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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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2121.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 
でんでんは最初ピン芸人で、サングラス掛けてハードボイルド風にクールに登場し、それを外すとあの顔で、その落差で笑いを取るという、いたって単純な・しかしそこでは必ず笑える「芸風」だった(趣味は卓球と知って凄く納得)。その落差を本作では裏返しに使ったわけで、この映画に価値があるとすれば、彼にやっと助演賞を与えられたということ。最近でも印象に残っているのは『クライマーズ・ハイ』の、地方新聞はこういう人物によって支えられてるんだなあ、と思わせた部長、『母べえ』の、日本のファシズムはこういう善良さによって支えられてたんだなあ、と納得させた隣組の組長、など素晴らしかった。本作のようなアクの強い役でないと賞を貰えないのが悲しいところだが、ファンとしては嬉しい。園監督は映画作りより、役者起用に才能があると思っている。本作でのでんでんの前にも、安藤サクラ、満島ひかり、吉高由里子、と幾多の才能にスポットを当ててきた。もう当時から評価はあったが『気球クラブ、その後』の永作博美も素晴らしかった。本作で気合いが感じられたシーンは、落語の「らくだ」を思わせる逆転の前のでんでんの言い募りの場で、インテリが非インテリに対して抱いている根源的な不安を、彼がズバズバと突いてくる、その滑らかでない喋りの鈍痛感。
[DVD(邦画)] 5点(2013-02-16 09:55:58)(良:1票)
2122.  無秩序な少女
すさんでいた少女が表現すること(劇団に入る)によって解放されていく話。障害者と一緒にするのはまずいかもしれないけど、宮城まり子の一連の『ねむの木』ものの映画をちょっと思い出した。市民社会から排除された者が「表現すること」で元気をつけていくという点では似た力学。ドキュメンタリーの強みもあって、あっちは優れた映画になったが、こっちは劇団仲間に魅力がなく、ストーリーがヒロイン一本だけで細く、話が拡がらなかった。ヒロインは自分から劇団に来たのに(ま、行くところがほかになかったし、ここも半分そういう更正施設を兼ねてるらしいけど)それにしちゃ、愛想がなさすぎる。秘書の応募に来たところを演じよと命ぜられ「私は働いたことがない」と爆発するが、あれは「市民社会ってのがどんなもんだか、まったくわからないので不安なんです」って裏打ちのある叫びに聞こえなくちゃいけないとこだろう。ただの「困った少女」でしかなかった。原案・脚本・監督ヤニック・ベロンって女性。
[映画館(字幕)] 5点(2013-02-15 09:46:06)
2123.  結婚記念日
結婚16年目の夫婦のショッピングモールでの一日の物語(アレンは脚本も監督もタッチせず、出てるだけ)。喜怒哀楽の揺れに無理がなかったか。自分が浮気してても妻ってものはああ居丈高に怒れるものか、というか、ああ居丈高に怒ったあとで告白できるものか。コントと思えばいい話なのかも知れないが、だとすると演出がまずい。ベット・ミドラーがいささか臭く、さらに後ろを白塗りのピエロがウロチョロするのも不愉快だった。クリスマス音楽と世界巡りが背景の趣向。日本のスシで始まって、メキシコ、イタリアン、このときバックに3拍子のアマルコルドのテーマが流れた。
[映画館(字幕)] 5点(2013-02-02 10:41:15)
2124.  ドク・ハリウッド
設定だけ見ると「砂の女」で、ビバリーヒルズを目指した高給取りの医者が田舎に捕まってしまう話。ところが内容はノーテンキな田舎・純朴讃歌で全然棘がない。「田舎=昔」の構図があり、けっきょく保守讃歌なんだ。現代ならではの問題を抱えている現代の田舎に対して失礼であろう、カボチャ祭りで代表させちゃ。祭りにかかっていた映画は『キートン将軍』で、ちょっとこの作品とは合ってなかった気がする。旅立ちの日、みなが見送るパターンね。戻ったらそんな町はなかった、って手もあると思うんだけど。
[映画館(字幕)] 5点(2013-01-31 09:58:25)
2125.  私がウォシャウスキー 《ネタバレ》 
女探偵と女の子が悪を暴くの。男じゃなく「女・子ども」が果敢になる面白さなんだろうが、このころでももうそれほど目新しくは感じられなくなっていた。K・ターナーの魅力に負った企画だろうが、これも新鮮さの点ではもう弱くなっていた。でもこういう年頃になった女優って日本では主人公任されないのが、邦画の駄目なとこだよな。主人公に個性的な弱点をもう一つ欲しいところ。舞台がシカゴで、ニューヨークに比べると地方都市の味がちょっとある。母親として失格した彼女と、自分の子を殺そうとする女とが対比されていたのかなあ。犯罪に何かと日本人が絡んでいたころ。モーターボートの追っかけがありました。
[映画館(字幕)] 5点(2012-12-30 09:08:31)
2126.  プラスティック・ナイトメア/仮面の情事 《ネタバレ》 
これ「大方の予想をくつがえす意表をつく結末」って宣伝で、まあそういうので本当に意表をついてくれるのは少ないんだけど、これなんかどういう「大方の予想」を宣伝部は想像してたんだろう、ってことのほうに興味が行ったぐらい。顔の整形のとこ見せちゃうのは、フェアにやりたいって作者の良心の現われなのかな、あれは伏せといてもアンフェアじゃないと思うよ。ラストでばらせばいいんで、スリラーで迷宮感出せなかったら、いくらフェアでもしょうがない。演出も、不安におののく主人公の顔に、いくつかのイメージカットがダブってきたり、陳腐。廃船のセットのとこだけ雰囲気がよろしい。秘書がもしかして自分の浮気相手かと確認するあたり、ちょっとおかしい。
[映画館(字幕)] 5点(2012-12-21 09:57:08)
2127.  遥か群衆を離れて(1967)
ポランスキーの『テス』に心ふるわせた人間なんで、同じトマス・ハーディ原作、同じ堂々とした上映時間ってのに期待して見たら、ただ長いだけだった。原作知らないんで、罪がハーディにあるのか脚本にあるのか分からないけど、登場する人物がキチンと像を結んでくれない。とりわけヒロイン、パキパキしたはりきり娘かと思うと、アレーッと淑女のように気絶したり、隣人にバレンタインカード送るいたずらしといて、でも言い寄られると「困るわ」って言う無責任ぶり、そのことを映画は非難しているようにも見えない。してたのかな。偶然の皮肉がこの世を動かしていくってのが「テス」の根本思想だったが、出世作らしい本作でも、このいたずらや結婚式場間違えたりが、ドラマを動かしていた。そこらへんハーディのドラマとして筋は通っている。女中ファニーの物語は「テス」の原形のようでもある。T・スタンプが「テス」のアレックだ。ちゃらんぽらん男とクソ真面目男に挟まれたヒロインの物語として、本作は『テス』と同じ構造になっている。ただテスでは男によって女が不幸にされたが、こっちは女が周囲の男に不幸を撒き散らしていた。これが映画化された60年代ってのは女性の地位向上が叫ばれており、原作読まずに勝手に想像するのだが、ストーリーの「小娘が農場主をやる」って部分を拡大して脚色しイビツになったのではないか。浜辺の祭の場なんかは面白かった。それにしてもこの題名は何を言ってるんだ?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-12-19 10:23:31)
2128.  地平線
これ原作も新藤さんが書いてて、岩波新書だったかな、豊かなエピソードが良かったんだけど、そのおいしいところをカットしてつまんない部分だけつなげたって感じ。収容所でみんなで滝を作り始めた話なんてすごくいいのに、映画では集団で抗議するシーン。残念だなあ。二世言葉をリアリズムで再現したのは立派かもしれないけど、ちゃんとした日本語喋ってるのをよく知ってる俳優さんが演じると、滑稽に見えちゃう(昔『アラスカ物語』ってので丹波哲郎がインディアンの大酋長やってたので笑ったのを思い出す)。一番ヘンなのは家族構成で、永島君と乙羽先生が夫婦で娘の秋吉が16歳、その妹の田中美佐子は、そのころ放送中だった「おしん」で乙羽先生と嫁姑のいびり合いをしてたもので、もうまともな家庭には見えなかった。永島君の顔がヘンなまっ茶色のメイクだったし(もしあちらの日焼けの見事なリアリズム描写だったらゴメン)。収容所から帰ってきたとき、親切だった隣人もいたんでしょ。そういうところで原作は厚みを感じられたのに、なんか移民の苦労話ということで愚痴ばかり集めてしまったんじゃないかなあ。日本の風土のなかだと「愚痴」が芸術に昇華される例もあるんだけど(成瀬とか)、あの乾いた国では、あくまで愚痴は愚痴。
[映画館(邦画)] 5点(2012-12-18 09:43:41)
2129.  イヤー・オブ・ザ・ガン
社会派でいくのかサスペンスでいくのか立場をはっきりしないので、中途半端になった。両方の観客を呼ぼうとして「二兎も得ず」になっちゃったのか。サスペンスでいくんなら自分の小説が現実になっていく怖さを中心に据えるべき。でも社会派要素が入り込んでるんで、このアメリカ人二人組の軽率さがやけに気になってしまう。「赤い旅団」に絡んでると思われる教授に話しちゃうって口が軽すぎるでしょ。社会派でいくのなら、そこらへんのジャーナリズムの冷酷さをもっと突っ込むべきでしょうね。でもこの二人をそう非難してるようにも見えない(ラストでちょっとそれらしい気配はかもす)。正義派人間の嫌らしさみたいなものを突けるんだけど。モロ誘拐のときって、乳母車を車道に飛び出させて車止めたんじゃなかったっけ。あれは違う事件か?
[映画館(字幕)] 5点(2012-12-10 09:51:59)
2130.  暗室
黄色が美しい。ローソクの灯だったりラストの夕焼けだったり、ドローンとした感じで浦山的でない色だと思うんだけど、終わりで強引に木村理恵が「姉」になってしまうとこが、浦山だなあ。木村理恵は『青春の門』の大竹しのぶの、さらには『キューポラのある街』の吉永小百合の末裔だろう。けっきょくこの監督は、娘さんをああいう田園に置いて明るい光の中で「姉」にしたいんだ。この監督は日本では珍しく前向きの人を描いても嫌味にならないという特技があるんだけど、それが徹底的に後ろ向きの吉行文学をやるというところに興味があった。で結論としては合わずに失敗だったと思うが、部分的には面白い効果になっていた。自分に子どもができることの恐怖を吉行はあくまで主人公の男の側から描くけど、浦山は女の側からの視点も加える。原作ではまったくの他者であった女が、映画では適度に主観を傾けられ得る存在になっている。葬式のあとの海辺で自殺の話をしてると、突如妻が走り抜けていくシーン。自分は絶望してても自殺しないが、そういう生き方があたりに死を振り撒いてしまうという逆説か。松村禎三の音楽、どこか尺八に通じていくようなフルートの低音の野太い響きがいい。
[映画館(邦画)] 5点(2012-11-28 10:21:01)
2131.  ゴジラVSキングギドラ
日本とゴジラの関係の変遷を見ると、この国の戦後史を語れる。日本人にとってゴジラとは何だったのか。最初はストレートなもので、原爆であり戦争だった。それが地球防衛軍的なものになっていき、本作に至ると、実にややこしいものになってしまった。その「ややこしさ」の提示が本作の意義。ちょっとハッとさせられたのは、土屋嘉男とゴジラが見詰め合うシーン。しばらく見詰めあったのちに、彼の戦後を否定するかのように、ゴジラはビルを叩き壊す。この瞬間だけゴジラが今回登場した意義が見えた。現在ゴジラをどう扱えばいいのか難しくなってしまった困惑。放射能汚染のために蘇ったゴジラをイイモンとして出すわけにはいかない。といってキングギドラをイイモンにしてゴジラをワルモンにするのも馴染まない。ゴジラは保護者なのか脅威なのか。もちろん強大な神ってのはその両者を兼ね備えているものだろうが、怪獣たちの戦いを俯瞰で眺める時代にはいってしまったんだなあ、という感慨も湧けば、かつてのゴジラを恐る恐る見上げていられた時代の明快さが、たとえ単純すぎても「よかったなあ」と思えてくるわけで。
[映画館(邦画)] 5点(2012-11-21 09:34:18)
2132.  山びこ学校
資本主義社会では貧乏は恥ずかしくないんだよ、って言われたって、あんた、そりゃ理屈ってもんだ。それでも恥ずかしさを感じてしまうところが、先生方のおっしゃるプロレタリアートのいじらしさじゃないんですかい。だいたいね、そういった論理に向けて現実を引上げ啓蒙してやろうって先生方の姿勢が、カチンとくるんでさ。そりゃ立派かもしれませんが、ああアッケラカンと己れに自信を持って朗らかに笑ってられると、馬鹿かと思うんでさあ。友だちのために働いて遠足に連れてってやろうってのは、たしかにいいことかも知れませんが、連れてってもらう側の恥ずかしさが、ただ古い考えだってだけで割り切れるもんですかい? そういった恥ずかしさと論理の間でもっと悩んでもらうのが先生方の役割りじゃないんですかい。作文出すのを嫌がる子どももいたじゃないですか。あれ、まだ思想が成熟してない山奥の地域だからって見下してたでしょ。好意的に見れば、こういったガムシャラの時代だったとも言えますな。岡田英次にやや批判させてましたね。理論や作文よりも手紙の書き方のほうが重要じゃないかって。一応気にはしてたんだ。子どもたちはトンコ節のシーンが一番イキイキしてましたな。
[映画館(邦画)] 5点(2012-11-14 10:11:32)
2133.  おつむて・ん・て・ん・クリニック
そうか、私のノートでは「おつむてんてん」となっているが「おつむて・ん・て・ん」が正式名称だったのか。設定はいいんだけど、キャストも合ってるんだけど、もひとつ弾まない。ビル・マーレイのボブがいい人っぽいんだ、あれはもっと凶々しくすべきじゃないか。まして彼なら。ドレイファスの怒りをこらえた微笑なんか、ま、お得意のものだろうが、笑える。趣味からすると、ボブがバスから降りたときに乗客が万歳するような、ああいうとこが好き。恨んでる老夫婦もいいか。子どもが夜、死について語りだすとこなんか、もっとなんか期待したんだけどなあ。と不完全燃焼なコメディでしたが、嫌いじゃない世界。
[映画館(字幕)] 5点(2012-10-27 09:52:00)
2134.  カーリー・スー
こましゃくれたガキが、「大人って困ったものね」としかめっ面するたぐいの映画。金持ちと貧乏人をきれいに吊り合わせて、それで「幸せはお金では買えない」とか言って、金持ちはいつも「心」を得るの。金がないために得られない心ってのもあると思うんだけど、それはアメリカ映画には登場しない。そういうのを全部外してコメディに専念すればまだよかったろうに(ピアノに向かって並んで座ってて、女弁護士の背中越しに高音部をポロロンとやるとこなんか、ちょっといい)。中途半端にほのぼのドラマの味も加えようとして失敗した例。学校へいくときに見せる不安に一瞬この少女に深みが出かかったが、もう遅い。
[映画館(字幕)] 5点(2012-10-21 09:44:43)
2135.  外科室
なんか安手の印象が残るのは、千円興行という試みのせいか、50分という長さの問題か。いえいえそうではありません、加藤雅也君のせいです。いえね、どっちかっていうと見る前は吉永小百合のほうを危惧してたの。実在感がありすぎて反鏡花的でしょ。その点加藤君はまだイロに染まってないぶん、面白い味が出るかもしれないと思った。でもやっぱ駄目だったなあ、その点吉永女史はちゃんとやってた。つつじの道での出会いのハッと、ト胸をつかれる感じ。おそらく本編のヤマは、池をはさんで向かい合うところだろうが、実にゆっくりと堂々と吉永さんがほとりにまで足を運んでいって、盛り上がる。なのに切り返しで出てくる加藤君の表情が、もうテレビのトレンディドラマの思いつめてる青年の顔であって、ここは魂を抜かれた非緊張的表情であってほしいところじゃないかなあ。玉三郎監督の指示なのか、それとも彼の演技力の限界なのか。違うんだ。
[映画館(邦画)] 5点(2012-10-18 10:03:59)
2136.  必殺!5 黄金の血
市井の平凡人が実は…ってやつだが、その「実は」にも、一人で正義やってるのもいれば、集団で「影の組織」やってるのもある。集団だと個性を使って、アンサンブルの楽しみを出せる。これはそっち。話としてはバブル経済に新興宗教ブームを加味。メンバーのいろいろの手立ての具体物が面白さなんだが、もう少しひねりを入れて膨らませたいところ。なぜか堀ぎわの材木置場が出ると、時代劇の情緒を感じてしまう。酒井法子はそういう役とはいえ、ちょっとね、とノートに記されているが、全然記憶にない。花火がドーンと上がり、当時の娯楽作品としてはまずまずと思った半面、こんな程度で褒めちゃいけない、という気持ちもあった。
[映画館(邦画)] 5点(2012-10-05 10:14:38)
2137.  東京キッド
サトウ・ハチローがゲテモノと評した子どものころの美空ひばりのゲテモノぶりが如実に味わえる。「おばちゃん、死んじゃいや」と泣きじゃくるあたりや、「さんちゃん、おじちゃん」と粘っこく川田晴久をを探し求めるあたり。だいたい「達者な子役」ってのは総じて気持ち悪いものだが、彼女の場合、それが煮詰まっている。このベトベトした気持ち悪さは「悲しい酒」のようなしみじみした歌や、「柔」や晩年の“人生の応援歌”ものなどの底にも生き続けていた気がする。だから彼女の歌で好きなのはそういうベトベトがない「お祭りマンボ」などのコミックソングだ(「車屋さん」も入れてもいいかもしれない、あと『七変化狸御殿』の中で歌ってた「日和下駄」ってのもいいの)。しかしちょっと前まで戦争協力の歌を量産していたサトウ・ハチローにどうこう言われたくない、という思いはひばり側にあっただろし、ゲテモノとして簡単に片づけてしまえる存在でもなかった。時代がゲテモノを要請していたのか、それとも日本文化の根っこにゲテモノ的なものが存在しているのか、そんなことを考えさせられる彼女の媚態ではあった(歌舞伎の子役ってのも、だいたいこういう哀れさ・けなげさを強調する役だが、あちらではわざとゆっくりとした棒読みをさせ、様式に閉じ込めてリアルにしない工夫がある)。終盤のアチャコが身の上を語る長ゼリフは、フレーム外の膝元のカンニングペーパーをしっかり読んでたな。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-03 10:01:11)
2138.  ドクター 《ネタバレ》 
この女流監督は『愛は静けさの中に』の人で、喋れなくなることに関心を持っているのか、これではウィリアム・ハートの外科医が喉頭ガンになる。自分が患者になることで正しい医者になる、って話。でもどうだろう、医者なら習慣の中ですでに納得しているようなことを、今さら新鮮に驚かれても困る。患者をいちいち人間として捉えていたんじゃやっていけないのは想像できるし、患者だって煩わしい。病気の患部という部分に解体して付き合うことで、互いにある程度気安さも感じられてたんじゃないか。それをことさら新鮮に怒ったりして、なんだこいつ、と思ってしまう。颯爽と廊下を行く医者のときの眺めと、患者になっての寝台車からの眺めの対比、なんかがある。仲の悪かった同僚に手術を頼むと、「あなたの喉を切りたかったんだ」と言うユーモアが良かった。全体、ツルッとした「いい話」で面白味に乏しい。
[映画館(字幕)] 5点(2012-09-25 09:25:33)
2139.  うみ・そら・さんごのいいつたえ
もっと祝歌(ほぎうた)として徹底すべきところを、へんにドラマが入って失敗してしまった、って感じ。水中撮影での蛸採りなんか、さして目新しくはないのになにやら神々しさがあったし、浜辺でオバアが踊っているところなどもいい。だからかえって「うた」になっていない部分の野暮が際立ってしまう。ヤマトの不動産屋(開発業者だったっけ?)とか、都会の女の子と地方の子の絡みとか。めずらし屋に子どもらがテレビゲームを売るの、あれつまり「沖縄の子は自然がいっぱいあるからテレビゲームなんか面白いと思いません」って型に当てはめすぎてる。子どもの好奇心ってのは、そう単純に割り切れるもんじゃないだろう。映画全体を「祝歌」に徹していれば、そう気にならなかったと思うんだけど。島に流れ着いた朝、太鼓の音が近づいてくるだけで、救出を描くところなんか正しいんだから。
[映画館(邦画)] 5点(2012-09-13 10:17:22)
2140.  ステッピング・アウト
ドラマとして何一つ予想外のことが起こらないのはいいとしても、ミュージカル映画としても「舞台の制約からどんどん逸脱していってしまう面白味」がない。その舞台も、ライバルががっかりするほど見事なものには見えなかった。ステッキを回しても、隠し芸をうまくやったって感じで、そういう隠し芸の時代になってしまったんだ、とシミジミ思わされた。主婦業と仕事の葛藤ってのもあるけど、暴力亭主のよろめき主婦の展開のほうが興味あったなあ。「目的に向かったイキイキ生きる、くすんでなんかいられない、ブルーな日々よさようなら」って簡単に前向きされると、そう簡単じゃねえだろ、とついムッとしてしまう。
[映画館(字幕)] 5点(2012-08-21 09:51:25)
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