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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  THE INFORMER 三秒間の死角 《ネタバレ》 
自由と引き換えにFBIの潜入捜査官となった元犯罪者の男が、様々な組織の思惑と陰謀により再び刑務所へと舞い戻ってしまうというお話。全編を覆うひりひりするような緊張感はなかなかのものだったし、ロザムンド・パイクやクライヴ・オーウェンといったベテラン勢の熱演は見応えありました。特に、犯罪組織とFBI双方に嵌められ、刑務所で孤立無援となってしまう主人公の焦燥感は息が詰まるほど。ただ、それに対して脚本がいまいち。話が無駄にややこしいうえに、後半になるにつれどんどんとサスペンスが盛り下がってゆくというのが映画として致命的。主人公が最後にどうしてそんな行動を取ったかもよく分かんないし、なぜ、最後の最後でクライヴ・オーウェンが捕まったのかも意味不明。ストーリーの見せ方をもっと考えてほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 4点(2022-08-09 04:55:21)(良:1票)
2.  サンダーロード 《ネタバレ》 
やることなすこと何もかもがうまくいかない中年警察官ジムの悪戦苦闘の日々をほろ苦いユーモアを交えて描くヒューマン・ドラマ。まあやりたいことは分かるんですけど、自分はイマイチ好きになれませんでした、これ。恐らくこの作品に嵌まれるかどうかの試金石となるのが、冒頭、母の葬儀でブルース・スプリングスティーンの名曲「涙のサンダーロード」を踊ろうとする主人公が、ラジカセの故障で無音のまま踊るシーン。ここを面白いと思えるかどうかで、この映画の評価が変わるんでしょうね。自分は無理でした。なんかリアルにイタい人が変なことをしている感じで何とも痛々しくて見てらんないです。もっと全盛期のジム・キャリーばりに突き抜けてくれないと笑うに笑えませんって。その後も、この主人公が何か問題が起こると癇癪ばかり起こして周りに不平不満をぶちまけるところも好きになれませんでした。挙句、にっちもさっちもいかなくなると自棄を起こして酒に逃げる……。そりゃ嫁も逃げるし仕事もクビになりますわ。あと、最後のあの唐突な展開は何なんですか?伏線も何もあったもんじゃない意味不明な悲劇に唖然とするほかありませんでした。というわけで、自分は最後までちっとも楽しめませんでした。こればっかりは好みの問題なので如何ともしがたい。
[DVD(字幕)] 4点(2022-03-08 03:30:31)
3.  ザ・ビースト(2019) 《ネタバレ》 
彼の名は、フランク。世界を股にかけて希少動物や人気動物を捕えては動物園などに売り飛ばす猛獣ハンターだ。今回ブラジルの熱帯雨林へと赴いた彼は、思いがけない大物を捕えることに成功する。それは全身キレイな白い毛で覆われたホワイトジャガー。アメリカ本国へと持ち帰ってその筋のルートへと売り飛ばせば莫大な金が手に入るのは明らかだった。頑強な檻に閉じ込めたジャガーとともに意気揚々と巨大タンカーへと乗り込んだフランクだったが、そこで予想だにしない事態に見舞われるのだった――。精神に異常をきたした元米軍特殊部隊員で冷酷な殺人鬼であるラフラーをアメリカへと護送するために、連邦捜査官たちが乗り込んできたのだ。嫌な予感を感じながらもタンカーで大海原へと乗り出すフランク。彼のそんな懸念は見事的中し、ラフラーは見張りの隙を突いて易々と船内へと逃げ出すのだった。恐ろしいことにラフラーは、船内の檻に閉じ込められていた獰猛な猛獣たちまで開放してしまう。当然そこには狂暴なホワイトジャガーも含まれていた……。果たして彼らの運命は?巨大タンカーの密閉された船内で、逃げ出した凶悪犯のみならず猛獣たちにまで追い詰められる船員や捜査官、そして荒くれ者の猛獣ハンターたちのサバイバルを描いたパニック・アクション。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、いかにもB級なそんな本作、あまり期待せずに今回鑑賞してみました。まあいつものニコラス・ケイジ印の低予算・低クオリティの内容でしたね、これ。とにかく演出のキレが悪い!逃げ出したレクター博士もどきのサイコな殺人犯とホワイトジャガーをはじめとする猛獣たちにダブルで襲われるというのが本作の売りなんでしょうけど、どちらもまあショボい。出っ歯の殺人犯なんてとても元凄腕の特殊部隊員に見えず小者感が半端ないし、ホワイトジャガーのCGも今どきびっくりするくらいの低クオリティ。こいつらが同時に襲って来たってスリルが倍増するどころか逆に相乗効果でよりショボくなっちゃってます。なので、最後まで全く盛り上がらないままダラダラと終わっちゃいました。ま、いつものニコケイブランドの映画って感じです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-08-09 05:39:15)
4.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
それはある日突然、日常生活へと紛れ込んできた――。これから地球へと侵略を開始しようという宇宙人が現地を調査するために行動を開始したのだ。地球を支配する人類がいったい何を考えどのような生活を送っているのか、その概念を知るために日本へと遣わされた三人の宇宙人は、それぞれ選んだ人間の意識を乗っ取ることに成功する。どこにでも居るような平凡なサラリーマン、高校生の男女、彼らの身体を使い、宇宙人は人類が使う言葉とその概念を奪うために街へと繰り出す。恐ろしいことにその概念を奪われた人々は、それらの言葉や概念を理解できなくなってしまうのだった。「家族」「所有」「仕事」……。様々な言葉とその概念を奪われ、次々とおかしくなる人たち。社会が少しずつ混乱へと陥ってゆく中、宇宙人にガイドとして指名されたイラストレーターの妻や社会派ジャーナリストはそれぞれに行動を開始するが……。静かに行動を起こした宇宙人によって徐々に侵略されゆく人類をユーモラスに描いたSFドラマ。数々の賞に輝く監督の代表作と言うことで今回鑑賞してみたのですが、正直自分には何がいいのかさっぱり分かりませんでした。なんかそもそもの設定に無理があるような気がするんですけど、これ。だって言葉とその概念を知るために調査を開始したのなら、普通に考えて最初は会話も出来ないんじゃないでしょうか。例えば映画の最初の方で、宇宙人の一人である松田龍平が妻に「敬語は止めて」と言われるシーン。普通に「分かった。敬語は止める」って答えてましたけど、え、敬語の概念は知ってたってこと?それなのに家族や自分という言葉の概念は知らない。この違いの基準は何なのでしょう。それにSFなのに画が大変地味なのもいただけない。概念を奪うときの画も、指を頭にかざすだけってショボすぎじゃないですか。せめてここはCGでも使って、指が伸びて脳の中に入り込むような刺激的な映像が欲しかったところ。映画としてようやく盛り上がってきたクライマックスもなんかいまいちセンスを感じませんでした。あのジャーナリストが戦闘機に空爆されるシーンなんて、ほぼコントで正直寒かったですし。挙句最後の、「人類の愛の偉大さに気づいた宇宙人」というオチにいたっては思わず失笑しちゃいましたわ。この監督の映画は初めて観ましたが、という訳で自分には全く合いませんでした。
[DVD(字幕)] 4点(2021-07-27 02:03:16)
5.  ザ・ピーナッツバター・ファルコン 《ネタバレ》 
ダウン症を患い、幼いころからずっと施設で暮らしてきた22歳の青年、ザック。家族にも見捨てられ、ずっと独りで生きてきた彼の主な話し相手は、昔話と愚痴だらけの老人ばかり。そんな生活に嫌気が差したザックは、長年の夢を叶えるためにパンツ一丁で脱出を図る。その夢とは、昔大人気だったプロレスラーの元を訪れて弟子となり、華々しくリングデビューを果たすことだった――。何とか脱出に成功したザックは途中、荒くれ者の漁師タイラーと出会う。仲間の漁師の獲物をネコババしていたことがばれ、地元を追われたという彼とザックは意気投合し、いつしか旅をともにすることに。かたやプロレスラーとなる夢を叶えるため、かたや新天地で自身の生活を立て直すため。社会のはみ出し者同士のそんな二人のどかなの旅路は、当初は順調に進んでゆく。だが、彼らを追う施設職員や地元の漁師たちが迫ってきて……。アメリカ南部の田舎町を舞台に、ダウン症の青年と貧しい漁師とのそんなのどかな逃避行を描いたロード・ムービー。非常にベタな内容ながら、この全編に漂う暖かな雰囲気は終始心地良く、最後まで気持ちよく観ることが出来ました。主人公をはじめ、ままならない現実に翻弄されながらもそれでも前を向いて生きていこうとする登場人物たちがみんな魅力的で大変グッド。荒くれ者の漁師の兄を巡る不幸な過去をさらりと描写する回想シーンのさりげなさも巧い。まあ確かに物語が都合よく進みすぎ、登場人物誰もが簡単に仲良くなりすぎといった欠点も大いに目に付く作品なのですが、それを補って余りある魅力がこの作品にはあります。その一つが主人公ザックの目的の人物であったプロレスラーの人。今や落ちぶれ酒浸りの中年となったこのプロレスラーが最初はそっけない態度を示すのですが、自分を信じてやって来た主人公のために昔の衣装とメイクを施し車で追ってくるシーン。なんとも微笑ましい魅力に溢れていて、僕は不覚にも涙してしまいました。うん、みんなカッコ悪くてしょーもなくてどうしようもない人生なのかも知れないけど、それでもみんな頑張って生きている。そんな当たり前のことを改めて思い出させてくれる、ヒューマン・ドラマの佳品でありました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-03-03 01:04:55)(良:1票)
6.  さようなら、コダクローム 《ネタバレ》 
決定的なミスを犯し、長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された音楽プロデューサー、マット。首を繋ぎとめるために会社から提示された条件、それはライバル会社から二週間以内に人気バンドを引き抜いてくることだった。生活のために、その人気バンドと何とかコンタクトを取ろうとするマットだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、思いもよらぬ知らせが彼の元に届くのだった――。過去に色々あって長年疎遠にしていた彼の父親ベンが、末期の肝臓癌を患い余命幾ばくもないというのだ。高名な写真家でもあった父は、息子に最後の願いがあるらしく、それはもうすぐサービスが終わる古い写真フィルム「コダクローム」を現像するために、カンザスまで運転してほしいというものだった。母親とのかつての辛い日々を思い、頑として首を縦に振らないマット。そんな彼にベンのマネージャーは、驚きの条件を提示してくる。なんとその人気バンドに会わせてもいいというのだ。仕方なく願いを引き受けた彼は、父の専属看護師である女性とともにカンザスへと旅立つことに。だが、偏屈な父は何かというとトラブルを引き起こし……。長年の葛藤を抱えた父子が、最後の旅路をきっかけにお互いの人生を見つめなす姿をノスタルジックに描いたロード・ムービー。名優エド・ハリスが、そんな口数の減らない偏屈爺さんを演じているということで今回鑑賞してみました。なんですけど、僕はものの見事に嵌まらなかったですね、これ。とにかく登場人物誰もに魅力がなさ過ぎます!特に、エド・ハリス演じるこの爺さん。人の嫌がることばかりして自らトラブルを招いているのに一切反省の態度を見せないとこに、もう見れば見るほど嫌悪感が湧いてきちゃいました。これがロード・ムービーの名手とされるアレクサンダー・ペインの作品なんかだと、この爺さんに何処か憎めない魅力がでるものだけどそんなのは一切ありません。もうひたすらクソじじい(笑)。また、展開もベタ過ぎます。長年憎み合ってた父子が数日旅しただけで最後にはすっかり和解して、女性看護師ともいい仲になっちゃうって都合がよすぎますわ。主人公も目的の人気バンドとようやく会えたのに、それを父をちょっとからかわれただけでキレて帰るってあまりにもアホ過ぎます!いやいやプロなんだから、それぐらい我慢しろよ!んで肝心のそのフィルムに映っていた写真も、これだけ引っ張んだからさぞかし驚きのものが映ってるんだろうなと思ったら、まさかのそのまんまの家族写真…。捻りがなさ過ぎだっちゅーの。エド・ハリスの渋さに惹かれて最後まで観ましたが、僕にはどうにも退屈なだけの作品でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-01-16 22:30:27)(良:1票)
7.  最後の追跡 《ネタバレ》 
長びく不況の影響ですっかり活気を失ってしまったテキサスの田舎町。ある日、その地でちんけな連続銀行強盗が発生する。目出し帽を被った二人組の犯人は、地方銀行の小さな支店へ押し入ると束ねられていない紙幣のみを奪って逃走。そんな一見、無計画で荒々しい犯行を実行したのは、貧困に喘ぐ前科者の兄と家族を抱えた弟のハワード兄弟だった――。定年を間近に控えたテキサス・レンジャーの老捜査官マーカスは、すぐさま捜査に乗り出す。ネイティブ・アメリカンの相棒とともに地道な捜査を重ね、着実に犯人へと迫ってゆくマーカス。すると、一見無軌道にも見える彼らの犯行には、実は緻密に考え抜かれた計画が隠されていることに気付くのだった……。構造的な不況に喘ぐテキサスを舞台に、銀行強盗を繰り返す無法者兄弟と彼らを執念の捜査で追う老レンジャーの追跡劇を緊迫感溢れる展開で魅せるクライム・アクション。主演にはハリウッドのベテラン俳優ジェフ・ブリッジスと人気若手俳優クリス・パインやベン・フォスター。脚本は、『ボーダーライン』や『ウィンド・リバー』と言った社会性の強い犯罪劇で幾つもの賞に輝くテイラー・シェリダン。いかにも彼らしい考え抜かれた脚本の力が光るクライム・ドラマの逸品に仕上がっていましたね、これ。最初こそ、行き当たりばったりで犯行を重ね、金を得るとカジノへと走るというこの兄弟の破天荒ぶりを強調しておきながら、次第に彼らの緻密な計画が明らかとなる。それは、サブプライム・ローンで土地を奪われた貧困層の声にならない魂の叫び。相変わらずこの人は、経済発展から取り残されたアメリカの地方都市に生きる人々の怒りをその脚本執筆の原動力にしてますね。道端に幾つも掲げられた銀行の融資の看板と、そのそばの「イラクに三度も行ったのに見返りナシ!」と言う落書きが極めて象徴的。クライム・サスペンスとして一級の完成度を誇りながら、社会問題へもちゃんと深い洞察を見せるという高度な技を見事にやってのけている。主演のこの三人だけでなく、ちょい役で登場する食堂のウェイトレスやカジノの娼婦など誰も彼も血の通った人間として描き分けることにも成功しています。良い映画って、こういう細かいところにまで手を抜かない姿勢がやはり大事なんだと改めて思わされました。最後、追い詰められた兄弟がそれぞれ辿ることになる哀しい運命。兄は血を分けた唯一の兄弟のため、弟は愛する家族のため、それぞれの方法でただこの貧困の連鎖を断ち切ろうとしただけなのに…。いやはや、なんとも切なく深い余韻を残してくれました。アカデミー賞ノミネートも納得の非常に完成度の高い社会派サスペンスの秀作と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-02 21:10:21)
8.  ザ・ディスカバリー 《ネタバレ》 
近未来、ある一人の老科学者が発表した報告が世界に衝撃を与える。なんと、死後の世界の存在が科学的に証明されたというのだ。そのハーバー博士の報告によると、人間が死ぬと人の意識はまだ何処かは分からないが何らかの別世界へと移行するらしい。だが、彼の報告は、世界に新たなる危機をもたらすのだった――。人生に幻滅した人々が次々と自ら死を選ぶようになり、僅か数年で世界中の自殺者が400万人を突破してしまったのだ。世界中から殺到する非難の声を避けるように、人知れず行方をくらませるハーバー博士。小さな島の打ち捨てられた館を買い取った博士は、そこに多数の信奉者を集め、小さなカルト集団のようなものを結成する。信者たちの前で、生きる意味を語り続ける博士。そこに博士の息子である脳神経外科医と自殺願望を持つ若い女が新たにやってきて……。死後の世界が科学的に証明された未来社会、大量の自殺者が続発する中で生きる意味を問い続ける人々の葛藤を描いたSFスリラー。その特異な設定だけ聞いて、アイデア一発勝負のB級SFだと思って今回鑑賞してみました。いわゆる『フラットライナーズ』の大風呂敷版みたいな。ところが意外にもこれって、かなりスピリチュアル寄りのヒューマン・ドラマだったのですね。冒頭からひたすら続く、「死後の世界は本当にあるのか?」「人は何のために生きるのか?」と言う新興宗教の勧誘ビデオみたいな内容に、僕は終始あくびが止まりませんでした。登場人物たちも、やたらうじうじ悩んで自殺したがってる人たちばかりでもう暗いったらありゃしない!物語は結局、この博士たちが死後の世界がどんなものなのかを映像に収めようとするところがメインになるのですが、その死後の世界の映像も暗くて見辛いしセンスなんて欠片もありません。何ですか、あの脳波を測る機械のダサいフォルムは。最後の衝撃のオチだけは技ありでけっこう良かったのですが、いかんせんそこまでの流れが悪すぎます。それにこのオチなら、もっと観客の不安感を煽る巧い見せ方が出来たはず。アイデアは良かったのだろうけど、監督のセンスと実力が致命的なまでに不足しているせいで何とも残念な仕上がりになっちゃってます。名優ロバート・レッドフォードと人気若手女優ルーニー・マーラの豪華共演に+1点!
[インターネット(字幕)] 3点(2020-06-26 23:31:17)
9.  ザ・サイレンス 闇のハンター 《ネタバレ》 
それはある日突然、ペンシルバニアの地下洞窟から始まった――。いまだ人類が踏み入ったことのない地下世界を発見した探検隊は、暗い闇の中で〝それ〟と遭遇する。何百年もの間、太陽の光すら届かない暗黒世界で密かに蠢いていたその大量の生物は一気に洞窟を飛び出すと、瞬く間に世界を席巻してゆく。獰猛な性格と類稀なる狩人としての性質を併せもつその闇の生き物はベスプと名付けられる。長年の地下生活から視力を持たず、ただ高度に発達した聴力のみを頼りに、ただただ人類を殺戮してゆくベスプたち。彼らによって世界は破滅の危機へと陥ってしまうのだった――。家族と共にそれまで平和な世界に生きていた耳の不自由な女子高生アリーもまた、そんな世界的な災厄に巻き込まれることに。ちょっとした音を立てただけで呆気なく命を落としてゆく隣人たち。だが、手話という武器を頼りに、アリーたち一家は何とか逃げ延びることに成功する。ただひたすら音を立てずに危機を脱しようとするアリーたち一家だったが……。わずかな音を立てただけで瞬く間に襲い掛かってくる怪物に支配された世界を舞台に、決死の覚悟でサバイブするある家族を描いたモンスター・パニック・スリラー。という設定を聞いて、まず多くの人が頭に思い浮かべるのは、数年前にスマッシュヒットを飛ばした同じような設定のモンスター映画『クワ〇エット・プ〇イス』でしょう。音を立てたら襲ってくるというのも、主人公が耳の聞こえない少女と言うのも、家族が全編手話でコミュニケーションを取るというのも完全に丸被りです。いったいどちらが先なのかは分かりませんが、これは訴訟問題に発展してもおかしくないレベルでは?とはいえ、どちらも脚本に突っ込みどころ満載と言う点はおんなじなのですが(笑)。両作に共通するのは、やはりこの程度の原始的な生き物に果たして人類がここまで追い詰められるのかと言うところ。取り敢えずでっかい音を立てる機械を用意して、それで怪物を集めて爆弾なり火炎放射器なりで一網打尽にすればえーやんって言う、ね。あと、こういう設定勝負の出オチ映画って、その後、いかにうまくお話を引き延ばせるかにかかってくると思うのですが、本作はそこらへんがイマイチだと感じました。とにかくこの音を立ててはいけないという設定を巧く活かしきれていません。後半、急に謎の狂信的なカルト集団が出てきて、何故かこいつらとの攻防にシフトするというのもおかしい。肝心の怪物がいつの間にか添え物程度に押しやられちゃって、なんとも盛り上がりに欠けるまま最後までいっちゃいました。やはり最後は、主人公たち家族がこの怪物と戦って何らかの勝利を収めてもらわないとカタルシスを得られませんて!うーん、いろいろと残念な作品でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-25 02:09:47)
10.  ザ・ブック・オブ・ヘンリー 《ネタバレ》 
彼の名は、ヘンリー。今年で11歳になる一見普通の少年だ。シングルマザーの母親とまだ幼い弟との三人暮らし、隣に住む幼馴染の女の子クリスティーナが最近ちょっぴり気になっている。でも、彼はほんのちょっと人とは違うところが。それは、常人の枠を遥かに超えた高度な知能指数。そう、彼はギフテッドと呼ばれるいわゆる天才少年なのだ。この歳にして株の取引でかなりの貯蓄を蓄え、学校の成績はもはや大学院生クラス。そんな彼はある日、重大な事実に気付いてしまう。「クリスティーナが義理の父親から虐待を受けている!」――。いくら大人たちに訴えてみても、警察官である彼女の父はその度に巧みな方法で疑惑から逃れていた。居てもたってもいられなくなったヘンリーは、独自に問題解決への道を探り、それを一冊のノートに書き留めていくのだった。だが、そんな折、ヘンリーの身体に深刻な腫瘍が見つかり、彼は病院で緊急手術を受けることになってしまう。もはや事態は一刻の猶予もない。彼の計画を事細かに記した一冊の本を手に、母親が行動を起こすのだが……。天才少年が記した一冊の本を巡り、過酷な運命に翻弄されるある家族の葛藤を描いたヒューマン・サスペンス。ベテラン女優ナオミ・ワッツが主演し、『ジュラシック・ワールド』を撮ったコリン・トレヴォロウが監督を務めたという本作、これがなかなかの問題作でした。ここでぶっちゃけてネタバレすると、主人公であるヘンリーは物語の途中で病のため亡くなってしまいます。その後、物語はこの遺されたノートに書かれた彼の完全犯罪計画を実行に移す母親へと大きくシフトチェンジしてゆくことになります。そう、彼は隣人の警察官を密かに殺害する計画を立てていたのです。いくら虐待をしている父親であっても、これは完全に私刑で犯罪。なのにそんなことなど構わず、死んだ息子の計画を自ら実行しようとする母親。誰がみてもかなりダークで陰惨なお話なのに、これを何故かちょっと良い話のように描くところに凄く違和感。まるで難病ものの感動ファミリー・ドラマのように描いてゆくのです。僕はモヤモヤとした、なんとも居心地の悪い思いが最後まで拭い切れませんでした。いやいや、これって色んな意味で倫理的にアウトでしょう。それにヘンリーが亡くなるシーンも、物語が暗くならないようにだろうけど、かなりあっさりと流しちゃったのもどうかと思います。最後の無理やりなハッピー・エンドに至っては、あまりに薄っぺらすぎて思わず眉を顰めて観ている自分がいました。これではなんともすっきりしない後味の悪い映画だったと言わざるを得ません。ジェイコブ・トレンブレイ君の相変わらずの天才子役ぶりに+1点。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-06-08 16:01:35)
11.  ザ・テキサス・レンジャーズ(2019) 《ネタバレ》 
アメリカ犯罪史上にその名を残す、全米屈指の凶悪犯カップル、ボニー&クライド。銀行強盗や脱獄など稀に見る凶悪犯罪を次々と繰り返し、邪魔する者は容赦なく殺害した彼らの逃走に終止符を打ったのは、今や引退した元ベテラン刑事コンビだった。本作は、そんな通称・テキサスレンジャーズの知られざる活躍を実話を基に描いたクライム・ドラマだ。監督を務めるのは、実話を基にした幾多の作品群で確実に実績を残してきたジョン・リー・ハンコック。第一線から退き、もはやすっかり体力が衰えてしまったベテラン・コンビを演じるのは、こちらもベテランのケヴィン・コスナー&ウディ・ハレルソン。『俺たちに明日はない』など数々の映画や小説でお馴染みのボニー&クライドの逃走劇を、追跡する側から描いたというのはなかなか新しい視点だったんじゃないでしょうか。全米を股にかけて何年も逃走をつづけたボニー&クライドのドラマをほとんど描かず、しかも彼らの姿はほぼバックショットのみでその表情すら捉えなかったこの演出は正解だったと思います。なので、彼らを地道に追うこの主人公二人の方がどれだけ英雄と呼ぶにふさわしいかと言うこの作品のテーマがより明確に伝わってきました。彼らを演じるK・コスナーとW・ハレルソンもそのいぶし銀の渋さが光っております。特にここ最近のコスナーさんは良い感じに枯れてきて、なかなか格好いいジジイになってきましたね~。彼の「悪人は容赦なく殺してよし!」と言う自らの唯我独尊ぶりと、でもそうしなければこちらが殺されるからというジレンマに苦しむところもばっちり嵌まってました。厚かましいおばさん知事を厭味ったらしく演じたキャシー・ベイツも相変わらずいい仕事してます。ただ、肝心のお話の方は、若干パンチに欠けていたのも事実。あまりにもオーソドックス過ぎて、正直、僕は少し物足りなさも感じてしまいました。もうちょっとこの作品ならではと言う突出した部分が欲しかったですかね。最後、ボニー&クライドの葬儀に何万人ものファンが参列したという実際の映像には驚かされました。SNSなどない時代から、流されやすい世論と言うのはあったのですね。改めて自戒の念を抱いた次第です、はい。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-22 14:00:17)
12.  最初に父が殺された 《ネタバレ》 
クメール・ルージュ支配下のカンボジアで、家族とともに過酷な運命に翻弄されたある少女の姿を実話を基に描いた戦争ドラマ。監督を務めるのは、社会的弱者の立場に寄り添って作品を撮り続ける人気女優、アンジェリーナ・ジョリー。ボスニア紛争、太平洋戦争と歴史の闇にスポットライトを当ててきた彼女の三作目となる本作のテーマは、カンボジア内戦とその後のポルポト政権下における大量虐殺でした。確かに歴史の巨大なうねりの陰で犠牲とならざるを得なかった人々の、その魂の叫びに耳を澄まそうというスタンスには好感が持てるものの、今回も彼女の欠点が大いに目に付く作品でしたね、これ。起伏に乏しいストーリー展開と全く個性を感じられないキャラクターたち、そしてさして印象に残らない地味なシーンの数々…。いくら事実を基にしていてもこれは映画なので、表現者として最低限の演出は必要だと僕は思うのですが、彼女はもうそんなことはどうでもいいみたいですね。ただひたすら事実の再現に徹しております。でも、三作目の本作において、とうとうそんな欠点を補える魅力が出てきたように僕は感じました。それは、地雷と言う悪魔の兵器への強い憎しみ。後半、ベトナム軍侵攻によって追い立てられたカンボジア人民が次々と地雷に巻き込まれてゆく姿は非常に凄惨で、生々しいリアルさに満ちています。片足や両方の足を失い、地面で痛みに耐えることしか出来ない犠牲者をただ見つめ続ける主人公の少女。人間の愚かさは何処までも果てしがないことに、改めて戦慄させられます。このシーンには観る者の心を打たずにはいられない、非常に強い力に溢れておりました。このシーンに出会えただけでも、僕はこの作品を観て良かったと言えます。アンジー、次からはもっとこういう心に直接訴えてくるシーン以上に、ちゃんとストーリーにも力を注いでもらいたいですね。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-18 20:20:57)
13.  ザ・ランドロマット -パナマ文書流出- 《ネタバレ》 
社会を震撼させた、パナマ文書流出事件――。多くの政治家や大企業が違法すれすれの手法を駆使し、多額の納税を免れていたのだ。幾多のペーパーカンパニーを介した迂回融資や資金洗浄によって、巨万の富を貪っていた世界の金持ちたち。あろうことか、彼らの金の流れは中国の人権弾圧や汚職、事件を追及していたジャーナリスト殺害にまで繋がっていた。そしてそれは、アメリカの片田舎でセカンドライフを楽しんでいた老夫婦のささやかな幸せまで奪ってゆく……。実際にあったそんな経済事件を背景に、メリル・ストリープ&ゲイリー・オールドマン&アントニオ・バンデラスという豪華俳優陣を揃えて映画化したというそんな本作、監督がスティーブン・ソダーバーグと言うこともあり今回鑑賞してみました。なるほど、これは最近流行りのこっち系の映画だったのですね。いわゆる、「難しい経済問題を庶民の皆様にも分かりやすく解説みました」的な感じ。アカデミー賞を受賞した同じような経済ドラマに『マネーショート』がありましたが、正直、僕はこういう感じの映画は苦手です。登場人物がカメラ目線で観客に話しかけてくるという、ね。なんだか軽く馬鹿にされてるような感じがするのは僕だけなのかな?「すんませんねぇ、僕たち庶民は不勉強なもんで。でも、あんたらセレブに言われたくねー」なんて思ってしまった自分は卑屈すぎ?うーん、そんなわけで僕は全く嵌まれませんでした。4点!
[インターネット(字幕)] 4点(2020-05-04 21:31:34)
14.  ザ・スクエア 思いやりの聖域 《ネタバレ》 
「ザ・スクエア」は信頼と思いやりの聖域です。この中では、誰もが平等の権利と義務を持ちます――。伝統と格式を重んじる美術館でチーフ・キュレーターを務めるクリスティアンは、常に資金繰りと次々と起こる問題に奔走していた。そんなある日、彼は通勤中に掏摸に遭い、財布やスマホ、果ては祖父の形見であるカフスボタンまで盗まれてしまう。GPS機能を使い、犯人のアパートまで特定したクリスティアンは、ちょっとした思い付きから全ての部屋のポストに脅迫文を投函するのだった。「この泥棒め。僕の持ち物を返せ」と。だが、すぐに盗品が返ってくると思いきや、掏摸とは無関係の住民から面倒臭い事態が持ち上がる。そこに新たな展示作品「ザ・スクエア」の宣伝方法を巡り、世間から猛烈な批判を受ける羽目に。さらには、一夜だけの関係だと思っていた女性から責任を求められたり、破天荒な芸術家が過激なパフォーマンスを行ったりと、様々な問題が次から次へと持ち上がるのだった。果たしてクリスティアンは、無事に次の展覧会を開くことは出来るのか?上流階級に暮らすセレブたちの虚飾に塗れた生活をシニカルかつブラックに描いた、カンヌ映画祭パルムドール受賞作。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いかにもカンヌが好きそうな変な映画でしたね、これ。とにかく映画が終わるまでの二時間半の間、観客の神経を逆撫でするようないや~~~なエピソードをいちいち盛ってくるんですよ。それはもう徹底していて、例えばシーンの合間に必ず路上の物乞いの姿を入れ込んでみたり、トークショーでやたらと下ネタを連呼する神経症の客が居たり、セックスが終わった後に女性がひたすら使用済みのコンドームを欲しがったり、猿真似をする芸術家が暴走して暴力沙汰を起こしているのに誰もが面倒臭がって傍観していたり、極めつけは「ザ・スクエア」の宣伝のために物乞いの少女を爆破させたりと、もう細かなエピソードの一つ一つに至るまで極めて悪趣味で変態的。ここまで徹底していると逆に清々しく感じるくらいです。これらのシニカルなネタの数々を笑い飛ばすことが出来ればきっと楽しめるんでしょうけど、残念ながら僕は全然笑えませんでした。見れば見るほど不快感が高まってきて、最後の方は「もういいから早く終わってくれー」とかなりげんなり。特に暴走猿真似男と、大人に上から目線でぶちギレる子供には不快指数マックスに!ここまで徹頭徹尾人の神経を逆撫でできるのはある意味凄いと思うので、この監督きっと才能は有るんでしょうけど、僕はもういいです。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-12 22:31:02)
15.  サマー・オブ・84 《ネタバレ》 
連続殺人鬼も誰かの隣人だ――。1984年、6月。オレゴン州の小さな田舎町で暮らす15歳のデイビーは、何処にでも居るような平凡な男の子。仲の良いクラスメートとはくだらないエロ話で盛り上がってばかり、ジャーナリストの父との関係も普通、大した夢があるわけでもなく、憧れの幼馴染の女の子には声をかける勇気もない。そんな冴えない日々を過ごしていたある日、彼はとある重要な事実に気付いてしまうのだった。隣人で広い一軒家に一人暮らししている警察官。彼こそ、最近世間を騒がせている幼い少年ばかりを狙った連続殺人事件の真犯人なのではないか――。自分なりに観察すればするほど確信を深めていくデイビー。いてもたってもいられなくなった彼は、いつもつるんでいる仲間たちと本格的に調査を開始するのだった。果たして隣人は本当に連続殺人鬼なのか?デイビーたちの一生忘れられない夏が今、幕を開ける……。80年代を代表する数々の映画作品にオマージュを捧げた、そんなノスタルジックな雰囲気が横溢する青春スリラー。とまあ、ノリはもう完全に『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』で、他にも『グレムリン』や『E.T』などと言った有名映画への愛が溢れ出ている昔懐かしい雰囲気の作品でしたね、これ。主人公の仲間となる少年たちも、キザな不良、頭脳派の眼鏡、とろいおデブ、そして憧れの美少女と物凄くベタなんですけど、一周廻って逆に新鮮でした。それに全編を彩るテクノサウンドもホント懐かしい!肝心の隣人の警察官も最初は怪しさ爆発、でも中盤で実際は主人公の勘違いでしたと思わせといて、実は……、と言うのもベタながらアリ。警官宅に忍び込むシーンなど、不穏な音楽で「来るぞ、来るぞ」と観客の不安を煽っといて急に大きな音を出して驚かすという手法も懐かしい(若干腹立つけど!笑)。この古き良き80年代を懐かしむという点ではなかなか良かったと思います。ただちょっと残念だったのは、前半のストーリー展開が若干もたもたしてるうえにいまいち分かりづらいところかな。もう少し丁寧な演出を心掛けて欲しかったですね。そして、最後の驚きの展開は賛否が分かれるところ。でも僕はなんとなくスティーヴン・キングの『IT』っぽくてけっこう好きかも。ま、こういう作品なんで新しい部分は一切ありませんが、僕はぼちぼち楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-10 12:32:19)
16.  ザ・アウトロー(2018) 《ネタバレ》 
48分に1回、銀行強盗が発生するという大都市ロサンゼルス――。この危険な街を舞台に、破天荒な生き方で我が道を貫くアウトロー刑事と、常に冷静沈着な頭脳派犯罪者たちの息詰まるような攻防をスリリングに描いたクライム・アクション。犯罪者をどこまでも追い詰める刑事の腕は一級ながら、私生活は破綻している主人公を演じるのはまさに嵌まり役のジェラルド・バトラー。冒頭からいきなり始まる激しい銃撃戦に、「ああ、これはきっと頭空っぽにして観るべき、アクション重視のエンタメ映画なんだな」と思わせるものの、それも最初だけ。それ以降は、この正反対の二人の男の駆け引きがひりひりするような空気の中で描かれていて、これはこれで見応え充分でした。白昼堂々と決行される銀行強盗へと向け、徐々に双方の緊張感を煽ってゆく演出もお見事。特にクライマックス、連邦銀行の中枢部で展開される緊迫感に満ちたやり取りには普通に手に汗握っちゃいました。と、なかなか面白かったのですが、いかんせんストーリーがこのジャンルの名作『ヒート』とあまりにも似すぎているのが本作の評価の分かれるところ。法を守るべき情熱的な刑事が離婚寸前で愛する家族と破綻状態、反対に犯罪者の方が仲間とともに落ち着いた生活を送っているという設定もまんまだし、突発的に始まる白昼の銃撃戦もかなり影響受けちゃってます。オリジナルなのは最後に実は影の黒幕がいたみたいなとこですが、これもちょっと分かりづらくて僕はいまいち納得できませんでした。それに脚本の細部に「?」なところがあるのもマイナスポイント。普通に面白かったですけど、この作品ならではと言うオリジナリティがもう少し欲しかったですね。
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-10 22:10:43)
17.  search サーチ 《ネタバレ》 
娘の身にいったい何が起こったのか――。最愛の妻をガンで亡くし、年頃の一人娘とともに父一人子一人の生活を送っているデビッド。だが、ある日突然、その遺された一人娘が失踪してしまうのだった。理由は皆目分からない。当然納得いかないデビッドは、警察の捜査とは別に独自の調査を開始する。娘のPCに残された情報やSNS、ネット上に拡がる様々な情報を駆使し、なんとしても娘の消息を探ろうとするデビッド。浮かび上がってきたのは、自分の知らなかった娘の隠された真実の姿だった……。失踪してしまった娘の消息を追う父親の執念の捜査を、PCの画面上の映像だけで展開させるという独自の手法で描いたサスペンス・ミステリー。この制約を巧く活かし、最後まで緊張感を途切れさせることなく魅せきった監督の手腕は大したものだと思います。絵的に単調になりそうだけど、クローズアップや画面の切り替えをタイミングよく使うことで物語にいいリズム感を与えているので最後まで飽きることなく観ることが出来ました。インターネットが発達し、生活の大半をネット上で完結させることが出来る現代社会の光と闇を風刺するその視線の鋭さもなかなかいい。ただ、そこまで面白かったかと問われたら、正直自分的にはちょっと微妙。やはりPCの画面上の二次元世界だけでしか物語が展開されないので、僕的には世界に奥行きが感じられず少し物足りなく感じてしまいました。でもまあそこらへんは好みの問題でしょうね。今までにない新しいタイプの作品なので、嵌まるかどうかはその人次第。興味のある方は是非ご覧になって自らの感性で判断しちゃってください。
[DVD(字幕)] 6点(2019-10-01 23:07:17)(良:1票)
18.  ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間 《ネタバレ》 
大嵐が近づき、大混乱へと陥っているアメリカの大空港。軒並み定期便が欠航してゆく中、明日の結婚式にどうしても出席したいアレックスは、ジャーナリストとしてのコネをフル活用し、小さなセスナ機をチャーターすることに成功する。あとの問題は資金面。彼女は偶然、同じようにどうしても今日中にデンバーへと帰りたいというベンという名の医師に出会う。神経外科医である彼は明日、12歳の子供の手術の予定が控えているのだ。費用を折半し、小さなセスナ機に乗り込んだ二人は、急いで目的地へと向け離陸してもらう。だが、その途中で操縦士が脳梗塞を起こし、セスナ機は呆気なく雪山へと墜落してしまうのだった――。生き残ったのはまだ出会って数時間しか経っていないそんな男女二人と、一匹の犬のみ。無線は壊れ、携帯も圏外。しかも彼らが飛行機に乗り込んだことは誰にも知らせておらず、救助が駆け付けてくる可能性は皆無に等しい。見渡す限りの雪山が続くこの絶望的な状況の中で、それでも彼らは一歩ずつ歩き始めるのだった。生きる希望を失わないために…。そんな過酷な大自然へと突然放り出される男女を演じるのは、ベテランのケイト・ウィンスレットとイドリス・エルバ。映画の大半はほぼこの二人だけで進んでいくのですが、この演技派二人のキャスティングは大成功でしたね。過酷な状況にどんどんと追い詰められてゆく二人を説得力抜群に演じていて、もう観ていて息が詰まるほどでした。野生の肉食動物や猛吹雪など、襲い来る自然の驚異はベタですけどやはり手に汗握っちゃいますね。そんな中、二人と行動を共にする耳垂れ犬がとても健気で、この重い物語のいいアクセントとなっています。ただ、ストーリーは良くも悪くも非常にシンプル。もうタイトルそのままのど直球の内容なので、最後まで新鮮味といったものはほとんどありませんが、それでも丁寧な演出のおかげで僕は最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。最初は反発し合っていた二人が幾多の困難を乗り越えていく中で次第に心を許してゆき、婚約者がいるにも関わらず…というのはオーソドックスながらなかなか切なかったですね。どこまでも続く雪山の映像もほれぼれするほどキレイで見応え充分。最後、二人が助かってからの展開がかなり蛇足感が強く、特にラストシーンがメロドラマに寄り過ぎなのが僕的にちょっと不満でしたが、それでも充分見応えのあるサバイバルドラマの佳品でした。うん、お薦めです。
[DVD(字幕)] 7点(2019-09-24 21:42:53)
19.  ザ・インターセクションズ 《ネタバレ》 
財産目当ての義父の策略により、実の母親を昏睡状態へとさせられてしまった青年ハーパー。ある夜、酒場で酔い潰れて管を巻いていた彼に、チンピラ風の若い男が声を掛けてくる。「2万ドル払えば、俺がその男の始末をつけてやってもいいぜ」。次の日、これまたヤバそうな見た目のストリッパーとともにやって来た男は、ハーパーにどうするか選択を迫るのだった。これからベガスへ行きその義父を殺っちまうか、それともこのまま何もせずに家でこれまで通りの人生をやり過ごすか――。物語はそこから各々の選択をしたハーパーのドラマが同時進行で並行して描かれてゆく。果たしてどちらの選択をした方が正しかったのか?だが、そんな二人のハーパーの物語は、終盤に明かされる驚きの仕掛けにより一つに収斂されてゆくのだった…。まあアイデア勝負のそんな低予算クライム・サスペンスなのですが、これが正直微妙な出来でした。車でチンピラ・カップルとともにベガスへと向かった彼と、家で義父をベガスへと見送ろうとする彼の物語が、時に画面二分割で交互に描かれるのですが、これがいまいち効果的に使われていないんですよね。どちらの物語も、終始ちんたらしてて一向に面白くならないんですよ、これが。後半、明らかになるその仕掛けの真相も「おー、なるほど。そういうことか!!」という驚きよりも、「なんやねん、それだけのことかーい!」という肩透かし感の方が強かったです。真相が分かってみれば、このいまいち面白くない物語がますます面白くない物語へと変貌するというトホホぶり(笑)。完全にアイデア倒れの凡作でありました。この監督の前作『トライアングル』がなかなか面白かっただけに、残念!!
[DVD(字幕)] 4点(2019-09-10 01:20:12)
20.  サバービコン 仮面を被った街 《ネタバレ》 
ようこそ、心躍る町サバービコンへ――。そこは、アメリカ郊外にある典型的な中産階級の町だ。誰もが同じような家に住み、誰もが同じような生活レベルを維持し、誰もが同じような宗教を信じ、そして誰もが白人だ。そんな平和だが閉鎖的な町にある日、黒人の家族が越してくることに。白人たちの小さなざわめきは瞬く間に町の隅々にまで拡がり、芽生えた悪意はやがて剥き出しの憎悪となって人々の生活を侵食してゆく。そんな折、その黒人家族の隣に住むロッジ家に、二人組の泥棒が入る。一家の大黒柱であるガードナー、一人息子のニッキーと事故で下半身が不自由となった妻、そんな平凡なロッジ家の生活はその日を境に一変してしまうのだった。妻は殺され、犯人は逃亡、遺された家族も心に深い傷を負ってしまった。どこにであるような平凡な悲劇。だが、息子のニッキーだけは気付いてしまう。自分の父親が重大な嘘を吐いていることに…。果たして事件の真相とは?小さな町で起こった平凡な強盗殺人事件、その背後に隠された秘密を巡り、どんどんと追い詰められてゆく一家族の騒動をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督はハリウッドの人気俳優ジョージ・クルーニー、脚本はこれまたハリウッドを代表する実力派のコーエン兄弟。主演には、マッド・デイモンをはじめ、一流どころが名を連ねております。この布陣が示す通り、抜群の安定度が光るクライム・ドラマの佳品に仕上がっていましたね、これ。社会の不条理を子供の目で風刺する、コーエン兄弟のその目線の鋭さは相変わらず健在。悪意の連鎖がどんどんと拡がり、やがて破滅が破滅を呼ぶさまは観ていて心苦しくもあるのですが、誰もが心に持っているだろう残酷さを良い感じで刺激してくるので、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。特に、邪魔になった保険調査員を殺してしまい、その死体を車で遠くへと捨ててきたマッド・デイモンが血だらけのまま、チャリンコでふらふらと帰るとこは思わず笑っちゃいました。子供が隠れたベッドの上で、犯人と助けに来た伯父さんが揉み合いになるシーンはサスペンスフルで大変いい(蛇の扱い方が巧い!)。人種差別の扱いが本筋といまいち絡まずちょっと中途半端なところは残念でしたが、総じて僕は満足でした。うん、けっこう面白かったです。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2019-08-30 06:34:14)
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