1. ホビット/決戦のゆくえ
《ネタバレ》 遂に完結したホビット三部作の最終作。元々は二部作の予定だっただけあって、延々とクライマックスの様な戦闘が続く構成になっています。予定通り二部作だったなら、恐らくスマウグの根城を目指すところから後編の始まりだったのでしょうね。今回の作りですと、やはり最強のドラゴンであるスマウグがあっけない感は否めません。事実、それがオープニングですし。 但し、『指輪物語』『ホビット』を愛してやまないピーター・ジャクソンが作っていることもあって、一本の映画として何とか成り立つように様々な工夫を凝らしていると思います。トーリンが我を失ってしまうが、黄金の間に冠を投げ捨て、再び戦士として立ち上がる時の高揚感は素晴らしい。キーリとタウリエルの恋愛話も単調になりがちな戦闘シーンの連続の中で上手く機能している。原作には登場しないレゴラスを大活躍させることでマクロな視点のアクションシーンに限らず、一対一のアクションも面白く魅せている。本来、『指輪物語』とは違い、単純なストーリー構成をしている『ホビット』を映画化した作品として、ここは評価出来るのではないでしょうか。 しかしこの映画が合わない人がいるのも良く分かる。繰り返される遠景カットは人によってはピーター・ジャクソンの悪癖に見えるでしょう。でもやっぱり原作の『指輪物語』に慣れ親しんでいる身からすると、あの作品世界を映像化しているだけで満足してしまうのですよね。だから複雑な構成を持っている『指輪物語』はともかく、前述の通りの構成の『ホビット』は本来大衆向けではなく、完全にマニアのために作られている作品というのが本質だと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2014-12-31 08:55:21)(良:1票) |
2. ホビット/竜に奪われた王国
《ネタバレ》 正直言っちゃうと、結構ストーリーに問題がありますよね。一番気になってしまうのは、原作に登場しないタウリエルとレゴラスの二人。やっぱり二人が登場する意味合いは余り感じられず、特にレゴラスの方はLOTRのファンへのサービス&割と一本調子の原作へのスパイスの役割なのではないかと邪推してしまいます。急流下りとかアクションが必要だから仕方なく入れたシーンですよね……。 他には溜めがクドいのも考えものです。ピーター・ジャクソンの映画には今までも良く感じていましたが、「ドキドキするまで溜めといて→何もなかったorギリギリ大丈夫だった」という演出が多いですが、本作でもバッチリ健在。あと呪いで朦朧とした状態のキーリがタウリエルを見るシーンで、タウリエルに後光が差す演出はいくらなんでも陳腐だと思うぞ、ピーター・ジャクソン。 結構無理矢理な展開も多いですよね。あの無数の財宝に埋め尽くされたスマウグの巣からたった一つのアーケン石をビルボが見つけ出すのは迚も無理に思えます。文章なら何故アーケン石をビルボが見つけ出すことが出来たのか、それなりに説得力もありますが、映画だと偶然発見した様にしか思えません。 しかーし、このシリーズのファン(と言うか信者)からすれば、またしてもピーター・ジャクソンがあのハイ・ファンタジー世界を完璧な映像で見せてくれるだけでも正直なところ満足してしまいます。人間の想像力は無限で、誰だって目を瞑ればそこに自分の考えるファンタジー世界を描き出すことは出来ます。しかしそれを映像化することが如何に困難なことであるか!闇の森、ドル・グルドゥア、エスガロス、そしてエレボール。自分が思い描いていた世界そのものでした。 まあ実際映像が一番の魅力になってしまっている作品だと思うのですよね。でも私は満足しちゃいました! [映画館(字幕)] 8点(2014-03-13 22:37:55) |
3. ホビット/思いがけない冒険
《ネタバレ》 ピーター・ジャクソンは脳内の想像を映像化する天才だと改めて感じました。彼の映画『LOTR』『キングコング』でも単なるファンタジーをよくぞここまでリアルに映像にしたものだと驚嘆しましたが、本作でも凄かった。ニュージーランドの雄大なロケーションを最大限に活かした舞台設定、そこを自由自在に動き回る魅力的な種族たち。白眉だったのはゴブリンの住処に迷い込んでしまう直前、岩の巨人に襲われる場面かと思います。画的には岩の巨人って間抜けですが、3D表現を使い迫りくる巨大な物体にここまで迫力を持たせることができるのかと感動。 あとLOTRファンへのサービスなのでしょうが、あらゆるところで各種族のテーマが流れるのはファンとしてはどうしても上がってしまう。ビルボが一つの指輪を手に入れたとき、LOTRの流麗なテーマが流れたときは「キタキター!ここから壮大な指輪物語がはじまったんだ!」と無駄にテンション上がったり。今回大フィーチャーされているドワーフのテーマも実に耳に残り易い良曲だったかなと。 ぶっちゃけ映画としてはヤッパリ原作が子ども向けとあってか、シナリオにも行き当たりばったりな部分もあるし、ハイライトがゴブリンとの追いかけっことオークとの高鬼というのも正直ショボイ。 しかし『LOTR』も第一部「旅の仲間」は至る所から「地味だ」、「長い」、「眠い」と悪評が吹き荒れたが、第二部「二つの塔」第三部「王の帰還」でピーター・ジャクソンは完全に名誉を挽回した。 なにより本作はシリーズの最大の敵となる黄金竜スマウグの全貌を見せていない。ピーター・ジャクソンならハリポタのドラゴンも裸足で逃げ出すくらいの迫力ある竜を描いてくれると次回作にも大きく期待しています。 [映画館(字幕)] 8点(2012-12-31 11:31:03) |
4. ホール・パス/帰ってきた夢の独身生活<1週間限定>
《ネタバレ》 「久々に独身生活をしてみたけど、結局元鞘が一番だったよ」という、結論自体は実に凡庸な作品。但しファレリー兄弟お得意の下品&シチュエーションギャグが入っているので最後まで飽きません。嘗てのファレリー兄弟の色んな団体から怒られそうなギャグのキレからは程遠い作品ですが、真っ当なロマコメに仕上がっていると思います。 アメリカンコメディのファンとしては、オーウェン・ウィルソンとジェイソン・サダイキスの安定したバカ演技も見所の一つ。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-23 14:37:18) |
5. ホワイトハウス・ダウン
《ネタバレ》 「何回地球を滅ぼそうとしたら気が済むんだ……」と良く映画ファンからネタにされるディザスタームービーの名手(?)エメリッヒが今回ぶっ壊すのはホワイトハウス。ホワイトハウスを壊すなんてそんな地味な作品で大丈夫か?と思っていたのですが大変面白かったです。 まず一番面白かったのは現実のアメリカ社会を作品内に色濃く反映させていることです。主役の一人であるジェイミー・フォックス演じる黒人大統領は、中東のイランとの和解を目指していることから考えても明らかにオバマがモデルでしょう。彼が黒人差別の撤廃を目指したリンカーンを尊敬していることも実に分かり易い。 また彼が中東に歩み寄っていることをホワイトハウスの外で批判しているテレビ局は多分右派偏向報道でオバマを攻撃していたFOXニュースのパロディでしょう。このテレビ局がスクープを撮るためにヘリから無茶してホワイトハウスに近づこうとしたり、テロリストと聞くや「アラブのテロリストに違いない!」と決め付けるのも実際にやりそうな行動です。 また悪役の設定が上手い。大統領が死んだと決めつけ大統領を引き継ぐ副大統領は問答無用でホワイトハウスをテロリストごと空爆しようとする。これは多分アフガン紛争やイラク戦争の時に空爆でサッサとケリを付けようとしたブッシュ元大統領をパロってるんじゃないかなーと。実は黒幕の下院議長に利用されてるだけってのも、なんとなくディック・チェイニーを連想してみたり……。この下院議長を演じるリチャード・ジェンキンスもかなりチェイニーに似てる気がします。 まあとにかくアメリカの政治をパニック映画の中で描いている鮮やかな話運びでした。しかも素晴らしいのが別にアメリカの政治に明るくなくても楽しめるアクション映画でもあること!ここら辺はエメリッヒお得意の観客への過剰サービスが上手く機能していて、次から次へとアクションが展開するので全く飽きません。 ギャグも中々面白い。下層階級から大統領になったジェームズ大統領がテロリストに自分のエア・ジョーダンを触られてマジ切れしたり、ホワイトハウスの案内係がテロリストに対して「この調度品はイギリスの○○から贈られた大変貴重な××で~~」と窘めたり、随分小粋なギャグが多かったように思います。 と言うことで本作でかなりエメリッヒを見直しました!基本的にアメリカ万歳映画なのに最後まで楽しかったです。 [映画館(字幕)] 7点(2013-08-29 22:31:31) |
6. ボックス!(2010)
テレビ局が制作した映画にしては、作り手が何とか凝った映像を見せようとしていた点には好感が持てました。まあ連続するスローモーションや、余り意味が無いスプリットスクリーンには少しイライラしましたけど。あと非常に駄目だと思ったのが、敵キャラである名門校ボクサーの強さを表すのに、鋭い眼光をいちいち見せる演出は余りにもダサい。ダサすぎて笑えます。 市原隼人と高良健吾の半裸体や彼らがイチャイチャしている所を観たいファンの為に作られたんでしょう。全編にわたってホモっぽい展開はキツかった(私見ですが友情を飛び越えている様なイチャつきっぷり)。 ストーリーですが、下手にステレオタイプの敵キャラを投入せずに、性格が正反対の主人公二人の関係をじっくりと描いてほしかったです。 [映画館(邦画)] 5点(2010-06-04 23:58:51) |