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Сакурай Тосиоさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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181.  ビリディアナ
この程度の作品が上映禁止となるとは随分素朴な時代だったのだなあという感じです。主人公はキリスト教精神を体現しようと最後までがんばりますので現代の視点からだととてもじゃないが冒涜的だとは思えません。主演女優が美人で脚や胸をちょっと見せるシーンがある程度ですのでそういうのを期待しても無駄です。セックスも暗喩でしか表現されません。宗教画へのオマージュも現代のキリスト教をファッションとしてしか利用しない作品の方がよほど宗教を軽視した態度だと言えます。ルイス・ブニュエル監督の作品としては過激さもシュールさも後の作品の方が優れています。キリスト教を馬鹿にしているというより貧乏人を馬鹿にしているような話になっているのもいかがなものでしょう。
[DVD(字幕)] 4点(2023-07-19 21:27:08)
182.  学校の怪談
この頃からセブンイレブンってあったんですね。有名なシリーズなのでなんとなく見た気になってたのですが、記憶に残っているシーンが全くありませんでした。実は一度も見たことがなかったのか、あるいはそれだけ印象が薄い作品でしかなかったのか。平山秀幸も奥寺佐渡子も大人向けドラマもイケる人材なのに深いテーマや学校や家庭のドラマが描かれるわけでもなく、登場人物にこれといった目標もなく脈絡も統一感もない妖怪が出てくるだけの単純な内容です。セミの鳴き声や古い校舎がノスタルジーを刺激しなくもないのですが、今更90年代の作品を子供の視点を想定して評価しても仕方ないので素直につまんないと言っておきます。しかしこういう最低限映画の雰囲気が作り込まれた子供向けの実写作品は今でも作られてほしいとは思います、悲しいことに需要はないのでしょうけど…。
[DVD(邦画)] 4点(2023-07-18 23:09:52)
183.  TITANE/チタン
さすがに賞を受賞しただけあって撮影や演技はちゃんとしていますし、最低限読み取りが可能なストーリーもあります。問題はそれが現実の問題と何か関係があると思えないところです。主人公は冒頭の幼少時から車中でエンジン音のような唸り声をあげており既に車に狂っているようなのであの手術が何かのきっかけになったように見えません。実際頭の中にチタンを埋め込んだところで性の対象が変化することなどあり得ないでしょう。男だろうとレズビアンだろうと黒人だろうと構わず殺しまくるのでその行動に一貫性はなく何か意味を読み取ろうとしても無駄だと思えてしまいます。消防隊関係のエピソードとなるとあくまで男装の女性の境遇が描かれるだけで、チタンが埋め込まれたことによる肉体変化という基本設定もほとんど活かされていません。アンチモラルというだけで新しいモラルを提示できなければそれが一瞬のインパクトだけで終わってしまうという好例です。
[DVD(字幕)] 4点(2023-07-15 23:26:04)
184.  おとなのけんか
80分でサクっと見られそうという動機で見たのでそれ以上のものを求めても仕方ないのですが、全く面白くないということはないものの本当にサクッと見れる程度のあっさりした内容でしかなく深みはないですね。世間体を気にしているが一皮剥けばエゴ丸出しの俗物、雑学的知識だけ豊富で薄っぺらい現代人を描いているといえばその通りですがこの映画自体がそうした表層的な人間観しか持てていない印象を受けてしまいます。この頃からゲロを吐けば熱演と評価されていたんでしょうか、いくらなんでも成人女性があんなにあっさり嘔吐するのは不自然だと思います。ちゃんと相手に頭を下げればそれで終わる話なのに…喧嘩させるために作られた舞台設定という感じで全て徒労ですのでこっちの人生まで無駄にしたような感覚になります。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-14 23:09:29)(良:1票)
185.  千年女優
今敏監督って海外で高く評価されていると言っても影響を受けたという監督の筆頭がダーレン・アロノフスキーですからねえ。人間よりも技法への興味ばかり突出していると高い評価になるんでしょうか。この映画も昔の日本映画のワンシーンを再現してみたいというぐらいしか創作のモチベーションがなかったとしか思えません。浮世絵を連想させる絵柄のシーンがあるのも安易な日本の伝統文化の利用でしかありません。最大の問題は当時の日本映画という創作物の無秩序なコラージュではあってもその作品が作られた時代背景を十分に描けていないことです。ここにあるのは昔の華やかな日本映画への憧れだけでその時代に生きた人間の苦悩には目が向けられていません。虚構と現実の狭間を描こうとした結果、この映画は結局現実とは何の関係もない映画になってしまっています。
[DVD(邦画)] 4点(2023-07-09 23:44:42)
186.  悪魔の毒々モンスター
意外とちゃんと構成されている映画だと思います。主人公が清掃員という社会の汚れを綺麗にする役職であることはそのまま全体のストーリーにリンクしてます。一方では産業廃棄物を垂れ流しながら自分たちはスポーツジムで美しい姿になろうという人間たちに対抗するのがその廃棄物によって生まれた醜い姿のヒーローというのは象徴的です。社会派というほどの志は絶対ないでしょうけれど、ロイド・カウフマンは少なくとも悪趣味でしかない内容を正当化できる最低限のテーマは設定しようとしています。むしろ下手な説教臭さがなくほのぼのした雰囲気であるのがこの映画の強みではありますね。グロテスクな描写があっても最後には悪人が一掃されて善人だけが残るラストは気持ちのいい余韻を残します。まあ普通の映画として見たらいい加減な作りで退屈なシーンも多いのであんまり高い評価は付けられませんが、たまにはこういう作品も見ると癒されて良いです。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-28 23:15:24)
187.  ザ・フラッシュ
う〜ん、まあジャスティス・リーグよりはマシなだけって感じですかね。アクションシーンも冒頭のカーチェイスは最高でしたがそれ以上はものは出てきません、なんかところどころCGもしょぼいし…。もはや最近のDCEUの楽しみ方はワンダーウーマンのテーマが流れるのを待つだけになりつつあります。残念ながらこの映画ではそれが冒頭に当たりますのでそれ以降ずっと退屈でした。序盤で現行のジャスティス・リーグのメンバーの魅力を再認識しちゃったので新キャストにもあまり乗れなくなってしまったんですよね。マイケル・キートンのバットマンが登場するといっても本人が演じているというだけで現代風のハイテク装備で登場するものですからティム・バートン版を連想させる要素が希薄です。80年代オマージュ満載ですがギャグセンスも80年代みたいで寒いです。大人の事情を知らないと楽しめない要素を持ち込みすぎです。BvSのマーサをみずからネタにするとかプライドはないんですかと言いたくなります。それにスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームでも感じたことなんですが同じ敵とまた戦うのってうんざりしませんか?新しい敵の方がワクワクするに決まってるじゃないですか。敵がそのままなのに味方が弱くなりすぎてがっかりするだけでしたよ。お話自体が今までのDCの迷走の自己正当化と以降の展開の都合のためでしかないので真面目に見る気が失せます。母親に対する思いへ向き合う成長物語としてもシャザムの方がよっぽど丁寧に描けてたと思いますよ。
[映画館(字幕)] 4点(2023-06-25 19:27:03)
188.  ソナチネ(1993)
乾いた静かな世界に垂れ流される久石譲のウェットで大袈裟な音楽がうるさいのなんのって。わかったようなわからんような評価しかされてませんが、人気があるのは結局男のロマンを描いた作品だからなんでしょうね。女に好かれたまま美しい場所で死にたいという願望を満たす、死の哲学なんて全部嘘っぱちでただ現実逃避を続けているだけの映画です。例えば同じ沖縄を舞台にしたヤクザ映画として崔洋一監督の友よ、静かに瞑れと比較すると、何も社会派の方が偉いとまでは言いませんが子供の遊び程度の内容でしかないのです。さすがに暴力シーンの演出の斬新さではこちらの方が上ですけどね。部分部分の演出で褒めるところがあっても大まかなプロットは普通のヤクザ映画と変わらないので退屈です。この内容なら予告編をリピートしてるだけで十分ですよ。
[DVD(邦画)] 4点(2023-06-19 22:14:35)
189.  プラットフォーム
ご馳走の載ったテーブルが上から降りてくる設定はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の短編・華麗なる晩餐のパクリじゃないですか。あっちの映画が社会の上層部の醜さを描いていてこっちは下側という違いはありますが、結局この監督には自分の好きなあの映画みたいな作品を作りたいというモチベーションしかなかったのではないでしょうか。スペイン語を喋っていることとドン・キホーテ以外はスペインらしい要素はなく登場人物の人種も多様で世界市場向けの商品としての最低品質は満たしてはいますがそれだけです。寓話として記号化されすぎた登場人物には共感することも難しいです。階級社会・資本主義・宗教、いろいろ意味深な要素を並べてもそれらに対する作者の立場が明確ではないので曖昧で陳腐な答えしか提示することができていないのです。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-11 23:19:02)
190.  カオス・ウォーキング
デイジー・リドリーはこのまま先代スカイウォーカーと同じくスター・ウォーズだけの俳優で終わってしまうのでしょうか……。まあとにかく設定がよくわからない、よくわからないのでこれは何についての映画なんだろう?という興味だけは持続します。新世界(ニューワールド)、アメリカ大陸への入植初期を思わせる村の描写、この舞台が物語にとって重要な意味を持つかというとうーん別にという感じです。話が進んでいくと結局ボーイミーツガールで田舎から抜け出た少年の成長物語でしかないんですよね。この設定で露骨な性描写がないのでまあヤングアダルト小説が原作なんだなとわかります。ノイズはただのデメリットというだけではなく幻覚攻撃にも使えるという設定は面白いですが、それが特にアクションシーンで活用されることもないのでこの設定から面白いシーンを作り上げる意欲もなかったようです。これを見るとヴァレリアンはやっぱりすごくよく出来た映画だと思いますよ。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-07 22:58:09)
191.  キラー・インサイド・ミー
この映画のケイシー・アフレックはしゃがれた声の感じがなんとなくマーロン・ブランドっぽいですね。胡散臭い雰囲気はいいんですが、原作のルー・フォードのぱっと見では誰からも好かれる男という点が表現されてないので女性から好意を持たれる説得力がないです。暴力シーンは忠実に再現してますが、映画独自の解釈のようなものもありません。そもそもジム・トンプスンの作品って話自体は行き当たりばったりで破綻していますから、原作小説なんてゲラゲラ笑いながら読むもんでこんなに真面目に映画化しても面白い話じゃないと思います。幼少期のトラウマが原因の狂気の世界なんて今の時代には陳腐化しちゃってるのがありありとわかっちゃいます。中途半端なモノローグの使用は映像の力に対抗仕切れていません。濃厚な一人称の語りを三人称として語られる映画に移し替えるのはやっぱり難しいです。
[DVD(字幕)] 4点(2023-05-29 23:32:36)
192.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
セルジオ・レオーネ作品の中では一番ドラマ性が薄い作品です。娯楽映画ならテンポよく進めればいいのに何の意味もなくワンシーンがしつこく引き伸ばされる上、本筋と関係のないエピソードまで挿入されるので正直ダレます。夕陽のガンマンを見た後だとところどころで前作夕陽のガンマンのロケ地と被ってるので安っぽく見え、リー・ヴァン・クリーフが単純な悪役を演じている姿にもがっかりします。冒頭の殺されるメキシコ人一家が生き残りもいるのにその後全く話に絡まないのは普通に構成上の失敗ではないでしょうか、例えばトゥーコの家族として設定するだけでもラストの決闘にドラマ的深みが出たと思います。トゥーコの兄の神父や無意味な橋の奪い合い等ドラマチックなエピソードもあるにはあるのですが所詮サブエピソードでしかなく、この辺でブロンディとトゥーコの友情を描いておきながらラストの展開がああなるのも違和感があります。全体として個々のエピソードの繋がりが弱くつぎはぎのような構成は平凡なテレビドラマに近いとすら言えます。カルロ・シーミの衣装は砂漠のシーンでのトゥーコのピンクの日傘などいいものもあるのですが、今回は戦争ものということで時代考証を優先したのか地味でいまいちですね。結局この映画の価値はエンニオ・モリコーネの音楽のための壮大なミュージックビデオという点に尽きるのではないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-05-28 22:42:20)
193.  ルルドの泉で
観光化された巡礼に対する皮肉なのでしょうが、この映画自体が半分ぐらいはただの観光映画な感じで笑えないです。ロングショットであまりカットは割らず大きな起伏もなく淡々とした展開、このスタイルは却って心地よさと安心感を与える方向に機能しています。宗教的テーマを扱うなら現代の社会問題とぶつけて格闘させるぐらいでないと真剣に鑑賞する価値がある物語にはならないと思います。20世紀の偉大な映画作家はそういうことをやっていたというのに、神のきまぐれさのような19世紀でも可能なテーマだけで一本の映画を成立させるのは怠惰の極みです。現代なら本当に観光目当てでしかない非キリスト信徒のアジア人を主役にするぐらいのことはやってもおかしくはないでしょう。必要なのはアヴェ・マリアではなくいっそ軽薄な商業音楽を流す覚悟です。この映画は観客に解釈を委ねる以前の問題として作家側の態度が優柔不断過ぎます。
[DVD(字幕)] 4点(2023-05-26 22:50:03)
194.  宇宙戦争(1953)
二度の大戦の白黒フィルムを映した後に色彩豊かなオープニングクレジットが始まる、ここが一番盛り上がりますね。しかしいざ本編が始まるとやっぱり時代は感じさせられる作りで、SF映画の地位も低かった時代ですからあんまり予算もかけてなさそうです。序盤から当時の平和な日常の描写を見せられるわけですが、これが今ではあまり共感できるものではなく面白くもない。戦闘が始まると面白くなるかというとこれまた人間側は基本平和主義者で敵は非情、油断していると痛い目に会うぞというメッセージなんでしょうがかえって緊張感と現実味に欠ける描写です。終盤核攻撃が通用しなかった後の避難する群衆の描写は屋外での撮影を交えているので映像にリアリティがあり悪くないです、さすがにこの辺りになると絶望感も感じられます。全体的に誰が主人公で何がテーマなのかよくわからない構成です、科学や軍事ものかと思いきやなぜか創造主賛歌に帰着します。後のSF映画への影響はわかります、アメリカ以上に日本の東宝特撮映画への影響が甚大かもしれませんね。写真が映されるだけですが東京タワーの前にエッフェル塔がへし折られていたとは思わぬ発見でした(笑)。円盤と火星人のデザインは素晴らしいです、機械と生物が一体となったような姿はとてもこの時代のセンスとは思えません。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-05-16 22:24:29)
195.  私の殺した男
フランソワ・オゾン監督のリメイク版があったので見てみましたが、リメイク版ですら現代の映画としては素朴すぎる内容と感じたものですからやっぱりオリジナル版を見ても印象は変わりませんね。冒頭はいいですね、戦争が既に忘れ去られつつある社会の描写、しかしそれ以降は戯曲が原作なためかほとんど舞台劇のように登場人物も少なくなり演出も演技も大袈裟に感じられるばかりです。ドイツ人だからベートーベンにビールって…この時代には説得力があったのかもしれませんが今だとコメディのようにも見えてしまう描写です。物語としては主人公が勝手に自己完結していて他人にちゃんと向き合っているように見えません。せっかく許しを与えてくれた神父に逆ギレする一方、ドイツ人の家族へは許しを求めるなんて自分勝手すぎではないですか。周りはみんな許してくれるのに自分が自分を許せないだけなんてずいぶん贅沢な悩みですね。この主人公で説得力のあるストーリーを構築するならもっと社会の厳しい目を描く必要があると思います。フランス人とドイツ人の対立というテーマは第二次大戦以降ではほぼどうでもいいものになってしまいました。対等な者同士が殺し合えたある意味幸せな時代の産物です。本当の戦争の悪とは不平等にこそあるのでしょうから、この作品はどうしてもおとぎ話のように感じてしまいます。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-05-15 22:59:29)
196.  ソウ
懐かしいですねー昔はこんなの流行ってましたねー、でも残念ながら時代を越えて評価される名作になれる作品ではないですね。シンプルに内容はセブンやキューブの二番煎じでしかないですからね。後の作品群を見てもジェームズ・ワン監督は手堅くまとめる秀才であってもオリジナルな作品を生み出す天才とは言い難いですし。リアルタイムで流行っただけでも十分なんでしょうけど、今だとこういうジャンルでも設定や伏線に凝ったり露悪的に人間のグロテスクな側面を見せるだけでなく社会性のあるテーマや丁寧にドラマを構築することを求められるはずです(今はそうであるというより昔から名作というのはそういうものだったという方がより正確かもしれませんね)。昔は私も多くの人間は生に感謝しないなんて台詞に人生の真理を見出したりもしましたが、それを実感するためにこんなサディストのゲームに付き合う必要なんてありませんよ、馬鹿馬鹿しいの極みです。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-05-12 22:50:01)
197.  世界の終わりから
紀里谷和明監督は真面目に現代社会に向き合おうとしていると思います。しかしその割りに内容は薄く感じてしまいます。主観的で情緒的すぎて客観的な構成力が欠けているのがきついです。若者向けに作ったのだとしても、もう少し知性に訴えかける部分が欲しいです。ラスト・ナイツ以降CGゴテゴテ画面を捨ててしまったのはまともに評価されたいからなんでしょうけど、CASSHERNやGOEMONにはあった派手なアクションシーンのような娯楽要素が減ってしまいひたすら画面が地味です。その上で純粋な演出と脚本のドラマで勝負できるほどの実力はこの監督にはないと思います。まあそれでも日本国外でも構いませんので腐らず映画を撮り続けてほしいと思います、社会に対して何か言いたいことがあるのは作家にとって最も重要な素質ですから。伊東蒼はハマり役です、いかにも幸が薄そうな顔が最大限に生きています。映画の出来がもうちょっとまともなら彼女の代表作にもなったと思います。
[映画館(邦画)] 4点(2023-04-29 22:26:11)
198.  ザ・ホエール
なんか最近のアメリカ映画ではゲロを吐かせるのが流行ってるんでしょうか?ダーレン・アロノフスキーってシンプルに演出がイマイチなんですよね。冒頭主人公がゲイであることを示すためにゲイビデオを見ているところから始まります。娘はいかにも今時の若者、大麻にスマホにSNS。なんだか当事者以外が頭の中だけで考えて作った人物って感じで現実の人間はもうちょっと複雑でしょと思ってしまいます。レスラーに続きまたかよとしか思えない父と娘の再会と死別の物語、今回は主人公が動けないので娘がわざわざ父親に会いに来る動機が必要なのですが説得力がある心理演出ができているとも思えません。娘はレズビアンであることが示唆されていますが、これが性的マイノリティ同士なら共鳴するものがあるという意図なら安直すぎです。ノアやらマザー!やらガチガチのキリスト教映画作っておいて今更の宗教批判もなんだかなあという感じです。全体的にマザー!がボロクソに叩かれた反動で日和ったかのようにウケる要素を詰め込んできた、細田守監督の竜とそばかすの姫みたいな作品です。あっそういえばゲロも被ってますね(笑)。
[映画館(字幕)] 4点(2023-04-26 23:12:20)
199.  生きる LIVING
この映画は朝の通勤風景から始まります。何せ役所勤めの男が主人公の映画ですから通勤風景を描くのは普通の発想です。そういえば1953年のオリジナル版には不思議と通勤風景が描かれていません、代わりに山積みの書類を背に志村喬が仕事をしている場面から始まっていました。これがまさに2本の映画の違いを象徴していると思います。このリメイク版はきわめて普通の感性で丁寧に作られています。しかし黒澤明版は感動の名作というよりはどこか歪な映画なのです。志村喬はビル・ナイとは違い清潔な紳士などではありませんでした、脂ぎって不潔ですらあります。ビル・ナイは若い娘との交流の時にも志村喬のような危うさを感じさせません、だから安心して見られ不快・不安な気持ちにはなりません。1953年という過去を舞台に設定しているために社会風刺的な側面も現実の我々と直接関係ないものとして距離を取って見ることができてしまいます。リメイク版は撮影も演技も卒がなく、今の観客には受け入れにくいであろう部分を原作から削り取っていかにも名作然として作られています。でもそれは毒も刺激もなくとてもつまらない保守的なアプローチだと思います。整然とした通勤風景などより、あの山積みの書類のようにいつ崩れ落ちるかわからないような異様な迫力がゆえにオリジナル版は現代人の心にも訴えかける作品になっていると思うのです。
[映画館(字幕)] 4点(2023-04-13 23:50:58)
200.  デビルマン
この映画の良いところ、何よりデビルマンのデザイン。役者も演技はともかくビジュアルは悪くない。ストーリーはほぼ原作に忠実で人間のエゴやグロテスクな描写にも容赦がなく全く媚びていない(迫力があるとは言わない)。いや実際脚本は結構悪くないと思いますよ、出てくる絵面がトンチキなだけで。ビー・バップ・ハイスクールの那須博之ですので学園のシーンはそこまで悪くないです。仁科克基関係の友情ドラマは丁寧に描かれてます、一番感情移入できる部分です。でもジンメンは適当に処理されすぎです。個人的に一番感心したシーンは戦争をビルの狭間から火花が飛び交うのを見せるだけで表現するところです。単に予算がなかっただけなんでしょうが、続く窓から炎の光が差し込む中でのキスシーンも含めて暗闇の中に差し込む火という象徴性を帯びています。暴徒に襲われる牧村夫妻が寄り添い灯すマッチの火もそれに対応していると思います。明が了にお前キレイだなあというシーンはススムがミーコにキレイだねお姉ちゃんというシーンと対になっています、演出で生かせてたら割と感動的になったかもしれません。というか染谷将太って子役時代にこの映画に出てたんだ…。今見直すと2000年代の空気が詰まった懐かしコンテンツとしての需要もあるかもしれません。こんな時代だったな~懐かしいな~だけどそれほど良い時代でもなかったな~という微妙な気持ちにさせてくれます。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-03-24 23:24:11)
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