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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  海へ行くつもりじゃなかった 《ネタバレ》 
海へ行くつもりはなかったが行ったらそれなりだったという話らしい。生活圏内に海があるのはいいことだが、大阪の都心(多分)から一体どこの海に行ったのかは不明だった。 行っても大したことは起きないがそれなりに変なこともあり、逃げられて追われて盗んだバイクで走り出す(放置自転車?)とかもしていたが、途中の凧には驚きと感動があった。写真に撮りたくなるだけのものはある。 結果的によくわからない話だったが、最近は政治的・社会的な背景のある面倒くさい外国映画ばかり見ていたので、久しぶりに心安らぐものを見たと思わせる短編だった。いい雰囲気だ。  ところで映画と関係ないが仕事上、会話時に読唇を使う人が身近にいたので、この3年間マスクを強要されていたのは困った。自分がしゃべる時に外せばいいだけだがわざとらしくもあり、ちょっとした何気ないコミュニケーションが取りづらい。自分の配慮不足もあったかと思うと後悔が残る。 劇中で金髪娘が声を出す場面はなかったが、とりあえず今回は声を出さなくても気持ちが通った体験ということか。また男の方も自分の考えをわからせる/相手のこともわかろうとする点で一歩踏み出す機会になったかも知れない。パントマイムを社会生活で使うわけではないにしても、身振りがコミュニケーションに役立つこともあるとはいえる。 最後に渡された黒髪の写真はいわば生来の姿であって、そのうちこの状態に戻るので、この顔で憶えていてもらいたいとの意味かと思った。それなりの未来を感じさせるものはある。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-06-03 15:09:26)
2.  美しすぎる議員 《ネタバレ》 
不快な場面が多いので好んで見るようなものではない。同じ監督の「レミングスの夏」(2016)に続き、今回も某県某市やその市議会が協力しているが、よくこんな微妙な映画に協力しようと思ったものだ。ここの議会では常にあんな質問・答弁のやり取りをしているのか(会議録を見るとそうでもないようだが)。 劇中議員は生活相談のようなことをしていたが、市民の個人生活に踏み込んでも深みにはまるばかりで、それが市政につながらなければ議員の仕事とはいえないだろうと思ったが、しかし一期目の新米議員として、こういうことをしながら自分の活動スタイルを作る過程だったとするなら否定できるものではない。個人的に背負うもの、失うものがないのはかえって強みでもあり、また極端に清廉潔白でもなく「100やりたくないこと」もあえてする人物だったが、ちなみに芸能界に関する発言は、演者本人にも関わることなので少々微妙だった。 一方の劇中ディレクターは物事をきれいな表と汚い裏と単純化して捉えていたようだったが、しかしそれはマスメディア本体や、マスメディアが想定している視聴者も含めた世界観がそうなっているということらしい。実際に議員は表面を取り繕っているところもあったが(当然だが)、さらに奥の奥まで暴いていけば、マスメディアの期待した真実が見えるかと思えばそうでもなく、実は初めから表層に見えていたのが真実だったということではないか。それがわかったのも「100の画を撮って」きた結果ということか。 またディレクターはなぜか売名ということにこだわっていたが、それはそれとしてその先にまた本来の目的があると思っていなかったとすれば残念な奴ということになる。しかし自分が「野心」を指摘されてそうではないと返した時には、実は自分も議員も同じだったことを自覚していたという理解でいいか。 個人的な感覚としては、映画人の語る政治や社会などどうせマスメディアと同種同質のものであり、得にも足しにもならないので知りたいとも思わないわけだが、しかしこの映画は結果的におおむね妥当なことを言っているようだと思ったので、点数は悪くしないことにする。 ちなみに川村ゆきえという人は嫌いでない。題名通りの「美しすぎる」というよりは、生の人としての顔が見えていたようで悪くなかった。ラストの遠景の表情にちょっと泣かせるものがある。
[DVD(邦画)] 5点(2023-01-28 21:12:42)(良:1票)
3.  WAR OF THE SUN カウラ事件-太陽への脱出 《ネタバレ》 
カウラ事件とは太平洋戦争中の1944年8月に、オーストラリア国内の捕虜収容所から日本兵が大挙して脱走した事件である。この映画はその事件から始まるが、事件自体の描写というよりも、事件の場を借りた戦争と人間のドラマになっている。  映画の中心になるのは日本兵の田中マサルと、近隣に住むオーストラリア人の主人公の交流である。日本人が従軍したのは第二次世界大戦、オーストラリア人は第一次世界大戦という形でずらすことで敵味方の対立関係を弱めている。また残虐無比なはずの日本兵の田中が実は人を殺したことがなく(多分)、オーストラリア人の主人公の方がよほど人を殺してきたというのもいわば逆転の発想である。 物語は日豪の意識の違いを軸にして展開するが、まず問題になるのは“生きて捕虜になるな”という日本側の規律である。当時の人命軽視の姿勢が非難されるべきなのは間違いないが、しかしこれを“決死の覚悟で戦え”という意味に解すれば、豪側の“逃げずに最後まで戦え”とほとんど同列の戦時道徳であり、特に優劣を語るようなものではないようでもある。 また日本兵の田中が自決した者に敬意を払っていたのは、自ら死ぬことが本人にとってどれだけつらいかと思うからとのことだった。単に自分が死にたくないことの裏返しではあるが、それを他者にも敷衍することで、生命の重さをより強く感じていたとも解される。一方その田中が戦友の生命を断ったのは、本人の意向を受けて、相手の思いを自分の思いに優先させたからに違いない。あるいは単純に人を殺さない、または断固として延命させるといった普通一般の倫理規範を越えて、人としての尊厳を守ろうとしたのではなかったか。 これに対し、逃げられない主人公にとっての第一次大戦は今も終わっておらず、助けられなかった戦友や殺した敵兵の亡霊(幻影)に苦しめられ、怒りだけが生きる糧というのは戦争犠牲者の一つの姿といえる。そのほか故郷に身寄りがなかったらしい日本兵の山本は、自殺に理由を求めていただけの寂しい男ということになるかも知れないが、主人公の境遇(生き地獄)とどちらがましかは何ともいえない。  結果的にはよくわからないが、ここから何らかの確定的な結論を導くというよりも、日豪の人々がわかり合える接点を探るための映画なのかと思った。そうだとすれば、カウラの日本人墓地がその後に日豪交流の象徴的な場所になったことにふさわしい映画かも知れない。娯楽性は全くないが極めて真面目な映画のようだった。 ちなみに劇中の日本兵はオーストラリアで活動している日本人役者とのことで、日本語には全く問題がなく、逆に英語を話せるのが不自然だった。
[DVD(字幕)] 7点(2020-12-19 08:58:16)
4.  ウィッチクラフト 黒魔術の追跡者 《ネタバレ》 
映画紹介の通り「黒魔術VS人身売買組織」である。 売春目的の人身売買組織と政治家・役人が結託しているという設定で、映画的な誇張があるのだろうと思ったら、現実にこういう根深い問題が存在するとの報道もあって全く洒落にならない。娯楽映画なので社会批判が主目的ではないのだろうが、逆にそれが常態化しているのを普通に背景にした映画のようでもある。 撮影場所はブエノスアイレスに近いサン・アントニオ・デ・アレコという小都市で、エンドロールに自治体のロゴが出ていた。市長が人身売買に加担する映画などによく協力したものだと思うが、逆に堂々と名前を出すことで、うちはそういう所ではないとアピールしていたのかも知れない(信用できないが)。当然ながらこういう映画ができているということは、アルゼンチン社会にも良心は存在するはずだと思っておく。  主人公は黒魔術の使い手ながら、あまりに弱く痛快な場面もないのは娯楽映画としては厳しいが、最後に知恵と気合いで乗り切ったのは立派というしかない。母の力にはどんな悪人も敵わないということだ。 周辺住民には忌避されていても、当人としては心優しく非情になり切れない人物だったようで、そこが最大の弱点だったのかも知れない。ヤギはともかく人は殺していなかったが、最後の炎上だけは女神様の許諾か勧奨があったのか、あるいは女神様が直接手を下したということか。いちいち代償を前払いするのが痛々しく、最後の捧げ物はかなり気の毒だったが、それでも娘(及び他の少女たち)を救えないよりはるかにましだという点で、持っていてよかった能力であることは間違いない。 なお想像だが、かつて主人公が流産しかけたのを救ったのは祖母だったかも知れない。  登場人物では、主人公はけっこう可愛気のあるおっ母さんで、女優は1974年生まれだが劇中設定としては30代と思われる(推定例:17+17=34)。魔女の乗物としては自転車を愛用しており、小汚い格好ばかりでなく、パーティーにはそれなりの服装(場違い?)で行っていたので世間並みを心掛けていたらしい。またその娘が魔術の力量を示すために母親に呪いをかけていたのは笑った。確かに携帯電話は不要だ。 ほか自宅の設えが魔女っぽいのはいい感じだった。ギター入りのテーマ曲も心に染みる。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-09-26 09:27:43)
5.  ウィッチ 《ネタバレ》 
アメリカ開拓時代の最初期に当たる17世紀という設定で、場所はニューイングランドとのことだがマサチューセッツを想定していたらしい。なお撮影場所はカナダのオンタリオ州とのことである。 エンディングの説明によれば、各種の記録に基づいて古い時代の魔女像を再現しようとした映画ということになる。時代設定からすると、先住民の社会で伝えられてきた魔物にヨーロッパ人が初めて遭遇したというような話かと思ったら全くそうではなく、出るのはヨーロッパ風の魔女である。イングランドから最初の移民が来た時点で現地在住の魔女が既にいたというのも変なので、いわばキリスト教徒(清教徒)と魔女が一緒に渡来したようなものだったと思うしかない。 監督インタビューによれば、主人公のモデルはエリザベス・ナップ(Elizabeth Knapp)という実在の人物だそうである。思春期の少女が悪霊に憑かれた話とすればありきたりなようだが、あるいは「セイラム魔女裁判」(1692~1693)のような事件の背景を表現した映画かも知れない。個人的には「魔女」(1922)の各論編という印象だった。  全体的には陰鬱で不穏な雰囲気の中で神経に障る出来事が起きていく展開で、ホラーとしては地味だが悪くない。魔女が出る場面は多くないが、妖艶な美女とか単なるババア(裸)とか夜会に集まった連中(裸)とかがいたようである。 物語的には宗教色が強いようでよくわからない。要は厳格な宗教で抑圧されていた少女が解放?された話かも知れないが、その辺は個人的に共感するものではない。部外者なりにいわせてもらうと、教義のようなもので固めた世界観は危機にかえって脆いというように見えた。母親のように、一神教を現世利益的に捉えるのは無理がある。また父親に関しては、旧約聖書の「ヨブ記」のように神の試練に耐えようとしたものの、それより一番大事なのはやはり家族だ、と思ってしまったことで罰せられたという意味なのか。最後に薪の山が崩れたのは物悲しく見えた。 ほかに哀れなのが健気な弟だった。姉をそういう目で見るなとは思うが、彼が罪人というなら人類など全て死滅した方がいい。  出演者に関しては、主演は可憐で個性的な美少女だが、裸になると少し肉付きがよすぎるように見えた(後姿)のは意外だった。また悪魔に欺かれて地獄に堕ちた子役の演技が印象的だった。
[DVD(字幕)] 7点(2020-09-26 09:27:39)
6.  ういらぶ。 《ネタバレ》 
原作の少女マンガは読んでいない(いちいち書くまでもなく当然だ)。女子中高生というより中学生以下?向けの映画にまともにコメントするのも大人気ないが、見てしまったので一応書いておく。 小中学生くらいなら、何かのきっかけで関係が変になって直せなくなってお互い困るのはありそうだが、精神的虐待を続けて人格形成にまで悪影響が及んでいるのは異常事態である。男の立場でいえばこういう女子を「好きすぎる」などということはありえないが、これを男が望んだというなら愛情とは別次元の異常な性癖が原因と思うしかない。それでも最後だけは劇的に都合よく事態が好転するのかと思っていたら、結局は支配と隷属の関係が解消されたようでもなく、これでは何のための物語だったのかわからない。この先には破滅的な未来しか見えない。 世間一般の女子がこういうのを好むというなら別に言うことはないが(おれに責任はないが世も末だ)、ちなみにネット上の評判を見ていると、成年女子と思われる人々が普通に酷評していたので安心した。  ところでイケメンで客を集めようとする企画では、対象層の反感を買わないよう、その相手役をわざとイモっぽく見せて、結果として魅力の感じられないヒロインになってしまうということがあるのではないか。他の映画でも見たように思うが今回は特に、ヒロイン役の女優がどうも割を食わされているのではないかという気がした。 ほかの登場人物としては、個人的には役どころとしても外見的にも、玉城ティナという人を見ていると安心できた。また妹役の桜田ひよりさんは、極端で破壊的な人物役などお手のものだろうがやはり面白い(やかましいが可笑しい)。「肉食なんでー」「知ってるー」というやり取りは笑った。もう一人、同じ高校にいたさっぱりして感じのいい女子役は、知らなかったが小野莉奈という人らしい。この人は年齢的に最も高校生らしく見えた。 ほかに評価すべき点としては、壁ドンしたら回転したという意外な展開と、ヒロインが発するブタさんの鼻音だった。
[インターネット(邦画)] 2点(2020-06-13 08:57:00)
7.  うしろの正面<OV> 《ネタバレ》 
監督・脚本とも女性だが、妊娠中の女性には向かない映画かも知れない。 映画宣伝でいう「レディース・ホラー」とは何かと思って見ていたが、妊婦のいわゆるマウンティングのようなものとか、寄り添ってくれているようで認識がずれている夫、歓迎されているようで本当に安心していいのかわからない義実家、という感じのものが見えた気はした。当事者にはかえって不快な場面もあるだろうが、これだけでもホラーとしては異色に思われる。 物語的には変則ながら一応の邦画ホラー形式に乗っていたようで、主人公が遭遇した呪いの発祥地がたまたま夫の実家にあり、出産前の里帰りという形で恒例の現場突撃をやる展開になっている。  ところで呪いの真相に関しては、安手の邦画ホラーでよくあることだが無駄に難解で(はっきりいって独りよがりだ)、各種の解釈をやたらに取り入れたことでわけがわからなくなっている。 ①まず歌詞について、最も普通の解釈は“悪意による堕胎”ということだろうが、これは劇中でいえば主人公が「美紀」に?石段で突き落とされた場面に当てはまる。また10年前の死産も例えば姑のせいだったかも知れない。この場合の「鬼」は堕胎させられる側になるはずだが、実際は美紀?(または姑?)の方が鬼に思われる。 ②しかしその後は、歌詞でなく遊びの解釈としての「口減らし」説が前面に出たらしい。胎児を取られた「舞衣子」が今度は「神からのお告げを受ける役目」の鬼になり、胎児を取る相手を指名する権限を行使していたようだが、実際は神の意志というよりただの八つ当たりに見える。その点、産婆だった義祖母の方が神の執行者としての鬼に近いかも知れない。 ③しかしその後にまた鬼の意味が変わり、最後は主人公の立場で“他者を排除しても自分の子を守る母親”という解釈に落ち着いたように見える。「鬼は私」という台詞もあったが、その主人公にも“何であいつに子ができるのか”といった負の感情は当然あったわけで、そのため最初のうちは主人公が元凶のように見えたが、最終的には守りの意思の方を強く出していた。 以上について感覚的にまとめると、妊娠・出産(+育児もか)にまつわる悪意(鬼)は至るところに存在するので、それをはねのけるため母親自らも鬼になれ、というメッセージだと勝手に受け取った。レディースというよりオンナのホラーという印象だったが、それにしてもこういう面倒くさいものの解釈を強いられるのは疲れる。  ほか世間ではかごめの遊びを降霊術と関連づける説もあり、劇中でも霊媒師が出る場面がある(漫才師は不要)。また鏡に映すと降りたものが見えるという説もあるようだが、スマホの自撮りと終盤の鏡は“鬼を映すもの”として機能していたように見える。そういうことを調べているうちに怖くなって来たので、ホラー映画本来の性質も備えていたといえなくはない。 なお映像面では天井から降る鋏がユニークで、また西部劇の決闘場面のようなのも悪くない。赤い食物は他者を食って自分の子を生かすということの隠喩か。主演の吉田裕美という人はそれなりのお年頃だろうが、なかなかいい感じの女優さんだった(惚れた)ので悪い点はつけられない。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-04 09:29:39)
8.  馬の骨 《ネタバレ》 
「イカ天」というTV番組(1989.2.11~1990.12.29、TBS系)があったのは憶えていたが、フルネームが「三宅裕司のいかすバンド天国」だったことは忘れていた(「三宅裕司の」も忘れて相原勇しか憶えていなかった)。ちなみにその後に「エビ天」というのもあった(アシスタント・福島弓子)。 「馬の骨」というのは別にこの番組を代表するバンドでもなく、1回出ただけだったようで当然憶えていなかったが、当時の映像を見たところ、もしかして当時もこれを見たかも知れないという気がして来た(老婦人の姿に見覚えがある)。ほかにまともなバンドも出ていたのでこんな連中ばかりだったわけではない。 なお当然だが藤沢周平の時代小説「秘太刀 馬の骨」(映画化されていないがNHKのドラマになった)とは関係ない。  映画としてはその「馬の骨」でボーカルだった人物(俳優)が脚本を書いて監督もしている。自分として難点に思われたのは、熱烈なアイドルヲタが近場にいたことの匂わせ方が不足だったため登場人物の行動が変に思われたことと、またこれで最後に全てが前向きになって終わったというのがかなり適当に感じられたことである。そもそもこの曲でライブを盛り上げるには無理がある気もしなくはなかったが、このバンドにはこれ一曲しかないのであれば仕方ない(さすがにもっとあっただろうが)。 ユニークに思われた点としては、登場人物に自己変革を迫ったのが土砂崩れの危険だったということと、変化に立ち向かう決意を示す言葉が「バーベキュー行ってきます」だった??ことである。物語的にはライブの後にそれぞれの場所で今後どうなるのか確定的なもののない微妙な雰囲気だったが、最低限、娘のような年齢の主人公にあとを託して背中を押す形になっていたのはよかったと思うべきかも知れない。ボーカルのオヤジはやがて消えゆくにしても、最後まで前を向いたまま死ぬと解すればいいか。  キャストについては何といっても小島藤子さんが主演女優として光っている(書道をしている人なので題字も書いている)。歌唱力については何ともいえないが声の出し方は好きだ。しょうもない映画だと思いながらも最終的に悪くなかったと思わされたのはこの人の歌声のせいかも知れない。また粟田麗さんは最近お母さん役しか見ていなかったが、今回は泣き笑いの表情が切なく見える未亡人役だった。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-07-20 16:58:30)(良:1票)
9.  ヴァンパイア ナイト 《ネタバレ》 
キングレコードの製作である。こういう映画も恐らくそれなりに経営上の合理的判断に基づいて作られているのだと思われる。 まず、一応の映像作品として見せようとしている部分もあるようだが特に語りたくなるものはなく、それより冒頭いきなりキモ男から始まるのでは見るなと言っているのに等しい。またストーリー的には、人が鶏を食うなら吸血鬼が人を犠牲にして何が悪い、といったトーキョーグール風アピールも見えていたが半端に終わり、その後は必然性不明の子連れ狼とか入れ込んだりするので統一感もない。加えて明らかにおちゃらけた部分が多く、話の意味を真面目に読み取ってやろうという気分に全くさせないところがある。 あるいは話の意味など考える必要もなく、観客はただ映像を消費することだけが求められるというなら話がわかるが、それにしてもとにかくかったるい展開で、何だかわからない前振りを延々と見せられてストレスがたまった状態で半分くらい過ぎてしまい、後半に入ると動きが出るがスピード感もなくスリリングなところも爽快感も何もないまま終わってしまう。エンディング後の場面は続編でも作るつもりだったのか。 ちなみに全体的に撃つ/射る動作を始めてから何もできずに過ぎる時間が長いのが苛立たしい。  以上により要は、この人が出ているからおれは見るのだ、という確固たる意志がなければ耐えられない映画になっている。上野優華さんは最近悪役が多い気がするが、こういう役をやっていると本当に可愛い人だ。また自分としてはこれまで柳ゆり菜という人の印象があまりなかったが、この映画で改めてどういう感じの人だったか(主に顔と体型)を確認できた気がした。この2人に関して、個人的には特に湯上りの浴衣姿が好きだ(入浴場面はない)。 そういった類の理由で、例えば2点/10点くらいの評価をする観客が一定数いるだけで製作目的が達せられる映画なのかと思ったりした。それにしても協力したアーチェリーの競技団体や神奈川県の旅館にとっては不名誉な結果になったのではと心配になる。
[インターネット(邦画)] 2点(2019-02-08 23:21:49)
10.  海すずめ 《ネタバレ》 
愛媛県宇和島市の映画である。公式サイトによれば、宇和島藩主だった伊達家の第十三代ご当主が企画段階から関わったようなことが書いてあり、劇中でも本人役の出演者になっているが、これほど殿様が前面に出るのはご当地映画の新しいパターンかも知れない(蔵を訪ねた場面の演出には笑ってしまった)。主人公の名前(及び題名)の由来になったのも伊達家の家紋「竹に雀」だが、これは基本的に仙台の伊達家と同様でデザインを若干変えているらしい。 映画宣伝には「今でもお殿様が存在する珍しい街」と書いてあるが、ただし仙台の伊達家のご当主も現在は仙台市在住と思うのでそれほど珍しくない。ちなみにうちの地元の殿様は一貫して地元在住で地元貢献も多大なので宇和島伊達家には全く負けていない(石高も多い)。  内容としてはかなりいろんなものを詰め込んだ印象があり、そもそも主人公に自転車乗りと作家志望という2つの性格付けがなされているのでイメージが統一できない。ストーリーとしても「宇和島伊達400年祭」関連の文献探し(+島の高齢者)、主人公の作家としての成功と、図書館の自転車部門の存廃(+同僚の今後の生き方)の3つの話が並行しているように見える。主人公の台詞で「全てはつながる」と言っていたが、一応つないだようでいて個別に決着つけただけのようでもある。 この中で特に自転車の話を出す必然性がどこにあったのかと思うが、これは宇和島というより愛媛県として自転車関連施策を推進しているからではないかと想像される。宇和島市の図書館に自転車課はないだろうが、県庁には「自転車新文化推進課」というのがあるようで、そのように各方面の思惑がからんだ映画に見えた。  キャストに関しては、主演の武田梨奈さんは自転車をこいでいる健康的な姿と作家志望のキレイなお姉さんの二様が見られるほか、物憂げな顔でその辺を眺めているとか、眼差しに優しさを出しているあたりは女優の顔をしていて結構だ(アクションは全くない)。また上野優華さん(徳島県出身)は近年悪役が多い印象があるので、この映画で普通に可愛い(すごく可愛い)役だったのは安心した。岡田奈々さんはおっ母さん役だが今もかわいく見える。そのほか図書館の変人娘(演・佐生雪)にも少し注目したが、終盤に出たお姫様には結構驚いた(さすが宝塚/ちなみに愛媛県出身)。そもそも役柄の割に脚がきれいすぎると思っていた。
[DVD(邦画)] 5点(2019-01-06 18:59:40)(良:1票)
11.  宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION<OV> 《ネタバレ》 
昭和の東映TV特撮「宇宙刑事シャイダー」(1984-85)から30年ぶりの映像化ということになる。今回だけでも一応まとまった話ではあるが、前作の「宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION」(2014)の続きという意味もあるようで、ラストは前作を含めた二部作の総まとめとして、全てを動かしていた真の悪が姿を現す意外な展開になっている。 TV放送当時に本編をじっくり見た覚えはないが、最初から女宇宙刑事の蹴りが豪快だったりするのはもともとそういう番組だったのだろうとは思う。ただ主人公とヒロインがラブラブというまではいいとして、主人公が浮気性だったりキスシーンがあったり登場人物の衣服をはぎ取って肌を露わにするのは子ども向けとも思えないが、これはこの映画の対象層がこの当時で40代くらい?の人々だからということか。結果的に大人向けなのか何なのかよくわからない微妙な話になっているが、しかし昔も今も対象年齢から若干外れた世代の立場でも、それほど退屈せずに面白く見ることはできたので問題ない。終盤で「行こう、おしおきにな」と言ったところの宇宙刑事3人は最高に格好よかった。 そのほか出演者としてはヒロイン役女優のアクションが本格的なので驚く。また銀河連邦警察長官の娘で(つまり宇宙人だが)外人名前で日本風女子高生というわけのわからない重要人物役は山谷花純という人だが(後のモモニンジャー)、この人が敵に引っ張り回されて困った顔をするだけの役かと思ったら、終盤でちゃんと演技をする場があったので安心した。またついでに書くと今回登場の「不思議獣ピタピタ」というのがデザインとしても造形的にも良好だった。  ところで当時の本編を見た覚えはなくとも番組のテーマ曲は記憶に残っており、特にエンディングテーマの「おもしろいことが大好きで 悪いことは許せない」は印象的だが、今になってみるとこれが人の本来あるべき姿を端的に表現しているようで心に染みる。 あえて理屈をいえば、「おもしろいこと…」は個人の存立に関わるもので、自分という存在を自ら支えるための基盤をなすものである。また「悪いこと…」は見た通り、個人の社会への関わり方を示している。今回の物語中で、この二つはセットでなければならないことを端的に示した場面があったのは少し感動的だった。こういうところをしっかり押さえるのは子ども向けにも大人向けにも大事なことと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-15 19:22:52)
12.  嘘八百 《ネタバレ》 
森川葵さんが出る映画は無理にでも見なければと思って見た直後に熱愛報道が出たりするので多少がっくり来るわけだが、その辺は「ええ大人なんやし」と思って納得するしかない(劇中の父親の気分で)。 題名を見るとあまりに素朴で古風なネーミングのため一体これはどういう客層向けなのかと思っていたが、実際見に行くと年齢層がかなり高く、20人くらいいた観客のうち自分だけが若造のように思うほどだった。ちなみに現代の堺市が舞台という映画は珍しいのではないか(NHKの「黄金の日日」は見たが)。もう少しご当地感を出してもよかったのではと思うが控え目だったようである。  ストーリーとしては要は騙し合いで、最後まで予断を許さない展開だろうとは思うので逆にそれほどの意外感もなく、またラストが変にごたごたした感じですっきりしない。コメディとしてもバカ笑いするようなものではなく、個人的にはかろうじて「生き写しやがな」というのが可笑しい程度だった。しかし単純な娯楽として見る分には支障なく、金の行方はともかくとしても、悪徳業界人には一矢報いてそれなりに前向きな感じで終わったので、見た後の気分としてはそれほど悪くなかった。 昔話になるが1969年のTV番組で、古美術商に贋作を強いられる陶工の出るエピソード(「呪いの壺」)を見たことがあるが、時代を超えて似たような設定が使われるからには本当にこれが業界の実態なのかという気もして、そういう世界と無縁な人生でよかったと思わせるものがある。ただこの映画でも当然ながら、ものの価値は自分の目で見て決めろ、と言っていたのだろうから、自分もそのようにしていかなければと思うところがないではなかった(例えば映画を見るにしても)。  ところで前に「花戦さ」(2017)という映画があったが、この映画でも中井貴一(織田信長)、佐々木蔵之介(前田利家)といった役者が出て、その上に利休の茶碗まで出て来るので姉妹企画かと思うが関係ないらしい。森川葵さんも両方に出ているが、これはそういう年長の役者が揃った中でも遜色ない若手女優という意味に解しておく。劇中人物としては特に好きになれなかったが、この人の持ち味が出ていて見せ場もあって結構いい役だったとは思う。ほか女優としては大阪の役者で鴨鈴女(かも すずめ)という人が出ており、特筆するほどの役柄では全くないが顔を知っているのでどうしても目についてしまった。
[映画館(邦画)] 6点(2018-03-11 21:28:10)
13.  うさぎ追いし -山極勝三郎物語- 《ネタバレ》 
癌研究で知られる山極勝三郎博士(1863~1930)の映画である。「厚生労働省推薦 日本赤十字社推薦」であるから安心して見られる。 人となりに関しては、劇中人物のキャラクターの通りとすれば確かに好人物である。業績の意義は素人としてはわかりかねるが、日本初のノーベル賞受賞は湯川博士でなくこの人だったかも知れない、といえば国内向けにはアピール度が高い。また多分この映画独自の趣向として、実験動物と文部省唱歌を関連づけて出身地とのつながりを強調していたのは、ご当地映画として地元の要請に応えるためだったと思われる。なお動物実験に関して、登場人物自身が悩む姿を見せることで観客の批判的感情を和らげようとした節もある。 ストーリー面では、事実そのままではお話にならないところ、何とか面白味を出そうとしていたようでもあるが感動要素は正直少ない。本筋以外の劇的な部分として長女の学究心とか津軽娘の恋のエピソードが入っており、これは一応理屈で考えると、研究一筋だったことで本人や周囲が犠牲にしたものもある、という意味に取れるが、実際見ているとさらりと流れてしまったようでそれほど心に引っかからなかった。  キャストに関しては、仏頂面だが好人物というキャラクターにこの主演俳優は適役とは思うが、新婚初夜からしてこの役者がやるのでは笑ってしまう(それをいえば新妻役もだが)。まあ劇中人物としてもユーモラスなところがあったので、最初から笑われるくらいがちょうどよかったのかも知れない。 また長女役(及びナレーション)の秋月成美という人は顔を見ていると和むタイプで好きだが、劇中でも重要人物だったのは嬉しいことで、大正時代の女学生の姿も似合っている。しかしこの長女が歳をとると何でこんなくどい顔になるかというのは不満だった(声もガラガラだ)。ほか津軽娘役の森日菜美という人は東京出身のはずだが、発音をけっこう練習していたようで感心した(「私です」が上手い)。 以上のほか、実は突っ込みを入れたいところがかなり多い映画だったが、ここは山極博士と出演俳優(特に秋月さん)への敬意を込めて少し補正した点数にしておく。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-05 17:48:16)
14.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
京都・太秦といえば個人的には大映の「大魔神」三部作(1966)だが、この映画は東映である。劇中で大御所役の松方弘樹氏も、大魔神と同時期の東映特撮時代劇「怪竜大決戦」(1966)に出ていたが、これは映画自体がそれほど知られていない。 この映画では冒頭から現代的な映像で斬新な印象を出しており、また特にラストが非常にすっきりした形で終わったのは感動的で、続くエンディングの曲も騒がしくなく素直な余韻を残していた。主人公は非常に謙虚な人物に見えたが、その場になれば大御所でも挑発してみせたりして、大御所の方もまたそれなりの顔で応じていたのはベタなようだが盛り上がるのは間違いない。  全体としては福本清三氏の時代劇への貢献を顕彰し、いわば記録保存する映画のように思われる。終盤、川島Pが突然変節したように見えたのは悪い意味で意外だったが、序盤でもこの人物は「人気のダンスグループ」の男の扮装を見て表情を曇らせた場面があったりしたので、別に時代劇を破壊するつもりだったのではなく、この人物なりに若者向け時代劇を再構築しようとしていたと思われる。この映画の監督は、年齢(と経歴)からすれば劇中の若手監督に相当するだろうが、実は劇中プロデューサーと同じ立場で先人に敬意を表する映画を作ったのかも知れない。 また本編の英語字幕が完備していて「北米劇場予告編」というのがあったりするので、時代劇というものを国内限定の文化遺産にせず、いわば人類全体で共有できる文化的価値として知らしめる意図があったとも思われる。実際この映画の監督が、このあと海外向けに「NINJA THE MONSTER」(2015)といった映画を作っているのは実践例かも知れない(が、中身を見ると少し心許ない気がしなくもない)。 ちなみに自分としては松方弘樹氏が、戦国時代を舞台にしたアイドル映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、有村架純初主演)で織田信長役をやっていたのを見たことがあるが、これも前記の特撮時代劇と同じように、基本のところがしっかりしていてこそのバリエーションということだろう。その時代劇の基本部分(歴史的事実の尊重を含む)をどのように維持していくかも重要ではないかと思われる。  なお余談として、主人公の妻役で出ていた海老瀬はなという女優は京都の出身で、これより前の松竹映画「京都太秦物語」(2010)には主演で出ていたが、その相手役が著名ダンスグループのメンバーだったことが映画の価値を落としていた。また軽薄なアイドル女優役で出ていた中村静香という人も、京言葉を話す場面はなかったが実は京都出身であり、特に意味のないキャスティングのようでも一定の意図があったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-24 22:22:33)
15.  海の金魚 《ネタバレ》 
「チェスト!」(2008)の監督が、同じく鹿児島の海を舞台にして撮った青春映画である。前回は結構よかったが、今回は残念な結果になっている。 まず台詞が変に説明的で不自然なところがあり、また肝心のストーリーも観客が素直にわかるようにできていない。不法係留少女に関する物語はあまりにファンタジックで、「冒険」「宝探し」とかいう要素が現実世界の中で浮いて見える。一方で人殺し少女はより現実世界に寄せた形だが、これはこれで設定や展開の現実味のなさが目についてしまって共感できない。 加えてテーマ上は些細なことかも知れないが、地元の若手漁業者を最底辺のゴロツキのような扱いにするのは許されるのか。不法係留しておいて開き直った上に、咎めた漁業者のほか県当局までを悪役扱いしており、これでよく鹿児島県の推薦などもらえたものだ。また人殺し少女の父親が、実行委員としては動けないが父親としては動けるというのでは、親の情を示すというより親の権威を背景にしてルールを曲げた話にしか思われず、いったい現実社会というものをどの程度まともに意識して作ったのか疑わしい。  また一方では終始画面に赤黄青緑というような色がかかっているのが目障りで、空や海の素直な青が出ていない。あからさまに歌詞の入った歌や、悲しい場面での悲しいメロディなども過剰で苛立たしい。 そのほかご当地映画的に見た場合、桜島は何度も映るもののそれで地元らしさが出ていたのかどうかわからない。ヨットレースの扱いに関して自分としては何もいえないが、ヨットマンはともかく漁師には見せられない映画だったろう。 そういうことで映画全体としては褒められないが、不法係留少女役の若手女優はけっこう好きだ。かなり人工的な感じのするマンガのような人格をちゃんと演じていたのはご苦労様である。微乳なのでボーイッシュで活発な役に向いていると思ったがそれはよけいなことか。
[DVD(邦画)] 4点(2016-10-25 19:59:44)
16.  宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 《ネタバレ》 
オープニングの止め絵とバイオリンが軽薄な感じで、いかにも番外編的なのが期待感を減衰させる。 本編に関しては、斉藤に始まって斉藤に終わるという趣向は面白くなくはない。また序盤のラブコメ展開が可笑しく、山本玲もなかなか可愛いやつだと思わされる(前作でも可愛く見えたが)。中盤の大和ホテルは明らかに脱線のようだったが、終盤では銀河スケールに広がる異種族間での交配が可能な理由を説明していたようで、これはシリーズ初のことと思われる。 ところで劇中のバーガー氏は老けて見えるが、設定資料によるとまだ27歳(地球年齢換算)とのことらしい。この男の荒んだ心を和ませて、異種族間でもわかりあえるとの実感をもたらしたのが桐生美影嬢(18歳)の存在だったのだろうから、どうも今回は“かわいい女の子が宇宙を平和にする”というようなのが主要メッセージだったと解される。わが国のカワイイ文化が宇宙を席巻する時がいずれ来るのかも知れないが、そういう面でガトランティスは全く可愛気のない種族であるから、滅ぼしてしまっても一向に差し支えないという気分になる。もしこの延長上で続編を製作するのなら、次はガトランティス人のかわいい女の子も出して、最後は平和に収めるのが望ましい。  なお続編に関していえば、現実問題として波動砲が使えないヤマトのままで続編を作ることなどありえない、ともいえなくはない。前作のような経過で封印したからには、これを復活させるとまるで日本が核武装したかのような印象を生じるわけで、それでもやるというならやってみろ、という感じだが、とにかく愚行は繰り返さないと約束したのだから守るよう期待したい。 まあそれはそれとしても今回は見事に枝葉というか、2199の枠から逸脱しない範囲で収めた形になっており、これは自分としても感謝しておかなければならないかも知れない。ラストで「俺たちの銃は、同胞に向けるためにあるんじゃない」に続けての「ヤマトです」は、ベタではあるが泣かせるともいえる。エンディングテーマの最後のフルートが余韻を残す終幕だった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-10-14 19:21:21)
17.  宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海 《ネタバレ》 
総集編としては説明不足かも知れないが、TV版26話を一通り見た立場としては特に支障なく、イスカンダルを出発したところで本編が終わってしまったのも別に構わない。エキサイティングな(見たい)映像をもらさず手際よくまとめた映画になっている。 ただし一つ不満をいえば、この映画では異種族間でもわかりあえることが大きなテーマだったはずで、その意味では「マゼランパフェ」の場面が省略されていたのは非常に惜しいことである。恋バナまで再現しろとは言わないので、せめてナレーションの背景映像としてでも入れてもらいたかった。本編中にこれがあってこそエンディングのイラストで、一人でパフェを前にした山本玲との対比が生きるのではという気がするが、まあどうせ初見の人々にはわからないか。ちなみにそのエンディングでは、副総統のにやけ顔が何とも可笑しくまた嬉しい。  ところでこの総集編も悪くはないが、TV版の方は旧作世代としては大感動モノだった。今さら変えられない部分は多いにせよ、可能な限り現代の常識に照らして違和感を減らすよう設定を変えており、また旧来のヤマトファンのほかにも美少女好きのアニメファンや軍事ファン、またサイエンス・フィクション志向の人々にも目配りしながら極めて誠実に作られた印象だった。特に旧作のヤマトがガミラスを滅ぼしてしまったのに対し、今作では逆にガミラスの民を救ったというのは感無量である。大人の事情を勘案した上で若干の寛容さをもって見るなら、ほとんど文句を付ける気にもならない出来だった。 また映像面も満足のいくもので、結構な質量を持つはずの物体が意外に軽快な動きをするのが新鮮に見えたが、特にバラン星でヤマトが画面の端から端まで横切って駆け抜けていくのは非常に印象深かった。メカニックデザインもリファインされており、今になって初めてガミラスの駆逐艦が格好よく見えたほか、三段空母(四段?)の美しさも特筆しておきたくなる。ほかに新規要素としては三式弾の迫力も見どころで、これこそが戦艦、という感じだった。音楽は旧作の曲の多くが再現されているが、新作では大ガミラス国歌「永遠に讃えよ我が光」を聞くと忠誠を誓いたくなってしまって困る。 そういったことで映画の感想としては反則だろうが、ここは総集編というよりTV版に対する評価をそのまま点数にしておく。個人的にはこれが宇宙戦艦ヤマトの決定版である。  [追記] 上記の大ガミラス国歌「永遠に讃えよ我が光」にはなぜか日本語の訳詞がついているが、歌詞に字余りの箇所があるのがいかにも外国語の歌に日本語を当てたように聞こえて本当に感心する。ついでに地球側の歌「銀河航路」を聞くと「ケンタウリ」や「カイパーベルト」のところで、イスカンダルから技術供与を受ける前の地球の状況がうかがわれて興味深い。
[DVD(邦画)] 9点(2015-10-14 19:21:17)(良:1票)
18.  裏切りの戦場 葬られた誓い 《ネタバレ》 
一応説明すると、フランス領ニューカレドニアで1988年に起きた独立派による人質事件の経過を描いた映画である。邦画「天国にいちばん近い島」(1984)のわずか4年後であり、その場所も同作の主人公が“天国にいちばん近い島”を発見したウベア島でのことだというのは皮肉な話である。 ストーリーは事件の経過を主人公の視点から丁寧に追う形で進められている。主人公が一貫して交渉により人命の損失を防ごうとするのは理性的であり、またどこまでも次善の策を追求する執拗さも備えている。本人は「交渉人」(字幕)と自称していたが、これはいわゆるタフ・ネゴシエーターの部類だろう。最後は武力行使で終わってしまったが、そこに至る過程の方がこの映画の本体であり、戦闘場面があるからといって戦争映画というわけではない。真面目に見れば密度の濃い映画だが、真面目に見なければ何をやっているのかわからなくなるので疲れる映画でもある。なおこの映画を見る上で「国家憲兵隊治安介入部隊」(GIGN、字幕の略称では「治安部隊」)と、その他一般の「国家憲兵隊」の意味は調べた方がいい。  ところで最後のキャプションでは2014年に独立の是非を問う住民投票が行われると書いてあるが、実態としては現時点でメラネシア系住民の人口は全体の半数を下回っており、その中でも独立派が大多数というわけでもないだろう。また現地のニッケル鉱山に関わる利権がこの問題にどのような作用を及ぼしているのかわからない(個人的に知見なし、劇中にも出ない)が、何にせよ現実問題として、19世紀からの植民地支配に由来する現状を今から完全に覆すのは困難ではないかと想像される。 また劇中で軍隊が自国民を弾圧していたのは許されないことだろうが、しかし軍というもの自体はフランス共和国にとってなくてはならないものだろうし、一方でそれをコントロールすべき政府が選挙戦略で左右されるような現実にしても、当事者である政治家が一国の巨大な利害を背景にして動いている以上は個人レベルの倫理で対応できるものでもない。 そのようにどうにもならない世界であっても、まずは現状を起点にして、これから先を少しでも改善するよう粘り強く努力を続けるのが現実的な道であり、それをこの地味な交渉人物語は訴えていると感じられる。フランスの植民地支配が許せないとか、だから軍隊はいらないとか簡単に言い捨てて済ませられるような話ではない。
[DVD(字幕)] 7点(2014-11-07 22:06:34)
19.  51(ウーイー) 世界で一番小さく生まれたパンダ 《ネタバレ》 
ひたすら微笑ましいパンダ映像が延々と続くというわけではなく、基本的にはパンダの生育過程を描いたドキュメンタリーである。成長してしまえばのっそりして薄汚いだけなので、見どころはやはりパンダ幼稚園が中心ということになる。飼育員の女性の物言いがきついので呆れてしまうところがあるが、本人はこれでも愛情をこめた罵倒のつもりかも知れない。  この映画で特徴的なのは見ている人間が感情移入できるよう作られていることで、特に後半ではナレーションと音楽での脚色が過剰なため個人的には全く歓迎できないが、これはまあ子どもだけでなく、一緒に映画館に来ている両親にも楽しんでもらおうという趣向だろう(それにしては少々きつい内容だが)。パンダが好きで見ようとする人々は、そういった点が気にならなければ素直に楽しめると思われる。また人によっては、制作側の意図のとおりパンダ映像に乗せた人間の物語に感動するかも知れない。  なお余談だが、以前にここの現地(成都大熊猫繁育研究基地)に行った際、パンダは人間を襲ったりしないのか、と同行していた地元の人に聞いたところ、いかにも心外だという顔で「優しい!」(日本語)と否定された。しかし外見的にはどう見てもクマであり、山奥では人を食ったりしているのではないかとまだ疑っている。
[DVD(邦画)] 4点(2014-11-04 20:38:34)
20.  宇宙人王(ワン)さんとの遭遇 《ネタバレ》 
宇宙人の使用言語について、使用人口が一番多いから、という説明はイカにもウソっぽく、個人的にはこれで宇宙人の信用度ががっくり落ちる(現に意志疎通の役に立ってない)。しかしほかに納得できる理由が思いつくわけでもなく、かえってどこまでも怪しい感じが残る。 それより映画の製作上は、やはり東洋人に対する西洋人の先入観を観客から引き出すための設定なのだろう。尋問者の「鏡見たことあるか」という発言に対する主人公の反応には、単に“外見に素朴な違和感を覚える”以上の偏見がちらりと感じられた。醜くて可哀想な劣等種族を法規や国際機関の手で守るという欧米流?の人道主義を、この人が何のためらいもなく全宇宙に適用しようとしていたのは微笑ましい。 以上はまあ東洋人としての感想だが、加えて当該国の最近の情勢や国際社会でのふるまいを反映した現実的な反応も予想され、日本人としてはこっちの方に誘導されそうである。「私の故郷では礼儀が重んじられています」という発言には大笑いした(それは仲間内限定の話だろうに)。  それで結末について、途中経過としては①完全にA、②完全にB、③全体としてはAだが個人の問題としては別、という3種類程度を予想していたが、劇中で実際にやっていたように、断片的な材料を並べるだけでも一応の心証は得られるように思う。自分は登場人物のうちでは秘密警察タイプだろうが(笑)、日本人が好むのは③のような結末ではないだろうか。あるいはそういう方向のどんでん返しがあるかと最後まで構えてはいたのだが、実際はあまりにもあっけらかんとした①だったのが逆に意外だったともいえる。 この映画を見て怒り出す人々もいるようだが、しかし出身地や外見や個別の物言いに関わらず信用できるかどうかは別の判断、という程度なら言っても支障ないだろう。劇中では移民系のアモニーケさんが、リアリストで猜疑心は強いが友好的な人物だったのはホッとした。  なお主人公は日本アニメを小馬鹿にしているようだが、「侵略!イカ娘」を見たことはないのだろうか(自分は見てないが)。
[DVD(字幕)] 5点(2013-03-20 19:52:18)(良:1票)
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