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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1879
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  バービー(2023) 《ネタバレ》 
全世界で根強い人気を誇る老舗玩具バービー人形。もし彼女らが意識を持ち、彼女たちだけが暮らす夢のような世界があったら?本作は、そんな特異なアイデアを独創的な映像で描いた異世界ファンタジー。監督は、僕とはあまり相性の良くないグレタ・ガーウィグ。この人の映画を観るのはこれで三作目なのだけど、やっぱり今回も見事に嵌まりませんでした。この人のあからさまなフェミニズム思想ってなんかすんごく偏ってません?自分は男ですが、この社会に当然のようにはびこる男たちの傲慢さに昔から違和感を覚えていたタイプ。「男は社会に出て積極的にバリバリ働き、女は家庭を守り子供を育てる。それこそが人類共通の真の幸せな姿だ」なんて平気で信じ込んでる男たちに心底うんざりしてきました。そんな「女は頑張った自分へのご褒美だ」と本気で考えてるような男には絶対にならないでおこうと決めた僕でも、本作の根底に貫かれる極端なフェミニズム思想にはかなり拒絶反応が……。この映画のテーマって結局、「今まで男が女を支配してきたからこれからは女が男を支配してやりましょう、それができなければもう女たちだけで生きていこうよ」ってことですよね?それってどーなんですか。なんかすごい違和感を感じたのは僕だけなのかな。この社会の分断を招き男女間の対立をいたずらに煽っているだけのような。まぁそんな極端な考えに走るほど、女性がこれまで不当に虐げられてきたというのも分かるんですけどね。とはいえそーゆーのを抜きにしても、単純にファンタジー映画としてどうなんと思える部分も残念に感じました。バービーランドと人間社会の関係がかなり曖昧過ぎて物語の世界に全く入り込めなかったんですけど。どうしてバービーランドが出来たのか?この世界が最初にあってマテル社がその模倣としてバービー人形を作ったのか?あるいはその逆なのか?現実社会の持ち主の暗い思いがこの世界に悪影響を及ぼすならとっくにこのバービーランドは崩壊しているのではないか?そこら辺の設定の詰めが甘く、自分はもはや物語として破綻しているようにすら感じてしまいました。「マーゴット・ロビーが言っても説得力がない」なんて楽屋オチみたいなネタを突然出してきたときなんて完全にすべってたし。そんなわけで、自分はこの監督の感性&思想とはまったく合わないことを再確認してしまいました。マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングの豪華共演と、ピンクを基調とした映像の創り込みがさすがに半端なかったので、+1点!!
[DVD(字幕)] 5点(2024-04-26 11:30:37)
2.  バビロン(2022) 《ネタバレ》 
独り善がりでつまんないストーリーを、きちゃない映像&エログロマックスな下品な描写で3時間も垂れ流し続けるというもはや苦行のような映画。
[DVD(字幕)] 3点(2023-12-22 08:34:17)(良:1票)
3.  ハッチング―孵化― 《ネタバレ》 
彼女の名は、ティンヤ。北欧フィンランドで裕福な家庭に暮らす何処にでもいるような12歳の女の子だ。ネットで幸せな毎日を全世界に発信することを趣味とするお母さんと、そんな母親に若干疲れ気味のお父さん、生意気盛りの弟と普通に生活している。そんな彼女が今、最も取り組んでいるのは、新体操。近々開催される全国大会に向け日夜練習に励んでいた。母親もまるで我が事のように応援してくれている。だが、なかなか思うような結果が残せない。そんなある日、ティンヤは夜の森で小さな鳥の卵を拾うのだった。瀕死の重傷を負った母鳥は近くで死にかけている。このままではこの卵もここで朽ち果ててしまうだろう。ティンヤは思わずその卵を持ち帰り、部屋のベッドで温め始めるのだった。すると不思議なことに2日3日と経つうちに卵は徐々に大きくなってゆく。まるで妊婦のお腹のように大きくなった卵は、とうとう〝その時〟を迎えてしまう――。思春期を迎えたばかりの少女が孵化させた、そんな恐るべき存在の恐怖を描いたモダンホラー。この全編に漂う、なんともいや~~~な感じが最高に良いですねぇ、これ。冒頭、自分たち家族がいかに幸せで愛と希望に満ち溢れているかを動画にしてネットにアップしまくる母親のウザい感じが最高にグッド。母親のそんな圧から逃れるかのように、少女が密かに温め始めた卵とやがて産まれてくる〝娘〟。こいつが焼き鳥屋さんに並んでそうな部位ばかりで出来た焼き鳥少女で超絶気持ち悪い!餌を柔らかくするために主人公が自らいちいち呑み込んで吐き出してから与えるのも、そりゃ鳥の習性やからしゃあないとは言え、そこまでリアルにせんでもえーやん(笑)。でも、主人公と一緒にお風呂に入るシーンくらいからちょっと可愛く見えてくるから不思議。この絶妙にキモ可愛いセンスは、例えるならお上品な楳図かずおって感じですかね。主人公の隠していた願望を叶えるためにこの娘が暴走するのもいちいち神経を逆なでする嫌なものばかりで凄く良かったです。きっと彼女の母親は若い頃足のケガでアイススケートを諦めてしまい、その夢を娘に託そうとしているのだろう。そんな母親の身勝手さやどんどん変わってゆく友達との関係に次第に心に鬱屈したものを抱えてゆく少女。初めて知った自らの嫉妬や憎悪といった醜い感情を鳥人間という存在に無意識に託している。なかなか深い。この怪物が実は妄想の産物でホントは彼女の自作自演なのではと思わせてからのオチのつけ方は見事というしかない。最後、この醜い娘とともにこれからも彼らは「幸せな家族」を演じて生きていくのだろう。純粋無垢だった少女は、こうして大人へと生まれ変わってゆくのだ。監督はこれがデビュー作らしいが、この先要注目の才能だ!8点!
[DVD(字幕)] 8点(2023-05-13 06:42:42)
4.  バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ 《ネタバレ》 
ハリウッドで過去に何度も映画化された超有名ゲームを今回キャストを一新して新たに制作したエンタメ・ホラー。監督は、『海底47m』や『ストレンジャー/地獄からの訪問者』でスマッシュヒットを飛ばしたエンタメ映画界の俊英、ヨハネス・ロバーツ。当方、若いころに初代プレステで1と2を散々やりまくったドンピシャ世代。とにかく1を最初にプレイした時の衝撃は今でも憶えています。それまでスーパーファミコンの2D横スクロールやマップをカクカク移動するRPGしかやったことのない自分にとっては、「もはやこれって映画じゃん!すっげーー!ゲームはここまで進化したのか…」と夢中になってプレイしました。そんな自分にとっては、シリーズを大いにリスペクトした名シーンの数々にテンション上がりまくり!特に最初に出会うゾンビが血だらけの顔でこちらに振り返るシーンには拍手しそうになっちゃいましたわ。なっつかしーー!ただ、お話としてはごく普通。決して悪くはないんだけど、なんだろう、この最後まで付きまとう物足りない感。いまいち印象に残るキャラやエピソードもなく上記ゲームを再現したシーン以外に特に心に残る映像もなく、全体的にこじんまりと纏まっちゃった感が強いです。普通に面白かったんですけど、一週間後には全部忘れちゃいそうな内容でした。これに比べると、ミラ・ジョボビッチ主演、ポール・W・S・アンダーソンが監督した初代映画化作品の方が物語としてはだいぶ大味だったものの、印象に残り度で言えばあちらの方が上なんですよね~。ここらへん、映画って何が正解なのか分からなくなっちゃいますね。とはいえ、暇潰しで観る分にはそこそこ楽しめると思います!
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-10 09:04:21)
5.  バッド・トレジャー 《ネタバレ》 
生まれながらのサイコパスにして一度暴走すると止まらない元米軍特殊部隊、D。長年彼を治療してきた精神科医の尽力により、何とかまともな生活を送れるまでに改善した彼は、投薬治療を続けながら街の片隅でひっそりと暮らしている。そんなある日、長年疎遠になっていた弟がワシントン郊外の小さな島で事故死したとの知らせが届く。葬儀に参列するためすぐさま島へと渡ったD。だが、母親をはじめとする彼の家族は、過去の悲惨な出来事からあからさまな拒否反応を示すのだった。葬儀も終わり、まるで追い出されるように島を後にしようとするDだったが、急に謎の武装集団が島へと乗り込んでくる。彼らの目的は、第二次大戦中に旧日本軍が隠したという金塊を強奪することだった――。死んだ弟が長年そんな財宝のありかを探るために人生をかけていたと知ったDは、主治医に電話を掛け、昔の自分に戻って暴力を解放していいかと聞くのだが……。キレたら何をするか分からないサイコパス元特殊部隊員とイカレタ犯罪者集団の旧日本軍の財宝を巡るバトルをノンストップで描いたエンタメアクション。とにかくつまんなかったですね、これ。お話のテンポも悪ければ、主人公をはじめとする全キャラクターがまったくもって魅力なし、アクションシーンのキレも悪いし、終始画面が小汚くて見辛いことこの上なし。と、ダメな映画の見本市というくらい全ての面に於いてつまんなかったです。精神科医役でメル・ギブソンが出てるということでてっきり彼が悪役か何かで大暴れしてくれるんだろうと思ったら、まさかの自分の部屋で酒飲みながら主人公と電話するだけ……。こんなん詐欺や(笑)。観るだけ時間の無駄の凡作でありました。
[DVD(字幕)] 3点(2023-04-05 09:39:30)
6.  ハウス・オブ・グッチ 《ネタバレ》 
世界的な高級ブランド、「GUCCI(グッチ)」。その創業者であるグッチ一族の内紛とその過程の中で起きた3代目社長マウリツィオ暗殺事件を赤裸々に描いたサスペンス・ドラマ。主役であるマウリツィオを演じたのは若手実力派俳優アダム・ドライバー、彼の妻役には最近俳優業にも進出し始めた世界的アーティスト、レディー・ガガ。他にもアル・パチーノやジェレミー・アイアンズ、ジャレット・レトといった超豪華な面々が脇を固めております。監督は名匠の名をほしいままにする、リドリー・スコット。長いキャリアに裏打ちされたであろう、この監督のもはや匠の技と言ってもいい演出の冴えはやはり抜群の安定感。ただ事実を時系列順に追っただけなのに、最後まで淡々と見せ切ったところは称賛に値すると思います。登場人物も多岐にわたり、分かりにくい株取引の世界もちゃんと素人にも理解できるように整理して描いているところも好感持てます。何より、アル・パチーノをはじめとする役者陣の華のある演技合戦!新旧実力派が織り成す、まるでシェイクスピアの舞台劇を観ているかのような重厚なやり取りは見応え充分でした。ただ、内容の方は……、いたって普通。リドリー・スコットって良くも悪くも職人気質なのよね。どの作品もある一定のクオリティは保証されてるんだけど、どれも魂を震わせるような深いものはありません。「グッチという世界的ブランドにこんなことがあったんだ、凄いなぁ」とは思うものの、もう一度観たい、映画として手元に残しておきたいと思うほどの名作ではない。それが自分の正直な感想です。
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-22 08:53:54)
7.  パーフェクト・ケア 《ネタバレ》 
彼女の名は、マーラ・グレイソン。認知症を患い判断能力の衰えた高齢者を対象に、本人に代わって生活の基盤を守ることを目的とした会社を経営する若き成功者だ。身寄りがない、もしくはとてもケアを保証できない身内ばかりの高齢者を、裁判所の正式な許可を取って成年後見人となり、財産の管理、住居の確保、介護サービスの拡充などを行っている。誰もが幸せな老後を過ごせる権利を尊重するそのビジネスモデルは、現代のマザー・テレサと呼ぶにふさわしい素晴らしいものだった――。だが、その実態は、裏で手を回した医師に誇張した診断書を書かせ、結託した介護施設に高齢者をほぼ軟禁すると、その財産を骨の髄まで搾り取るという悪徳後見人だ。どれだけ親族に訴えられようが豊富な資金と優秀な弁護士とで徹底的に退ける。そうして多くの高齢者を生かさず殺さず抱え込み、日々莫大な利益をあげることに成功している。「この世は、奪う者と奪われる者しかいない」と豪語するそんなマーラが今回目をつけたのは、高級住宅地で独り暮らしをしている高齢女性。身寄りがなく、仲の良い友人もいない。しかも金融機関で長年働いてきた彼女は莫大な貯金を貯め込んでいた。「彼女こそ私が待ち望んでいた金の卵だ」。さっそく嘘の診断書を手に裁判所へと向かうマーラ。いつものように彼女を介護施設に無理やり入所させることに成功すると、その財産を徹底的に査定・売却してゆく。だが、マーラはまだ知らなかった。その〝金の卵〟には、恐るべき裏の顔があることを……。冒頭から流れるように見せられる介護ビジネスを巡る暗部には驚くばかり。高齢者を人間とも思わず、ただ金を生み出す家畜のようにしか考えていない介護施設や医師、そして主人公が経営する介護ケアサービス会社。本当にこんなことが行われているのではないかと思わせる、妙にリアルなところがとても恐ろしい。『ゴーンガール』でついた強烈な悪女イメージをさらに更新するようなロザムント・パイクの嵌まりっぷりが見事。新たなターゲットとなった高齢者が実は主人公を上回るような闇組織の加護にあったというのもピカレスク・ロマンとしてぞくぞくするような面白さがありました。とにかく全員悪人ばかり。でも、何故か惹き付けられるこの感覚は、『ナイトクローラー』以来かも。ただ黒幕であるピーター・ディンクレイジが登場してからは、ちょっと自分が求めていたものと違う展開となってしまったのが残念。このまま介護ビジネスの暗部を巡る社会派サスペンスとして更なる闇を見せてくれるのかと思いきや、途中からマフィアの裏金を巡る普通のクライムドラマとなってしまい自分は少し肩透かし感がありました。もう少し、この介護ビジネスの酷い内幕を活かしてほしかったですね。とは言え、ピーター・ディンクレイジの不気味な存在感も良かったし、彼とパイクとの極悪対極悪の対決は見応え充分。最後まで充実した映画体験をさせていただきました。
[DVD(字幕)] 8点(2023-02-13 08:03:16)
8.  バルド、偽りの記録と一握りの真実 《ネタバレ》 
政情不安に揺れるメキシコを舞台に、アイデンティティの危機に直面したある一人のジャーナリストをマジックリアリズム風に描いたシュルレアリスム劇。監督は、メキシコを代表する映画作家アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。アカデミー賞を受賞したものの、世評では賛否分かれる『バードマン』が自分はけっこう好きだったので今回鑑賞してみました。正直、あかん映画でしたよね、これ。とにかくずっと意味不明でしかも2時間40分もあったので、最後まで観るのがかなり苦痛でした。しかも映像が終始小汚いうえに全体的にいまいちセンスも感じられず、もう何を楽しんでいいのやら。監督はきっと、デビッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』のような作品を撮りたかったんでしょうけど、出来上がったものは比べるべくもない酷い代物でした。『バードマン』が好きだっただけに、残念!!
[インターネット(字幕)] 4点(2023-01-05 09:35:39)
9.  ハリガン氏の電話 《ネタバレ》 
アメリカ、メイン州のとある寂れた地方都市。母を失くし、父親と慎ましく暮らす少年クレイグはある日、近所の豪邸で独りで暮らす今は引退した大富豪ジョン・ハリガン氏からあるアルバイトを持ちかけられる。それは週3日、彼の豪邸で目が悪い氏に代わって本を読み聞かせること。少しでも生活の足しにしようと、クレイグはすぐにその提案を受け入れるのだった。『チャタレイ夫人の恋人』『闇の奥』『罪と罰』。世界の様々な名作を読み聞かせる時給5ドルのバイトはそれから何年も続き、これまで休んだのはたった1回だけ。クレイグは、偏屈で傲慢、現役時代は商売敵や部下を徹底的にやり込んだというハリガン氏のことを嫌いではなく、本を読むことも楽しみの一つとなっていた。そして高校生となった彼は、これまでの恩を返そうと一台のアイフォンを買い、彼にプレゼントする。情報は新聞で充分と言い張っていたハリガン氏に、クレイグは丁寧に使い方を教えてあげるのだった。だが、それからすぐハリガン氏は急な病でこの世を去ってしまう――。突然のことに、哀しみに打ちひしがれるクレイグ。最後のお別れの日、クレイグは彼にプレゼントしたアイフォンを密かに棺桶へとしのばせるのだった。そのまま埋葬されるハリガン氏。ところが数日後、彼の携帯に有り得ないメッセージが表示される。なんとハリガン氏からメールが届けられたというのだ。いったいこれはどういうことなのか?不審に思いながらも、クレイグは彼とのメールのやり取りを重ね……。スティーブン・キングの短編小説を元にしたという本作、監督がヒューマン・ドラマの佳品を多く手掛けてきたジョン・リー・ハンコックということで今回鑑賞してみました。冒頭から丁寧に描かれる、この孤独な老人と素直で純朴な少年とのドラマにすぐ惹き込まれました。冷酷に厳しく当たるのでもなく、過度に干渉するでもない、この2人の友情がなんとも心地良いですね。朗読に選ばれる本のチョイスもいいセンスしてるし、前半は一人の少年の成長物語として非常に良く出来ている。ただ、問題は後半部分。ハリガン氏が亡くなってから、急にミステリー的な要素が増え、さらには死者からのメッセージというホラー要素まで加わります。この唐突な急展開はかなり問題で、明らかに物語のバランスが崩れてしまってます。挙句、ここまで引っ張っておきながら、最後のオチがかなり投げっぱなしのまま終わるのはいかがなものか。てっきり僕は、主人公が最後に棺桶に入れた携帯をあの怪しい庭師が盗っていて、メールのやり取りも殺人もきっとあいつが陰でやっていたんだと踏んでました。でもそれだと遺言書の文言や墓の中から聞こえてきた着信音だとかの説明がつかないから、きっとラストで驚きの種明かしが待ってるんだろうなと思っていたのに、これではとんだ肩透かし。前半はすこぶる良かっただけに、なんとも勿体ない作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-12-27 05:55:56)
10.  パーム・スプリングス 《ネタバレ》 
よくある話だろ、同じ日が永遠にループするって――。砂漠に囲まれたリゾート地パーム・スプリングスでひらかれる友人の結婚式。彼女とともに招待を受けたナイルズは、当日の朝、高級ホテルの一室で目を覚ます。ホテルの窓から見渡せる美しい風景や美味しいお酒を心ゆくまで堪能し、彼はひと時の非日常を楽しむのだった。披露宴ではただいま倦怠期真っただ中の彼女をほったらかし、偶然知り合った花嫁の姉サラと意気投合。そのままサラと会場を抜け出すと、誰もいない砂漠で良い感じになる。すると突然、ナイルズは謎の老人に襲われ、弓で肩を撃ち抜かれるのだった。だが、「あーあ、今度は弓か…」とさも当然のように矢を引き抜くと、ナイルズは近くにある洞窟で赤い光を放つ謎の石へと滑り落ちてゆく――。次の瞬間、何故かナイルズはまた結婚式当日の朝に目を覚ます。いつものように彼女と交わす会話、ホテルのプールでのんびりと飲むお酒、そして昨日と同じく始まる披露宴……。そう、彼は同じ日が何度もループするという謎の現象に見舞われ、もう何万回も同じ日を繰り返しているのだ。だが、今回のループはいつもと違う。急に怒り狂ったサラが彼に詰め寄って来たのだ。なんとサラも赤い光へと飛び込み、同じように無限ループの中へと囚われてしまったらしい。果たして二人の運命は?同じ日が永遠に繰り返されるという不条理な事態に囚われた男女を終始軽快に描いたタイムループ・ラブストーリー。何も期待せず、ただゴールデングローブ賞ノミネートということで今回鑑賞。これが意外や意外、監督のセンスが随所に光る小気味の良いエンタメに仕上がっていて、すんごく面白かったです。何よりストーリーの見せ方が抜群に巧い!このタイムループの複雑なルール設定を冒頭10分で自然に分かりやすく伝える監督の手際の良さには素直に脱帽。凡百の同ジャンルの作品がこのルール設定の詰めが甘いせいで後半グダグダになることが多い中、本作はここら辺がしっかりしているので最後まで飽きさせません。なかなか考え抜かれた良い脚本じゃないですかね、これ。それに主人公が嵌まり込む無限ループに他のキャラが途中参加してくるというのもけっこう斬新。ループに巻き込まれたことを恨んで何度も復讐に来る老人に殺されるシーンとか、その手法がどれもバラエティに富んでいるのも大変グッド。ここら辺、ループ物のツボをしっかり押さえていて、観ていて楽しい。そして最後、刺激はないけど安定した毎日か、何が起こるか分からないけれどそれでも未来に向けて進むのかという選択を迫られる主人公。何処か安部公房をも髣髴させる哲学的なテーマをさりげなく提示するその手腕の鮮やかさも見事。いや、この監督、もしかしたら将来大化けするかもです。
[DVD(字幕)] 8点(2022-06-12 04:09:27)
11.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 02:42:12)
12.  ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey 《ネタバレ》 
映画としてはポンコツだったものの、サブキャラとして登場したハーレイ・クインというビッチな女の子があまりにもキャラ立ちしていて強烈な印象を残してくれた『スーサイド・スクワッド』。そんなクソビッチな彼女をがっつり主人公にして制作された本作。今回も主演を務めるのは、当然と言えば当然のまさに嵌まり役というしかないマーゴット・ロビーということで、そこそこ期待して鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、ま、こんなもんじゃろって感じの出来でしたね、これ。期待を大きく上回ることもなければ、こちらのハードルを著しく下回ることもないという、まさに模範的なスピンオフ映画。脚本がかなり大雑把なとこも、これまた想定内。とは言え肝心のアクション・シーンはけっこう力が入っていて、ポップでキレもそれなりに良かったしで、最後までそこそこ楽しんで観ることが出来ました。最後、追い詰められたビッチな女たちが一致団結して、けつあご男どもをばったばったと薙ぎ倒してゆくとこはなかなか爽快感抜群でしたね。あと、個人的に残念だったのは、ハーレイ・クインのハミけつが今回ほとんど見られなかったこと。ここ、自分にとってはかなり重要ポイントなんですけどー!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-12-18 21:24:44)
13.  ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから 《ネタバレ》 
幼いころ、父とともに移民としてアメリカへやって来た17歳の女子高生、エリー・チュウ。貧しいながらも明晰な頭脳を持つ彼女は、クラスメイトの課題や宿題を代筆することで苦しい生活費の足しにしていた。そんなある日、エリーはアメフト部に所属する同級生のポールからある依頼を受ける。なんと彼が恋焦がれている女の子へのラブレターを代筆してほしいと言うのだ。「バカじゃないの!思いを伝えたいなら自分で書くべきよ」――。そう断ったエリーだったが、今月の生活費がピンチだということもあり、渋々引き受けることに。相手のことを調べ、彼女の気を惹くような手紙を書き上げたエリー。すぐにフラれると思っていたエリーだったが、思いがけず相手から返信が届くのだった。こうなったらとことんやってやる。ポールのふりをして何度も彼女とやり取りを重ねる中、エリーは自らの隠された思いに気付いてゆく……。お堅い地味系女子が、ろくに喋ったこともない女の子と恋文を交わすことで本当の自分を受け入れてゆく姿を瑞々しく描いた青春ラブストーリー。SNS全盛のこの現代に、まさかこんな古風な設定のラブストーリーが制作されるとは!でも、これが逆に新鮮でしかも意外に違和感なく最後まで観てられましたね。主人公が相手を代筆で落とすために手紙一辺倒ではなく、ちゃんとスマホやSNSも駆使しているところがミソ。この古風と最先端の使い分けが非常に絶妙で、しかもこの監督のポップな映像センスとも相俟ってなかなかキュートなお話になってたんじゃないでしょうか。例えば、ポールと相手の女の子が何とかデートへとこぎ着けるシーン。緊張していつまでも打ち解けられない二人を見かねた主人公が、お互いとそれぞれのスマホで連絡を取り合うなんて、ネタ自体はありがちなのに見せ方がすんごく新しい。ここらへん、監督のセンスが炸裂しています。そして、普通のベタな恋愛ものなら、この恋を成就させるために頑張っていた主人公と男の子がそのうち両想いになっちゃうみたいな展開になるんだろうけど、本作は違います。「え、まさかのそっち?」という意外な展開を見せるのも現代的で大変グッド。ラストが幾分か腰砕けちゃったところがいささか残念だったけど、アナログとデジタルを使い分けるこの監督のセンスの良さは充分堪能できました。あと、これは余談なんですけど、この作品を配信しているネットフリックスさん。その作品紹介で本作を「LGBTQ映画」と書くのは違うんちゃいまっか。それって、完全にネタバレですからーー(怒)。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-30 23:34:30)(良:1票)
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