1. ドンバス
《ネタバレ》 ドンバス戦争。ウクライナ東部・ドンバス地方に住む、親ロシア派ウクライナ人対ウクライナ政府軍の戦い(ですよね?)を、13のエピソードで描く本作。大友克洋の「気分はもう戦争」を思い出し、またタチが悪いことに松本人志のコントも彷彿させるような内容。観ていて、苦い汁がこみ上げる。観終わってしばらく、胸が押されるように具合が悪かった。「胸が苦しくなる」ってこういうことだったのね。こんなに胸くそ悪いのは「ファニーゲーム」以来。トラウマ映画第1位。0点か10点かのどっちか。で、ワタシは10点。こんな世界で生き延びられるような気がしません。 [映画館(字幕)] 10点(2022-05-31 09:38:32) |
2. ときめきに死す
《ネタバレ》 ある目的のために、北海道の南に集められた男二人、女一人。身勝手で、はかなげな工藤(沢田)に、海千山千の大倉(杉浦)と梢(樋口)が気持ちを寄せていく過程がいいです。いわゆる「いつまでも子供の心を持ち続けていたい」という寝言が一時流行りましたが、それの本物がどんなに残酷なもんか、ということを見せつけられます。見終わった後もBGMは、頭に鳴り続ける。森田芳光の傑作。 [ビデオ(邦画)] 10点(2007-08-26 18:09:22) |
3. ドロステのはてで僕ら
《ネタバレ》 過去テレビと未来テレビを合わせ鏡にすると、画面の奥にドロステ効果で、うんと先の未来を見ることができるという理論(というか屁理屈)を、ワタシ、ホントはあんまりピンときていませんが、そうだよねと思わせる威勢の良さ。おそらく未来永劫コンプライアンス的に大丈夫なように作ってあるし、つまり全世界で通用しそうな本作。ただ期待していた爆発力にはいたらなかったみたい。面白いんだけど、お行儀が良すぎる。頭のいい人が上手に作ったんだなあという感じがしてなあ。ラーメンズのコント(大好きですが)みたいなんですよ。また、舞台的お約束のなかで演じられれば気にしないだろう、テレビへの給電用のケーブルのことやシンバルの防弾性能が、映画だと気になってしまいました。などと、我ながら貧乏くさい文句をつけちゃいましたが、それは10点じゃない理由。もちろん、むちゃくちゃ面白かったです。 [インターネット(邦画)] 9点(2022-06-23 17:07:15) |
4. トライアングル(2009)
《ネタバレ》 このループから逃れるために真っ先に殺らなきゃならないのは、あらためて乗船してきた自分(ジェス)だよなとかね。類似作を選ぶとすると、だいぶジャンルは違うけど「マルコビッチの穴」だなとかね。レビューするときの事考えながら見ていましたが(たいがいそういうのはイマイチのことが多い)。まさか、トライアングルって、自宅~幽霊船~トライアングル号だったのね。いやいや、重篤な事件を起こした人間の心象風景って、まさにこんなもんじゃないのか。現実が遊離している。虚構で何重にも上塗りされている。これは、いいです。【追記】他の方のレビューを見て、なるほど。あの運転手、出で立ちがただ者ではないんですよ。頭髪の形とか。それっぽいです。 [インターネット(字幕)] 9点(2018-02-11 21:07:45) |
5. 東京物語
《ネタバレ》 ワタシは、笠智衆の奥さんの看取り方がとても心に残っています。いつまでも、残っていると思います。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-05-14 06:10:36) |
6. 東京家族
《ネタバレ》 現代風なアレンジは施しつつも、オリジナルの味わいを極力殺さないという非常に繊細な仕事。観終わってみれば、こんなことができるのは山田洋次監督しかいなかったのではないかと思ってしまう。あんまりにも繊細でストレスフルな仕事だったので、反動として「家族はつらいよ」を作ったのではないかと勘ぐってしまう。 [DVD(邦画)] 8点(2016-05-15 17:39:31) |
7. トイレット
《ネタバレ》 これは好きですね。足の付かないベンチに座っている姿。語らず、しかしすべてを了解しているような不思議な大物然としているばーちゃんが好き。「あそこ」からきれいさっぱり退場するすがすがしさ。荻上監督、「かもめ食堂」以来、何となく満たされていなかったあの気分を、全く新機軸で取り返してくれました。 [DVD(邦画)] 8点(2012-09-16 22:37:54) |
8. 時をかける少女(2006)
《ネタバレ》 大林監督の「時をかける少女」が大好きで、なんとなく躊躇して見逃しているあなた。あなたにこそ、見てほしい。「芳山和子」と「紺野真琴」は、まるで別人ですが、見終わったあとの何ともいえない感じは同じです。【再見150715】面白い。細田監督、最高傑作。 [DVD(邦画)] 8点(2008-01-06 00:22:37)(良:1票) |
9. 突破口!
《ネタバレ》 気になるところはあるけれど(①大事にしてた奥さんの止血を何故しないのか、②ラストシーン。周到なヴァリックが、なぜ自分の名前のついたつなぎを残していくのだ、足がつくだろ、③敵役のモリーががさつで魅力がない)、それを上回る良さがあります。ヴァリックに大きなオチはないんだけれど、追っ手が最速で迫ってくるところが好き。渋めのクライムアクションと思わせて、農薬散布用の飛行機対自動車なんてのもやるのね。トレーラーハウスのとなりに住んでるおばちゃんが良かった。乳製品を取りに家を出たら…のシーンがいいです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-16 11:31:51) |
10. トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
《ネタバレ》 この人は一体誰かに似ているなあと思いつつ鑑賞していましたが、漫画家(不条理日記、失踪日記)の吾妻ひでお氏にそっくりじゃないですか。芸術家気質は強いが、世の中が下手くそそうだった吾妻氏のことを時々思い出してみたりしてました。なんのこっちゃ。本作について。自分の才能を信じ切れる芸術家が最強なんじゃないでしょうか。ヘンテコな副題と、最後演説で終わらせるのがどうかとも思いましたが、面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-01 21:16:23) |
11. トイ・ストーリー4
《ネタバレ》 9年の歳月を経て、ワタシの方がこのシリーズの面白がり方がわかるようになってきたようです。ワタシ自身があちこち故障してきて、置き去りにされつつあるおもちゃの気持ちに寄り添うえるようになったから(なんちゃって)。ウッディの行動も、年取ると手前勝手になるんだよなあ、って解釈しています。今作は、バイクのディーン・カブーンが大ヒット!でした(前作のケンの役回り)。 [DVD(吹替)] 7点(2019-11-06 06:14:35) |
12. 殿、利息でござる!
《ネタバレ》 「国恩記」がどれだけ宮城県民に浸透しているか分からないのですが、郷土の埋もれた歴史をきちんとエンターテイメントに仕上げようという監督の心意気がいいんじゃないでしょうか。かつて、被災したふるさとを勇気づけるために、誰よりも早く仙台ロケでの映画を完成させた「ポテチ」の中村監督だけあるよ。とにかく真面目な話を丁寧に作っているという印象が好ましいです。 [DVD(邦画)] 7点(2016-11-15 22:54:44) |
13. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 初見時にはもっとラストでは、手のつけられない悪魔が問答無用に世に放たれる予感がしてしびれてたんですけど、そうだったんですか、政治家との癒着だったんですね。当時はともかく、いまの物差しで考えるとそういうのってなんかむしろ小悪党。あのころの未来っぽさがいい感じの味付けにならず、古くさい流行をみた感じがしました。いや、おもしろいっちゃ、面白いんですけどね。【追記】学生のころ、札幌のJabb70 Hallという小さな劇場で観ました。とってもかっこいい劇場でした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-26 22:22:44) |
14. TRICK トリック 劇場版 ラストステージ
《ネタバレ》 監督はあらかじめ、「終わりだなんて言っちゃって、またどうせやるんでしょ」と思っている観客を念頭に置いて作っている。でもワタシは今作で本当に終わらせるものとみた。TV版の初期のシリーズのようなシニカルで救いようのない展開はほぼなくなり、豪華なスター隠し芸大会を観ているような、トリックのセルフパロディをみているような最終話を残して、トリックが終わる。思った以上にしんみりとしているワタシがいる。まるで、しょうがない友達が、「いつまでもこんなことやっているわけにはいかないし」とかいいながら、田舎に帰ってしまったように。気持ちは、複雑。だから、決して投げやりなわけではないが、10点でも3点でもいいような気がする。中間の7点にします(なんだそりゃ、やっぱ投げやり?)。 [DVD(字幕)] 7点(2014-07-13 14:03:54)(良:2票) |
15. TOKKO―特攻―
《ネタバレ》 空襲後の東京を視察する昭和天皇の画なんてモノ初めて見ました。アタックに成功する特攻機を観たのも正直はじめて。ワタシ、不勉強です。違和感を感じたのは、特攻・戦争についての親族のみなさんのコメントが極当たり前であること。ワタシが話す内容と大差がないんだ。つまり本当に監督の叔父さんは何も語らず死んでいったのだと思う。特攻隊の生き残りといえば、飲み屋で「オレは死に損ないだ」とくだを巻くヒトと思っていた田舎のオッサンのワタシ。本作でインタビューに答えてくれたみなさんは勇気のある方々だと思う。しかしまだ話せないでいることが絶対にある。だから、こういうものがもっとたくさん出てくるといい。残り時間は本当に少ない。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-02 20:19:26) |
16. トータル・リコール(2012)
《ネタバレ》 ワタシには「マイノリティ・リポート」以来の未来都市話。描き込み方がとてつもない。質量をもっているのではないかと思えるくらいの映像。うちのちっちゃなモニターでは、いろいろと見落としたものがあるのではないかと思うと勿体ない。でも、もう少しこの状況が夢、幻覚または移植された記憶じゃないんだろうか、と疑心暗鬼に落ちる展開が欲しかった。ワタシ、ここまでかっ飛ばしてくれるのなら、夢オチでもいいと思ってました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-09 07:05:11) |
17. トゥルーライズ
《ネタバレ》 再見。近年の作ならトム・クルーズとキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」が好きな方にはおすすめ。ただ、二度目の観賞で一番印象に残っているキャラクターはアジス。ハリーを仕留めたと勘違いしたときにやっちまった「イエス!」。彼の信念と真逆なアメリカンなガッツポーズ。条件反射だったと思いますが、何だかそれがかなしくみえるくらい、必ず負ける彼に肩入れしながら見てました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-28 13:11:17) |
18. トウキョウソナタ
《ネタバレ》 健二君のピアノの腕前は、あまりにも出来過ぎ。きちんと整髪して受験した、彼の前に演奏した子ぐらいだともっと良かったかと思います。両親の年代とほぼかぶっていることので、あり得ない展開とはいえ、人ごととも思えない。トータルでは、好きな映画。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-18 21:30:38) |
19. トランスポーター2
あまりに強すぎて、観終わった後には、爽快感しか残らない。いいと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2011-02-18 23:30:52) |
20. 東京原発
《ネタバレ》 前半の密室劇は、約20年前の名著、広瀬隆氏の「東京に原発を!」を彷彿させながら、その後の原発界隈の動きを分かりやすく教えてもらい、満足でした。広瀬氏の本が、静かなベストセラーになっていた頃も、広瀬批判はありました。本作で、榎本教授の解説したことについて。制作者側は、観客が原子力発電所についてミスリードすることを意図している、とは思えません。ただし、様々な見解の違いはあるのだと思う。本作をきっかけに、まじめな原発論争が活発になっていれば、それこそ「天馬都知事」、あるいは制作者側の意にかなうところだったのではないでしょうか。でも、まー、そんなふうにはならなかったワケですね。【追記】段田安則さんは、いい役者です。もっと、スクリーンに出てきて欲しい。 [DVD(邦画)] 7点(2010-10-09 22:46:13) |