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プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  肉体の野獣 《ネタバレ》 
大蔵貢時代の新東宝映画は、実は倒産後に東映やTVで活躍した俳優や監督が多く撮影や音楽などのスタッフも技量は高かったが、如何せん脚本だけはどうしようもないレベルだったと言えるでしょう。時代劇以外はほとんどが原作となる小説がなくつまりオリジナル脚本、まあこれは原作料をかけないコストカット策でもあったでしょうが、そこに社長自ら脚本というかプロットに口を出しまくりだったのも原因だったと思います。そういうハチャメチャな作品群の中では本作はまあまともな方ですけど、よく考えるとこのストーリーは寛一お宮で有名な『金色夜叉』の翻案みたいです。監督の土屋敬之介は倒産間際になってようやく監督に昇格した苦労人で、新東宝では本作を含めて二本しか監督作はありません。ところが倒産後はTV業界で活躍し、『マグマ大使』や『宇宙猿人ゴリ』などのピープロ制作の特撮シリーズや、円谷プロからも声がかかり『戦え!マイティジャック』も監督しています。因みに父は長唄家元で、実兄はなんと人間国宝だったそうです。 まあ元ネタが『金色夜叉』ですからいくら時代を現代にしても古臭いお話しになるのは当然の帰結、主人公の医師が恋人・三原葉子に裏切られて「女は信用できない、復讐だ!」女あさりに精を出すようになるところは全く理解不能。看護婦や堕胎を執刀したTVタレントや同じアパートの未亡人にまで手を付けるけど、まあどんな時代にもいる女癖の悪いモテ男でしかないんです(ちょっと羨ましいけど)。この映画のおかしいところは、説明もなく話が進展したり登場人物が増えたりするところで、編集段階でけっこうカットされたシークエンスがあるように感じられました。 新東宝お得意の題名詐欺ですけど、その詐欺映画群の中でもインパクトの薄い一編でした。でも三原葉子を始め女優陣は綺麗どころを揃えていて、新東宝の女優陣は他社に比べても遜色がなかったと納得させてくれました。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-07-16 22:29:35)
2.  日本以外全部沈没 《ネタバレ》 
原作は、筒井康隆が本家『日本沈没』の出版直後にパロディとして数時間で書き上げたという短編小説、それが三十年以上たって突然の映画化、まあこれは草彅剛のあの『日本沈没』に悪ノリというか便乗して撮られた企画らしい。監督はそのセンスの悪さで撮る作品がことごとく酷評されるという特殊能力を持つ河崎実、本作でもその特技を遺憾なく発揮しています(笑)。 筒井康隆のブラックな持ち味は低予算パロディには相性がよさそうなもんだけど、あまりにエピソードがつぎはぎだらけ状態なのでほとんど笑えない。稲川素子事務所バックアップの甲斐あって無名の外人タレントが大挙出演、エキストラも含めると日本人出演者より数が多かったんじゃないかと思うぐらいです。まあその中でも印象に残ったのはオスカー俳優役だった人で、なんか若き日のエドワード・バーンズみたいでカッコよかったな。でも全編に満ち溢れる外人をコケにするギャグは“どこまで本気なの?”と心配になるぐらいで、こりゃ地上波じゃ絶対に放送できないレベルですな。そして妙なところで特撮に凝ったりしていて、ほんとこの監督のセンスにはついてゆけない。最後には日本も沈没して人類滅亡となるわけですが、なぜか穏やかな夫婦生活が何度も挿入されるTVプロデューサー夫婦が、線香花火を二人で愉しむカットにはなんかホロリとさせられました。せっかく子宝を授かったのに、産まれてくる子の顔も見ないでみんなとともに滅びてしまうんですからね。でも人類がけっきょく滅亡する筒井康隆の作品なら、『霊長類南へ』を映像化して欲しいものです、監督は河崎実以外でね。 田所博士役の寺田農は樋口真嗣版の『日本沈没』でも同役でのオファーがあってどっちに出演するか迷ったそうです、迷った挙句に出たのがこっちかよ!このチョイスは理解不能です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2022-07-23 22:43:57)
3.  ニッケルオデオン 《ネタバレ》 
ライアン&テイタム親娘の共演は『ペーパー・ムーン』と本作しかないのでなかなか貴重な一本、というか実生活での破滅的なふたりの親子関係からすると、二本でも共演作があること自体が奇跡的なのかな。70年代前半のアメリカ映画を代表する映画作家だったボクダノヴィッチも、本作の不評と興行的失敗がその後の転落の始まりだったのかもしれません。 なんと言うか、出てくる俳優の演技がみんな力みかえっているのが観ていてつらい、ということはボクダノヴィッチの演出自体が力み過ぎだったということです。彼はたんたんとした演出が持ち味なんですが、コメディになるとどうもバタバタしすぎる傾向があったみたいです。その後40年近くたって『マイ・ファニー・レディ』でようやく肩の力が抜けたコメディが撮れたって感じですが、あまりに遅すぎました。この人の映画愛は『ラスト・ショー』ですでに観客には伝わっているはずで、同じテーマを再度繰り返すのは悪手だったのかもしれません。ストーリーの軸をパテントと呼ばれるメジャー映画製作者とインディーズというか弱小活動屋の闘いという風にするのも一つの手だったかもしれませんが、そこら辺は中途半端に終わってしまった感がありました。でもグリフィスの『国民の創生』を観て打ちのめされるラストには、ボクダノヴィッチらしいペーソスがあって良かったかなと思いました。
[ビデオ(字幕)] 4点(2021-01-11 23:43:23)
4.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 
原作は驚愕ものの高度なシミュレーション・フィクションで、日本SF小説の最高峰と言っても過言じゃありません。「地殻変動によって日本列島を消滅させる」という荒唐無稽な思考実験を、当時の地球物理学者たちと最先端の理論を駆使して起こりえると納得できる物語にまで昇華させています。また日本列島に生きる1億1000万人と日本人というアイデンティティがどうなってしまうのかという壮大なテーマも、政治的・文化的・国際的な視点から緻密に分析されています。この小説が当時の社会に与えた影響は絶大で、巨大地震の予知プロジェクトや耐震設計技術の研究などは、この小説が影響を与えたんじゃないでしょうか。 この社会現象を巻き起こしたベストセラーに東宝は当然のごとく飛びついたわけですが、やはり「完全映画化は不可能」と言われた題材なので、なんか総集編を見せられたような感は否めないところです。まあそれでも健闘したかなとは思います。天変地異の大災害は東京を襲う大地震と富士山噴火のシーンにほとんどの精力をつぎ込んだ感がありますが、特技監督が「爆破の中野」の異名を持つ中野昭慶ですからコンビナートの爆発や大火の描写は迫力満点。でも小松左京は関西人だけあって、原作ではこの後におきる近畿地方の壊滅が壮絶を極める地獄絵図なんですが、そこは映画ではほとんどスルー状態。東京地震と噴火で予算を食い潰しちゃったんでしょうかね。また役者たちが藤岡弘を筆頭に暑苦しい演技を繰り広げるのが、ちょっと鬱陶しいぐらいです。演技力に難があってセリフ棒読み状態のいしだあゆみが上手く見えるぐらいですからねえ。でもこれだけみんなで大芝居をやってくれると、いつもの丹波節なんだけど総理大臣がすごく印象に残ってしまうのが皮肉です。よく見ると脚本はあの橋本忍なんですね、名脚本家もこのあたりから腕が落ち始めていたのかもしれません。 できれば監督・本多猪四郎、音楽・伊福部昭で撮ってくれていたら、もっと出来が良かったのかもしれません。
[映画館(邦画)] 5点(2017-12-20 23:45:36)(良:1票)
5.  日本暗殺秘録 《ネタバレ》 
これはもう血盟団事件と小沼正のことを描いた映画だとしか言いようがありませんね。聞くところによると、実際に小沼正のことをテーマにした映画を撮るために中島貞夫と笠原和夫が脚本を書いていたら、社長命令でオールスター方式の通史形式になったんだそうです。まあそこは140分の上映時間のうち100分が血盟団事件に尺をとっていることからもうかがえます。脚本は時代を反映しているというか全共闘世代に媚びているというかアジっているような過激さで、自民党筋から製作中止の圧力がかかったというのも頷けるアナーキーさです。ラストの226事件の首謀将校たちの処刑シーンなどは、ちょっとトラウマになりそうなぐらいです。でも小沼正を演じる千葉真一は彼のフィルモグラフィ中でも屈指の名演を見せてくれます。彼は同時代の黒沢年男みたいな激情的な演技が持ち味だったんですが、本作ではそれなりに抑えた演技を見せてくれて魅力的でした。彼と悲恋の関係になる藤純子も、博徒映画の姐御というイメージを払拭させてくれる好演です。脇を固める片岡千恵蔵の井上日昭もさすが千恵蔵という存在感で、多少セリフ回しに灘がありましたがその怪物的なカリスマは圧倒的な迫力があります。 桜田門外の変から始まって226事件までの暗殺事件を取り上げていますが、犯人が処刑もしくは自害で終わらなかったのは、血盟団事件とその影響を受けたこの映画では取り上げられていない515事件だけなんですね。小沼正にいたってはこの映画の製作時にはまだ存命で撮影を見学したっていうのだから驚きです。やはりこの事件が起きた昭和一桁のころは、日本の社会はテロに甘いというかまだまだ民度が低かったと結論付けるしかないでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-18 20:52:56)
6.  肉体のすきま風 《ネタバレ》 
テネシー・ウィリアムズの戯曲が原作です。テネシー・ウィリアムズというと登場人物のカップルが激しく刺々しいセリフをぶつけ合うというイメージがどうしても付きまといますけど、本作に限ってはとても彼の原作とは思えない落ち着いたストーリーをじっくり堪能できます。 家が隣同士の牧師の娘と医者の息子の、長すぎた春という風情の悲恋物語であります。この娘をジェラルディン・ペイジが演じます。ジェラルディン・ペイジと言えば『バウンティフルへの旅』でオスカー受賞したあのお婆ちゃんですが、彼女にも当然若い時があったわけで(失礼)、その落ち着いた美貌は牧師の娘という役柄にピッタリです。医者の息子はローレンス・ハーヴェイで、彼も親父の跡を継ぐべく医大に進むんですが、ギャンブルに目がない典型的なドラ息子になってしまいます。牧師の娘も、近所の娘たちに音楽を教えながら頭がおかしくなってしまった母親の面倒を見ているオールドミスというありがちなパターンの人生を送って三十路になってしまいます。どっぷり信仰に浸って生きてきたジェラルディン・ペイジの心を吹き抜ける“肉体のすきま風”がこの映画のテーマというわけですけど、この邦題はストーリーを暗示する優れものではないでしょうか。ここでぜひ注目していただきたいのはローレンス・ハーヴェイの存在感で、英国人の彼が南部のボンボンドラ息子を見事に演じ切っています。早世しちゃった人ですが、もっと長生きしていればきっと名優として記憶される存在になってたはずで、実に惜しいです。 パターン化したメロドラマじゃないかという見方もできますけど、俳優の演技がじっくり愉しめる映画でもあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-19 23:29:44)
7.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 
映画監督としての原田眞人という人を全く評価していない自分としては、この歴史的傑作のリメイクに彼だけは起用して欲しくなかったんですけど、製作委員会という腐った制度が罷り通る日本映画界ではこうなるのは必然だったんでしょうね。■これで役所は三船敏郎に次いで山本五十六と阿南惟幾の両方を演じた二人目の俳優という栄誉を得ました。でもねえ、三船敏郎とは貫禄が大違いで一緒に並べたらそれこそ三船に失礼というものです。役所は阿南よりも山本五十六の方が雰囲気としてはマッチしていた様な感じで、そこは三船とは逆ですね。その役所に合わせたのか、妙に気さくで軽い阿南像という新解釈(?)を見せられることになります。終戦クーデター未遂における阿南善玉説には昔から個人的には疑問に思ってましたが(クーデターが陸軍省の佐官級が主謀で、梅津美治郎が統率する参謀本部には全く動きが無かった)、岡本喜八版から五十年経ってもその流れは変わっていないみたいです。これは原作自体が竹下や井田といった阿南周辺の生き残りたちの証言を採用しているので止むを得ないんですけど、この謎はこれからも解き明かされることはないでしょう。■対する鈴木貫太郎は、忠義一筋の朴訥ではなくいろいろ寝技も使う策士として描かれているのは目新しいかなと思います。これは演じる山崎勉の演技パターンにもマッチしていて、これは良かったかと思います。本木雅弘の昭和天皇は確かに雰囲気は出てましたけど、喋りが全然君主らしくなくてダメですね。これは脚本書いた監督の責任ではありますが、おそらく彼には昭和天皇がどういう話し方をしていたのかということを思案する想像力が欠如してるんでしょうね。でもいちばん驚愕したのは「…と陛下は申された」という阿南陸相のセリフがあったことで、あまりの日本語に対する無知には呆れるばかりです。いくら監督がバカでも、セリフを言う役所や周りのスタッフが誰か気がつかなかったんですかね?■“群像劇なのか阿南惟幾に焦点を当てた物語なのか判りにくい”という批評も有りますが、私は監督はこの映画をオーソドックスに群像劇として撮りたかったけど失敗したんだと解釈してます。群像劇を撮るには高度な力量が必要で、この監督にはそれはムリだったということです。そこは岡本版と較べてみればよく判ります。そして歴史的に重要な人物も多々登場するので、せめて人名テロップぐらいは付けて欲しかったですね。横浜警備隊の佐々木の首相官邸襲撃なんて、ほとんどの人がこれはどういう人物で何でこうなるのかということが理解不能ですよ。■岡本喜八版は市井の人々の視線を交えながらも大日本帝国のいわば葬式をきっちり見せてくれましたが、このリメイクでは歴史のゴタゴタを背景にして阿南惟幾の葬式を描きたかったのかと思わざるを得ません。岡本版にあった終戦前夜の特攻出撃のような心を揺さぶられる様なシークエンスが、この映画には皆無です。その代わりに阿南の娘の結婚やらホームドラマ的な要素が盛り込まれています。阿南の息子がどういう状況で戦死したかなんて妻に語らせてエンドですけど、ほんとそんなことはどうでも宜しい。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2016-07-06 21:25:08)(良:3票)
8.  2010年 《ネタバレ》 
確かに皆さんがおっしゃる通り、SFエンタテイメントとしてはまあ上出来の部類に入るんじゃないでしょうか。でもこれが『2001年』の続編だと言う眼で観たら、まあちょっと許せないですね、自分としては。良く考えると本作はアーサー・C・クラークの書いた「2010: Odyssey Two」の映像化なわけなので、この子供騙しというかスピリチュアストの妄想の様な結末は、クラークの耄碌の産物ということなんでしょうか。この映画でいちばん許せなかったところは、前作でのHALの反乱を政府役人がインプットした秘密指令のせいだとしたことです。判り易いのはたしかですけど、これじゃモノリスとHALの神秘的な関係がどっかに飛んでっちゃってますよ。あと何度もボーマンを登場させたこと、これじゃまるっきり彼が天国にいて天使かなにかのような存在になったとしか思えません。個人的には『2001年』の終盤のシークエンスには、キューブリックは宗教的な意味合いを持たせたつもりは毛頭なかったと思っています。それがこんな俗っぽいキリスト教的なストーリー・テリングになっちゃったら、さぞやキューブリックもご立腹だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-25 22:25:47)
9.  ニューヨーク一獲千金
設定やストーリー・テリングにはちょっと無理がありますが、ドタバタ・コメディとして観ればそこそこ愉しめるでしょう。そこら辺は才人マーク・ライデルが監督ですからツボがよく判ってますよね。ジェームズ・カーンとエリオット・グールドは予想外に良いコンビで、二人の共演が本作だけというのは実にもったいないと思います。この二人がコンビの芸人という設定は終盤のオペラでのドタバタに良く活かされています。それにしてもこの二人は歌も上手いしほんと芸達者です。脇を固めるマイケル・ケインとダイアン・キートンはいつも通りのキャラで手堅いんですけど、マイケル・ケインのコメディ演技ははんと安心して観れます。他にバート・ヤングやチャールズ・ダーニングも出てるし、俳優陣はかなり豪華な小品でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-17 21:23:01)
10.  ニキータ 《ネタバレ》 
5人(ひとりはラリって引きずられている)のジャンキーたちがのし歩いてゆくオープニングは、音楽といい構図といい何度観てもそのカッコよさに痺れますね。プロット自体はとうていあり得ない漫画みたいなものなんですが、まだ尖がっていたころのリュック・ベッソンですから全篇ひたすら硬質でスタイリッシュ、今観ても十分通用しますね。アンヌ・パリローはいかにもベッソン好みのガリ痩せ貧乳ですが、これがどんどんイイ女に改造されてゆくところはまさに殺し屋版マイ・フェア・レディとでも言いましょうか。彼女がジャンキーだったころに警察で名前を訊かれてふてくされて「ニキター」と答える口調が、私大好きなんです。対するチェッキー・カリョもいつも凶暴なキャラを演じる役者ですが、本作のようにとことんクールだけど本質はド変態というボブも実にはまっていました。 「これからお互い寂しくなるな」としんみりマルコに語りかけたシーンの後無言で彼を射殺して部屋から出てゆくボブというのが、実は私の妄想の中での本作のエンディングなんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-01-13 20:12:41)
11.  2012(2009) 《ネタバレ》 
観始めた段階では、この映画はマヤ暦やらニュートリノなどのタイムリーなアイコンを散りばめた『地球最後の日』のリメイクみたいなもんだろうな、と思っていました。実はそれが終わってみれば『天地創造』のリメイクと言った方が相応しいとは、夢にも思っていませんでした。G8各国が手を結んで秘密裏に建造していたものが、地球から逃れるための宇宙船ではなくて文字通りの方舟だったなんて、ローランド・エメリッヒの頭の中身をいっぺん良く調べてみたいもんです。 この映画の脚本は、素人の私が書いてももうちょっと何とかなるんじゃないかと思うほどのレベルの低さです。『アルマゲドン』『ボルケーノ』『ポセイドン』などのディザスター・ムーヴィーから寄せ集めた様なシークエンスになぜか『ダ・ヴィンチ・コード』からも引用し、おまけに『ホワイト・ハウス・ダウン』を先取りしてる寄せ集めの極致のようなプロットなんですからねえ。ジョン・キューザックとその家族が、ロシアの富豪およびその愛人と中学生がでも憚る様なご都合主義で出会うというのには、もう大笑いさせてもらいました。 もうこれは『アルマゲドン』が傑作だと勘違いさせられる様な、おバカ映画の金字塔です。 
[CS・衛星(字幕)] 1点(2014-01-26 17:12:46)
12.  人間に賭けるな 《ネタバレ》 
日本生まれで日本でしか行われていないギャンブル競輪をモチーフにしたちょっと珍しいタイプのドラマです。ヤクザに首根っこ掴まれて八百長している競輪選手、組長の女房とは愛人関係で姐さんは彼には競輪選手としての才能があると惚れこんでいる、でも彼の本命は組長の姪っ子で彼女の若い肉体にはすっかり溺れてしまっている。この三角関係に姐さんと競輪場で知り合ったサラリーマンが巻き込まれてゆく。言葉にするとけっこう複雑なプロットなんですが、脚本がなかなか秀逸でスピィーディーな展開は良かったです。競輪特有のレース展開などにはいっさい触れないんですからこの映画はギャンブル映画とは言い難く、姐さんがこの選手にひたすら一点買いで有り金をつぎ込んでゆくけどギャンブル依存症がテーマというわけでもありません。実は本作はこの姐さんと姪っ子が病む“マイ・フェア・レディ症候群”を見せたかったんじゃないかと思います。姐さんは自分の性的魅力と愛情でひとりの人間を変える快感に酔いしれ、姪っ子の方はヤクザの身内と言う境遇から逃れるため男を選手引退させて結婚しこじんまりとした世界を創りたいと願っている。そんな女たちの玩具の身から逃げ出そうとする男を川地民夫はけっこう好演しています。姐さん役の渡辺美佐子は、ハッとする様な美人じゃないけど何と言うか色気に満ちた女優ですね。面白いのはサラリーマン・藤村有弘とのホテルでの情事シーン、部屋の壁に聖堂のゴブリン像が映りバックには聖歌を流すんです。映画全体でも人間を見下ろす神の視点の様な高い位置からのショットが多用されており、それはラスト近くで最終ラップを告げて打ち鳴らされる鐘(ジャン)と教会の鐘がオーヴァーラップされるところで決定的になります。 しかし捜して観るとこういう知られざる秀作があるんですね、まだまだ修行が足りんと実感した次第です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-24 22:02:51)
13.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
今までに繰り返しこの映画を観ていますが、たぶん流した涙は1リットルにはなるでしょう(ちょっと大げさです)。もう最近はトトがシチリアに帰るあたりから涙目になってしまいます。そしてラストシーンではもう滂沱の涙、正直言ってここで泣けない人がいるって信じられないです。トトって子供のころは悪知恵が働くませたガキだし、成人して映画監督になってもプレイボーイで女をとっかえひっかえ、おまけに30年も実家に帰らないというけっこう嫌な奴です。でもアルフレードが残してくれたフィルムを観てるとき、まるで少年の日に帰った様な屈託のない笑顔を見せるんですよね。ノスタルジーの魔力を見せつけてくれるこのカットはまさに偉業で、私の涙腺を徹底的に破壊してくれます。 エンニオ・モリコーネのテーマ・ミュージックはあまりに素晴らしく、もう映画音楽遺産と呼びたいぐらいです。そう言えば数年前、地元のデパートが閉店しました。閉店セレモニーで店員さんたちが深々とお辞儀をする中でもう二度と開かないシャッターが下ろされたんですが、この映画の『愛のテーマ』がその時流されたんですよ。集まった群衆からは一斉にすすり泣きが漏れ、ほとんど号泣してる人もいました。もう素晴らしい演出でしたが、この場面で『愛のテーマ』を流すなんてそりゃ反則ですよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-09-17 23:55:50)
14.  ニコライとアレクサンドラ 《ネタバレ》 
40年以上前の映画ながら、ロシア革命とロマノフ王朝の悲劇を通史で描いた映画はその後もほとんど皆無なので、その意味では貴重な作品です。物語は日露戦争まっさなかにアレクセイ皇太子が誕生するところから始まりますが、敗戦の混乱の中で勃発した第一革命で動乱にロシアは突入していきます。ニコライ2世は大津事件で日本との因縁もあったわけで、思えばロマノフ家の運命に日本は浅からぬ影響を与えていたわけです。 実在の人物に似た俳優たちがキャスティングされていますが、とくにケレンスキー役やラスプーチン役の俳優は本人と瓜二つです。出番は少なかったけど、ウィッテ蔵相を演じたL・オリビエの存在感はさすがでした。また時代考証と美術はかなりのレベルで、たとえばロマノフ一家が最期を迎えるイパチェフ館のセットは、外観や虐殺の間の造りは実物を忠実に再現しています。 ラスト、銃殺隊が部屋に入ってくるまでドアを映した数十秒の間があるのですが、結果が判っているだけに耐えがたい緊張感がみなぎったカットでした。 良くフランス革命とロシア革命を同列に論じる学者がいますが、このレーニンたちボリシェヴィキの残虐非道ぶりを見ればそれは間違いだと思います。子供たちを含めた皇帝一家を惨殺できたのだから、レーニンやスターリンが良心の呵責を感じずに一般庶民を何千万人も殺せたのでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-24 12:16:37)(良:1票)
15.  ニューヨーカーの青い鳥 《ネタバレ》 
割と渋い俳優を揃えて映画化された舞台劇というジャンルは、むかし『キャスティング・ディレクター』という映画で自分は痛い目にあっているのに、またやられてしまいました。もうこれはR・アルトマンの責任とは言い難く、元ネタの舞台劇が私には合わないというかつまらないのだからどうしようもないでしょう。 日本人にはアメリカ人の精神分析・セラピー好きはどうも理解できないし、それをネタにしたコメディなんか笑えるわけはないでしょ。G・ジャクソンとT・コンティがセラピストなわけですが、患者と寝たりもの凄いゲイ差別主義者だったりというところが、まあこの映画のミソと言えなくもないです。 ラストシーンなんですが、J・ゴールドブラムとJ・ハガティがレストランから出てくるとカメラがどんどん引いていって遠景になり、そこにエッフェル塔が小さく見えるんです。「えっ、ここはパリだったの、NYのお話しだったはずなのに?」とびっくりしましたが、この映画でここが唯一アルトマンらしさが出てたところでした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-07-24 00:09:02)
16.  日曜日は別れの時 《ネタバレ》 
思えばこの当時の英国を代表する映画女優は間違いなくG・ジャクソンだったと思います。一般的な美女とは言い難いけど、知的な演技力に恵まれた非凡な名女優だったことは間違いありません。90年代には女優を廃業して政治家に転身し、なんとブレア政権で運輸大臣を務めていたと言うから大したものです。 この映画ではバイセクシュアルのアーティストとユダヤ人の医師P・フィンチ、そしてジャクソンのスタイリッシュというかちょっと奇妙な三角関係を絶妙に演じています。劇中ではやたらと電話が鳴るのと電話交換のシーンがあるのですが、製作された70年代初頭ではもっとも都会的なコミュニケーション手段だったんでしょうね。 ストーリー自体はとても淡々としていてジャクソンとフィンチの演技を愉しむことに徹するのが正解でしょう。ラストに突然フィンチがカメラ目線になって心境を語りだす演出で、今ではこんな手法を使う監督はいませんが当時はけっこう斬新だったんでしょう。そこでフィンチが失恋の苦しみを「心が風邪をひいただけさ」と表現しますが、これは素晴らしいセリフですね。 それにしても、G・ジャクソンの代表作はほとんどDVD化されていなくて、鑑賞するのに大変苦労させられます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-03-30 21:42:46)
17.  日本誕生 《ネタバレ》 
“東宝製作1000本記念映画”と言われていますが、当時の映画界の状況からすると記録的な大当たりとなった新東宝の『明治天皇と日露大戦争』を意識して製作されたんだろうと想像できます。“不偏不党”がモットーの東宝だけに、外野からケチをつけられにくい古事記と神話の世界を題材に選んだというところでしょうか。でもそこは天下の大東宝、巨匠稲垣浩を監督に据え他社のスターも呼び込んだ一大オールスター・キャストになっています。そのおかげで三船敏郎と鶴田浩二の滅多に見られないチャンバラ対決や、天照大神に扮した原節子の小津映画では決して見せない凛々しい姿などを観られてなんか得した気分になれます。 『日本誕生』というので天地創造から神武天皇あたりまでの映像化かと思っていましたが、実際には日本武尊を主人公に据えて神話シークエンスは劇中劇で見せるという脚本構成です。三船敏郎が日本武尊と須佐之男命の二役を演じて大活躍ですが、服が違うだけでどっちも同じ演技というのはまあご愛敬でしょう。古事記の記述とは違い日本武尊は大伴一族の軍勢に騙し討ちにされて壮烈な最期を遂げるのですが、それが火山噴火の天変地異が起きて大伴の軍勢を滅ぼす壮絶なラストに繋がるのです。このスペクタクルは円谷特撮の独壇場で、特に地割れのシーンは地面をスライドさせる仕掛けを造って実際に俳優たちが呑みこまれるという凄い映像で、ほんと驚かされました。 二部構成で正直後半はだれ気味なんですけど、やっぱ前半第一部の方に見どころが多かったと思います。とくに“岩戸隠れ”で乙羽信子(天宇受女命)が奇天烈な踊りを見せるシーンには強烈なインパクトがあります。八百万の神々も、エノケンや金語楼といった当時の第一線のコメディアンや横綱朝潮まで揃えていて実に豪華。こうやって見ると、日本の神話もギリシャ神話に劣らず豊潤なんですね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-23 21:50:44)
18.  2001年宇宙の旅
本作は私たちの世代には観たくても観られない“幻の映画”だった時期が長かったのです。封切時に観た友人がいて、彼の持っていたテアトル東京の名が入ったプログラムが宝物みたいでとても羨ましかったものです。ぴあの『もあテン』がきっかけになって再上映を求める運動が起きたことは今や伝説ですが、ついにリバイバルされたときはもちろんテアトル東京に駆けつけました。 最初の20分はセリフがまったくなくて(そりゃ猿人しか出てこないんだから当然ですよね)、この映画まさか全篇セリフがないんじゃないかとちょっと心配になりました。そして上映終了、場内が明るくなると満員の観客の8割が首をひねって「訳わからん」という表情だったのを鮮明に憶えています。でも不思議なんですけど、初見の時からこの作品を難解だと思ったことは一度もないんです。何と言うか、キューブリックのイマジネーションが、自分が何となく宇宙や地球外知的生命体そして神について感じていたことにひとつの解答を与えてくれたような気がしたからでしょう。 映画史には、その作品が登場したことによって映画の概念を変えてしまったオーパーツのような特別な映画がありますが、『2001年宇宙の旅』はその筆頭でしょう。
[映画館(字幕)] 10点(2013-02-11 22:15:16)(良:2票)
19.  人魚伝説 《ネタバレ》 
かつて邦画界のあだ花だった海女映画が、20年の月日を経て究極の進化形となって甦ったと言う感じです。原作は劇画なんだそうですが、本家新東宝の海女映画も青ざめるようなお話の壊れっぷりは、もう暴走機関車みたいです。『八墓村』状態のラスト45分は、白戸真理のぶっ飛んだ暴れっぷりがあまりにバカバカしくもう笑うしかありません。銛が一本であんなに人を殺せるわけないだろ、ふつう猟銃か日本刀を使わせるんじゃないかよ、などと文句を垂れるのは所詮虚しいこと。激しい運動のためほとんど過呼吸になりかかっている白戸真理の姿は、もう演技ではなく素のままを撮ったとしか思えませんでした。 そしてある意味とても貴重なのは、白戸真理が“洋上の飛田新地”として有名な渡鹿野島へ逃げるところでしょう。あの伝説的な島は実在するのです。むかし独身寮の旅行で渡鹿野島へ行く計画を立てたら、会社にバレて総務部長から大目玉を喰らった苦い思い出があります(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2012-11-22 18:56:04)
20.  ニア・ダーク/月夜の出来事 《ネタバレ》 
西部劇風味・ロードムーヴィー・ヴァンパイアの三プロットが絶妙にミックスされた秀作です。『エイリアン2』に出演したばかりのキャメロン組俳優や、『ターミネーター』を彷彿させるトレーラーの爆発シーンなどジェームズ・キャメロン臭は強いけれども、キャサリン・ビグローは実質監督デビューとは思えない力強い演出を見せてくれます。罪のない人間を殺しまくる良く考えたらとんでもないヴァンパイアたちなんですが、疑似家族である彼らの絆がとても悲しく切ないのです。「楽しかったな」と微笑みながら文字通り燃え尽きて果てるランス・ヘンリクセンとジャネット・ゴールドスタインには、思わず落涙です。カルトとしての評価が高い本作ですが、モダン・ヴァンパイアというジャンルを創った功績も忘れてはなるまい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-17 23:46:19)(良:1票)
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