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コメント数 542
性別 男性

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1.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
何度もこの映画を観ていると、色々なシーンでの監督の計算高さに感服させられます。最も凄いのは、オープニングクレジットのシーン。傘の配置(動かし方)が実に綿密に計算されていて、文字が出ていないところを、そのスペースを埋めるように傘が通っているのです。見事! そして、この映画で背景が効果的に用いられている点を主張したい。というのは、序盤でドヌーヴが店から出てきて二人で抱き合うシーンでは、白地の模様入りの壁が背景になっているのですが、ギイが兵役を終えて帰還した時と、修理工場を辞めてからもう一度彼女の店に行く時にも、序盤で二人が抱き合うシーンのその白地の壁がそのまま出てくるわけなのですよ。つまりここで、序盤での幸せだった頃との対比をこのわずか1,2秒のシーンでさり気なく表現していると思うのですが、このようなちょっと気を抜くと見過ごしてしまいそうなくらいの些細な演出が私は大好きなのです。 ここまで計算されていると、あの街並みは実はロケではなくわざわざセットを作って行われたのではないかという疑念まで湧いてきてしまいそうです。 ストーリーの方が、これがまたこの映画のさり気ない演出に負けないくらいにナチュラルに仕上がっているので気づかずに素通りしてしまいそうですが、身篭った娘の母親の心情なんか、初めて娘の妊娠を打ち明けられた時はカンカンに怒っていたのがお腹が大きくなるにつれて娘に対して少しずつやさしくなっていき、しまいには子供の服まで買ってきてしまったりする心理描写は妊婦の娘をもった母の心情をとてもうまく描いていると思います。鋭い人間観察ができる人でないとこのようには描けないでしょう。だんだんと手紙の様子が変わっていって、最後の方になると質問に答えなくなったとか、違う話題に話をそらせたりするのも、本当にありそうで怖いですし、また、「誰の責任とは言わないが困っている」や、「それが、申し上げました通り・・・」なんて、本当に実際に聞いたことがあるような日常で普通に交わされるナチュラルな台詞ですよね。 それと、ラストの場面の会話をよく見てみると、今は「自分の店と幸せな家庭」という守りつづけていくものがある、というギイの確固たる決意が垣間見れたのに対し、ジュヌヴィエーヴの方はわずかながら寂しげな気持ちがあるように見えました。この二人の心理描写もまたナチュラル(自然な感じ)です。
[地上波(字幕)] 10点(2005-01-16 20:08:38)(良:3票)
2.  白い馬(1952) 《ネタバレ》 
オープニングクレジットの背後に映る野生の馬の群れ。全てのスタッフの紹介が終わると、いそいそと野に散っていく。なんか、馬を操っているみたいな感じで、不思議な感じがした(もちろん編集ですが)。 自分がこの映画が好きなのは、馬の精悍な出で立ちはもちろんですが、それを引き立てる自然の無表情な美しさ・・・水面の静けさであったり、荒野の乾いた感じ、生い茂った草むらのざわめきや、海の容赦ない荒々しさ・・・などです。 特に、馬が干潟を駆け抜けるシーンが最高に好き。馬が走るのに丁度いい具合に水が浸っていて、水しぶきを上げながら走り抜けるシーンに妙に感動してしまいました。 この白い馬は、少年になついてじゃれあったりして可愛い面を見せるわけでもなく、どんなときも、怪我をした脚を見てもらう時も、群れのリーダーらしく孤高な姿でいるのがとても良かったと思います。 最後、どこまで走って行ってしまうのだろうか、きっと追っ手を振り切ってくれるだろうと思い見ていたら、とても切ないラストを迎えてしまう。 動物は演技なんか出来ないから、余計に心に響くものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2008-11-03 15:18:32)(良:1票)
3.  知られぬ人
兎にも角にもロン・チェイニー扮するアロンゾの迫力。これに尽きます。劇場の舞台で再会したときの“あの表情”はもう鳥肌モノ!圧巻です。これだけでもこの映画を観る価値あります。 そして、ラストのショーもこれがまた凄い。これはもう、実際に見た人しかわかりませんが、ハッキリ言ってこんなスリリングなシーンそう滅多にお目にかかれません。 間違えて日本語字幕なしver.を観に行ってしまったのですが、そこはサイレント映画。言葉のハンデもなんのその。言葉は伝わらなくとも映像だけで十二分にその緊迫感を味わえる!これこそサイレント映画の真骨頂!ストーリーを完全に把握しないままレビューするのは反則気味ですが、これは書かずにはいられない!終始ロン・チェイニーに圧倒されっぱなしの65分。必見!!!
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2005-09-26 23:46:08)
4.  処女の泉 《ネタバレ》 
火に息を吹きかけて天窓を開けるオープニング。 火が強まり陽が差し込むことで画面の中がふわっと明るくなる。 オープニングをこの微妙な光加減で描いてみせたところに、画面作りに対する繊細さがうかがい知れ、そして一つの物語がここから始まるのだという象徴的なこのファーストショットに、自分の中に存在する何かが呼び起されたような気持になりました。 教会への道中、山羊使いの男たちに呼び止められ、食事を分け与えてから自身に危機が迫っている事に感づくまでの、じわりじわりと恐怖が少しずつ滲み出てくるような描写が実に良いです。完璧。 更に、少女を身ぐるみ剥いだその3人組がやって来たのがその子の家となれば、そこに生まれるサスペンス感たるや、もはや尋常ではない。 いつ、どのタイミングで少女の服が出てくるのかを想像すると、食卓を囲む何気ないシーンが緊迫感を帯び、ただならぬ雰囲気で満ち溢れてきます。 夜中に目を覚ました少女の母親が彼らの所に行ってみると、男は少女の服を差し出し高く買い取れと言う。この時の母親の不気味なまでの静けさはどうだろう。怒りに震えることすらもない異常なまでの静けさに身の毛が弥立つ思いがしました。 そして、父が身を清めるシーンのおぞましさ。その対極的ともいえる一本の木の詩的なショットを挟むセンスといい、もはや全てのショットが皆強烈なインパクトを放ち、目を釘付けにされてしまいます。 最後、少女の亡骸を起こした所から水が湧き出でる。 泉の出現という奇跡で終わりを迎えるこの物語は、神話とか聖書の中の一節を描いたようなとても不思議な映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-19 01:10:48)(良:1票)
5.  獣人 《ネタバレ》 
オープニングの蒸気機関車を操縦する2人の阿吽の呼吸を見せるシーンから早くも傑作の予感がしてきます。 古今東西、現代の日本にいたっても新幹線を舞台に推理小説が書かれるほど、電車というのはサスペンスの香りが漂うもの。トンネルの黒と蒸気機関車の黒。機関車の重厚感、威圧感にはただただ圧倒されます。 さて、映画序盤、助役ルボーが砂糖王の倅に対し職務を忠実にこなしているシーンが出てくる。この一幕で彼の生真面目な人間性が描かれているのがわかるのですが、妻セヴリーヌとのふとした会話がきっかけで、その人間性が一変。彼は殺人鬼となり、妻に対しても乱暴を振るうようになってしまう。 自分の愛する妻の過去を知ったルボーは殺人行為に及びますが、これは妻のためにと思っての殺人ではなく、ルボー自身の怒りに因るところが大きい。その結果、夫婦仲は険悪なものになってしまう。 その一方、ギャバン扮するジャックも、夜の停車場で待ち伏せ殺人を試みるシーンが出てきますが、こちらはあと一歩のところで思い留まってしまう。これは、ジャック自身がルボーに対しての憎しみやいなくなってほしいといった気持ちに因るものではなく、彼女のためを思っての行為である。 殺意の動機が自分自身の憎しみか、はたまた愛する人のためかで、その後の状況が変わってくるところが面白い。 もっとも、ジャックの方は発作が起きてしまって、それがまた新たな悲劇をもたらしてしまいましたが。 物語が重くて、非常に深い。いかにも古典的で今の時代には合わないような映画かもしれませんが、自分はこういうの好きです。 余談ですが、ルボー殺人の容疑をかけられ取り調べを受ける男はこの映画の監督ジャン・ルノワールですが、演技の上手さもさることながら、自虐的なキャスティングが大変面白く、妙に唸らされてしまいました。
[映画館(字幕)] 8点(2008-02-17 00:56:32)
6.  女性上位時代 《ネタバレ》 
冒頭の夫の告別式、悲しみなど全くないというモノローグに退屈余ってヒールを脱ぎ捨ててしまうカトリーヌ・スパーク扮するミミ。 このシーンでこれは緩~く観られる映画なんだなと、最初から肩の力を抜いて観ることができました。 カトリーヌ・スパークは、冒頭の喪服姿から始まり、テニスウェアや部屋着やパーディードレスなど衣装だけでなく髪型も七変化かそれ以上のバリエーションで出てきてくれて、ストーリーは二の次でそれを楽しむという見方もありだと思います。 序盤、亡夫の所有していたマンションの一室に行ってみると、出てきたのは亡夫の変態プレイの映像の数々(まぁ、プレイ内容はともかくとして、それを第三者に撮らせていたというのが個人的にはメチャクチャ面白かった)。 それはさておき、部屋に入ったミミを捉えるカメラワークの秀逸さはどうだろう。 特に全面鏡張りの寝室での計算し尽くされたカメラの配置や動き、照明の的確さやカットを入れるタイミングなど、素晴らしく良い仕事をしていると感じられました。 劇中では色々とアブノーマルな性癖が出てくる中、性を「勉強」していったミミが目覚めたのが、おんぶと馬乗りという可愛らしさ。 最後はほのぼのとしたエンディングで良かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2021-06-25 00:54:03)
7.  新・ガンヒルの決斗 《ネタバレ》 
上映時間95分ほどのちょっとした小品のような作品。 出所した主演グレゴリーペックも薬莢を銃から外し、見張り役の方にも殺すなとの指令が出る。 おまけに、序盤から可愛い女の子が旅の相方となれば、本気の西部劇とは一線を画すような予感満載で物語が進んでいきます。 グレゴリーペックとしても裏切られた仲間に復讐することもないままで、また、女の子も新たな居場所を見つけられないままでエンディングを迎えてしまう。 観た人によっては消化不良が残るかもしれませんが、これは(お蔵入りした)何かの映画の外伝やスピンオフ作品として作られたような印象です(邦題もまさにそんな感じ)。 アメリカ西部の大自然の中で野生の馬を狩るペックも良かったし、夜のシーンの光の当て方なども的確で、更に終盤の対決シーンも見応えがあって、小品ながらも細部に至るまで抜かりなく撮られた佳作と言えると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-28 15:42:30)
8.  死の銀嶺 《ネタバレ》 
山が舞台となるだけあって、雪崩だ滑落だといったピンチとなる場面が勿論出てくるのですが、そういった境遇におけるスリルを描くのは本作ではあくまで二の次という印象で、それよりも、クラフト博士ら三人組と学生パーティーたちの登攀する様を時間を割いて丹念に描いていたところが特に自分にとっての好きなポイントです。 また、彼らの登攀シーンもさることながら、救助隊が松明を掲げて夜の雪山を歩くシーンや、崖の隙間に落ちた登山者を救出する場面での松明に照らされる氷柱の艶やかさなど、映像に関して言えば単純に山全体をカメラに収めただけという一般的な山岳美だけに留まる事のない熱意のようなものを感じました。 それと、公開当時には目を引いたであろう空撮ですが、あれだけ何度も旋回していたにもかかわらずその時の映像が一度も出なかったのがちょっと疑問なところですが、序盤で空からシャンパンをプレゼントするというシーンが伏線のように機能していたり、また、最後にクラフト博士が遺書を残して山に残るというラストもしんみりと心打たれるものがあり、良かったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-29 23:54:37)
9.  自転車泥棒 《ネタバレ》 
街の廃れた感じ、質屋のシーツのストックから、この時代がいかに貧しかったのかがわかります。 冒頭で職安の係員が主人公の名前を呼んだときに後ろの方で地べたに座っている主人公を捉えるショットがありますが、その背後に映っている更地の何と多いこと。わずかに建っている建物も相当古い感じで、戦後間もない時代を思わせますし、また自転車一台買うにも身を削らないと買えないという貧困ぶり。しかも、質屋の倉庫に山積みになっているシーツを見るに、このような経済事情の人は主人公一人ではないことも見て取れるでしょう。 自分が好きなのは、教会で大勢の人が祈りを捧げるシーンだとか、子供と一緒に食事をするシーンなんですが、ここはイタリアの日常が出ていて結構好きなシーンです。 最後に主人公が自暴自棄になって自転車を盗んでしまい逃げるシーンは、必死になって逃げる自転車のスピード感やそれを捕まえようと追いかけ回す人々の多さからくる臨場感がとてもスリリングなシーンになっていて、それまでの市井の人たちを描いていたゆったり感とのギャップもあって、非常に見応えのあるシーンで良かったと思いました。 また、イタリア人って「うちの息子はローマで一番の働き者」とか「うちのママのパスタは世界一」とか言ったりして、母子愛がかなり強い国民性らしいのですが、そんなシーンもちゃんと出ていたりして、いろいろと面白かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-28 14:58:29)
10.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
サスペンスとは何かと問われれば、かなり私見で広義ですが、“劇中の人物が知らない真相を、観る側の人間がそれを把握している場合に起きている出来事”のことだと勝手に思っているのですが、この映画の凄いところはそのサスペンスの斬新さにあります。 ストーリー上では3つの場面がクロスカッティングによって同時進行し、更にこの3つの場面全てにサスペンスが成立してしまっているというとんでもない展開。 まず、ジュリアンは車が盗まれてしまいその先々で起こる事件によりドイツ人夫妻の殺害犯に知らぬ間に仕立て上げられてしまい、またカララ夫人はジュリアンがエレベーターに閉じ込められているという真相を知らず、そして若者たちは社長殺害犯の車に乗っているという事実を知らないまま車を走らせるという、まさかのトリプルサスペンス! ただ、この斬新なシナリオは評価できますが、細かな部分に粗が多すぎるのが玉にキズ。 冒頭の社長殺害のシーンは直接的な描写でなくて好きなのですが、鉛筆削りの音で銃声をかき消すように撮りたいのか、はたまた鉛筆を削り終わった後の数秒の間で銃声が響いてしまい失敗に終わるのかが一瞬わからず、映像が社長室に移行する時に初めて殺害が成功したのだとわかるのがちょっと完璧ではないし、また、エレベーターに閉じ込められていた時に鉤付きのロープの映像が一度も出てこなかったのも演出力のなさを感じます。ここはジュリアンがロープを取るためにに戻ったのだから、ジュリアンがエレベーターの中でもがいているシーンの途中でベランダに残ったままのロープのカットを最低1回は挟むのが常識でしょう。 それと決定的にダメなのが、カメラをストーリーの中に出してしまうところ。 犯罪映画において、カメラが証拠品になることなんか誰にとっても当たり前過ぎる事であって、しかも「3枚残ってる」とわざわざ不倫現場が写っている事を暗に教えてくれてしまっているのは、ここで伏線張りましたと言ってしまっているようで、何だか悲しくなってしまいました。 最初に述べたトリプルサスペンスのアイディアは見事でしたが、この映画を撮った頃のルイ・マルは演出においての力量にやや欠けていた感があったような気がします。  ところで、若き頃のブリアリがチェスをやってたりおかしな証言をしてたりして、妙に存在感出てましたね。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-30 23:06:08)(良:2票)
11.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
非常によく出来た映画という印象。 あちこちに転がっている伏線については他のレビュワーの方々が解説して下さっているのでカットさせて頂いて、自分が特に興味を持ったのが、要所要所の省略、詰まるところ、登場人物に真相を語らせなかったり、核心となる状況を敢えて画面に出さないその巧みなボカし方でしょう。 例えば、最初の殺害現場のシーンをハッキリと画面上に出さないのは勿論、前半はアンディに冤罪の事を一切語らせないままストーリーが進行するのですが、これは、序盤の時点で観る側にアンディ=犯罪者と思わせておき、観る側の感情移入を拒絶した矢先に、映画中盤、トミーの証言で真犯人の存在を提示する。それまでは犯罪者に共感できるはずもなく客観視する程度でしかなかったアンディの方に少しずつ同情を誘い、終いには脱獄をも成功させることで序盤とは一転、ガッチリと観客の心を掴みます。 ストーリー序盤から冤罪を主張させたり本当の殺害状況を画面に出したりしてもストーリーは繋がりはしますが、あえてそれをしなかったことでストーリーの前後半で全く異なるアンディ像を観客に抱かせ、ストーリーをより面白くメリハリのあるものにしています。 また、ロックハンマーの使途をレッドに聞かれた時も上手くはぐらかし、穴を掘っていたら服とか顔とか部屋が砂と泥まみれになるはずのところを、あえてストーリーに組み込まず、そういう画面を一切省いている。それよりも、アンディの部屋が一番奥だということを最後の点呼の時までずっと明かさない周到さ!極めつけとも言えるこの省略テクに完全にやられました。 最後、下水管を這って脱出するシーンが出てきましたが、その後に雨のシャワーを両手に受けるところに爽快感のようなものを感じる方が多かったようですが、自分としては川の水で汚水をシッカリ洗い流しておいて欲しかったなぁと。ここはお得意の省略技は用いずに、ちゃんと頭からザブンと洗い流した方がいいんじゃないッスかね?
[映画館(字幕)] 7点(2010-02-11 02:31:51)
12.  終電車
自分が今まで観てきたトリュフォー作品の中で最もトリュフォーらしくない映画。どことなく、ハリウッドの影響を受けたかのような内容で、かなり驚かされます。トリュフォー映画にドヌーヴが出て、パリの風景が映し出されていても全然フランス映画の匂いがしない・・・。翌年の「隣の女」は、あれだけトリュフォーらしさが出てるのに一体何故?? 嫌いリドリーさんのレビューにもありますように、もしこれがトリュフォー作品でなければ点数が下がるだろう、というのは全くもってその通りであると思う反面、この映画をトリュフォーに撮ってほしくなかったという感もあるので“トリュフォー”を期待した分の落胆があり、だからこそ逆に点数を下げたくなる気持ちも出てきてしまいます。 ストーリーは面白いと思うのですが、やっぱり、社会情勢を織り交ぜたのがこのように感じる原因になったのでしょうか。映画の最後の方になって時代が逆行したり、ナレーションで状況を説明していたのはちょっと急ぎ足な感じでマイナスポイントですが、ラストの締め方は面白いと思います。けど、あの終わり方はヒッチコックのあの映画のパクりですな。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-27 22:31:39)
13.  幸福(1964) 《ネタバレ》 
はっきり言って、この映画は映像だけを追っていても内容が理解できてしまうような気がする。勿論、最初から最後まで、会話も含めて全て観たが、心情を深く語る場面以外では視覚的な解釈だけでストーリーのほとんどが理解できる映画だと思う。ある意味、映画の到達点的な作品。 また、カッティングにおいても非常に斬新で、車が遮ったところでのカッティング、二人の身体のあらゆるタイプのショットを組み合わせたベッドシーン、フランソワがエミリーの部屋に行って出会った瞬間の交互の連続カット、ワンシーンが終わるごとにフィルムの色調を変えたりなど、意味がないようにも見えるが実験的で面白い。 ストーリーの方は、夫の浮気に焦点を置いたストーリーなのだが、映像や音楽の美しさも手伝って、ごくあっさりとした雰囲気で進行していく。しかし、フランソワが浮気するのを当たり前のように淡々と映していた映像も、真相を告白するシーン辺りから一気にサスペンス色を帯びてくる。 一見すると、この浮気な夫を非難しそうになるのだが、テレーズが亡くなってからエミリーと一緒に暮らすようになるまでの過程がしっかりと描かれているため、この監督は夫の一連の行為を容認しているような印象を受けた。 この映画の監督が女性であることを考えると、フランソワ一家の背中を暖かく見守ってあげなきゃ、という気になってくる。男の監督だったら、男の浮気を容認しろと言ってるように見えるケド(^_^)
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-02 16:53:24)
14.  獅子座 《ネタバレ》 
何か、タイトルから(獅子座どうしの)美男美女の淡いラブストーリーをイメージしていたのですが、全然違う話で、いきなり胸毛ワンサカなオヤジが出てきたのでビックリしました。 最初、パーティーのシーン辺りで眠くなってきてしまったのですが、遺産が手に入らなくなってパリを徘徊する辺りから一気に目が覚めてきてストーリーにグイグイ引き込まれていきました。あの徘徊シーンは主人公の台詞もほとんどなく、ハッとするような出来事もこれといってないにもかかわらず、何故か強烈な印象を受けます。“執拗なまでに”ピエールの動きを追って、という感じではなく“ただ淡々と”もしくは“黙々と”見つめるとか、見守るといった感じに見えます。 ラストも、ピエールの豪遊しているところを出してハッピーエンドを迎えるといった安っぽいことはせず、遠目で控えめに見て、これからのピエールをちょっと心配してしまうような目つきでピエールのことを映していたように思えました。
[映画館(字幕)] 7点(2006-12-14 22:32:57)
15.  しのび逢い(1954) 《ネタバレ》 
ストーリー前半までは、いつものジェラール・フィリップだなぁ~(笑)などと、楽しめたのですが、よく観てみるとただ淡々と回想をたどるだけのストーリーなので、ちょっと退屈してしまいます。他に出てきた女性達よりもパトリシアが一番綺麗だったのに、登場回数が少なかったのがやや不満。最後、車椅子に乗っているジェラール・フィリップは頭までやられちゃったのでしょうか?それでもなお、女性を目で追っているところが何とも哀れでした。
[映画館(字幕)] 7点(2006-06-10 18:28:25)
16.  十二人の怒れる男(1957)
この映画を見た後に思い出したのが、何故か「サイコ(60)」のマーティン・バルサム演じる私立探偵アーボガストの「我々の仕事は、世間で評判の善人を疑うこと。」というセリフ。この作品にも通じるところがあるなぁと余計なことを考えてしまいました。 それはこの映画で、誰が見ても明らかに有罪であるというこの事件を疑うことから出発した第8陪審員ヘンリー・フォンダの勇気ある態度からこのセリフを思い出すに至りました(笑)。そのマーティン・バルサムはこういう役(議長役)がすごく合ってると思う。「サイコ」の私立探偵役も良かったがこの作品でも見られるまじめな態度が好印象だった。 さて、肝腎のこのストーリーもなかなかのもの。すべての議論にこじつけがましい点も矛盾点も一切なく、見る側の人間のほとんどが完全に論破されたに違いない。やはり多くの方が仰る通り、それは脚本が優れているからなのだと思う。また、登場人物の一人一人においてもうまく個性が出されており、これもまた優れた脚本によるものである。 ひとつ不可解な点があるのだが、後半部分でエド・ベグリー演じる第10陪審員が議論を展開しているときにみんながそっぽを向いてしまったところがどうしても理解できない。リー・J・コッブだって有罪派のはずなのになんであのような態度をとったんだろうか。議長までもが無視してたのは過剰な演出では?それと、後ろに流れる音楽もいまいちだと思う。もっと重厚な音楽を使うべき。ラストシーンには合っているかもしれないが、2回目の投票のときにあの曲が流れたときは、ちょっとシラけた。 ヘンリー・フォンダは、自分は先に「未知への飛行」を先に見てしまったため、この映画でのヘンリーはこれ以降の作品よりも若いためか貫禄がなく、この映画の衣装も庶民的だったため今ひとつの印象を受けた。ヘンリー・フォンダのファンは「未知への飛行」を見るべし。
7点(2004-09-06 19:19:07)
17.  少林サッカー 《ネタバレ》 
日韓ワールドカップの時に上映してたから、ワールドカップのブームにあやかろうとする魂胆がいやらしくて好きになれず、食わず嫌いのままでいたけど、意外におもしろい。完全なおバカ映画ではないところがよかった。ところどころに考えさせられる場面とかあったし、恋愛シーンも悪くないと思う。ゴールキーパー役の“魔の手”がかっこよかった。 ただ、気になるのが、CGの荒さがすご~く目に付いた。だってあれ、ボールがちゃんと足に当ってないでしょ。主人公が壁に向かって1人で練習してるシーンも、真っ直ぐ足の甲にヒットしてないのに真っ直ぐボールが飛んでいくのはかなり違和感があって気になってしまった。 あと、最後のオチ(オチと言えるかわからんが)で、「ボーリング大会2連勝!」っていうのが意味分からん。あれって笑うとこなの?
7点(2004-06-02 23:46:25)
18.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
冒頭から、窓から見えるお城がミニチュアなのがバレバレで、あぁダメだこの映画と一瞬思ったのですが、ストーリーが誰が観ても明らかな作り話とわかるので、あれでいいんだなと思い直してからは、徐々に入り込んで観ることが出来ました。 ストーリーは、異形の主人公エドワードが一般社会に馴染めずに元の世界に戻ってしまうという話ですが、深く考えずにぼ~っと観ると、彩り豊かな家々やそこに住んでいる人々の洋服までもがカラフルで、一見すると楽しく愉快な話のようにも思えてきそうですが、実はなかなかに残酷な内容で、正直なところ、終わり方もあまり好みではない感じで幕を下ろされてしまい、評価はちょっと辛口になりそうです。 この映画のような、世の中に受け入れられ辛いキャラクターが最後には世を捨てて去っていくというストーリーは、実は様々なパターンで映画黎明期から作られているのですが、この作品においては、主人公が一旦世の中に受け入れられているときのハッピーな瞬間とのギャップが余りにも大きいのが何とも残酷で、パステルカラーで花開いた画面から一転してモノクロームのお城の内部にある暗闇に突如として突き落とされることに象徴される明から暗への落差が、自分自身にとって如何ともし難いわけなのです。
[映画館(字幕)] 6点(2011-10-10 22:19:34)
19.  十誡(1923) 《ネタバレ》 
前半は史劇、後半は現代劇という構成になっていたのは驚きました。 自分としては、前半の史劇の方を130分観たかったというのが正直な印象。 海を切り開くシーンや炎の壁を作るシーンなどは、今の映画と比べるとやはりちゃっちぃくて迫力に欠けるところはあるものの、モーゼの圧倒的な存在感や物語に漂う荘厳な雰囲気は大好きです。 後半の偽装建築の話は、今の日本人からすれば先見の明があるなぁと感じる人も多いと思いますし、終盤近く、カーテンの傍にいる女を銃で撃つシーンは、ヒッチコックのあの有名なシーンの“はしり”ですね。 まさか、ヒッチコックよりも先に、しかも40年近くも前に先に使われていたなんて衝撃でした。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-05 11:39:12)(良:1票)
20.  しあわせの雨傘 《ネタバレ》 
オゾンはいろんな風に期待を裏切ってくれる映画監督なのですが、今回のはどちらかと言えば良い意味の裏切りという感じではなかったです。 この映画は要するに、女性のサクセスストーリーを描いたものであって、フランス映画らしい控えめな演出になっているところもあるにせよ、言ってしまえば、そんじょそこらのアメリカ映画と大して変わらないような実にありきたりな作品になってしまっていると思います。特にラストなんかもう最悪で、単純・平凡・軽薄という言葉しか出てきませんですし、オゾンが過去の作品で何度も見せてきたような味わい深い余韻を残すラストショットとは程遠く、大変ガッカリしてしまいました。 さて、ドヌーヴ扮するスザンヌですが、ストーリーが進むにつれて何とまァいろいろと良からぬ過去が出てくるわけですが、このままいくと隠し子があと二人くらいは出てきちゃうんじゃないかという嫌な予感もしたのですが、それ以上は出てこなくて本当によかった。 オゾン作品では、毎回のように余計なセックスシーンが出てくるのが好きではなかったのですが、今回はストーリーの流れからいってもそのシーンを出すことの意味が出ていたので、この程度なら特に問題はないでしょう。 カトリーヌ・ドヌーヴと夫役のファブリス・ルキーニはまさにハマリ役というくらいに見事に役を演じ切っていましたが、ストーリー的にただ一つ言わせていただくと、スザンヌは専業主婦のときは詩人でもあったわけですから、会社の経営を立て直そうと立ち上がったときに労働者との交渉時にもう少し詩人っぽい台詞で喋ってくれてればより面白さが生まれていただろうと思います。“お友達”と“友愛”の2つくらいしか出てこなかったので、もっとビジネスとはかけ離れた詩的な台詞で“こんな世間知らずの脳内お花畑女に会社を任せて大丈夫か?”という雰囲気を出してその場のゴタゴタ感が増せば、より楽しいシーンになれたのではと思いました。 それと、家のソファーにドヌーヴが座るシーンがあるのですが、画面全体を同一系統の色で統一しているシーンがこの他にもいくつかあり、オゾンの「シェルブールの雨傘」に対するオマージュが(雨傘の他にも)感じられて良かったです。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-09 17:38:46)(良:1票)
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