1. ヴァンパイア/最期の聖戦
カーペンター印炸裂、みなぎるB級感。J・ウッズのやさぐれた凶悪な顔つきがともすれば吸血鬼よりヤバイ奴にも見えちゃって、風貌まで良い勝負でした。 嫌悪を催さない程度の血しぶきと爽快な「悪鬼滅殺」。 咬まれても焼いて消毒?すれば吸血鬼化をギリ免れる、という設定のユルさもまたカーペンターぽくて好き。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-03-02 22:57:54) |
2. 運命の逆転
《ネタバレ》 いやあー、やっぱりJ・アイアンズはヨーロッパ貴族系なスノッブを演らせたら天下一品。すごいすごい。この作品がこうも強烈な気色悪さを纏っているのはこの人演じるクラウスの一貫した”得体の知れなさ”のおかげである。ハリウッドアクション映画でTシャツ姿のテロリスト役なんか似合ってなかったもんなあ。グレン・クローズも負けじと富豪の鬱屈おばさんを見事に仕上げてますけど、アイアンズに持っていかれ気味ですね。 真相は藪の中だし、本格的な法廷ドラマを期待するとがっかり必至。圧倒的に不利なクラウスの一発逆転を狙う、大学教授チームの論理も分かりづらい。 豪奢な邸宅のその内側のささくれた人間関係に、お金ありすぎるからだよーとやっかみのこもった感想を抱きながらの観賞でありました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-17 23:49:46) |
3. ヴァージン・スーサイズ
《ネタバレ》 ”ガーリー映画”の旗手なんだそうでS・コッポラは。そんなジャンルがあるとは知らなかったが。女子映画といっても、女の子の心理を解き明かしてくれるような作品ではなかった。姉妹のうち焦点が当てられるのは四女のキルスティンのみで、他の3人(生存の)は完全にお飾り状態。もっとも、各人の性格まで丁寧に踏み込むと”若草物語”みたく健全なものになってしまうのかもしれん。それは監督の狙いと外れてしまうだろうし。 なんとなく感じたこの映画の凄いところは、少女の抱く漠とした不安や苛立ち、不穏な空気をすべて映像で伝えてきてること。画は大変綺麗だ。すごく良いカメラを使っているのかな。 金髪の美少女らはもちろん絵になるし美しいけれど、その明るさと対になっている暗さの方がじわじわと脳に来る。支配欲の強い母親の統べる家、その暗さ。なぜパーティを地下室で?レコードは焚書扱い。たちこめる煙。末娘が飛び降りた窓、柵。こわい。 冒頭から頻出する、木を枯らした毒。街そのものを汚染していた有毒な伏線が、ラストで彼らの大人への出立を覆う。緋色の映像で。この不吉なこと。 青春の残酷や潔癖、無理解、いろんなキーワードが言葉でなく、映像で流れ出る。詳細に語らなかったことでぼうっとした怖さの手触りのみが残った。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-08-07 23:47:55) |
4. 海の上のピアニスト
《ネタバレ》 この監督とはあまり相性が良くなくて、“ニューシネマパラダイス”の時もちょっと思ったんだけどなんつうか「情緒過多」に感じちゃうんですよ。ニューシネの方はノスタルジー過剰、今作は何にか分からないけど「ええ話でしょ」と一人で悦に入られてる感じ。 船内が人生の全てというピアニスト、演じたT・ロスはしっくりくる演技をしていたし、船でのエピソードは多彩で興味深かった。けど、「船を下りられない」その理由がね。「終わりが無い」とか「選べない」とか禅問答みたいなことを言い出す1900に、友人のマックスが「何言ってんだオメエ」と首に縄つけてでも船から引きずり出してくれる展開だったらすごく好きだ。なんで理解を示しちゃってるんだ。爆発してしまうよ、船?死ぬかね。死ぬんじゃないよ。小さい世界で閉じましたとさ、と聞かされても「え、なんで?」とこちらは呆然とするばかり。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-14 00:32:48) |
5. 宇宙で最も複雑怪奇な交尾の儀式
いやいや、こんなハイスコアをつけてしまうなんて我ながら抵抗あるけど、観てる間楽しかったんだもん。こんなシナリオ考えて、映画作品にして世に送り出した馬鹿者たちに拍手。やっぱり主演男優賞は精子ランナー達に。も、ほんと笑った。一番のツボは「あれ?卵子は?」「またフェ○かよー」のくだり。そうか・・、そうなるのかあ。ご苦労さん。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-02 23:08:12) |
6. 美しき諍い女
いやあーさすがに長い。ベアールのヌードも見飽きちゃった。私は女だし。解ったことといえば絵描きはSでモデルはM、という構図が上手くゆくのだな、ということとフランスって雰囲気のあるロケーションがふんだんにあるんだなあと感心したことくらい。画家の屋敷の庭は広大で美しく、小高い丘にある石造りのアトリエも本宅もその佇まいの威厳のあること、圧倒される。石壁だから冬は寒そうだなあとかいらんことまで想像したりして、絵の進行具合にあまり集中していない自分に気づく。バーキンがエプロンのひもを結ばないのは彼女のファッションポリシーなのかな、とほらまた気が散る。かくも本筋以外のところに目が行きっぱなしの本作だったけど、それだけ画が美しいから、ということにしておこう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-11-17 00:07:47)(良:1票) |
7. 運動靴と赤い金魚
《ネタバレ》 優しくて暖かくて大好き。そうそう子供の世界って大人にはわかってもらえなくて理不尽に怒られるよね・・怒るなよーアリ大変なんだぞっ でも理不尽づくしでもなくて、溝に靴落として泣いてたら近所のおじさんが助けてくれるし 担任の先生が教頭にとりなしてくれたりする。たまたま体育の授業があって運動靴に引け目を感じなくてすんだり、ここらの監督の優しい眼差しにじーんとする。妹、ひいては生活のために4キロ走るお兄ちゃん。泣かずに見られない。この妹 普段はヨメさんのごとく不機嫌顔が多いのだけど、笑うととても可愛い。弱冠7歳にしてラストで見せる「やっぱりそんなものよね」的な諦念の表情ときたら。幸せな展開を予感させる冷たい水と赤い金魚がきれい。お父さん早く帰ってこーい。 [地上波(字幕)] 10点(2011-07-19 15:38:39)(良:3票) |