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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2384
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  映画と恋とウディ・アレン
ウディ・アレンのファンや彼の映画に興味がある人なら必見のドキュメンタリーです。彼の生い立ちからスタンダップ・コメディアン時代の貴重な映像も見せてくれます。『What's Up, Tiger Lily?』の事はまったくスルーで『泥棒野郎』が初監督だとしていることには、やはりなあ、と思わせていただきました。アレンの妹さんが出演してましたが、『ブロードウェイと銃弾』以降のアレン映画のプロデューサーの一人だと知って驚きました。アレンを語るうえで欠かせない二人の女優、ダイアン・キートンはもちろん出てますがやっぱりミア・ファローは無理だったみたいですね。とくに印象深かったのが、ジョシュ・ブローリンやナオミ・ワッツ等の錚々たるハリウッド俳優たちが「アレンを喜ばせたくて一生懸命演技した」と語っているところでしょうね。こんなこと言ってもらえる映画監督は、彼の他にはイーストウッドぐらいのもんでしょう。 アレンの父親は100歳の長寿だったそうですから、ひょっとすると彼もマノエル・ド・オリヴェイラや新藤兼人みたいな“100歳監督”になれるかもしれませんね。彼の書いた名セリフじゃないけど「映画監督はサメに似ている。映画を撮り続けないと死んでしまう」ということなんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-09 20:03:46)
22.  エスケープ・フロム・L.A. 《ネタバレ》 
15年ぶりのスネーク・プリスケン復活を祝ってか、カメオ出演だけど前作よりも出演俳優が豪華になりましたね、これもカーペンター御大の人徳でしょうか。ロボコップも昭和のゴジラもシリーズが行き詰まってくると空を飛ばしたもんですが、さすがスネーク、二作目なのに惜しげもなく空を舞っていました(笑)。基本的には『ニューヨーク1997』のリメイクというかセルフ・パロディみたいなもんですが、ラストに世界文明をリセットさせちゃうなんてスネーク、お前カッコ良すぎだよ! あまりに安っぽいCGには参りましたけど、ピーター・フォンダに楽しそうにサーフィンさせたりして、カーペンターのおバカ・パワーが円熟した一篇です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-06 20:10:18)
23.  es[エス](2001) 《ネタバレ》 
観終わってからの後味の悪さは『ミスト』に匹敵しました、いやー久々に地雷を踏んじゃった。アメリカのけっこう有名な実話をもとにしているそうですが、ドイツ人の監督がドイツに舞台を変えて映像化していることに意義があると思います。なんせドイツ人は合法的な選挙でナチスを政権につけ国民投票でヒトラーが独裁者になることを認めたイタイ歴史を持っているので、この実験はドイツ人の国民性に対する痛烈な批判にもなっているわけです(もちろん、実験の結果自体は誰にも起こり得る普遍性を持っていますが)。強制収容所の看守でまだ生き残っている人やその子や孫がいるドイツで良く上映出来たものだと感心しますよ。 脚本上の粗が目立つのも事実ですが、あえて実験の失敗をエスカレートさせて死者まで出てしまう結末に持ってゆくラストの展開には息を飲まされました。私には海辺で静かに過ごすふたりを映したラストシーンは、ささくれ立った鑑賞者の神経をケアするのに必要だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-11 22:09:05)
24.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
確か本作は初めて観たデヴィッド・リンチ作品だったのですが、その後しばらくはてっきり英国人の監督だと思っていました。それほどヴィクトリア朝時代の雰囲気が巧みに再現されていて、おそらくこれからもコスプレドラマはリンチが撮ることはないでしょうね。煙モクモク吐き出す煙突など、リンチらしさは色々なシーンで観られますが、やはり見世物一座のフリークスたちがエレファントマンを逃がすシークエンスは最もリンチ色が濃厚でした。しかしジョン・メリックを無垢で純真な人間として描いているのは気に入りません。無知で残酷な庶民階級と、偽善的な上流階級を際立たせるための脚本テクニックかもしれませんが、物語の本質を薄っぺらにしています。それにしても、『イレイザーヘッド』を観て無名のリンチを起用したメル・ブルックスの目利きぶりには感服いたします。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-12 20:25:12)
25.  エド・ウッド 《ネタバレ》 
エド・ウッドとヴェラ・ルゴシの交友を見ていると、ティム・バートンとヴィンセント・プライスの関係をどうしても思い起こさせられます。エドとティムには、リスペクトを持つ憧れの大先輩俳優がいたという共通点があったのですね。監督としての才能がなかったのに、ヴァンパレラを始めエドのもとにスタッフ・キャストが集まったというのは、彼にはきっと何か魅力があったのでしょうね。でも『プラン9・フロム・アウタースペース』や『グレンとグレンダ』は観たことがありますが、映画へのあふれる愛情があるのに大の大人がどうしてこんな映画を撮っちゃったのかは、正直頭をひねるところですが。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-20 01:14:10)
26.  エンゼル・ハート 《ネタバレ》 
この作品の陰影の深い映像は、後の映画に随分影響を与えていますね。たとえば「セブン」とか。デ・ニーロのルシファーは、初見のとき強烈な印象を残してくれまして、その後地上にやって来たルシファー(悪魔)と言えばこの映画のデ・ニーロというイメージがいまだにあります。疑問なのは、このルシファーさんは結局何がしたかったのかということで、ハリーが自分は本当は誰なのかを思い出さないと魂がおいしく食べられないのかなどと考えてしまいました。最近復活してきましたが、この頃のミッキー・ロークは本当にいいですねえ。不精ひげ生やして汗まみれというのがこれほど似合う俳優は珍しいのでは。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-06-28 23:52:20)
27.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
チャーリー・カウフマンだからどうせ一筋縄ではいかない脚本だろうとは思いましたが、良い意味で期待を裏切らないストーリーでした。ジム・キャリーの記憶を消す作業は結局記憶を過去にさかのぼってゆくことですが、「メメント」や「アレックス」系の謎解きに重点を置くのではなく、思い出したくないような嫌な記憶もその人間が未来に進むのには必要なものなのだというテーマにつながっています。カウフマン脚本の中では、この作品が最も人間心理を描いているのではないでしょうか。しかし、皆さんご指摘の通り、私もイライジャ・ウッドやキルスティン・ダンストの複線エピソードは不必要に感じました。特にキルスティン・ダンストの記憶がどうのという話は、実は他の登場人物全員の記憶が・・・という夢落ちみたいな展開になるのではと冷や汗が出ました。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-28 00:25:04)
28.  エレファント 《ネタバレ》 
実際にあった事件をテーマにしていますが、事件自体がアメリカの歴史に残るくらい衝撃的なので、監督は逆に思いっきりテンションを下げた映像と演技で淡々と描写したかったのだと思います。私はこの手法は成功したと思います。たとえば後半事件がおこらず、ただ高校生のある1日を撮りましたという映画だったらと仮定すると解りやすいでしょう。何も予備知識持ってなかったら、観はじめても「あの事件」の映画だとわかりませんよね。ここまで徹底して淡々とした映像で撮りきってしまうということはある意味立派です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-01-17 21:52:26)
29.  江分利満氏の優雅な生活 《ネタバレ》 
直木賞受賞作の山口瞳の原作は、短編小説のコンピレーションというかどちらかと言うとエッセイに分類されるような作品。それを江分利満氏=山口瞳を主人公にして彼のそれまでの人生を落とし込んで脚色した感じです。勤務先だったサントリー宣伝部をそのまま江分利氏の勤め先にして、“アンクルトリス”の産みの親であるサントリー宣伝部に在籍していた柳原良平=天本英世も登場している。この江分利氏=山口瞳は自分の亡き父親と同年産まれなので、なんか親近感がありますね。 ストーリーテリングは特に前半は軽妙洒脱、柳原良平のアニメを使ったりして、岡本喜八じゃなくて市川崑が撮ったんじゃないかと思うようなリズム感があります。実際のところ、始めは川島雄三の監督作として企画され本作とは違う視点でのオリジナル脚本が完成していたけど、川島雄三の急死で岡本が監督することになったそうです。とくに靴だけが歩き回って会話するというシュールなカットには驚きました。登場キャラでは破天荒かついい加減極まりない江分利氏の父親=東野英治郎がやっぱ光ってましたね、ほんとこの人は上手い。ストーリー自体は江分利氏が大酒を飲みながらもなんとかサラリーマン生活をこなし、ひょんなことから雑誌に連載を載せることになり直木賞を受賞するという山口瞳の半生をテンポよく描いているのですが、ラスト近くになって江分利氏が戦中派としての心情を延々と十分にわたって同僚・後輩に語るという展開は、明らかに作品のテンポを壊してしまった感があります。その語り口も軽妙さは無くてほとんど演説みたいな感じで、こりゃ聞かされる方も堪ったもんじゃありません。こういうことは他の岡本作品には見られなかったところですが、江分利氏と同世代の岡本の真情が迸ってしまったんじゃないでしょうか。この真情が後の『日本のいちばん長い日』『肉弾』『沖縄決戦』などを手掛けるエネルギーの源泉だったのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-03-29 23:07:20)
30.  L.A.大捜査線/狼たちの街 《ネタバレ》 
70年代に『フレンチ・コネション』でこのジャンルの頂点を極めたフリードキンなのに、80年代にまた刑事ものを撮るとはほんと晩節(という歳でもないか)を汚すようなことは控えて欲しかった、というのが観る前の率直な印象でした。本作のウィリアム・ピーターセンとジミー・ドイル刑事の共通点はどっちもちょっと頭がおかしいんじゃない?と言いたくなる行動力。でもピーターセンの蛮行はジーン・ハックマンを凌駕しています。なんせ捜査官のくせに捜査用の資金捻出のために誘拐・現金強奪、しかもそれがFBIのおとり捜査だったとはシャレになりません。いくらフィクションでもこれは捜査官としてはアウトでしょ、こういう狂ったキャラを描かせたらフリードキンの独壇場です。そしてフリードキンらしさが迸るのがやはりカーチェイスで、絵面的には地味目だけどけっこう凄いことやってます。逆走シーンでは、猛スピードで飛ばしてるのに相棒が身を乗り出して「どけ、どけ!」と叫び続けるのが可笑しいなんか。やたら80年代っぽい音楽をガンガン流してスタイリッシュを気取ってるけど、ドキュメンタリー・タッチだった『フレンチ・コネクション』の監督なのでなんか背伸びしすぎてるって感じがします。 ちなみにピーターセンは刑事ではなく財務省捜査局いわゆるシークレットサービスの所属で、それで冒頭の大統領警護のシークエンスがあるわけ。捜査権限は偽造通貨の取り締まりで、それで敵がウィレム・デフォーが率いるにせ札偽造団というわけです。もっとも9.11以降は財務省の管轄から離れてしまっているそうですけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-28 21:58:56)
31.  映画 みんな!エスパーだよ! 《ネタバレ》 
“パンチラ・フリーク”園子温の趣味が全開、この人ってエロとバイオレンスにふっ切れるとモロに本性が迸りますね。お話しはもう中高生のエロ妄想以外の何物でもないけど、ここまで行っちゃうともう清々しいと言える領域です。私は未見ですけどTVドラマの映画化だそうで、深夜帯とはいえこんなエロドラマを放送していたとはさすがテレ東と褒めてあげます。とくに前半は出てくる女性キャラがほとんどパンチラを見せてくれたような印象で、タモリ俱楽部のオープニングが好きな人には堪らないでしょう。ヒロインの真野恵里菜はかつてのハロプロのソロ・アイドル、いつの間にか園子温映画の常連に収まり、「パンチラは下ネタじゃない」なんてインタビューに答えてる、完全に園子温に洗脳されてしまったみたいで嬉しいやら悲しいやら、ぐれてしまった娘を見せられてるような心境です(笑)。あとカメオ出演の関根勤の嬉しそうな演技、すっかりラビット関根の昔に戻っていました。セリフも八割がたが三河弁、尾張弁もだがこの辺りの方言は可愛い女の子が使うとその強烈なギャップに震えます(笑)。 豊橋の名所案内は確かに出来たけど、よく市役所が協力してくれたと感心します、市長や幹部がよっぽどシャレが解る人達だったんでしょうかね、それが最大の謎です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-19 20:12:10)
32.  エイリアン4 《ネタバレ》 
原題のどこにも“4”という数字はないし“RESURRECTION”と銘打っているぐらいだから完全にリブートか番外編的な方が、シリーズの位置づけとしては正解なのかも。前作では煮えたぎる溶鉱炉に落ちてエイリアンともども消滅したはずのリプリーなのにクローンに必要な組織をどうやって入手するんだよと突っ込みますが、宇宙船に残っていたリプリーの血痕を使いましたとすました顔で説明されてはもう、何でもあり状態だから「はい、そうですか」としか返しようがないですね。リプリーのクローンを造ったら体内のエイリアンまで再生するというのはいくら何でも理屈に合わないと思いますけど、もう誰も気にしてないみたいです(笑)。でもそりゃ三作目よりは遥かに観れる映画に仕上がっているんだから、まあいいんじゃないですか。 監督にジャン・ピエール・ジュネを起用していますから、エイリアン造形のグロ度合いと変態性はシリーズ中屈指かもしれません。中でも妙に人類に寄った容姿のエイリアン・ベビーの気持ち悪さはさすがで、それでもリプリーを見つめる眼はグッとくるほどに悲しげで、こういうところがジュネらしいなと感じました。ロン・パールマンやドミニク・ピノンといったジュネ作品の常連も妙にストーリーにはまったキャラで良かったですね。いちばん不満なのはやはり無敵の怪物と化したリプリーで、エイリアンは母なるリプリーには決して手を出さないとなったら、映画自体のスリルが半減です。意外とこの物語に嵌っていたのはウィノナ・ライダーでして、このころの彼女は美しかったなと再認識させられました、でもなんでアンドロイドの彼女が宇宙の果てまで来てエイリアンの地球侵入を阻止しようとするのかは観てて全然理解できませんけどね。 後半の脱出シークエンスは、途中で水没地帯を通過するあたりはもろ『ポセイドン・アドベンチャー』のパクりというかオマージュ、アイデアの枯渇というかネタ切れ感はひしひしと伝わってきましたね。ベビー・エイリアンの最期も第一作でも使われているのと同じですけど、いちおうこれでループの完結というつもりなのかもしれません。 200年(?)かかってリプリーのオデッセイはついに地球にたどり着いたわけですが、核戦争後みたいな荒れ果てた地と化していて、この世界観にはなんの説明もないのでこのあたりを語るもうひとストーリーを観てみたい気もします。リプリーが高台から見下ろすのはかつてパリだった廃墟、これは『アメリ』にもあった様なカットで、いかにもジュネらしい閉め方でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-02-06 23:38:24)(良:1票)
33.  エリザベス 《ネタバレ》 
ドロドロ・コテコテの宮廷劇といえばもうイングランドのチューダー朝がピカイチ、この暗さと複雑な人間関係がたまりません。その集大成と言えるのがエリザベス一世治世ですが、この映画はその前半部分でスコットランドのメアリー・スチュアートとの関係や外交をばっさり切って、暗殺がらみの陰謀とロバート・ダドリーとの愛憎に絞ったストーリー展開となっています。 エリザベス女王はもちろんケイト・ブランシェットの当たり役にして出世作、ルックスはもちろん話し方や訛りまで変幻自在なカメレオン女優ケイトの面目躍如です。この映画はまだ若いころの出演ですが、改めて観てケイトはティルダ・スウィントンと瓜二つというかキャラ被りしてたんだなと、つくづく感じました。特にラストの白塗り顔になると区別がつきません、こんなことに喜んでいるのは私だけですね(笑)。だけどストーリーテリングは、ロバート・ダドリーとのメロドラマに軸足を置き過ぎた感じは否めませんでしたね。ここら辺を観ていると、知ってはいましたがよくもぬけぬけと“ヴァージン・クィーン”なんて言わせたものだ、さすがヘンリー八世の娘だと感心します。そこにエリザベスの秘密警察長官であるウォルシンガムが絡むわけですが、このジェフリー・ラッシュはなかなかいい味だした演技です。メアリー・オブ・ギーズの死の件やロバート・ダドリーの謀反とその処遇なんかは初耳でどう考えてもフィクションですが、まあエンタティメントですから五月蠅いことは言いますまい。だけどあまりに重苦しいストーリーテリングで、ちょっとは息が抜けるところがあっても良かったんじゃないかな。そういやヴァンサン・カッセルのアンジュ―公が女装趣味の持ち主だったとエリザベスにばれるシークエンスがありましたね、この映画で唯一笑えるシーンでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-01-23 23:51:01)
34.  栄光のル・マン 《ネタバレ》 
『栄光のル・マン』といえば今は無きテアトル東京、この映画はやはりシネラマで堪能しないといけません、なんで観に行かなかったんだろうか、悔いが残ります。テアトル東京で観た友人の話では、「映像以上に音響が凄まじかった」とのことでした。この映画とうぜん世界中で大当たりしたと思い込んでいたら実はヒットしたのは日本だけ、あまりに無残な全米の興行成績でマックイーンの製作プロダクションは潰れてしまったそうです。この映画の監督を途中降板したジョン・スタージェスは「マックイーンの壮大なホーム・ムーヴィー」と酷評したそうですが、確かにドラマ性がほとんどないセミ・ドキュメンタリーとしか言いようがない映画ですから、スタージェスの言い分は妥当だと思います。 でもレース映像の迫力はさることながら、天下の大スターであるマックイーンがカッコいいけどまるで地味な役柄に甘んじてもひたすら好きなカーレース賛美に徹したところは、いかにもストイックなマックイーンらしいじゃありませんか。彼の演じたキャラは途中の事故でリタイアするし、終盤残り時間8分で再び起用されるがトップ争いじゃなく2・3位をフェラーリと競ってチームメイトの優勝をアシストしただけなんだから、彼を目当てに観に行った人は肩透かしをくらったでしょう。でも名だたるハリウッド・スターの中でもマックイーンほど敗北や挫折した男の哀愁を情感豊かに表現できる人はいないといっても過言ではありません。これこそ男のカッコよさの到達点ではないでしょうか。 あとちょっと気になるのは、もちろん女性の登場人物はいますけど、これは徹底的に男の世界の映画であることで、虚飾を取り除いて言うと「男のやることに女が口出しすんじゃねーよ!」が隠れテーマなんです。こんな価値観を前面に出す映画を現在撮ったら、各方面から袋叩きにされることは必定です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-02-21 23:15:49)(良:1票)
35.  エル・マリアッチ 《ネタバレ》 
これが製作費7000ドルで撮られた映画だと聞かされれば確かに驚かされますけど、やっぱ7000ドルだよな、と納得する部分も多々見られることも否めないですね。“メキシコのマシュー・ブロデリック”といった風貌のカルロス・ガラルドーを筆頭に安いか素人の俳優を使っているのは当然の帰結としても、撮影テクニックにしても素人臭さが濃厚でもあります。ですけど、後年のビッグ・バジェット(もちろんこの第一作と比較してですけど)を与えられるようになってからのロバート・ロドリゲスのやり過ぎ作風からすると、自分としてはこの素朴な第一作目のほうがストーリーテリングのバランスが良くてけっこういい線行ってるんじゃないかと感じます。お話しの方も、狙った結果なのかはともかくとして、けっこう緩いと言うかユーモラスですね。狙う相手がただ「黒い服を着たギターケースを持ち歩く男」としか聞かされずに人違いする手下どもあれですけど、ボスだってちゃんと顔写真ぐらい部下に配っておけよ! 考えてみれば、7000ドルで撮った映画なら公開さえできれば損するはずがないですよね、これで実際204万ドル稼いだんだから、出演俳優のギャラなんて余裕で後払いできたんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-05-30 22:50:55)
36.  エージェント・マロリー 《ネタバレ》 
はっきり言って凡作の一語につきてしまうんですけど、個人的には好みです。プロットやストーリー展開なぞは最近ゲップが出るほど量産されているジェイソン・ステイサム主演のアクションとなんら変わりはないけれど、主役が美形の女格闘家というところがいいですね。彼女ちょっと顔が角ばり過ぎているのが難点ですが、ガンとばす表情なんかは殺気が感じられて修羅場をくぐって来ただけあります。そこにソダーバーグが顔で集めたけっこう豪華な男優たちを絡ませて一本撮っちゃうんですから、よっぽどソダーバーグは彼女に惚れこんだのかな。冒頭でチャニング・テイタムがいきなりジーナ・カラーノにコーヒーをぶっかけて乱闘が始まるところや、彼女がマイケル・ファスベンダーをねじ伏せて無言で射殺するとか、ソダーバーグらしいハードボイルドを見せてきくれます。 でも買って一週間の車ごと拉致されて延々と彼女の身の上話を聞かされたスコットくん、はたしてこの映画に必要なキャラだったんでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-03-30 21:43:07)
37.  L.A. ギャング ストーリー 《ネタバレ》 
もう、どこから観ても『アンタッチャブル』へのオマージュというかパロディなのかもしれません、この映画は。ジョシュ・ブローリンがエリオット・ネスというわけなんですが、それなりに工夫して『アンタッチャブル』をパクったという努力のあとは感じられますね。チームのメンバーを選ぶのが奥さんと言うのは笑っちゃいましたが、『アンタッチャブル』でネスの奥さんがひたすら一歩引いた位置で夫を心配するだけの存在だったことを考えると、なかなか現代的な脚本だと思います。 ジョシュ・ブローリンのゴリラみたいな風貌と知恵のない暴れっぷりはなかなかのものです。まあミッキー・コーエンという実在の大ギャングを引っ張り出してきてこれだけの史実無視の展開は、ある意味で清々しいぐらいです。メリハリだけで物語を紡いだという印象で、どうせ事実を脚色するならこれぐらいオーバーにやらないといかんと言うことです。ショーン・ペンも額の血管が切れそうな熱演で、共感するところが皆無の男になりきってました。でもそんな二人を出し抜いて美味しいところを持って行っちゃったのがライアン・ゴズリングで、この人こんなに色気のある男優だったのかと見直しました。 ラストにいたる展開と登場人物たちのその後はあまりに類型的で、これもパロディのつもりだったのかしら。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-08-04 22:50:31)
38.  江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 《ネタバレ》 
海外版DVDで鑑賞。ジャケットは公開時のポスターを使っているのですが、良く見るとこの映画は成人映画指定だったことが判ります。人造奇形人間と言っても実際のフリークスを出演させるわけでもなく、もっぱら暗黒舞踏団のメンバーが奇形人間のふりをすることで済ませてます。エロも大したことはなく、冒頭の精神病院のシーンにオッパイが沢山出てくるぐらいなものです。乱歩のエッセンスを詰め込み過ぎたプログラム・ピクチャーと言ってしまえばそれまでですが、全篇を通して変調な雰囲気がただよい、特に土方巽の不気味な怪演はなんか気持ちの悪いものを観た様な後味の悪さが強烈です。そして伝説の「おかあさーん」になるわけですが、こりゃ劇場で観たらきっと大爆笑まちがいなしです。なぜか突然登場する明智小五郎と突っ込みどころは満載ですが、なんと言うか、当時の時代の空気が感じられる気もします。
[DVD(邦画)] 6点(2011-02-06 20:42:30)
39.  エンテベ空港の7日間 《ネタバレ》 
エンテベ空港奇襲作戦については、直後に『エンテベの勝利』と『特攻サンダーボルト作戦』という便乗したTV映画が粗製乱造されたのとメナヘム・ゴ―ランがさらにそこへ便乗して一本撮ったぐらいで、なんでまた40年以上もたってからこのテーマなのかというのは?ですね。『勝利』とか『特攻』なんて勇ましい言葉がタイトルにつくので察せられるとおり、二本のTV映画は奇襲成功に浮かれたハリウッドのユダヤ系俳優たちが結集した一種のエクスプロイテーション映画みたいなものらしいので、ある意味本作はこの事件をテーマにした唯一のまともな映画なのかもしれません。 監督が『バス174』を撮った人なので、全編を通じて重苦しいドキュメンタリー・タッチで、カタルシスはまったくありません。テロリスト側とイスラエル政府内の動静を均等に描いている感じですけど、テロリスト・サイドをいわゆるサイコパスじゃなくて偏った思想を持っているけど普通の人間として描くので、そこには批判があるかもしれませんが映画の評価としては妥当ではないと思います。とくに二人のドイツ人テロリストが、ロザムンド・パイクは別にしても相方がダニエル・ブリュールですからね、狂信的なヴィランの訳が無いじゃないですか。イスラエル政府内でも、ラビン首相とペレス国防相のいかにも政治家らしい責任の押し付け合いというか駆け引きを赤裸々に描いているのも面白い。渋った首相もギリギリで作戦にGOを出すのですけど、成功の一報が入っても歓喜の表情を見せるのでもなく、「このまま交渉不能なら、この戦争は終わらないぞ」と呻くところが印象に残ります。ラビンは実はテロリストと交渉する寸前だったぐらいなので作戦決行は苦渋の決断で、決断から逃げて「一人の生命は地球よりも重い」という迷言とともにハイジャック犯に降参したどこかの国の総理大臣とはえらい違いでした。 これだけ劇的でスリリングな出来事をここまで(あえて)盛り上げずに映画化するというのは、ある意味で偉業なのかもしれません。でもそれが万人受けするわけじゃないというところが、難しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-08-06 22:40:57)
40.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険 《ネタバレ》 
いくら原作がH・G・ウェルズといっても書かれたのは1901年、そりゃツッコミどころは事欠かないわけです。でもこの映画のストーリーテリングの巧みなところは、プロローグとエピローグに現代の月面探査シークエンスをおいて1899年と1964年を上手くつなげた脚本だと思います。ハードSF的な現代といかにも19世紀的発想のウェルズ小説のプロットが同じ時空間で繋がっているというのは、考えれば摩訶不思議な世界ですけどね(笑)。でも、同時代のメリエスが砲弾で月に到達するという『月世界旅行』を撮っていた時代に、「重力を遮断する物質」を推進力にして月まで到達するカプセルというプロットを考えつくのは、さすがウェルズですね。カプセルの中ではハンモック(?)に捕まって操縦、宇宙服が単なる潜水服で手の部分だけは手袋もなくむき出しなど、大喜びでツッコんじゃいます。ここら辺は原作通りなのかもしれませんが、映画自体がコメディ調なので文字通り笑って済ませることがお勧めです。月面の地下に広がる月面人の世界と遭遇してからは、ハリーハウゼン御大の手堅い仕事も確認できます。マントみたいなものを被った月面人は『スター・ウォーズ』に出てくるジャワを思い出させてくれますが、巨大な芋虫(原作では「月牛」と呼ぶらしい)はやっぱ強烈な印象を残してくれますね。芋虫のくせに脊椎骨格を持つ奇妙な奴、月面では生物が独自の進化を遂げたという言い訳はあるでしょうけどね。ここは原作通りなのか単に製作陣が生物学に無知だったのかは、追及しないようにいたします(笑)。終盤でカボールがやけに咳き込むなと思ったら、ラストは『宇宙戦争』と同じオチ。「ウェルズ、ネタの使い回しかよ」と思ったらこれはこの映画のオリジナル、まあ悪くないアイデアだったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-10-11 22:11:26)
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