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コメント数 542
性別 男性

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1.  キートンのマイホーム(文化生活一週間) 《ネタバレ》 
これはキートン映画の中でも1,2番を争う面白さ。 後ろをチラ見する運転手から逃げようと、車を乗り移るシーンはキートン映画ではありがちなアクションなんですが、「おぉ~スゲェ!!」という驚きと「相変わらず馬鹿やってんなぁ~」というホッコリした笑いとが湧いてきて、やはり毎度のように楽しませてくれます。 驚きというのが大事なポイントで、笑いというのは多かれ少なかれ驚きを含んでいなければならないわけですので、そういう意味ではとても良く出来た笑いと言えるでしょう。 完成した家で繰り広げられるネタに関しても、コメディ映画の中だから許されるような常軌を逸したものばかりで、これまた良い。 キートンを追いかけていた男が2階のドアから外に吹っ飛ぶシーンの大ジャンプには大爆笑ですし、また細かいところですが、家の外に据え付けられていた洗面台の壁をクルッと回すとただの外壁になった所も、すき間が全く見えなくなるほどの完璧な設計だったのが妙に面白かったです。 家の構造も、風で回転したり樽を下に入れて移動出来たり・・・って、あの家の基礎はどうなってんだ?とか言うのも全部コメディだから許されちゃう(笑)。 やはり何と言っても、最後にホッと一安心させておいて油断した瞬間に大クラッシュ!っていうのが、超がつくほどの絶妙のタイミングなもんだからもう爆笑必至。 上映時間わずか20分の小品で最後に上手く笑わせてくれれば、どんな映画でも例外なく面白くなっちゃいます。 これがキートンの初期の作品だと知って、観終わってからも驚きを与えてくれるキートンには、改めてその凄さを再認識させられました。
[映画館(字幕)] 9点(2013-01-11 01:10:47)
2.  山の王者 《ネタバレ》 
まぁ、何と言うか、非の打ち所がないんじゃないかってくらいの、もう本当に良く出来た映画だと思います。 中でも特に凄いのが仮面舞踏会の後に起こった出来事が翌日に明かされるシーンなのですが、マーカスが家に帰った時に部屋の中で起きていた状況と翌日に交わされた会話を基に、観ている我々は真相を推理していくのですが、全ての台詞が伝わるわけではないというサイレント特有のディスアドバンテージを逆手に取って、凄くスリリングなシーンに仕上げているところがまずひとつ、そして、裏の部屋で話を聞いていたシリアに画面が移ったとき、カメラがズームアウトしてシリアの見つめるベッドが大きく映し出されたショットで推理の回答を提示するという、とってもニクい演出に痺れました。 誰に勧められる訳でもなく、自ら杯を重ねていったマーカスは自業自得と言えるでしょうけども、観ている我々としては、ここは広い心でもって彼の悔いる気持ちを受け入れたいところ。 また、スリリングと言えば、最後の二人が追い詰められるシーンも緊迫感があって食い入るように見てしまいましたし、神に祈りを捧げ雪崩に向かって歩を進める二人の後ろ姿はもう涙が出てしまう程です。 “人は誰でも過ちを犯すもの”このように言えるくらいの寛大さがあれば、やはり傑作と言える作品だと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2011-08-02 00:05:21)
3.  奇傑ゾロ 《ネタバレ》 
これはもはや、単なる勧善懲悪の活劇という代物ではないと言えるのではないでしょうか。 相手を“いなす”ようなソードアクションの格好良さは言うまでもなく、ちょっとした小物使いやラブシーンなど、至るところにおいても完成度の高さを感じさせる作品に仕上がっていると思います。 何よりも一番魅かれたのが、ロリータ嬢を間一髪で救うシーン。 好きでもない男に抱き寄せられ絶体絶命のピンチを救い出してくれ、しかもその男に謝らせて所持品ごと追い出してくれてしまったとなれば、これはもう女としては惚れないはずがないわけで、そして更に「危うく奪われるところだった私の唇は、もう貴方のものです」という、男なら卒倒必至の文句で応酬するこのシーンは自分映画史上3本の指に入るくらいの名ラブシーンです。 この映画の主役ダグラス・フェアバンクスは、サイレントで声が聞こえないにもかかわらず、喋り方をも演じ分けてしまうような超絶テクニックには脱帽ですし、また、「マスク・オブ・ゾロ」とか「レジェンド・オブ・ゾロ」もいいですが、印という意味の「Mark of Zorro」もまた、ストーリーを上手く汲んでいて格好良いタイトルだなぁと思いました。 ゾロの映画を観るのはこれが初ですが、後継作品にも是非トライしたいです。
[映画館(字幕)] 9点(2010-09-14 01:37:21)
4.  結婚哲学 《ネタバレ》 
字幕ナシ&桜井麻美さんの活弁付きで観させていただきました。 これはもう、とにかくイイ!素晴らしい。クラシック好きな映画ファンなら絶対お勧めの一本。 何がいいって、それぞれの夫婦がくっついたり離れたりと、二転三転するストーリー展開でありながらラストはきれいキッチリとまとめてしまうストーリー全体の構成の良さ、そしてルビッチならではの小物使いの器用さでしょう。 ストーリー序盤、ブラウン医師の妻シャルロットが庭に咲いた花を摘み、それを紙で束ねて旦那にプレゼントする。旦那は花を手にしたまま夫人と抱擁を交わすのですが、その時に花束が落ちてしまい、ここで笑いが出る。そして、シャルロットが旦那を見送った後に再び部屋に戻ると、先ほど笑いを誘ったあの花束が今度は悲しさや失望といった表情を醸し出しているのです。さらに、旦那の診療所に行くと、花を一輪もらったグスタフという男がコップに水を入れて大切にしているときた。花束を床にばらまく男と一輪の花を大切に育てる男。ここに誤解があれど、女性の好意の対象が花を用いた対比によって実に見事に表現されているのです。 終盤近く、ブラウン医師がミッチーの求愛を逃れ、家に着くと再び仲を取り戻す。かたや、探偵を依頼したスコット伯爵はミッチーに抱きつかれ、そのまま両者共ハッピーエンドで終わるだろうなと思っていたら(調査の報酬を渡して、探偵のメモを「もういいんだ…」などと言って断る)、まだ続きがあったけど、本当のエンディングの方が格好良くまとまっていました。流石ルビッチですね~。参りました(^_^)
[映画館(吹替)] 9点(2006-10-06 22:32:29)
5.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 
この映画こそがクラシック映画の醍醐味を堪能できる映画なのではないでしょうか。 クラシック映画の最大の魅力は“国籍人種及び時代を問わず、いかなる環境の下で鑑賞しても楽しむことの出来る普遍性を有する”ところにある、と私は考えているのですが、本作品はそれが見事なまでに表現されていると言えるのです。21世紀のこの時代に観ても十分に説得力のある先見性ではありませんか。 “手と頭脳を結ぶのは心”この決め台詞にシビレました。 どんなに時代が進んで機械化が進もうと、それを作って動かしているのは必ず人間であり、また、その人間同士の間においても、気持ちの通うことのないやりとり(現代社会に当てはめてみれば、メールやFAXのみでの伝達など)ばかりでは駄目なのだというメッセージを既にこの時代から訴えているのです。 また、会社勤めをしている自分にとって、この映画は現代社会の企業の縮図であるような気がします。会社の上層部の人間と現場で働く人間とが上手く連携をとっていかないと企業としての成長が見込めないということは、仕事をしたことのある人にとってはごく当たり前のことですよね。 映画序盤にいきなり登場する巨大なセットで観客の心を一気に掴み、ラストのクライマックスに向けてテンションを上げていくといった、明らかに観客を楽しませようと意識した作りに仕上がっているところもフリッツ・ラングのエンターテイナーとしてのプロ意識のようなものが感じられ、好印象なのであります。 〔追記〕後日、DVD(淀川長治100選のヤツ)で鑑賞したら、劇場で観たオリジナル版(122分)に対してDVD版92分と、30分も削られているではありませんか。確か、日本の歓楽街“ヨシワラ”という言葉が出ていました。しかも、オープニングのタイトルも滲んでいて“Metropolis”の文字が見えず、序盤の巨大なモニュメントも目の部分より上が画面からはみ出ているし、それに、劇場で見たときの荘厳なオーケストラの音楽もなく、終始単調なピアノの音がただ流れていただけで、かなり物足りなかったです。DVD版だと8点です。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-21 00:17:07)(良:2票)
6.  思ひ出 《ネタバレ》 
「逆流」(1924)との二本立てで、澤登翠さんの活弁&生演奏付きで鑑賞することができました。 エルンスト・ルビッチ。私はここにまた偉大な映画作家を発見することが出来たようです。 まず、邦題が素晴らしい。そして全体的なラブストーリーに加え、至るところに笑いを散りばめたストーリーがとても面白かったです。ラブシーンの粋な見せ方といい、細かな笑いといい“面白かった”のひと言ではとても片付けられない素晴らしい作品です。 カティーと出会い、彼女に心魅かれていく王子の心情もとても上手く描かれていたり、学生仲間で青春を謳歌したりと、それだけでも十分に満足なのですが、それよりも、王子が国のために政策結婚を迫られ、最後にもう一度だけ会いに行く、というのが堪らなく心打たれるのです。 「最後にもう一度だけ会いたい・・」「もう一度だけ彼女に会うことが出来れば覚悟を決められる・・」男の私にとってはこの気持ちが痛いほど解ります。お互いに自分の命運には逆らえないことを知っているだけに、本当に辛いです。意を決したかのように馬車に飛び乗るシーンはもう、涙なくしては観れません。 そして、ラストのパレードのシーンで見せた、王子のちょっと寂しそうな表情。人間誰でも、思い出すと切なさがこみ上げてきてしまうような「思ひ出」を胸に抱きながら歳をとっていくんだなぁと、心にジーンと染み入る感慨深いラストシーンでした。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-06 22:23:24)
7.  ドクトル・マブゼ
運良く、ピアノ&ヴァイオリンの生演奏付きでの上映で鑑賞することが出来ました。 この映画は前編・後編の2部から構成される、合計の上映時間が4時間にも及ぶ長編にもかかわらず、全くスキが見当たらない。無駄なシーンがほとんど存在しないのだ。 この映画といい「メトロポリス」といい、この監督は観客を楽しませるのが実に上手い。 序盤の株価不正操作劇で、スピード感溢れるシーンで観客の度肝を抜いたと思ったら、今度は静かに念力を集中させて静かに獲物を仕留める。終盤にかけて徐々に盛り上がりを増していくようなストーリーの組み立て方は、程良く緩急があり見る側を意識した作り方で、とても良く出来ていると思う。 中盤のドクトル・マブゼとフォン・ヴェンク検事との駆け引きもスリリングで見応えがあるし、マブゼとその手下、ヴェンク検事とトルド伯爵夫人、フルとカロッツァの人間関係の描き方にも抜かりがない。 また、スポークンタイトルのほとんどが画面をフルに使い、単語の数までも計算したかのようにピッタリと画面に収まっている。要するに、字幕を1,2行で終わらすか、もしくは、画面一杯に文字を埋め尽くすかのどちらかに限定している。中途半端に3,4行の字幕を出すということが一切ないのである。こんなところにも作り手の美意識が出ているようでとても興味深い。(後日、ビデオを借りて観てみたら中途半端な字幕もあったので、恐らくドイツ語ver.のみの話です) 全体の構成も良く、そして、どんなシーンでも細部に至るまで非常に上手く描かれていてすごく気持ちがいい。傑作というのはこういう映画のことを言うのだと思った。
[映画館(字幕)] 9点(2005-10-06 23:42:47)
8.  知られぬ人
兎にも角にもロン・チェイニー扮するアロンゾの迫力。これに尽きます。劇場の舞台で再会したときの“あの表情”はもう鳥肌モノ!圧巻です。これだけでもこの映画を観る価値あります。 そして、ラストのショーもこれがまた凄い。これはもう、実際に見た人しかわかりませんが、ハッキリ言ってこんなスリリングなシーンそう滅多にお目にかかれません。 間違えて日本語字幕なしver.を観に行ってしまったのですが、そこはサイレント映画。言葉のハンデもなんのその。言葉は伝わらなくとも映像だけで十二分にその緊迫感を味わえる!これこそサイレント映画の真骨頂!ストーリーを完全に把握しないままレビューするのは反則気味ですが、これは書かずにはいられない!終始ロン・チェイニーに圧倒されっぱなしの65分。必見!!!
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2005-09-26 23:46:08)
9.  キッド(1921) 《ネタバレ》 
「犬の生活」がキング・オブ・ドッグムービーとするならば、本作は間違いなくキング・オブ・チャイルドムービーと言えるでしょう。 「今日の歩く道はわかってるね?」のシークエンスで「おおっ!この餓鬼デキるな」と思って見ていると、そのすぐ後に予想以上の見事な演技っぷりをカマしてくれます。石を投げる時の腕の回し方が逆なのは狙ってのことなのかどうかわかりませんが、後ろに警察がいることに気づかずに石を投げようとする時のアクションは、まさにチャップリンコメディの基本中の基本!遠くを指差してそのスキを狙ってダッシュで逃げるというアクションまでもがそのまま遺伝(?)しているのは、何とも微笑ましいではありませんか。 ワイヤーアクションも見れたことですし、全体的なストーリー構成も大変素晴らしく、何といっても、最後の余韻を残した後味の良い締めくくり方がとてもよかったです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-03-03 23:39:31)
10.  バグダッドの盗賊(1924) 《ネタバレ》 
ストーリーに込み入った所がないので、頭を空にして観ることが出来る痛快冒険活劇と言えるでしょう。 空飛ぶ絨毯や怪獣とのバトルなどファンタジーの要素満載で、非常に楽しめる作品だと思います。 ダグラスが冒険に出たプロットで、海底で導かれるように岩の隙間に入ってみると豪華絢爛な部屋に綺麗な女性がいたという場面ですが、澤登翠さんの活弁によると竜宮城にたとえられておられましたが、日本の浦島太郎の物語に類似した話が外国にも存在するという事なのでしょうか。興味深い所であります。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-30 00:06:50)
11.  燈台守 《ネタバレ》 
これはもう、映画そのものと言える程の神懸かり的な作品のように思えますが、スタートダッシュでやや遅れをとったのが非常に勿体無い感じがします。 丘の上で恋人と語らう回想シーンで、マッタリとした雰囲気の中で犬に噛まれるという非常に切迫感を欠いた描写がどうにも腑に落ちず、後半を知った後で考えると、この辺りでもう少し工夫が出来なかったのかと悔やまれます。 見どころは後半全部! 息子に狂犬病の症状が発症する辺りからのスリルはもう、ヒッチコックを凌ぐほど。 まず、舞台となる灯台が岬の先端ではなく、離れ小島にポツンと建っているというのがミソ。密室殺人の舞台をイメージさせるロケーションが実に良く、早い段階で灯台の上端から下を見下ろすショットを出したのも後々の切迫感をより増幅させることに一役買っていると言えます。 面白いのは、灯台から発せられる光が命の象徴として描かれているというストーリー設定。 “映画は、光と影が織り成す物語”という言葉を聞いたことがありますが、映画における光と命の象徴としての光。このオーバーラップが非常に面白い。 陸地で待つ女たちが光が消えたのを見て危機を察知する。救護船で灯台へ向かう乗組員が光を失った途端に混乱に陥る。全面漆黒の画面の中、一か所だけが白く映るほんのわずかな光に、とてつもなく偉大な力を感じずにはいられませんでした。 そして、灯台の中での親子のせめぎ合いのスリルも素晴らしい。 息子のいる上階へ向け階段を昇る父親が、途中で歩みを遅くする。たったこれだけの物凄くシンプルなアクションがグッと緊張感を増すような印象を与えるなんて、今まで何本も映画を観てきたのに、こんな簡単な事をこの今になって初めて知ったような気がしました。 更に、月明かりに照らされる息子の表情が弱い光で陰影が出て恐怖感が増幅される中での親子の格闘。そこに、救護に向かう船と岸壁に打ちつける波しぶきのショットとを重ねたトリプルクロスは、扉を狂ったようにはためかす風や荒波を起こす風の援護射撃も加わり、どのように表現してよいのか分からないほどの壮絶なシーンとして強烈に印象に残りました。 灯台という題材をもって光を描き、また扉を動かしてコマ送りのような演出をするなど、まさに“映画そのもの”を体感したような気分になりました。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-15 19:26:39)
12.  キートンの恋愛三代記 《ネタバレ》 
オープニングが面白かったのは現代編。「時は現代。speed,need,and greedの時代。」と洒落た説明のすぐ後、キートンが乗った車が溝にハマって大クラッシュ!彼女の家に着くと、どちらの男が娘の婿に相応しいかは預金の額で決めるという。恋敵の出した通帳がFirst National Bankだったのに対しキートンはLast National Bankと、数字を出さず尚且つ笑いも取るというこちらもまたお洒落な表現だなぁと、ここはキートンのアイディアに一本取られました。ちなみに、男が強かった石器時代とは異なり、妻の権限が大きくなっているのもポイント。 3つの時代それぞれに面白いシーンが沢山出てきましたが、やはり何と言ってもローマ時代のあの大掛かりなセットと、その中で行われるベン・ハーばりの馬車レースが自分の中ではこの映画一番のハイライトです。 この他にも、落とし穴に落とされたキートンがライオンと出会うシーンがありますが、今までのキートンの映画では本物の動物しか出てこなかっただけに、ネイルケアをしてもらった後に握手をしたり、キートンが上に引っ張り上げられる時には手を振って挨拶をしていたりして、一瞬自分の目を疑ってしまいました。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-18 01:49:25)
13.  アッシャー家の末裔 《ネタバレ》 
この映画、もう何から何まで凄い。 自分が観たサイレントの中でダントツの怖さです。 まず、アッシャー家の当主ロデリックと妻マデリンの妖しさは何とも言えない。特に、ロデリックの方は、映し方によっては至って普通の紳士のようにも見えるのだけど、独特のカメラワーク故のものなのか、ストーリー上の背景がそう見せるからなのかわからないですが、目つきがヤバかったり頬がこけていたりというような“いかにも”という風貌ではなく、内側から滲み出てくるような不穏な雰囲気があり、取り憑かれたような感じになりました。 序盤で、馬車に乗っている付き添いの人がアッシャー邸を指差すワンショットからインパクト絶大で、更に、ロングで捉えた館の恐怖感たるや、本作か「サイコ」かと言える程の様相です。 また、至るところに空や水辺や木々など、自然を撮ったショットがふんだんに使われており、雲の動き、水のざわめく感じ、枝の揺れ方などでただならぬ雰囲気を表現していたり、妻の棺桶を馬車に載せて墓まで運ぶシーンのカメラの揺らし方なんかも抜群で、どのショットを切り取っても凡百の映画とは一線を画す印象です。 妻の絵が完成に近づくにつれて本物の方から生気が失われていくというのもストレートで良い感じに恐怖感が出ているし、岩の間から白い布が見え隠れするのも冗談みたいに怖い。最後に館が燃えてしまうのも古典的なラストで良い。 レア物なので、機会があるかはわかりませんが、是非また観てみたいです。
[映画館(吹替)] 8点(2011-09-13 23:54:51)(良:2票)
14.  キートンのセブン・チャンス 《ネタバレ》 
相変わらず大勢の追っ手からひたすら逃げまくっているキートン。逃走中はいつもいろんな危機が彼を襲うのだけど、本当によくここまでそのアイディアが出てくるものだなぁと感心させられてしまいます。 前半での結婚相手を探すシークエンスは、あのように手当たり次第に求婚し片っ端から振られてゆく姿は本当ならば笑えるシーンなのでしょうけども、自分も30代で未だ独身の身でありますので、素直に笑えないところでもありました。 最初の方で、メアリーがキートンに向けて書いた手紙が「他の人と結婚すればいいわ」と書いておきながらその後で「今日は1日家にいます」と、心がまだ離れていないのを遠回しに伝えようとするのが洒落ていて良かったですね。 それよりも、凄いのはやはり後半の怒涛の逃げ回るシーンでしょう。キートンがぶら下がっているクレーンを追いかけてきた女が操縦し、死んでしまったと思われていたところにキートンが彼女らの目の前にノコノコと現れたところで笑ってしまったのですが、このちょっと前で、これは自分だけかもしれませんが、キートンを死なせてしまって悲しんでいたときの女の台詞「You've killed him.」の日本語字幕が「やだ、死んじゃったわ」と軽い感じの表現だったのも面白かったです。 序盤で出てきた犬が最後に再び登場して、仕上げのオチをバッチリと可愛らしく決めてくれていたのもGood!
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 23:36:01)
15.  イタリア麦の帽子 《ネタバレ》 
非常に珍しく入手するのが困難な「イタリア麦の帽子」を巡るアイディアが凄く面白い。 このストーリーは、手に入れるのが難しいものなら何でも、そのアイディア一発で映画が作れてしまいそうなだけに、このアイディアをパクった作品が後世に作られてもおかしくなさそうですが、リメイクも含めて意外と存在しないそうですので、これは今からでも遅くはない、是非ともリメイク作品を作って欲しいところです。 麦の帽子以外でも、手袋やブーツを生かしたコメディアスなサブプロットも上手い具合に効いていたり、他にも傘・ネクタイ・補聴器・置時計など使われた小物は沢山あって、いろいろな場面で楽しさが感じられる作品だと思います。 我々日本人にはわかりにくいですけど、帽子というのは当時のフランス人にとって非常に大事なアイテムなんだなというのが良く分かる映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 01:38:39)
16.  サンライズ 《ネタバレ》 
幸せだった夫婦が一人の女によって壊されてゆくという、なかなかシンプルなストーリーなのですが、このような普遍的とも言える定番作品は自分にとってかなりツボです。 自分が映画で楽しみを見出すのは、ベタなストーリーを映像のテクニックや演出、ストーリー構成や人物設定、シチュエーションなどによって如何に上手く見せているかというところに尽きるわけで、変に捻ったストーリーよりもこの映画で見られるような登場人物の心理を丹念に描く形でストーリーが進んでいくものの方が面白く感じられます。 この映画は、前半の教会から出たところまではもう素晴らしいと言うしかなく、特に街に出てきたときに、夫が妻に許しを請うところと妻が少しずつ警戒心を解いていく一連のシークエンスは、もう完璧と言ってしまえるほどの見事な描写です。道のど真ん中で交通渋滞なんかお構いなしに熱いキスを交わしているシーンの後の二人が並んで歩くショットでハッピーエンドだったら素敵だなぁと思っていたのですが、その後にやや長めの息抜きがあって、この落差はちょっと勿体無かったなぁと感じました。 後半の大波にさらわれるシーンも大迫力で、こちらもまた筆舌に尽くし難いほどの名シーンなのですが、その後に妻が助かるシーンを挿入してしまったことで、妻が生きていたことの喜びが半減してしまったような気がしましたが、二人が再会した時の幸せそうな表情が良かったですし、ラストの美しい“サンライズ”ショットも、紆余曲折あった夫婦が再出発するという意味も含んでいるようで、とても感動的なエンディングでした。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-28 23:46:36)
17.  天罰 《ネタバレ》 
これは恐ろしくも悲しい映画。 それと同時に、サイレントならではの表現を堪能できる面白い映画です。 あくまで個人的な意見ですが、サイレントはトーキー以上に映像から伝わってくるものが多く、また、ワンショットごとの映像のインパクトも後世の映画と比べるとやはり大きいのではないかと思います。 特に、ロン・チェイニーが出てくる映画になると絶対に書かなくてはいけないのが、何と言ってもまず、あの凄みのある表情。まさに、この映画の通りサタンの化身であるかのような風貌はインパクト絶大です。そんな男がピアノを弾いたりするもんだから、かえって凄みが増すし、「死の歌」なんてピアノの旋律だけで彼女が殺されてしまうんじゃないかとまで思ってしまうほどで、ここは本当に恐怖に満ちたワンシーンです。 他にもピアノを弾くシーンが2回ほど出てきますが、音が聞こえてこないだけに想像力がいつも以上に働いてしまい、サイレント特有の余計に怖さが伝わってくるような錯覚を覚えます。 また、暖炉のギミックや小窓から覗くために懸垂をしながら上に昇っていくシーンも目を引いてこれまた面白いし、その時にカメラもそれを追って上方向に移動していったのが室内撮影では珍しいなと思い、ここはちょっと不思議な感覚があります。 ところで、Penaltyとは、また何という皮肉だろう。 街を支配しようと考えたのは脚を失ったことと因果がある為で、彼に非があるとは当然言える訳もない。脳を手術したことで善人になり、過去を悔い改める気持ちが芽生えてきたということか?などと考える以外に答えが出てきません。 新たな人生の一歩を踏み出した矢先の悲劇。撃たれた理由もわからずに死んでいってしまい、今までにないくらい胸が痛む思いがしました。
[映画館(字幕)] 8点(2011-01-08 14:19:40)(良:1票)
18.  海底王キートン 《ネタバレ》 
チャップリンの映画になくてキートンの映画にあるものと言えば、主演女優とのドタバタの連係プレーですが、この映画でも女優キャサリン・マクガイアとの共演により非常に完成度の高いコメディ作品に仕上がっていると思います。 いつもの事ながら、共演している女優がウッカリ者でおっちょこちょいで、キートンの足を引っ張ってばかりというお決まりの役柄なのですが、いつものようにこれがまた面白い。 ギャグの一つ一つも面白かったと思うのですが、それにも劣らず、序盤での二人の追いかけっこしているシーンとか、その少し前のお互いの存在を察知するくだりなんかは、ちょっとしたメロドラマなんかに出てきそうな演出で、コメディ以外の要素でも楽しめるポイントがあったと思います。 火のついた煙草で女は他に人がいることに気づき(煙草で連想されるのは男)、人を呼ぶ声で男はその存在を知る。何とお洒落なすれ違いだろう。 映画の後半は水中撮影を行ったり、人食い人種(何で見ただけでわかるんだ??)役の大勢のエキストラを使ったりと大変な労力を注いでいるところをみると、キートンの映画製作に対する情熱が伝わってくるような印象です。 最後、海の中に沈んでいってしまうのかと思いきや、潜水艦の上に乗っかって再び上がってくるというお決まりのパターンはこの映画がオリジナルだったりするのかも。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-17 02:03:38)
19.  キートンの探偵学入門 《ネタバレ》 
コメディ映画でバナナの皮といえばこれはもう100%、ただの一つの例外もなく滑って転ぶ人がいて、今までに数多くの足を滑らす人を見てきましたが、あそこまで大胆に宙を舞う人もキートンくらいなもんです。ベタ過ぎるくらいベタなギャグですが、そのクオリティが非常に高い(笑)! また、現実から夢の世界へ入り込んで、その中で物語が繰り広げられるという映画もまた、今までにいくつも観てきましたが、夢の中で話が進んでいる事を忘れてしまったのは今回が初めてです。つまり、それほど面白かった。 一番好きなのが、キートンがシャーロック・ジュニアに扮するシークエンスで、ビリヤードのシーンにはハラハラドキドキさせられます。結局、ビリヤード台の上の13番は仕掛けのないただの13番で、拍子抜けさせられたと思った瞬間に斧がズバッと落ちてきたりする絶妙の間が最高。 後半のほうで、バイクに乗せてもらって逃げるシーンが出てきましたが、運転手を振り落としてそれに気づかず暴走してしまうのってよく考えたら凄くスリル満点のシーンの筈なのに、キートンがやると何故か安心して見れちゃうから凄い不思議。彼自身の芸のクオリティが上がれば上がるほどつまらなく見えてしまって、ちょっと可哀想ですよ。 他にも、行商のおばさんにかくまってもらったり、映画館のスクリーンの中に入って行ってしまったりと、思わず目を見張ってしまうシーンは他にもいろいろあって、全編通じて楽しめる作品だと思います。 あと、サイレント映画全盛期の映画館の雰囲気も見ることが出来たりと、結構貴重な映画ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-10 23:19:24)(良:3票)
20.  紐育の波止場 《ネタバレ》 
オープニングの雰囲気からして、きっと素敵なストーリーが待っているんだろうな~と、早くからそんな予感を感じさせてくれます。 ちょっと古臭い感じもありますが、こういう古典的な演出って実はわかりやすくて凄く好きです。 主演のジョージ・バンクロフトは初めて見ましたが、この人がもう最高にカッコイイ。 顔は勿論のこと、酒場での言動や立ち振る舞い、船の中でのちょっとコ汚い感じ、結婚式の最中に牧師の話をロクに聞いてないところとか、結婚式の翌朝「昨日は昨日、今日は今日」と良いながらも彼女の部屋で騒ぎがあるとすぐに駆けつけて抱き締めてあげたりと、全ての行動がみんなカッコイイ。 極めつけは、出港してしまった船から飛び降りて海を泳いで愛する人のもとへ行ってしまうというような、サイレントの時代の映画でしかお目にかかれないんじゃないかってくらいの男気で、これは男の自分でも惚れてしまいそうな程です。 その愛に応えたヒロインも、徐々に心を開いていく感じが良くて、こちらもまた好演。 最後の別れのシーンはちょっと寂しい感じもありますが、“海の男”的な別れ方で、とてもお洒落な締め方ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-07 14:05:56)
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