181. めし
成瀬作品の中では比較的評価の高い本作ではあるが、個人的にはそれほど抜きん出ているとは感じなかった。 それはただ単に、主演の原節子という女優がそれほど好みではないという理由だけかもしれないが。 それよりも、杉葉子がますます好きになった。 とにかく表情が明るい。 彼女の笑顔を見ていると、明るい気持ちになれる。 夫役の小林桂樹に嫉妬した。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-23 00:44:19) |
182. 捜索者
正しいのは白人で、一方的に先住民を敵視したアメリカらしい作りにヘドが出た。 横柄で自己中な腹の出たおっさん、ジョン・ウェインに一切の魅力なし。 [CS・衛星(字幕)] 0点(2010-03-06 01:30:42) |
183. ウンベルトD
《ネタバレ》 念願かなっての鑑賞で、シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞した。 恩給で生活している社会の一線を退いた老人が主人公で、生活の頼みの綱であるその恩給が、不景気にともなって減少し、老人達の生活を逼迫していくという、現代日本においては実に現実感のあるお話である。 その老人は、ブチ模様をした小さな犬を飼っている。 妻も死に、孤独を癒す唯一のパートナーだ。 居を構えていた古アパートは、次第に売春宿と化していき、昔から住んでいたというのに、その老人は追い出しの圧力を受けている。 僅かな額の恩給では、アパートを出たとしても生きていくアテもない。 経済的に窮地に追い込まれた老人には、もはや生きる希望も失い、死を考えはじめる。 そこで唯一の心残りは、愛犬のブチ犬で、自分の亡き後に面倒をみてくれる場所を探したりもするが、全くアテがみつからない。 そこで、老人はブチ犬と無理心中を思いつく。 犬は当然嫌がり、怖がる。 寸での所で死を免れた老人とブチ犬であったが、犬の方は飼い主に恐れをなし、かつてのようになつかなくなってしまう。 必死に、ブチ犬の興味をひこうとする老人。 最後には、ブチ犬は老人にシッポを振ってついていき、その二人(?)の後ろ姿で「FINE」の文字。 いやぁ、なんて心温まるラストシーンだろう。 犬好きにはたまらないラストだ。 いったん飼い主である老人を避けるが、今までのご恩を思い出したんだろうか、また老人になつくまでの過程を描いたラストは、名作に相応しい出来栄えである。 ヴィットリオ・デ・シーカと言えば、『自転車泥棒』と『靴みがき』辺りが代表作かもしれないが、本作こそ、デ・シーカの最高傑作に推したい。 イタリアン・ネオ・レアリズモの名手として、現実の厳しさをうったえつつ、そこに人間と飼い犬(伴侶や家族に当てはめて考えてもよい)との絆を描いてみせた本作は、バランスもよく、まさに名作に値する。 [映画館(字幕)] 8点(2010-02-27 23:38:44) |
184. 君の名は 第三部
まどろっこしいところや、煮え切らないところなど、観ていてイライラさせられる部分も多い作品だったが、第一部、第二部、第三部と全て観て得られたことは、愛すべき人と一緒に居られることが、どんなに素晴らしいことか、どんなに有り難味のあることかを実感できたということだ。 それを感じることができただけでも、本作を観た価値はあったし、有意義であった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-02-24 21:44:45) |
185. 君の名は(1953)
《ネタバレ》 名作だけあって、ストーリーの軸はしっかりしているものの、内容は現代で言うところの昼ドラである。 なんと言っても、岸恵子演じる主人公がどうにも救いようがない。 迷いと弱さばかりが目立ち、本作のストーリーが紆余曲折するのは、全てこの岸恵子が原因と思いたくなるほどだ。 岸恵子の意志が強ければ、ハナからこんなウダウダとした流れにはならないはず。 結婚なんて決まっていたって、1年半ぶりに数寄屋橋で再会した時点で、駆け落ちすればその時点で話は終わっていたはずで、第三部どころか20分程度の短編になっていたはずなのに、なんて憎い女性なんだ! [ビデオ(邦画)] 5点(2010-02-24 21:42:32) |
186. 神の道化師、フランチェスコ
ロベルト・ロッセリーニの描く宗教美の世界。 寓話の世界をそのまま映像化したような映像は、完成されたモノクロ映像美と相まって、観る者をその世界に引きずりこむだけの静のエネルギーを持っているが、キリスト教に無関連の人が観た場合に、どれだけ感銘を受けることができるかは疑問が残る。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-16 17:39:39) |
187. 君の名は 第二部
第一部にひき続き、まさに王道をいくドラマだが、長い時間観ていると、これが不思議と心地良くなってくる。 本作の佐田啓二は、とにかくカッコイイし、とにかくモテる。 決してうまい俳優ではないけど、顔がここまで特徴的にカッコイイと、ただそれだけで十分である。 当時の佐田啓二ファンは、これを観てさぞかしメロメロだっただろうなぁ。 それにしても、笠智衆のアクションを観られるとは思わなんだ! 笠智衆のアクションを観ることができる数少ない作品だろう。 [ビデオ(邦画)] 6点(2010-02-10 02:55:27) |
188. 狩人の夜
《ネタバレ》 普通に楽しめる内容だが、キリスト教がらみのしつこい引用が気に障った。 最大にして唯一の見所は、悪の牧師が最後につかまるシーンで、父親の姿がオーバーラップし、少年が思わず止めに入ってしまうところ。 父親を失ったトラウマがフラッシュバックした場面として、ドキっとさせられるものがあり、胸が痛んだ。 そして最後に特筆すべきは、川辺のシーンの映像的美しさか。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-01-29 23:47:24) |
189. 愛と希望の街(1959)
とても大島渚監督の作品とは思えない作風で、ストレートなテーマの訴えかけに驚きながら鑑賞した。 タイトルの『愛と希望の街』とは、およそかけ離れた内容。 貧富の格差が生み出す、社会の不条理を、とても分かりやすく描いており、すんなりとは観られる。 ただ、安易なキャラクター設定の出演陣に魅力を見出せず、又、暗いというより、ただ単に血の通っていない冷たい内容に、感情移入することができなかった。 しかしながら、感情移入ができないというより、むしろ感情移入させることを敢えて拒んでいるかの様な硬質な作りに、早くも大島渚監督の反骨的な精神を垣間見た気もした。 [DVD(邦画)] 5点(2010-01-29 00:50:10) |
190. 女狙撃兵マリュートカ
《ネタバレ》 よくある、捕虜にする側と捕虜となった側との、男女のロマンスを描いた内容だが、性別が逆で、捕虜にする側が女性で捕虜になる側が男性という設定である。 この二人がやがて恋に落ちるであろうことは容易に予想がつくが、その先があった・・・ 組織に忠誠を尽くし、愛する男さえも自らの手で射殺。 “狙撃兵”として、最後まで己のポリシーを貫き通した。 だがそこには虚しさしか残らない。 愛が、この世で一番重いものだと、痛烈に訴えかけるラスト。 男女がお互いを愛し合っていたとしても、文化や思想を異にする場合、男女の仲というものは、一筋縄ではいかない。 お互いを愛し合っていることを、お互いは確かに感じているはずなのに、どうにもならない悲劇的な結末を迎えてしまう。 そういった、愛というもののもどかしさ、難しさを痛切に感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-23 00:12:10) |
191. ベリッシマ
ルキノ・ヴィスコンティ作品は相当数観たが、本作は間違いなくルキノ・ヴィスコンティのベスト作品。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-15 19:47:58) |
192. 山びこ学校
「クソ」がつくほどの真面目な内容で、しかも教育問題がテーマときているから、まったくもって関心を持てなかった。 しかも、主演の木村功の演技がまた、妙にネチっこい。 爽やかさゼロ。 だが、画質も悪く退屈な映像の中にあって、唯一、杉葉子は可憐な女教師を演じ、一輪の花となって咲いていた。 [DVD(邦画)] 2点(2009-12-10 00:32:26) |
193. ここに泉あり
今井正監督が描く、正統派人間ドラマ。 真面目な監督が、岡田英次と岸恵子といった安定した実力を持つ俳優陣を配し、無難にまとめ上げた作品だが、無難に楽しめる反面、真面目過ぎるきらいがあった。 ただし、小林桂樹は実に人間味あふれるキャラクターを演じており、まさに名演。 小林桂樹の演技の幅の広さを感じることができた。 又、音楽の素晴らしさ、音楽を聴くことによって得られる感動などが、150分の尺の中にぎっしりと詰まっており、その辺りも評価できる。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-11-19 00:33:15) |
194. 楊貴妃
本作でもやっぱりオープニングは重厚感があって素晴らしかった。 溝口後期の作品は、オープニングだけでも楽しめる。 しかし内容は評判通り、あんまりよろしいものではなかった。 明らかに溝口が苦手なジャンルに手を出したというか、そもそも、日本人オールキャストによる日本語の楊貴妃物語なんて、設定に無理がありすぎる。 そんな無理な設定で、よく完璧主義の溝口が最後まで匙を投げず撮りきったものだと感心してしまうほどだ。 おそらく部屋のセットとか調度品を見せたいがためであろう引いたショットが続き、名優、森雅之の演技すらも堪能できない結果となっている。 ただし、全てがダメかと言ったら、そうでもなくて、溝口作品ならではの奥深さと気品が画面全体に広がっていた。 そして、京マチ子じゃなく、当初の配役であった入江たか子の楊貴妃で観てみたかったという思いが沸々と湧いてきた。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-11-15 00:42:29) |
195. 獄門帳
《ネタバレ》 主人殺しをしたのは誰か?という問いかけの下に、ミステリー風味で進行する時代劇。 鶴田浩二が主人(岡田英次)殺しをしたとして、引き回し&はりつけの刑をくらうことになるが、それをどうも不審だと感じた牢屋の奉行(笠智衆)は、鶴田浩二が無罪として問い詰めていく。 実は、岡田英次の妻(香川京子)が犯人だったと分かるのだが、時代劇でありながら、まるでミステリー小説を読み解く様なその味わいは、独特のものがあった。 香川京子は、実に和装が合っていて、その美しさたるは際立ちを見せていた。 香川京子は、やはり現代劇より和装を着こなした時代劇の方が美しさを発揮するように感じる。 しかし、実質的には笠智衆が主役の内容で、鶴田浩二や香川京子はどうも存在感が薄い。 笠智衆は、他の作品でよくみかける「穏やかな老人役」ではなく、芯の通った強気な老人役を演じており、これには新鮮味を感じた。 話はやや長いのがネックだが、その内容はなかなか充実しており、見応えのある異色時代劇であった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-11-05 16:44:11) |
196. 真昼の暗黒
警察の拷問による強制的自白、そして自白を主な証拠とすることにより誘発される冤罪。 それらの問題点を分かりやすく世に提示した勇気ある作品。 その社会的功績の大きさは凄まじいものがあるだろうし、それを実現させた今井正監督の勇気と心意気には感服するが、作品の面白味としてみてみると、いまいちな内容である。 なんでかと言えば、とにかく内容が固いのだ。 社会派劇は嫌いではないが、ここまで真面目に突っ走られると、観ていてどうしても飽きがきてしまう。 それに出演陣に華がない。 美しい女性が出てこない! それが大問題! 菅井一郎に山村聰当たりも辛気くさいし、飯田蝶子や左幸子もくどかった。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-10-31 21:15:11) |
197. たそがれ酒場
酒場という閉鎖的な空間の中で、巻き起こる数々の人間ドラマ。 まさか内田吐夢監督が、この時代にこんな群像劇を撮っていたなんて、まずそれが驚きだ。 ただ、個人的には、話が散漫になりがちな群像劇はそんなに好きではないので、まずまず満足できた程度だった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-10-30 22:51:17) |
198. ひばり捕物帖 かんざし小判
ひばりの七変化が見所らしいが、そんなの興味ない。 パチンパチンと音がする嘘っぽいチャンバラシーンも、しらけるばかり。 あと、怒鳴ってしゃべる出演陣ばかりで、やかましい。 [ビデオ(邦画)] 1点(2009-10-25 05:17:06) |
199. 張込み(1958)
シャープなモノクロ映像に、夏の暑苦しさがリアルに伝わってくる描写はなかなかのものだが、いかんせん、大木実と宮口精二という二枚看板が地味すぎる! [DVD(邦画)] 5点(2009-10-23 23:29:50) |
200. 少年期
戦時下に少年期を生きた主人公は、父親が反戦的ということで厳しい環境に置かれていた。 そんな中、少年なりに逞しくを生きていくという内容で、戦時下の厳しい世相を反映しながらも、そんな厳しい環境の中でもくじけず逞しく生活している庶民の姿を、ストレートに人情豊かに映し出している。 特別に面白いとは感じなかったが、木下惠介監督の作品らしい安定した内容だった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-18 21:46:01) |