Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧。11ページ目
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
>> カレンダー表示
>> 通常表示
201.  血を吸う粘土 ~派生 《ネタバレ》 
また見てしまった。派生というか続編のようでもあり、若手多数出演の中で黒沢あすか姉さん(監督の妻)が奮闘するフォーマットができつつある。 今回も主要キャストとして、講談社主催「ミスiD2018」の関係者6人が出ている。選ばれただけあって容姿も高水準の人を揃えていたが、揃い過ぎて劇中人物としては不自然だった。なお主演の藤井愛稀(ふじいいつき)という人は、さすが主人公なので一筋縄ではいかない個性的な可愛さを見せている(母親とも津田寛治とも似ていない)。 バケモノ造形は、今回は粘土の素材感にそれほどこだわった感じには見えなかったが、鳥を捕って食うのが面倒くさいのは印象に残った。最後は何が出たかと思えば結局これかという感じだったが、このとぼけた顔を見せなければこの映画でないということではあるらしい。 ほかに映像面では、今回は普通にアーティスティックなビジュアルで見せていると思ったら、結局最後は本来の泥臭い世界が現出するという趣向だったようでもある。ビニールカーテンを使った虚構空間とかは面白くなくもない。  ストーリーとしては12年後の話だったようで、前回の怨念は薄れてしまって惰性的に凶行を繰り返すのかと思ったら、最後だけ唐突に前回並みのスケール感で大惨事が起きていた。この騒動の元凶になったジジイはいったい何がしたかったのか。ちなみに前回イモムシ(モスラ)と思ったのはミミズだったらしい。 ほかに人間ドラマ的なものとして、今回は主人公を中心にした家族関係のテーマがあったように見える。実父への思い、それとは別に実母への思い、養家の娘との関係など複雑だったようだが、切れ切れなのであまり心に残らない。どうもそういうところが素直に受け取れない作りなので、次回は(あれば)改善願いたい。  以上いろいろ書いたが、面白くなくもないが絶賛するほどでもないという微妙な感じなのは前回同様だった。しかし今回は総体的な映像面の印象と、主人公の可愛さで前回+1点にしておく。 なお笹野鈴々音さんがどこに出るのかと思っていたら何と顔が見えていないではないか。スーツアクターになってしまったのか。せっかく出るのだから可愛く見せてもらいたい(共演者のブログのようなものに打ち上げ時の写真が出ている)。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-07-04 09:59:34)
202.  リベレイター 南米一の英雄 シモン・ボリバル 《ネタバレ》 
19世紀初め、南アメリカ(北西地域)をスペインの支配から解放して独立させた英雄の映画である。邦題は英題のカタカナ書きだが、それより原題のリベルタドールLibertadorを使った方が、日本でも知られたコンキスタドールという言葉(「虹コン」など)との対比で人物の性格が際立ったのではという気がする。 出身地はベネズエラのカラカスとのことだが、1999年から2013年までベネズエラ大統領だったウーゴ・チャベスは、この人物を賞揚して国名を「ベネズエラ・ボリバル共和国」とわざわざ改名し、その政策も「ボリバル革命」として知られている。この映画も国策映画のようなものかと思ったが、部外者として見た限りではそれほど臭みのようなものは感じられなかった。世界史的な有名人を知っておく意味で見る意義のない映画でもない。 ただし内容的には大河ドラマを2時間に縮めたようで何が何だかわからない。どうも歴史的経過をこの映画自体でわからせようという気がなかったようだが、主人公の最期が謀殺だったとほとんど断定していたのはこの映画の独自性かも知れない。弁論合戦とかアンデス越えとか橋の大激戦といった見せ場はあり、また港の少年のエピソードが救われた気にさせるラストではあった。  主人公の政治的な考え方に関しては、本人が美辞麗句で理想論を語るのはあまり真面目に聞く気にならなかったが、結論的にはアメリカ合衆国の建国の理念と同じであって、ただ白人だけでなく全人種のためと言っていたのはたとえ話としてわかりやすい。ただし初めから考えが固まっていたのではなく、意見が対立しているように見える相手から、その都度考え方を取り入れながら視野を広げたようには見えた。 しかし南米の統合(境界をなくすこと)にこだわっていたのは実は動機が不明だった。各地の在地権力者の専横を抑えて国の力を大きくし、外国勢力(金融関係?)の介入を防ごうという意図ならわからなくはないが、この辺が製作当時の政権の主張に沿った形になっていたということか。  なお手厳しかったのは“スペイン人は支配はしても家族の生命までは奪わなかった”という老婦人の発言だったが、そう言われても、スペインの支配が永続していいともいえないので困ってしまう。史実がどうだったかは知らないが、この映画で見た限りでは優しすぎる英雄の姿が表現されていたようで、そういう人物像には好感が持たれた。 ちなみに主人公の奥様も、オッパイはともかくなかなかできた人物だったようで、早々に退場してしまったのは残念だった(手に黄疸が見えた)。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-06 10:27:38)
203.  ストレイ 悲しみの化身 《ネタバレ》 
原題のтварьは生き物とかいう意味らしい(creature, being, animal, beast, monster: Wiktionary, the free dictionaryより)。英題のstrayはストレイドッグ(野良犬)のストレイだが、この映画の場合は浮浪児のようなイメージか。邦題の副題「悲しみの化身」が最もまともに内容を説明しようとしている。 スタッフの人名を見ると原作(原案?)・脚本・監督とも女性らしい。ジャンルにはミステリーとあるが特に難解な部分はなく、結末部分を含めて素直に見られる作りになっている。ホラーとしては、邪悪な子どもと夫婦という設定自体にかなりの既視感があるが、それよりはドラマの方に力点が置かれている。 物語の中心になるのは家族の喪失による心の痛手ということだが、それほど独創的に見えるところはなく、見る側の立場で何か心に刺さるものがあるかどうかということになる。この生物も存在意義があるからこそ存在しているのだろう、と推定してみせた孤児院のシスターの達観には少し感心した。細かい点として、途中で夫婦それぞれの心変わりが唐突に感じられるところがあったが、これはバケモノが人の心につけ込んで操作していたのが原因と思われる。人の魂をもたず知能と生存の意志だけはある悪辣な生物に利用されそうな弱みが、夫婦の両方に最初からあったということで、こういう点は現実社会でも警戒しなければならない。  映像面では、現代ロシアの地方と都会(モスクワ)を舞台にした陰鬱な雰囲気は悪くない。また気に障る描写として、吹き戻し(ピロピロ笛)の場面は予告編でも見られるが、これは特に選んで入れるにふさわしい名場面である。しかし安っぽい視覚効果とかワイヤーアクションとかの技法はこの映画には不要に思われた。これは明らかにマイナス要因である。 キャストとしては、特に序盤でビースト状態のтварьを演じたのがすごい子役だと思った。また母親役の女優はそれなりの年齢だろうが、日本でいえば田畑智子さんを普通の美女(個性的美女でなく)にした感じで目を引く。他の映画に出ているのも見たくなった。 ほか余談として、「だるまさんがころんだ」は日本だけにあるのではないことがわかった。劇中では孤児院の子どもが「海の生き物、止まれ」と言っていた。またバケモノの呪文のようなのはフィン語系の言葉に聞こえたが(意味不明)、これはスラヴ人がこの地を占拠する以前の先住民の言葉とでもいうつもりか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-16 08:56:37)
204.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
可笑しそうに笑う女性の写真が気になって見た。内容としてはタイムトラベルの話だったが、主人公は「秘密のパワー」を持った家系というだけで、それ以上の説明がなかったのはかなり簡略な設定である。 主人公が何度も過去に戻って都合のいい結末を得ようとしていたのは、個人的に知っている範囲では「時をかける少女」アニメ版(2006)に似ているが、やがて取返しがつかなくなるとか天罰が下るわけでもなく、また本人の努力や試練のようなものもあったにせよ、結局思いどおりにうまくいくのは出来すぎである。結論的にも少し違っていたようで、この映画では若いうちに秘密のパワーを使って充実感のある境遇まで到達してしまい、そのあとの余生の過ごし方を語って終わったようで変な気がする。 ただ、普段の何気ない幸せ感の表現は非常によかったので、ここは監督がインタビューで語っていた映画の目的に貢献している。荒天の新婚パーティは悲惨なようでも、後になれば完全に笑い話というのがよくわかる。また平凡な一日を繰り返してみると、二度目は美女の笑顔が見えた上に、なぜか値段まで違っていたのは反則だった。終盤で幼い娘が何度も手を振るところは少し泣かされた。 自分としては過去など二度と繰り返したくない日ばかりで、今となってはもう墓場が見えている気もするわけだが、せいぜい今後とも前向きなタイムトラベルを心がけていきたいと思わされなくもなかった。悪い映画ではない。 なお自分をこの映画に誘引したヒロインは、劇中でも最高にキュートな女性だった。この点では間違いなく期待通りの映画だった。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-09 09:28:58)(良:1票)
205.  ダンスウィズミー(2019) 《ネタバレ》 
宣伝文では「ハッピーミュージカルコメディ」とのことだが、ミュージカルに徹するわけでもなくそれほど大笑いもしない。しかし一応ハッピーな気分で終わるので悪くない映画ではある。ちなみにミュージカル成分は、昔の映画でいうと優香出演の「恋に唄えば♪」(2002)と似たようなものかと思った(もっと少ないか)。 序盤のオフィスやレストランのミュージカルパートでは、せっかく周囲を巻き込んで歌とダンスで盛り上がったと思ったのに現実が悲惨だったのは非常に落胆させられたが、これはそれこそミュージカルの虚構性の表現ということか。その後のロードムービー部分で仲間と歌っているのは普通に楽しげで、特に恥ずかしいトラブルもなく、こういう純粋に音楽を楽しむところまでいったん戻ってから最後のトラウマ解消に至ったという全体構成だったのなら納得できなくはない。歌につられて自然に身体が動くのは変ではないだろうとはいえる。 歌の選曲としては少し古い方へ寄っていたようだが、個人的には「夢の中へ」とか「年下の男の子」のあたりは劇中人物のノリに同調できた。また普段、映画を見ながら先読みなどはしない方だが、3人組での「ウエディング・ベル」に関しては直前の予感が当たった(この状況ではこの歌しかありえない)…実は自分としては柄にもなくこの歌が心に刺さるものがあって痛い。 ちなみに何の説明もなく突然方言を聞かせるのが好きな監督ということなのか、今回また耳慣れない方言が出て来ていたが、これは新潟県の言葉だったのか(新潟市はほぼ標準語だと思っていた)。  キャストに関して、主演の三吉彩花という人は子役時代からいろいろ出ていたのを見たことがあり、昔から長身で美形だったので、周囲の子役の中で変に目立ってしまうところがあったように思うが、ここに至ってやっとふさわしい姿で出られるようになって他人事ながら感無量である。単純な美人女優でもないようで、今後とも幅広く活躍できる役者になってもらいたい。 ほかに名の知れた役者もいるがあらかじめ情報が出ていなかったようで、黒川芽以が出演しているのは実際見て初めてわかった(姉の「友美」役)。また「ウォーターボーイズ」(2001)のエンターテインメント性を一気に向上させた立役者である秋定里穂さんが出ているのは最初から知っていたが、実際見ると出番が少ないので不満に終わった。ここはもう少しファンに配慮してもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:16)(良:1票)
206.  京城学校:消えた少女たち 《ネタバレ》 
戦前の日本統治下での女子寄宿学校の話である。邦題は原題の直訳らしい。 題名によれば場所は京城だが、実際はほとんどが山中の学校で展開する。禁断の園のような場所に制服の美少女??たちがいて、いわゆる“少女の肢体”的なものも見えるが演者はほとんど20代だろうから特にロリコンじみてはいない。いわゆる百合要素もあるがグロ場面も結構ある。 部分的にはホラーっぽく見えるが実際はホラーでもなく、主に中盤から提示される謎をめぐるサスペンス展開になるが、最後はまたぶっ飛んだ感じで終わってしまう。発想としてはありきたりで驚きも何もないが、しかし古い洋風の学校を舞台にした陰惨なサスペンスの雰囲気は悪くない。映像面では、白と赤の対比に隠微で重層的な意味が込められていたように見えた(性的かつ侮日)。  ほかにこの映画で何か言いたいことがあるのかはよくわからなかった。まずは人類史上最も残酷といわれる植民地支配の非道を暴いたようではあるが、出来事があまりに荒唐無稽で非現実的なため告発にも糾弾にもなっておらず、単にいつでもどこでも便利に使える悪役としての日本が出ていると思ってもそれまでである。ちなみに劇中の軍人は日本語が得意でなかったようで、実は日本人でなく現地出身者だったと思っておく(朴正煕元大統領のような)。 その一方、なぜか劇中人物の間では東京に行きたがる風潮があったらしく、なんで憎むべき日本へわざわざ来たがるかと思うわけだが、校長に関していえば“ウンザリする朝鮮を抜け出したい”というのが本音だったようである。これがいわゆる「ヘル朝鮮」(헬조선)のことだとすれば、昔の話のようでも実は現代の自国の問題に触れた映画だったとも取れる。 主人公と親友は東京というより海に行きたかったようだが、実際は近場の池で間に合わせていたのが閉塞感の表現とすれば切ない。最後に2人で家へ帰ろうと言っていたのは地元回帰というより諦念の現れなのか、また過去の少女が英語の歌を聞きたがっていたのは本来もっと広い世界への憧れがあったようでもあるが、外国映画なので読み取りがなかなか難しい。  キャストに関して、主演のパク・ボヨン(朴宝英)という人は、日本人の立場からも親しみやすい可愛さがあって嫌いでない。ただし1990年生まれとのことで、この映画の時点では少女ともいえないのを童顔でごまかしていたようである。またその親友役のパク・ソダム(朴素談)という人は現地風の個性的な容貌だが、最近では「パラサイト 半地下の家族」(2019)にも出たようで存在感のある女優らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-25 08:54:30)(良:1票)
207.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》 
この人物の映画は2つ目だが大体どんなものかはわかっている。大笑いというほどでもないが終始にやけ気味の顔で見ていた。 ネロとパトラッシュがまるきりそのままの姿なのは感動的で、この格好で実名付きで出てきても誰も気づかないのは意外に知名度が低かったらしいがそれはいいとして、人間社会に恨みがあるなら日本でなくベルギー(フランドル)社会に復讐してもらいたい。小ネタもいろいろ出ていたようだが自分としては世情に疎いので、「浜崎」というのはこういうイメージを持たれていたのかとか、「こまごめピペット」とは何のことだったか(器具でなく)と考えてからもしかしてアレのことかと思い出したというところはあった。また時節柄、鼻の粘膜に指で触るなとか、南米産のサルなど何がついているかわからないといった心配をさせられた。 物語的なところでは、これまで何十年間も隠されてきたものすごい秘密が明らかにされるのかと期待していたら、最初からネタバレしていたことに気づかないでいたおれはバカかと思ったが、それもウソだったらしく結局どうでもよくなった。しかし日昇ということに関しては、途中で極めてまっとうな理屈を説明していたにもかかわらず、最後になって荒唐無稽な超自然現象を起こしておいて「これでいいのだ」と言われても、別に悪いとは言わないが、宇宙の秩序が崩壊しているとしか思われないのでハジメちゃんに何とかしてもらいたい。ちなみにママは優しそうでちゃんとした人なので和まされた(好きだ)が、夫の奇矯な行動を周囲に詫びる様子など見ると、やはり昭和(戦前)生まれの人物像が表現されているようでもある。 そのようなことで、あまりまともな感想が出て来ないがそういう映画だった。好きな人は好きだろうとは思う。決して面白くなくはない。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-06 19:51:59)(良:1票)
208.  コンテイジョン 《ネタバレ》 
何となく始まって何となく終わってしまう映画だった。別にハリウッド的大活劇を期待したわけではないので悪くはないが、正直言って退屈だった。 大筋としては現実味のある展開だったが、現時点で世界的に起きている感染拡大よりさらに深刻な事態ではあったらしい。略奪や暴動が起きるのはアメリカでは普通のこととして、日本人の感覚で完全に予想外だったのは、看護師の組合がストライキをするということだった。また対策に当たる公的機関としては、もはや日本人にも馴染みになったCDCとWHOが出ていたが、うちWHOが製薬会社と癒着していると誹謗されていたのは結局デマだった?ようで、やはり信頼できる国際機関がないと困るということだ。 ほか細かい点としては、妻と話せるかと夫が尋ねた場面は“実感がわかない”ことの表現としてユニークだった(あるいは気が動転して初めから話を聞いていなかったとか?)。また登場人物では、CDCでサルの身代わりになった人が見せた穏やかで愛嬌のある顔が好きだ。父親にとってはさぞ可愛い娘だったろう。  ところで一般庶民のする感染症対策としては、人との接触を避ける、握手しない、病気なら家にいる、頻繁に手を洗うといった常識的なことが語られていた程度だったが、ほかに重要だったのは「テレビやネットの噂」を信じて不安を募らせるなという点かも知れない。利己的な動機で人々の不安を煽る連中はどこにでもいて、やがて死滅するわけでもなく社会に巣食ったまま、ウイルスのように生き延びていくというのが一つの問題提起だったように思われる。 現在の日本でも、情報発信者にどういう思惑があるか(誰の得か)を想像しながら聞くのは必須と思わされる状況だが、加えて、どうもメディアが触れようとしない/逸らす部分があるらしいのは困ったことである。しかしとりあえず一般庶民の立場では、それぞれが感染しない・させない行動を習慣化して、災害だけでなく感染症にも強い社会を作っていくのが大事と思うしかない。日本人にはその素質が備わっている(ブタの血のついた手を服で拭いてから人と握手する調理師は日本にはいない)。その上で、弘化三年に肥後の海辺に出現したという「アマビエ」の絵でも見て和んでいるのがいい。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-03-23 20:29:03)(良:1票)
209.  デスフォレスト 恐怖の森2 《ネタバレ》 
同じ監督の第2作だが脚本の主担当は代わったらしい。前回が基本型とすれば、今回はドラマ性と娯楽性を増して強化した形になっている。 場所設定は一転してなぜか女子高だが、撮影場所にした廃校を、校舎移転中の寂しい場所として使ったのは悪くない発想だ。禁断の園っぽい雰囲気ながら演者はとても高校生には見えないが(1人だけ当時10代か)、高校演劇部らしい?わざとらしさがかえっていい印象につながっており、一応この劇中世界につき合ってやるかという気にはさせられた。  今回は特に物語面の充実が特徴である。前回タイプの人物は簡単に死んで破滅型の愛も報われず、結局は単純バカ的に心正しく前向きな人物と、その人物に引っ張られて現状打破を決意した人物が残っていた。その上で人助けということを軸にして、完璧主義に縛られてはならないということと、他人のためが自分のためにもなることをそれぞれ知った形になっている。結果として、危機に際して居合わせた人物同士が影響し合って人間的に向上したという、極めて正統派の青春物語になっていたのが自分としては非常に心地いい。 バケモノ類に関しては、大顔キャラに立体感があるとか白塗りが実体感を増しているのは進化した印象もある。大顔が正面から迫るのは一応怖いが、同時に笑いの衝動を抑えられないところもあり、またフラッシュをたくと慌てた顔でプルプルっと震えるのは可愛かったりする。ほかにあからさまなドッキリで爆笑させられる場面もあったりして、これならよくいうように皆で集まって騒ぎながら見るのにふさわしい。ちなみにグロ場面は比較的リアルだが、演出的にドライなので嫌悪を感じるものでもない。 なお「ロケーション/熱海市観光推進室」はガキっぽい俗悪映画に名前が出ていて呆れたこともあったが、今回はいい映画に協力した(たまたまだろうが)。  キャストに関しては初めて見た人ばかりだが、W主演はそれぞれいい感じを出していて好きだ。倉持由香という人は、一般映画としては当然だろうが尻ばかり強調する場面はなく、主に顔の雰囲気を見せている。下垣真香という人は本来もっと大人の役をすべきだろうが、今回は確信犯的天然真面目キャラになっていたのは嫌いでない(ちょっと惚れた)。なお脚本家役をやった人は、現在は芸能活動をやめて帰郷して結婚して子育て中とのことである。どうかお幸せに。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-25 10:29:27)
210.  新・御宿かわせみ<TVM> 《ネタバレ》 
平岩弓枝の時代小説シリーズを原作にして1980~83年に放送されたNHKのTVドラマ「御宿かわせみ」の続編で、旧作から30年後の製作になる。このドラマも同じ著者が2007年から発表している同名シリーズが原作で、その原作自体はこの後も続いているがドラマの続きは実現しておらず、現時点ではこの単発ドラマで終わっている。旧作は幕末だったが今回は明治5年とのことで、名前が東京になって建物や風俗は欧風化してきているが実はほとんど江戸のまま、という微妙な時代を映像化している。  もとのドラマはほとんど見たことがなく、宿屋を舞台にした人間模様という程度にしか思っていなかったが、実際は毎回何らかの事件が起こって解決して終わる短編シリーズのようなものだったらしく、このドラマもその作りを踏襲していたようである。もとからそうなのだろうが少し古風でわかりやすい時代劇を目指したようで、「あら茶柱が」には笑ってしまったが「下郎」というのは好きだ(3回も言っていた)。 登場人物の多くは旧作から引き継いでいるが、今回は主要人物の息子・娘に当たる若い世代がドラマを動かす形になっている。前時代から生き延びてきた極悪人を縛につかせるため奮闘し(叩き斬ればよかったが時代が明治)、同時に登場人物がこれまで引きずってきたものにも片をつけ、それぞれが新しい時代に向き合う覚悟をした物語ということらしい。 ちなみに若い世代に関しては、青春ものらしく男2人女1人の緩い三角関係(時かけパターン)ができていたように見える。実際は母親の違う兄妹が入っているので三角関係にはならないが、ラストでじゃれ合っていた姿には和まされた。また主人公の娘にとっては、今回は通りすがりの青年にちょっと心惹かれたエピソードという意味合いがあったらしい。  キャストに関しては、物故者を除き以前の役者がほとんどそのままなので往年のファンには嬉しいだろうが、年齢も一斉に+30になっており(60代中心)、その分若い世代を新鮮に見せる効果を出している。若手も名のある役者だが、その中で前田希美という人はちょっと異色な感じで、これは以前からNHKの番組に出ていたことの流れかも知れない。周囲がベテランぞろいの中で、時代劇の少し改まった物言いや立ち居振る舞いは大変だったのではと思うが、主人公の娘にふさわしく可憐でいじらしい表情は見られた。また結城美栄子という人も久しぶりに見た気がする。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-11 00:20:23)
211.  うしろの正面<OV> 《ネタバレ》 
監督・脚本とも女性だが、妊娠中の女性には向かない映画かも知れない。 映画宣伝でいう「レディース・ホラー」とは何かと思って見ていたが、妊婦のいわゆるマウンティングのようなものとか、寄り添ってくれているようで認識がずれている夫、歓迎されているようで本当に安心していいのかわからない義実家、という感じのものが見えた気はした。当事者にはかえって不快な場面もあるだろうが、これだけでもホラーとしては異色に思われる。 物語的には変則ながら一応の邦画ホラー形式に乗っていたようで、主人公が遭遇した呪いの発祥地がたまたま夫の実家にあり、出産前の里帰りという形で恒例の現場突撃をやる展開になっている。  ところで呪いの真相に関しては、安手の邦画ホラーでよくあることだが無駄に難解で(はっきりいって独りよがりだ)、各種の解釈をやたらに取り入れたことでわけがわからなくなっている。 ①まず歌詞について、最も普通の解釈は“悪意による堕胎”ということだろうが、これは劇中でいえば主人公が「美紀」に?石段で突き落とされた場面に当てはまる。また10年前の死産も例えば姑のせいだったかも知れない。この場合の「鬼」は堕胎させられる側になるはずだが、実際は美紀?(または姑?)の方が鬼に思われる。 ②しかしその後は、歌詞でなく遊びの解釈としての「口減らし」説が前面に出たらしい。胎児を取られた「舞衣子」が今度は「神からのお告げを受ける役目」の鬼になり、胎児を取る相手を指名する権限を行使していたようだが、実際は神の意志というよりただの八つ当たりに見える。その点、産婆だった義祖母の方が神の執行者としての鬼に近いかも知れない。 ③しかしその後にまた鬼の意味が変わり、最後は主人公の立場で“他者を排除しても自分の子を守る母親”という解釈に落ち着いたように見える。「鬼は私」という台詞もあったが、その主人公にも“何であいつに子ができるのか”といった負の感情は当然あったわけで、そのため最初のうちは主人公が元凶のように見えたが、最終的には守りの意思の方を強く出していた。 以上について感覚的にまとめると、妊娠・出産(+育児もか)にまつわる悪意(鬼)は至るところに存在するので、それをはねのけるため母親自らも鬼になれ、というメッセージだと勝手に受け取った。レディースというよりオンナのホラーという印象だったが、それにしてもこういう面倒くさいものの解釈を強いられるのは疲れる。  ほか世間ではかごめの遊びを降霊術と関連づける説もあり、劇中でも霊媒師が出る場面がある(漫才師は不要)。また鏡に映すと降りたものが見えるという説もあるようだが、スマホの自撮りと終盤の鏡は“鬼を映すもの”として機能していたように見える。そういうことを調べているうちに怖くなって来たので、ホラー映画本来の性質も備えていたといえなくはない。 なお映像面では天井から降る鋏がユニークで、また西部劇の決闘場面のようなのも悪くない。赤い食物は他者を食って自分の子を生かすということの隠喩か。主演の吉田裕美という人はそれなりのお年頃だろうが、なかなかいい感じの女優さんだった(惚れた)ので悪い点はつけられない。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-04 09:29:39)
212.  レア・エクスポーツ ~囚われのサンタクロース~ 《ネタバレ》 
題名のカタカナ英語がよくわからない。これだけでは何の映画かわからないので日本でも副題を付けているが、Internet Movie Databaseで見ると世界各国でそれぞれ好き勝手な題名を付けていたようで、国によって映画の受け取り方が違うということかも知れない(かなり可笑しいのがある)。ちなみにRare Exportsの意味は映画の最後にならないとわからない。 クリスマスの映画といっても映像的には汚く見えるところが多いが、周囲の自然景観はさすがに見栄えがする。設定上の舞台は、フィンランドでサンタクロースの本拠地とされるラップランドのコルヴァトゥントゥリ(Korvatunturi, 486 m)という山の周辺だが、実際の撮影地はノルウェーのトロムソTromsøとのことで、本物よりも周囲の山が険しく見えていると思われる。ちなみに昼の時間が極めて短いのは北極圏の冬の表現だろうが、12月下旬なら実際はほとんど真っ暗ではないか。 物語としては大昔のサーミが封印した悪魔のようなものを、外国資本が蘇らせてしまったために破滅の危機が迫るといった体裁で、一応ホラーのように見えなくはない。サンタの使い魔?(原語でtonttuと言っている)が集団で迫るのはけっこう不気味で、真冬なのに全裸で股間にぼかしが入っているのは子どもに見せるものとも思われない。  ところで一般的には、サンタクロースといえば言葉の意味からしてもキリスト教の聖人と思うのが普通だろうが、この映画では独自の発想で“サンタクロース異説”を作ったように見える。 しかし必ずしも常識外れなものをでっち上げたわけではなく、もともと現地のサンタクロースとはこういうものだったとも考えられる。フィンランド語でサンタクロースをいうJoulupukkiは“ユールのヤギ”であるから、サンタの親玉が角を生やしていたのも変ではない。また死人が出たのは大殺戮の予兆にも見えたが、実はドイツの黒いサンタや日本のナマハゲ(アマハゲ、アマメハギなど)のように、悪い子を懲らしめればそれで終わりだった可能性もある。古書の挿絵は主人公のようなクソガキに脅しをかけるための誇張に違いない。 そのように本来は子どもに恐れられる存在だったものを、お仕置き確定のクソガキが妙な行動力を発揮して撃退した物語だとすれば、痛快かも知れないがかなりふざけている。あるいは商業主義にまみれたクリスマスへの皮肉を込めた社会派映画かも知れないが、それにしてもふざけた映画というしかない。家族でクリスマスを祝う善良なフィンランド人のイメージは破砕されてしまうが、ユニークなのは間違いないので少し好意的な点数にしておく。  余談として、劇中に出ていたようにコルヴァトゥントゥリはフィンランドとロシアの国境にあるが、妻のヘアドライヤーが何者かに盗まれたと思い込んだ住民が「ここではローテクでもロシアでは最新器機だ」(字幕)と決めつけていたのは笑った。辺境の国境管理は大変だ。
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-21 09:55:58)
213.  あの日のオルガン 《ネタバレ》 
保育園が主導した戦時疎開の話である。保育園というのは時間限定で預かるもの、という前提ならこんなことはしないだろうが、東日本大震災でも親元に返す途中の悲劇があったように思うので、施設主体で安全に守れるならそれに越したことはない。死ぬなら一緒に死ねばいいとはならないはずだが、それでも保護者からの批判として、親子を引き離して構わないと思うのは独身者や男だけ、と決めつけられたのは心外だった。結局誰かが死ぬまで人々は動かないということらしいが、子どもの生命は親のためでなく、みんなの未来のためにあると思わなければならない。  物語としては時系列的に出来事を追いながら、淡い恋心とか友情とか戦争関連のエピソードで起伏をつけている。妙なドタバタとか召集令状の後出しなど苛立たしくなる演出もあり、また川原の場面は話を作り過ぎだったが、最後の場面はこの物語にふさわしい終幕に感じられた。題名のオルガンは大して重要でなかった感じだが、時間稼ぎでオルガンを弾いて歌いまくる場面は確かに印象的だった。 ほか15年も戦争したとわざわざ言わせるなどはお決まりの反戦アピールのようでもあるが、それほど言いたい放題でもなく、怒りを感じたというところで止めているので政治色はあまりない(怒りだけなら誰でも感じる)。また自分としては賄い担当の人が、みんなが笑顔でいるのが文化的生活だ、と言っていたのは共感した。誰かを攻撃して貶めるのが目的の文化などには全く価値を感じない。 なお劇中の疎開先はよくある偏狭で陰湿な田舎という設定だったようで、南埼玉郡平野村の印象は悪くなる映画だったというしかない。  登場人物に関しては、現地の主任保母が何かと激昂して怒鳴るのが非常に不快だが、それでいて理解のある上司には甘えがあり、支えてほしいという心情を見せたりするのがかえって反感を増す。また歌好きの新米保母は、おまえはガキか(意訳)と言われたりしていたが、これはこれで得がたい人材だったらしく、そのことを含めていろんな人々がいて保育現場が成り立っていることの表現だったかも知れない。個人的にはラムちゃん言葉の人が、実直そうで温和そうで感じのいい人だと思った。 キャストでは、中堅保母役の三浦透子さんが色気皆無のおばさん風で(何歳の想定なのか)個性派女優ぶりを見せていたが、さすがに本人はこういう体型ではないと思われる。ほかどうでもいいことだが、「けんちゃん」の父母は顔の大きさが違い過ぎだ(母親役の陽月華という人は宝塚の出身)。  [2020/4/18追記] DVDが出たので家の者に見せたが、やはり疎開先の住民が否定的に扱われているため素直に見られないようだった。うちの地元は戦争中に学童疎開の受入側になり、その当時はいろいろトラブルもあったかも知れないが(カッペ呼ばわりで侮蔑されるなど)、それでも現在まだ地域間交流が続いているからには悪いことばかりだったわけはない。常に誰かを悪者にして自らを正当化する態度では共感も連帯も生まれない。 しかし今になって点数を落とすのも大人気ないのでそのままにしておく。
[映画館(邦画)] 6点(2019-12-07 11:22:26)
214.  映画 としまえん 《ネタバレ》 
東京の著名な遊園地を舞台にしたホラーである。「特別協力」として株式会社豊島園、西武鉄道株式会社と練馬区の名前が出ているが、遊園地側としてもプロモーションの一環として全面協力したようで、こういう企画は個人的に嫌いでない。なお練馬区はこの遊園地を成人式の会場にしているとのことで、地域愛を表現する「練馬区民の常識」といった台詞もあり、思いがけずご当地映画的な性質もあったようである。 主な登場人物は女子5人グループ+1人で(男は無視)、序盤でグループの顔を大写しにしたところでこれは良作だという気分にさせられる。女子大生年代の現在と、3年前の制服女子高生の姿を並行的に出しており、こういうので売ろうとする目論見だと思いながらまんまと乗せられてしまう。ただし終盤ではこの全員に嫌悪を覚えることになる(主人公を呼んでいる場面)。  物語としては、失踪した主人公の幼馴染に何が起きたのか、登場人物の記憶を掘り起こしながら明らかにしていく展開になる。テーマ自体はありがちだが、「なに、みんなって」という台詞で問題点が一気に明瞭になり、それへの答えが運命を決する場面が非常に印象深かった。 ホラーとしてはそれほど怖くもないが不穏な雰囲気は悪くない。手前の人物がぼかされて背後の家に焦点が合う場面では、何かいるのかと目を凝らしたが何もいないので何だこれはと思っていると、後で人物をぼかしたこと自体にも意味があるとわかるのはいい趣向だった。また「なんかおかしくない?」という台詞を聞いてよく見ると、背景のFLYING PIRATESが無人で動いているのに気づかされる場面もあったりした。 その他、仕掛けの面でそれほど独創的なものはなく、またホラーによくある都合よすぎの展開やありきたりな演出もある。後日談での少女像?の涙も意味不明だったが、これはもしかして傍観者としての悲しみだったのか、と好意的な解釈をしたくなるのは全体の印象が悪くないせいである。  なお主演の北原里英という人は、前に「ジョーカーゲーム」(2012)で見た時よりもかなり女優っぽくなっており、「嫌われたくないし」の顔はけっこう怖かったりする。小島藤子さんは今回少し可愛い役かと思ったが結局きつい性格の女子だった。浅川梨奈嬢は、映画出演時の通例だろうが胸は隠して脚だけ見せるようにしている。 また小宮有紗さんは、本来はこの中で一番かわいい人だと思うが(※主観)今回はまさかの特殊メイク要員で、ただし観客が唯一心を寄せることのできる登場人物になっている(かわいそうで心が痛い)。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-11-09 12:23:40)
215.  SUNNY 強い気持ち・強い愛 《ネタバレ》 
もとの映画は見ていない。年代と性別が違うのでかなり場違い感はあるが娯楽としては見ていられる。御霊前ダンスに1人だけ参加させないのは変だと思ったが、その後の新旧敵味方総動員のところは見る人によっては大感動かも知れないとは思った。 以前あった団塊向けのような回顧趣味が時代を下ってきたようでもあり、一応いいところも悪いところもあったという描写ではあるが、当事者であっても実は黒歴史のように思っている人々もいたりするのではないか。当時の場面を見ているとこのまま日本が崩壊しそうな勢いだったが、逆にこういう混乱と頽廃の時代をくぐり抜けて今の日本があるのだという感慨はあった。なお「新世紀エヴァンゲリオン」(1995~1996)は確かに衝撃的だった。そこは認める(綾波はあまり好きでない)。 ちなみに淡路島差別を誘発しかねないのは問題だ(難民か)。それからこの映画のせいではないだろうが、サニーという言葉は90年代よりも高度成長期のイメージだ。  キャストに関しては、いうまでもなく篠原涼子と広瀬すずは似ていない。しかし見ているうちに篠原涼子が広瀬すずに似せようとしているかも知れないという気はして来た。主人公グループでは山本舞香さんがさすがのクールな役だったが、それより何といっても池田エライザ嬢の役が最強だ(見た目が変わらない)。邪悪なグループでは小野花梨・吉田まどかの両人は見たことのある人のはずだが、今回は見る影もない変わりようで、特に小野花梨さんなど原型をとどめない姿で困ってしまう。それをいえば富田望生さんも同じだが。ちなみに松本穂香が高校1年というのも無理があるがそれを言っても仕方ない。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-11-09 12:23:37)(良:1票)
216.  紅い襷 ~富岡製糸場物語~ 《ネタバレ》 
2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場を紹介する映画で、主人公の和田英という人物が後に書いた「富岡物語」をもとにして映画向けの物語を作っている。また特に前半では現代の映像(フランスで取材など)も含めた解説部分を入れており、映画としての純度は低いと見られるかも知れないが、逆に世界遺産のPRビデオにしてはかなり豪華な作りである。最近話題の渋沢栄一も登場しており、年長の役者の重厚な演技も見られる。  映画の頃の富岡製糸場は指導者(伝習工女)の養成学校のようなものらしく、主人公とその同僚は信州松代(真田家十万石の城下、現在の長野市松代町)の士族の娘である。ちなみに「女工哀史」とは違う時代の話なので同列に語らない方が無難である。 製糸場の建設は早くも明治3年に決定されたそうで、維新後の近代化がいかに急速だったか思い知らされる。似た例でいえば「坂の上の雲」で、明治日本が坂を駆け上がる高揚感があって少し感動的だった。「お国のために」という言葉を登場人物がわりと無造作に使っていたが、これは家での働きしか求められて来なかった女性が、公のために直接貢献できるようになった喜びの表現と受け取れる。出身地で対抗などせず皆で一緒に日本を盛り立てようというエピソードもあり、そのような近代社会の先駆けとして、この製糸場を印象づけるのが映画の意図だったと解される。 ほかに、身分によらず平等に能力を発揮する社会の表現として農家出身の工女も出していたが、ただその人物に物語の陰の部分を背負わせたことで、かえって身分差を際立たせているように見えたのは残念だった。ほか病気で帰郷した人もいたが、原作によればその後は「耶蘇の伝道師」になったそうである。 なお絹の関係では、世界遺産の富岡だけでなく日本遺産として認定された地方もあり、またシルク産業自体も国内で存続しているので全く過去の話でもない。点数は地方応援の意味で少しいい方にしておく。  ちなみに主演の水島優という人は、それほど美女という感じでもないが個性的で愛嬌のある顔だちで、この映画では10歳近く年下の役をしているが、特に最初の箱入り娘の場面などはちゃんと可憐に可愛らしく見せている。音大の声楽科を出たとのことで、その技能が「お歌」を披露する場面で生かされたかというとそうでもなかったが、それよりエンディングテーマを歌っていたのがこの人だったようで、さすがきれいな歌声だった。
[DVD(邦画)] 6点(2019-11-03 15:28:00)
217.  ビハインド・ザ・コーヴ ~捕鯨問題の謎に迫る~ 《ネタバレ》 
「ザ・コーヴ」(2009米)というのが話題になったのは知っていたが、金を出して見る気にならないので裏側の方だけ見た。 撮影・監督・編集の八木景子という人は映画制作の素人だったそうで、作中では登場人物にピントが合っていないといったところもあるが、現地の歴史的・文化的背景を積極的に紹介する一方、地元住民や行政関係者、政府機関、学者などにかなり幅広く話を聞いて、日本人の気に障る事柄を次々に暴いている。上記映画の監督や主演の人物、また活動団体のリーダーにもインタビューして、いかにも胡散臭い発言を引き出していた。 ラストに出ていたまとめのメッセージのうち「裏側で何が起きているか疑いを持って」の部分には素直に賛同できる。作中では「隠し撮りをするようなインチキな映画がアカデミー賞を獲るなんて世も末だなと思った」と語った住民もいたが、逆にいえば、映画とか芸術とかの皮を被せれば虚偽でも言いがかりでも何でも通ると思っている下司な業界など全否定してやるくらいの国民が増えればいい。しかし、初めから事実かどうかなど関係なく利得のために動く勢力とか、事実かどうかなど関係なく自分の信じたいことだけを信じる連中など、話の通じない相手がどこの国にも恐らく一定割合いるのはどうしようもない。 一方で日本政府(外務省?)の態度を問題視するところもあったようで、登場人物からはIWCなど脱退して我が道を行けというような発言もあったが、今年6月に本当に脱退してしまった時はさすがに驚いた。国際連盟からの脱退(1933)をどうしても思い出すわけだが、これが結果的にいい方向へつながるのであれば結構だ。  ところで題名にある「捕鯨問題の謎」というのは、要はベトナム戦争がらみの謀略があったということらしい。取材をもとにして突っ込んでいった結果としてその結論に至ったのはいいとして、国対国の話になってしまったのは行き過ぎのように感じられる(レイシズム批判はともかく)。忘れられない恨みというのはあるにせよ、現在の国際情勢を考えれば米豪を敵にしないのが無難だろうと思うわけだが、しかし終盤で個人としてのアメリカ人などに物わかりのいいことを言わせて対立感情を和らげている面もあった。ちなみに真珠湾vs原爆の話まで出て来たのは、ワシントンDC?の街頭でPR活動中の人物に取材したのが原因ということだろうが、この人物が仕込みではなく本当にたまたまここにいて、これを使わない手はない、と思ったのならわからなくはない。この人物の素性も明らかにしてもらいたかった。 公開後にはこの映画に対する批判も出たようで、その裏にもまた何らかの思惑なり都合なりがあるのだろうから争いの絶えない世の中だが、とりあえず強大な敵に手弁当で立ち向かって行った監督の姿勢には好意的である。この人が鯨の竜田揚げを自由に食べられる世界であってもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-10-19 17:23:32)
218.  烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE 《ネタバレ》 
スーパー戦隊のVSシリーズとのことで、今の戦隊(烈車戦隊トッキュウジャー)のTV放送が終盤にかかった時期に、前の戦隊(獣電戦隊キョウリュウジャー)と共演するのを基本とし、そこに放送開始前の次の戦隊(手裏剣戦隊ニンニンジャー)が予告的に姿を見せるという構造になっているらしい。ドラマ的にはトッキュウジャーがメインで、キョウリュウジャーはゲストの扱いになっている。  最初のところでトッキュウジャーの攻撃がなぜか敵に効かず、そこに都合よく現れたキョウリュウジャーが簡単に敵を撃退してしまうという事件が起きる。今のヒーローが前のヒーローより弱いというのは初めて見たが、いくらスーパー戦隊でもやはり子どもは大人よりも弱いのかという不安を生じてしまう。実際は子どもだから弱いのではないとわかって相互補完関係ができていたが、最後の決戦を前にしてまたメンタル面の弱さを出していたのも年少者らしい。最後は子どもならではの発想で、「家に帰るまでが遠足」と大人を励ましていたのは少し泣かせるものがあった。 もともと戦隊シリーズは幼児~小学校低学年あたり?が対象なのだろうが、トッキュウジャーはメンバー自体が子どもということもあってか本当にバカバカしく笑えるところが多い。マイッキーなる戦士?が現われたのも変だったが「電車ごっこ」はかなりふざけている(大笑)。また終盤で、メンバーが同じ色同士で一緒に戦いながら軽口のたたき合いをしていたが、女子は女子3人だけ(桃黄桃)でまとまってしまい、プレイボーイ風の男(黒)が仲間外れにされたのも笑うところと思われる。 前に見た戦隊ものの劇場版と同様に、ある程度年齢と関係なく観客を楽しませようとする映画のようで、半端にシリアスな仮面ライダー劇場版(恐らく対象年齢が少し高い)よりも、かえってこういうのの方が素直に楽しめることを実感した。  なお次期主役のニンニンジャーは、意外な(本筋に影響のない)ところで出てきて一通り活躍してから「今日はここまで」と言って去っていた。トッキュウジャーとは対面していないので、次のクロスオーバー映画で前任者を知らなかったのも変ではないらしい。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-09-15 16:56:41)
219.  Lost Harmony ロストハーモニー 《ネタバレ》 
東京の?女子高校の?合唱部員が長野県上田市の山荘に合宿に行ったところ、その場所の因縁のせいで悲惨な目にあったという映画である。ありきたりな話のようではあるがオーソドックスなのは嫌いでない。 事件の原因は、猟奇殺人者のせいではないかと疑わせたりも一応するが、実際は以前にその場所で殺された人物のせいなので心霊ホラーということになる。なぜか携帯の占いゲームで身体の特定部位を指定され、それを奪われる展開になるのでスプラッター要素も含まれている。ただしそれほど怖いものでもなく、ホラーというより登場人物の関係性をもとにした物語の印象が強い。 なお合唱部なので合唱の練習をする場面も一応あるが、出演者に特訓させるまでもなく吹替えと思われるのできれいに聞こえる。曲はコダーイの「天使と羊飼い」(Kodály Zoltán: Angyalok és pásztorok)だったようだが、それ目当てで見るほどのものではない。  主人公は部長になった気負いがある一方、部内の実力評価や無神経な教員のせいもあって親友との関係が崩れそうになっていたが、心優しい親友のおかげで最後に信頼関係を取り戻すことができていた。それ以外の部員にもそれぞれ様々な思いがあったはずなのに、今回の事件で全てが断ち切られてしまったことへの怒りが最後の行動につながったらしい(正確には死者の思いと同調したということか)。主人公の最後の言葉(エンドロールの直前)は心に染みるが、題名との関係でいえば、もう少し合唱への思いが表に出ていた方がよかったかと思う。 なお事件の元凶は、合唱部の女子生徒に次々手を出していた顧問の教員(劇中では副顧問)だったが、こういうのはよくあることだと世間に思われているからこそこういう映画が作られるのだろうから、内部の自浄作用を働かせないと外の世界の信頼を失っていくのではないか。これがこの映画の持つ社会的メッセージだったと勝手に解釈しておく。  キャストに関して、主演の広瀬アリスという人は単なる美少女かと思っていたら、この時点でもちゃんと個性的で華があっていい感じだった。その親友役の吉谷彩子という人は演技派っぽい表情がかなり目を引く。高畑充希はホラー映画はこれだけのようで、そもそも目玉が目立つ女優だが、劇中でもそこを狙われて痛々しい状態になっていた。伊藤沙莉という人はコミカルな感じで出ている。 安手の美少女ホラーのようではあるが、根が真面目そうなので少しいい点にしておく。
[DVD(邦画)] 6点(2019-09-06 22:55:34)
220.  名前 《ネタバレ》 
前に見た「ねこにみかん」(2013)の戸田彬弘監督の映画である。最初にタイトルを出したあとに出演者全員の名前を並べて(主演女優の字で)最後に「計25名」と書いていたのは役者を重んじる姿勢のようで、メイキングでも若い役者に焦点を当てていたのはいい印象だった。撮影は茨城県内が中心で、ロケーション協力には取手市・守谷市・つくばみらい市・利根町といった名前が出ているが、夜の町の風景は旧・水海道市(現・常総市)の中心街だったようである。 物語としては、要は中年男と女子高校生が出会って両方に変化が生じる話である。「ねこにみかん」ほど突拍子もない設定ではなく、性愛関係にもならないので安心して見ていられる。ミステリーというほど謎解きの要素もなく、登場人物と観客が同時並行で事情を理解していく感じになっている。  全体のテーマは演劇部での台詞が端的に言い表していた感じで、これが中年男と女子高校生の両方に共通するのだろうと思うが、人格形成途上の若年者はともかく普通の大人が直接共感できそうな話でもなく、一般人というよりは演技者向けかと思った。演技経験のない自分としては、職業的な俳優など外でも内でも常に演技している状態になって本物の自分がなくなるのではという疑問があったので、まずは自分をしっかり持たないと駄目だというのは初めて聞いた気がする。 2人の交流はほのぼのして笑えるところも多かったが、個人的に気に入らなかったのが同級生の男で、終盤で女子高校生が激白する場面では、何もこんなバカに向かって本音を吐露しなくていいだろうがと呆れた。しかしここは犬猫相手に愚痴をたれるのと同じと思えば言いやすかったのだろうし、また相手が単純バカだったからこそ都合のいい答えが簡単に得られたということかも知れない。  出演者に関して、W主演のうち駒井蓮という人は映画初主演とのことで、公開2年前の撮影とすれば当時高校1年生と思われる(現在は大学生とのこと)。超絶美形でもないがすらりとした長身で、人懐こいようなふてぶてしいような愛嬌のある顔を見せているが、演劇部の場面では本物の演劇部員のような演技もこなしていて感心した。物語自体にそれほど感動しなくても最後にいい印象が残ったのはほとんどこの人のおかげである。 また演劇部の場面では、熱意はあるが傲岸な演出家の役を金澤美穂さんがやっていたのが非常に面白かった。ここは臨場感があって好きだ。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2019-08-03 08:29:20)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS