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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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181.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
新3部作の最後だけに悲しい結末は想像できたけど、そこに至るまで何を観せてくれるのか?アナキンはどうしてあのマスクを被り、ダースベイダーと名乗るようになったのか?色々な思いを持って劇場に行ったけど、思った以上に悲劇に向かって一直線だった。 序盤のパルパティーン誘拐は、本来のSWらしく楽しく描かれている。コルサント上空での大規模な艦隊戦は当時のCG技術の集大成とも言えるくらい美しく迫力がある。このシリーズのお約束になったR2の活躍や、アナキン「すぐR2が来ますよ」オビ「…プランBは?」ジェダイ2人のやりとりも微笑ましい。逃げる2人とR2と一緒に、場違いなパルパティーンが居るのがなんか可笑しい。…だけど公開当時は悲しい結末に身構えるあまり、ドゥークー伯爵を殺すよう命じたことや、2人のやり取りもどことなくピリピリしているような気がして、素直に楽しめなかったように思う。 あと場面の切り替えが頻繁で、どっかで戦闘が起きたら次コルサント。すぐまた場所が移って次コルサントって感じに。もっと一箇所のストーリーをじっくり見せてほしかったかな。  艦隊戦はクレオパトラやベン・ハー辺り、上陸作戦は史上最大の作戦辺りがモトだろうか。SWと言えば撃たれれば死ぬ。切られたら死ぬ。と単純だったけど、今回の戦闘シーンはパイロットが宙に放り出されるとか、撃たれて苦しむトルーパーとか、SWらしくなく生々しい。でもそれは後の“オーダー66”やジェダイ聖堂虐殺シーンに繋がることになる。 まだ幼いパダワンたちが殺されるのは辛かったが、これをルーカスが撮ったことが凄いことだと思った。ルーカスはSWというドル箱を掴みながら、ボバ・フェットやハン・ソロでなく、イウォークを主役にしたスピンオフを作ってしまうような人。子供が好きで、子供の楽しめるものを作りたかった人だと思う。だからEP1はずっと子供が主人公だし。そんなルーカスが子供を殺すシーンを入れた。前作のサンドピープルのように、言葉の説明だけで済むのに。 ルーカスが大事にしていると思う単語が2つあり、1つは“THX(-1138)”で、もう1つは“スカイウォーカー”。私は、アナキンがあのマスクを付けてからダースベイダーを名乗ると思っていたけど、あら予想外、アナキンの姿のままダースベイダー襲名になった。そうしないとあの聖堂の虐殺のやり切れない悲しさが出せないのと、やはりルーカスは、どうしてもアナキン“スカイウォーカー”に子供殺しはさせられなかったんだと思った。  「嬉しいお知らせよ、妊娠したの…どうしよう」過激な外交も厭わない、気丈な政治家の顔は鳴りを潜め、アナキンに頼る“か弱い女性”になったパドメ。前作では想像出来ない隠居生活を考えるパドメと、マスターとして評議会入りしたいアナキンの将来像のズレ。「子供が暮らしを変えるわ」「子供が幸せを運んでくる」悲しい伏線。ナブーの葬儀の時、パドメの手に幼いアニーからもらった「ジャポーのお守り」。EP2の序盤で再会した時、成長したアニーに気が付かない風なフリをして、パドメもずっとアニーを思っていたことが伺われる。  勝負が付いてアナキンの「I Hate You!」にオビは「I Love You!」と返す。SWで「I Love You」と言えば「I Know」と返すのが定番。きっとアナキンも、オビの気持ちは解っていたんじゃないかな。 マスクを付けられるアナキンとともに流れるダースベイダーのテーマ。離ればなれになる双子。オーガナ王女に抱かれるレイアとともに流れるレイアのテーマ。オーウェンとベルに抱かれるルークとともに流れるフォースのテーマ。新3部作で初登場(だったと思う)の、印象的なタトゥイーンの双子の夕日をココに持ってくるセンス。あまりの美しさに泣きましたよ。 “シスを倒しフォースのバランスを正す選ばれし者”のむかし話から、いまの我々の時代の~A New Hope~新たな希望の物語へ。見事に繋がる終わり方。
[映画館(字幕)] 8点(2021-09-04 20:12:55)(良:1票)
182.  スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 《ネタバレ》 
思ってたのと違うEP1の出来に、制作側がファンの納得する作品を作ろうと努力したと思われる本作。 劇場予告から期待が高まる。やっぱりC-3POはあのカタチでないと。ボバ・フェットが出てくるのか(ボバのお父さんだった)。前作のレトロ感のあったメカから、70年代風SFメカにシフトしてきた。だんだんSWらしくなってきた。って言ったら変かな。  ジャワのサンドクローラーが2台…彼らにも歴史があるんだなぁ。青い牛乳…タトゥイーンと言えばだ。サイズミック・チャージの破壊力…おぉ、新しい。多脚歩行メカ…コレ出てくるとSWって感じがする。白いトルーパー…味方側なんだ、へぇぇ~。ジェダイの集団戦…おぉ!アツい!!。呆気ないジャンゴ・フェットの最後…そういやボバも呆気なかったな。ダースモールといい、強そうな敵が呆気ないのがSWらしいかも?などなど、旧作のファンが喜びそうな展開が嬉しい。パドメ暗殺のカーチェイスで、オビ「遅いぞ!」アナキン「良いのがなくて、オープンタイプで早いヤツ」ハンとレイアがしそうな会話も、これこそSWって思えた。そして何より空飛ぶR2と、素早くて強いヨーダには驚いた。新3部作に期待してたのって、こういうのだったんだと思う。 前作はポッドレースで今回は闘技場。近年公開されたグラディエーターの影響もあるだろうけど、クォ・ヴァディスやスパルタカスといった往年の名画がモトなんだと思う。  アナキン「不安だろうけどR2が付いているよ」のあと、パドメの「アハハ!」が可愛い。幼い頃から女王として自由のなかったパドメの、少女らしい笑い声。 でもこのアナキンとパドメの恋愛描写が何とも不評だった。草原を転げ回ってキャッキャ・ウフフって中学生か!って。ハンとレイアがサバサバした今風の恋愛をしていたのに対し、アナキンとパドメはシェイクスピアの戯曲のような恋愛、敢えて古典的な恋愛として描こうとした結果だと考える。別に恋愛悲劇の代名詞タイタニックがやりたかったんじゃなく、ロミオとジュリエットみたいなベタな恋愛描写を入れることに、意味があるんだと。 EP1ではあまりピンとこなかったけど、EP2を観て強く感じたことは、この新3部作は旧3部作から見た昔話というポジションで描かれている。旧3部作は現代(と言っても70年代後半)で、私たちも現代人。あくまで旧3部作を基準として、その過去と、その未来を描くのが、SW9作品の構成なんじゃないかと。だから“prequel trilogy(前日譚・三部作)”なんだと。昔話だからメカがレトロなのはもちろん、アナキンとパドメの恋愛も、私たちから見たら古風な描写なんだろうと、私はそう思ったわけです。 この物語の結末は変わらない。タトゥイーンでアナキンが夕焼けに照らされるシルエットがダースベイダーっぽかったりとかは、避けられない結末を表しているようで悲しくも感じる。 前作の不評の要因、ジャージャーの出番を激減させたのは良い判断。そしてパドメに代わり、パルパティーンに非常時特権を与える動議を出すという大役。出てくる度に何かやらかすジャージャーは、ついには共和制をぶち壊すキッカケを作ってしまった。ってのは、なかなか上手な使い方。
[映画館(字幕)] 8点(2021-09-02 18:07:55)(良:1票)
183.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 
~The Poseidon Adventure~ポセイドン号の思いがけない出来事。でどうだろう? 船の転覆という異常事態から、命の掛かった選択と結果が連続する展開は、とてもハラハラするし、私がその場に居たらどうするか?を考えさせられる。 大晦日のパーティから、不気味なサイレン。さっきまでパーティを楽しんでいた人たちが死んでいく地獄絵図。 逆さまになった世界。ここに残るか、自力脱出を目指すか。判断材料の一つが“責任者や信頼できる人の判断に従う”だと思う。 そもそもの転覆自体、無理に速度を上げるよう指示したオーナーの命令からだった。もちろんあの中では一番権力ある人物。 会場内の最高責任者パーサーが『ここで救助を待つのが最善だ』と。一番船に詳しい人がそう言うのだから。多くの人は従うと思う。 船医と共に船首に向かう乗客。船の詳しさとか責任とか関係なく、単に誰かに頼りたい心理、自分の命さえ他人に委ねてしまったんだろう。 “責任者や信頼できる人の判断に従う”は、今回残念ながら全部が裏目に出てしまった。 ジョン牧師『残ったら助からないかもしれないが、全員を置いていけない』スコット牧師の考えを認めつつ、弱い人のため、怪我をして動けない人のために残る。考えの違う2人の牧師が、お互いを尊重して別れる演出が見事。 何かとスコット牧師と衝突するロゴ。エイカーズが落ちた時、真っ先に海水に飛び込んで探すし、船尾ルートを探すスコットを17分も待つ。愛情からリンダを6回も逮捕したように、周りに誤解されるけど彼なりの人への思いが感じられた。 見た目から足手まといになると思われていたローゼン婦人の活躍。映画観ながら一緒に息を止めてみたけど、私は助からなかったわ… 「最後に愛してるって言ったのは、いつ?」『さぁ20年前かな?昨日かも?』名セリフ、こんな老夫婦になりたい。 目的地は船底、薄いとは言え1インチの鉄板。そこから先どうするんだろう?と思ったが、彼らが助かったのは、波の影響で転覆すると読んで、早い段階でメーデーを出した船長の判断だった。そのため救助隊も早く到着していたんだろう。 パニック映画は数々あるけど、これほど、みんな助かってもらいたい映画も少ない。短い時間だけど人物描写が的確で、魅力を引き出せているからだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-28 20:37:55)(良:2票)
184.  ニノチカ 《ネタバレ》 
『良き時代のパリ、サイレンと言えばセイレーンのこと、消灯が空襲とは無関係だった時代…』ユーモラスだけど戦争に対する皮肉たっぷりなオープニング。エッフェル塔に登り、技術的な価値の高い塔ときらびやかな夜景を語るニノチカ。製作時はまだ開戦前だったから、僅か半年でフランスが占領されるなんて、思っていただろうか。ドイツじゃなくてソ連のお話だけど…  3人組が早くも社会主義の理想と現実を見せてくれる。タバコ売りのメイドが部屋に入る度に『うおぉ~~!!』って、パリの自由を楽しんでるなぁ。 特命全権公使が若い女性なギャップ。いかにもソ連っぽいニノチカのキリッとした表情と話し方、お洒落な帽子に眉をひそめる仕草とか、観てるだけで可笑しい。『人民のパンを自称・大公女と折半するの?』なんかそれはそれで、説得力あるんだよなぁ。エレベーターを使わず階段を登るニノチカ。『誘ってるの? 拒否するの?』『ベッドに行きなさい、お爺ちゃん』あのキャラで日常会話してるのが面白い。古傷を見る?って言われたらドキッとするし、斜め上から撮るキスシーンは何か斬新だった。 無表情&無感情キャラの元祖だろうか?今でもしっかり通用するキャラ設定。そして大爆笑からのキャラ崩壊。ここから一気に人との接し方が変わるニノチカ。部屋の鍵を閉めてお洒落な帽子を被ったり、レオンに帽子姿を見せるときのちょっと恥ずかしそうなとことか、とにかく可愛い。  “笑わないグレタ”と言えば、私の中ではスウェーデンの活動家の女の子。 名前は知ってるけどイメージがボンヤリしていた大女優グレタ・ガルボ。彼女が異例のコメディで大爆笑するところが売りの作品だし、彼女の主演後期の作品だから、ニノチカがグレタの代表作というのは変かもしれないけど、間違いなく彼女の魅力がしっかり出ている作品。 アカデミー主演女優賞とは無縁だったけど、他の主演女優賞はたくさん受賞している。彼女の評価のされ方も興味深い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-12 11:21:47)
185.  ターミネーター:ニュー・フェイト 《ネタバレ》 
~Dark Fate~暗黒の宿命。何故か日本ではニューフェイト(新たな宿命)になってた。順番で言えばターミネーター6にあたる作品。 制作にキャメロンが入ったってことで、期待感が高まった。 冒頭、サラ・コナー若くないか?…そしてあれは、ジョンじゃないか!エドワード・ファーロング演じる、私たちのジョン・コナーじゃないかっ!! もうね、冒頭5分、28年ぶりに本物のジョンを観られただけで1800円払った価値があったね。 ジョンが殺されたことはショックだったけど、完璧なものの続きを作るっていうのは、こういう、観る側にも痛みを伴う事なのかもしれない。 かつてエイリアン3で、キャメロンは自分が作った(私たちが)愛すべきキャラクターを3人も殺された。自分が残した希望を、別な監督に抹殺された。 他人の手によりこねくり回され、無職の空き巣や、砂鉄のラスボスにされた不遇な英雄ジョン・コナーを、本作では生みの親の手によって美しい姿のままで殺した。『どうして2で終わってくれなかったんだ?』と言わんばかりに。 劇中サラが「ジョンの写真1枚持っていない」って、新作の度に顔が変わるジョンに対するキャメロンの皮肉に思えた。Dark Fate=暗黒の宿命か…  3を彷彿とさせる骨格とリキッドメタルの敵ターミネーター。半分人で半分機械、サルベーションのマーカスを思わせるグレース。ジェニシスから加わった年とともに老ける設定のT-800。本作では過去の失敗を全否定するのではなく、過去の良いところを上手く取り入れて昇華していると思う。 新たなジョン・コナー≒ダニー。新たなスカイネット≒リージョン。次に続きそうだけど絶対次はないだろう。 輸送機でのアクションとか凄いんだけど、何が起きてるかよく解らないのが今風。可能なら市街地カーチェイスとか、年寄りにもわかるベタなアクションにしてほしかったかな。  リンダ・ハミルトンって、ターミネーター以外に大きな当たり役がないし、出演本数も多くはないんだけど、本当にすごい女優だ。あの年齢であの筋肉、あの風格。1本のシリーズで全部出しきってる、大女優。 しかし、シュワもリンダも歳をとったなぁ。 劇場で、シュワたち一行が山小屋を出る辺りから、ポツポツと席を立つ人が…映画が詰まらない訳じゃない、トイレが我慢できないんだ。 私たちファンも、歳をとったなぁ…
[映画館(字幕)] 8点(2021-08-06 00:40:13)
186.  バタリアン 《ネタバレ》 
~The Return of the Living Dead~生ける屍の再来。バタリアン=大群って邦題も見事。 でもオバンバとかタールマンとかは、今思うと蛇足。頑張ったんだろうけど… 『この映画は真実だけを書いている。そのため人物や団体も全て実名である』「ゾンビの夜って映画知ってるか?アレ本当にあったんだ」なんて、子供だったらアッサリ騙されそうな文言で始まるホラーコメディだけど、当時子供だった私はすっかり騙されたわけだ。 公開時、人気急上昇のシュワちゃんコマンドーとの同時上映で、なんとも豪華な二本立ての新聞広告を見たのを覚えている。 その一年後に金曜ロードショーで放送され、当時の同級生はほとんど観てたんじゃないかな。次の日盛り上がったことと言ったら…タールマンのモノマネするバカ多数。オバンバの声真似するバカも多数。ハーゲンタフ…地元にはハーゲンダッツがないから意味解らない奴多数。ノーカット・ノーモザイクのトラッシュの全裸踊りに度肝を抜かれたもの多数…あぁ楽しかった。 でも観てる間は怖かったな。救急隊員が多数のゾンビに襲われるとことか、オバンバの背骨がゴツゴツ動いて、透明な髄液みたいなのが滴ってるリアルさ。手足のないゾンビが走るの、障害のある役者さんだろうけど、細かく動いてビックリした。 この映画も夏の風物詩として毎年見ているけど、当時も今も楽しく観ている。 フランクの顔芸とジョークの上手さ。社長と葬儀屋の憎めないキャラ。オッサン3人がとても上手い。ゾンビを焼くよう頼まれるシーンで、アーニーが破れたズボンの裾をハサミで切るシーンの間がいい。 死後硬直の前フリのも後に活きるし、アーニーの葬儀社が“復活の家”葬儀社というのも面白い。 建物内に釘や板がたくさんあって、ゾンビから隠れるには最適の家。 フランクが脳みそを食いたい欲望に勝って、妻(指輪)に別れを告げて、自分で焼却炉に入る場面は悲しすぎる。単なるコメディでは片付けちゃいけない、ホラー映画の名シーンじゃないだろうか。 しゃべる。走る。道具も使う新しいゾンビ。これはこれで、ロメロゾンビと違うくて、逃げられなくて怖い。 結末も怖かった。ミサイル(CGっぽいけど、年代からアニメーションだろうか?)が火災を起こし、酸性雨と混ざってゾンビを増やす原因になるなんて、ホラー映画として見事なオチ。 今回気がついたんだけど、ドラム缶の煙を吸ったバートとフランク、トラッシュはゾンビになった。けどゾンビに頭を噛まれたスーサイドとスクーズはゾンビになってない。あと救急隊員も。この世界では脳みそを食われるとゾンビにはならないっぽい。
[地上波(吹替)] 8点(2021-07-28 01:04:43)
187.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
~The Great Dictator~偉大な独裁者。 冒頭の第一次世界大戦が結構リアル。あの威圧感ある長距離砲はセットだろうか?良く出来てるなぁ。 ヒンケル総統の、インチキ・ドイツ語によるスピーチが、いかにもそれっぽくて可笑しい。ヴィーナスや考える人の小ネタも笑える。 秘書の打つタイプライター・ネタ、コイン・ケーキ・ネタがシンプルだけどツボった。 独裁者なのに隣国の独裁者にはちょっと気を使ってるところとか、ヒンケルを憎み切れないキャラとして描いている。 だけど床屋の男とヒンケルがそっくりなことに、誰も触れないのが不思議。どう解釈すればよいんだろう? 突撃隊員によるユダヤ人への扱いは過激な暴力レベル。制作当時、ホロコースト大量虐殺の事実は世界に伝えられていなかったためらしい。 当時のドイツの社会的立場と勢いを考えると、今に例えると中国くらい強力だったんじゃないかな。 中国が香港や台湾、チベット自治区や新疆ウイグル自治区への過激な暴力を、習近平そっくりの主人公を出して、ユーモアを入れながらも真っ正面から批判できる有名人が、いま何人いるだろう? サイレント映画の王が雄弁に語る。ヒンケルでも床屋の男でもなく、コメディ映画としてのストーリーなんかそっちのけで、チャールズ・チャップリン個人が、コメディを見て笑いに来た観客にぶつける演説のパワー。 結果的にヨーロッパ戦線は第二次世界大戦になり、約7500万人の戦死者・犠牲者とともに、600万人のユダヤ人が一方的に殺された。世界が笑いごとでは済まない事態に向かっているまさにその時に、チャップリンの情熱によりこの映画が作られた事実が凄い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-07-07 23:13:43)(良:2票)
188.  キリング・フィールド 《ネタバレ》 
~The Killing Fields~クメール・ルージュによる大量虐殺が行われた処刑場の総称。 中学生の頃ゴールデン洋画劇場で見て、とんでもなく怖かった映画。 戦争(アクション)映画は大好きだったけど、ここに描かれている世界は、私の知るカッコイイ戦争とは違っていた。日常的に目の前で起きる処刑。どうすれば許されるのか、意味も解らず脅かされる命。子供の判断基準で殺される大人。国政が不安定で常識の通じない世界。人間が家畜のように扱われ、教養があれば殺される、逃げ道のない世界への恐怖を、まざまざと見せつけられた。  そしてイマジンの美しさ、インパクト。賛否両論あるみたいだけど、私たち世代の多くにはきっとイマジン=キリング・フィールドのテーマソングだ。 『処刑のシーンでポール・マッカートニーの曲が掛かり、再会のシーンでジョン・レノンの曲が掛かる』当時は監督が“悪の場面と善の場面で意図的に両者の曲を掛けた”なんて思っていたっけ。 ポールの曲“Band On The Run”は、ビートルズ時代、世間に追われて自由が無く、バンド活動に拘束されていた当時の、逃げ出したい気持ちを歌ったものと知った。一般人はもちろん、兵士であっても地獄と化したカンボジアから逃げたい気持ちを表現したんだろうな。 曲を聞いているのは捕虜を処刑する政府の側の兵士。ヘルメットに黄色い花を刺した女の子で、まだ子供のようだ。英語の歌詞などわからないだろう。 彼女はその後、腹部に助かりそうにない重傷を負って運ばれていく。何があったのかは描かれてなかった。後日病院でシドニーが捕虜になる際、ポケットから彼女のと同じ様な花を取り出すが、何か繋がりがあったのかな。  放映の翌週、クラスの反応は様々だった。心にズシンと来た者。途中で見るのをリタイアした者。口数が少ない者もいれば、娯楽として楽しめたのか、喜んでる者もいた。みんながTVで映画を観て、翌週話し合う、盛り上がる、それぞれの反応を知るのって、何かとても貴重な体験で、とても素晴らしい文化だったように思う。 『永六輔の誰かとどこかで』ってラジオ番組のコーナーで“アルハンブラの思い出 ”が流れると、映画の恐怖がフラッシュバックしたのも今では良い思い出。 あの時は突然ラジオ消して、ごめんねママン。
[地上波(吹替)] 8点(2021-06-14 15:19:04)
189.  ダイ・ハード3 《ネタバレ》 
~Die Hard: With a Vengeance~すさまじい勢いで頑強に抵抗する。“3”と銘打たないことから、某シリーズのように前作を抜きにして正当な続編として作られたとか、仕切り直しの意図があったのかもしれない。確かに2はあまりに1の出来事を踏襲していて、その部分が今後のシリーズ化には足枷になったと思うし、マンネリ化を避ける意味でもこの方向転換は良かったと思う。 今作ではいよいよマクレーンの所属署のあるNYが舞台で、ホリーはロスで単身赴任だという。 なんか自分の勘違いか、ジョンはロスからNYに出戻り、ホリーはジョンのもとに戻ってきてたと思っていたけど、1のままの設定のようだ。 謹慎中で朝方まで二日酔いのダメ親父っぷりを見せるマクレーンが良い。普段がこんなだと、几帳面な会社人間のホリーは嫌になるだろう。 マクレーンの味方の警察側は、いつも足を引っ張るか、役立たずが多かったけど、今回は刑事仲間がいるのも嬉しいし、みんな結構責任感が強く頼りになる。 敵は金儲けのテロリストと職業軍人の混成チームみたいで、無口なカティアが怖カッコイイ。 何回も見てるのに、マシアスの奥さんだったって今回知ったわ。奥さんに撃ち殺されるなんて… スタイリッシュな真夏のNYの風景からデパートの大爆発。タクシーでセントラルパークを激走(クレイジータクシーってゲームに大きな影響を与えている)。地下鉄、ハーレム、ウォール街。遠くにツインタワーも見える。あちこちで起きるテロ行為が、金塊強奪事件に結びつくストーリーも、よく練られている。 旧作より舞台が広がり、NY市全体が舞台(しかもCGではなく本物)となっていて、観光する楽しみと、知っている風景が破壊される楽しみが味わえる。…こんな表現も、今使って良いのかわからないけど、9.11同時多発テロ以前だから出来た作品で、もうこんな規模の爆発ロケものは作れないかも? 大都会で火薬とガソリンの臭う、人類史上最後の超大作かもしれない。 出来れば最後、タンカー爆発から間を置かずに解決編に。そして国境の町(州はずれ?カナダ?)でなくNY市内で終わらせてほしかったかな。 2までのお約束を排除し、シリーズらしさが薄いからか評価は低いみたいだけど、単品としても面白いし、シリーズとしても好きな作品です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-06-12 14:40:01)
190.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
~Nuovo Cinema Paradiso~新パラダイス劇場。 今回が初見。にもかかわらず、以前テレビのバラエティで、このエンディングシーン“だけ”を見て知っていたのよ… もちろん見たくて見た訳でなく、交通事故。それは不幸なことなのよ… この映画を何の予備知識も無しに観ていたとしたら、きっと涙が溢れ出ていたに違いない。  なぜエレナは音信不通になったのか。 アルフレードはなぜ、トトに厳しく『帰ってくるな』と言ったのか。 トトはなぜ、30年も村に帰らなかったのか。 99日目、兵士はなぜ最後の夜に立ち去ったのか。 なぜ?当然だけど、それぞれ事情や考え、簡単なものから複雑なものまで、本人にしか解らない理由があったんだろう。 その理由を知ること無く過ぎ去った過去。神さまでもない人間には、答えを想像する事くらいしか出来ない。 『キスシーンを見せろ!もう20年も見てないぞ!』ラブシーンを見られるのは、検閲する司祭と技師のアルフレードだけ。 休みなく映画を上映し、見せられないフィルムをカットし、ある時は映画館の外に劇場を作るアルフレードは、トトにとって神さまのような存在だったろう。  アルフレードからの最後のプレゼント。劇場で流されなかったラブシーンの詰め合わせ。それはカットされた理由≠答えの詰め合わせ。 肝心なところ、見たいところ、本当の理由≠答えが見えないのは、人生も一緒じゃないだろうか。 エレナが去った事情、アルフレードの最後の言葉の意味、兵士が立ち去った理由…神さまでもないトトに、それを知る術はない。 『理由なんて、カットされた映画のラブシーンのようなもの。そこにこだわって、これからの人生を無駄にするほどの、大した事じゃ無いんだよ。いくら思ったところで、過ぎ去った人生は、映画のフィルムのように、集めて繋ぎ合わせて見ることなんて出来ないのだから。』  映画のタイトルが最初の劇場『シネマ・パラダイス』ではなく、建て直された方の『“ニュー”シネマ・パラダイス』なのも、そしてそれさえも最後解体されるのも、過去よりこれからの新しい人生を大事にしてほしいと言う、トトへのメッセージに思える。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-06-09 22:05:51)(良:2票)
191.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
~Bohemian Rhapsody~伝統や習慣に囚われない狂詩曲。クイーンという独創的なバンドと、フレディ・マーキュリーの生涯を表すに相応しい曲名にして、映画タイトルだと思う。  ロックが世界の音楽の最先端だった60年代。クイーンが活躍した70年代は、アルバムと世界ツアーが成功の証だった。パンクやテクノが馴染んできた80年代、売れるロック(産業ロック)とポップスが音楽の中心となり、映像と歌が両方楽しめるMTVが登場。 日本ではヘビメタ、ハードロックが大ヒットし、90年代グランジとブリットポップが登場し、音楽の好みが細分化。 世界中誰でも知っているロックバンド・シンガーは消えた2000年代以降。レディー・ガガがポップアイコンとして登場。現在、EDMがそこそこ流行。EDMとか最近の音楽はパソコンで作るものもあるそうで、楽器が弾ける人が流行りのPCの音楽を聞くと、腕がもう一本無いと弾けない音が出てたりと、なんかちょっと、気持ち悪いらしい。 でも、クイーンが今もバリバリ現役で活躍していたら、ラップやPCの音楽も積極的に取り入れたんだろうなって思う。 前置きが長くなったけど、この映画はクイーンのデビューから最盛期(末期)まで、ロックが社会現象になった最後(?)のイベント、世界同時中継のライブ・エイドまでを描いている。 ロックシンガーが社会的影響力を持ち、カリスマ化され、演奏と歌の良し悪しで評価されていた時代。音楽がアナログな手法で作られ、全てに人の手が入り、人が演奏し、人が操作するライブの生々しさと手作り感、当時の熱気、観客のロックへの情熱がよく伝わる。  クイーンとフレディの実話を、ノンフィクションではなく、整理・ディフォルメして描かれた作品で、実際の出来事の順番が前後してたりするそうで、違いを探すのも面白いかもしれない。特にポールがかなりの悪人として描かれていて、実際はどうだったのか?とか。 当時はエイズに関する知識も広まっていなくて、まだ“変態行為の代償”くらいの間違った認識も強い時代。フレディが仲間にエイズを公表したあと、映画みたいに頬にキスやハグが出来たのかなと、気になったりした。  だけどこの映画は、クイーンのロック映画として、スカッと楽しむのが一番正解だと思う。 『Bohemian Rhapsody』『We Will Rock You』『Another One Bites the Dust』名曲誕生の秘話。手作り感。 何よりぽかんと口を開けたブライアン・メイのブライアン・メイらしさ。良い意味でジョン・ディーコンの普通の人っぽさ。 当時ハイランダー観て感動して、アルバムまで買ってしまった『Who Wants to Live Forever』が結構長く掛かって嬉しかった。 大好きな『Killer Queen』は制作秘話とか一曲垂れ流しで30分くらい流してほしかった。 足が長く長髪で、少女漫画の王子様みたいなクイーンは、当時の日本で人気が爆発。特に女の子に人気だったそう。映画ではヒットするまでが短く、フレディもすぐ短髪ヒゲ顔になるけど、ビッグ・イン・ジャパンの先駆けとして、やはり日本は入れてほしかったな。 …そんな事言ってたら映画一本に収まらないか。良いなぁ。やっぱりロックは良い。
[映画館(字幕)] 8点(2021-06-05 17:31:10)
192.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
ルールも勝敗もないから、永遠に終わりのない3人野球。 真琴の、いつまでも3人で、ずっとこのままが良いって気持ちが凄く伝わる。 それがいつまでも続くとは思っていない功介。続かないことが解っている千昭。 真琴が同じ時間を何度も繰り返すことによって、徐々に3人の気持ちが先に進み出す描き方が上手い。 過去に行けるというトンデモナイ能力を、あんなどうでも良いことに使えてしまう真琴がとても良かった。 バカなことばっかりの真琴が、意を決して友梨に、千昭が好きなことを告白するシーン。好きな人の突飛な話を信じられる真剣さ。行動力。アニメの声優は初のようだけど、ドラマで目にする仲里依紗がビックリするくらい上手に演じていた。 可愛い絵柄でドギツイ内容のアニメ、心を抉り取られるような鬱展開のアニメが増えた中、パンツも見えない、キスシーンすらない、カラッと真っ直ぐな高校生たちの物語は、逆に新鮮だった。 後輩3人もまた、毎日が楽しそうで、悩み多くて大変そうで良いね。功介に告白するとき、メガネしてないのは何でだろう?コンタクトにした?功介がクッキリ見えるのが怖いから? 魔女おばさん。単に超常現象に理解がある人だと思っていたけど、芳山和子だったんだな。1983年版をもう一度観なくては。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-05-26 23:18:05)(良:1票)
193.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
~Scarecrow~カカシ。カラス(crow)を怖がらせる(scare)からスケアクロウ。あと、みすぼらしい人って意味も。 姉が学校からLDを借りて来て観たのが最初。淡々としたロードムービーだけど、気持ちの描写が深い。  フランシスの過去に何があったのか判らない。陽気で人を楽しませる才のあるフランシス。 彼はマックスと友だちになり、ライオンと呼ばれるようになる。 フランシスは生まれ変わって、人生をやり直そうとしていたのかもしれない。 ライオンが大事に抱える赤いリボンの白い箱。性別もわからない子供へのプレゼントのランプ。 デトロイトまで行って、散髪して正装して、アニーに電話。 アニーが会わないのは解るが、なぜ子供は死んだと言ったのか?それも生まれる前に流産。天国にも行けないなんて。 意味も解らず泣く母を見上げる子供。ライオンそっくり。 マックスにバンザイして「男の子だった!」と喜ぶライオン。車の上に置きっぱなしのプレゼント。 何も言わないけど、ライオンが倒れたとき「アニーに何を言われた?」と気がついてるマックス。  枕の下に隠すくらい大事なマックスの靴。カカトにはちょっとした隠し財産。 10ドルだろうか?何かワケがって、使ってはいけないお金だったんだと思う。 それを使ってまでピッツバーグの往復チケットを買う。片道なら靴のお金がなくても行けた。 ピッツバーグの銀行には大金があるはずだから、向こうでもう片道を買っても良い。 そうしなかったのは、友達のために大事な財産を使って、いつか帰ってくるという決意。 最後のマッチ一本を惜しげもなくくれた友達。 このデトロイトまでの片道チケットが、これからのマックスの大事なお守りになるんだろう。
[レーザーディスク(字幕)] 8点(2021-05-20 14:19:13)
194.  忠臣蔵(1958) 《ネタバレ》 
忠臣蔵の映画は二作品ほど見ていると思う。そしてこの作品が忠臣蔵の決定版と言える映画とのこと。 原作に忠実というか、捻りの無い標準的な物語に仕上がっているため、忠臣蔵の面白さが直接的に伝わってくる。 約六十年前の作品ということもあり、この映像自体の美しさ、当時の俳優の動き、舞台の作りこみ等に価値を感じてしまう。 台詞が、いわゆる現代語ではないため、ちょっと頭の中で訳しながらの拝聴となるが、映像と構成で充分に分かる仕組みになっている。  庶民が常に赤穂側の目線で語るのが、この物語の善悪を明確にしている。 世の中が太平だと「もっと派手な事にならんかな…自分に影響がない範囲で」なんて思ったりする。湾岸戦争や某宗教団体の事件がそんな風潮だった記憶がある。庶民にとっての赤穂事件は、そんな感じだったかもしれない。 垣見五郎兵衛が自分を騙る大石の正体と目的を知った時の対応。岡野が図面を受け取る際のお鈴の父の言葉。赤穂浪士を応援する庶民たちの反応がとても心にしみる。 気になったのは吉良の行列の罠。赤穂浪士の結束が乱れるかと、はらはら出来たのは大変良い演出だが、笠を被った大石があっさり間者るいに見つかり、多勢に囲まれての大立ちまわり。扇子でひらりとかわして、捕えられる事無くゆるりと引き上げる…それでは罠の意味が無いのでは。 罵られ、蔑まれてきた赤穂浪士達がいよいよ決起し、見事本懐を遂げて引き揚げる姿が美しく清々しい。これぞお約束といったところか。  先に忠臣蔵映画を見て、後に史実を知って驚いたのが、このあと四十七人全員が切腹していたこと。 過去二作品でも書かれていなかったが、歴史に明るい人には常識かもしれないし、事の重大さから避けられない結末だと思うけど、これを知っているか知らないかで、大石内蔵助達の見え方も変わってくると思う。 そう考えると、本作では吉良の嫌がらせに右往左往する浅野内匠頭。あと一日の我慢だったのに、辛抱出来なかったのか、お家を取り壊しになってでも、切らなければ済まない心理状態が気になるところ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-05-03 20:47:58)
195.  ラヂオの時間 《ネタバレ》 
面白い!誰かの身勝手な都合で、内容がどんどん改変されて行く過程で、ラジオドラマの原作と言える「運命の女」が実はどんな話だったか、なんとなく見えてくる辺りが上手い。 主人公の職業とか、ストーリー上特に重要じゃないように見えるけど、鈴木みやこ先生自身がモデルだと解ると、そりゃ拘るよな…って納得してしまう。 どうでも良い内容のラジオドラマで、作者は素人。それでもプロの仕事をする現場スタッフ。色んな感情がありながらアドリブで乗り切る芸能人。保坂アナが最後の出演発表に、みやこ先生の夫を入れる演出が何とも憎い。 収録中、みんなが面白くない思いをしながら作っているのに、終わってしまうとみんな満足そうなのが、観ているコッチも一緒に満足感を味わわせてくれる。 唯一、今回の結果を面白くなく思っている牛島。『いつかみんなが満足するモノを作る』夢。たった一人だけど、わざわざ感動を伝えに来たトラックドライバーが救いになってるのも、ベタだけどイイ。…渡辺謙、大型トレーラーのバック操作が出来るんだな。 掃除婦が宮本信子だったなんて気が付かなかったから、種明かし的に嬉しい出演者の紹介だった。 90年代後半のお洒落な空気も味わえて、すごく得した気分だ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-04-30 01:45:20)
196.  ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 
~La Vita è Bella~人生は美しい。どんな生涯であっても、その人の捉え方、与え方次第なんだな。 息子ジョズエに優しい嘘を言い続けるグィド。ドーラと付き合っていた時からそうだった。人を楽しませる嘘。 空から鍵が降る、乾いた帽子に取り替えられるなど、種明かしをすれば『なぁんだ』ってなる。 映画では描かれていないけど、ドーラも後々、あれがどうして起きたか知るんだろうけど、起きたその瞬間に奇跡を感じることが、人生の美しさなのかもしれない。 それは収容所での優しい嘘にも言えて、映画では描かれてないけど、ジョズエも後々、あれがどうして起きたのか知ることになるだろう。 子供と老人が粛清された収容所で、本当に息子を隠し続けて生きられるのか?とかリアリティを追求されると、冷めてしまう人も出るかもしれないが、ホロコーストを後年に伝える手段として、この作品は例えるなら伝記や小説ではなく絵本のような作品だ。 若い子がこの作品をキッカケに、後々映画やドキュメンタリーなどで、なんでホロコーストが起きたのか知ればいい。興味があるなら。  今は戦中とかではないけど、コロナとか仕事とか色々大変みたいなんだけど、今日は何をしても良い休日で、いま私は素晴らしい映画を観て、こんな駄文をノンキに書いている。 もしかしたら後々「あの日あのとき、実はね…」『え!そうだったの?』なんて種明かしがあるかもしれない。 どんなカタチであれ、きっと人生は美しいんだな。  ところで、なぞなぞの答えは何だったんだろう?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-18 10:53:08)(良:1票)
197.  名探偵ホームズ2/海底の財宝の巻 《ネタバレ》 
~『青い紅玉』のつづき~  青い…で描かれるロンドンの街並み、群衆の動き。海底…で描かれる戦艦の水兵たち、砲の動き。砲撃と爆発。 子供向けの作品だけど、作画やストーリーに手を抜かない姿勢がこの2作に込められている。 この当時は『大人の鑑賞にも耐えられるアニメ』なんてジャンルはなく、あくまでターゲットは子供だけだったのに、この作画クオリティ。 共同制作のイタリアに日本アニメの底力を魅せつける意味もあったかもしれないが。 戦艦のシーンで延々と流れる軍艦マーチ。時々チリン・ジャラジャラ…ってパチンコかい!遊んでるけど、ふざけてない。 キャラの見せ方が上手く、たった23分×2の作品なのに、メインキャラの性格がしっかりわかる。 ゲストのポリィにしてもライサンダー兄弟にしても、人じゃないけど怪鳥や潜航艇といったゲストメカも、1話のみの登場(TV版はあまり覚えていないので、たぶん他の回には出てこないと思う。)なのに、魅力が込められている。 これだけ短時間で密度が濃いにも関わらず、山盛りサンドイッチの調理や、飛行船のイギリス周遊など、本筋とは特に関係がないシーンだけど、宮崎作品らしいシーンをしっかり入れているのが凄い。 個人的な思い入れが強いため。とは思うけど、やはり宮崎監督の、一番脂が乗っていた時期の作品。 素人に声を当てさせたり、独り善がりな芸術性が出てなくて、監督の個性と商業作品としてのクオリティが共に高く出ている名作。
[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 18:56:24)
198.  名探偵ホームズ1/青い紅玉の巻 《ネタバレ》 
懐かしい。劇場で続けて2回観て、TVシリーズで1回。今回は久々の視聴になる。まさかまた観られるとは… 正直、当時10歳の自分には、本命の風の谷のナウシカより、同時上映のコッチのほうが面白かった。 ここでのレビューは『海底の財宝』とは別作品の扱いなのね。  後年TV版を観た時、名前が微妙に違うので違和感を感じた記憶がある。 モロアッチ教授だったのにモリアーティ教授と呼ばれてたり、エリソン夫人がハドソン夫人だったり。 なんか、TV版はニセモノだって、そんな認識だった。 TV版の作画の甘さも気になった。ホームズやモロアッチ、エリソンの顔が人間臭かった。 恐らく制作第一話だった本作は、登場人物の顔が長めで犬っぽさが強い。やっぱこうでないと。 ウィキによると、この回はTV版の第5話だったそう。 モロアッチとの初顔合わせで「シャー(ベ)ック・ホームズ」と名乗る。ここがなんか、格好いいんだ。 当時の雑誌で『シャーロックと名乗った上に、後から(ベ)の音声を乗っけた』みたいな事が書いてあったけど、劇場では気が付かなかったな。 TV版では「ホームズ!」としか名乗らなくて、長年消化不良だったけど、ついに当時の劇場版を観られて感激。 劇場版初期の声が広川太一郎じゃなかったのも、今回初めて知った。  ~『海底の財宝』につづく~
[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 18:54:36)
199.  小さいおうち 《ネタバレ》 
世間を何も知らない田舎娘が、東京の丘の上の小さいおうちで女中をする。自分が初めて好きになった人が、そのお宅の奥様だった。 こんな同性愛だジェンダーだが無い時代。恋愛の延長が結婚ではなかった時代。どうしたら良いかわからないタキちゃんの気持ちがよく描けていたと思う。 宝塚歌劇団から飛び出してきたような睦子なら、きっと自分を理解してくれるという直感。そして理解してくれた。 その時のタキちゃんの声を押し殺した泣き声が、見ていてコッチの心まで締め付けられそうになる。この映画イチの名場面。 『一生この部屋に暮らして、奥様や坊ちゃんの世話をしたいと思っています』狂おしいほど好きになったにもかかわらず、なんてささやかな告白だろう。 人妻の身でありながら、そこまで人を好きになれて行動できてしまう時子と、目の前に好きな人が居ながら、気持ちを伝えることすら出来ない自分。 嫉妬心からだろう、板倉に届けなかった手紙。そんな事でしか時子への愛情を表現できなかったタキちゃん。墓場まで持っていく秘密。 『街中の噂になっている奥様の不倫事件』の影に隠れた、タキちゃんしか知らない『坂の上の小さいおうちの恋愛事件』。 時子を裏切ることで、タキちゃんの恋もここで終わる。手紙に書いてある内容は解っている。でもその手紙の封を切ることは生涯出来なかった。 「私ね、永く生きすぎたの」背中を丸めて泣くタキお婆ちゃん。好きな人を裏切った事実は、何年経っても辛かったんだろう。 空襲でおうちが焼け、夫婦は亡くなった。タキちゃんにはもう、板倉の行方とかはどうでも良いのだ。 手紙を隠した意味がイマイチ解っていない健史。恭一の「そんなに苦しまなくて良いんだよ」は、時子の代弁なんだろう。  今回2度目の鑑賞で↑のような感想になりました。こんなに良い映画だったか?と再評価。 「床がベタベタするわ」時子は体が火照ると足に汗かくんだな。何も言わずに床を拭くタキちゃん。 仕事から開放されて女中部屋で雑誌見ながらくつろぐタキちゃん可愛い。 南京陥落で大喜びはわかる。江戸末期からずっと戦争してたんだし。でも戦中のトンカツとか、ちょっとビックリするけど実際あったんだろうな。 おうちを焼く焼夷弾。『母と暮せば』でも思ったけど、山田監督の描く爆撃は、短時間で大事なものを破壊される恐怖が見事に描けている。
[地上波(邦画)] 8点(2021-04-17 02:21:38)
200.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 
オープニングの油絵のような白樺林とベタ塗りの空。 小さい頃に連れて行ってもらった老舗デパートの渡り廊下の壁か、親戚の集まりで一度だけ行った大型温泉ホテルのロビーか… ラーラのテーマを聞きながらエンドレスで観てられるわ。  葬列シーンの山でかっっ!!あれがウラル山脈(違うらしい)?山吹色の花と灰緑色の草、地表を覆い尽くす雪と氷、ガラスの雪の結晶、タマネギみたいな屋根、赤と黒の装甲列車。どっからどう観てもイメージ通りなソ連、ソ連、ソ連!(※世代的にロシアよりソ連。) 現地ロケをせずにこれだけソ連感を出せるのが凄い。広大な自然を堪能出来て、ソ連版『北の国から』な感じも味わえる。 兵役に行くパーシャの服を引っ張る赤ちゃん。ハラリと落ちるテーブルの花びら。歴史的超大作となると端々まで役を演じるんだな。  タイトルは~Doctor Zhivago~ジバゴ先生。 平たく言えば、全く詩を書かない詩人ユーリと美少女ラーラの不倫物語だけど、ちょっとコマロフスキーに注目したい。 コマロフスキーは半分冗談で17歳の小娘ラーラにベールを掛ける。 なんかあまりに美しかったんでヤバいと思ったんだろう。この時の苦笑いが彼の良い人っぽさを出していた。 パーティの日、母が風邪を引き、コマロフスキーは『欠席しよう』と、ラーラは『看病する』と言うが、母の強い頼みで二人で行くことになった。 当初コマロフスキーにそんな気はなかったんだろう。帰りの馬車でコマロフスキーの顔にチラチラと掛かる怪しい影。対象的にラーラの顔はハッキリ灯りが。 ユーリは戦地でラーラと過ごし、不倫関係を持ちかける。この時ユーリの顔に掛かる怪しい影。目だけギラギラ。ラーラの顔には日が当たっている。 ただの不倫と言えばそれまでだけど、コマロフスキーもユーリも、ラーラの天性の魔性に取り憑かれたんだと思う。もちろん彼女の美しさに罪はない。 ユーリとラーラ親子を逃がそうとするコマロフスキー。逃げなかったユーリの代わりに、生涯父親としてトーニャを育てた。良い人すぎるぞコマロフスキー。  機会がなかっただけで、エフグラフ・ジバゴ将軍も彼女に取り憑かれてトーニャ探しに協力した。『淡い恋心』と言っていたけど… ん?ユーリの妻も、ユーリとラーラの娘も、どっちもトーニャなんだな。好きな人の奥さんの名前つけたんだな。 唯一ラーラを妻にしたパーシャはどうだったか?彼はラーラより、ボリシェヴィキに取り憑かれていた。 ところでユリアティンの男どもが、なんであんな美女を放っておくか謎だったけど、たぶんパーシャを捕まえるために家を見張っていた(当時の)KGBとかが、追い返してたんだろう。  魔性の女ラーラは強制収容所で死んだ。番号で処理され、記録は紛失。ユーリの美しい詩も、ソ連では発売禁止。 社会主義国家に女性の美しさや、詩の美しさは不必要なんだろう。まさにパーシャ≠ストレルニコフそのものだ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-12 23:07:00)(良:1票)
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