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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2005
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
某ラジオ番組でDJが絶賛していました。あまり映画を観ない人は圧倒されるでしょうけど、私はいつもながらの韓流節に感じました。 まあとにかく巧いもんです。社会の格差を描くにしても、こんな風に毒と笑いにまぶした作品を他に知りません。前段のコメディタッチから一転、企みがバレてにっちもさっちも行かなくなり、状況はどんどん煮詰まってゆく。この「ヤバい感」を煽る技は天下一品。演出としての土砂降りと水害(ただし下層部の住民に限る)も精神的な追い詰め剤として一役買っており、翌日に涼しい顔で子供の誕生会なんぞを催そうというセレブ奥様への反感も増すことになるのです。 上流層とそうでない者との間の超えられない壁を「匂い」で表したのも鋭いなあと思いました。たしかに体に沁みついた生活臭は、いくら服装や経歴といった表層を繕っても消し去ることは難しい。よその家の匂いが気になるように。 クライマックスの「持たざる者の怨念炸裂」は意外でした。あまりに高い前評判を聞いていたので、もっとnot韓流な展開になるかと期待したのですが。これではまんま韓国映画テイスト。毎度のことながら死人を出さなきゃならんかなあ。ちょっと安くなっちゃうんだよなあ。 破綻不可避と思われた家族の計画が、どうにかしてそこそこ上手く着地しました、という方が意外だし観てみたかったです。
[映画館(字幕)] 7点(2020-01-16 18:35:55)
22.  パディントン
これは、観る側の心の持ち方で評価の分かれるタイプのやつ。たとえ同一の人物であっても、上司を呪いながらビール片手に暇つぶしに見る環境下と、幼いわが子と一緒に映画館へと出向いたのとでは作品に対しての感想は180度違ってくるでしょう。 お話は極めてオーソドックス。一生懸命に居場所を探すクマさんとお約束のアクシデントの数々。ちょこちょこ挟まる過去作品のパロディーに笑えるかどうかは、あなたの心の幸福度次第。 全編にわたる色彩の濃い画は素敵ですが、パディントンがけっこうリアルなクマなんですよね。剥製が動いているみたいな。日本人としてはもう少し可愛さを要求したくなるな。個人的には見た目も中身も大陸のクマTEDの方が好きです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-22 16:55:35)
23.  ハクソー・リッジ
ちょっと現実味を感じないほどに立派な話である。とはいえ「実話」であるからとても強い。負傷した敵兵(=日本兵)までも救出してくれたというのだから、主人公の尊い働きには畏敬すら覚える。 異端者に対する組織の困惑と、当然浮く彼。しかし実戦における彼の献身ぶりに周囲の考えも激変する様子などは細かいエピソードをこんこんと織り込んでいて、ここが肝とばかりに熱意にあふれた描写が続く。彼のため聖書を拾いに戻る、祈りの時間が終わるのを皆で待つ。こうまで一人の人間が戦場で全員の敬意を集めるのを見るのは初めてかもしれない。 感動場面の肝の押さえどころも、凄惨な戦場の演出もM・ギブソンは手堅くやってのけているなあと思う。 しかし日本人にとってはあそこは「前田高地」なのであり、記憶に留めるべきは米国人の働きぶりよりも第62師団や戦禍に巻き込まれた沖縄の人々のことであろう。ウィキで師団構成員の名を見ているうち泣けてきた。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-09-18 16:28:21)(良:1票)
24.  ハングリー・ラビット
導入部はとてもスリリング。仕掛けが大掛かり「ぽくて」、勿体つけた合言葉とかいかにもヤバそうな秘密結社「ぽくて」、事件の闇が「深そう」。だけどこれが意外としょぼい素人集団で、オチもおそまつ。甚だしくがっかりです。四番バッターのキャッチャーフライみたいな。 フタを開ければB級作だったわけですが、鑑賞中はそれなりに集中して観られたのはどんな駄作でもとりあえず熱演するN・ケイジの真面目効果でしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-08-12 23:45:53)(良:1票)
25.  ハットンガーデン・ジョブ
じーさん達が”昔取った杵柄”で大暴れ的なコンセプト、近年やたら多くてモーガン・フリーマンあたりはそんな仕事ばっかり。年をとっても元気なのは良いことだ。が本作はひねたイギリス人によるイギリス映画なので、マッチョで超人的なじいさんはおらず、皆御老体に鞭打って出動してるのがリアリティ満載である。ただそこは英国人、年齢を重ねた味わい深さがハッキリ顔に出てて、人生刻んだ良い顔の役者ばかりでこれには唸った。 「仕事」である金庫破りの本番においては、これといったトラブルが用意されていない脚本である。裏切り者が出たり防犯装置がけたたましく響いて銃撃戦、とかそういう映画ではないのだった。 スリルは味わえないけど、老境に入ってのメンタルの持ちようが多いに参考になる、まあ滋味溢るる好ましい一本でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-08-06 00:08:24)
26.  鋼の錬金術師
私は原作の愛読者であるので、この映画への酷評をたくさん耳にしたうえで、心してハードルを下げて観賞しました。 やっぱり「漫画を実写にする」ことの難しさ、を克服できていないです。そもそも二次元の紙の上で紡がれる物語世界にはそこでのみ了とされる様式があり、読者は暗黙のうちにそれを理解して世界観を受け入れます。しかし、漫画のコマをそのまま生身の人間が絵のとおり再現しようとすると強烈な違和感が生じます。語尾を「~じゃ」で終わらせる博士や「ざます」オバサンが現実世界ではほぼお目にかからないように。そのキャラクターのエッセンスのみを生かすべく、一旦三次元向けに変換が必要かと思うのですが、それができていない。アジア人の顔に乗っかる金髪は目にうるさいだけだし、台詞回しに至ってはギザギザ吹きだしのままデカイ声を出すのみのアイドルの大根ぶりはちょっと見ていられません。 原作は全27巻に及び、土地や民族の歴史を織り込んだ深みのあるお話です。そもそも2時間に収めるのは無理なのです。映画「ハリー・ポッター」は各巻ごとの制作だし、「ロード・オブ・ザ・リング」だって三部作なのです。そこをなんとかやれと言われれば、最初と最後を無理やりくっつける、こういうやり方しかないのかもな、とも思います。脚本はむしろすごく頑張ったのでは。 ファンを納得させる出来ではないにしろ、でもこの映画わりと「まじめに」作られた感があり、キャスティングなどは原作のイメージを損なわない役者を揃えています。辛口ファンも認める松雪泰子はもとより、タッカー役に大泉洋とはナイスな起用でした。こんなにハマるとは。マスタング大佐にディーン・フジオカも私的にはアリなのですが。あの年齢で前髪ありの髪型が様になる役者が他にいるとは思えない。 それに映像技術のレベルの高さも良かったな。架空のヨーロッパぽい土地の風俗は漫画のままだし、ダーク・ファンタジーの雰囲気を損なわないようにグロテスクな怖さも綺麗めに描写していますし。アルの動きはまったく滑らかで、”そこにいる”かのように感じながら観られたのは素晴らしかった。かつて「REX」が「ジュラシック・パーク」と同時期に公開され、わが国の映像技術レベルの哀しさをひしひしと噛みしめた頃を思うと隔世の感があります。 ということで、いろいろ引いたり足したりで5点。甘いかな。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-07-23 00:41:16)
27.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 
宇宙にたった一人って、なんて恐ろしいシチュエーションだろうとすっかりびびり、冒頭からクリス・ブラットの置かれた状況には緊張でどきどきしました。どういう展開で孤独を消化してゆくのだろうかと。 ところが、J・ローレンス登場からどうも主軸が男女間のロマンス話へと移ってしまって、舞台が宇宙である必然性がさほど無くなっちゃうのは残念なことでした。 恋愛モノとしての、くっつく→けんかする→ヨリを戻す、の流れがこれがもう王道のシナリオ。揉め事の原因が命や人生に関わることなのでコトは大きいけれど、二人でピンチを乗り越えて元サヤに収まるってベタもベタ。 それに突っ込んじゃいけないのかもだけど、あんなでっかい高技術の塊な宇宙船のメカトラブルをちゃっちゃと専門外の素人が直せるというのもすんごく安易でないかい。もちろん専門職のクルーを片っ端からたたき起こすけどね、私なら。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-05-23 18:29:54)
28.  パーソナル・ショッパー 《ネタバレ》 
セレブの買い物係を務める女の子。高級ブランドを品定めし、次々購入するも所詮自分のものではなく、雇い主のわがままにも振り回される。鬱屈がたまったある時事件が起こる。・・耳にした予告あらすじは大体こんな感じ。ハイブランドのキラキラと妬みと、それに絡むサスペンスかと思うじゃありませんか。・・まさかD・リンチ風な変化球を投げてくるとは予想だにしなかった。 冒頭からオカルト全開でスタートしたときから頭の中は?でいっぱい。見終わっても?が消えるわけではないのだが。いろんな疑問が湧くけど、解答を用意しないタイプの映画です。考えても検索してもハッキリすっきりしない。客の解釈に丸投げしてるわけで。ワタシの解釈はこうです。呼び出されたホテルで彼女は殺されちゃってるんだな。出てった霊はモウリーン。直後、ホテル外観の画を静止カメラで数秒流した後から視座が変わるのだ。すなわち、その後に見せられる話は全て死んだモウリーンの希み。 兄の後釜にすわる男の人間性を確かめ、オマーンの恋人に会いに行く。そんな遠くにまで現われる兄のラップ現象。「これは全て私の気のせい?」と問うと答はYES.すごく矛盾してるやり取りなんだけど、彼女がこの世に存在しないと考えればすとん、と落ちるような気がします。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-10-07 00:45:59)
29.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
原題はSully、サレンバーガー機長の愛称ですね。ですからこの映画は邦題の与える印象とはちょっと違って「事故そのもの」を描いたのではなく、その後事故責任の有無を問われることになった機長その人にスポットを当てています。 リーダー役をやらせたらいるだけで信頼感の厚さを醸すT・ハンクス。彼を機長役に据えたイーストウッドのタクトは主張ぶれることなく、サレンバーガー氏に添った描写をします。100%機長判断を支持する副操縦士や、「いかにも」役人的な安全運輸委員会の面子等は分かり易い脇役です。現場にいて、最良の判断をしたと思っても、後になって外野から異を唱える連中というのはいるもので機長もこの理不尽に飲み込まれてしまうのかも、とどきどきしました。あのシミュレーションは突然生死の境にぶち込まれた人間の心理状況をまったく酌量してないですもんね。機長がちゃんと「人的要因」の存在を主張できるほどに言語能力が高い人物で良かったなあと思いました。ワタシが彼の立場だったらイライラして声を荒げるだろうなあ。 ラストに実人物を挿入しているのも、感動一割増しの効果ありでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-09-28 17:46:52)
30.  パージ 《ネタバレ》 
年に一回、12時間のみ全ての行為が合法化されるぞって理屈つけてるけど、これって「わらの犬」ですやん。お前んちに逃げ込んだ奴を差し出せ、さもないと暴漢が家に押し寄せるぞ、と。こんな悪意、法律云々関係ないもん。悪意とはそもそも常識も正義も無い、無法状態ですからね。 「今日は犯罪になんねえから」暴れる奴らと違って、ペキンパー作の方は真性にイカれた連中だったのでよっぽど迫力がありました。なんでも「わら」と比べるのもナンですが、防衛側もまたその緊迫ぶりがD・ホフマンとE・ホークでは雲泥の差がある。ヒリつくようなホフマンの血走った目、あのキレ方を思うとイーサン父さんはもうちょっと家族のためにギアを一段上げられなかったかね、と思う。それとここんち、非常時に子供がどっか行くこと多いなー。それで何かやってくれるのかと思ったら(あの不気味なロボット含め)、足引っ張ってるだけだったよ・・。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-08-18 01:30:14)
31.  薄氷の殺人 《ネタバレ》 
ベルリンで金熊賞を獲ったそうですけど、「ええ、この程度で?」というのが正直なところです。「明かされる驚きの真実とは?」と宣伝は煽るけれど、話の骨格はよくある殺人沙汰で、特に犯人に対してやるせない同情が湧くという余韻があるわけでもありません。 それに、映画作品という文法をやや逸脱している構成がとても観づらいです。場面ひとつひとつが何を意味するシーンなのか、が分かりづらく繋がりも唐突で戸惑います。これが繰り返されるとついていく気が無くなります。ミスリードの仕方も上手くない。冒頭の容疑者二人の扱いがレッドヘリングの割に印象が強すぎるし、後半の車のナンバーが違うという件については観直してもなんのことか分かりませんでした。 主演女優は綺麗ですがクリーニング店でパートをしているという役作りはサボっているよね。あんなに若くて洗練されているなら他に勤め先はあるだろう、と誰でも思う。 重くて暗い画は基本キライじゃないですが、この映画難点は「不潔」も混じること。生理的にうんざりしてしまっては、いくら暗くても「耽美」にはなりません。個人的にそこもダメでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-06-02 00:17:20)
32.  ハイネケン誘拐の代償 《ネタバレ》 
見慣れないぶん、一般人のようにも見えちゃう俳優さんたち。そのぶんドラマがリアルに感じられます。犯罪の代償として、仲間らが疑心の末バラバラになっちゃうくだりとかは特に。 だけど良いのはそこらへんだけかな。ハイネケン会長が老獪さを発揮して、もっと連中に影響を与える筋書きかと思っていました。中華料理に細かく注文をつける、会社に手紙を書かせる、・・で、そこ止まりなんですよね。 結局どこかからタレコミがあって、警察による事件解決という事実ならではのつまらないオチ。出来事を並べただけでは映画にならないのだなあ、とつくづく思うよ。創作でもいいから、犯人側の切羽詰った人生等もっとつっこんでもらいたい。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-29 00:16:22)
33.  パレードへようこそ 《ネタバレ》 
サッチャー政権による炭鉱閉山ドラマって多いなあ。いかに荒療治で、人々の傷も大きかったか分かろうというもの。今作は炭鉱ストの フィールドに何故かゲイの皆さんが加わる。「同じく圧政に苦しむ境遇だから」というのが理由らしいが、このあたり描写あっさりし過ぎじゃないですかね。たまたまTVでリーダーが炭鉱街の苦境を見て、思いつきで行動をおこしたように見える。そんな唐突なことで集団は動くのだろうか。 描写の浅さはそこかしこに感じる。一因としては、誰が「主人公」なのか軸がはっきり定まっていないこと。炭鉱にもゲイ側にもぱらぱらとさわりだけ触れられる人物が多数存在している。群像劇というには各キャラに入り込めるほど掘り下げていない。炭鉱サイドのアンチゲイのおばさんも、ビル・ナイもそれなりに存在感を発しているけど、話の収め方はもやっと不発に終わる。A・スコットのウェールズ人のアイデンティティーのくだりとか、菓子職人志望の青年ん家の揉め事とかはいっそカットでよかったのでは。描ききれてないもん。 実話の強みで、終盤のパレードのシーンはそこそこの盛り上がりを見せるけれども。実話だからなあ。なんかずるいよな。 炭鉱ものは名作が多いので、ちょっと辛口になってしまった。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-16 00:07:32)
34.  パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 《ネタバレ》 
これまで目にしてきたケネディ暗殺事件関連のものは、その事件の真相を追うというテーマがほとんどでしたので、「事件に関わることを余儀なくされた一般市民」を描いたこの映画、ちょっと斬新でした。 狙撃された大統領は運び込まれるわ、その数日後犯人と目されるオズワルドまで搬送されるわで、パークランド総合病院は前代未聞の大騒ぎだったことでしょう。外来受付はきっとストップしただろうな。大統領側近も大変だ。専用機に棺が入らない。こんなことを想定するわけないだろう、と椅子を外しスペース確保に懸命になる彼らの胸中はいかばかりだったか。 他にも描かれるのは、動画を撮影していたアマチュア・カメラマン、オズワルドの家族ら。昨日まで一市民だったのが、歴史上の大事件に突然向き合うことになり、その日から人生の視点も微妙に変わっていったのだろうなあ。神妙な気持ちになります。 キョーレツな印象を残すのはオズワルドの母ちゃん。弟が犯人(とされている)上、母までああではオズ兄の立ち位置は大変キツイ。心から同情した。 オズワルド埋葬の際、兄が一人で穴を掘るのを見かねてマスコミ関係者らが自らスコップを手に手伝い始める。ここ、ちょっといい場面でありました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-25 23:56:12)
35.  ハンナ・アーレント 《ネタバレ》 
アイヒマンを”解り易く”糾弾しなかったことで世間から袋叩きにされるハンナ。60年当時であれば、ナチの禍々しい爪あとはまだ記憶に新しい頃だろう。ナチの幹部など吊るし上げて当然の風潮の中、ユダヤ人でありながら冷静にアイヒマン個人を観察し、悪というものの構造をひも解いた彼女の知性に驚嘆する。 ハンナが、世間がヒステリックに決め付けたような「冷酷な人間」ではないこともきちんと描かれた。病に倒れた夫を献身的に看病し、友人を失ったことには傷つく。読者からの抗議の手紙にも「傷つけたことを詫びる」ために返事を書く誠実さもある。 バルバラ・スコヴァの熱演もあって、ハンナ・アーレントという哲学者の生き様と当時の世相がとてもよく伝わった。 今の時代のブログ炎上どころの騒ぎではなかっただろう。しかし彼女はそんじょそこらの男たちが束になって悪口を言ってきても、ひるまずりりしく、勇者のごとく一人立つのだった。 信念を曲げないこと、発言する勇気と結果を引き受ける責任感。 こんな人がいたのだと、教えてもらった圧巻の120分であった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-05 00:54:04)(良:3票)
36.  博士と彼女のセオリー 《ネタバレ》 
かのスティーブン・ホーキング博士と妻であったジェーンとの結婚生活とその終わり。言ってしまえば他者の私生活だけれど、存命中の博士や関係者らにもきちんと配慮した、品のある筆致で描かれていると思います。 博士とジェーン、二人とも共感しやすく好感の持てる人柄として描写されており、ゆえにジェーンの心の揺れに、こちらも一緒に苦悩するのでした。 病を得てもいなくても、人の心とは測れないもの。 言葉では言い尽くせない思いを数年にわたって抱えながら、二人が誠実に精一杯生きてきたことが伝わる良い映画でした。 エディ・レッドメインはそりゃあオスカー獲りますよもちろん。顔立ちがもともと似ているのも手伝って、博士ご本人そのものに見える。限られた顔の筋肉の動きで出す表情も見事で、これは役者が放つ、一世一代の渾身の演技でありましょう。彼の瞳は雄弁で、ジェーンとの別れを意味するシーンでの彼の表情を思い出すと、今また泣けてきます。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-25 23:53:53)
37.  8月の家族たち 《ネタバレ》 
よそんちの生々しい諍いを延々見せられて大変疲れる。これブラックコメディなの?うそお、これで笑えるなんてアメリカ人の体力ってどれほどタフなの。肉食DNAの人たちのケンカって、和の人の許容量を超えている。耳を塞ぎたくなったよ。M・ストリープ扮するあの母親、あれはね、ダメですよ。みんな距離を置いた方がいい。言葉を攻撃のみに使っているもの。C・クーパーならずとも辟易するわ。 楽しくもなんともないお話だけど、眼を見張るのは役者たちの演技合戦。御大M・ストリープなんか、こんな定型役はおちゃのこさいさい、といった感じ。もやっと崩れたジュリエット・ルイスも奇妙な引力がある。世間の好感度もすっかり下がったJ・ロバーツはもう怖いもの無し、なためか恐ろしいまでの闘犬演技だ。ちょっと一本調子に過ぎたかな。 はなっから白旗上げ気味の男たちも巧い。やり切れない表情のいぶし銀C・クーパー、徹底して地味な婿役に徹したE・マクレガー、そして今や旬のB・カンバーバッチ。本音を言うとベネさん見たさの観賞でしたから、いつ出てくるのかなあと。母親に苛められて育った気弱で優しい青年役で、みごとなまでにシャーロックではなく、全然かっこよくない(笑)。長い手足を心なしか縮こまらせておどおどしてました。うわあ上手い。ワタシはベネさんが演じたキャラクターはすべからく愛してしまうので、今作のリトル・チャールズのことも大変心配だ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-07-04 00:48:33)(笑:1票)
38.  バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所
なんつうか、”けったいな”という表現しか思いつかない作品。よくこんな題材思いつくよなあ。 ホラーな音響を作ってるうちに擬似殺人を犯している気分になり、メンタルをやられる技師トビー・ジョーンズがそもそも”何かを抱えている”風貌なので、はまり役である。はまり過ぎだ。彼以外の役者だったら単なるノイローゼ患者の人物描写になっただろう。事務仕事がずさんなイタリア人気質までが彼を苛むのだった。(笑) ”何かが起こってすとんと落ちる”話では一切無い。ぽかーんとしているうちに終わっちゃうのだけど、まあー奇妙奇天烈、じわあーと不快な気分にさせられる強烈な印象は残します。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-01-30 23:42:59)
39.  ハングオーバー!!! 最後の反省会 《ネタバレ》 
酔っ払わないけど、薬も盛られないけど、記憶もちゃんとある3作目だけど、安定感のある面白さでした。もっとも、ハングオーバーファンの常連客を狙っての作りなのは否めませんが。内輪ノリでまあまあ笑いましょうや、という感じです。 相変わらず何もしないダグ、自己中が加速しているアラン、場を取り成すに当たって最強にツブシの利くイケメンフィル、パニクってるか憤慨しているかのスチュ。馴染みの面々がまたもやトラブルに巻き込まれてドタバタするわけで、このテイストが身体になじんで心地よいと思ったら立派なハングオーバー会員。(←?) 最後のお披露目にこれまでの人物が再登場なのも常連客には嬉しい。特にまさかのジェイド。幸せそうで良かった。カルロス(名前違うか)も可愛く育ってた。アランが実にいらんこと吹き込んでいたが、将来への影響が心配だ。いやそれほどでもないけど。
[DVD(字幕)] 7点(2015-12-14 00:13:56)(良:1票)
40.  バトルフロント 《ネタバレ》 
J・ステイサムはデビュー作近辺の三枚目半の役どころからずいぶん遠くに来てしまってて、昔の方がお気に入りだったワタシはちょっとつまんない。今作でも立派な二枚目役だ。そしてこのスタローン脚本のB級映画、テレビの洋画枠で流すにはもってこいの尺と、そこそこ起伏のある展開だしギャラはそれなりに高そうな役者を揃えているしで、けっこう観られる作品になっています。 いじめをやっている問題児童の家族を「悪い役」として片付けるのでなく、希望を残す描き方をしているところなんか感心です。 半ヤク中の母親にも、一分の親としての理性・良識が残っていたし、子供に手をかけることに激しく抵抗するウィノナしかり、小悪には目を瞑っても、職務を放棄しない保安官しかり(もらったビール捨ててましたね)、人物の描き方が一辺倒でないあたり、映画畑に長いこといるスタローンの巧さを感じるところでありました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-14 00:17:17)
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