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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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201.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 
ほぼ全編に渡り漢!漢!漢!サム・ペキンパーの美学が堪能できるオス度100%のバイオレンス西部劇。しかし同時にそういう格好良い仁義を貫く男達の時代の終焉を表している映画とも思え寂しさも強く感じました。 超渋いストップモーションが繰り返されるオープニングからこの映画は始まりますが、そこで何度もカットインされるサソリが無数のアリに喰われているシーンは何かを象徴している様に見えます。それは恐らく主人公たちの最期でしょう。本作の世界は強い無敵のガンマンが活躍できる時代では無く、蟻ん子みたいな奴らに人海戦術で殺されてしまう残酷な世界なのです。足に古傷を負うパイクは何度も「俺も年だしそろそろ終わりにしないといけない、俺の時代はもう終わりだ」と言います。そしてエンジェルのフィアンセは金に目が眩んでクソたれ将軍に媚を売っている。終盤にパイクは自分が抱いた女に撃たれる。これらのエピソードは「最早男の美学が通用する時代じゃないんだ、世の中実益で動く世界なんだよ」と観客に突きつけている様に思えてなりません。 それでも最後に「俺たちは俺たちの筋を通すぜ!」とたった四人で大量の敵に立ち向かっていく。金のため、自分の命のためにワイルドバンチを仕留めようとしていたソーントンはパイクの銃を拾い上げ金を受け取らずに座り込む。もう観客に何が言いたいかは明確でしょう。 この映画の最後に熱くなれる人はまだ男の美学を信じている人なんだと思います。それが良いのか悪いのかは人それぞれでしょうが、私は仁義を通す彼らの姿に最高に熱くなりましたね。 それからつい終盤の大銃撃戦に目がいってしまうのですが、中盤の列車アクションも同様に出色の出来!ここまで面白い列車アクションを私は今まで観た事がありません。
[映画館(字幕)] 8点(2013-06-28 00:47:38)(良:1票)
202.  セルピコ 《ネタバレ》 
警察内の汚職とたった一人で戦った実在の警官、セルピコの半生を描いた作品ですが、自ドニー・ルメット監督らしくその視線は実に冷ややかに主人公を写していると思います。この映画は結局ヒーローには失う物を持たない一匹狼しか成れないということを言ってしまっていると思います。セルピコは付き合っていた彼女にも言われた通り、どこまでも自由にしか生きられない男です。だからこそ彼は警察内部の汚職を暴くという常人ならば成し得ないことをやり遂げた。 逆に汚職に手を染めている警官の中には本当に家庭を大事に思っているからこそ、家族を養っていかなくてはいけないからこそ、賄賂を受け取っている人たちもいる。まあ欲望の赴くままに集金しているクズの方も沢山いたようですが。 証言したことで警察内部で村八分にされ、同僚に殺されるかも知れない恐怖がセルピコを襲うシーンの緊張感は並々ならぬものがあります。今見ると自由人=ヒッピーのファッションというのはやや単純すぎる気もしますが、当時としては斬新な主人公だったのだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2013-06-23 22:40:33)
203.  シャレード(1963) 《ネタバレ》 
早朝の郊外を通り過ぎる列車、そこから一つの死体が転がり落ちる。死体の顔がアップになった所で軽快なリズムに合わせオープニングクレジットが映し出される。実にインパクトのある幕開けです。オープニングのヘンリー・マンシーニによる名曲と、モーリス・ビンダーによるモダンなタイトルデザインも実に洒落ている。 ストーリーもやや強引さはあるものの、最後の最後まで犯人候補をミスリードし、この時代にありがちなものの観客がホッとできるハッピーエンドに落ち着かせてくれる辺りの脚本は秀逸です。 恐らく『麗しのサブリナ』や『ローマの休日』での純朴な少女の印象が強かったオードリー・ヘップバーンが新たなイメージに挑んだ作品でしょうが、彼女がどうしても未亡人に見えないのはまあご愛嬌。と言うかミセス(Mrs)にすら見えないぞ。最後にミス(Miss)と呼ばれて「ミセスって言ってんでしょ!」とセルフパロディまでかましたのには笑いました。
[DVD(字幕)] 8点(2013-06-11 23:09:36)
204.  M★A★S★H/マッシュ 《ネタバレ》 
映画の舞台は朝鮮戦争末期ということになっていますが、実際のモデルはベトナム戦争で、直接的な表現を避けるために朝鮮戦争としているだけです。ご存知の通り当時のベトナム戦争は東西の代理戦争として行われただけのインチキで愚かなモノだった訳ですが、そんな中でこの映画は大ヒットとなりました。この映画は初めて「FUCK」という言葉が使われた映画として知られていますが、正しく愚かな戦争行為に対し中指を突き立てた。そして観客もその姿勢に共感した。 今だって無茶苦茶な理由で戦争はあっちこっちで生じている訳で、そんな時代に生きてる身からすると、今観てもMASHの主人公たちの行動は実に痛快に感じました。主人公たちは確かに軽口を言い合い、下品な悪戯で女将校に恥をかかせ、オフの日にはゴルフをして遊ぶ、人間的には結構サイテーな部類です。しかし彼らは患者が運ばれた時には全力で命を救おうとする。それが如何に馬鹿げた戦争によったものであったとしても人命には真摯に向き合う。どんなにクソな環境でも自分にできるベストを尽くしている彼らは非常に個人的に魅力的に映りました。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-13 22:44:59)
205.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 
話はとても大人向け。早い話が職場ですね、コレ。誰だった仕事をしていれば、「こんなことやってられるか!○○の仕事はいいよなぁ」などと愚痴ることは一度や二度あると思いますが、主人公のラルフも正にそれ。ただ彼は他人への迷惑を考えることなしに自分の思うヒーローになろうとしちゃった。つまり嫌われ者も大事な職場のピースであるっていう残酷な点を描いちゃってます(ファミリー映画なのに!)。感心したのは『Fix-It Felix』のマンションに住む住民たちが嫌われ役のラルフを最初はのけ者にしている点でした。記念パーティーにも呼んでやらないって最早いじめに近い。実際に汚い仕事をしている人って職場では大抵ちょっと腫れ物扱いされている場合があると思います。そういう人こそ皆から褒められるべきなのに!(ホントにファミリー映画か?)。そんな住民たちがエンディングではラルフにねぎらいのケーキをあげているシーンには目頭が熱くなりました。やっぱり職場ってのは色々な役割の人が支えあって成り立つものということを大変上手く描いていたと思います。 そんな大人向けなストーリーが根幹の本作ですが、流石はディズニー、子どももしっかりと楽しめるように作られています。『Hero's Duty』のサイバグとの戦闘は迫力満点であれで燃えない男の子はいるんだろうか?っていう出来ですし、『Sugar Rush』のメルヘンな舞台と可愛いレーサーには女の子は喜ぶでしょう。そうそう、この『Sugar Rush』で群れた女の子たちがヴァネロペを小突きまわすシーンも完全に職場のソレでしたね。女はこええで。 それから面白かったのはなんといってもキャラクターの動き!今回『Fix-It Felix』の住民はみんな3Dでありながら動きはファミコン時代さながらにカクカク動いて表情や仕草も大げさなんですが、その動きってPixar以前のディズニーアニメーションの動きにちょっと似ているんですよね。最新の3Dと従来のディズニーが培ってきた2Dアニメの良さを上手く融合した素晴らしいアニメだったと思います(これは本編前に流れる『Paperman』にも言える事ですが)。 しっかしAAさながらの悪役集会にザンギエフがいたけれど、ストリートファイターの悪役ってベガとサガットじゃないんかい?この辺り、作り手がゲームに思い入れがあるのか良く分からん。
[映画館(吹替)] 8点(2013-03-31 13:32:30)
206.  フライト 《ネタバレ》 
非常にキリスト教的価値観に基づいて作られている映画だったと思います。近年でも現代劇でこれだけ劇中に"God"という言葉が頻出する作品って少ないんじゃないでしょうか。この作品の根幹を為すテーマは「贖罪」だと思います。但し、主人公は熱心な(熱心過ぎてちょっと怖い)キリスト教徒の副操縦士を見舞った際に露骨にイヤーな顔をしていたり、ところどころで「神なんかいない」という旨の発言を繰り返したり明らかに無神論者です。少なくとも熱心なキリスト教徒ではない。そんな彼が最後の最後に罪の意識を告白して、罪を精算し、富も失い、人間的にも立派な男になりましたってオチをつけるんですから、物凄く乱暴な物語と言えると思います。非常に感動的ではありましたが。その辺りは別に私は特にキリスト教を信仰していないので非常に乗りづらかったです。 あと視覚的にもストーリー的にもキリスト教の話と意識させるように作られています。飛行機の墜落時にペンテコステ派の教会を破壊し、主人公は事故を経て一度は禁酒を決心する所などは特に分かり易い。共に暮らすウィップとニコールは楽園を追い出され罪を背負うこととなったアダムとイヴの明らかなメタファーでしょう。 まあそんなことは置いといても、クライマックスの泥酔状態となったウィップを素面に戻すトリックには劇場内は爆笑でしたし、序盤の飛行が墜落するか否かのド迫力のアクションはポール・グリーングラスの『ユナイテッド93』に匹敵するスリルでしたし、大変面白かった映画であることは確かと思います。なんかホント全てが丁寧ですよね、巨匠の仕事って感じ。この期にロバート・ゼメキスには是非とも実写の世界に戻ってきて欲しいと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2013-03-11 22:25:20)(良:1票)
207.  フード 《ネタバレ》 
J・シュヴァンクマイエルが食事という行為を嫌っていて、その態度が作品に如実に現れているというのは有名な話ですが(肉片の恋とか、フローラとかすごいです)、本作は正に食事というテーマで作られた作品。正直、「そこまで食事が憎いか!」と半ば呆れてしまう様な悪夢的食事シーンが朝食・昼食・夕食と3つ描かれます。3つ共に共通している概念は「お前たちが食事をするってことは他者を食ってるんだよ」って事実。ある意味、食事が楽しいものとして描かれる宮崎映画の対極とも言える作品ですね。ゲロゲロ~。
[DVD(字幕)] 8点(2013-02-03 20:54:00)
208.  私の奴隷になりなさい 《ネタバレ》 
ごめんなさい、個人的な好みによりこの高評価です。普通に考えるとどうかな?という映画ではあります。なにせ上映時間の約半分は濡れ場、原作が官能小説なので仕方がないとは言え(官能小説は大抵飽きが来ないように濡れ場が連続する)、一般作品としてはやや過剰な濡れ場の連続だったと言わざるを得ません。 話は良くあるファム・ファタール物。主人公が謎の多い年上の女に魅了され、順調だった人生に狂いが生じていく。しかしこのありふれた話の転がし方が上手いんです。主人公は顔が良くて要領も良く女にも全く不自由していないという見ていて殺したくなる様な調子こいた男、彼は壇蜜演じるエロい人妻の香奈に目を付けちょちょいと食ってやろうと近づきますが、どんどん香奈を取り巻くSMの世界に囚われていきます。その後、映画の冒頭で出てきた緑という女の子とことに及ぼうとしますが、もう彼の頭にはアブノーマルな世界しか広がっていない。以前の世界に馴染むことができない。その世界が全く変わってしまった描写が凄く上手かったと思います。彼の書いていた絵本は謂わば子どもの世界の象徴、板尾演じる先生が勧めたフランシス・ベーコンは欲望を曝け出した香奈の世界の象徴。 忘れてはいけないのが役者さんの熱演。壇蜜さんの全ての欲を解き放ったような演技はとにかく美しかったです。正直『ヘルタースケルター』の沢尻エリカの濡れ場がおママゴトに見えるレベルでした。私は今の女優が全く脱ごうとしない邦画界では脱ぐ人は無条件で偉い!と思っているので、彼女の体の張り方には拍手を送りたいです。本当に次代の杉本彩さんみたいになってくれないかなー。今まで余り注目したことはありませんでしたが、真山明大さんの整いすぎている顔を活かしたチャラ男演技、そしてどんどん香奈に溺れ狂っていく演技も大変良かったです。
[映画館(邦画)] 8点(2013-01-27 22:25:30)(良:1票)
209.  道(1954) 《ネタバレ》 
世間的に生き辛さを抱えている男女の恋愛映画ってのは一つのジャンルとして確立されていますが、本作はそんなジャンルの決定版。私がこの映画を観て一番心を引かれる部分は、最初はジェルソミーナを主人公として進む話が、ザンパノが旅芸人を誤って殺してしまってから唐突に主人公がザンパノに替わってしまう所。正直、序盤から中盤にかけてジェルソミーナから見たザンパノは完全に共感できない人物です。ジェルソミーナを放っておいて女を引っ掛けたり、直ぐに喧嘩をおっぱじめたり、とんでもないジゴロな男に見えます。そんな彼が主人公に替わってみるとザンパノという人が途轍もなく愛おしく思えてくる。 これは別に彼が可愛いとか言っているのではなく、人生における自分の暗部そのもののように思えてくるのです。私は正直今まで生きてきて、好きな相手なんだけれど深く傷つけてしまったり、それに対してちゃんと謝れなかったりしたことがあります。恋人が重い鬱病に罹ってしまって、一緒に頑張ってみたものの辛くて最終的に別れてしまったこともあります。そんな誰にでも多かれ少なかれある人生の情けなさをザンパノは象徴しているのだと感じました。だから彼が最後に死んだジェルソミーナのことを想い海辺で号泣するシーンは非常に観ていて辛かった。自分の最も情けない部分を見せ付けられた気がしましたから。
[映画館(字幕)] 8点(2013-01-22 22:33:44)(良:1票)
210.  LOOPER/ルーパー 《ネタバレ》 
脚本が実に練られた快作だったと思います。この映画の脚本が素晴らしい点は、復讐を為す側の罪悪感を描写している部分にあると感じました。オールド・ジョーはダイナーで「俺の人生の邪魔をするな」というジョーに対して「まるでガキだな、自分のことしか頭にない」と吐き捨てます。実際にジョーは何に対しても俺には関係ないと突っぱね、そのくせ売春婦に母性を求めており精神的に子ども大人です(この設定が後で効いてくる)。そして罪悪感も無しにルーパーとして人を殺し金を得ている。オールド・ジョーは妻の命を救うため、未来の大犯罪者"レインメーカー"を子ども時代で殺そうと考えますが、彼の口ぶりだとレインメーカーも罪悪感無しに邪魔な人間を始末する極悪人の様に聞こえます。そしてオールド・ジョーはレインメーカーの可能性がある子どもを殺して回りますが、その時のオールド・ジョーは明らかに罪の意識を感じています。妻の命を救う為とは言え、無関係かも知れない子ども命を奪ってしまった。その後、オールド・ジョーが組織の人間を一掃するアクションシーンとなりますが、観ていても全くスカッとしません。彼がさっきの子どもを殺した時のように憎しみの連鎖を繋いで(ループ)いるようにしか見えません。そしてラスト、ジョーは予知します。レインメーカーも母親を殺したルーパー(オールド・ジョー)に復讐するために犯罪者の王となった事実を。誰かを救おうとした為に罪悪感を抱きつつ標的を殺し、新たな憎しみが生まれ、憎しみは連鎖し、最終的には世界を憎しみで覆う存在を生み出した。この映画が描いているのは、愛する者の為であっても殺しは憎しみの連鎖しか生まないという事実です。多分、百年経っても観る価値のある作品でしょう。 映像面では近未来SFの話なのに、終盤が街外れのサトウキビ畑というセンスが凄かった。 役者ではジョセフ・ゴードン=レヴィットが冷酷なんだけど基本的に心は小僧という役にピッタリ合っていたと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2013-01-13 23:36:34)(良:3票)
211.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
序盤の笑いを誘う杜撰な強盗描写から、シドニー・ルメットには珍しく気楽に観れるタイプの映画かと思いきや、どんどんアメリカの暗部を暴いていく恐ろしい社会派サスペンスでした。 観ていて戦慄を覚えた描写を以下に。1.黒人は漏れなく社会的に余り高くない職業(守衛、ピザの配達人、運転手)についていること。しかも守衛で喘息持ちの初老のおじさんは黒人というだけで犯人扱いされ連行される。2.ゲイに対する一部の人間の強烈な悪意。ソニーの妻レオンが現れるとモレッティはJesus(神よ。何てことだ)と言い、警官はQueer(同性愛者に対する蔑称。字幕では「ホモかよ」となっていたけどここは「カマ野郎」位のニュアンスが正しいと思います)と罵り、一部の市民はソニーが乗るバスに石を投げつける。ソニーは普通にカトリック信者なのに。3.中産階級が低所得に喘いでいた当時の社会状況。警官すら例外ではなく、ソニーが撒く金に群がるって……。あれだけおおごとな事態になったのに銀行サイドの経営者の描写がゼロなのはアメリカの基本的な経営者のスタンス(会社は従業員が主体では無く、株主のもの。だからソニーが言及していた通り労働組合の数も極端に少ない。)を表していたのかも知れません。 そして最後に解放された途端に安堵の表情を浮かべる人質たちを見たソニーの顔のインパクトは素晴らしい。彼はあの時、何を思ったのか。結局自分がしたことは何の意味もなく社会は回っていくのだという絶望だと私は解釈しました。  しかし最後に字幕が良くない点を指摘せざるを得ません。前述した【queer】の訳はニュアンスの問題だけれども、【Attica】を単に「アティカ」と訳していたのは完全に誤訳でしょう。あれは明らかにアッティカ刑務所暴動のことです。固有名詞くらいちゃんと調べて訳して欲しい。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-13 12:37:33)(良:1票)
212.  ソハの地下水道 《ネタバレ》 
いわゆる「シンドラーのリスト」系。ナチ占領下のポーランドでユダヤ人を命懸けで守った実在のポーランド人ソハの物語。地下水道での不衛生極まりない状況での暮らし、そこでユダヤ人に起こる生々しい人間関係の悪化、そんな敵兵に見つかる恐れもあり音も立てられない極限状態における出産シーン等は、実際に当事者であったユダヤ人の少女による手記を基にしているためか、大変リアリティのある描写の数々となっています。 しかもこの映画が「シンドラーのリスト」系の映画と大きく異なる点は主人公ソハが物語の最初は本当に人間的にクズなこと。ユダヤ人を金づるとしか見なしていなかったり、無人のユダヤ人ゲットーから金目のものを盗み出すという最低な人間でした。そんな彼がユダヤ人を匿っていく内にナチの凶行にNO!と言う様になる。その姿にはありきたりとはいえ感動してしまいました。 普通の戦争映画ではただの可哀そうな民族として描かれがちなユダヤ人にも、人間的に最低な奴(特に嫁さんの横で違う女の子に手を出す奴!しかも女の子が妊娠した途端逃げる。なんちゅう奴だ)がいたりしているのも人間ドラマに深みを与えていると思いました。
[映画館(字幕)] 8点(2012-12-31 19:56:32)
213.  ホビット/思いがけない冒険 《ネタバレ》 
ピーター・ジャクソンは脳内の想像を映像化する天才だと改めて感じました。彼の映画『LOTR』『キングコング』でも単なるファンタジーをよくぞここまでリアルに映像にしたものだと驚嘆しましたが、本作でも凄かった。ニュージーランドの雄大なロケーションを最大限に活かした舞台設定、そこを自由自在に動き回る魅力的な種族たち。白眉だったのはゴブリンの住処に迷い込んでしまう直前、岩の巨人に襲われる場面かと思います。画的には岩の巨人って間抜けですが、3D表現を使い迫りくる巨大な物体にここまで迫力を持たせることができるのかと感動。 あとLOTRファンへのサービスなのでしょうが、あらゆるところで各種族のテーマが流れるのはファンとしてはどうしても上がってしまう。ビルボが一つの指輪を手に入れたとき、LOTRの流麗なテーマが流れたときは「キタキター!ここから壮大な指輪物語がはじまったんだ!」と無駄にテンション上がったり。今回大フィーチャーされているドワーフのテーマも実に耳に残り易い良曲だったかなと。 ぶっちゃけ映画としてはヤッパリ原作が子ども向けとあってか、シナリオにも行き当たりばったりな部分もあるし、ハイライトがゴブリンとの追いかけっことオークとの高鬼というのも正直ショボイ。 しかし『LOTR』も第一部「旅の仲間」は至る所から「地味だ」、「長い」、「眠い」と悪評が吹き荒れたが、第二部「二つの塔」第三部「王の帰還」でピーター・ジャクソンは完全に名誉を挽回した。 なにより本作はシリーズの最大の敵となる黄金竜スマウグの全貌を見せていない。ピーター・ジャクソンならハリポタのドラゴンも裸足で逃げ出すくらいの迫力ある竜を描いてくれると次回作にも大きく期待しています。
[映画館(字幕)] 8点(2012-12-31 11:31:03)
214.  チェイシング・エイミー 《ネタバレ》 
只のロマコメかと思いきや真剣に愛のカタチを考え抜いた話で驚きました。ストレート、レズビアン、ゲイ、ホモフォビア、それぞれの愛に対する本音を赤裸々に描いています。そしてパートナーが性に対して経験豊富だったらどうするのか?という結構ありふれた問題に対して主人公が悩み、考え続け、成長する展開には少し目頭が熱くなってしまいました。 それからキャラクターの性格というか恋愛へのスタンスをアメリカンコミックに投影させて言外で描写していることに驚かされます。ヒロインのアリッサは昔"タコツボ"(アレを吸い付くと離れないという意)という渾名が付いていた程の世間的にはアバズレ女ですが書いている漫画は運命の人に巡り会えずに悩む人々の話です。つまり彼女は本当の愛のカタチを探し求めて、3Pをしてみたりレズビアンになってみたりしたことがそこで判る。主人公の親友のバンキーは最後にゲイであることが明らかになりますが、彼はずっとヒーロー物の漫画を書いておりそのヒーローは親友である主人公のことだった。だから最後に主人公との愛が成就しないと悟りヒーローを殺す話を書いた。主人公は性に対して経験豊富なアリッサを中々受け入れられず拒絶し彼女を傷つけた体験を"Chasing Amy"という漫画として上梓した。真に心を打つ作品とは作者の個人的な感情が吐露されている作品であるという一種の芸術讃歌にもなっている点が大変面白いと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2012-12-08 18:56:03)
215.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
王族の話、しかも実在したジョージ六世の伝記映画と聞くと平民には分かりにくそうな話の気がしますが、実際に観てみるとストーリーが一種の主人公の成長物語となっており非常にオーソドックスなお話で大変面白かったです。なんせ主人公のジョージ六世は吃音症に悩まされながらも、あの歴史上でスピーチの天才の一人に数えられるであろうヒトラーに打ち勝たなければいけないんですから。そうでないと国民の士気はどんどん下がり、戦争にも不利になってしまう。そんな吃音症を患うジョージ六世をコリン・ファースが熱演、アカデミー賞受賞に恥じない名演技でした。また個人的には彼の吃りを治療するローグを演じた名優ジェフリー・ラッシュのいつも人を食った様な演技が素晴らしかったと思います。彼がアカデミー賞を獲れなかったのは非常に残念です(調べてみたら獲ったのは『ザ・ファイター』のクリスチャン・ベールだったんですね。ものすごいレベルの高い助演男優賞争いだったんだんですねえ)。とにかくその位、役者の演技が魅力の作品でした。では演劇的なシーンばかりかというとそんなことは無く、広角レンズで下から撮ったり、吹き抜けの家を真上から映したり、ジョージ六世が踊りながらスピーチの練習をするシーンはカメラも一緒に回ったり。カメラの面白さの極致はハイライトとなるスピーチの場面。ジョージ六世とローグを交互に映しながらスピーチは進みますが、殆どの画面には必ずスピーチの象徴であるマイクが画面前面に写り込んでいる。つまりこの場面は必然的にテイクをバラバラに撮ったことになりますが、全くそんな編集を感じさせないスピーチになっていました。凡庸な監督なら一つのセンテンスを纏めて適当にパンでもしながら撮っちゃいそうなものです。そんな風に画面の動きを楽しめる部分も多く、監督賞をトム・フーパーが獲ったのも納得でした。監督としてはまだ年齢では中堅ですのに、これだけの名優のコントロール、カメラワークの面白さ、効果的な音楽の使い方。次回作の『レ・ミゼラブル』への期待が高まります。
[DVD(字幕)] 8点(2012-11-23 19:31:22)(良:2票)
216.  悪の教典 《ネタバレ》 
まず言及したいのがヤッパリ伊藤英明の怪演ですね。どう見ても善人にしか見えない外見を活かした見事なキャスティング、鑑賞後は蓮実役は彼以外に考えられないとまで思いました。三池監督は「十三人の刺客」でも稲垣吾郎に極悪人をやらせたりして観客の度肝を抜きましたが、今回も上手かった。この映画の主人公のキャラクターは共感性が欠落しているという演技が出来なければ成り立ちませんが、生徒が命乞いしても首を傾げて「なに不合理なこと言ってんの?殺さない理由がないだろ」って感じの顔はそれを説明するには十分過ぎる演技だったと思います。 またホラー描写も素晴らしいと思います。先生を信じて屋上前の階段で待っていた生徒を次々に射殺していく場面では、射殺される女子生徒は直接見せず、画面奥で銃声と共に飛び散る血飛沫で殺戮を表現したり、直接見せている場面よりずっと怖い。しかも主人公は"モリタート"を楽しげに口ずさんでいるというおまけ付き。歌を口ずさみながらの残酷描写ってのは『時計じかけのオレンジ』のアレックス以降お馴染みですが、不変しないホラー表現だと思います。 それから脚本もスマートでした。原作の『悪の教典』は「え?あれだけ色々描写されてた生徒が一瞬で殺されちゃうの?」という意外性が面白いのですが、映画化するにあたっては同僚教師や生徒の描写は基本的にカット。原作では釣井先生も蓮実と同様に結構人を殺してる人間なのですが、そういうエピソードは丸ごと切り、蓮実の話だけにしたのも良かったと思います。 ただご丁寧にAEDの録音機能について説明したり、清田梨奈の家の周りにありえないほどペットボトルを並べたりするのは説明過多なんじゃないかなと思います。観客はちゃんと勝手に考えて描写を補完するし、あれだけこれみよがしに見せられると観客をバカと思ってるのかなって気がしてしまいます。
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-12 23:43:36)(良:3票)
217.  アルゴ 《ネタバレ》 
イラン内での描写の緊張感が尋常ではなく手に汗握る二時間でした。ベン・アフレックは俳優から転向したのに素晴らしいですね。役者のアップから他の役者のアップへのパンショットや小道具を執拗に追うカメラワークは「ボーンシリーズ」のポール・グリーングラス監督の様で実に臨場感があります。その忙しなく緊張感溢れるシーンの合間にハリウッド映画界の皮肉をコミカルに描く辺りのバランス感覚もとても良かったです。役者では相変わらず棘のある爺さんをやらせると最高のパフォーマンスを見せるアラン・アーキンが大物プロデューサーを熱演。もう少し主人公が上官の命令に背き独断で作戦を実行するに至る描写や、カナダ人に扮する為に試行錯誤する描写などを加えてほしい気もしましたが、緊張感を持続させ得る上映時間としては本作の二時間程度がベストなのでしょうね。
[映画館(字幕)] 8点(2012-11-01 00:20:17)(良:1票)
218.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 
とっても怖かったです。今の詰まらないホラー映画みたいに「バーン!」て音で怖がらそうとしていない分、余計に怖い。静謐な南極大陸の基地で起こる出来事であるという点も、The Thingが音もなく忍び寄ってくる恐怖と合っており良い。グッチョングッチョンのクリーチャーも勿論気持ち悪くて大変良いのですが、それよりも素晴らしいのはリーダー格だったカート・ラッセルがどんどん暴走していき、最後は疑心暗鬼なり疑わしい者を殺していこうとする所。こういう役割のキャラクターは普通のホラー映画なら中盤で死ぬような奴が担うものですが、普通に考えたらそのグループで一番権力持っちゃってる奴がそうなり易いですよね。その辺が変にリアルで怖かったです。こういう展開が後の「CUBE」等の傑作ホラー映画に受け継がれていると考えれば、ホラー映画の中で非常に重要な作品でしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-27 19:27:12)(良:2票)
219.  ズーランダー 《ネタバレ》 
モデル界を徹底的に茶化したバカコメディ。数々のギャグが本当に下らなさ、モデルたちの頭空っぽさにはついつい笑ってしまいます。特にガソリンスタンドでの異常な規模の爆死シーンと世界一くだらない「2001年宇宙の旅」のパロディには腹抱えて笑いました。主演のズーランダーことベン・スティラーとハンセルことオーウェン・ウィルソンの演技のアンサンブルが実に絶妙で、現在のコメディ映画界を彼らが牽引していることを考えると実に豪華な組み合わせですね。そしてヒロインのクリスティーン・テイラーが可愛い!ベン・スティラーも良くこんだけ可愛く嫁さんを写したもんだ。それにしても本職のモデルさん達がこの映画を観たらどう思うのだろう?とも思いましたが、たまにモデルさんのインタビューとか見ると本当にファッションにしか興味ないような人もいるので(誰とは言わないけど「2chのまとめサイト見て政治を知りました!」とかもうね)、それほど現実と乖離した内容でも無いのかなって思ってみたり。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-20 16:00:46)
220.  ベリー・バッド・ウェディング 《ネタバレ》 
笑うに笑えないギャグが連続する所謂トラジェディックコメディ(悲喜劇)。平均点が豪く低いですが、個人的にはメチャ面白かったです。画面内では酷いことが行われて観客が「ウゲゲー」と思っている場面に平気で笑いを被せてくるので不快に感じる人が多いのでしょうか。監督のピーター・バーグは間違いなく鬼畜根性を持っているというか、まあハッキリいって嫌な奴でしょうね。なんか感覚的にはスティーヴン・スピルバーグに通じるセンスのような気がしました。あの人も凄惨なシーンに平気でギャグ入れて困惑させてくるし。ただスピルバーグはキッチリ感動もさせてくれますが、ピーター・バーグは最後の最後まで観客に嫌がらせする様な監督ですね。そういう作品も面白いと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-13 23:12:21)
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