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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  THE GREY 凍える太陽 《ネタバレ》 
ジョー・カーナハンは本質的な構成力や演出力は高いものの、直近2作(『スモーキン・エース』『特攻野郎Aチーム』)においては練りすぎ、余計な要素を加えすぎという印象がありました。サービス精神に溢れた娯楽作を作りたいという思いを持った監督さんのようなのですが、残念ながらその路線には向いてないように見受けます。。。 そこにきての本作ですが、”文明から切り離された人間vs狼の群れ”という、徹底的にムダを削ぎ落とした内容としており、『NARC/ナーク』で見せた荒削りのドラマがここに復活しています。自殺願望のあった男が重大な危機に直面して生存本能を剥き出しにするという物語には燃えさせられるし、登場人物の過不足ない配置にはカーナハンの構成力の高さを実感させられました。大自然の容赦のなさを充分に描ききった演出力にも脱帽であり(これが出来ていない映画は意外と多いのです)、『NARC/ナーク』以降の作品の中では、間違いなく最高の出来だと思います。少なくとも、前半部分は。。。 後半部分では、作品が叙情的になりすぎます。90分で一気に描くべき内容を120分に引き伸ばしているため、クライマックスに向けて畳み掛けるべき部分が妙にチンタラしているのです。しかも、クライマックスをぼやかすという構成にも首を傾げます。この映画の骨子は伝統的なマンハントものであり(『プレデター』とまったく同じ構成をとっている)、ならばクライマックスの直接対決にアクションとドラマのすべてが集約されるはず。そこをぼやかしてしまったのでは、映画全体がまったく締まりません。素材は良かったのに、またしても味付けで失敗したようです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-02-14 22:03:39)
22.  THE DAY ザ・デイ
2009年に製作された『ザ・ロード』は傑作ではなかったものの、思いがけずSF映画史を変えた作品となりました。従来、終末モノの映画は砂漠と廃墟が定番の光景でしたが(同時期に製作された『ザ・ウォーカー』は、まさにそのイメージを引きずっていた)、『ザ・ロード』はそういった記号を排除し、どの国にもありそうな普通の野原や山林で終末の風景を作ってしまったのです。手の込んだ視覚効果も、砂漠でのロケも必要なくSFが撮れるというコロンブスの卵的な発想には世界中のB級野郎達が飛びつき、今やレンタル屋の棚は終末モノで溢れかえっています。。。 本作も、そんな中の一作。理由はよくわからないが人類の生産能力がゼロになった世界で細々と生きる人々が主人公であり、食人行為が物語のキーとなるという、まんま『ザ・ロード』の設定をいただいたお話です。ローランド・エメリッヒ製作の『HELL』もそうでしたが、パクリと言われても仕方がない程のオリジナリティのなさには呆れてしまいます。本作は、SF映画としては完全にダメダメです。前述したオリジナリティのなさに加えて、ディティールもあまりに適当。食うものがなくなって食人行為をはじめた連中のことはよくわかった。では、食人をしていない主人公達は、世界が破滅して以降の10年間をどうやって生き延びてきたのか?「食べること」がテーマの作品であるにも関わらず主人公達が飲み食いする場面が一切なく、それどころか飢餓感の描写すらかなり希薄。これでは世界観を理解しようがありません。30年前に製作された『マッドマックス2』には主人公がうまそうにドッグフードを食う場面があって、たった数十秒で世界観を伝えることに成功していました。本作においても、そういう気の利いた描写が欲しいところでした。。。 他方、バイオレンスとしてはなかなかイケます。中盤以降、本作は一軒家での籠城戦となるのですが、これが『アイ・アム・レジェンド』と『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を足したような素敵な完成度。低予算ゆえにボリューム感には欠けるものの、頼りになるバトルヒロインの登場や味のある敵の親玉など、この手の映画に必要な点はきっちり抑えられています。やりすぎなほどのゴア描写、無情過ぎるラストの展開も主題に合っており、ツッコミどころは多々あれど観て損のない映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-02-01 22:18:59)
23.  ザ・レイド
インドネシア映画ではあるものの、監督には英国人を雇ってきたという『燃えよドラゴン』方式で撮られたアクション映画。評判通り、アクションはキレまくりです。通常のアクション映画では銃撃とカンフーはどちらかに偏りがちなのですが、本作ではその両方がバランスよく盛り込まれており、見せ場のレイアウトの良さにまず感心しました。横方向に展開していたアクションが、突如縦方向にシフトするという変化の付け方も面白く、カンフーのみに頼らない緻密な見せ場作りは大いに評価すべきでしょう。同様に、マンションへの突入前、特殊部隊がスクラムを組んで移動する場面にはトニー・スコットやマイケル・ベイの映画のような美しさとかっこよさがあって、アジア映画ならではの荒削り感が軽減されている点も好印象。わざわざ外国人監督を雇ってきたことの効果は、確実に表れています。。。 問題は、基本設定があまりに荒唐無稽だったことでしょうか。犯罪者の要塞と化したマンションから脱出するためには、ボスを倒さなければならないという理屈が意味不明だったため、私は中盤で戦いの目的を見失ってしまいました。異常に強い敵のシラット使いを相手にするくらいなら、極力戦いを避けて脱出経路の発見に全力を注いだ方が合理的に思えて仕方なかったのです。マンションなんていくらでも脱出方法があるでしょうに。そして、戦いの目的が不明瞭となったために、素直に感情移入して映画を楽しむことができなくなりました。観客が要らんことを考えなくても済むようにもうひと知恵入れてくれれば、見違えるような傑作になったと思うんですけどね。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-02-01 21:09:06)(良:1票)
24.  ザ・レッジ -12時の死刑台- 《ネタバレ》 
「リブ・タイラーが脱ぐ!」という煽りのみに釣られてDVDをレンタルし、ロクな予備知識もなく鑑賞したのですが、これが正解でした。ソリッドシチュエーションスリラーの体裁をとりながらも、実はスリラーを意図して作られていない本作。DVDジャケットから受ける印象を期待して観ると確実に裏切られるのですが、その一方で本筋の内容はなかなか深淵なものであり、配給会社によるヘタな宣伝に惑わされなければ、きちんと楽しめる作品となっています。。。 脚本・監督を担当したのは、サスペンスドラマの佳作『ニューオーリンズ・トライアル』で知られるマシュー・チャップマン。本作においても『ニューオーリンズ~』同様の抜群の構成力を披露しています。何の前フリもなくいきなり事件が発生し、その後の回想により薄皮を剥がすように登場人物達の素性や事件の背景が明らかになっていく前半部分は圧倒的な面白さに包まれているし、一見すると無関係に思えるテーマとシチュエーションを見事に一致させた構成力にも恐れ入りました。ドラマパートの出来も上々であり、リブ・タイラーに15年ぶりのヌードを決意させただけの脚本力は確かに実感できました。。。 問題に感じたのは、本作が投げかける難問について、監督自身が答えを出してしまっているという点。アメリカの銃社会を批判し、それに対して脱法行為をとる市民運動家をヒーローとして描いた『ニューオーリンズ~』を見れば分かる通り、チャップマンはバリバリのリベラル。そんなチャップマンは、信仰の不寛容を描いた本作においてはキリスト教原理主義をかなり厳しく批判しており、最終的には「信仰を捨てましょう」という結論に至ってしまっているのですが、本作の主張は観客に対する問題提起に留めておくべきでした。なぜなら、信仰が持つ良い部分を無視し、形式主義的で不寛容な部分だけを論って「信仰とは害悪である」と断罪する行為こそが、まさに不寛容そのものだったからです。言ってることとやってることに矛盾が生じてしまっているという市民活動家的な弱さがドバっと出てしまったラストによって、映画は説得力を失ってしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-24 00:59:17)(良:1票)
25.  最後の誘惑 《ネタバレ》 
イエスを題材とした映画は数多くありますが、1973年にノーマン・ジュイソン監督の『ジーザス・クライスト=スーパースター』が製作されるまで、ハリウッドはイエスの顔をはっきり映し出すということを控えてきました。それほどまでにイエスとは恐れ多い存在ということなのですが、そんな歴史的経緯を踏まえて本作を観ると、この企画がいかに破天荒で罰当たりなものであるかがわかります。イエスは大工としての腕前を活かしてローマに楯突いた同胞の処刑に使われる十字架をせっせと作り、マグダラのマリアが働く売春宿にもフラフラと姿を現します。神の子としての使命に目覚めた後にも弱気は抜けず、「贖罪のためとはいえ、痛い思いをして死ぬのはイヤだなぁ」と延々悩み続ける始末。一方で、従来は卑劣な裏切り者とされてきたユダが実に男らしく、弱気になったイエスや、イエスを信じきれなくなった他の使徒たちに対して助言と励ましを与える重要な立場を担っています。本作におけるユダは、イエスからの信頼の厚さゆえに彼を十字架に送る重要な役回りを任されたという解釈となっており、キリスト教圏の人達にとっては天地がひっくり返るようなお話となっています。。。 以上の通り、本作はかなり意欲的な内容であり、宗教画の再現を狙ったという美しい撮影にも一見の価値ありなのですが、とはいえ聖書の内容を知っていることが前提条件となる映画なので、われわれ日本人にとっては少々厳しいものがありました。映画としてのポテンシャルの高さや、反発を覚悟の上で製作に踏み切ったスコセッシの志は評価しつつも、6点が精一杯かなと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2012-11-10 15:34:50)
26.  ザ・ファーム/法律事務所
飛ぶ鳥を落とす勢いだった若きトム・クルーズを中心とし、その周りをジーン・ハックマンやエド・ハリスといったベテラン勢で固め、さらにその外側にはゲイリー・ビジーやトビン・ベルといった個性派を配置するという層の厚いキャスティングは魅力的でした。本作はパラマウントにとって相当気合いの入った企画だったようで、スタッフ、キャスト共に最高のメンバーが名を連ねています。しかし、そんなパラマウントからの期待とは裏腹に、映画の内容は平凡の域を脱していません。不吉な前兆の積み重ねでイヤな汗をかかされる前半部分はそれなりの面白さだったものの、後半部分で映画は完全に息切れしてしまうのです。監督も脚本家も複雑な話をまとめあげることでいっぱいいっぱいになってしまい、この膨大な情報量が観客に伝わるかどうかとか、クライマックスで観客はカタルシスを味わえるかどうかということは二の次にされています。直し屋として有名なロバート・タウンが脚本家に名を連ねている時点で察するべきだったのですが、それにしても、思いの外低い完成度には驚かされました。トム・クルーズ以外のキャストを完全に持て余すという名優の無駄遣いぶりもかなりのもので、本作よりも2ランクも3ランクも劣るメンバーで製作された『逃亡者』に批評面でも興行面でも及ばなかったことにも納得がいきます。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-17 01:53:35)(良:1票)
27.  13デイズ
中国との間の尖閣諸島領有問題がこじれにこじれ、反日デモで日本企業がボコボコにぶっ壊されるわ、尖閣に中国の大船団が迫っているわ、中国報道官の日本に対する悪口が日々エスカレートするわと、只事ではない事態に直面している最近の日本。その一方で我らが野田総理の存在感は薄く、彼は一体何をしているのだろうかと考えながらふと思い出したのが本作でした。。。 今回の鑑賞であらためて感じたのですが、この映画の面白さは異常です。本作は戦争に至らなかった事件を舞台にしており、見せ場らしい見せ場は皆無。あーだこーだと議論するおっさん達の姿が上映時間の9割を占めるという何とも暑苦しい内容ながら、これをアクション映画もかくやという娯楽作にまで高めているのです。ロジャー・ドナルドソンによる演出が素晴らしく、膨大な登場人物の入り乱れる複雑な物語を、極めて簡潔に仕上げています。映画全体のテンポの作り方や、イベントに向けての盛り上げ方も見事であり、この監督なくして本作は完成しなかったであろうと思います。。。 ただし、傑作にはなりきれていないという印象です。かつて『ダンス・ウィズ・ウルブス』を製作し、『JFK』にも主演したリベラル一直線のケビン・コスナーの影響か、本作は問題の捉え方があまりに一面的すぎるのです。何が何でも武力行使に持ち込もうとする軍人達が悪として断罪されており、危機を作った張本人であるソ連以上に否定的に描かれています。この手の映画は「あなたならどうしますか?」という問いを観客に投げかけてこそ価値があると思うのですが、製作側が善悪を断定してしまっているのでは楽しみが半減してしまいます。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-25 00:51:42)
28.  サンダーハート 《ネタバレ》 
午後のロードショーにて鑑賞。いかにも午後ローらしい可もなく不可もなくな内容で、なかなかの豪華メンバーが顔を揃えながらも日本では劇場公開されなかったことにも納得がいきました。。。 ネイティブ・アメリカンの霊媒を捜査に活用するという斬新すぎる試みは空回りしているし、ヴァル・キルマー扮するレイ捜査官が己のアイデンティティを辿るドラマとしても感動が不足しています。根本的な問題として、ミステリー映画であるにも関わらず序盤から悪い奴がモロバレになっているのはどうかと思います。「ネイティブ・アメリカン=被害者、白人=加害者」というありがちな図式を避けるために、ネイティブ・アメリカンの社会内にも対立があるという構図を持ち込んだアイデアは評価できるのですが、映画後半になるとその構図がすっかり忘れ去られ、白人の悪事を糾弾するいつものネイティブ・アメリカン映画に落ち着いてしまった点にはガッカリでした。。。 コーエン兄弟作品でお馴染みのロジャー・ディーキンスによる撮影は美しく、ヴァル・キルマーは精悍でカッコいい、ハリウッド映画としての体裁はしっかりと整っているので、2時間を飽きさせない出来となっていたのが救いでした。
[地上波(吹替)] 5点(2012-09-07 22:10:37)
29.  ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー 《ネタバレ》 
日本国内での鑑賞が長らく困難な状況にあった本作がいよいよDVD化ということで早速飛びついてみたのですが、”伝説の作品”と呼ばれるだけの映画だと思いました。鑑賞前には「マイケル・マンの名声とともに評価が独り歩きした映画なのでは?」という不安もあったのですが、その不安を軽く吹き飛ばすクライムアクションの傑作でした。。。 本作は、マイケル・マンがその後30年の監督人生で扱うすべての作品のプロトタイプとでも言うべき仕上がりとなっており、マイケル・マンのすべてが詰まっています。ディティールに対する異常なまでのこだわり、音楽と映像面での独特の美学、職人気質の男たち、一匹狼ではなくチームで行動する犯罪者集団、プライベートを捨てて対決に臨むクライマックス、これらすべてが本作で出揃っているのです。特に「ヒート」との類似は顕著なのですが、かっこつけまくりだったデ・ニーロに対して本作のジェームズ・カーンはその思いをはっきりと喋ってくれるので、物語の理解については本作の方が容易ではないかと思います。カタギの幸せに憧れながらも、ヤクザ者の自分にとってそれは幻であることを悟ったカーンが、ヤクザとしての落とし前をつけに行くラストには「ヒート」を上回る興奮がありました。。。 なお、本作については”コンバットシューティングを採り入れた初の映画”という触れ込みがありますが、銃撃戦はクライマックスにチョロっと出てくる程度なので、その線ではあまり期待されないように。
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-11 01:39:12)
30.  サイコ(1998)
公開当時は散々な評価を受けた本作ですが、DVDに収録されているメイキングドキュメンタリーを観て納得がいきました。各文化には、シェイクスピアや忠臣蔵のように時代を越えて演じられ続ける”古典”というものが存在します。まだまだ歴史の浅い映画という文化においても将来的にはシェイクスピアに匹敵するような古典が登場し、それは同じ形を保ったまま何度も何度も演じられ続けることとなるに違いありません。本作の監督はその古典の第一号として「サイコ」を選び出し、他の文化では当然に繰り返されている”再演”という行為を映画にも持ち込んだのです。公開当時、本作は「完璧なものをなぜ作り直すのだ?」という批判に晒されましたが、その疑問は見当違い。完璧だからこそ「サイコ」を再映画化したのですから。。。 本作の製作にあたっての監督のこだわり方は異常で、脚本・装置プランどころか撮影スケジュールまでをオリジナルに合わせるという只事ではない執着を見せています。安易な改変を加えないことこそがオリジナルに対する最大の敬意であると考えたわけです。一方で必要性を感じる部分に対しては適度な修正が加えられています。例えば、オリジナルでは曖昧にされていたノーマンの性的倒錯が本作でははっきりと説明されていて、これによって話の通りが良くなっています。ノーマンのキャスティングに至っては大幅な修正が加えられていますが、これについてはリメイクならではの事情が反映されたようです。オリジナルのキャスティングは、好青年のイメージの強かったアンソニー・パーキンスにノーマンを演じさせることで後に明らかになるその正体の衝撃度を高めるというサプライズ的な意味合いが大きかったのですが、話のネタがとっくに割れているリメイク版ではそうした狙いは不要。そこで異常者っぽい風貌のヴィンス・ヴォーンにノーマンを演じさせることで、早い段階から彼の心の闇にフォーカスするという作りに変更したのです。この変更は”あり”だったと思います。。。 カラーになったことで画面は見やすくなったし、サラウンド化されたことでテーマ曲はシャープに蘇りました。こういった点でも再映画化のメリットは発揮されていて、今の中高生がサイコを見ると言い出したなら、私はオリジナルではなくリメイク版の観賞を薦めると思います。。。 とはいえ、本作のどこに6,000万ドルもの製作費が使われたのかは謎ですが。
[DVD(吹替)] 6点(2012-05-19 04:55:38)(良:1票)
31.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
10年も監督業をサボっていただけにカーペンターの演出力が落ちているかもという不安があったのですが、嬉しいことにB級映画の巨匠の腕前は健在でした。飛び上がりそうになるほど驚かされる場面がいくつかあるし、脱走シーンにはハラハラさせられます。舞台となるウォード(病棟)には適度なキナ臭さが漂っており、サスペンスホラーに必要な空気作りもばっちり。ここまで来ると職人芸であり、80年代にはホラー映画の先頭を走っていた御大の"技"を大いに堪能しました。 ただしこの映画、オチがバレバレだったのが苦しいところ。他作品のネタバレは禁止されているためはっきりとは言いませんが、お話は数年前のアノ映画とよく似ています。結末は10年前に公開されたサスペンス映画とまったく同じだったし、多少映画を観ている人ならば遠の昔に見飽きた題材です。復活作でなぜこの脚本を選んだのだろうかと、作品選びのセンスのなさにガッカリさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-05 00:32:31)
32.  ザ・タウン
「ヒート」が好きで好きで仕方がないベン・アフレックが撮ったクライムアクションは、案の定「ヒート」そっくりでした。とにかくディティールにこだわるマイケル・マンの長所を本作も引き継いでおり、大胆でありながら頭の良い犯罪計画はなかなかの見応えがあります。床屋で街中の男の頭髪を集めてきて、犯行で使用した車にそれをばらまくことでDNAによる追跡を不可能にするというアイデアなんて、「その手があったか!」と犯罪者でもない私も大興奮なのでした。ひとつひとつのアクションもしっかりと作りこまれていて、こちらもマイケル・マン作品に匹敵する仕事ができていると思いました。 ただし、ドラマパートはもうひとつかなという印象です。「ヒート」には”静かな緊張感”というものがありましたが、本作はただ静かなだけ。中盤はかなり退屈します。最重要容疑者としてFBIに面が割れた後のFBI捜査官とのやりとりや、恋人に自分の正体をどう明かすのかといった点にドラマやサスペンスがあったと思うのですが、勿体ないことにそういったおいしい点に限って軽くスルーされています。パッと見は冴えない中年だが恐ろしく頭が切れるというFBI捜査官も、主人公との絡ませ方が巧くなかったために作り手が意図したほど面白いキャラクターになりえていませんでした。これらについては、作品全体の取捨選択に問題があったのだと思います。ウダウダ悩む主人公という観客がさして見たいわけでもない要素に目一杯フォーカスしてしまい、クライムアクションを見に来た観客がもっとも関心を持つ点(FBIとの攻防、ヤクザ者としての仁義etc…)を捨ててしまったために、中途半端な仕上がりとなってしまったようです。とはいえアフレック監督の手腕は本物なので、彼の次回作には大きく期待しています。次のイーストウッドになるのはアフレックですよ。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-30 00:49:48)
33.  ザ・クリーナー 消された殺人 《ネタバレ》 
クリーナーという職業にスポットを当てた発想は面白いし、脚本は丁寧に練られています。しかし、エド・ハリスが出演した時点で犯人がモロバレになっていることと(他の出演者とグレードが違いすぎ)、監督のレニー・ハーリンにやる気がまったくなかったことが、本作の出来を不幸なものとしています。オチに至るまでの物語にまったく面白みがなく、視覚的な見せ場やストーリー上の山場を作る努力をしていないため、たった90分の作品であるにも関わらず恐ろしく退屈な仕上がりとなっています。ハーリンは脚本に書いてあることをただ撮っているだけという状態で、映画を魅力的にすることには関心がなかったかのようです。この人はミステリーをチマチマ撮る人ではなく、1億ドルバジェットの爆破アクションを撮るべき監督なのです。同様の傾向を持ったマイケル・ベイの登場によって本来の活躍の場を失ったハーリンですが、頭の悪いアクション大作を今一度撮って欲しいものです。
[DVD(吹替)] 3点(2012-01-11 23:38:32)
34.  座頭市 THE LAST 《ネタバレ》 
勝新によるオリジナルは一本も見ておらず、北野武版とハリウッド版(ルトガー・ハウアー主演・フィリップ・ノイス監督による珍作『ブラインド・フューリー』)のみ鑑賞経験ありという何ともお恥ずかしい私ですが、本作は非常に素晴らしい作品だと感じました。鑑賞前には香取慎吾主演という点に不安があったものの、竹やぶにて敵から逃れるファーストショットでその不安は払拭されました。彼は完璧に座頭市に成りきっており、殺しの世界に生きる者の凄みが全身から出ていたのです。また、市の妻タネを演じる石原さとみも、彼に負けず素晴らしい。彼女の出番はわずか5分程度であり、市とタネの関係について劇中ではほとんど説明がないのですが、石原さとみという女優の存在感のみで、タネがいかに市を変えたかが十分に伝わってきます。その他の豪華俳優陣も皆素晴らしく、邦画には演技のできる人材がこんなにも大勢いたのかと驚きました。仲代達也演じるヤクザの親分などはセリフの半分以上が意味不明だったのですが(笑)、それでも訳の分からん凄みがあったのは俳優の力量の為せる技。完璧に圧倒されました。物語も良くできていて、殺しの虚しさを知った座頭市が足を洗おうとするも、染み付いた血の匂いを落とすことができずに再び人を斬るという業にまみれた内容は見応えがありました。忍従を重ねた末に座頭市が再び剣を握る過程には時代劇ならではのカタルシスがあって観ているこちらも熱くなるのですが、そういったカタルシスを全否定するラストも、噛みしめるほどに味が出ます。尻すぼみなラストを批判する声もありますが、殺しの虚しさを訴える本作が燃えるクライマックスを迎えるわけにもいかないでしょう。殺しの世界に生きた座頭市は、呆気なくカッコ悪く野垂れ死ななければならなかったのです。市は死ぬ直前、妻を殺した犯人にして、自身に致命傷を負わせたヤクザのボンボンと対峙しますが、殺しの虚しさを知った市は安易な復讐に走らず、彼に暴力の恐ろしさを教えてその場を去ります。この時、市は一切の言葉を発しないのですが、かわりに暴力に生きた自分の末路を見せ、同時に妻を殺された暴力の被害者としての悲しみも見せることで、そのすべてを語ります。この時の鬼の形相こそ、彼が長い旅の末に得た答えなのですが、これを受け取らなかった観客は本作をつまらないと感じたかもしれません。
[DVD(邦画)] 8点(2011-11-02 00:30:45)(良:1票)
35.  ザ・クレイジーズ(1972)
低予算ではあるものの映画にはスケール感があり、なかなか見応えのある仕上がりとなっています。舞台は田舎町で大規模な見せ場はないものの、国家の一大事というハッタリは利いているのです。この時期においてウィルス感染ものといえば「アンドロメダ…」くらいしか存在しておらず、その「アンドロメダ…」にしても地下の研究室でウィルス対策にあたる科学者のドラマがメインであったため本格的に感染パニックをテーマにした作品は本作が初であると思うのですが、そんな中で本作は感染パニックものとしてほとんど完成形とも言える姿をしています。以降に製作される「カサンドラ・クロス」や「アウトブレイク」といった大作が完全に本作の影響下にある点から、この映画がいかに先進的な作品であったかが伺えます。また感染もののプロトタイプであるに留まらず、ロメロらしい体制批判の映画である点からも本作は評価できます。問題の根本的な解決よりも秘密保持や治安維持といった体裁を優先したために対応が後手に回り、さらには現場でウィルス撲滅の対応にあたる科学者の邪魔までしてしまうという政府や軍部の無能ぶりが描かれるのですが、本作製作から40年近くを経た現在の日本において、原発事故の最中で日本政府は同様のミスを犯しました。この先見性はやはり凄いと思います。ホラーとしても見どころが多く、幼いわが子を殺す父親が登場する冒頭にはじまり、編み棒で兵士を刺し殺すおばあちゃん、銃撃戦のど真ん中で掃除をするお姉さんなど、狂気の見せ場が目白押し。本作におけるロメロの仕事ぶりは神がかっています。唯一残念だったのは主人公にまったく魅力がなかったことで、ボサボサ頭のブ男には感情移入できませんでした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2011-10-20 22:20:24)
36.  ザ・ファイター
本作に含まれるアイコンは貧困に麻薬に刑務所、「レイジング・ブル」並みに暗く重く作ることもできた題材なのですが(最初に監督を依頼されたのはマーティン・スコセッシだった)、そこをあえてユーモアを交えたポジティブな作りとしています。底辺でもがく人々がボクシングを通してひとつになるという物語は現代版「ロッキー」であり、「ロッキー」同様、本作は脚本も演出も正攻法です。正攻法であるが故に安心して見られる仕上がり、見応えには若干欠けるのですが、それでも2時間はきっちり楽しませるドラマとなっています(当初の予定通りにダーレン・アロノフスキーが監督を務めた場合には、どのような仕上がりになったのかが気になるところですが)。そんな感じで脚本・演出は水準並みなのですが、一方で演技のレベルは非常に高く、特にクリスチャン・ベールが凄いことになっています。弟の足を引っ張る不真面目なヤク中であるが、同時に天性の無邪気さによって誰からも好かれる明るい人物という厄介な役どころなのですが、ベールはこれを完璧に演じています。ディッキー・エクランド本人が登場するエンドロールを見るにもはや憑依の域に達しているほどベールはディッキーそのものに成りきっており、これは何か賞をやらねばと思わせるほどの熱演を披露しています。ディッキー役はブラッド・ピットが演じる予定だったもののスケジュールが合わずに降板し、ウォルバーグよりも歳下のベールが演じることとなったのですが、このキャスティングは正解でした。一方お気の毒だったのがウォルバーグで、ひたすら真面目にボクシングに取り組むミッキー役という役者としてはあまりおいしくない役どころを引き受け、案の定、ベールの引き立て役に徹しています。ただしウォルバーグの演技は決して悪くはなく、クセの強いキャラクターが入り乱れる物語の軸の役割をきっちりと果たしています。彼までが自己主張の強い演技に走っていれば、映画は空中分解していたことでしょう。思えば、かねてからウォルバーグは脇役を引きたてることを得意とする俳優でした。過去にはバート・レイノルズ、ティム・ロス、チョウ・ユンファらから素晴らしい演技を引き出しており、受けの演技をさせると彼は非常に巧いのです。巧くはあるが、本人は評価されないことが悲しいところですが。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-20 19:30:47)
37.  猿の惑星:創世記(ジェネシス)
「『猿の惑星』の前日談を作ろう」…こんな企画が面白いわけがないのですが、本作はそんな困難な企画を大満足の仕上がりにしてしまった奇跡の傑作でした。監督したルパート・ワイアットなる人物はサンダンス映画祭で絶賛されたスリラー(日本未公開なのでその出来を確認することはできませんでした)を一本撮っただけのド新人なのですが、そんなインディーズ出身の新人がいきなり9000千万ドルもの予算を背負わされ、おまけに映画史に残る名作との比較に否応なくさらされるという重圧の中で、よくぞここまでの作品を作ったものだと感心しました。ジェームズ・キャメロンやティム・バートンですらうまくまとめられなかった企画ですからね、これ。。。本作は大風呂敷を広げず描写の細かさを徹底したことが勝因でした。「創世記」という大層なサブタイトルを付けられてはいるものの、映画の内容は主人公である猿がいかにして人類に愛想を尽かし、猿を組織化したかというだけのものです。前半はシーザーの生い立ちが丹念に描かれ、ついに革命を起こしても、サンフランシスコを突っ切ってゴールデンゲートブリッジの向こうにある森を目指すのみ、すべてが半径数十キロで収まってしまう小じんまりとした物語なのです。そして、この小じんまり感が正解でした。第一作は「惑星」という大層なタイトルとは裏腹に、実に小じんまりとした物語でした。メインの舞台はたったひとつの集落だったし、登場するキャラクターもそれほど多くありません。限定した舞台でのドラマやサスペンスを重視したことが第一作の勝因だったのですが、2001年のリメイクを含む続編はスケールの大きさにこだわる余り、どんどん大味になっていきました。本作はそんな続編の罠をうまく回避しているのです。それでいて、ラストのオチで「創世記」としての面目は保っているのですから、これぞ第一作の精神を受け継ぐ素晴らしい続編であると思います。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-14 18:14:15)(良:3票)
38.  13/ザメッティ
ロシアン・ルーレットは一瞬でカタのつくゲームであるため映画には不向きな題材なのですが、本作はそんな困難な題材を扱いながら90分の緊迫感あるサスペンスにまとめた点で評価できます。「弾を込めろ」「弾倉を回せ」「中央の電球が点いたら撃て」という胴元の指示に従い、淡々と進められるロシアン・ルーレットの描写は実によくできていて緊張感を煽ります。殺人ゲームを扱う作品においては人を殺す過程がシステマチックであればあるほど鬼畜感が漂うわけですが、本作はそうした描写を見事にモノにしています。モノクロ映像もアンダーグラウンドの世界にピタリとハマっていて、なかなか巧く作られていると思いました。。。ただし、本作が誉められる点ってそれくらいなんですよね。外箱は上手く作られているものの、人物描写の妙や脚本上の捻りはないため中身はスカスカです。アンダーグラウンドの人達の怖さは大したものではないし、突如命を張ることとなった主人公の心理描写も意外と適当です。監督自身が脚本も手掛ける低予算映画であるためアイデア一発勝負にならざるをえなかったことは理解できるのですが、それでももうちょっと何かがあれば見違えるほど面白くなっただけに残念さが残ります。
[DVD(吹替)] 6点(2011-05-29 19:26:35)
39.  サイダーハウス・ルール 《ネタバレ》 
この監督さんの映画作りはうまいので鑑賞中はそれなりに楽しめたのですが、この映画の根本的な主張にはまったく共感できませんでした。。。リンゴ農園で黒人労働者が住まう通称「サイダーハウス」には小屋のルールがあるのですが、実際にサイダーハウスに住んだことのない農園主が考えたルールなのでその内容はあまりにバカバカしいものでした。それに対して黒人労働者達は「サイダーハウスのルールはサイダーハウスに住んでる人間自身で決めるべきだろ」と言い出すのですが、それこそがこのタイトルの由来。そんなタイトルが示す通り、本作の登場人物達は好き勝手にマイルールを考え出し、もっともらしい言い訳をしながら生きていきます。トビー・マグワイア演じる主人公は「自分こそがこの孤児院にもっともふさわしい人間だ」と言って学歴詐称、医師免許偽造を働き、マイケル・ケイン演じる老医師は、お気に入りの主人公が兵隊にとられてはかなわんと彼の病歴を偽装し、シャーリーズ・セロン演じる若いお姉ちゃんは、「寂しがり屋の私を置いて戦地へ行った彼氏が悪いのよ」と言って浮気をします。どいつもこいつも言ってることがメチャクチャ、こんな自分勝手な人間ばかりでは世の中は成り立ちません。特にシャーリーズ・セロン演じるバカ女には「パール・ハーバー」のバカ女に通じる突き抜けた頭の悪さがあって目が離せませんでした。お国のため必死に戦っている彼氏がいるのに、安全な祖国で被害者面して平然と浮気。本作の当時上映には「シン・レッド・ライン」をお勧めします。ガダルカナル島で必死に戦っている最中に、祖国の妻に浮気をされたスタロス大尉の雄姿に注目してください。
[DVD(吹替)] 4点(2011-05-08 22:24:19)
40.  ザ・スナイパー(2006)
午後のロードショーで放送していたのを録画して見たのですが、期待値の低い午後ローで見ても退屈するほどの完成度の低さ。モーガン・フリーマンにジョン・キューザック、おまけに撮影監督にはダンテ・スピノッティまで動員する豪華ぶりに「バイオレンスの隠れた佳作かも」と期待した私がバカでした(「ドライビングMissデイジー」の監督の作品なので、モーガン・フリーマンは企画の良さよりも人間関係で本作に出演した様子ですが)。反抗期の息子に良いところを見せたいおやじの奮闘、その親子を好きになってしまう悪党の親分、その親分を取り戻しにやってくる怖い子分達という要素はまんま「3時10分、決断のとき」なのですが、作品の出来は「3時10分~」とは比べようもありません。すべての要素の煮詰め方が甘いのです。事件が発生する前の時点で親子はすでに仲直りしちゃってるので家族の再生のドラマになっていないし、悪党の親分は最初から最後まで素直に言うことを聞いてくれるので親子の姿に感動して態度を変えたというドラマも発生していません。子分達は異常なまでに弱く、ヘリコプターに乗りスコープ付きのサブマシンガンで武装しているにも関わらず、ちっちゃい拳銃一丁持ってるだけのド素人に簡単に反撃されてしまうという体たらく。主人公一行が途中で合流するカップルやFBIに振り回される田舎保安官など明らかに必要のないキャラクターも何人か紛れ込んでいて、とにかく脚本が緩すぎます。おまけにアクションも緊張感がなく、誉めるべき点がほとんど見つかりません。さらに追い打ちをかけるのが作品内容とはほぼ無関係の邦題。この映画はどうなってるんでしょうか。
[地上波(吹替)] 2点(2011-01-12 00:08:35)
070.55%
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