1. エコール
いつの間にやらR&Aさんのレビューが入ってたので、ちょっと反論的に補足をば。 まあ本作については以前ここにも書いてはありますが、今回は原作との差異に軸足を置きます。 監督の前作『ミミ』の方は観てな (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 8点(2010-08-26 19:40:15) |
2. X-メン
《ネタバレ》 アメコミには神話的な詩情がある。神話的な美学もある。他国に比べて圧倒的に若いアメリカ文化が必要とする、とてつもないものがいっぱいある。本作ではミュータント各人の引きずる記号が、そういう素晴らしさを雄弁 (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 7点(2007-06-12 19:55:12) |
3. エクステ
まるで栗山千明と大地康雄のために作られたような映画。でもそこを栗山千明&大杉漣で撮っちゃうあたりの微妙な意外性というか、なんというか…まあいいや(笑)。とにかく去年予告を観て、あの信じられない光景に目を疑い、呆然としてしまったインパクト故にわざわざ公開初日、初回上映に行ってきました。DVDもらったっす。 なんかねー、スプラッタって以外は話もキャラクターも全然違うんですが『死霊のしたたり』を思い浮かべちゃうんですよ。なぜか。映像が、完全にイッちゃってるからでしょうね。予想外に濃くて重い「社会派でっせ~っ!」ってな感じの内容でしたが、そういうマンガ的な画造りなので、露悪趣味とは方向性がちょっと違う。悪くはありません。 ただ、あれだけの事件に発展しながら、エンディングでパトカーの影すら見せないのはどうかと思います。ちょっと現実感を喪失してるんですよね。あの終わり方は明示的に自分の内面へ逃げたんじゃないかと思います。「ここまで楽しませたんだから、オレの好きなように終わりを締めさせてよ」みたいな声が画面から聞こえて来る。悪いとは言わないけど、どうせやるなら『ポゼッション』のラストくらいまでやっとけよ監督。あまりに逃げすぎで被写体が何なのかよくわからんぜよ(…は言い過ぎ)。 あと、卑怯なまでに子役を巧く使いやがったな(笑)。エクステ襲撃場面での佐藤未来の演技は、完全に栗山千明を食ってます。他にも優子が夢中で語る《美容師になろうと思ったきっかけ》を聞きながら「あー語りスイッチ入れちゃったよ、いつまで話してんだこの姉ちゃん」っていう表情は、「子役」から「女優」になりかけてる感じ。非常に硬質な感じで役が創り上げられてました。 オイラが期待してスクリーンへ足を運び、ここのレビュアーの過半も期待しているであろう大杉漣については、この後のレビューで数多く語られると思うので特にはいいかな。ホント凄いっすよ、演技バカというかバカ演技というか…いろんな意味でえらい人です。 ●追記:ケ6さん援護 thx!(^^; ネットでの評を見てると、美容室で飼ってる猫の描写への言及が多いですね。 「人間は毛をなくした動物である」の原則、つまり山崎=回帰願望という線もアリかな。 [映画館(邦画)] 8点(2007-02-19 10:33:34)(良:1票) |
4. X-MEN:ファイナル ディシジョン
《ネタバレ》 うわ、アリですかコレ! 原作・上田秋成! 思いっきり『雨月物語』第一話「白峰」ベースの戦闘。ウルヴァリンの台詞が西行の歌に重なり、すっげー泣かせてくれます。んでクライマックスの最後のシーンで、月をバックに雨を降らせたダメ押しには思わず拍手してしまいました(場内で一人だけでしたが…みんな雨月読もうよ面白いんだから…)。もちろん製作陣の「わかって引用してるんだよ~ん」っていうサインなんですな。 ちゃんとした評価としては、大黒柱の抜けちゃった作品&最終話という重責からか、監督は目立った仕事をしてません。推測ですが、マーヴェル社のスクリプターが描いた絵コンテをそのまま実写にしてる? アングルは今までの映画にないほどアメコミ的でした(作家性ゼロですが…)。実写とアニメの中間に位置するヒーローコミックとして観るべき絵作りですね。ただどうしてもアップが多くなっちゃうので息抜きできないのが厳しいところ。 テーマ的には、不運にもこのシリーズが背負ってしまった(だって1作目は2000年公開)「制御できないアメリカのパワー」についての様々なエピソードが積み重ねられ、コミックから少し深化した群像劇として、かなり劇的な語られ方をしていました。だからミスティークやマグニートーの「ケリのついた」後にほとんどセリフがなかったのが残念ですが、その分、活躍中に見せる演技が強烈。佳境を崇徳院発動(笑)でビシッと決める事を想定して、怨念を炙り出すシチュエーションが多かったのが、常連メンバーを一本芯の通った演技にしていました。 手にしてしまったパワーを捨てる事ができない弱さ、人間らしさが、観客の心を自然とX-メンたちから離します。ローグと、天使ボーイのエピソードが巧くそのあたりを括ってるかな。そして、今までは「敵」だったマグニートーの論理が、俄然と現在のアメリカ人にかぶってくる。人間から一歩離れた場所にいるスーパーマンとの立場の違いを(おそらく戦略的に)意識した結果の流れだと思います。これはアメリカ人の心象風景として培われてきたコミックの底力と言えるんでないかな(日本怪談で決着するけど)。 だからこそこの作品は、極めて正直に世界へ頭を垂れる結果になった。オイラには、「私たちが手にした力は、どうしても捨てる事はできません。ごめんなさい」と聞こえます。 [映画館(字幕)] 9点(2006-09-19 13:44:59)(良:3票) |
5. エイリアンVS. プレデター
《ネタバレ》 題名に偽りあり。正式タイトルは『エイリアン VS. プレデター in キューブ inspire by 物体X and ジュラシック・パーク』です(いま命名!)。もう何でもアリアリのお祭り騒ぎでわないですかー楽しいなあ(笑)。オイラは基本的にプレデター派なんでコレは許せちゃうなあ。今回はプレデターの殺陣カッコいいし。両作の主人公リプリー+ハリガンの合成結果がパワフルな黒人女性ってのも、シナリオ頭悪くていいです。それより何より、初代プレデターの仕掛けたバカみたいに強力な自爆装置の存在理由もわかったし、宇宙船を持たないエイリアンがいろんな星に繁殖してる理由もわかっちゃって得した気分。惜しむらくはヘンリクセンの片付け方がちょっとアッサリすぎねー? ってくらいかなあ…彼は絶対、プレデターの科学技術力でサイボーグとして復活すると確信してたのに(そしてそのままビショップのプロトタイプとなるのであーる!)。まあエイリアン派にはちょっと怒りが収まらないでしょうが、プレデター派としてはヘソで茶の沸くシーン満載な美味しい企画でございました。ここまで受け狙いに徹して楽しませてくれた作品ゆえ、7点が妥当と思われますだ。●追記:いま気づいたけど、あの自爆装置がエイリアン抹殺用だったってコトは、シュワはエイリアンより素で強いのか…。 [DVD(吹替)] 7点(2006-01-14 14:19:26) |
6. X-MEN2
《ネタバレ》 かけた予算にピッタリ見合う出来映えのエンターテインメントですね。公平に言って特にどうという内容ではないし、完結編への橋渡しなのは明白。でも監督・俳優・配給・ファンまでも巻き込む、この『2』の静かなる熱さには10点以外つけられないです(とかいいつつ2004/12/3、9点に)。敵になったり味方になったり忙しいキャラたちですが、全員に一本筋が通っているのが気持ちいいす。普通はひとりかふたり、理解不能な行動をする奴がいるもんだけど…。映画の迫力+連続メロドラマの気配り。夢中になってしまうワケですなあ(夢中になれる人は、ね)。私的に、教授と「偉大なるイリュージョニスト」ジェイソン君との、救いのない不毛な対決は、涙が出るほど痛ましかった(けっこうイカしてたぜジェイソン!)。パイロとマグニートーのやり取りもけっこう泣ける(マグちゃんあんた、そういう口車で仲間をスカウトしてたんかい!)。そして極めつけ、ウルちゃんの手でアマダンチウム漬けにされた「ウルヴァリン2号」ユキコ…あれって設定上、死なないワケだよね? 動けなくなっても永遠に腐敗と再生を続けるんだよね? まさに生き地獄じゃあ…展開のテンポがいい分、見るたびに新たな発見ができて、深い映画だすなあ。あ、最後に。ミスティークあんた、今回は議員の代役が勤まるくらい頭良すぎで、エエ女で、運動神経抜群で、機を見るに敏すぎて、もしかして死角がないんちゃうか…? 9点(2004-12-04 00:43:20) |
7. えびボクサー
タイトルだけ見てDVD買っちゃったっすよ…久々に後悔したすよ…オイラにはちとオフビートすぎました。ハリウッドノリで、「えびボクサーが番組で毎週勝ち残って行くうちに主人公のオヤジ心に迷いが芽生え…」てな展開だったら8点献上したと思います。思うに、えびボクサーがキャラとして確立できていないとこが最大の欠点かな。本心は4点だけど、DVD衝動買いさせるタイトルの力を評価して+1点。(2004/9/30:と言いつつ、やっぱり1点減点!) 4点(2004-09-30 07:48:52) |
8. A.I.
《ネタバレ》 onomichiさんのレビューに刺激されてちょっと投稿。オイラが思い浮かべたのは「デヴィッド=アトム」ではなく「ナレーション=私は真悟」でした。字幕は(DVDの吹き替えもそうだけど)だ・である調になってますが、これをですます調に変えると、モロに真悟の世界になります。オープニングは、未来の人類を遥か過去の歴史のように語ってるんだけど、いったいこれは誰がナレーションしてるのか? 冒頭からいきなりその疑問に捕らえられてしまって、なかなか物語りに集中できない。やがてジョーが「世界はいずれメカのものになる」と語るくだりで、もしやという予感が生まれ、やがて2000年の月日をすっ飛ばして物語はナレーターのいるリアルタイムな世界へ…。ナレから言えば、ラストまでのあの展開は必須です。遥か未来のナレーターが語り継げるような、デヴィッドが世界に記憶されるほどの神話になるためには、あの展開しかない。そうとも、わかっていたはずじゃないか? 冒頭のナレーションの時点から…語りの異様なスタンスと遊離しがちなストーリーで『私は真悟』と共に記憶されていい映画でした。奇怪な物語展開をトリッキーに包み込んだ怪作SF。 7点(2004-05-03 15:07:02)(良:1票) |