1. ゴールデンボーイ(1998)
《ネタバレ》 年老いた元ナチとアメリカ人の高校生男子。実に距離のありそうな二人が奇妙な関係性でえぐい心理戦を展開します。手にいやな汗をかきました。この関係は何だろうね。友情とはとうてい呼べない。でも互いに自分の一部を依存しあっているような。 わたしは初めのうち、小僧が年寄りに命令して従わせるのが不快でなんとなくじいさんサイドに寄って鑑賞していたのですが、衝撃のネコエピソードによって監督に超甘な考えを破壊されました。 元収容所副所長ですもんね、十代の子どもなんぞに手玉に取られるタマではなかった。次々と少年より先んじて手を打って出る老獪なこと。只者じゃないそのオーラ、イアン・マッケランの鬼気迫る演技に震えました。 対するブラッド・レンフロも青臭さと若い反骨心で見事に対抗しています。心の奥に性悪説の根っこを抱えているやばい十代。ラストの‶成長”ぶりの鮮やかなどす黒さったら、心胆を寒からしむるに十分すぎました。 主演二人に目を奪われがちだけど、脇のキャスティングもぴったりで話が締まりました。トッドの両親の見るからに凡庸なこと、生活指導教師のとんちんかんな熱血ぶり。皆すごく良い仕事してます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-26 17:56:00) |
2. コリーナ、コリーナ
《ネタバレ》 よもやハッピーエンドになるとは予想しなかった。時代設定が1950年代でしょ?あの二人が一緒になるにはもっと苛烈な妨害が生じそうなものだけど、その辺はソフトに済ませて甘めな作りです。 ウーピーの器の大きさがハマっているし、子役が可愛くて上手いのと小悪人顔のレイ・リオッタが意外にもマイホームパパを好演しているのとで、甘さも許容できる「ちょっといい話」にまとまっています。 ウーピーの当て馬的に登場する白人の女たちが冒頭から何とも強烈なアクの強さで、なかなか残像が消えません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-02 17:21:55) |
3. 恋する惑星
《ネタバレ》 これは「映画」ではないですね。感性の表現をフィルムに落とし込んだ、90年代のミュージックビデオぽい映像作品です。 映画として鑑賞したならば、金城パートはお話として破綻してるしトニー・レオンの後半はフェイ・ウォンの住居不法侵入にストーカーの恐怖を抱いてしまうところです。 わたしは「アメリ」で鑑賞の仕方を間違って大失敗したのですが、今作は事前にみなさんのレビューで大体の作品味を押さえることができたので幸いでした。 ‶アート”の分野であると思って観れば、あら不思議うじうじ金城くんも独り言トニーも不思議ちゃんが怖レベルのフェイも皆生き生きと愛らしく見えてきます。 光の粒すら捉えている感のある映像は独特の魅力がありますし、若いということの手に余るようなどうにもならなさ、愛しさがよく伝わります。 90年代の香港の多人種で雑多なエネルギッシュなこと。かの都市の最後の自由な輝きを留めていることも、ノスタルジックな感傷を催しそうです。懐かしいといえばフェイ・ウォンの「夢中人」。綺麗な歌声は久しぶりに聞いてもやっぱりキュート。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-04-17 17:18:43)(良:1票) |
4. 心の旅
《ネタバレ》 善い人の愛のあるお話って皆好きだけど、上手くやんないとクサくなりがち。その点本作はベタではあるけど、心地よいハートウォーミングな出来となっていると思います。 オリジナル脚本を手掛けたJ・J・エイブラムスの力量もあるし、ハリソン・フォードの一本調子な表情が意外にも性格激変後のおっとりヘンリー像にハマった、とも言えます。 ヘンリーの性格変化に伴う人間関係の地殻変動描写がいいとこ突いてんなー、と思うのです。家族、特に娘ちゃんとのやり取りが図書館での小学生レベルのイタズラなど微笑ましくて巧いし、職場では良い味出す秘書のおばさんが好感度高いですし、家政婦さんもなかなかの存在感です。たくさんの周囲の人たちとのエピソードを描ける、これはやっぱりエイブラムスの人間観察力の賜かと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-03 23:01:45) |
5. 殺したいほどアイ・ラブ・ユー
《ネタバレ》 こんなに映画にうってつけな(?)事件が実際に起こるなんて、アメリカってのは実に奥が深いですな。こんな話脚本で書こうったってボツになっちゃうよ。撃たれたって死なないんだからね。 ‶あり得ない・リアルじゃない”というリミッターが最初から外れているだけあって、役者も制作陣ものびのびと仕事したんだろうなあと感じられますなんとなく。 リバー・フェニックスの青年期が見られてうれしい一本でもあります。「マイ・プライベート・アイダホ」の相方キアヌの強烈なダメキャラに比べると大人しくてつまんない役回りなのは残念。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-10-01 23:35:55) |
6. 恋の秋
《ネタバレ》 美しいブドウ畑の田園風景とファッション。会話のやり取りから浮かぶ人物像。ここら辺はいつものロメールです。お得意の恋バナなんですけど、今作は登場人物らが40代なんですよね。それなりに人生経験を積んでるのに恋愛の仕方が20代と同じなのが、個人的にはちょっと痛いなあと思ってしまった。 意地を張るのも、思い切って行けないのも、若さがあるから初々しくてキラキラしいのでは。ぱっと見はおじさんとおばさんだもんなあ。やってることが、イザベル変じゃない?出会い系で人物を偽るなんてふつう相手は怒りますよ。嘘じゃん。相手の心を弄ぶことになるじゃん。中年ならそれ位わきまえてないと。 マガリもさ、結婚式に出席するのにニットとデニムの普段着で大丈夫なの?フランス人て服装のマナーには寛容なのかな。 中年に若者様式の恋愛ごっこをさせたロメール監督、ちょっと筆を誤ったかな?と思って観ていたのですが、いやいやラストシーンに超弩級の火種を撒いて終幕しましたよ。含みのあるイザベルの表情。今後の彼らのドラマにまだまだ一波乱あるんだろうなと思わせて怖いなー楽しみだなー笑。やっぱりただ者じゃないエリック・ロメールなのでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-08-22 15:39:13) |
7. go(1999)
《ネタバレ》 多視点モノの秀作。傑作とまではいかないのは、一つ一つの話が他愛なさ過ぎるから。サイモンパートなんか馬鹿なうえ品も無い。お前らなんかどうにでもなれ、と突き放したくなる連中だもん。 薬の売買絡みでヤバイことになりそうな女の子がするっと無事に切り抜けたり、車に撥ねられたけどケガで済んだりとか、演出は怖いのだけどオチがユルイというセンスはなかなか絶妙に感じます。 ゲイの役者カップルのパートがユルさMAXで楽しかった。警官夫婦の妙な態度がまさかのマルチ勧誘(笑)。ひょっとしたらコレが銃や麻薬なんかよりコワいかも。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-03 22:56:46) |
8. コップランド
《ネタバレ》 おお、スタローンの評価が二分されている。私は評価組の方です。もっさりと鈍重な感じ、彼はいつでもロッキー・バルボアなんですが、この作品においては周りをキレッキレの演技達者で固めているので彼の”使えない”感が際立ちまして、それこそがこの田舎警官キャラに求められている資質なのですな。 お偉いさんのハーヴェイ・カイテルはキレ者でおっかないし、つるんでるレイ・リオッタは安定の小賢しさ、チョイ役デ・ニーロには溢れんばかりの有能さを見せつけられて、ああS・スタローン立ち尽くすのみなのだった。 追い詰められたあげくキレる終盤の、やみくもに突き進む姿は手負いの牛にようでやっぱり重たく、いやスタローン適役だったんじゃないでしょうかね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-04-12 00:03:12) |
9. ことの終わり
《ネタバレ》 参った 合わなかった 昼ドラなんだもの。 男女間の好いた惚れたに神様持ち込まれると非キリスト教徒のワタシには全く理解が追いつかないよ。「神への誓い」だからファインズと別れる、って妙に神様に律儀なサラですけど、でも現夫との結婚に際しても神に誓ったんじゃないんですか?死が二人を分かつまで、って。そちらの方は反故にしてもへっちゃらなわけですか。いや別に不倫はイカンと言いたいわけではないけども。 小説家は脳振とうで倒れてただけで(多分)、それを早とちりして神の起こした奇跡だわ、っていやアンタ落ち着け。 野暮天な私にはちょっとtoo muchなどろくさい恋愛話。J・ムーアとR・ファインズのクラシカルな風貌は時代の雰囲気にぴったりだったけど。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-06-27 00:34:10)(良:1票) |
10. ゴースト/ニューヨークの幻
このお話はウーピーの存在が鍵。この人の濃いコメディキャラが目を剥いたり大声出したりして場を賑々しくしてくれるおかげで(どピンクのスーツ姿は必笑)、超甘々のtoo muchラブストーリーが俄然見やすくなった。なんせ主役の二人はパトリック・スウェイジとデミ・ムーア。デミはこの頃はまだ非凡な魅力があるけど、パトリックは100人のアメリカ人を平均して出したような典型的なルックスと佇まい。この二人ではごく普通のアメリカ人カップル然としちゃうわけで、一般のカップルの恋バナなんぞに付き合っていられない客のためにウーピー・ゴールドバーグ。正しい脚本であります。 [映画館(字幕)] 7点(2014-04-29 23:50:00) |
11. 告発
《ネタバレ》 この上なく暗くキツイ話でありながら、役者陣が渾身の演技で観る者を最後まで釘付けにする。K・ベーコン、オスカー受賞おめでとう、とすら思ってしまった。え、獲ってないの?凄まじい作りこみ方だったなあ。人格すら破壊するアルカトラズの非道ぶりが彼を一目見れば分かるほどだ。なにしろ副所長がG・オールドマンだ うわー、出たー。公務員の風貌にしたところで、にじみ出る狂気。キレ芸は健在、さすがです。この副所長の出迎えに、自尊心を取り戻したケビンが淡々とながら啖呵を切るシーンには胸が熱くなる。目に光が宿って、背筋もできるだけ伸ばして。負け犬の如く処分されるのを待つのでなく、“勝ち逃げ”を彼は選んだのだなあ、と思った。思いを固めた姿は崇高ですらあった。 ほとんど満点かとは思うのだけど、どことなく画が新しくて30年代のクラシックな雰囲気に乏しい気がする。ちょっぴり残念。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-11 00:00:11) |
12. コンタクト
難しい理論はわからないけれど、宇宙の話を聞くのは大好きです。そしてJ・フォスターも好きです。なので頑固な賢い科学者にジョディがぴったりはまったこの映画、なかなか心地良かったです。純粋に科学を突き詰めたいエリーと、いろんな思惑乱れる周囲との軋轢、俗世のやり切れなさもうまいこと挿入されてリアリティを増していたと思います。ただ、宇宙というとあちらは即宗教が絡んでくるのですかね?その辺の感覚が今ひとつわからないのと、後半ファンタジックに過ぎる描写がやや興ざめに感じたので点数はこんな感じで。 [DVD(字幕)] 6点(2013-12-23 00:07:54) |
13. コピーキャット
《ネタバレ》 はて、一体どこがダメなんだろうこの映画。猟奇殺人のおどろおどろしさも描写しているしシガニーの切迫した演技は上手いしハリーなんかあんなにルックス崩して熱演したるのに全く怖さが伝わらないのは何故なんだ。何度かTV等で観賞したけど、ホリー・ハンターのいい年して女学生みたいな厚ぼったい前髪のせいだ、と思うに至った。 [地上波(吹替)] 4点(2012-05-09 11:35:13) |
14. 恋のためらい/フランキー&ジョニー
アル・パチーノはこんなチャーミングな懲りない中年もできるんですね。目を輝かせて、あの声でよく笑って魅力的。お相手のM・ファイファーもまだまだ美しい。お話よりも二人の素敵さに感じ入りました。 [映画館(字幕)] 7点(2012-04-04 00:41:52) |
15. 交渉人(1998)
おやK・スペイシー、えらくマトモな役やってるじゃないですか。何やっても上手いなあ。話にきちんと感があるので「んな馬鹿な」というとこが無く白けずに観られました。それにしてもIQ高いわりにはけっこう乱暴な交渉人だなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-14 23:46:31) |
16. 氷の微笑
たいてい映画は一人で観に行くのだけども、この映画に限っては友人とシャロンの脚の組み換えシーンが本当にパンツなしなのかモザイクかかってんのかなどという実に志の低い目的を共有して映画館へ出向いたのでした。だから結局犯人誰なんだよう!と怒る権利もないわけで。このすっきりしない感はまあ罰当たったんだな。 [映画館(字幕)] 4点(2012-02-19 16:49:35)(笑:1票) |
17. 恋におちたシェイクスピア
それは、ない。と言いたくなるような展開を力技でごりごり押してきたのに、最後に悲恋ヅラされて終わったのには驚いた。勢いのままハッピーエンドにしちゃえば良かったのに。急に世間の壁って枷をはめちゃうのね。なんだかな。豪華な衣装を着こなしたG・パルトロウは綺麗でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-07-31 17:26:45) |