201. パンドラの箱(2008)
《ネタバレ》 親子関係・兄弟関係そして介護問題という、トルコだけでなく我々にとっても他人事では無い普遍的なテーマを扱っているので見入ってしまいました。 しかし、この問題は難しいですね。ラストの一人で山に入っていくアルツハイマーの祖母をただ見つめるしか術のない孫の心境が非常に良くわかります。 緻密に計算された映像美と演出、そしておばあちゃん役の演技が素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-08 11:28:15) |
202. 明日の記憶
《ネタバレ》 主人公と同じサラリーマンの身としては、感動や感銘よりも恐怖心を強く感じてしまいましたね。何というか、他人事とは思えませんでした。 ただ、こういう事例を小説や映画という形で我々に提示してくれたことには感謝したいですね。人生何があるかわからない中で、予備知識があるかないかでは大きな違いがありますから。 暖かな雰囲気が、逆に悲劇性を強調していて非常に哀しい作品でした。まあ、大滝秀治じゃないですけど「生きてりゃいいんだよ!」というポジティブシンキングは大事だなと思いました。 [地上波(邦画)] 8点(2009-11-06 00:27:15) |
203. 灯台守の恋
《ネタバレ》 観終わった後、何度も思い返す度にじわじわと心に響いてくる作品ですね。荒れた海に聳え立つ灯台の姿、いろいろな意味で荒涼としたブルターニュの風景、いろいろな愛情の姿、アルジェリア戦争の傷跡・・・・いろいろな要素がさりげなくストーリーの中に置かれていて、それらがうまく混じりあって素晴らしい作品に仕上がっています。 ブルターニュ地方にケルト文化が息づいていることとか、灯台守の仕事の様子などいろいろ知ることができたのも良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-05 21:24:01)(良:2票) |
204. レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち
《ネタバレ》 この作品が面白いことは確かです。118分間まったく飽きることなく観賞できましたし、「D-DAY」の成功の裏にはこんなことがあったんだと非常に興味深かったことも確かです。 ただ、あまりにも主人公たちが戦争アクションの英雄としては悲惨すぎるんですよね、「死して屍拾う者なし」というどっかの時代劇に出てくる文句が浮かんできました。何というか、結果としてナチスに勝ったことは勝ったのですが、戦争という愚かな行為が産み出した虚しさしか感じませんでした。ナチス側の方がよっぽど人間的に描かれていますし。 [DVD(吹替)] 7点(2009-11-03 21:41:01) |
205. スコットランド・カップの奇跡/栄光のストライカー
《ネタバレ》 これは、贔屓のサッカーチーム(しかも強豪ではない)を持っている者にとってはたまらなく魅力的な映画ですね。元スター選手役を演じたアリー・マコイストは、実際にレンジャーズ等で活躍していたストライカーだけあって試合のシーンもリアルな感じでした。 小さなチームがジャイアントキリングを続けて遂にカップ戦の決勝まで・・・という流れは、どうしても自分の応援するチームと置き換わってしまうのか感情移入してしまいますね。話の締め方もイギリス映画らしく甘くはないのですが、心温まる感じで良かったです。 スコットランドのサッカー事情も垣間見れて興味深かったです。見る前にちょっとスコットランドサッカーについて予備知識を仕入れておくと良いかもしれません。 [地上波(字幕)] 8点(2009-11-03 21:39:29) |
206. ウェディング・ベルを鳴らせ!
《ネタバレ》 クストリッツァがとにかく暴走しまくっている「怪作」ですね。エネルギッシュで危険で猥雑なギャグの連発ぶりは「マカロニほうれん荘」のようであり、そこにかぶさるシュールな雰囲気はフェリーニのようであり、そこにクストリッツァ映画に欠かせないジプシーサウンドや動物たちが加わって、口があんぐりと開いてしまうようなカオスな世界が広がっていました。 正直言って評価は難しいです。万人にお勧めできる作品ではないですし、他のクストリッツァ作品に較べて「哀しみ」の要素が余り感じられなかったのもちょっと物足りなかったですね。 [映画館(字幕)] 6点(2009-10-28 00:04:53) |
207. 巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)
《ネタバレ》 2003年の作品ではありますが、昔の洋画を見ているような懐かしい雰囲気が漂うミュージカル映画でした。まあ、1920年代にヒットした作品の映画化で舞台劇をそのまま映像化したような感じでしたけど、それがまたレトロな感じで良かったと思います。 ストーリーもちょっと下世話な男女の物語をユーモアを交えて軽妙で小粋な感じに仕上げていて面白かったです。ラストも上手くハッピーな感じになっているのもいいですね。料理で言えばメインディッシュではなく前菜といった感じの作品です。 [地上波(字幕)] 7点(2009-10-27 23:37:22) |
208. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 夜更けのスナックで訳ありな美人ママの身の上話を聴いているような気分に浸りながら観賞してました。 急激に経済成長していく中国の中で、さまざまなものが変わっていく中でたくましく生きていく主人公の姿に共感を覚えました。 鴨の首は一回食べてみたいですね。あと、重慶のロープウェイも一度乗ってみたいと思いました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-26 23:48:56) |
209. ライブテープ
《ネタバレ》 吉祥寺の町が舞台の74分間のロード・ムービー。素晴らしい映像作品でした。 舞台は吉祥寺でなければならなかったし、日時は元日の夕暮れ時でなければならなかったし、ミュージシャンは前野健太(とその仲間たち)でなければならなかったし、作り手は松江哲明(と彼のスタッフたち)でなければならなかった・・・・。この全ての要素が混ざり合った瞬間に生まれた奇跡を大スクリーンと大音量で体験できて良かったです。 多分、作り手側が思っている以上に人々に感銘を与える作品になっていると思います。これは、世界で勝負できる、日本の日常を切り取ったドキュメンタリーでありロードムービーでありライブテープであると断言できます。 あの、元日の夕暮れ時の美しさの中で奏でられる「天気予報」の格好よさが今も頭の中に残っています。多くの人に見てもらいたい作品です。 [映画館(邦画)] 9点(2009-10-25 09:20:53) |
210. D.I.
《ネタバレ》 同じようなシーンの反復とそこに生じる微妙なズレを効果的に用いて、イスラエルに暮らすパレスチナ人たちの日常をユーモラスに描いた前半、突如として突飛な展開の飛躍が駆け巡る後半で構成されるこの映画ですが、本当に掴みどころがなく、はっきり言って訳がわかりません。 ただ、それは映画が訳がわからないのか、テーマとなっているパレスチナ問題が訳がわからないのか・・・考えさせられます。 日本で言えば北野武のシュールな空虚感の下で鈴木清順の自由奔放な表現を展開しているような、この監督のセンスは非常に興味深かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-10-22 10:15:22) |
211. THE WAVE ウェイヴ
《ネタバレ》 ファシズムを推進していくことは非常に魅力的で楽しいことである・・・・・。非常に興味深いテーマを取り扱っているのであっという間に時間が過ぎていきました。 集団の中で一致団結すること自体は悪いことではなくむしろ良いことであると思うのですが、それを扇動し一つの方向を定めてそれ以外については排除してしまうことが問題なんですよね。特に、疎外された人間の劣等感を逆手にとって利用するような行為は絶対に許されるものではないと思います。 まあ、人間の心なんて本当に弱いものですからこういう映画をどんどん製作してもらって、絶えず警鐘を鳴らしていってもらいたいものです。 [映画館(字幕)] 9点(2009-10-15 09:08:39) |
212. 裸足の1500マイル
《ネタバレ》 人間が自分たちと異なる文化を持つ人間を動物扱いしている。そして、それがさも当然であるとその人間たちは疑いを持つことなく考えている・・・・・。あまりに愚かな政策で唖然としてしまいました。いろいろ考えさせられました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-11 10:36:05) |
213. SING FOR DARFUR
《ネタバレ》 非常に評価が難しい作品ですね。観終わった後は、「ナイト・オン・ザ・プラネット」のバルセロナバージョンみたいだなというのが率直な感想でした。リレー方式で主役が入れ替わっていく手法は中々面白い試みだと思いました。 ちょっと日本人夫婦の会話には違和感を感じましたが。 この作品が伝えようとするメッセージは、「ダルフール」の問題は対岸の火事ではなく人類として脅威となる問題なのだから関心を持ちましょうということだと思います。ただ、皆それぞれ何らかの問題を抱えていますからね・・・・生活に余裕のある人ならともかく、殆どの人はそこまで頭が回らないのは仕方ないでしょうね。まあ、それ故に人類は過ちを繰り返していると言われてしまうと何も言えませんが・・・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2009-10-07 17:40:00) |
214. ミーシャ/ホロコーストと白い狼
《ネタバレ》 マチルド・ゴファールの熱演が光っています。ストーリーはやや現実離れしているように感じましたが、過酷な旅路の描写は中々生々しかったです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-10-05 00:02:11) |
215. 涙そうそう
《ネタバレ》 名曲「涙そうそう」の壮大な前フリとしてみれば悪くないと思います。妻夫木聡と長澤まさみが血のつながらない兄妹の深い愛情の動きを上手く演じていて、曲の世界に合っていました。 ただ、1本の映画として考えると、あまりにストーリー展開が陳腐であざとさ満開で何だかなあという感じですね。せっかく沖縄というロケーション、妻夫木・長澤というキャスティングという好条件が揃っているのに勿体無いです。 [地上波(邦画)] 6点(2009-09-29 00:29:41) |
216. マチュカ~僕らと革命~
《ネタバレ》 チリ・クーデターとはどのようなものであったのか子供たちの視点で鋭くエネルギッシュに描いています。.格差社会における階級対立の哀しさ・醜さ、軍事独裁政権の過酷な反体制派粛清の様子などが生々しく映し出されていて非常に興味深かったですね(非常に哀しいストーリーではありましたけれど)。 コンデンスミルクの口うつしのシーンは、何というか「Love&Peace」という感じで非常に印象に残りました。 [映画館(字幕)] 9点(2009-09-28 09:13:34) |
217. 空気人形
《ネタバレ》 非常にシュールで哲学的でいろいろと考えさせられる作品でした。 この作品における「空気人形」とは、社会の中での自分の立ち位置、ポジションに埋もれながら惰性で生きている空っぽな現代人の象徴ではないでしょうか。そして心を持った「空気人形」は、われわれにそういった空虚な人生からの脱却を呼びかけているように感じました。心を持つことによって辛く哀しい状況に出くわすこともあるかもしれない、しかしながらそれこそが人生なのである・・・・・ しかしながら、この作品はキャスティングが完璧でしたね。ペ・ドゥナの不思議な魅力が「空気人形」役にズバリとはまっていました。しかしまあ、韓国のトップ女優がよくぞこの難しい役を引き受けてくれたなと思いますね。この役は演技力のある人でないと下品な感じになってしまうでしょうから。 岩松了のいつもながらの本当にしょうもないおっさん役も見事でした。そして、板尾創路のあのキャラはまさに日本映画の宝であるといっても過言ではないですね。 はっきり言って、万人受けする映画ではありません。嫌悪感を抱く方も少なくないと思いますが、観ておいて損はない作品です(ただ、デートとかにはちょっと・・・・・)。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-27 00:32:05)(良:1票) |
218. プライベートレッスン 青い体験
《ネタバレ》 つうか、何でそんなに深く重く思いつめるんだ・・・・なんて感じてしまうのはオッサンになった証拠なのですかね・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2009-09-26 00:09:56) |
219. いのちの戦場 -アルジェリア1959-
《ネタバレ》 ストーリー自体は、戦争の持つ狂気性やその虚しさをさまざまなエピソードから描いているのですが、それよりも一番興味深かったのは、この戦争についてつい最近までフランス政府が認めていなかったという事実ですね。 劇中でも、主人公がフランスに休暇で戻った際に観たニュース映像が、極めて平和的な光景のみを映し出していたりしましたし・・・・。 本当に情報というものの恐ろしさを感じましたね。 [DVD(吹替)] 7点(2009-09-25 12:42:02) |
220. 舞妓Haaaan!!!
《ネタバレ》 いやあ、本当に馬鹿馬鹿しい作品なんですけど、ここまで突き抜けてくれると逆に素晴らしいですね。最初は、阿部サダヲの演劇人独特のクセのあるハイテンションっぷりにちょっと引いてしまいましたけど・・・・・ 観終わった後芸者遊びを体験してみたくなりましたね。 [地上波(邦画)] 8点(2009-09-22 22:58:22) |