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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  すべて彼女のために 《ネタバレ》 
 「脱獄は簡単だが、その後が大変だ」という台詞が印象的。  この台詞が序盤で語られる場面だけでも充分にインパクトがあったのですが、映画の終わりにも再び繰り返されるというんだから、何だか徹底していましたね。  脱獄に成功した主人公達の未来を示唆する台詞であり、この映画を象徴する台詞でもあったように思えます。   とはいえ、その簡単なはずの「脱獄」も充分に困難である事が劇中で描かれており、だからこそ(逃げ続けるのは、コレ以上に大変なのか……)と思える終わり方になっているのが見事。  脱獄に成功し、ハッピーエンドと呼べる終わり方のはずなのに、まだまだ前途多難である事を示唆される。  でも、それまでに描かれてきた主人公の力強さを思えば、そんな困難も必ず乗り越えられるはず……と、希望を失わずに前向きな着地を果たすバランスは、かなり好みです。   そんな具合に、中々の佳作と呼べる品なのですが、難点としてはやはり「主人公の妻が無罪かどうか、最後まで謎のまま」って事が挙げられるでしょうか。  主人公は一貫して無罪を信じている訳だし、物語の展開としても「そんなの、どっちでも構わない」って話ではあるんですが、やっぱり観客としては気になっちゃうんですよね。  仮に有罪であれば「それでも主人公は妻の無罪を信じ、殺人を犯すほどに暴走してしまった」という切なさが生まれただろうし、無罪であればハッピーエンド感が増したであろうし、答えを明かさないままというのが勿体無く思えてしまうんです。  意味深な場面を挟み「どちらでも観客の好きなように解釈して良いよ」って思わせるような形でもなく、何か「妻が有罪なのか無罪なのか、答えを出すのを忘れてた」って感じられる構成だったのも痛い。  ここは素直に「妻は無罪である」と示す場面を挟んでも良かったと思います。   あと、コレは観客側の自分が悪いんでしょうけど、今回久し振りに鑑賞し(あれ? 主人公が殺す相手って、因縁とか全く無い麻薬の売人だったの?)って驚いて、ガッカリもしちゃったんですよね。  「序盤に主人公を騙して金を奪い取った相手から、復讐がてら大量の利息込みで金を奪い返す」って展開だと記憶していたんですが、実際はそういったストーリーの繋がりは無く、勝手に美化して記憶しちゃってたみたい。  その場合、序盤で主人公を騙した奴らに何の仕返しもしないまま終わっちゃうのかって不満も生まれるし……  この辺りは、思い出補正の恐ろしさというか「一度観た映画を、何年振りかに観返して評価する」事の難しさのようなものを感じました。   でもまぁ、そういった諸々込みで考えても、やっぱり「良い映画」「面白い映画」でしたね。  単純に、妻が美人で息子が可愛いってだけでも、主人公を応援したくなるような魅力がありましたし。  脱獄計画で大変な中でも、幼い息子を公園に連れて行って遊んであげたりする場面とか、ちゃんと主人公が「良い奴」だって事を示す描写があるのも嬉しかったです。  劇中で妻のリザが困惑していたように、ともすれば観客としても(この主人公、やり過ぎ)(いくら愛する妻の為とはいえ、流石に応援出来ない)って気持ちになってもおかしくなかったのに、そこをギリギリで踏み止まる形になっていましたからね。  空港に指名手配の写真が届く前に、間一髪で間に合った場面とか、そこで観客に(あぁ、良かった……)と安堵させる為にも、主人公を完全に「暴走する狂人」としては描かず、感情移入出来る余地を残しておいたのは、正解だったと思います。   警察側も数多くの証拠を掴んでいるし、後の「スリーデイズ」(2010年)に比べると、主人公達がいずれ逮捕される可能性も高そうな本作品。  それでも、きっと彼らなら大丈夫だと思えるし、そう思いたくなるという……  ビターなチョコレートのような、程好い余韻を味わえる映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2023-09-28 21:24:50)(良:1票)
2.  スコーピオン・キング 《ネタバレ》 
 主人公の強さ、恰好良さという点では、もう文句無しの一品。   特に「強さ」に関しては、怪物と化した「ハムナプトラ」本編のスコーピオン・キングより、人間の時の方が強かったんじゃないのって思えたくらいですね。  物語のクライマックスにて、ラスボスを倒す方法が「普通に矢を射るだけ」なのに、それでも全然ガッカリしないで楽しめたし(こいつに矢を射られたら、そりゃあ負けるよ……)って納得出来たんだから凄い。   そんな主人公マサイアスの魅力に頼り切った品かと思ってたのですが、他にも魅力的な脇役が揃っており、そこら辺のサプライズ感も嬉しかったですね。  自分としては、スリの浮浪児が特にお気に入り。  無骨なマッチョ主人公との組み合わせが微笑ましいし、主人公の戦いを応援して、良い一撃が決まったら歓声を上げたりする様が、何とも可愛らしいんです。  いっその事、最後にマサイアスに弓を渡すとか、そういう見せ場があっても良かったのにって思えるくらい、彼を応援する気持ちで観ちゃいましたね。   予言者の代名詞的存在であるカサンドラをヒロインに据えたのも(ほほう)と思えたし「ゴモラは最高の街だ、ソドムも良いけどね」って台詞も、皮肉なユーモアがあって良かったです。  こういった具合に、どこかで見聞きした単語が出てくるのってテンション上がるし、舞台や登場人物に親しみを持たせる効果があったと思います。   「ラスボスとなるメムノーン王が細身で、マサイアスの宿敵としては迫力不足」とか「馬泥棒のアーピッドが処刑用の穴から抜け出せた理由が気になる」とか、細かい不満点も色々あるんだけど、まぁ御愛嬌。  「民を救う善なる王」であったマサイアスが、この後に所謂「悪堕ち」しちゃうのが「ハムナプトラ」本編で確定している為、ハッピーエンドに陰りを残す終わり方となってるのも(永遠に続く平和など無い)(人も物も、何もかも変わっていく)と感じさせるものがあり、結果的には良い味を出すのに繋がってた気がします。   これが初主演であるザ・ロックが、後にトップスターとなったのも、大いに納得。  映画自体が「5」まで続く人気シリーズになったのも、まぁ、それなりに納得出来ちゃいますね。  粗削りだけど、魅力と可能性を感じさせる一本でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-09-11 15:54:31)
3.  スクリーム3 《ネタバレ》 
 全四作の中で、3だけ犯人が誰だったか思い出せない……という状況のまま再鑑賞。   観終わってみれば「主人公シドニーの兄」であり「シドニーの母を殺した黒幕」という凄い犯人だった訳ですが(いやぁ、これは憶えてなくても仕方無いよ)って、何か開き直る気持ちになっちゃいましたね。  とにかく印象に残らないというか、犯人が明かされた時に(……えっ、誰?)と戸惑ってしまう度合いの高さでは、間違い無くシリーズ随一。  何せ顔を明かされた時は本当に誰だか分からなくて、犯人自ら「監督のローマン・ブリッジャー」と自己紹介した事で、ようやく(あぁ、いたなぁ、そんな奴)と納得出来たくらいですし。  これって「観客は決して犯人を当てられない」って意味では凄いのかも知れませんけど……正直、感心するより呆れる気持ちが強いです。   例えば、途中までミスリードしていた通りに、キンケイド刑事が犯人というのであれば「主人公シドニーに親身に付き合い、ロマンスの匂いも漂わせた好人物が犯人」って事で、ベタではあるけど「意外な犯人」と呼べたはずなんですよね。  でも主人公と全然絡まず、出番も少なく、観客の印象にも残ってないローマン監督が犯人とか言われても、それは「意外な犯人」ではなく「地味で目立たない奴が犯人」ってだけであり、本末転倒。  スクリームの中で、この「3」だけ脚本がケヴィン・ウィリアムソンではないって事も大きいんでしょうけど……  本筋には全然関係無いレイア姫ネタを挟んだりとか、どうもシナリオに引っ掛かる点が多いです。   その他にも「便利過ぎる変声機が登場するのに、何故そんな凄い代物を犯人が持ってるのか、説明が一切無い」「シドニーがトラウマを克服したのを示す為、ラストシーンにて家のドアを開けっ放しにしてるけど、流石に不用心過ぎるとしか思えない」といった具合に、不満点を挙げ出したらキリが無いんですが……  一応、良い所も色々あったりして、総合的に考えると「それなりに楽しめた」って結論になるのが不思議ですね。  監督は変わらずウェス・クレイヴンなので演出は手堅いし、ちゃんと「スクリームらしい魅力」を感じられたのが大きかったのかな、と思えます。   犯人の正体はスッカリ忘れてた自分でも、鮮明に憶えていた場面が二箇所あり、その「ランディからのビデオレター」「シドニーが映画の撮影現場に迷い込み、1の頃を思い出す件」の二つに関しては、文句無しで良かったです。  デューイとゲイルも相変わらずイチャイチャしていてラブコメ的な魅力があったし、最後にデューイが求婚して終わるというのも、グッと来る結末。  「エルム街の悪夢」さながら、シドニーが母親の悪夢を見る場面も、監督繋がりの遊び心が感じられて、クスッとさせられました。   それと、派手な爆破シーンもあったりして、ちゃんと観客を楽しませようという気持ちが伝わってくるのも嬉しい。  こういう「映画としての優しさ」のようなものが感じられる作品って、不満点はあっても嫌いにはなれないです。   そんなこんなで、シリーズ四作の中で評価するなら、残念ながら最下位になってしまうかも知れませんけど……  それでも一定のクオリティは保っていた辺り、流石だなって思えましたね。  有名ホラー映画のシリーズって、長く続いた分だけトンデモない代物が混ざっていたりするものですし。  一番微妙な品でも、これだけ面白いんだなって考えると「スクリーム」シリーズの地力の高さのようなものが感じられました。
[DVD(吹替)] 5点(2021-11-03 09:11:29)(良:2票)
4.  スーパーバッド 童貞ウォーズ 《ネタバレ》 
 これは友情ではなく、愛情を描いた映画ですよね。   同性愛の一歩手前というか、とにかく仲が良過ぎて単なる友情では片付けられない二人の絆を描いたストーリーなんだけど、青春映画としても綺麗に纏まっており、非常に観易く仕上がっている。  特に「卒業祝いのパーティーに必要なお酒を集める為、奔走する主人公達」というプロットは王道な魅力があり、誰が観ても楽しめるんじゃないかな、って思えました。   ただ、自分としては「イケてる男子や美女が集うパーティー」なんかより、冒頭にて回想される「冴えない男友達同士で馬鹿やってる土曜の夜」の方が、よっぽど楽しそうに感じられたのですが……  多分これ、意図的にそう描いていますよね。  ラストシーンにて、念願叶って美女と上手くいきそうなのに、どこか寂し気に親友を見つめている主人公セスの姿も、それを象徴している気がします。  憧れていた「美女とヤッちゃう事」「人気者が集まるパーティーに参加する事」なんかよりも、実際は「美女とヤリたいと親友相手に駄弁る日々」「パーティーには参加出来ず、内輪の友達だけで盛り上がる日々」の方が楽しかったんだと気付き、それでも「世間が認めるような一人前の男」になる為、楽しかった過去に別れを告げて、流れに任せるがまま大人になる。  そういう切なさ、子供時代からの卒業という寂寥感が「エスカレーターを挟んだ別れの場面」から伝わってきました。   序盤は、友達のフォーゲルの悪口ばかり言っているセスに共感出来ず(嫌な奴だなぁ……)とゲンナリさせられたのですが、後に「親友のエヴァンをフォーゲルに取られたくなくて、ヤキモチを妬いていたから」と、その理由が明かされる構成になっているのも上手かったです。  セスの言動の陰には「エヴァンを失ってしまう」「エヴァンに見捨てられてしまう」という恐怖心と焦りがあったんだと分かり、これまで俯瞰で眺めていた主人公に、一気に感情移入出来るようになっているんですよね。  当初は「常識人の主人公エヴァン」「傍迷惑だけど憎めない相棒のセス」という組み合わせなのかと思わせておいて、実はセスの方がメインなのだと明かされる形になっているのも、程好いサプライズ感があって良かったです。   第三の主役と言うべきフォーゲルと警官二人組が友情を育むパートも面白くって、自分としてはこちらの方が好みなくらいでしたね。   元々本作はセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグの少年時代を参考にして作られた「実話ネタ」でもあるそうなのですが、セス・ローゲン当人が「大人になった今でも、馬鹿騒ぎやっている警官」を楽しそうに演じているというのも、非常に興味深い。  本作のラストシーンは「愛し合ってる親友同士が、大人になる為に仕方無く別れてしまう」という悲劇を連想させる物なんですが、そんな切なさを与えてくれる一方で「いやぁ、大人になっても男友達同士で楽しくやれるもんだよ」と、セスがもう一つのメッセージを送ってくれているんですよね。  少年を卒業した瞬間のセスと、大人になった後のセス、その二人を一つの物語の中で同時に描く事に成功しているし「一見するとビターエンドだが、将来的にはハッピーエンドになる」という含みを持たせているしで、本当に絶妙な配役だったと思います。   そんな本作の難点としては、女性との恋愛描写が希薄であり、どうして美女二人がセスとエヴァンに惚れているのか理解出来ない点が挙げられそうなんですが……  まぁ、その辺は「オタク映画」だけでなく「ラブコメ映画」のお約束でもあるので、ツッコむ方が野暮なんでしょうね。  本作の主題は、あくまでも「男友達同士の愛情」なのだし、それに比べれば異性愛なんてアヤフヤなものという描き方をされているのは、むしろ自然な事であるようにさえ思えてきます。   劇中におけるエヴァンの台詞「皆に知って欲しいな、人を愛する気持ちは世界一綺麗だって」も、凄く印象深いですね。  その言葉通り「人を愛する気持ち」を全力で肯定し、観客に見せびらかしてみせたような……  色んな意味で、子供っぽい青春映画でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2019-05-02 17:29:23)(良:1票)
5.  スーパーサイズ・ミー 《ネタバレ》 
 「この実験は明らかにおかしい」「条件が偏り過ぎている」「監督側は意図的に身体を壊す為、無茶をしているとしか思えない」等々、書きたい事は沢山あります。  でも、どうやら実験に対する批判というか、検証については既にやり尽くされた感があるようですね。  「一ヶ月マクドナルドのメニューだけを食べ続けても、必ず身体を壊す訳ではない」「むしろ健康になる事もある」「ダイエットだって出来る」という事が世界各地で実証されており、作中の実験結果に文句を付けるのは、遅きに失するように思えます。   なので以下は、なるべく純粋に映画としての評価を。   場面転換などで多少ぎこちなさを感じる部分もありますが、音楽やアニメーションを駆使して、観客を飽きさせないような作りとなっているのは嬉しいですね。  S、M、L、スーパーサイズのポテトの袋や、ジュースの紙コップを並べる事によって、視覚的に大きさを分からせる演出なども、テンポ良く行ってくれています。  作中で繰り返される主張は酷く歪んでいるように思えるのですが、一応「アメリカ人の健康に対する危機意識を高める為」という大義名分が掲げられている為、嫌悪感を和らげてくれるのもありがたい。  「ビッグマックを毎日食べているけど、全然太っていない」「運動をして鍛えているので平気」というタイプの人達を登場させているのも、一応の公平性を感じられました。  「病院にもマクドナルドがある」「大統領やキリストを知らない子供達も、ドナルドは知っている」「小学校で、生徒がコーラとスナック菓子の昼食を取っている」という場面が挟まれるのもショッキングであり、問題提起に成功しているかと。  エンディング曲も、何だかクセになる魅力があったと思います。  これらの点は、長所と呼べそうですね。   で、短所というか、気になる点なのですが……これは、ちょっと多過ぎて挙げ切れないです。  あえて一言で表すなら「悪趣味」な作りである事でしょうか。  わざわざ吐瀉物を映し出すという視覚的な悪趣味なんかは、まだまだ可愛い範疇。  ちゃんと医者から「脂質の摂り過ぎには注意してね」と言われて、笑顔で握手した上で始めたはずなのに、全然注意していなかったり「摂取カロリーを減らして」と助言を受けているのに、それでも減らさなかったりしたのには、流石に呆れましたね。  ここの場面は「マクドナルドのメニューは脂質が多い」「カロリーが高い」という印象を与える為には外せなかったのでしょうが「医者の忠告に反して意図的に暴飲暴食している主人公が卑怯なだけ」としか思えませんでした。  食品業界側の言い分を提示する際にも、その直前に「彼らは圧力団体」「非難の矛先を他の物に向けようと努力する」というナレーションを行い、たっぷりと偏見を植え付けた上で弁明する人を映し出しているのだから、やり切れない。  極め付けはラストの演出で「スーパーサイズは、もう止めにしないか?」→「サンダンス映画祭での上映から六週間後、マクドナルドはスーパーサイズの中止を発表」→「マクドナルドでは、この映画との関連は無いとしている」って流れには(うへぇ)と声が出そうになりました。  観客に「映画の影響でスーパーサイズが販売中止になったんだ。この監督は凄い!」と思わせたいのでしょうけど、あからさま過ぎてゲンナリです。  ただでさえ胡散臭くて偏向的な内容だったのに、これでトドメを刺されちゃった気分。  ここで「現在、スーパーサイズの販売は中止されている」くらいのテロップ表示で済ませてくれていたら、もう少し本作に対する信頼度も回復出来ていたかも知れません。   ちなみに、本作の主演と監督を務めているモーガン・スパーロック氏は「デスバーガー」というスラッシャー映画にもカメオ出演しているのですが、本当にチョイ役といった感じで、印象に残りませんでしたね。  そちらの映画を先に観賞済みの自分でも、全く憶えていない役柄でした。  こういった品を作った人だからこそ、マクドナルドを連想させるスラッシャー映画にカメオ出演させたのでしょうし、それなら作中で無残に殺されてしまう役の方がオイシかったんじゃないかなぁ、と思います。  いっそ犯人役にしても良かったかも知れませんね。
[DVD(吹替)] 2点(2017-06-18 11:57:20)(良:1票)
6.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
 これは好きな映画ですね。  手に汗握る緊迫感とか、物凄いセンスの良さがあるとか、そういう訳じゃないんだけど、定期的に観返したくなるような魅力がある。   分析してみるに、やはりモンスターである蜘蛛の描き方が良かったんじゃないでしょうか。  見た目も怖過ぎず、気持ち悪過ぎずで、そこはかとなく愛嬌があるし、殺し方もそこまで残酷じゃない。  銃を持った人間と一対一なら負けちゃうけど、数の力を活かせば圧倒出来る。  移動速度も素早く、徒歩の相手なら楽勝で追い付き、バイク相手なら逃がしてしまう事もある。  知能は道具を扱える程ではないが、原始的な狩りの術は習得済み。  そしてオスの三倍も大きいメスという、視覚的にも分かり易いボス格の存在……  様々な点でバランスの良い、名敵役といった感じでした。   主人公側の戦力も程好いバランスでまとまっているし、何と言っても主武装がショットガンというのが自分好み。  モールに立て籠り、襲い来る蜘蛛の大群をショットガンで迎え撃つ場面とか、もう本当に大好きなんですよね~  こういうゲームがあったらプレイしてみたいなぁ、なんて思っちゃいます。   人物設定も良くって、男性主人公と、子持ちのヒロイン、幼い息子、年頃の娘と、もう完璧な布陣。  何でなのか分からないけど、こういう組み合わせって琴線に触れるものがあるんですよね。  「君も子供達も、纏めて幸せにしてみせるよ」という、男としての自尊心みたいな物が満たされるからかな?  息子くんの背伸びしている感じや、娘ちゃんの思春期な感じも、実に好ましかったです。  ・バイクに乗ったままジャンプし、空中で蜘蛛に蹴りを食らわせる。 ・金網越しに突き出た蜘蛛の足を、チェーンソーで一気に斬り落とす。 ・武装しろと言われた男が、ホッケーマスクにチェーンソーという「ジェイソンのようでいて、実は武器のチョイスがジェイソンじゃない」恰好をしてみせる。   等々、印象的な場面が色々と配されていて、観ている間ずっと飽きさせないのも良い。  客が少ないモールに、蜘蛛から逃げてきた人々が大挙して押し寄せるのを見て(ようやくモールに客が来たか)と喜ぶ町長のシーンなんかも、惚けたBGMと併せて、味わい深いものがありました。   誰も本気にしていないと思っていた「エイリアン襲来を警告するラジオ」のリスナー達が、終盤に駆け付けてくれるのも良いし「巨大蜘蛛に立ち向かうよりも勇気が必要な告白」をヒロインに対して行ったら、アッサリ受け入れてもらえて拍子抜けしつつ死地に赴く主人公って展開も、これまた素晴らしい。   無事に敵を一掃し、お約束のハッピーエンドを迎える結末まで、とても楽しい時間を過ごせました。
[DVD(吹替)] 8点(2017-05-03 07:40:53)(良:1票)
7.  スーパーヒーロームービー!! 最'笑'超人列伝 《ネタバレ》 
 基本的なストーリーは「スパイダーマン」(2002年)を踏襲している事。  そして脇役ながらもレスリー・ニールセンが出演している事。   この二つの要素が、効果的に作用しているように思えましたね。  前者は「パロディ映画だけど、話の筋を追い掛けているだけでも面白い」という結果に繋がっているし、後者に関しては流石の貫録で、画面をビシッと引き締めてくれました。   下ネタもあったり、人死にが絡んだ際どいネタもあったりと、多少鼻白む場面もありましたが、相対的には楽しめた時間の方が長かったです。  肖像画と思ったら本人だった件と、ネイルガンでのやり取りに「五分だけくれ」の台詞なんかが、特にお気に入り。   一応はヒーロー映画調なのに最終決戦が盛り上がらない点や「とうとう空を飛べた」というハッピーエンドかと思いきやヘリに激突オチが付く辺りは微妙に思えましたが、その後のNG集(というか何というか)でトントン、といった感じ。  劇中曲も、結構良かったと思います。   こういったパロディ映画は基本的に「一度観たら、もう二度と観ない」というパターンが多かったりするのですが、これは例外的に「忘れた頃にでも、もう一度観てみたいな」と思わせるものがありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-29 10:25:44)
8.  スパイダーウィックの謎 《ネタバレ》 
 子供が活躍する映画は好きなはずですが、今一つノリ切れませんでした。  ファンタジーでありながらスケールが小さくて「籠城物」の要素がある辺りも良かったとは思うのですが、どうも心に響いてこない。   単純に演出やら何やらが好みに合わなかっただけかも知れませんが、こういう「好きな映画のはずなのに何故か楽しめなかった」パターンって、非常にモヤモヤしますね。  基本的には「好き」に分類される為、欠点を論うような真似をすれば罪悪感が生まれるし、かといって積極的に褒めるのも気が咎めるという、何ともコメントに困る状況。  とはいえ「理由は良く分からないけど微妙だった」で済ますのも不誠実でしょうから、以下は自分なりに感じた長所と短所を。   冒頭で姉がフェンシングをやっている事や、窓に塩が付いている事が実に分かり易い伏線となっており、それらがキチンと回収される点など、脚本はしっかりしていたと思います。  鳥好きのホグスクィールが「美味しいところを頂いていく」オチも良かったですね。  昆虫のアップや粘液の描写なども一応ありましたが、嫌悪感を抱くような描き方でなかった辺りも、嬉しいポイント。   で、気になる点としては……両親の離婚問題についてが挙げられるでしょうか。  最終的に主人公の少年は「母親と一緒に暮らす」という結論を下し、そこは中々感動的に仕上がっていたけれど、これって「父親が他に女を作っていた」と知った上での選択なので、作中の事件に密接に関係していないのですよね。  別に世界の危機を救うような体験をしていなかったとしても、そりゃあ母親の方を選ぶのが当然だよなという感じで、ちょっとエピソード間の繋がりが弱かったんじゃないかと。  ここで(今回の事件を通じて母子の絆が深まったのだ。だからこそ主人公は父親ではなく母親の方を選んだ)と感じさせるものがあれば、作品全体の印象も変わっていた気がします。   正直、退屈に感じた時間の方が長かったりもしたのですが「花の中から妖精のスプライトが飛び立つシーン」や「魔物が見えるようになるリングを手にし、フェンシングの剣で戦う女の子のシーン」など、印象的な場面も幾つかありましたね。  その為、それなりに(観て良かったな……)と思えた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-29 05:17:12)(良:1票)
9.  Strange Circus 奇妙なサーカス 《ネタバレ》 
 これはもう、凄い映画というか、怖い映画というか、どちらの表現が適切なのだろうと迷ってしまう一品ですね。   何せ劇中にて、十二歳の女の子を演じる子役が「私は父とのセックスを気持ち良く思えるようになった」なんて台詞を口にするのだから、実にインモラル。  幼児虐待、近親相姦、四肢切断と、何とも非道徳的な内容であるのですが、それでも猥雑さや下品さは然程感じさせず、何処となく上品で詩的に纏めているようにすら思えるのだから、全く以て不思議。  この辺りのバランス取りというか、独特な雰囲気作りの上手さは、やはり詩人であり音楽家でもある園子温監督の、芸術的な感性の成せる業、といった感じがします。   小説家の女性が登場した辺りから、現実(過去)と虚構(小説)の境目が曖昧となり、観ているコチラとしても夢心地になるのですが、そんな中でも「娘」の正体が明らかになるシーンでは、ハッと目が覚めるような衝撃がありましたね。  (実は娘ではなく、女装させられた息子が父親に犯されていたのか?)と思っていたのですが、それを否定するかのように「娘」が胸元を開き、乳房を抉り取った傷跡を見せる件なんて、そこまでやるかと呆れてしまいます。  その「人体改造」が「父と母の四肢を切断して達磨にする」という結末に繋がっている訳なのですが、クライマックスでは脚本の妙に感心する冷静さなんて吹き飛んでしまい、観ている間は、とにかくもうドキドキしっぱなしでしたね。   ちょっと「種明かし」のシーンが長過ぎるように思えたのですが、これに関しては短所というよりも、長所と呼べそうな感じ。  もっと断片的な情報だけを残し、観賞後にアレコレと推理させるような作りにする方が簡単だったろうに、そこでキッチリと「答え合わせ」を済ませる監督さんの誠実さが伝わってきました。   「壁を赤く塗られた校舎」「チェロケースから覗き見た光景」などの、視覚的な演出も鮮やかでしたし、シニカルな笑いかと思われた「ランドセルを背負って小学校に登校する母の姿」が、歪んだ現実の代物だったと判明する二段仕掛けの構成も、お見事。  その他、転落事故で入院した娘が意識を取り戻した際に、真っ先に確かめたのが「(性的虐待されていると)誰かに話したのか?」だったりする親父さんの最低っぷりなんかも徹底していて、ここまで「醜い人間」を描けるって凄いなぁ、と感心しちゃいます。   結局ラストにて、主人公は「どっちが夢なのか」判別がつかないまま、奇妙なサーカスの見世物として、首を斬られて終わる。  全ては、死刑台の上の女性が、斬首の間際に見た幻だったのかも知れないとも思わされ、不思議な爽やかさを伴った、悪夢のような余韻を残してくれました。
[DVD(邦画)] 8点(2016-07-24 07:12:48)(良:1票)
10.  スティック・イット! 《ネタバレ》 
 女子の体操競技には、あまり興味が無かったような自分にも分かりやすく、楽しめる内容となっていましたね。  編集のテンポが良く、音楽もノリノリで、観客を飽きさせません。   レオタードがズレるのを防ぐ為に、滑り止めのスプレーを吹きかける場面などの 「詳しい人なら知っているので、ついつい説明を省いてしまいそうな部分」  を、きちんと映像化して教えてくれた形なのも嬉しかったですね。  主人公ヘイリーの皮肉っぽいモノローグによる 「体操競技って、こんな感じ」  という解説も、初心者に親切な作りとなっていて、ありがたい。  一見すると優雅で美しい世界に思えるかも知れないけど、その実は血が滲む程に厳しいトレーニングを行っているんだぞ、と分からせてくれる辺りも好みでした。   ただ、終盤の展開には少し疑問というか、観ていて呆気に取られてしまい、最後まで一緒にノリ切れなかったのが残念。  そりゃあ主人公の主張が間違っているとは思いませんし、ブラが見えた程度で減点の対象になるのは納得いきませんが、だからって周りの選手達も揃ってサポタージュしてみせるだなんて、流石に無理があるように思えました。  最後の床運動に関しても、本来なら型破りで痛快なシークエンスなのでしょうが、上述の展開にて興醒めしたせいもあり、どこか距離を置いて眺めるような形になってしまった次第。   気持ち良くハッピーエンドで終わってくれた事も含めて、素直に「面白かった!」と言いたいところなのですが……  やっぱり、クライマックスで不満を感じた以上は、それをやると嘘になってしまいそうです。  何だか自分が劇中の意地悪な審査員になってしまったようにも思えて、心苦しい限り。   それでも、実際に観ている間は、心地良い気分に浸れる場面が幾つもあった映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-16 07:57:22)
11.  素敵な人生の終り方 《ネタバレ》 
 設定からすると、如何にも感動物といった趣きの映画なのに、その内容はコメディという意外性が面白かったですね。  涙を誘うようなシーンもあるにはあるのですが、それよりも笑いの比重が大きかったように思えます。   自分としては、冒頭の悪戯電話を楽しんでいる主人公達に対して今一つ感情移入が出来ず、どこか冷めた目で画面を眺める事になってしまったのが残念。  そして、そんな悪戯電話の件以上に呆気に取られたのが、終盤におけるヒロインの台詞。 「(彼と不倫したのは)病気を使って同情させるからよ」  って、おいおいそこまで言うか、と衝撃的でしたね。  主人公が一途な愛情を抱いている存在なのだから、きっと優しい女性なのだろうな……という思い込みを、木っ端微塵に粉砕された形。   とはいえ、元々家庭がありながら不貞を働いていたカップルなのだし、そのくらいの落としどころが丁度良かったのかも知れませんね。  主人公も彼女も聖人君子ではなく、むしろ駄目な人間なのだというのが、何となく可笑しかったです。  道徳的には正しくなかったとしても、憎めない愛嬌のようなものを感じさせてくれました。   この映画は全編に亘ってそういった肩透かし感が強く「病気で余命僅かな主人公」「元妻との恋の再燃」というテーマを扱っておきながら「主人公の病気はアッサリ治るので、感動的な死など迎えない」「元妻とヨリを戻す事もなく、再び別れる事になる」という、王道の展開を踏まえた上での真逆な結末を迎えているんですよね。  結局、主人公は病気の告知を受けて自分の一生を見つめ直す前の段階と、何も変わっていないように見える。  ただ一つの大きな違いは、心を通わせられる友達が一人出来ただけ……という、静かな変化を描いた結末は、とても好みでした。   アダム・サンドラーと対になる、もう一人の主人公を演じたセス・ローゲンの存在も良かったですね。  彼の目線からすれば「一度は歩みかけたコメディアンとしての成功の道を閉ざされた後に、再び立ち上がって歩み始める」という、大いに青春を感じさせるエンディングにもなっています。   色々と意外な展開で驚きましたが、偶にはこんな風に「王道」「お約束」を逆手に取った作品も悪くない……と、そんな風に感じさせる一品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-23 16:54:56)(良:1票)
12.  ストレンジャー・コール 《ネタバレ》 
 舞台となる家の造形が良いですね。  (こんなところに住んでみたいなぁ……)と、羨望の溜息が漏れちゃいます。   そんな家の内装と、ヒロインを眺めているだけでも楽しい映画……と言いたいところなのですが、そういった気分も、中盤に差し掛かる頃には流石に醒めてしまいました。  その理由としては、まず、犯人が出てくるまでが異様に長い。  勿体ぶって、これでもかこれでもかと引き延ばした割りに、その正体は意外な人物でも何でもなく、初対面のオジサンだったりするのだから、大いに肩透かしです。  喧嘩中の彼氏と、女友達だけでなく、ベビーシッターとして派遣された先の家庭にもメイドやら大学生の息子やらを思わせぶりに配置していたのは、全てミスリードを誘う為だったのでしょうか。  子供達の姿が全く見えないから「実は既に殺されている」「実は最初から存在しなくて夫婦の妄想の産物」なんて展開も予想されるのですが、これまた全部外れ。  もしかして、退屈な留守番を任されるベビーシッターの心境を観客にも理解してもらう為に、意図的に冗長な演出にしたのではあるまいか……とも考えられますが、きっとこの推理も外れなのでしょうね。   何よりもキツかったのは、この映画において最大の衝撃を受けるであろう「実は犯人が屋内にいる」という部分。  これって有名な都市伝説が元ネタなので、観客である自分もとっくに知っていた事なんですよね。  仮に知らなかったとしても、序盤のアラームが鳴った件やガレージが開きっぱなしだった描写やらで「犯人が潜入している」というのは、すぐに気が付いたと思います。  だから当該のシーンで衝撃を受けるヒロインに対しても(えっ? 今更?)という印象を受けてしまい、どうしても感情移入出来ません。  せめて守るべき対象となる子供達との間に絆があれば応援出来たのでしょうが、それも無し。  そもそも子供達の台詞が極端に少なく「守りたい」「この子達には何とか生き延びて欲しい」と思わせるような描写すらも乏しいものだから、困ってしまいます。  ヒロインが恐怖のあまり精神を病んでしまったかのような、後味の悪いバッドエンドなのも、好みとは言えません。   何だか不満点ばかりを並べる形となりましたが、犯人を撃退する「暖炉の装置」に関しては、完全に忘れていたので意表を突かれたし、良かったと思います。  パトカーの中からヒロインを見つめる犯人の眼光にも、ゾクっとさせられるものがあって、印象的。  恐らくは意図的に血を映さず、適度な「怖すぎない怖さ」を提供してくれた事にも、好感が持てます。  それでも「ここを、もっとこうすれば面白くなったんじゃないかな?」という思いが頭を離れない……そんな映画でありました。
[DVD(吹替)] 3点(2016-04-16 17:47:36)(良:1票)
13.  スティーブン・キング/ドランのキャデラック 《ネタバレ》 
 クリスチャン・スレーター主演という情報を元に観賞してみたら、まさかの悪役。  元々善玉だけでなく悪党も器用に演じきる俳優さんという印象がありましたが、今回もハマっていましたね。  彼が演じた役柄で一番好きなのは「フラッド」の主人公なのですが、この映画のドラン役も、それに次ぐインパクトを与えてくれました。  特に終盤、自慢のキャデラックの中に閉じ込められてしまうシーンでの焦燥感や、息苦しさを伝えてくれる演技なんかは、必見です。   そして、そのキャデラック。  映画のタイトルになっているだけの事はあり、魅力たっぷりなアイテムとして描かれています。  完全防弾、背後を追跡してくる車を観察出来るカメラ、車内用パソコンに、緊急時の酸素吸入器(?)まで付いているという至れり尽くせりっぷり。  劇中では悪役が乗り回している代物であり、主人公にとっての復讐の対象となる車なのですが、妙に男の子心を刺激され、憧れてしまう存在でした。   原作がキングという事もあってか、主人公に妻の亡霊が見える設定もあるのですが、こちらに関しては必然性があったのか、少々疑問。  妻が妊娠していた事を悟らせる効果があったのでしょうが「それって幽霊経由でなくとも良かったのでは?」という疑念を抱いてしまいましたね。  映画後半では主人公とドランとの一騎打ちとなって、妻の幽霊は全く姿を見せませんし、決着が付いた後に、何か一言残して天国へと旅立ってくれる訳でも無し。  よって、幽霊の存在が途中から立ち消えする形となり、何だか宙ぶらりんに感じてしまうのです。  超常現象などを絡めずとも、純粋に復讐譚として楽しめるクオリティがあるじゃないかと思えただけに、そこが気になってしまいました。   映画終盤「主人公が行動を起こさずとも、いずれドランは逮捕される運命だった」と判明する件に関しては、実に皮肉が利いていて良かったと思います。  逮捕のキッカケとなった児童売買についても、ドランは決して乗り気ではなく、むしろ苦悩すら垣間見せていた辺りなんかも、好みのバランス。  主人公側だけでなく、ドラン側にも感情移入させてくれて、両者の対決の行方がどうなるのかに注目させてくれました。   全てが終わった後に、空を見上げて、乾いた高笑いを響かせる主人公。  そこには達成感が多分に含まれていたのでしょうが、それと同時に、復讐の空しさも感じていたのではないかな、と思えます。  独特の後味を与えてくれる映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2016-04-13 16:56:31)
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