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 > かたゆき さんの口コミ一覧
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  天空の城ラピュタ 《ネタバレ》 
これはやっぱりアニメとして描かれた冒険活劇映画としては世界最高峰クラスでしょう。天空から落ちてきた謎めいた少女シータを救ったことから、主人公の少年パズーが巻き込まれる、まさに誰もが胸躍らせる波乱に満ちた冒険物語。大空を縦横無尽に駆け巡る個性豊かな海賊たちと、謎の組織に奪われたシータを取り戻すために村を飛び出すパズー、そして次第に明らかになる天空の城ラピュタの伝説……。もう、これ以上ないくらいに思春期男子の心を高ぶらせてくれます(もちろん、それ以外の人たちも、ですが)。あまりにも優等生過ぎて、逆に物足りないところも無きにしも非ずかもですが、でもここまでオーソドックスな作りに徹した宮崎駿の手腕はやっぱり素晴らしいです。中1のころに観て、次の日、空を見上げながら「あの白い雲の向こうにおれも飛んでいけたらなぁ」と切なくなってしまったことを、今でも憶えています。
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-02 21:17:17)
2.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 
隕石が落下して地球が滅亡してしまう姿を、様々な人間たちの視線から描いた群像劇。もともと群像劇が好きな自分としては、この作品の個々のストーリーがどれもが魅力的なこともあって、今でも大好きな映画の一つ。諦めて父と津波に呑み込まれることを選んだ女性記者、反対にあくまで大好きな女の子と最後まで生きることを望んだ高校生、そしてどうせ死ぬなら英雄として死ぬことを選んだ宇宙飛行士たち。そんな人間の思惑など徹底的に意に介さず突入してくる無慈悲な隕石。この、無情とも思える臨場感はいま見ても相当なレベル。個人的には、イライジャ・ウッドにせめて赤ん坊だけはと託す彼女の両親が切なくて好き。
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-02 14:00:34)
3.  ディア・エヴァン・ハンセン 《ネタバレ》 
親愛なるエヴァン・ハンセンへ。今日はきっと君にとって素晴らしい一日になる――。内向的で誰にも心を開けない孤独な高校生、エヴァン・ハンセン。精神的に不安定で抗鬱薬を手放せない彼はある日、カウンセラーに言われるまま、自分へと手紙を書いてみる。それは誰にも読まれることなく自分だけの手紙になるはずだった。ところがその手紙は、学校一の問題児として有名だったクラスメイトのコナーが偶然手に取ってしまう。薬物を濫用し、ことあるごとに暴力沙汰を起こすコナー。そんな彼に当然、エヴァンは返してもらうように言う。ところがコナーは、馬鹿にしたような態度で手紙をポケットに仕舞うと、その場を去ってしまうのだった。数日後、エヴァンは学校から衝撃的な事実を知らされることに。なんとコナーは、長らく苦しめられてきた薬物依存の後遺症から自ら命を絶ってしまったのだ。そして、彼の唯一遺された形見はポケットに仕舞われていた〝親友〟への手紙だった――。それは自分が書いたもので、彼とは親友でも何でもない。哀しみに暮れ、エヴァンのことを息子の唯一の親友だと思い込んだ両親に、彼はそんな真実を言うことが出来なかった。さらにはコナーの妹ゾーイに密かに想いを寄せていたエヴァンは、自らが書いた文章を彼からのメールだと偽って両親に見せてしまう。すぐにばれるような些細で杜撰な嘘。だが、彼の唯一の〝親友〟として追悼集会でスピーチした彼は、精神的に苦しむ人たちの共感を一気に受け、次第に時の人となってしまう……。孤独で内向的な青年がついたとある嘘を巡り、現代社会で生きづらさを抱えた人々の間に拡がってゆく波紋を瑞々しく描いた青春ミュージカル。監督は、決して特別ではない人々の人生の光と影を美しい映像の中に描き出すスティーブン・チョボスキー。いかにも彼らしい、キラキラと光り輝くような映像と観る者の心に直接訴えかけてくるような音楽の融合は素晴らしかったです!薬物依存、発達障害、家庭内暴力、そして自殺……。ともすれば非常に暗くなりがちなこれらのテーマをあくまで明るくポップにミュージカルとして描くという離れ業を、決して嫌味にならず映像化してみせたこの監督のセンスには素直に脱帽です。見事な歌唱力を披露してくれた主人公は当然のこと、脇を固めるジュリアン・ムーアやエイミー・アダムスというベテラン勢もいい仕事している。彼が思わずついてしまった嘘は確かに許されることではない。それでも自分も若ければ、まして恋焦がれる女の子の気を惹くためなら同じことをしたかもしれない。そう思わせるところも巧い。彼の嘘がいつばれるのかとひやひやしましたが、この痛々しさもまた青春あるある。若いころ、自分も同じような失敗をいっぱいしてきましたしね。最後、全てを失ってもそれでも前を向いて生きていこうとする主人公には思わず共感。人は誰しも弱い生き物で傷つくことで成長してゆくのだということを改めて教えてくれる、青春ミュージカルの佳品でありました。お薦め!
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-18 05:12:53)
4.  テリー・ギリアムのドン・キホーテ 《ネタバレ》 
度重なるトラブルや資金難により、何度も何度も挫折を繰り返してきた映画『ドン・キホーテ』。何十年にもわたり、この映画の完成に執念を燃やし続けてきた鬼才テリー・ギリアムが、この度満を持して完成させることが出来ました!!いやー、長年彼の大ファンの自分としてはこれは観ないわけにはいきますまい。相変わらず支離滅裂で意味不明な内容なのに、最後まで見せきるのはギリアム御大の唯一無二と言ってもいい、この独創的な〝画〟の力。次から次へと繰り出される奇妙で摩訶不思議なキャラクターや世界観に僕は素直に圧倒されました。特に今回は、彼往年の名作『バンデッドQ』や『フィッシャー・キング』を髣髴とさせるネタが最初から最後までてんこ盛り。自らがドン・キホーテだという妄想に取り憑かれてしまった爺さんをはじめ、社会の枠からはみ出してしまった人々の乱痴気騒ぎは遊び心満載で素晴らしいとしか言いようがない。スマホやDVDが出てくる現代社会と騎士道やお城などの中世世界を自在に混在させ、最後は主人公の映画監督自身がドン・キホーテの妄想に取り憑かれていたという完璧なオチ。生粋のギリアムファンの自分としては最後までテンション爆上がりで見てしまいました。いやー、サイコーだぜ、ギリアム!!まあこれだけ待たせておいて、その割にはいまいちスケールが小さい感じは否めないですけど、僕は充分満足。とにかく今は、「ようやく完成出来て良かったね、お疲れさま、ギリアム」と言ってあげたい。
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-25 00:44:02)
5.  TENET テネット 《ネタバレ》 
時間と空間の魔術師、クリストファー・ノーラン監督の最新作を観てきました!!正直、内容の方はほとんど理解できなかったけど、「なんか凄い映画を観てしまった!!」感はビシバシ伝わりました!!その全体的な密度の濃さには素直に圧倒されたので、取り敢えず今は8点!レンタルされたもう一度見て、内容を確認してみます~。それで10点になるか6点になるか、どちらもあり得るのがまた凄い…。
[映画館(字幕)] 8点(2020-10-17 22:30:21)
6.  T2 トレインスポッティング 《ネタバレ》 
前作から20年、あのどうしようもないクズどもが中年になって帰ってきた!!前作をこよなく愛する自分としては、あの四人に再び出会えただけで感激ですわ。てか、20年も経ってんのにどいつもこいつも相も変わらずのクズっぷりに――シックボーイはヒモになってるおねーちゃんを使って美人局、スパットはヘロインが止められず相変わらずどん底生活、ベグビーはイタい性格が災いして長年の刑務所暮らし、そして前作でクズから脱却したかと思われたレントンも冴えない中年に――もう苦笑いしながら最後まで楽しまさせていただきました。何気にお遊び好きの女子高生だったダイアンが敏腕弁護士になっていたのも嬉しいサプライズ。ダニー・ボイルは歳とっても映像&音楽センスが全く衰え知らずですね~。なかなかナイスな続編の登場でございました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-04-25 23:11:30)
7.  ディス/コネクト 《ネタバレ》 
「ハイ、ベン、はじめまして。あたしの名は、ジェシカ。あたし、あなたの歌が好き。本当に感動的な歌だわ。あたしにも一曲作ってほしいなって今回、友達申請したの……」。地味で大人しい音楽オタクの高校生、ベン。ある日、彼はフェイスブックでそんなジェシカと名乗る女の子からのメッセージを受け、友達となるのだった。だが、彼は知らなかった。それは同級生である男の子のたちの悪い悪戯であることを。次第にエスカレートする“ジェシカ”の要求にのぼせ上がってゆくベン。彼が、自らのヌード写真をジェシカに送信したとき、それは取り返しの付かない悲劇へと転がり込んでゆくのだった。さらにはそこに、ネット詐欺に騙されて全財産を失ってしまった夫婦や、児童ポルノサイトでリアルタイムで自らの身体を晒す少年少女たちが複雑に絡まり合い、物語は更なる悲劇へと繋がってゆく……。ネット社会に潜む危険な落とし穴に落ちてしまった人々の悲劇の連鎖を、淡々と描いた哀切な群像劇。ほとんど予備知識もないままにこの度鑑賞したのですが、これが予想外に良い映画で僕はびっくりさせられてしまいました。何が良かったかって、とにかくこの抜群の構成力!!かなり複雑な構造のお話で、しかも登場人物もやたらと多いのに最後まで分かりやすく、かつ緊張感を一切途切れさせずに見せきるこの監督の手腕は相当なものだと思います。のみならず、映像や音楽も随所にセンスを感じさせ、その完成度の高さには素直に驚嘆させられました。物語の方も、人間の悪意や欲望が簡単に暴走してしまうというネット社会が孕む危うさを極めて冷徹に見つめたその視線の鋭さには、久々にガツンと頭を叩かれるほどの衝撃がありました。ネットとは便利な反面、人間をさらに愚かで残酷な生き物へと簡単に変貌させてしまう危険な側面も持っている…。登場人物たちが翻弄される、所々目を背けたくなる程のそんな理不尽な現実に観れば観るほど気が滅入ってくるのですが、最後、それでも必死に生きていこうとする彼らに僕は微かな希望を見出さずにはいられません。ネットというパンドラの箱を開けてしまった僕らは、もう二度と閉じることはできない。リベンジポルノやSNS炎上、ネットを発端とする未成年者による犯罪行為…。そんなますます生き辛さを増す現代のネット社会において、本作こそ真に観るべき映画の一つと言っていい。
[DVD(字幕)] 8点(2015-04-07 19:22:04)(良:1票)
8.  デイブレイカー 《ネタバレ》 
なかなか監督のセンスを感じる映画だった。吸血鬼を主人公にして人間と戦うという逆転の設定が存分に活かされて、何よりちゃんとした社会が形成されているところが良い。そして徐々に血液が枯渇していくという、社会の崩壊の恐怖がじわじわと不安感を煽っていき、ラストも巧くまとまっていた。完全太陽光遮断の車でのカーチェイスでは、従来のそれに弾痕からの日光も避けなければいけなくなるところなど、緊迫感も増していて監督の才能を存分に感じさせた。いまから次回作が楽しみだ。
[DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 11:44:12)(良:1票)
9.  デビル(2010) 《ネタバレ》 
それは、何処にでもあるような日常のとある一コマだった――。大都会の一等地に聳え立つ超高層ビル。上層階へと向かうエレベーターの一室に、偶然乗り合わせた五人の男女。年代も人種も職業も違い、まったく共通点のない彼らはただ偶然そこに居合わせただけだった。だが、その狭い筐体は動き出した直後、原因不明の不具合を起こし、すぐに動かなくなってしまう。どのボタンを押してもうんともすんとも言わず、唯一のドアはどれだけ力を加えても一向に開かない。警備員室へと繋がるマイクにいくら訴えても、向こうはただ落ち着いてくださいと繰り返すばかり。室内には不穏な空気が流れ始め、徐々に混乱してゆく彼ら。一瞬の停電のあと、とうとう第一の犠牲者が出てしまうのだった。果たして犯人は誰なのか?やがて彼らは気づくことになる。この事態の裏側には、超自然的な力が動いていることを……。とあるエレベーターの一室に閉じ込められた、何の関連性もなさそうな人々の駆け引きを描いたシチュエーション・スリラー。明らかに低予算で作られたであろう、いかにもB級なそんな本作、制作を務めるがとにかくアイデア一発勝負で映画を撮り続けるM・ナイト・シャマランということで、さして期待せずに今回鑑賞してみました。ところがどうして、これがなかなか見応えのあるスリリングな密室劇に仕上がっていて、僕の先入観はいい意味で裏切られましたね。とにかく緊迫感の煽り方が抜群に巧い!!こーゆー映画にありがちな、舞台はこの密室の中だけ、ストーリーを登場人物のやり取りのみで強引に押し進めたりせず、ちゃんと外部の視点も取り入れているのが大変グッド。おかげで物語にメリハリがつき、最後まで飽きさせません。がっつりオカルト要素を取り入れているのも最初はどうかなと思ったんですが、それも自然であまり違和感を感じませんでした。物語の焦点となる、密室内に閉じ込められたこの五人のうちの誰が悪魔なのかというミステリーの見せ方も巧い。ビル内に徐々に混乱が拡がってゆくとこなんて、なんだかパニック映画のような趣さえありました。この五人のキャラもそれぞれ個性的でちゃんとキャラ立ちしているところも良かったですね。あのおばちゃんが急に立ち上がってきたときは、「どひゃあ~」と思わずのけぞっちゃったし。最後のオチは若干強引で力技で押し切られた感はありましたが、総じて満足度は高い。うん、なかなか面白かった。7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-05 01:04:29)(良:1票)
10.  ディストピア パンドラの少女 《ネタバレ》 
そこでは最後に残された唯一の希望さえ、今にも消え去ろうとしていた――。謎の伝染病が蔓延し人類の大半が狂暴な化け物〝ハングリーズ〟と化した近未来。人々は強固なフェンスを張り巡らせその中で何とか身の安全を確保していた。軍部が管理する完全に外部と隔離されたその施設内で暮らす11歳の少女メラニーもまた、深い絶望の中に生きていた。彼女をはじめとする十数人の子供たちは常に独房に監禁され、外へと出る際は完全拘束された状態でしか許されなかった。何故なら彼女たちもまた謎の病原菌に汚染されているから。そう、彼女たちは〝ハングリーズ〟でありながらも思考能力を残している新種なのだ。彼らこそワクチン開発の決め手となるかも知れない唯一の希望だった。だが、優秀な科学者のもともう少しで人類の未来を取り戻せそうになっていた矢先、とうとうハングリーズたちによってフェンスが破られてしまう……。滅亡の危機に瀕したそんな未来社会で、明日の光を求めて彷徨う人々を描いたサバイバル・スリラー。といういかにもベタな設定の典型的なB級ゾンビものだと思って観始めたら、意外や意外、なかなかしっかりとした内容でけっこう面白かったです。特にこの人々がゾンビ化する謎のウィルスの発生源がある種のキノコというのは良いアイデアですね~。最後、このゾンビたちを栄養源としていた菌が発芽し、巨大なキノコとなって今にも胞子を撒き散らそうとしているというシーンは絶望感マックスで大変グッド。それに、大量のゾンビたちが徘徊する世界でのアクションもちゃんとツボを押さえていてなかなか楽しい。主人公であるメラニーも保菌者なので、いつゾンビ化してもおかしくないというのも緊迫感があって良かったです。ただ惜しいのは、ここまで徹底的に考えられた設定で始まったお話なのに、後半から徐々にその設定に綻びが出ちゃうところ。まず、日中立ったまま寝ている彼らの近くで間違って音を出しちゃったのに、それに気づくゾンビと気づかないゾンビがいるというのはおかしい。後半、普通に思考能力が残った子供ゾンビが急に出てくるのですが、彼らの存在に一切説明がなかったのも残念。ここら辺の脚本上の詰めの甘さをもう少し何とかしてほしかったかな。とは言え、最後のパンドラの箱の暗喩もばっちり決まってたし、絶望的な世界観もしっかり作り込まれていたし、主人公もけっこう魅力的だったしで、まずまず満足の内容でありました。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-11-19 23:37:41)
11.  テリファイド 《ネタバレ》 
理屈では説明できないような不穏な事件が相次ぐ、アルゼンチンのとある街の一画。排水溝から突然聞こえてくる謎の声、風呂場で不合理な死を遂げる主婦、そしてバスに轢かれて死んだはずの少年は次の日、無残な姿となってリビングに座っていた――。自分の手におえないと判断した担当刑事は、その手の超常現象を専門的に研究する科学者たちに調査を依頼する。やって来た彼らは、すぐにこの一画の家々に禍々しい何かがあることを直感するのだった。不審な事件が起こったそれぞれの家に泊まり込み、独自に調査を開始する科学者たちと刑事。やがて、彼らはこの世のものとは思えない凶悪な何かと対峙することになる……。アルゼンチンを舞台に、そんな理屈では説明できない現象に巻き込まれる人々の恐怖を独自のセンスで描いた新感覚ホラー。何の予備知識もなく、ギレルモ・デル・トロがハリウッドでリメイクすることが決定したということで今回鑑賞してみました。いやー、なかなかに禍々しい映画でしたね、これ。一軒の家から始まった呪い?が次々と周りに感染拡大していくという、いわばアルゼンチン版『呪怨』のようなお話なのですが、一つ一つのエピソードがいちいち人の神経を逆なでするいや~~~な感じのものばかりで、見れば見るほどじわじわと背筋に冷や汗が拡がってしまいました。特に、墓場から戻ってきてリビングにただただ座ってるだけのあの腐乱少年!気持ちは分かるけど、お願いですからもう大人しく帰ってくださいって感じでしたわ(笑)。なんか本家『呪怨』にも似たようなキャラが居てましたけど、こっちはこっちでやーーーな感じですね。他にも角度によって見える異形のじじいだとか、戸棚の中から血を吸う化け物だとか、目にガラスが突き刺さったじいさんだとか、けっこう濃いキャラ揃ってます。呪いの拡大はもはや阻止できないという後味の悪いオチもベタですけど、ホラーとしてはあり。南米独特の乾いた空気の中に日本的なじめっとした恐怖を融合させようというこの試みは、確かに新感覚と呼ぶべき新しいもの。デル・トロのリメイク版も今から楽しみな、なかなかの掘り出し物でありました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2019-12-26 23:26:52)
12.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
2003年、誰にも注目されずひっそりと単館上映された映画『ザ・ルーム』。だが、そのあまりにも支離滅裂な内容とあまりにも意味不明な演出の数々とあまりにも大根な役者の演技等によって、今世紀最大の駄作として評判を呼び、今やカルト作として一部で熱狂的な支持を得るに至っている。本作はそんな珍作の監督・制作・主演を果たしたトミー・ウィソーとスタッフたちの波乱に満ちたその撮影現場を描いたスラップスティックなコメディ。恥ずかしながら、僕はこの作品も監督を務めたウィソーのことも何も知らなかったのですが、いやー、良い感じのバカですね~、この人。有り余る自信だけは誰にも負けないけど、才能は欠片もない。現代のエド・ウッドとも呼ぶべき、そんな愛すべきバカなんですけど、奇跡的に何故か金だけは無尽蔵にあった。なので何億も掛けてこの映画を製作することが出来たのだけど、周りの人間にしてみたらほんと迷惑千万ですよね。途中から完全に駄作となると分かっていながら最後までこのバカに付き合わざるを得なかった、周りのスタッフたちの労力を思うとご愁傷様という言葉しか出てきません。でも、客観的に見るとなんか面白い。自分の信念に従って頑張ろうとすればするほど空回りするその姿はコメディの原点かも知れませんね。自分で書いた脚本なのに台詞をなかなかちゃんと言えず、何十テイクも撮影を重ねるなんてあり得ます?おかげで周りのスタッフたちの方が完璧に台詞を復唱できちゃうシーンには笑っちゃいました。そして紆余曲折の末になんとか完成し、盛大に金をかけて決行されたプレミアム試写会での失笑の嵐には、逆に変なカタルシスがありましたね。居合わせた主演女優の「これっていつまで続くの…」や「駄作だと思う俺が変なのか?」という言葉には笑わざるを得なかったです。いやー、なんかこの『ザ・ルーム』って映画、逆に観たくなっちゃいましたわ。うん、なかなか面白かったっす!!7点!!
[DVD(字幕)] 7点(2019-06-01 21:38:26)
13.  テルマ 《ネタバレ》 
厳格な両親に過保護に育てられた少女、テルマ。大学進学とともに大都会オスロで一人暮らしを始めた彼女は、生まれて初めて体験する様々な事柄に戸惑いを隠せない。初めての友達、初めての自炊、初めてのパーティ、初めてのお酒、そして初めての恋――。自分なりに折り合いをつけ、新生活にも少しずつ馴染んでいくテルマ。そんな中、彼女は学校で原因不明の発作を起こし倒れてしまう。偶然居合わせた同級生の女の子に助けられたテルマは、次第に彼女と仲良くなってゆく。やがて自分が彼女に恋をしていることに気付いてしまうのだった。そして、そのことをきっかけにテルマの回りで不可解な現象が起こり始め…。ノルウェー発、そんなミステリアスな若い女性の隠された真実を巡るサイコロジカル・ホラー。いかにもヨーロッパ的な静かで淡々と進むアーティスティックな作品なのですが、この監督の研ぎ澄まされた感性はなかなかのものですね。孤独な少女テルマの宗教的な葛藤がやがて説明できない不穏な事件を引き起こすまでを、北欧的な乾いた空気の中で先鋭的に描き出すことに成功しています。身体に纏わりつく蛇の悪夢や明滅するストロボ、氷の張った湖の底で泳ぐ魚など印象的なシーンも多く、特にプールで溺れかけたテルマが水面めがけて泳いでいったらそこが水底だったというシーンは忘れがたい印象を残してくれました。また、ストーリーの宗教的なバックボーンの扱い方もうまく、個人の感情と社会の倫理観の相克など深いテーマをさらりと開陳させる手腕の鮮やかさも見事。テルマは現代のキリストとして新たな価値観を作り出すのか?奇跡の力を手にした、そんな彼女の今後を想像させるラストなども深い余韻を残してくれます。調べてみると監督はデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーの親戚だとのこと。なるほど、この神経病資質な感性は血筋なのですね(笑)。若干思わせ振りが多すぎて、幾分か冗長な面もなきにしもあらずだけど、このシャープで研ぎ澄まされた感性は一見の価値ありです。
[DVD(字幕)] 7点(2019-05-12 22:54:02)
14.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
ルディ・コランダーを捜しだし、必ず罪を償わせる――。老人ホームで穏やかな余生を送っていたグッドマンは、一週間前に妻を亡くしたことから長年患っていた認知症の症状が酷くなり記憶が曖昧になることもしばしば。昨日何をしていて自分が誰なのかもおぼつかない状態のままその日も目覚めた彼は、自分が一通の手紙を手にしているのを発見する。同じ施設で暮らす老人が書いたというその手紙には、これから自分が何をなすべきかが事細かに書かれていた。「俺たちはアウシュビッツの生き残りでお互いの家族を皆殺しにされた。家族を殺した男の名はルディ・コランダー。奴は今も名を変えアメリカやカナダの何処かで平穏に暮らしているはずだ。いいか、君は奴を見つけるために今から出発しなければならない」。候補となる男は4人。密かに施設を抜け出したグッドマンは、手紙の指示通りに銃を手に入れ、かつての宿敵かもしれない人々の元を訪ねるのだが、認知症から次第に記憶が曖昧になってゆくのだった…。頼りになるのは一通の手紙のみ、果たして彼は無事にルディ・コランダーを捜し出し過去を清算することが出来るのか?人生の終末期を迎えた老人の孤独な復讐の旅を淡々と描いたサスペンス作品。いやはやなかなか魅せるじゃないですか、これ。目覚めるたびに記憶を無くす主人公が一通の手紙だけを頼りに復讐の相手を捜すという、言わば老人版『メメント』とも呼ぶべき作品なのですが、物凄く凝った構成をしていたあちらとは違い本作は非常にストレートに描かれているところがポイント。人生の最後に過去を清算したいという老人ののどかな旅路のように始まりながら、主人公の認知症が徐々に悪化してゆくことによってどんどんとサスペンス色が濃くなってゆくところなどなかなか巧い。主人公を演じたクリストファー・プラマーの熟練の演技の賜物もあって、最後まで緊張感を途切れさせることなく観ることが出来ました。途中に出てくるナチ信望者のおっさんなんか嫌らしさ全開で、彼の家での二人のやり取りなども不穏でいい。最後のオチは想定の範囲内でそこまで驚きもなかったのですが、全体的には充分面白かったと言っていいんじゃないでしょうか。過去の作品からこの監督にはあまりいい印象を持っていなかったのですが、本作でちょっと見直しました。やるじゃん!
[DVD(字幕)] 7点(2018-04-18 00:02:18)
15.  天才スピヴェット 《ネタバレ》 
そう、やっぱり明日ワシントンDCへ行こう。ぼくは研究者で、科学者だ。彼らはぼくを求めている。ここに残ったら、きっとぼくはくるくる廻り続けて一生を終えるだけの人生になるだろう。あのコウモリたちのように――。ウシやヤギしかいないような、のどかな牧草地が拡がるモンタナ州のとある田舎町。1日に3本しか列車が停まらないようなそんな地で、頭の堅いカウボーイの父親と虫のことしか頭にないような昆虫学者の母親、そしていつか有名になってテレビに出ることだけを夢見る姉とともに暮らすT・S・スピヴェットは、何処にでも居るような10歳の少年だ。ところがその小さな頭の中には大人も顔負けの天才的なひらめきと科学的探究心を併せ持った、将来のレオナルド・ダ・ビンチを自任する聡明な少年だった。ある日、彼の元に一本の電話が掛かってくる。なんと、彼が以前発明しこっそりスメソニアン協会に送った、磁力を元にほぼ永久に動き続ける画期的な〝永久機関〟が高名な賞を受賞したというのだ。式典で受賞スピーチをしてほしいという要請を一度は断ったものの、それでも保守的な田舎の雰囲気に違和感を感じていたスピヴェットの心は揺れ動く。何より、双子の弟が事故で死んだことをきっかけに心を閉ざしてしまった彼は、ある決意を胸にたった一人旅立つのだった。必要なものをたくさん詰め込んだボストンバッグだけを手に……。昔から唯一無二の独特の作風で知られるジャン・ピエール・ジュネ監督の最新作は、そんな一人の天才少年の一人旅をアメリカ西部ののどかで雄大な風景の中に描き出すロード・ムービーでした。飛び出し絵本を模したプロローグに始まり、スピヴェット少年の頭の中で考えた数式や分析をいちいち画面に映し出したり、家の電話に出るだけなのに順路を三つも考えて悩んだり、相変わらず遊び心満載の独自の演出手法はもういかにもジュネ監督印。『アメリ』や『ロスト・チルドレン』『ミックマック』をこよなく愛する自分としては、もうそれだけでわくわく感が止まらなかったです。特に、スピヴェット少年が一人ぼっちで列車に乗り込み、雄大な大自然の中をひた走りだしてからは、その軽快な音楽の力もあって凄くのめり込んで見入ってしまいました。うん、さすがジュネ監督!素直に面白かったです。ただ…、最後スメソニアン博物館で演説してから展開される家族との安易な和解劇は正直いらなかったかなぁ。ちょっとあまりに唐突過ぎて、無理やり良い話に纏めようとしたみたいな印象を僕は持ってしまいました。と、そこらへんに若干不満が残ったものの、惚れ惚れするほどの映像の美しさと遊び心満載のそのイノセントな世界観は今回も充分堪能させてもらいました。うん、やっぱりジュネ監督、サイコー!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2016-03-04 23:47:38)
16.  デッドマン・ダウン 《ネタバレ》 
凶悪なギャング組織の一員として、ボスの命令なら簡単に人を殺すことも厭わないヴィクター。数ヶ月前から謎の脅迫を受けるボスの忠実なしもべとして組織の中でめきめきと頭角を現していた彼だったが、ある日、向かいのマンションに住む女性ベアトリスに人を殺すところを見られてしまう。「このことを警察に知られたくなかったら、あたしの顔を傷物にしたあの男も殺して!」と、飲酒運転によって彼女の顔に傷を負わせた男への復讐を強要されるヴィクター。しかし、彼もまた数年前に起こった悲劇的な出来事によって心に深い傷を負った復讐者だったのだ…。都会の片隅で孤独に生きる男と女の互いの過去と未来がスリリングに交錯する重厚なクライムサスペンス。全編に都会の夜の空気を緊密に漂わせた濃厚な雰囲気とまったく先の読めないストーリー展開とで、僕は最後まで充分楽しむことが出来ました。うん、なかなか良かったっすよ、これ。感情を必死に抑制しながら淡々と復讐をこなしてゆくコリン・ファレルの静かな熱演は見応え充分でした。彼が、組織の一員を演じながらビルの屋上から仲間を狙撃するというシーンは、まあベタっちゃあベタですけど素直に手に汗握っちゃいましたもん。そんなヴィクターに結果的に騙されてしまうことになる親友役を演じた、ドミニク・クーパーもいかにも情熱的な若いチンピラって感じでなかなか良かったです。まあ、あんなに綿密に考え抜いた作戦(いくらなんでも回りくど過ぎるんちゃう?って突っ込みはナシよ笑)が狂っちゃったからって最後は一人で乗り込んでいって、「オラオラオラ!!」って銃撃戦で力ずくで解決しちゃうってとこはあれでしたけど(笑)。それでも静かな怒りを胸に秘めた男の重厚な復習劇としてだけじゃなく、心に癒しきれない傷を抱えた孤独な男女の大人のラブストーリーとしてもよく出来ていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-29 19:39:16)
17.  テイク・ディス・ワルツ 《ネタバレ》 
本当は小説家になりたかった、今はライターとして生活しているマーゴは、結婚して5年になる夫と共にアメリカの片田舎で平凡な日々を過ごしている。料理研究家の夫は物静かでとっても優しいのだけれど、彼女はそんな毎日に何か物足りなさを感じているのも事実だった。そんなおり、マーゴは近所に住む貧しいながらも画家志望の青年ダニエルと運命的な出会いを果たす。「駄目、夫のことを裏切ったりなんか出来るわけないわ…」と必死に感情を押さえ込むマーゴだったが、情熱的な青年ダニエルによって彼女の心のドアは徐々に開かれてゆくのだった。という前半のあまりにもな、一昔まえのレディースコミックのようなベタな展開に、「どうせ、この人妻が速攻でこのダンディな男と一線を越えて快楽に溺れてすぐに夫にもそれがバレてこの後ドロドロな展開が続くんだろー、あーあ、失敗したぁ」と辟易しながら観てたのだけど、意外にも主人公マーゴが全然そんな一線を越えないばかりかかなり切実に悩んでいくという展開(それに女たらしのジゴロ風だったダニエルもけっこう真面目な奴だったし)にだんだんと惹き込まれていきました。決して綺麗なわけじゃないしスタイルだってなかなかのぽっちゃり具合(かなりリアルなタイプの笑)なのに、中盤辺りからいつの間にか彼女のことを好きになっていく自分が居ました。確かに、あの何も悪いことしてないかなり善い人な〝夫〟側の視点で見れば、むちゃくちゃやり切れないストーリーではありましたけれど、まさにワルツを踊るようなセンス溢れる綺麗な映像で描き出された登場人物各々の繊細な心理描写とかなかなか良かったですね。特に、マーゴが苦悶の末に発した「デートの約束をしましょう。ただし、今から30年後の2040年8月5日午後2時に。場所はあなたと初めて出逢った場所。きっと来てね、ダニエル。35年も夫に尽くしたら、きっとあなたとのキスくらい許される…」という言葉にはラストシーンの余韻とともにかなりジーンときちゃいました。うーん、切ない!ただ、決して夫婦で観てはいけません。気まずくなります(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-02-08 23:12:19)
18.  ディヴァイド 《ネタバレ》 
なんの説明もなされないまま、いきなり冒頭から核戦争(らしき?)カタストロフィが巻き起こり、マンションの地下室へと追い込まれてしまった種々雑多な人々。地上に出るべきか、このままここで救助を待つべきか、各々に葛藤を重ねていたら、突然に現れた防護服姿の男たちによって唯一の扉が溶接されてしまう。「どうせ、低予算で作られた、よくあるB級SFじゃろう」くらいの心持ちで鑑賞してみたら、これが意外や意外、なかなか良く出来た密室劇で良い意味で僕の期待を裏切ってくれました。追い詰められて次第に獣性を剥き出しにする男たち、心の弱さからそんな男に引き摺られる婚約者、子供をさらわれ次第に狂気に捉われる母親、そしてそんな極限状況の中で必死に理性を保とうとする主人公エヴァ。確かに脚本上の瑕疵が目立つ作品ではあるけれど、それを補って余りあるセンス溢れる映像(ビニールで包装された無機質な通路や、銃を手に入れようとする時の変幻自在なカメラワーク、何より自らはなった業火に身を焼かれる狂った男の最期等)と、過剰なまでの暴力描写によって人間心理の深い闇を垣間見たような気がします。お金がかかっていそうなのは冒頭と最後のCG描写だけで、あとはずっと薄汚れた地下室だけで物語が進むという明らかな低予算映画なのだけど、監督の映像センスと役者陣の熱演、そして何より人の心を打つような映画を創ろうという情熱さえあれば、いくらでも面白い映画が創れるという見本のような作品でした。この監督の次回作にも期待したい。
[DVD(字幕)] 7点(2013-10-17 22:37:33)
19.  ディープエンド・オブ・オーシャン 《ネタバレ》 
3人の可愛い子供たちに恵まれ、現在子育て真っ最中の専業主婦ベス。手のかかることも多いが、優しい夫にも助けられ幸せいっぱいの充実した毎日を送っていた。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。子供たちを連れて高校の同窓会に出席した際、ちょっと目を離したすきに3歳になる次男ベンが迷子となってしまったのだ。当初はすぐに見つかると思っていたベスだったが、何処をどう捜してもベンの姿は見つからない。友人たちの助けでテレビでの公開捜査に踏み切るも何の手がかりも得られることなく、時間だけが空しく過ぎてゆく。罪悪感と喪失感からふとした瞬間に半狂乱となるベス。次第に険悪となってゆく家族。失踪から1年が過ぎたころ、ベスは残された子供たちのため気持ちに区切りをつけることを決意するのだった――。9年後、成長した長男や長女とともに穏やかな日々を過ごしていたベス。それでもベンのことを1日たりとも忘れたことはなかった。そんなある日、ベスはたまたま近所の少年を目にした瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けるのだった。その男の子は自分が思い描いていた成長したベンと瓜二つだったのだ。果たして彼は本当に9年前にいなくなった我が子なのか?警察とともに少年のことを調べ始めたベスはやがて衝撃の事実に辿り着く……。失踪した我が子を巡って人生を翻弄される母親の苦悩を描いたヒューマン・ドラマ。非常に丁寧に描かれた作品で、冒頭から流れるように続く子供失踪までの過程にまず惹き込まれました。その後、3歳の子供がいなくなってからの母親の苦悩はとてもリアルで、ミシェル・ファイファーの抑えた熱演の力もあり、見ていて痛々しいくらい。夫や残された長男の苦しみなども抜かりなく描かれており、この監督の演出力の高さは相当なもの。特に、自分のせいで弟が居なくなってしまったと自らを責める一方、弟一辺倒で自分を二の次にする母親に反発する長男の哀しみはダイレクトに伝わってきました。ただ、これはきっと意図してのことだと思うのですが、良くも悪くも軽いんですよね、この作品。心に重くのしかかってきそうなシーンもそうなる直前くらいにすぐ別の場面へと移行する。最後まで流れるようにテンポよく進んでゆく。きっとそれがこの作品の美点だと思うのですが、自分はもう少し魂を震わすような圧倒的な現実を見せつけるような物語が好みですかね。それは失踪したかもしれない次男が9年後近所で見つかるシーンで顕著になります。真相はネタバレになるので避けますが、いや、さすがに偶然が過ぎるんじゃないですか。そこの部分もちょっと引っかかってしまって、僕はどうにも物語に入り込めず。途中からほとんど出てこなくなる妹の存在も気になりました。と言ったわけで完成度は確かに高いとは思うのですが、好みの問題もあり自分はそこまで嵌まれませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2023-01-19 07:30:22)
20.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 
広大な銀河を支配する帝国の片隅にある、砂漠に覆われた小さな惑星デューン。宇宙空間の高速移動に欠かせない香料を唯一算出するこの惑星を巡り、強大な権力を有する皇帝とこの地を新たに統治することになった地方貴族アトレイデス家の間にきな臭い空気が漂い始める。やがて皇帝と結託したこの地を今まで支配していたハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家の当主は暗殺されてしまうのだった――。残された彼の一人息子であるポールは、命からがら母とともにデューンの砂漠地帯へと逃げ延びることに。そしてその地には、砂漠の中に住む強大な砂蟲を神とあがめる誇り高き先住民族たちが暮らしていたのだった……。壮大な世界観を有するSF小説の古典的名作を、独自の手法でこれまでにないSF映画を幾つも手掛けてきたドニ・ヴェルヌ―ヴ監督が実写化したという本作、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。いやー、この監督の演出は相変わらずくどい!!重厚で細部まで作り込まれた独自の世界観やスタイリッシュながら重々しいアクション・シーンなどは確かに見応えありましたけれど、ストーリーが余りにも静かに淡々と進んでゆくため自分は途中で何度かうつらうつらとしてしまいました。面白いっちゃ面白いんですけど、退屈っちゃ退屈。ヴェルヌ―ヴのこれまでの作品ってその両者のせめぎ合いの中で、最後まで観ると結果面白さの方が勝つというのがパターンだったんですけど、今回はぎりぎり退屈さの方が勝ったかなという印象。壮大なシリーズの幕開けということで仕方ないのかな。まあ次作に期待ということで。
[DVD(字幕)] 6点(2022-03-24 06:32:22)
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