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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  ドント・ルック・アップ 《ネタバレ》 
人類は、あと6ヶ月と14日後に滅亡する――。地方大学で教鞭をとる冴えない天文学者ランドール・ミンディ。ある日、教え子のケイトとともに天体観測をしていた彼は、未知の巨大な彗星を発見する。意気揚々と軌道計算を行った彼はその結果に愕然とするのだった。なんとこの彗星は確実に地球へと向かっているのだ。しかもこの大きさの星が衝突すれば、人類は滅亡をまぬかれない。すぐさま政府と連絡を取り、大統領と面会したミンディ教授はことの重大性を訴える。だが、次の中間選挙と閣僚のスキャンダル対応にしか興味がない大統領は真面目に聞こうとしない。朝のテレビ番組に出演したり、大手紙のインタビューを受けるも、日々の生活に追われる市民は彼の訴えなどへらへらと受け流すばかり。そればかりか、彼の愚直なまでの真剣さが逆に笑いの種となり、次第にネット上で人気を博すように。そこに若者に絶大な人気を誇るカリスマ歌手や彗星に内蔵する希少な鉱物を狙うIT企業のCEOなどが絡み、事態はますます複雑に。そんな中、ミンディ教授自身もテレビで知り合った美人キャスターと不倫の関係になってしまう。そうこうしているうちにも地球を壊滅させる彗星は着実に近づいてくる……。これまで難解な社会問題を分かりやすい目線で見つめてきたアダム・マッケイ監督が、地球滅亡までの狂騒の日々を豪華キャストを揃えて描くディザスター・ドラマ。いやー、久しぶりに来ましたね。こういう、笑えないのに笑えちゃうシニカルなネタ満載のブラック・コメディ。登場人物誰もが余りに愚かすぎてもはや笑うしかないような気分で笑っちゃったのは、キューブリックの『博士の異常な愛情』以来なんじゃないかしら。とにかくアホばっかり。アリアナ・グランデ演じる?頭の悪いカリスマ歌手が、「空を見上げて、みんなもうすぐ死ぬの。でも、本当の愛は死なない」と切々と歌い上げるコンサートシーンなんて、バカバカしすぎて思わず爆笑。抜群に歌が巧い分、この内容のない歌がより心に響きますねぇ(笑)。何より大統領を演じたメリル・ストリープ!よく引き受けたなと思うほど、うざったい正義感を振りかざす嫌なおばはんをのびのびと演じていて?素晴らしかったです。金儲けにしか興味がない、いかにも偏屈なIT企業社長も良い味出してましたし。とはいえ肝心の内容の方はよく考えられている分、すこぶる怖い。保身や自己の利益にしか興味がないセレブ、SNSで身勝手な言動に熱狂する市民、暴動や略奪、乱交に走る人々……。ここまで人間は愚かではない!と言い切れないところが、この監督の巧いところ。いや、この監督って相当性格悪いですね(悪口)。それは最後の最後まで徹底していて、新たなエデンへと降り立った男女がみんな素っ裸のおじさんおばさんばかりというのも皮肉が効いていて最高でした。余りにシニカルなため、かなり人を選ぶと思いますが自分は最高に楽しめました。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-11-18 08:34:27)
2.  ドッグヴィル 《ネタバレ》 
アメリカ、ロッキー山脈の寂れた高山地帯にある小さな村、ドッグヴィル。15人の住民と7人の子供たちが暮らすこの質素な村にある日、ギャングに追われた美しい女性グレースが逃げ込んでくる。村のリーダーを自認する倫理観の強い青年トムは、行き場がないという彼女を匿い、しばらく村に滞在してもいいと提案するのだった。次の日、村の集会場でトムは、集まった住民たちに多数決をとる。どこの馬の骨か分からない女に当初は難色を示した住民たちも渋々トムの提案を受け入れ、満場一致でグレースを受け入れることに――。そうして始まったグレースと村人たちの共同生活。戸惑いつつも次第にお互いのいいところを見つけ、少しずつ心を許してゆく彼ら。和気藹々と平和的に暮らしていた住民たちだったが、ちょっとした些細な出来事をきっかけにそんな平和な日々が歪み始める。村人たちは自らも自覚していないような悪意の目をグレースに向け始め、やがて村は悪夢のような世界へと変貌を遂げるのだった……。数々の問題作を撮り続けるデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーがニコール・キッドマンをはじめとする実力派の役者陣をそろえて描き出すそんな地獄のような寓話劇。体育館のような閉鎖的な空間に白線を引いただけのセットに役者たちを閉じ込めて描き出された3時間を超える物語は、その長さを全く感じさせない濃密なものでした。とにかく脚本が素晴らしい。最初はみな純朴で優しくて善良な人のように見える人たちが、後半、その心の奥底に隠していただろう嫉妬や憎しみ、欲望といった醜い悪意を弱い立場のグレースに向け始める。この展開に少しも無理がなく、人間なんてこんなもの、そればかりか同じような立場に立たされたら自分すらこうなってしまうかもと思わせるところが見事としか言いようがない。トリアーさんはやはり人間が嫌いなんでしょうね(笑)。ニコール・キッドマン演じるグレースが村の人たちにいいように利用され、男たちは暇さえあればレイプするようになり、女たちは嫉妬心から蔑みの対象にする。大人たちに感化された子供たちまでグレースを物のように扱い始める。逃げ出そうとしたグレースを連れ戻した住民たちは、2度と逃亡しないように首輪を嵌め村に縛り付ける。もはやグレースは犬と変わらない。それを誰もが正しいことをしていると信じて疑わないところが怖い。まさに、地獄。そんな悪夢のような世界を唐突に終わらせるラストのカタストロフ。「どうだい、スカッとしただろう。クソみたいな人間は殺して当然なんて思っている君たちも結局、他人から見ればこのドッグヴィルの住民と大して変わらないんだぜ」とまるで画面の裏側でほくそ笑んでいるような監督の悪意……。人間の愚かさをこれでもかと見せつけてくるラース・フォン・トリアーの傑作でした。
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-03 15:33:06)
3.  トーク・トゥ・ハー 《ネタバレ》 
まさに変態純愛映画というジャンルを確立した(?)、ワンアンドオンリーな快作。事故により、意識不明の植物人間と化してしまった若く美しい女性を献身的に介護する孤独な看護師の男が、彼女を愛するがあまり一線を越えてしまう……。女性の人間性を徹底的に排除し、ただひたすら女の肉体のみを愛でるという、この川端康成晩年の傑作「眠れる美女」をも髣髴とさせるこの究極のフェティッシュな愛は、恐らく男にしか理解できない世界(いや理解できる男も少ないかもね)。そんな淫靡な世界を妖艶に美しく描き出している。そして、劇中劇として展開される、これまたまさに究極の変態サイレント映画も強烈だわ~。これは円熟期を迎えたころの、スペインが生んだ天才変態映画作家アルモドバルが創出した傑作だろう。もし、日本が世界に誇る変態大作家・谷崎潤一郎が生きていてこの映画を観たとしたら、是非ともその感想が聞いてみたい(笑)。
[DVD(字幕)] 9点(2013-04-26 15:33:39)(良:2票)
4.  12モンキーズ 《ネタバレ》 
『未来世紀ブラジル』で悪夢のような未来社会を見せてくれたテリー・ギリアム監督が、その路線を踏襲しつつちゃんと一般的な娯楽性も手にすることが出来た記念碑的名作。もう、冒頭のあの独特の12匹の猿マークがフォークダンスを踊るように回転する映像に、不気味にかぶさってくる音楽が見事過ぎてそれでもうハート鷲掴みです!そして話が進むに連れてどんどんと深まっていく謎、ぶっ壊れたブラット・ピット、相変わらず救いようのないオチ。どれもこれもが斬新で唯一無二なギリアム監督の傑作の一つ。大好き。
[DVD(字幕)] 9点(2013-04-21 19:58:36)
5.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 
最高にエネルギッシュで下世話でくだらなくて、そして最高に格好良い!!駄目な人間たちの駄目駄目な日常をこんなにまでスタイリッシュに描いた映画はかつて無い。イギー・ポップをバックに疾走する冒頭のレントンたちから、スコットランドで最高に汚いトイレに潜り込むレントン、禁断症状に苦しむ彼がベッドのなかで見る幻覚とか、もう映画史に残る名シーンになってるんじゃないかなー。音楽も雰囲気もセンスもどれもが最高っす!「自分がどうしようもない駄目人間で、そのせいで今がどうしようもなく悲惨な状況になったとしても、それでも生まれたからには、死ぬまで生きてかなくちゃしょーがないじゃん!!」全編に満ちる、そんな根源的だけど力強いメッセージが今でも大好き!!
[DVD(字幕)] 9点(2013-04-20 20:31:17)
6.  トゥルーライズ 《ネタバレ》 
こんなにお金かけた、こんなに馬鹿馬鹿しい映画はある意味貴重。冒頭から、バイクと馬のチェイスにはじまり、国家予算をフルに使った盗聴装置やヘリコプターで何故か妻の浮気調査、後半からは怒涛のアクションシーンががんがん続き、も、もうお腹いっぱい!っていう観客の予想を遥かに超えてジェット戦闘機で大暴れ。そう、映画ってなにやっても良いんです!落ち込んだときなんかに、ふと見返したくなる大好きな作品。
[DVD(字幕)] 9点(2013-03-25 12:59:18)
7.  トリプル・フロンティア 《ネタバレ》 
ここは常に凶悪な犯罪が多発する危険な地、ブラジル。そこでは麻薬取引や殺人が日常茶飯事と化していた。そんな常に危険と隣り合わせの地で日々、犯罪と向き合ってきたアメリカ軍特殊部隊員サンティアゴは、いつまで経っても出口が見えない任務に嫌気が差していた。そんなある日、彼は内通者の女からとっておきの情報を聞く。なんとこの地に長年君臨する麻薬王ロレアの秘密のアジトを発見したというのだ。しかもそこには彼だけでなく、麻薬取引で得た大量の米ドル紙幣も隠されているという。「毎週日曜に教会に行くというロレアの隙を突けば、彼の命を奪うだけでなく、その大金も我が物に出来るはずだ」――。そう直感したサンティアゴは、秘密裏に計画を練り始める。今や退役しアメリカで暮らす元同僚たちと連絡を取り、着実に計画を進めていくサンティアゴ。自らの人生に一発逆転を図るため、彼と仲間たちは密かにブラジルのジャングルへと向かう。危険は承知のうえだった。だが、完璧だったはずの計画は少しずつ綻びを見せはじめ……。鬱蒼と茂るブラジルのジャングルを舞台に、金に目がくらんだ男どものひりひりするような現金強奪作戦を描いたクライム・アクション。主演を務めるのは、人気俳優ベン・アフレックとオスカー・アイザック。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いやー、これがなかなか見応えのある犯罪ドラマの逸品に仕上がっておりました。麻薬王の現金を奪うため、危険をかえりみずに南米のジャングルへと分け入っていく男どもって、やぱ熱いですわ。最初はとんとん拍子で計画が巧くいき、調子に乗った彼らは計画よりもかなり多い額の現金を車に詰め込むのですが、ここら辺の緊迫感の煽り方はお見事。警備の人間が帰ってくるまであと10分、目の前には何億もの金、そりゃぎりぎりまで車に詰め込んじゃう気持ちは凄く分かります。こういう役をやらせるとベン・アフレックは巧いですね~。彼が生活に困っているという前半の描写がここで効いてきます。そして後半、この強欲のせいで重量オーバーとなったヘリが墜落。彼らは大量の重たい現金を前に途方に暮れることになります。現地でロバを調達し、なんとしても現金を持ってこの地を脱出しようとする彼ら。追手は迫り、責任のなすり合いから仲間割れが勃発、徐々に彼らは自滅への道を歩むことになる…。ここら辺のドラマの描き方も非常に丁寧。山腹で夜の冷気に凍えた彼らが、「どうせ持っていけないんだ」と何百万もの金で焚火をするシーンはなんとも皮肉が利いています。金に振り回される男どもの悲哀を充分堪能できました。8点!
[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-24 01:07:14)
8.  20センチュリー・ウーマン 《ネタバレ》 
1979年、カリフォルニア。女手一つで子供を育てるシングルマザーと思春期を迎えたばかりの一人息子、貧しいながらも必死で生きているそんな親子と微妙な距離感で絡んでくる様々な人々――。大恐慌時代から続く大変な時代を生き抜いた母親ドロシアは気が強い性格のため揉め事も多く心休まる時間がない。大人しい性格の一人息子ジェイミーは、ベトナム戦争の泥沼化や社会の閉塞感から自分の価値観の揺らぎに戸惑いパンクやニューウェーブに救いを求めている。彼の幼馴染である17歳の少女ジュリーは、厳しい両親への反発から家を飛び出し愛のないセックスを繰り返しつつもジェイミーとは友情を守りたいがためプラトニックな関係を続けている。他に親子の二階の部屋を間借りしている、子宮頸がんの疑いを申告された若き女性写真家や寡黙な陶芸家の男。そんな彼らの特に珍しくもないひと夏の物語を通して、20世紀に生きた様々な女性たちを俯瞰的に描くという野心に満ちた人間ドラマ。僕が昔から注目している若手女優エル・ファニングが出ているということで今回鑑賞してみたのですが、これがなかなか、とても完成度の高い秀作でした。本当にどこにでもあるようなありふれたお話なのですが、この監督のポップで瑞々しい映像センス、そして個々のエピソードへのきめ細やかな目配りによって、何処にもない珠玉の物語へと昇華させている。素晴らしい才能と言っていいんじゃないでしょうか。それぞれの世代を代表する三人の女優たちの自然体で魅力あふれる演技も、そんな物語に生き生きとした躍動感を与えることに成功しています。20世紀という言わば男たちが築き上げた時代を女性の視点から捉え直す、ポップでラディカルな物語、ぜひ多くの人々に観てもらいたい魅力あふれる良品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-10-13 00:32:27)
9.  トレジャーハンター・クミコ 《ネタバレ》 
東京の片隅で、お堅い金融機関のOLとして働くクミコ。もうすぐ三十歳になろうとしている彼女は、彼氏や仲のいい友達が一人もおらず同僚からも少し浮いた存在だ。唯一の同居人はうさぎのブンゾー。誰にも心を閉ざしひたすら孤独に生きてきた彼女のただ一つの心の慰め、それは90年代に公開されたコーエン兄弟監督の映画『ファーゴ』のビデオを何度も何度も繰り返し観ることだった――。そう、実話を基にしたというその犯罪ドラマの中で登場人物が埋めたという大金が、まだ実際に埋められていると彼女は本気で信じ込んでいるのだ。テープが擦り切れるほど何度も見返すうちに、いつしかクミコはその大金を手に入れるのは自分しかいないと本気で信じるようになる。やがて日常の様々なストレスに耐え切れなくなったクミコは、ある日、ついに行動にうつす。図書館で舞台となったノースダコタ州の地図を盗み出すと会社のカードを無断で使い、彼女は誰にも知られることなくノースダコタの凍てつく大地へとやってくるのだったが…。アメリカで実際にあったという日本人女性凍死事件を基に、神経を病んでしまったそんな一人の女性の孤独な旅路を淡々と描いたロード・ムービー。という設定だけ聞けば変なキワモノ系映画だと思われそうだけど(実際僕もそうでした)、これがどうしてなかなかの掘り出し物でした。主人公であるクミコは何らかの精神疾患(恐らく妄想型の統合失調症)を患っていると思われるのですが、この作品が優れているのは、そんな病んだ主人公目線で世界が描かれているところでしょう。他人から見ればどんなに荒唐無稽でイタい行動だとしても本人にとってはとても切実なのです。その切実さがちゃんと観客にも共感できるように撮られている。なかなかいいセンスだと思います。印象的なシーンも多く、前半の日本パートで描かれるクミコの鬱屈した日常生活、例えば剥き出しの黒いビデオテープをトイレに流したり電車の中にうさぎを置き去りにするシーンなど、異常としか言いようのない行動なのにどれも暗鬱な美しさに満ちています。一転してノースダコタ州に辿り着いてからの一面に拡がる奇麗な銀世界の映像も、クミコの心情の変化を的確に表していて感動的ですらありました。そんな今にも壊れてしまいそうなクミコという難しい役を静かに演じきった菊地凛子も良かったですね。客観的に見れば悲劇としか言いようのないお話なのだけど、人とは違う感性を持ったこのクミコという女性の切実さに僕は深く胸打たれました。人にとって希望とはなんなのか?終わった後もいろいろと考えさせられるなかなかの佳品と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2017-12-11 22:14:20)(良:1票)
10.  とらわれて夏 《ネタバレ》 
「さて、次のニュースです。今朝、刑務所から逃亡した凶悪な殺人犯は現在も逃走を続けています。彼の名はフランク・チェンバーズ、殺人罪で懲役18年の刑でした。警察発表によると彼はいまもまだ逃亡を続けており、近隣住民は不安な日々を過ごしています」――。1987年、アメリカの蒸暑い片田舎で思春期を迎えたばかりの息子と2人で暮らすアデルは、過去の辛い離婚が原因で精神的に不安定なシングル・マザー。生きる支えである最愛の息子ヘンリーと近所のスーパーへ買い物に行った彼女は、駐車場で逃走中の脱獄犯フランクに強引に車へと乗り込まれてしまう。息子の安全と引き換えにフランクはそのまま、アデルの家へも乗り込んでくるのだった。降ってわいた事態に、当然のように怯える親子。だが、フランクの殺人犯とは思えないその誠実な人柄に、母子はいつしか心を許していく。やがて、息子は離れていった父親の面影を、母は失われた愛を投影するかのように、そんな今にも壊れてしまいそうな危うげな日々に身を任せていくのだった……。脱獄した殺人犯に人質として囚われた親子が、いつしか擬似家族のような絆を結んでいったそんな刹那的な5日間を濃密に描き出すヒューマン・ストーリー。この監督の過去の作品は何度か鑑賞してきて、その人生の生き辛さや理不尽な現実をあくまで軽くポップに描くその作風は、まあ意図してのことではあると思うのだけど、なんだか妙に鼻について正直あまり好きではありませんでした。そんなわけであまり期待せずに彼のこの新作を観始めたのですが、これが意外や意外、男女の愛憎が濃厚に入り乱れる人間ドラマの佳品へと仕上がっていていい意味で裏切られました。いやー、なかなか面白かったですよ、これ。セックスシーンらしきものはほとんどないのに、この全編に漂う濃厚な性の匂いに僕はもう完全にノックアウトでした。この擬似親子関係を作り上げた3人が、手を混ぜ合わせてピーチパイを作るシーンなんて、そんじょそこらの官能小説より充分にエロティック!!対する思春期を迎えたばかりの悶々息子(笑)が、かなりおませな同級生の女の子にファーストキスを奪われ、「これであたしはあなたの忘れられない女の子になれたわ」なんて言われるシーンとかすんごく印象的(話はずれるけど、この女の子の蓮っ葉ですれたロリビッチな雰囲気、もろ自分のタイプっす☆笑)。最後の展開は確かにやり過ぎな感もあるけど、これはこれで良かったと僕は思います。うん、なかなかの良作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-12 02:23:20)(笑:1票)
11.  塔の上のラプンツェル 《ネタバレ》 
勤務先のアルバイトの女子高生が「ラプンツェル、あれ、ヤバかったです!もう最初から最後までキュンキュンきちゃいました!」とべた褒めしていたので、「どれ、じゃあ色んな経験をつんで酸いも甘いも噛み分けた中年オヤジであるわしのハートも果たしてキュンキュンさせられるかいのぉ~」と挑戦するかのような心持ちで鑑賞してみました。は、はは、見事に負けちまった…。ベタですけど、中年オヤジであるわしの薄汚れたハートにもちゃんとキュンときたではないか(笑)。確かに、童心に返りたい女子高生のハートを鷲掴みにするようなネタ(ラプンツェルのキューティクル感MAXな長い金髪、キモ可愛い相棒のカメレオン、最強の武器は何故かフライパン、そしてお調子者の泥棒とのちょっぴり切ない恋愛要素…)がてんこ盛り。ガミガミうるさいお母さんにうんざりしてる反抗期の女の子の心情にも憎いくらいに応えてくれてるしね。最後まで飽きさせない練られたストーリー展開、魅力的なキャラクターたち、適度なユーモア、そしてセンス溢れる美しい映像の数々…。こういう観客の求めているものをしっかりと把握して製作されただろうエンタメ映画も素直に素晴らしいと思います。先入観に捉われず、多くのわしのような中年オヤジの皆様にも是非観て貰いたい完成度の高い作品でありました。ラプンツェルのナイスなお転婆感が可愛いっす! でも、その職場の女子高生に「ありがとう、面白かったよ!」と伝える勇気はないけどね(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-18 11:54:13)(笑:1票) (良:2票)
12.  トラフィック(2000) 《ネタバレ》 
麻薬をめぐる様々な人間たちの熱い群像劇。普通、こういう社会派サスペンスってもっと重たい作品になるものだけど、この監督の〝軽さ〟が良い意味で活かされていて、最後までちゃんとエンタメ映画として楽しんで観れる。それに、ドン・チードルを始め、ベニチオ・デル・トロ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズたちの抑えた演技が随所に光っていて終わってしまうのが勿体ないと思えるほど良く出来た作品だった。特に、子供のために麻薬を売り捌くという母親の、善悪を超えて力強く生きていこうとする姿が強い印象を残す。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-20 16:33:01)(良:1票)
13.  時計じかけのオレンジ 《ネタバレ》 
人間誰でも一度は思ったことがあるであろう感情、「人に暴力を振るったり戦争を起こしたりするような人間なんか居なくなってしまえば良いのに」。それをキューブリックは非情にシニカルな乾いた笑いとともに映像化してしまった。人間を徹底的に洗脳し暴力や性欲とは無縁の表面上は全く無害な、まさに〝時計仕掛けのオレンジ〟にして、この世の中から暴力や戦争のない社会を実現してしまおう。でも、それが果たして人間といえるのか? 不条理な暴力や残酷な戦場は決してなくならない、だってそれこそが人間の真実の姿だから。それでも生きていかなければならない人間の業を、コミカルな笑いとともに力強く描いている。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-10 13:02:02)
14.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
これは完結編でしか出来ない内容で、そして1と2がこの作品を作るために作られた長大なプロローグなのではないかと思わせるくらい、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。子供が大人になるというのはどういうことか、そしてその過程で誰もが失っていくもしかしたら大切だったものを、ノスタルジックにそれでもちゃんとハラハラドキドキのストーリーのなかに見事に描き出している。とりわけ、このシリーズは良さは子供向けにも関わらず、人間ドラマ(玩具だけど笑)をしっかりと描いているところにある。あの悪役のピンクの熊のぬいぐるみが最後まで改心しなかったのは、ディズニー作品としては勇気がいることだったろうけど、見事だったように思う。おかげで、単なる娯楽作に終わらない深さのようなものさえ有している。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-03 12:28:00)(良:1票)
15.  トイ・ストーリー 《ネタバレ》 
フルCGアニメという新たなジャンルを確立し定着させたエポックメイキングな作品。やっぱり実写でも普通のアニメでも出来ないCGアニメならではのこの内容、スタッフたちの目の付け所の良さに感服。ウッディやバズといったいかにも正攻法の主人公たちの魅力もさることながら、細かい登場人物たちの遊び心溢れる生き生きとした姿も魅力的。とりわけ、シドの家の無残な姿に改造された玩具たちの、最初はモンスターのように描かれる彼らが実は悲しい被害者たちだったという姿は、子供たちに世界の不条理の片鱗を見せていて秀逸な演出だったと思う。そんな理屈を無視しても、大人でも充分に楽しめる上質のエンタメ作品。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-03 12:15:06)(良:1票)
16.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
個人的に苦手な監督の作品なのだけど、これは素直に面白いと思った。謎が解き明かされてからの展開はちょっとグズグズになってしまった感は否めないが、それでも歴史が誕生してから延々と繰り返されてきたあろう、男たちが最後は暴力で女を屈服してきた(そしてそこには必ずといっていいほど性欲が絡んでいる)世界に、必死で抗おうとするリスベットの姿が力強かった。相変わらず映像のセンスもいいし音楽もカッコいい。何より二時間半もあるし、登場人物も多いのに、それでも最後まで飽きさせずに見せる監督の手腕は見事。でも、過去の作品『ベンジャミン・バトン』や『ゾディアック』はやっぱり好きになれないんだよね。
[DVD(字幕)] 8点(2012-12-02 21:36:07)
17.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 
妻と娘を失い孤独に生きてきた舞台俳優と彼にドライバーとして雇われることになった若い女性。ともに生きづらさを抱えていた2人の交流を終始淡々と描いたヒューマン・ドラマ。原作は泣く子も黙る世界的大作家、村上春樹。基となった短編集はまだ読んでないんですけど、主人公たちが交わすセリフをちょっと聞くだけで「あぁ、これはもう完全に村上春樹だなぁ」と思わせるところが凄い。妻が亡くなる前の長いプロローグとも呼べるシーンで、主人公が妻とセックスしながらひたすら意味不明な会話を交わすところなんてまさにそう。片想い中の女子高生が好きな男の子の家にたびたび空き巣に入って最終的には人を殺す話をしながらエッチするってどんな夫婦やねん(笑)。その後、本編が始まってからも登場人物が交わす会話も全く同じ。よく言えば哲学的で深いのにどこかお洒落、悪く言えば空疎で薄っぺらく全編気持ちの悪いナルシズムに満ちている。やはり村上春樹の小説は映像化には不向きなんじゃないかと思わせたものの、中盤からは不思議とこのわざとらしいセリフ回しに心地良さを感じている自分がいました。それはおそらく、主人公たちが現在取り組んでいる多言語舞台という前衛的な劇中劇が功を奏しているからなんでしょうね。舞台稽古をしている俳優たちがそのまま私生活にまで影響を引きずっているというこのメタ構造が、この不自然なセリフ回しを巧く中和している。なかなか考えられた演出と言っていい。内容の方も、村上文学の主要テーマである喪失感からの再生が多面的に描かれており、深い。前述した、さまざまな言語が入り乱れる演出でチェーホフの戯曲を再演しようという舞台の稽古と、心に傷を負った若いドライバーとの繊細な交流を二重写しのように描いたところは称賛に値すると思います。同じテーマをそれぞれ違うアプローチで描いていたものがラストでぴったり重なったのが感動的ですらありました。喪失感を抱えて生きている自分たちの苦悩がほんの少しだけ浄化された、それだけでこの先も生きていける――。心地良いラストの余韻に自分は観てよかったと思えました。カセットに録音された今は亡き妻ともう不可能となってしまった会話を交わす主人公の声を、ただ静かに聞き続ける若い女性とか、なんて切ない構図なんだろう。ただ、不満点も幾つか。まず冒頭、妻が亡くなるまでのあの長いプロローグは正直いらない。中盤の高槻との会話への伏線として必要だったのでしょうけど、それも回想シーンなりの別の描き方があったはず。あの40分はばっさりカットしても良かったのでは。とは言え、人と人とが永遠に分かり合えないことの切なさを美しく描いた上質の物語でした。
[DVD(字幕)] 7点(2023-07-10 09:11:19)(良:1票)
18.  ドント・ブリーズ2 《ネタバレ》 
あの最恐の盲目ジジイが帰ってきた!!スポイトに入れた自らの〝あれ〟を片手に何処までも襲ってくるというそのぶっ飛んだ設定でスマッシュヒットを飛ばした前作から数年、その強烈なインパクトを残したジジイが今回はなんと主役となって帰ってまいりました。とは言え、その余りにもキャラ立ちしたジジイの印象が鮮烈に残っていて、肝心のストーリーの方はほとんどうろ覚え状態で今回鑑賞したんですけどね。冒頭から、娘と思しき幼い女の子と2人で支え合って暮らしているという牧歌的な?設定に、「あ、これはきっと設定だけを受け継いだいわゆるリブート作品なのね」と信じて疑わず。途中で調べてみたら、なんと完全なる前作の続きということでした。いや、ちょっと無理ありすぎやろ(笑)。この女の子があのスポイト作戦の結果だとしたらさすがに悪趣味すぎだけど、そうじゃなくて一安心。まあそれでもアカンけどね。ただ、前作の続編であろうがなかろうが、単純にB級ホラーとして普通に良く出来ていて自分は最後まで楽しめました。どっちが善でどっちが悪なのか、二転三転する脚本もけっこう練られているしね。結局最後、どっちも悪人やったんかーい!というオチも突き抜けてて大変グッド。なのに、最後はちょっとお涙ちょうだい系になるのもバカバカしすぎて思わず笑っちゃいました。もはやほとんど目が見えてるんじゃないかとも思えるジジイが、若造相手にガンガン暴れまくるアクションシーンも終始キレッキレで格好良かったですし。うん、なかなか面白かった!
[DVD(字幕)] 7点(2022-10-07 08:21:29)
19.  トラジディ・ガールズ 《ネタバレ》 
「トラジティ・ガールズ(惨劇少女たち)」がサイコーだと思ったら、いいね!してね――。サディとマッケイラはいつも一緒に居る大の仲良し女子高生コンビ。目立ちたがり屋で楽しいことが大好きな二人には、最近ちょっぴり不満なことがあった。それは、二人で始めたブログのフォロアーがほとんど居ないこと。「プロムまでに10万人に増やしたい!」。そう決意した彼女たちは、とっておきの方法を思いつく。最近世間を騒がせている連続殺人鬼をこっそりと捕まえ、なんと自らの手で人を殺しちゃおうというのだ。そして連続殺人鬼の正体を探る自分たちの動画を作って、世間の注目を集める。完全に自作自演のヤバい方法だが、目立つことが大好きな彼女たちは無事に?殺人鬼を捕まえることに成功する。そして彼の犯行と見せかけ、人を殺しまくるのだった。見事に推理を的中させ、被害者の第一発見者となった彼女たち「トラジティ・ガールズ」はどんどんとフォロワー数が増えてゆくのだったが……。シリアルキラー女子高生コンビの血と汗に塗れた青春の日々をキュート&グログロに描いた青春ホラー。目立つことならなんでもあり、危険な殺人鬼を監禁するわ、次々と人を殺しまくるわという、完全にイッちゃってるそんな二人なのですが、これが見事に振り切れててなかなか面白かったっすね。罪悪感のかけらもなしに、気に入らない同級生を殺してバラバラにしちゃうとこなんてかなり血みどろでグロいのですが、それを一切感じさせないとこがまた凄い。もうひたすらポップで陽気。こういうぶっ飛んだ青春ものは昔から好みなので僕は普通に楽しめましたが、まあ人によっては眉をひそめちゃうかも。主役を演じた女優二人もそれぞれビッチ感満載で大変グッド。後半、片方に良い感じの男子が出来て友情にヒビが入るというのも面白い。人を殺しまくっといて何を今さら青春しとんねん(笑)。ただ残念だったのは、ストーリーの見せ方が幾分か雑なところ。肝心のこの二人のブログがどんなものか具体的に見せてくれないので、二人がネット上で有名人になってゆく過程にいまいち説得力がないんです。それに殺人鬼を監禁するくだりもストーリー的にうまく活かしきれていない。ここらへん、凄く勿体ないです。とはいえ、全編に散りばめられたホラー映画のパロディもなかなか通好みだったし(最後のプロムはもう完全に『キャリー』で思わず笑った!)、ちょっぴり百合っぽい主役二人も充分魅力的だったし、ぶっ飛んだ青春ドラマとして僕はけっこう楽しめました。少しおまけして7点!
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-10 00:02:13)
20.  ドント・ウォーリー 《ネタバレ》 
彼の名は、ジョン・キャラハン。毒の効いたユーモアで人気を博した風刺漫画家だ。だが、その人生は決して順風満帆とは言えないものだった。実の母親に捨てられたというトラウマから酒に溺れ、二十歳を過ぎたころには立派なアル中に。前日の酒が残った状態で朝目覚めると、その酒が切れないうちに新たな酒を求めるという典型的な負のサイクルに陥っていた。そして迎えた運命のその日――。いつものように友人と酒場をはしごし、前後不覚になるまで酔っ払った彼は、更なる酒を求めて次の酒場を目指していた。しかも、酔っ払って歩くことさえままならない酩酊状態の友人が運転する車で。当然のように車はかなりの事故を起こし、ジョンは意識不明の状態で病院へと担ぎ込まれることに。下された診断は致命的な脊髄損傷。一生車椅子生活を余儀なくされるというものだった。障碍者となりながらも、それでも酒を止められないジョン。絶望のあまり自暴自棄へと陥った彼の人生に、果たして光は差すのか――。実話を基に、そんな過酷な境遇に居るとある一人の男の人生を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。監督は、丁寧な心理描写には定評のあるベテラン、ガス・ヴァン・サント。障碍者でありながらアル中のどうしようもないクズ男を演じるのは今最も勢いのある実力派俳優、ホアキン・フェニックス。他にもジャック・ブラックやルーニー・マーラと言った人気俳優が脇を固めております。この監督らしいほんわかとした雰囲気は相変わらず健在で、半身不随とは言っても完全に自業自得のこのダメ男の人生を、良い時も悪い時も含めて丸ごと掬い取る監督の目線はとても優しい。「そう、人生って上がったり下がったりの繰り返しなのよね」という当たり前のことに改めて気づかされました。時系列をバラバラにし、敢えていつの時代の話なのかを曖昧にするこの独特の構成が巧く効いています。これはジョン・キャラハンと言う男の平凡だけどかけがえのない人生のポートレートと言っていいのかも知れませんね。その時々に現れる美しい恋人?の存在も彼の人生を豊かに彩っています。ルーニー・マーラって改めて思いますけど、ほんとにキレイですよね~。「人生いろいろあるけどこの先ちょっとは良いこともあるだろうし、まだまだ頑張ろう」と改めて思わせてくれる、人間賛歌の良品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2020-02-05 13:07:01)(良:1票)
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