが墓場での壮絶な銃撃戦を引き起こし、悪党はその隙に人妻をスタコラ奪い返す。捕まったってタダじゃ逃げねえ。一暴れして火の海にしてやるぜ!  無法者たちのボスはライフルどころかガトリングガンで軍隊をブッ殺しまくるヤリ手。 ライフルか拳銃か。拳銃は抜くもの、ライフルは既に構えられている。 「リオ・ブラボー」では拳銃じゃ自分より早い奴がいるから俺はライフルなんだと警棒のようにライフルを振るう保安官、「駅馬車」では射程の長い銃同士の決闘、「用心棒」では刀と拳銃の対決。どれもコレも少数で多数の敵に挑む面白さがあった。この映画はどうするのだろうかというワクワク感。 そのライフルを後の作品じゃ決闘の儀式や仲間を助ける義理堅さに使うのが興味深い。  ただ、個人的に本作のラストの決闘には不満が残る。「リオ・ブラボー」とかダイナマイトの出る映画は何かしらフッ飛ばしてくれただろ? 「夕陽のガンマン」だって刑務所、「善玉・悪漢・卑劣漢(続・夕陽のガンマン)」だって橋をドカーンだから大好きだ。 でもねえ・・・この映画は敵にチャンス与えすぎなんじゃないかな。あんな近かったらライフルもリボルバーも無いだろうと思わない?え?俺だけ?「同じ条件ならどっちが早いのか」ってことを証明したかったのだろうけどさ。 名無しなりの、捕まえても情報を吐かせるために生かしていたことに対する礼儀なのかな。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-29 20:53:53)
31.  攻撃
これは、アルドリッチが自らの最高傑作と述べていた作品だ。 個人的には「ロンゲストヤード」や「キッスで殺せ」の方が最高傑作に相応しいと思うが、戦争映画としてはアルドリッチで一番の作品だと俺も思う。 隅々まで反映された反骨精神、本当の敵は襲い来る兵士ではなく、誤った判断によって自軍を破滅に導く愚かな上司だと言う事。 戦争への皮肉と怒りがふんだんに込められた傑作だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:16:45)
32.  國民の創生
アメリカで初めて創られた190分もの作品であり、その中には戦争、人種差別、思想など様々な濁流が流れている。 後の「風と共に去りぬ」の骨子がこの映画に詰まっているのだ。 この映画の場面場面で数多く出てくる「絞り」のように、小さな点が大きな光の塊となっていく。 アメリカの南と北、二つの名家にて起こる恋愛、戦争、死の物語を当時のアメリカ社会のうねりと共にドキュメンタリー風に描く。  映画史上初めてのオリジナルの音響、燃え盛る街を背後に逃げ惑う民、強烈なフラッシュ・バック、印象的なカットの繋ぎなどなど・・・一つ一つの場面の完成度。 1890年代終わりのリュミエール兄弟作品、1903年の「大列車強盗」、1910年の「月世界旅行」、そして1915年の「国民の創生」。 前半30分の登場人物の相関、南北戦争の激戦、後半における数々の死と「KKK」の設立、新たなる闘争の決着・・・密度のある映画だ。  ストーリーの流れや演出は文句なしに素晴らしい。  だが、だがである。 リンカンは何故暗殺されたのか。 それは黒人の現状と痛みを理解し、そこに共鳴したからこそ彼らを開放するために戦い、そして殺された。 後のキング牧師やマルコムXたちがそうだったように、肌の色ではなく、心で理解できたからこそ彼は戦ったのだ。 黒人の解放運動、キャメロン家と共に戦う黒人の女性を描いた点は良かった。 ただ、黒人への恨みをそのまま黒人に返す事を目的とした「KKK(クー・クラックス・クラン)」を英雄として描いた部分は残念でならまい。 これこそ正に「面白ければそれでいいのか?」という映画なのだ。  白人に蔑ろにされた憎悪。 その憎悪が白人に向けられ白人を殺す。 そして黒人に家族を殺された白人の憎悪が「KKK」を産んだ。  だが、「KKK」はあくまで黒人への憎しみをたぎらせた組織であり、それが「アメリカ」という国を造り上げたわけではない。 リンカンが死ななければ南北の統一も無かったし、黒人奴隷の苦しみが無ければリンカンが戦い暗殺される事も恐らく無かっただろう。 その憎しみの連鎖が黒人差別の要因である筈なのに、この映画はそれを疎かにしてしまっているのだ。  黒人の苦痛を細部まで理解出来なかったグリフィスの詰めの甘さだけは惜しい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:24:25)
33.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 《ネタバレ》 
押井の「パトレイバー2」は大嫌いだが「攻殻機動隊」は別腹大好き。 士郎正宗のエロいイラストじゃなくなった事だけは残念だが、無機質なオーバーテクノロジーの集合体みたいな動きには圧倒される。 人間が「義体」に体を入れ替えていく様子が怖かった。人間何処まで機械化されてしまうのか。 トグサには人間でいて欲しい。 巨大なタチコマみたいな戦車との戦いが凄い。少佐がメスゴリ(ry 少佐もそうだがバトーも無茶しすぎて毎度ジャムッてます。押井流「ジャムおじさん」? 「素子、新しい体(義体)よ!」(嘘)  つうかラストの素子が原作じゃマイケル・ジャクソンもどきだったのがコッチじゃゴスロリ少女ときたもんだ。何でコッチの方が可愛いいんだよっ! いや、市街地の戦闘直後にバトーが素子に「ファサアッ・・・」ってやるシーンのバイザー素子も可愛いと思うんだ(´・ω・`)  戦う女はどうしてこうカッコ良いのだろうか。  所長は人間なのか機械なのかヤクザなのか一番謎だ。  まったく、「ネットは広大だわ(ネットの海は広大だわ)」。
[DVD(邦画)] 9点(2014-03-13 18:12:34)(良:1票)
34.  黒蘭の女 《ネタバレ》 
ワイラー版「風と共に去りぬ」。 スペクタクルを期待する人間には少々物足りないかも知れないが、普通のメロドラマを期待する人には充分な作品。 少なくとも俺は「風と共に去りぬ」よりも好きだ。 ベティ・デイヴィスの演技が良い。気が強くワガママだったヒロインは、やがて気丈で落ち着きのある大人の女性へと成長していく。 物語は南北戦争を背景に男女の複雑な絡み合いを見せる。 彼女の着た「真紅のドレス(白黒画面では黒衣のドレスにしか見えない)」は別れの印か。彼女は“ジイゼベル”と呼ばれる男を狂わせる女なのだろうか。 いや、感情こそ激しいがラストの彼女の姿は気高い一人の女性でしか無い。病なんて関係ない。だって彼を愛しているのだから。 愛する男を殺そうとする病が、再びヒロインと彼を結びつけるとは何とも皮肉なものだ。   「そうだ明日があるは」何て事言いやがる女と、病が染つるかも知れない男に「愛しているから」ってだけで追いていく女、どっちが良いよ。俺は後者だね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:23:03)(良:1票)
35.  絞殺魔 《ネタバレ》 
フライシャーの緻密な演出とシンプルな面白さが光る。 フライシャーは「バイキング」や「ミクロの決死圏」等アクションものの監督と思っていたが、まさか「ミクロの決死圏」の後にこんなサスペンスを撮っていたとは。 他の作品に比べるとかなり地味な印象もあるが、それでもフライシャーらしい演出が光る作品だ。 「実在のボストン連続絞殺魔事件」をモデルにした作品。 複数のカットを同時に見せる実験的な仕掛け、淡々と殺しのドラマとそれに歯噛みしながら捜査を続ける警察たちの姿を映していく。 ただでさえ得体の知れない「絞殺魔」が襲いかかるってだけで恐怖だし、もっと怖いのが散々ニュースで注意しているにも関わらずドアを開けてしまう人間心理の怖さ。 開けなくても簡単にドアを突破してしまう「絞殺魔」。 後半の展開は衝撃的。延々とシーンが続く感じなのだが、不思議と飽きない。 “もう一人のアイツ”が出てくる瞬間といったらもう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-11 21:15:15)
36.  荒野の七人 《ネタバレ》 
西部劇の最高傑作かどうかは解りませんが「最高の1つ」という事ならば迷うことなく選ぶ傑作。「七人の侍」と「駅馬車」大好きな私にはドストライクな1本です。実際に戦場から帰って来た男たちの面構え。村を守るために街に助けを求めて繰り出す村人たち。それに応じた七人のアウトローたち。冷静沈着な参謀クリス、頼りになるヴィン、未熟ながら機転が効き果敢に戦うチコ、賞金目当てのハリー、子供好きなオライリー、死に場所を求めるリー、ナイフも得意な凄腕のブリット。原作以上に個性豊かなキャラクター、2時間とコンパクトにまとめられたストーリー。原作に比べるとストーリーの厚みは無いのですが、純粋なアクションとドラマの掛け合いが面白い作品に仕上がっていると思います。ただ惜しむべきは悪党カルヴェイラの「傲慢と甘さ」。あの時撃っていれば・・・!ラストの壮絶なファイトは凄いのですが、何だか「殺りそこねたので取り敢えず」感が否めませんでした。けれどもリーの決意と最期。あれを描いた事でこの作品は意味があるなと思いました。彼の安らかな死に顔が全てを語ってくれます。そして村長と語らい悠々と去っていく男たち、村人と絆を結び「水と油」では無くなった瞬間・・・私は好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-07 17:30:25)
37.  ゴッドファーザー 《ネタバレ》 
「ゴッドファーザー」は続編の「Part2」の方が一番面白いし大好きだが、初代も好きだ。 この作品は「映画の面白さ」というものを教えてくれる作品の一つだ。 魅せる、語る、惹きつける。 一度見ただけでは解らない。しかしこの映画には何度も見たくなるような面白さと仕掛けが散りばめられている。 一回で理解できるシーンも多いが、一番のミソは見れば見るほど理解を深められる作品だと思う。二度見てこそ、いや見れば見るほどその圧倒的な世界観に惹き込まれる。 一見すると「マフィアの暴力礼讃」のようにも見えるが、この映画の訴えたいことは「暴力の愚かさ」しかない。 暴力を振るえば振るうほど失っていく大切な何か。 「家族」とファミリーという名の「組織」。 この二つを守った者と、守りきれなかった者。 その二人の人間の光と闇を見せ付けられる。  この映画に溢れる「生」。 家族と語り合い、食事をし、人を愛す。 その裏で繰り返される破壊と「死」。 特にpart2では壊れていくマイケルの家族が「死」として、家族を創っていくヴィトが「生」として見て取れる。 このゴッドファーザーは、マリオ・プーゾの原作小説を元に描かれるが、元々は1本だけで済ます予定だった。 ところが、映画の人気が、マイケルたちの行く末やコッポラの人生まで左右し始める。 part1ではマイケルの青春とその終わり、 part2では父の光を通してマイケルが闇に堕ちていく様子を描き、 part3ではマイケルの苦悩と挫折に満ちた幕引きで終わる。 一人の男が何を成し、何を失っていったか。 それが実に心に響く。 哀しみに満ちちゃあいるが、何故か不快な感じはない。 これほど飯が食いたくなる映画は無い! みんな美味そうに飯食うんだもん。 クレメンザが頬張ってたパスタとサンド、ワイン。 ガツガツ食べてみんな死んで行く・・・。 特にpart3を見た後だと、無性にpart1やpart2のマイケルやソニーたちに会いたくなんだよな・・・。 マーロン・ブランドのしゃがれ声、 ジェームズ・カーンの兄貴ぶりなど、俳優陣の演技は全て素晴らしい(タリアは除く) アル・パチーノの演技も素晴らしいの一言。  ソニーとコニーは「暗黒街の顔役」と「悪い奴ほどよく眠る」、中盤の車の爆発は「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」を思い出す。本当に映画が好きなんだなあコッポラは。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-29 15:49:30)
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
700.00%
829828.46%
971868.58%
10312.96%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS