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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  ダブル・ジョパディー 《ネタバレ》 
『ザ・ロック』の脚本家コンビによる作品なのですが、かなりエモーショナルな背景を持つ作品なのにおそらくは意図的に情緒的な部分が省略され、娯楽に特化した独特な作風となっています。多くを期待しすぎず、また頭を使い過ぎずに見れば、短めの上映時間はきっちりと楽しめる手堅い作品となっています。 旦那殺しの罪で投獄されたが、実は旦那と親友に裏切られ、高額な保険金付きの子供までを奪われていたことに気付く主人公。普通ならここでわが子をどうやって危険な父親と義母から引き離すのかを社会制度に沿って考えるところですが、主人公が次の瞬間にとった行動とは、復讐を誓って体を鍛え始めるということ。服役中の時間をハナから捨ててるんですね。この時点でバカ丸出しで、そこから先はこの低偏差値のまま映画は進んでいきます。 代表作『逃亡者』を見て出演依頼をされたんだろうなということが瞬時で分かるトミー・リーや、有色人種の脇役は主人公の助けになるというこの手の娯楽作の定番の流れなど、観客の予想をまるで裏切らずに物語は進んでいき、主人公はサクサクと旦那へと近づいていくのですが、圧倒的なテンポの良さとイベントの仕込み方の良さ、またアシュレイ・ジャッドの見栄えの良さで(なぜ彼女は本作以降伸び悩んだんでしょうか)、なかなか飽きずに見せてくれました。旦那をぶっ殺すというラストも非常に分かりやすく、「あ、終わったんだな」という点が誰の目にも明らかな親切設計となっています。 ところで、何度も人生をリセットし新天地でゼロからスタートしながらも、行く先々で地元の名士みたいになっているあの亭主って実はとんでもなく有能で、元嫁に殺されるような生き方をしなければ良かったのにと思いました。
[インターネット(字幕)] 7点(2018-02-20 19:06:50)
22.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
公開当時はベトナム後遺症ものの一つとして理解されていましたが、現在の目で見れば、本作には時代や社会に縛られない普遍性があるということがわかります。トラビスがベトナム帰りであるという点は、銃器やナイフの扱いに慣れているという便宜上の設定に過ぎず(完全な素人では、クライマックスの大殺戮が荒唐無稽になりすぎてしまう)、作品の本質には何らの関係がありません。誰にでもある心の闇、それが克明に描かれているからこそ、本作は40年近くに渡って見続けられているのだと思います。。。 トラビスを完全な基地外ではなく、多くの人にとって心当たりがある範囲内でズレた人にしたという設定は、極めて秀逸でした。人と接したいんだけど、うまく立ち振舞うことができない。シビル・シェパードをナンパする時にトラビスが着ていたジャケットの絶妙なダサさ加減が(なぜ小豆色をチョイスしたんだ、トラビス)、何とも言えない哀愁を漂わせています。さらには、初デートでもこのダサいジャケットを着てくる。トラビスにとって唯一のおしゃれ着であるという点が二度泣かせます。初デートの失敗についても、彼らの周囲にはカップルが多く座っており、完全アウトの行為ではなかったという点が哀れみを誘います。ただ初デート向きではなかっただけなのですが、トラビスにはそれが分からなかった。デート先の選定ミスは男であれば誰もが経験することですが、迷惑そうなシビル・シェパードの表情と、気まずさ漂う二人の間の空気感には、自分自身の苦い経験を思い出させられるほどのリアリティがありました。。。 いくつかの失敗を重ねたトラビスは世間との関わりを諦め、自分自身の世界に閉じこもるようになるのですが、「今のみっともない自分は、本当の自分ではない。自分は、何か大きなことを成し遂げられる人間のはずだ」という漠然とした自信や、「自分を踏みつけた人間達に、いつか目にもの見せてやる」という復讐心は、誰しもが持つものです。こうした負の感情は映像化しづらいのですが、これを見事に映画で表現できているという点が、本作を傑作たらしめている要因だと思います。。。 ラスト、ちょっとした街のヒーローになったことでトラビスの虚栄心は満たされ、職場の同僚と談笑したり、自分をフった女とも大人の会話ができるようになる。あれだけ人を殺しといてオチはこれかいという脱力感も、本作のテーマに沿っていると思いました。
[DVD(字幕)] 7点(2014-02-15 15:52:15)(良:3票)
23.  第9地区
有名な話ですが、本作の元となったのはTVゲーム『HALO』の映画化企画です。『HALO』の実写CMで高い評価を受けたニール・ブロムカンプが監督に起用されていたものの、ピーター・ジャクソンとマイクロソフトが条件面で衝突して『HALO』は頓挫。しかし、せっかく集めた人材や、重ねてきた芸術的協議を捨てるのは惜しいということで、急遽、ブロムカンプの短編映画を長編化したのが本作だったというわけです。突貫工事で製作された本作なので、その生い立ちに起因する作りの粗さみたいなものは随所に現れています。。。 まず、基本設定に光るものがありません。本作の元ネタは1988年の『エイリアン・ネイション』だと考えられるのですが、元ネタを上回るアイデアを提示できていないため、SF映画としてのサプライズには乏しいと感じました(B級映画『エイリアン・ネイション』に見向きもしなかった評論家先生達は、本作を「斬新だ!」と言って絶賛したようですが…)。ディティールについても同様で、宇宙船の燃料を浴びたことでヴィカスの変身が始まるということの原理がよくわからないし、怠け者ばかりのエビ星人の中でクリストファー・ジョンソンだけが行動力と科学知識を持っていることの理由も説明されません。意図的に説明を省いている部分もあれば、そうでない部分もあり、全体として見ると設定が煮詰めきれていないように思います。さらに、SFを通して人種問題を語るという姿勢も、何だか青臭く感じました。SFはしばしば現実社会の写鏡として利用されますが、本作の主張はストレート過ぎて説教臭くなっているのです。。。 ただし、「観客の心を容赦なく刺激する」という点において、本作は確実に成功を収めています。主人公が徹底的にいじめられ、その後、凄まじい反撃をする。アクション映画の基本中の基本を守ることで、驚くほどエモーショナルな物語に仕上がっているのです。また、エビ星人の描き方も秀逸。最初は気持ち悪く感じていたエビ星人に対して、中盤以降は愛着を覚えてしまうという不思議。架空のキャラに魂を吹き込むという点において、本作は突出しています。その他、メカ描写や銃撃戦の迫力には目を見張るものがあったのですが、これらについては『HALO』で積み重ねてきた知識や技術が十二分に活かされています。手持ちの技術・人材で出来ることは何かという点を冷静に分析していたピーター・ジャクソンは、さすがの采配でした。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-12 02:28:44)(良:2票)
24.  タイタニック(1997)
構造はターミネーターと同じで、不満を抱きながら日常を送っている女性の元にある日イケメンが現れ、襲いかかる脅威から全力で自分を守ってくれる中で愛が芽生え、数日の間に一生分の恋愛を経験するという女のファンタジー。このイケメン、顔だけでなく中身も完璧で、ありのままの自分を愛してくれると同時にいざという時には身を呈して守ってくれる理想の男性。このように少女マンガみたいなベースにアクションを作るのがキャメロンの独特なところです。ただ、ターミネーターの時にはこの傾向にもさほど違和感はありませんでしたが、タイタニックでは特殊な方向にまで進化しています。女性視点で話を展開するどころではなく、フェミニズムへの迎合が見えるのです。「女だからと言って自分の人生を生きられないのはイヤだ」というローズの嘆きはかなりストレートで、女性を縛りつける昔ながらの社会をはっきり悪と位置付けています。婚約者キャルはローズを束縛し、思い通りにならなければ暴力も振るうDV男だし、その対極にあるジャックは「君は人として自由になりなさい」とローズを導きます。キャメロン作品には珍しく一方的な価値観が作品を貫いており、それは物語のバランスを崩しかねないほど。不満があるにせよれっきとした婚約者がいるのに、昨日今日出会ったばかりの男とフラフラ遊び回るのはさすがにマズイでしょとか、貴族社会が息苦しいと言っても、庶民では一生食えないものを食い、欲しいものをいくらでも買えて貴族社会に属する恩恵も十分受けてるんだから、ちょっとはガマンなさいよとか、この映画のモラルには脆弱な部分がいくつもあります。悪役とされるキャルにしても、貴族社会の中では十分浮いているローズの行動を忍耐強く見守っており、また彼女を取り戻すべく沈没寸前のタイタニックに残るなど彼なりに彼女に対して最大限の愛情を注いでいて、一方何不自由なく生きられるはずのローズを貧乏生活に引き込もうとするジャックが正しいとも言い切れません。つまりこれは女性の自立を絶対的な善とするフェミニズムに立脚した物語であり、これをなぜ男性であるキャメロンが作ったのかはよくわからないところです。別に私はフェミニズムが悪いとは思わないのですが、一面的な主張がこの作品の奥行きを奪っているのは確か。ローズの母やキャルの思いも平等に描いて観客に考える余地を与えていれば、もっと良い映画になったと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2009-01-02 03:39:46)(良:3票)
25.  ダイ・ハード2
通常の映画がクライマックスに持って来るレベルのアクションを次々に見せつけられて所見時は大興奮でしたが、現在の水準から見てもアクションは特盛大サービス状態。「1」を超えるものを作ろうとひたすらスケールの拡大、見せ場の充実を図っているのですが、「これ以上やりすぎるとかえって緊張感がなくなる」というギリギリのところでうまく踏みとどまっているので、満身創痍で戦っている生身の感覚がまだちゃんと残っています。アクションの自家中毒に陥っていた「3」「4」よりはひとつ上の仕上がりと言えるでしょう。また、レニー・ハーリンを監督に引っ張ってこれたのも幸運で(「エイリアン3」の監督に内定するなど、当時はハリウッド中が注目する若手監督でした)、この人の手腕が作品にかなり貢献しています。「動く歩道を起動させ銃をキャッチ!」「迫りくる飛行機からギリギリで身をかわす!」と、バカバカしいまでのカタルシスをバッチリ味わわせてくれます。中でも白眉なのが飛行機爆破からの脱出で、外には銃を構えたテロリスト、ドアはロックされ完全に身動きの取れなくなったところに山ほど手榴弾が投げ込まれ絶対絶命のピンチ!→寸前でコックピットからズドーンと脱出!という稀にみる大脱出の演出は本当にすごかった。「1」の屋上ダイブではまだボヤく余裕のあったマクレーンですが、ここではシリーズ中もっともテンパった顔となっており、見ている私も一緒に手に汗握った名シーンでした。また、悪役の見せ方もなかなか良いです。ハンスのようなスマートな敵はもう作れないと判断したのか、今回の悪役は筋肉隆々の肉体派揃い(変な方向に行ってしまった「3」「4」を思うと、この判断は成功だったと言えます)。しかもボスクラスが3人とこちらも質より量で勝負していますが、フルチンで妙な空手を披露するボスの登場にはじまり、空港ホテルを隊列を組んで歩く私服テロリストのみなさんなど、物凄くヘンなんだけど訳のわからん威圧感や凄味をワンシーンで伝えることに成功しています。体どころか顔まで筋肉で出来ているかのようなウィリアム・サドラーが存在感をムンムンに放っていますが、他の作品の彼は全然パっとしないことを思うと、ハーリンがいかに効果的な見せ方をしていたかがわかります。以上、かなり良い出来の映画なのですが、奇跡的な完成度だった「1」があるので損をしている作品ではないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-29 17:58:35)
26.  ダンス・ウィズ・ウルブズ
馬のシスコ君がかわいかったです。俳優の演技にビックリして、たまにリアクションとかしてたし。蹴る鳥を見るとどうしても「マーヴェリック」でのセルフパロディーを思い出してしまいます。あのバカ演技は傑作だったので。あと「ラスト・オブ・モヒカン」と言いこれと言い、ロン毛のインディアンはいいやつで、モヒカンのインディアンは悪いやつというのは事実なのでしょうか?
7点(2004-08-27 13:18:44)
27.  ダブル・チーム
まずは、ヴァンダム、ロッドマン、ロークという「俺が俺が」の人が3人も揃って、よく映画ができたなぁと感心しますね。この3人の存在が示す通り、全編に渡ってケレンと勢いとハッタリのみで構成された、正しすぎるアクション映画です。とにかく暴れまくりますねぇ。最高です。メガフォースみたいな軍事車両の暴走に始まり、爆破、回し蹴り、銃撃、回し蹴りの連続。足にナイフ仕込んだハゲとの戦いには、世にもあんまりなキャラ設定とクンフーの合わせ技に発狂しかけましたよ。ヴァンダムとハゲの両方にブチ蹴られてたデスペラード兄さんも笑わせました。さらにはヴァンダムVSトラ!言うは易し、行なうは難しの見本のようなアクションでした。ちょっとそこ、パクってんじゃないよ、グラディエーターの人ら。ただし、編集がめちゃくちゃで訳がわからないシーンがいくつかあったのが残念。そんな破綻ぶりさえ味かなと思えるほど、フライング気味な映画ではあるんですけど。ちなみにツイ・ハークは「この映画は007みたいにしたかった」って言ってるんですけど、どうすれば007を目指してこんな映画になったんでしょう?いや、結果的には正しい映画ではあるんですよ。男子中学生の気持ちで見れば。あと、DVDの画質がムダにいいのも、なぜか笑わせてくれます。
7点(2004-08-03 12:49:40)(笑:2票)
28.  大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 《ネタバレ》 
子供に付き合っての鑑賞でしたが、大きなお友達への配慮も随所に見られる良作でした。 ベリアル単騎でのウルトラ大虐殺はシリーズ史上最高ともいえるほどの盛り上がりを見せます。「こいつに勝つ方法はないのでは」と観客を不安に陥れるほどのベリアルの無双ぶりは、大ボス登場場面として百点満点ともいえるほどのインパクトの強さ。さらには、その過程ではグレート・パワードといった10年以上ほとんど無視の状態が続いてきた戦士達がモブとしてきちんと登場するというネタの細かさ、また、父・ゾフィ・タロウといった身内でも特に強いとされてきた戦士達がベリアル相手に善戦するという描写も気が利いており、私が幼少期より児童書等で読んできた情報がすべてブチ込まれたゴージャスな見せ場となっています。ここだけでも本作は見る価値がありました。 ただし、後半になるとやや失速します。虐殺時点で光の国を不在にしていたウルトラ戦士達が結集し、ベリアルへの反撃を開始するのですが、最後の最後、ウルトラマンゼロ参戦でウルトラ側に不利だった戦況が一気に逆転するという結構いい加減な展開には脱力させられました。しかもゼロ、修行を終えたばかりの新米戦士ですからね。ゼロと、ゼロに稽古をつけていたレオさえ光の国にいれば初戦の時点でベリアルを排除できていたのではないかという超展開で、その他のウルトラ戦士達は一気に立場を失ってしまいます。それまでヒーヒー言いながら飛び回っていたメビウス(一応はゼロの先輩)なんて、主人公としての立ち位置すら奪われてしまうという不遇ぶり。これをカタルシスと捉えるか、梯子外しと捉えるかは微妙なところですが、私はあまり好意的な評価をできませんでした。前半の出来が良かっただけに、後半の粗さがやや目に付きます。
[インターネット(邦画)] 6点(2017-04-24 13:35:36)
29.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
何の予備知識もなく鑑賞したので、フィリップ・シーモア・ホフマンはドイツ駐在中のCIA職員か何かだと思っていたのですが、途中でドイツの公務員であることに気づいてビックリ。ドイツ訛りの英語を話すアメリカ人俳優をドイツ人とみなすというハリウッド式の無茶設定は、そろそろやめてもらえませんかね。その他、主要登場人物は設定上の国籍に関係なくアメリカ人が演じているのですが、これまたややこしいのがロビン・ライト演じるCIA職員の存在であり、ドイツ人役を演じているアメリカ人俳優と、アメリカ人役を演じているアメリカ人俳優が同時に出てくるため、なんとも妙な気持ちにさせられます。 内容は地味です。007やミッション・インポッシブルのようなカーチェイスも銃撃戦もなし、主人公は中年太りのフィリップ・シーモア・ホフマンだし。テロの黒幕の正体を暴くといった類の謎解きもありません。怪しい奴はすでに分かっており、人権や法律といった社会的制約条件、さらには監督省庁間の縄張り争いもある中で、これをどうやって追い込むかという点が本作のハイライトとなっています。同じくジョン・ル・カレ原作の『裏切りのサーカス』もそうでしたが、手続きがじっくりと描かれているのです。アクション映画のような瞬発力はありませんが、「ほ~」と納得しながら見ることはできました。 また、「テロリストを捕らえる」という命題に向かってどのような方法をとるのかについて、アメリカとヨーロッパとの違いが描かれている点も興味深く感じました。正常な範囲内でのナショナリズムや愛郷心を刺激されてテロ協力者にはなっているが、本人に反社会性はないというケース。ヨーロッパ当局は彼らをターゲットとはせず、真の悪党を捕まえるための協力者としてこちらサイドに取り込み、成功の暁には元の社会生活に戻してやるという方法をとります。これはテロ協力者に対する温情ではなく、当事者の本質を見極めた上で、もっとも効率的と考えられる方法なのです。一方でアメリカはこれら悪意のないテロ協力者でも片っ端から捕まえて回り、その結果、第一目標であるテロ首謀者にはたどり着けないわ、本来悪人ではない人間を本当のテロリストに変えてしまうわと、即効性があるように見えて実は物凄く非効率な方法をとっています。こんなことしてれば、いつまで経っても対テロ戦争は終わらないわなと、妙なところで納得してしまいました。
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-28 16:05:27)
30.  ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 
ガリガリに痩せたマシュー・マコノヒーの姿を見た時にはお涙頂戴の難病ものかと思ったのですが、実際には多層構造のよくできた物語でした。もちろん映画の中心にあるのは難病だし、主人公がいつ死ぬか分からないという危なっかしさがドラマ性を高めているのですが、それだけに寄りかかっていない脚本・演出の姿勢は大いに評価できます。これは、ゲイを差別していた主人公が差別される側へ回るという逆転の物語であり、脱法手段で金を稼ぐ主人公の成り上がり物語であり、アウトローが巨大な権力と戦う物語でもある。そして、叶わぬ恋に生きる者の物語でもあります。愛する人と一緒にいられる幸福感と、その人は永遠に自分には振り向いてくれないという絶望感を同時に味わいながら生きるレイヨンがかわいそうで。命を縮めるとわかっていても麻薬依存から抜け出せないことに彼の苦悩が表れているのですが、それでも表面上は常に明るく振舞っていることとのギャップで泣かされます。。。 ただし、本作にはアメリカ映画の悪い点もドバっと出ています。それは、過度の単純化。作品内の対立構造をわかりやすくするために、既存の治療薬AZTをまるで毒のように扱い、これを販売する製薬会社は金目的で副作用を隠蔽し、これに認可を与えた役所は製薬会社から賄賂を受け取っているという、何とも酷い描写が続きます。ただし、事実は映画ほど単純ではありません。80年代にはエイズは社会問題であり、この難病によって人類が滅ぼされるのではないかという不安すらありました。そんな中、HIVウィルスを殺せるAZTは世界中から受け入れられていたし、当時から副作用の存在も知られていました。もちろん、薬の認可スピードが遅いというお役所体質は問題だったし、ロンのような活動家がこれに風穴を空け、受けたい治療を受ける権利の獲得に貢献したことは大きな功績ですが、それにしても本作の描き方はあまりに一面的すぎるように感じました。。。 薬や治療の認可とは難しいものです。患者側に多様な選択肢があることは一見すると良いことに思えますが、それは素人である患者が、自分の責任で治療法を判断せねばならないということでもあります。そんな中で、学術的な裏付けのとれていない治療法が溢れかえれば、適切な治療を受ければ助かっていた命が失われる危険があります。本作は過度の単純化によって、そうした社会的な切り口を失っている点が残念でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-10-04 01:54:40)(良:3票)
31.  ダークホース ~リア獣エイブの恋~ 《ネタバレ》 
人間の心に潜む闇を描かせれば天下一のトッド・ソロンズ監督の最新作ということで楽しみにしていたのですが(本作のひとつ前の作品はいまだに日本でリリースされていない)、これまでのソロンズ作品とは随分違うという印象を受けました。。。 ハゲでデブでオタクで、何の取り柄もないのにプライドだけは高いアラフォー男・エイブが本作の主人公。こういう残念な人は過去のソロンズ作品にも多く登場しましたが、本作のエイブについては対人関係における積極性があり、異性に対して強気のアプローチも仕掛けていきます。無気力か対人恐怖症の人物を主人公としてきた従来のソロンズ作品と比較すると、ここが大きく異なる点であり、勘違い男が的外れな行動をとりながらも恋路を爆走する姿からは、ジャック・ブラックの映画でも見ているような印象を受けました。彼の相手となるのは、メンヘル女・ミランダ。エンドクレジットでは「ミランダ(かつてのヴァイ)」と表記されており、この女性は『ストーリーテリング』でセルマ・ブレアが演じたヴァイの10年後という設定となっています。ヴァイとは、誤った正義感や責任感から弱者に対して過剰に肩入れし、本当は好きでもない身体障害者や有色人種との交際を重ねるイタい女子大生でしたが、本作においてもそのイタさは変わっていません。当初はエイブに見向きもしないものの、彼が可哀そうな人間であることを知ると態度を翻し、エイブからの求愛を受け入れます。一方、エイブは人間としてのまともな感覚を持ち合わせているため、このミランダの心変わりに異常なものを感じ取ります。。。 ここから映画は本筋に入るのかと思いきや、物語は予想もつかない方向へと舵を切ります。エイブが交通事故で瀕死の重傷を負い、彼の脳内の物語へとシフトするのです。この体裁をとることで部分的には面白い場面を作れてはいるものの(エイブが「俺の人生はキズ物だから交換して欲しい」とレジ係に訴えるが、「人生は交換も返品もできない」と断られる場面等)、全体としては展開の唐突さ、不自然さの方が目に付きました。従来作品にはあった、観客の心までを抉るような鋭い指摘も本作には見られず、それどころか、エイブに陰ながら好意を寄せる女性がいたことの暗示により僅かな希望までを匂わせており、ソロンズも随分と丸くなったものだと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-01-07 00:46:56)
32.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
フィルム撮りを愛し、新技術に対して懐疑的なスピルバーグがついに挑んだ3D大作だけあって、技術的には物凄いことになっています。これまで見たどの3D映画よりも滑らかかつ迫力ある立体映像は入場料分の価値あり。特に凄いのが、3枚の羊皮紙を巡ってのバイクとハヤブサとのチェイスシーンで、「もう一回見せて」と言いたくなるほどのパワーと迫力に圧倒されました。やはりスピルバーグはスペクタクルの巨匠なのです。キャラクターの演出も相変わらず巧いもので、タンタンの愛犬スノーウィは誰からも愛される理想的なパートナーに仕上がっているし、失敗ばかりのハドック船長を観客からウザがられる一歩手前で愛すべきおとぼけキャラの域に留めている辺りのサジ加減も抜群です。。。 ただし、全体としてはアニメーションという初体験のジャンルをうまく活かせていないように感じました。「謎を解く→次の冒険へ→新たな謎の発生」という点と線をつなぐストーリー展開は「レイダース」を思わせるのですが、アニメ作品としては少々込み入っているように感じました。もうちょっとスリムにすべきだったと思います。また、アニメ作品のひとつの醍醐味は実写作品では不可能なほどの青臭いメッセージを大真面目に主張できることなのですが(「アイアン・ジャイアント」「ヒックとドラゴン」etc…)、本作はアニメならではの熱さを盛り込むことをしておらず、「実写で撮ってもよかったのでは?」という印象を受けました。これらについては、監督を担当したスピルバーグ、オリジナル脚本を書いたスティーブン・モファット、それをリライトしたエドガー・ライト、その全員が実写畑の人だったことが原因ではないかと思います。アニメ界の人材をブレーンとして入れていれば、結果は違っていたかもしれません。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-04 09:15:33)
33.  太陽の帝国(1987) 《ネタバレ》 
スピルバーグ作品中でも注目度や知名度の低い作品ですが、今になって見るとスピルバーグ本人の中ではけっこう重要な作品なのではないかと思います。スピルバーグの感傷的な演出がこの映画ではほぼなくなっているのがまずひとつ。死人から靴を奪う、他人の食器を盗んで2人分の食料にありつくなど倫理的にいかがなことを平気で出来るようになることが主人公の成長として描かれてる上に人間関係もきわめてドライで、収容所内ではみんなで助け合って生きているように見えても、少し目を離しただけで自分の物を盗まれるなど結局は自分のことしか考えていない様子。保護者役をやっていたベイリーも慕ってくるジムに愛情をかけているとは言いがたいものがあります。キジ獲りの罠を仕掛けるエピソードでは、地雷が埋まっている可能性のある鉄条網の外へジムを行かせ、彼が生きて帰るかどうかを賭けるなんてことをやっているし、結局はジムに黙って収容所を脱走して姿を消してしまいます。損得関係なく唯一心を通わせていた日本人の男の子もベイリーに殺され、4年の間で作ってきた人間関係は完全に消滅。ひとりになったジムはようやく両親に再会しますが彼は両親の顔を忘れており、再会の感動もないまま死人のような無表情で話が終わるという絶望的なラスト。最近のスピルバーグならともかく、20年も前にここまでの映画を撮っていたというのは驚きです。また、死への執着というもうひとつの特徴がこの映画では見えはじめています。スピルバーグを語る上で死は不可欠な要素であるもののその性質が判明したのはシンドラーのリスト以降なのですが、この映画にはその後の彼を思わせる描写が見受けられます。冒頭からして揚子江に浮かぶ棺からはじまり、主人公は少年でありながら多くの死に直面します。しかも死に行く者がのたうち回ったり何か言い残して死ぬという映画にありがちな劇的な描写ではなく、何の言葉も発することなく気がつけば死んでいたという突き放したような死。死は刹那的に訪れるというのがスピルバーグの認識のようですが、それを映画の中ではっきりとやったのはこれがはじめてではないでしょうか。後にシンドラーのリストやプライベート・ライアンでやる演出のプロトタイプみたいなシーンもあるし、作品自体は少々間延びして退屈ではあるものの、スピルバーグのその後を思わせる描写がいくつもあるので見る価値のある映画だとは思います。
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-10 00:52:42)(良:3票)
34.  タップス
深夜映画で偶然見たんですけど、素直に「面白いじゃん」と思いました。まったり見るのに適した映画ですね。テレビ東京で日曜の昼にでも放送すればウケるんじゃないでしょうか。ショーン・ペンとトム・クルーズの共演作ってだけで、「いいもの見たな」って気分にさせられるし。現在から考えると2人の役柄が逆のような気もしますが、トムはトムでうれしそうに銃を乱射してたので、あれでいいんでしょう。
6点(2004-07-02 00:29:17)
35.  ダーケストアワー 消滅 《ネタバレ》 
よくある侵略ものなのですが、敵が電磁波宇宙人という点が本作の特徴。ビジュアルの鬼・ティムール・ベクマンベトフが製作を担当しているだけあって、特異な設定に負けない見せ場が準備されている点には感心しました。光を放つエイリアンが迫ってくる場面にはドキドキさせられるし、彼らを撃退する場面には燃えさせられました。ビジュアルだけに注目すれば、よく出来た映画であると評価できます。。。 ただし、映画として面白くないのが難点。大きな問題が2つあって、まずひとつは主人公に魅力がなく、彼らがどうなろうが知ったこっちゃないという気分にさせられるということ。エミール・ハーシュ演じるショーンには最後の最後までかっこいい見せ場がなく、「つまづいて転んだ」「銃が撃てなくなった」などと肝心の場面で足を引っ張り続ける姿には呆れるしかありませんでした。主人公なのだから、もうちょっと男らしく描いてあげるべきではなかったのでしょうか。次に、世界が滅亡の危機に瀕する内容でありながら、全編に渡って悲壮感が不足しているということ。『宇宙戦争』『クローバーフィールド』等、このジャンルの成功作は徹底した地獄巡りをその内容としていましたが、一方で本作は何となくのどか。容赦のない殺戮シーンが不足しているし、わずかな生存者たちも妙に前向きなので、作品に重々しさがありませんでした。
[DVD(吹替)] 5点(2013-02-26 01:14:47)
36.  TIME/タイム 《ネタバレ》 
アンドリュー・ニコルの作品は、SF映画として鑑賞すると落胆させられることが多いように感じます。大成功した『トゥルーマン・ショー』や傑作と呼ばれる『ガタカ』ですら世界観の作り込みが甘く、設定に腑に落ちない点が多すぎるのです。例に漏れず本作も、基本的な設定部分はボロボロ。ニコルはこの点を取り繕う気すらなかったようで、冒頭のナレーションで主人公に「なぜこんな世界になったのかは俺にもわからない」と身も蓋もないことを言わせる始末。ニコル作品はSFではなく寓話として観るのが正解で、基本設定へのツッコミは忘れてあげるのが作法のようです。。。 一部の大金持ちが貧乏人の命を搾取してその繁栄を維持している世界。ジュード・ロウ主演の『レポゼッション・マン』と同じく、サブプライム問題で露呈した強欲なアメリカ資本主義をデフォルメした内容となっています。はたまた、人類は不老不死の夢を叶えたがその夢を享受しているのは一部の金持ちだけという構図は、マイケル・ムーアの『シッコ』でも描かれたアメリカの歪んだ医療保険制度を象徴しているとも解釈できます。つまりこの映画が描いているのは未来世界ではなく、現代のアメリカ社会なのです。。。 そんな目の付け所は面白いし、これを『人生の残り時間が通貨となった世界』という図式にまで落とし込んだアイデアには脱帽させられますが、この映画が優れているのってそこだけなんですよね。主人公の行動原理にイチイチ不明な点が多いし(身の危険を冒してまで見ず知らずの金持ちを救おうとした理由は?100万年もの時間の強奪に成功しながらそれに一切手を付けず、ヒロインともども死にかけたのはなぜ?)、キレ者に見えて実はマヌケなタイムキーパーにもガッカリさせられます。特に目を引く見せ場があるわけでもなく、主人公がやることは全てうまくいくのでスリルやサスペンスの演出にも失敗しています。娯楽映画としては赤点寸前の出来なのですが、美しい出演者達(2006年の佳作『アルファ・ドッグ/破滅へのカウントダウン』の出演者多し)は見てて飽きないので5点としておきます。
[DVD(字幕)] 5点(2012-08-05 03:29:12)(良:2票)
37.  ターミナル 《ネタバレ》 
正直、微妙でした。やっぱりオチが中途半端だったのがイタかったですね。缶の秘密はどうでもよかったし、恋愛の落とし方はヘンだったし、グプタの自己犠牲はとってつけたようだったし、あれだけお堅い警備主任の突然の心変わりは不自然だったし。それぞれにじっくりとした描写が必要なシーンなのに、ほとんど説明なしで流されてるんですよ。おかげで、実に印象に残らないクライマックスになってしまったのが残念です。この後半って、実はスピルバーグ自身も手を抜いてたんじゃないの?とも思います。だって、念願のサインをもらいに行くシーンのあまりのこだわりのなさには驚きましたよ。話のすべてが収斂される重要な締めだと言うのに、タクシーでホテルに行き、本人に会い、サインをもらって、はい終わり。そんだけですからね。グプタおじさんの人生まで賭けさせた選択だったわりに、あまりに呆気なさ過ぎて参ってしまいました。それに、普通ならあそこでジャズの名曲をフルコーラスで見せるもんです。その音楽をバックに各登場人物の姿や、そこに至るまでのエピソードがフラッシュバックされ、最後には涙ぐむ主人公のアップ。それで感動を高めるもんですよ。しかし、主人公があれだけこだわったジャズの扱いはあまりにぞんざいで、スピから「はい終わりですよ」って言われてるような気がしました。そんなスピが見せたかったのって、やっぱり小ネタ満載の前半だったんでしょうね。前半は本当におもしろかったんですよ。強引に話を進めるのではなく、細かいエピソードを重ねてドラマを育むやり方って、実に好感が持てます。スピのコメディ演出の巧さには唸らされました。シリアスなわりに小ネタ満載の「マイノリティ・リポート」では「なんでこんなに悪趣味なの?」と笑うのをためらったものの(緊迫の追跡中、ロケットパックの炎でハンバーグが焼ける等)、今回の笑いはほのぼのしてて、実に気持ちが良かったですね。監視カメラVSトム・ハンクスや、グプタの曲芸などなど。この巧さが後半の感動にまでつながってれば、本当の傑作になったと思うんですけどね。
5点(2005-01-17 21:20:09)(良:2票)
38.  ダイ・ハード3
「ダイ・ハード」のレビューで述べたのですが、傑作「ダイ・ハード」のアクションのよさは、その凝り具合にあるんです。大味なようで実は細かいところまでよく配慮して作ってあるので、おかげで荒唐無稽なアクションにも味が出るんですね。その後のアクション映画は基本的に「ダイ・ハード」の影響下にありますが、それらがことごとく本家を越えられていないのは、派手さのみが先行して細部の作りが杜撰になったためです。で、同じ俳優、同じ監督で作られた「ダイ・ハード3」ですが、皮肉なことにこれもダイ・ハードシンドロームにかかってしまっています。わざとらしく並べ立てられた危機また危機には緊迫感のかけらもなく、安心して見られる作りに。いかに派手な見せ場を作るかのみに腐心したために、アクションから説得力が奪われたためです。ナンバーくじやダンプの盗難など、冒頭でわざとらしく並べられる伏線は細かい配慮とは言いませんよ。ちなみにこの映画で私的に一番おもしろかったシーンは、テロリストが手際よく金塊を強奪していくシーンです。このシーンだけはテロリスト側の周到な計画を流れるように見ることができ、やはり見せ場に流れは必要なのだなと感じました。その他のシーンはどんなに派手でも全然ダメ。アクションが話と連動しておらず、スポットのみになっています。話があちこち飛ぶのもよくなかったと思います。いい例が爆弾のタイムリミットで、これが演出上のスパイスになる予定だったんでしょうけど、話に焦点を絞り込めていなかったためにまったく効果をあげていません。ま、サービスに気を使いすぎたのが悪かったんです。あと細かい邪推を少々すると、ジョン・マクティアナンは「2」がかなりお気に召さないようです。「3」では「2」の話がなかったことにされてるのがいい証拠です。さらにマクレーンのキャラ設定にしても、「1」では脚本の時点ではタフだったマクレーンを、マクティアナンは意識的に普通の中年にしようとしたのですが(大正解!)、一転して「2」のマクレーンはアクションヒーローに。そして「3」ではその反動か、「1」とは比較にならないほどしがない刑事となっています。あそこまで情けない男にしなくてもよかったような気が。 
5点(2004-09-13 03:10:53)
39.  ターザン:REBORN 《ネタバレ》 
ターザンという映画の魅力って、ムキムキの俳優と本物の動物が絡むという見世物的な面白さだったという点を実感させられました。CGで作られたゴリラやライオンが、実写ではおおよそ不可能なアクションを見せてくれたところで、そこに感動はないのです。CGという技術そのものを否定するつもりは毛頭ないのですが、ターザンというコンテンツはCGで描かれるべきではなかったと思います。 お話も、ことごとく盛り上げ所を逃しています。例えばクライマックスの大決戦。ターザンとジャイモン・フンスー族長が和解し、いよいよオールアフリカでベルギーの傭兵部隊を襲うという熱い展開を迎えるのかと思いきや、こいつらが全然闘いに参加しません。役に立ったのはヌーの大群とワニぐらいで、ターザンの親友であるゴリラやライオンすら実戦での貢献が少ないので拍子抜けさせられました。本作は万事がこの調子。常に何かが足りていないために盛り上がりを逃しています。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-01-29 20:06:51)
40.  大脱出(2013) 《ネタバレ》 
日曜洋画劇場に育てられた私にとって、スタ・シュワは神のような存在です。その点において、私は本作が対象とするジャストの観客だと思うのですが、そんな私が見ても、本作の出来はいただけませんでした。。。 まず、スタ×シュワの競演という点が本作最大の売りとされていますが、二人の顔合わせは『エクスペンダブルズ』で終わっている以上、観客にとってそれほど大きな価値は持ち合わせていません。さらには、両者ともピンでの主演作が大コケしており、「夢の競演!」というカードを使うしかヒットを見込める道がないという台所事情も観客には見抜かれているだけに、往年のスターをただ共演させるだけではなく、全盛期であれば絶対にやらなかったことをやらせるくらいのファンサービスが必要だったと思います。しかし、この企画にはそうした工夫が足りていません。スタとシュワが会話したり、同じ画面で戦ったりしていれば、それだけで観客は喜ぶだろうという誤った前提で映画を作っているのです。。。 また、アクション映画としても非常に中途半端。派手なドンパチをやりたいのか、緻密な頭脳プレーを見せたいのかが製作者の中で固まっておらず、その結果、目の覚めるような見せ場もなければ、あっと驚くような展開もない、どちらに振れることもなくダラダラとやっているうちに脱獄成功という、本当にどうしようもない展開を辿ります。「難攻不落のハイテク刑務所!」とハードルを高く設定した割に、主人公達には大した困難が降りかかることはなく、それどころか、いとも簡単に協力者を得られたり、看守や所長がアホ揃いだったりと、当初は高かったハードルが勝手に下がっていくので萎えてしまいます。あえて懲罰房に入ることで刑務所の弱点を突くという方法を序盤で見せておきながら、本編においてもこれとまったく同じ方法で脱獄を試みるという愚かな構成は、さすがにどうかと思いました。”Escape Plan”というタイトルを冠してる割には、脱獄のバリエーションが少なすぎます。。。 本作を見ると、『エクスペンダブルズ』がいかに優れた企画だったかが分かります。ネームバリューのある老人軍団は看板を背負うだけで、派手なアクションは現役のアクションスター達にやらせることで、アクション映画としての体裁をきちんと守っていたのですから。動きに限界のある老人2人が共演したアクション映画は、本当に悲惨なことになっています。
[映画館(字幕)] 4点(2014-01-12 00:19:36)(良:2票)
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