1. 俺たちに明日はない
《ネタバレ》 その昔、テレビの洋画劇場の予告編で「衝撃のラストシーン、何百何十何発!」という、まだ未見だった私を完全に怒りにかられたのを覚えていますが、この映画、ラストシーン以外でも、全てにおいて完璧なのが理解できます。 毎回衣装が変わるフェイ・ダナウェイは、この時点で最高のファッションモデルでした。 映画評論家の町山智浩さんの本で知ったのですが、ウォーレン・ベイテイ演じるクライドが何故、女性と接することができなかったのかは、クライドがゲイだったということ。(勿論設定上の話し) この時代に、ハリウッドでは、さすがにゲイ描写はできず、こうなったそうです。 バンジョーのBGMが、古臭さを感じさせますが、当時のヒッピーやカウンターカルチャー世代が喜んだ背景が目に浮かびます。 若くして死ぬことの格好良さが上手く描かれています。 私はヒッピー世代ではありませんが、10代後半に60年代の古い音楽に目覚め、ドアーズのジム・モリスンに出会いました。 当時の「30歳以上を信じるな」という言葉には衝撃を受け、ジム・モリスンの人生のように生きたいとさえ思いました。 今、30歳を遠に超えましたが、未だに私の中にはジム・モリスンが生きています。 この映画で彼を思い出しました。 「明日に向かって撃て」と比較されがちですが、あちらは常に未来を夢見た男性二人なのに対し、こちらは、まだ未来ある若者、実際には現実に未来を持てなかった若者二人の設定が、全く違う点だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2014-05-29 01:44:40) |
2. アラバマ物語
今観賞しても「子供目線」から描いたというのは、とても斬新だと思います。 トム・ソーヤの冒険みたいなストーリー展開の中に上手く黒人差別をテーマにしたものを織り交ぜてあって、観客に痛感させます。 スカートが嫌いなボーイッシュな女の子、スカウトがとても可愛いですね。彼女の正直な部分が大人たちに痛いところをつつかせています。 後味悪くなる展開でしたが、救いも描いたのは成功につながった理由の一つではないでしょうか? 邦題のセンスが悪すぎます。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2013-05-28 12:26:05) |
3. ハスラー
《ネタバレ》 男のために作られた男の映画って感じだ。 初めの戦い、エディがミネソタ・ファッツと何十時間もビリヤードで勝負する様は観ているこちらも疲れを感じてしまう。 そして、早朝のカフェでのエディとサラの会話。お互いアルコールに頼った人生を送っている、それだけで男女関係が生まれる時代背景。モノクロ映像が、このドロドロした関係を更に際立たせている。 サラがエディを暗黒の世界から救い出そうとするも、エディがわかるのは彼女が死んでしまった後。 最後のビリヤードはもう関係ない。 エディとバートのやりとりは、私が観たどの映画よりも緊迫感があふれている。間にいるファッツはもう完全な脇役。 エンディング、ビリヤードには勝てたが、人生の勝負には負けたエディ。しかし、一人残されたバートの姿は、どうみても勝者には見えなかった。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2013-03-12 23:49:39) |
4. シェルブールの雨傘
一度聴いたら耳から離れないミシェル・ルグランのメロディー。 シンプルでありながらダイナミックなストーリー展開。 60年代、フランス、ファッション、フルハイビジョンで映る美しきカトリーヌ・ドヌーヴ…。 これほど時間を感じさせないミュージカル映画が他にあるでしょうか? 全然関係ありませんが、観終わって、ポール・モーリアを聴きたくなりました。嗚呼…。 [地上波(字幕)] 10点(2013-01-30 06:35:29) |
5. 赤ひげ
久しぶりに観賞。やはりいいものはいいですね。加山雄三演じる保本登という若い医師が赤ひげに共鳴していく過程は、心の病を持つ患者、おとよを始め、様々な群像劇の中で自然に進んで、とても心地よいです。 2時間半でも短すぎるくらいです。いっそ、大河ドラマにしてもらいたいところです。 白黒ですが画質も綺麗だし若い人に是非観賞してもらいたい作品です。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2013-01-04 00:18:23) |
6. サウンド・オブ・ミュージック
何一つ文句のつけようがない、私にとって素晴らしい作品ではありますが、今回、テレビ放送をCMカットで録画したら2時間40分に編集されていました。なんで余計な解説をつけ足してまで編集してしまったのか…。やはり当時の吹き替えも入ったDVDの購入が必要になります。 [地上波(吹替)] 10点(2011-01-09 21:05:28) |
7. 華麗なる賭け
《ネタバレ》 私が無人島へ持っていく10枚のDVDの1つです。 最初に観たのは小学生の頃、月曜ロードショーで。それから2回ほどビデオで観て、今回、衛星放送での再観賞です。 冒頭のマルチスクリーンに映るマックィーンとフェイ・ダナウェイ。もうこれだけで「華麗なる」ではないでしょうか。 主題歌に感動してサントラCDも購入しました。 フェイ演じるベッキーはまるでファッションショーのように衣装が変わります。スティーブ演じるトーマスに、恋を抱いていく心境に合わせ、華やかに変わっていきます。 そしてラストシーンになると、フェイは初めて黒いセーターに紫のジャケットという罪の意識を感じさせる服に身を包みます。握っていたネックレスの手の中には「来ないでほしい」と思う十字架が隠れていたかもしれません。 意見が分かれるところですが、トーマスはベッキーを多少なり信頼していたのだと思います。 「金を持って私のところに来てくれ」と書かれた手紙を受け取ったベッキー。しかし、その手紙を受け取る結末に、失ったものが大きいのはトーマスではないでしょうか? 仕事と信じあう愛を天秤に掛けさせられたベッキー。 飛行機の中から見えるはずのないベッキーを見降ろして、サングラスを外すトーマスは、また虚しく新しい人生を歩んでいくのです。ひこうき雲は消えてしまえば、もう戻ることはありません。 どことなく「黄金の七人」や「男と女」のようなヨーロッパのイメージがありますが、マックィーンが他に挙がった大物俳優の候補を抑えて本作の主演を勝ち得た値打ちは十二分にあると思います。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-11-04 02:06:39) |
8. ウエスト・サイド物語(1961)
子供の頃テレビで観て前半のダンスに感動しました。この映画の主演がジョージ・チャキリスと勘違いされるのは例の有名な片足を上げるシーンが必ずCMで使われるからではないでしょうか? 数年前に来日したジョージ・チャキリスは全くといっていいほど変わっていませんでした。 今回、この映画を放送する前に5,6分間、市村正親さんが熱烈に本作の素晴らしさを自分の体を使って訴えていましたが、あれはNHKの上手い手だなと思いました。 あの対談を観たら、その後に続く本編を観ない訳にはいきません。 度々タレントのタモリさんが、会話の途中で突然歌い出すというミュージカルが全然理解できないと言ってますが、それを聞くと私は必ず「ウエストサイド物語」を思い出してしまいます。 映画通の人が「あの曲はナタリー・ウッドが歌っているんじゃないよ」と言ってました。 空手をやっている友人が「あの蹴りでは相手には効かない」と笑っていました。 そんな人が周囲にいる中で、この作品の全てを感動出来る自分がいることに幸せを感じます。 この作品に足りないものは何なのでしょうか? 私にとって「サウンド・オブ・ミュージック」と並んで満点以上のミュージカル映画です。 観客の心を揺り動かす全ての要素が含まれていると思います。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-10-11 01:30:41) |
9. 刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM>
映画一本分の価値ある作品と断言します。 犯行動機、殺人計画、アリバイ、全て完璧です。 さすがにシリーズ化を考えて作ったものではないらしく、コロンボのキャラも少し違って見えます。全体的に人物像のカラーが黒いです。 最後の最後までコロンボは、犯人のちょっとした仕草だけで推理していきますが、決定的なな証拠が見つかりません。 第一話の殺人犯がコロンボ?になりそうな展開は「え?!」って思いましたが、人間の本性と嘘をさらけ出していく流れ。それがラストへ繋がっていく面白さが、このドラマをシリーズ化させた要因ではないでしょうか? 「刑事コロンボ」ファン必見の作品です。 因みに犯人の吹き替えが「007」シリーズのショーン・コネリーの声優さんなのが面白いです。 [CS・衛星(吹替)] 10点(2010-04-23 00:56:38) |
10. 夜の大捜査線
《ネタバレ》 この映画、吹き替えが最高にハマっているんです。昔は土曜の洋画劇場で頻繁に放送されていました。署長さんの嫌味ったらしい「バ~ジルぅ」の言い方が最高なんです。 けど、DVDには吹き替えが収録されていないのでガッカリ…。メーカーには是非吹き替え収録版の発売を切望します。 先日、久しぶりにテレビで吹き替え放送されたのですが、やっぱり最高なんです。 初の黒人オスカー俳優、シドニー・ポワチエ、ルックスも含めて全てめっちゃカッコいい。 白人署長が自分を見失って熱くなる黒人刑事に「バ~ジル、お前も人間なんだなぁ」と言う嫌味なセリフに加えて、反対に黒人刑事が署長に「アンタも淋しいんだな…」と同情され、逆切れする署長に、人間は皆一緒なんだと痛感します。 スパイク・リーの人種差別映画とはまた違うメッセージを受ける映画です。 主題歌のレイ・チャールズのナンバーも最高です。 でも、デンゼル・ワシントン主演のリメイクは観たいとは思わない。あの役者は、なんか偽善的なイメージがあって、オリジナルの本作を台無しにしそうです。 オバマさんが主演なら興味は湧きます。 [地上波(吹替)] 10点(2009-07-18 03:48:47)(笑:1票) |
11. 誰が私を殺したか?
スカパーの「町山智浩のvideo shop UFO」で鑑賞。 現在、日本では未DVD化です。 これは「何がジェーンに起こったか?」と同じくらい面白い作品です。 ベティ・デイヴィスが一人二役を演じています。 かつて自分が愛した男を奪った大富豪の双子の妹を殺して、その彼女にすり替わるという奇抜な始まりなんです。 つまり「自分を殺したのは誰か?」という展開になるのですが、その結末がとてもドラマティックなんです。 番組でも、町山さんが言っていましたが、ちょっとした感動が待っているんです。 これは意外です。 大富豪の妹になりすましたヒロインがボロを出すのは当然のことなんですが、問題はそこじゃないんです。 ヒロインを追い詰める刑事は、犯行前の彼女を愛していたのですが、彼の愛の矛先はずっと変わらないんです。 刑事は死んだと思われるヒロインと、妹に成りすましているヒロイン、つまり同じ人間を重ね合わせようとするのですが、彼の心の天秤が大きく揺れるのです。 そしてその先は意外な方向へ進んでいくのです。 ヒロインはその刑事のことは愛していませんでした。妹と結婚していた男性を愛していたのです。 ですが、その刑事の愛を受け入れようとするヒロインの心境の変化で、この作品の価値も大きく変わるのではないかと思うのです。 ちょっと変わった作品ですが、「愛」というものを描いた素晴らしい作品です。 因みにサスペンス要素もあるので、メロドラマとは全く違います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-02-17 15:54:54) |
12. 女狐(1967)
「さよならミス・ワイコフ」がきっかけでアン・ヘイウッドの作品を探していたら本作にたどり着きました。 カナダの映画ですが、ヘイズコードがなくなったおかげで、やりたい放題の内容に仕上がっています。 アメリカン・ニューシネマの雰囲気が随所で見られます。 人里離れた一軒家に過ごす二人の女性、ジル(サンディ・デニス)とエレン(アン・ヘイウッド)。 一見平和に過ごしている二人ですが、エレンは性欲が溜まっていて一人自慰行為をしたりします。 そこへ一人の男、ポール(キア・デュリア)がやってきます。 ジルはポールを兄弟のような感覚で接しますが、エレンにとってはまさに「男」だったのです。 三人の関係はとても面白く表現されていて、ある日突然ポールがエレンに求婚してくるんです。 距離を置いて接していたエレンにとっては衝撃の出来事でした。 それを知ったジルは次第に二人に嫉妬し始めるんです。 アラン・ドロン主演で「帰らざる夜明け」という映画にも似ているのですが、こちらの作品の方が今見ても古さを感じさせません。 現在、DVDは廃盤でヤフオクでもなかなか出品されることがないのですが「さよならミス・ワイコフ」をご覧になった方に是非見てもらいたい傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-11-24 07:24:56) |
13. 網走番外地(1965)
《ネタバレ》 脱獄してからの展開は「手錠のまゝの脱走」のアイデアそのまんまなんですが、本作は、映画というのはラストのワンシーンで傑作になるという、一例ではないかと思います。主人公が「おっかさーん」と言いながら相棒(?)を置き去りにしようとしたとき、あれだけワルだった奴まで「おっかさん…」と呟いたとき、主人公がとった行動は……。それだけで私の涙腺は緩んでしまうのでした。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-02-10 04:08:11) |
14. 華麗なる週末
マックィーンの映画はほとんど見たとおもったのですが、これは初見でした。 これほどオトボケ演技をしたのも珍しいコメディ要素の強い作品でした。 実際の主役は11歳の少年で、マックィーンは少年が憧れる兄貴分ってとこです。 原作は未読ですが、おそらくマックィーンの演じた青年は25,6歳ってとこでしょう。 髪を少し伸ばして若作りしています。 西部の町に現れた新しい文明、それが自動車なんてところは、それを自転車で表現した「明日に向かって撃て」を思い出しますが、本作は最後まで安心して観ることができるのがいいです。 ラストシーン、よくみておかないと笑いを見逃してしまうので注意しましょう。 決してマックィーンの代表作とは呼べませんが、一本の映画として考えると、とても素晴らしい価値があるかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-07-25 21:31:03) |
15. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 まだ10代のころ、ビデオテープが1本1000円もしたころ、NHKで録画した本作を何度も繰り返し見ていました。 音楽、カット割り、ニューマン、レッドフォード、ロス、全てが今の私の一部になっているようです。 数十年ぶりに観なおして、あの時と同じ感動ができ、それが嬉しくてなりません。 当時はエンディングロールがなかったと思いますがテレビの編集のせいでしょうね。でも、全て記憶に残っていました。 二人が滝に飛び込むシーンは、ちょうど始まって1時間になったとき。 さすが、ハリウッド映画は計算されていますね。 [地上波(字幕)] 9点(2013-01-30 10:55:06) |
16. サイコ(1960)
この作品、今の世代に紹介すると、何が怖いの?という感想がほとんど。やはり当時、初めて観賞した人がうらやましいです。 私も途中から、一緒に観ていた奴に「犯人、こいつなんだよ」と言われた時はがっかりでした。それに加え、そいつは「猿の惑星」のエンディングも私に言って喜んでいたので、今でも彼を恨んでいます。 最近BSを観ると、ヒッチコック特集とかいって、ジャネット・リーが殺されるシーンを詳しく解説したりと、作品自体の喜びとスリルをダメにしてしまう番組が多すぎます。 若い人には予備知識なしで観て貰いたいものです。 私にとっては、ヒッチコック最高作品。 BSプレミアムのスタッフに一言物申したい。 「予告でネタバレするな!」 [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-17 03:24:59) |
17. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 何十年ぶりの鑑賞だろうか? 今回リマスターDVDでの鑑賞だが、画質がどうであれ、子供の時に観た時の印象は全く変わりない。 殺人を犯した主人公の行動を追いかけながら「いつまでも誤魔化せる訳ないだろう…」と思ったのも、あの時と同じ。 恋人も奪い取って、砂浜でサングラスを掛けながら陽射しを受ける主人公の姿は映画史上に残る名シーンだと思う。 コレクターズ・エディションを手に入れたので、死ぬまでにあと何回か鑑賞したい。 ところで最近鑑賞した殺人映画のほとんどが、金持ちに妬みを覚えた貧乏人の犯行というのが現代の無差別殺人とどことなく繋がっているようで怖い。 [DVD(吹替)] 9点(2009-08-03 05:14:59) |
18. 宮本武蔵 巌流島の決斗
シリーズ物であるが、とりあえず一番興味を引くこの作品から観た。 画像も綺麗で、今でも現役の役者さんが出演しているが若い人は驚くこと必至。 台詞は今の時代劇のように現代語ではなく、かなり侍用語が並んでいるが聞いていて全く違和感がない。むしろカッコいい! シリーズの最初から観なくても充分面白い。私はこれから第一部から観直そうと思う。 中村錦之助は役者の中の役者だ! [DVD(邦画)] 9点(2008-12-17 11:12:31) |
19. テキサスの五人の仲間
まだご覧になっていない方は絶対に、ネタバレレビューを見てはいけません。 やはり高評価の点数をつける人が多いみたいですね。 これはもう、ジョアン・ウッドワードの役者冥利につきる作品なんじゃないでしょうか。 ポール・ニューマンの奥さんだということは、このサイトに書き込んでいる常連には説明する必要はないみたいです。 貞操な妻が次第に変わっていく過程がユーモラスに描かれていて面白かったです。 この時代の作品の価値観は道徳的なモラルが絶対必須だろうと考えてしまった私にとって、全ての根底を覆す結末には、ただただ驚くばかりでした。 もし私がこの映画を子供の頃に見ていたら、ひょっとしたら結末で描かれていたものを理解できなかったかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-03 17:33:54) |
20. 座頭市血煙り街道
うん、高得点どおり面白かったよ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-07-16 15:53:11) |