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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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221.  パンドラの匣
なんとなく違和感を感じながら見ていると、この作品の舞台となる結核療養所へと画面が変わり、そこに映し出された窪塚洋介に対する「がんばれよ」とそれに応える「よーしきた」の日常会話から遠く離れたトーンの掛け合いが違和感をより加速させる。その後何度も出てくるこの掛け合いが端から日常会話なんかではなく一種の号令みたいなものだとわかると、違和感は一時薄れはするものの、川上未映子の登場で違和感が再び顔を出す。その聞き慣れたはずの大阪弁の不自然さに不思議な感覚を覚えたのだが、その不自然さの正体、違和感の正体はおそらくオールアフレコからきたものと思われる。昔の映画なら当たり前の、またけして音と映像がずれているわけでもないこのアフレコが独特の違和感を生んでいる。セリフを交えたナレーションにまるでミュージッククリップのようにイメージ画像をはめ込んだような感じ。「言葉自体の軽薄さ」を表す方法としてのアフレコという【ザ・すぺるま】さん のレビューに目から鱗ですが、そこに気付かなくともなんとなく映画に感じた違和感そのものが魅力となっているような気がします。とは言うものの仲里依紗の布団部屋の声は違和感が突出しすぎてもはや違和感ではなくなり異様にすぎる。「いやらしい」と「いじわる」の連発はその言葉が発せられるたびに個人的な記憶の角をつつかれているようなこそばさがあってけっこう好きなんだけど、その言葉に対する主人公の解説はべつにいらないかと。
[映画館(邦画)] 6点(2010-02-01 16:48:33)
222.  ハンコック 《ネタバレ》 
ちょっとした配慮がないもんだからその超絶パワーを使うたびにいろんなもんを壊しちゃって非難を浴びる。たしかに空から着地するたびに道を壊されたんじゃたまったもんじゃない。このあたりのスーパーパワーの負の面を面白おかしく見せる、いわゆるスーパーヒーローもののパロディ化がうまい。私服のスーパーヒーローってのもまた新鮮なんだけど、後にちゃんとスーツを用意されちゃうなんて展開も皮肉の利いた良質のパロディになっている。普通の家庭にいるには美しすぎるシャーリーズ・セロンの意味深な表情を伏線に急展開を見せる後半も楽しめた。強引な流れでどんどん深刻になってゆく終盤も思いっきりのれた。が、オチがなんとも微妙。愛する女のために離れてゆく。ここは感動的ではあったが、その後回復すれば二人はいっしょになって寿命のある人間として一生を送るのが本来のハッピーエンド。そうしないのは女の言うところの「世界があなたを必要としている」からということにつきるのだが、それならあんなハッピーエンドを装う必要はないように思う。だって悲しいことじゃん。スーパーヒーローというのはそもそも「強いアメリカ」を具現化したものだと思うんだけど、ヒーローはヒーローでいつづけなければならないという、いかにも「世界の警察」を自認するアメリカらしい傲慢な思想をあのハッピーエンドの装いに感じてしまって、あそこだけしらけた。
[映画館(字幕)] 6点(2010-01-29 17:30:58)
223.  ヘルボーイ
スーパーヒーローアクションとオカルトの融合。なるほど、複数ジャンルを巧みに融合させて独特の作風を構築するギルレモ・デル・トロ監督らしい世界観で描かれている。他の多くのスーパーヒーローのようにマスクを外して普通の人間として生活することが出来ない魔界出身の異形のヒーローは、他の多くのスーパーヒーローよりも当然孤独に苛まれるだろうに、この異形のヒーローの最大の悩みはもっと単純で普通の人間誰もが共感できるもの。その可愛らしい悩みとごつい容姿とのギャップが面白い。ごつい容姿というのは異形であることを指しているわけでなく、オッサン顔であることを指す。その悩みの種であるヒロインが薄倖の美人を絵に描いたような顔立ちで、その触ると壊れそうなヒロインが戦う様のギャップがまたそそるのだ。中盤で見せる敵キャラとのバトルがけっこう魅せてくれるのだが、クライマックスは相手がでかすぎてアクションらしいアクションが無く残念。お話的にも終盤は展開が安易かなと。ずいぶん前に見たもんで記憶違いがあるかもですが。
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-28 17:31:56)
224.  X-メン
どうやらとんでもない大ベストセラーのアメコミらしいのだが、未読未見のためそのキャラクターとか世界観の忠実ぶり、あるいは改変ぶりとかを楽しめないのが残念ではあるが、原作を知らなくてもじゅうぶん楽しめる大筋の見せ方は素晴らしいかと。ミュータントを現社会の被差別者に置き換え可能としたドラマもわかりやすく、人間を「憎い」ではなく「怖い」と答えさせるところなんて実に繊細だとも思った。ホロコーストの悲劇を冒頭に見せるのはこの物語がマグニートーの抱える心の闇にスポットを当てたものだから・・・のはず・・・。『ユージュアル・サスペクツ』でカイザー・ソゼという「虚像」を、『ゴールデンボーイ』で目覚める「狂気」を、と、見えざるものを描いたブライアン・シンガーだし・・・。が、そのあたりは続編に委ねているのだろうか。続編未見。このレビューをきっかけに近いうちに見たいと思う。 それにしてもローグは彼氏とチューするまで誰とも触れ合ったことがなかったのか!?
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-26 17:27:07)
225.  スーパーマン リターンズ
DVD鑑賞してたらお出かけしていた妻子が帰ってきて、娘がちょうど飛行機を助けに来たスーパーマンを見て、「うわっ!スッパマンや」。彼女はスーパーマンは知らないがスッパマンは朝のテレビで見たことがあったのだった。そのスッパマン、じゃなくてスーパーマンに飛行機のちぎれた翼がぶつかる!かと思ったら何事も無かったようにズバーンと翼を突き抜けていくその強靭に過ぎる体にひたすら「凄い」を連発する娘。実は「スーパーマン」を見たことがないヨメも「スーパーマンってこんなに強いん?」と驚きを隠さない。「これがスーパーマンや」と自慢げに教える私も実はこの圧倒的なパワーに半ば驚き、そしてその痛快さに感動していた。娘は夜も遅かったのでこの後すぐに就寝。困ったのがヨメ。どうもある程度スーパーマンを知っていないとわからないところが多いらしく、延々と質問の嵐に晒された。「なんで地球にいんの?」「どこから来たん?」「この衣装は誰が作ったん?」「この女の人、誰?」「クラークがおらんことになんで誰も気付かんの?」「眼鏡だけやったらわかるやろ」「なんでカツラ見ただけでわかるん?」あーうるさい。圧倒的な強さは、知らぬ者に清清しい感動を与え、続編ストーリーは、知らぬ者に疑問を与えるらしい。いやいや、ブライアン・シンガーはよく頑張っていると思う。この続編に課せられたハンデを説明っぽくならずにうまく見せている(ヨメはこの作品自体も途中からだったし)。ただ、後半ちょっと長すぎ&全体的に暗い世界観がスーパーマンに相応しくないように思った。
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-25 14:14:21)(笑:1票)
226.  ワルキューレ
これは暗殺計画というよりもクーデター計画であって、殺すことが目的ではなく殺した後に政府を掌握することが目的なのだ。つまり単純な「殺し」ではなく「殺し」も含めた複雑な「謀(はかりごと)」なのだ。映画は断然単純なものを描く方が面白い。それでもブライアン・シンガーはこの「謀」を面白く見せようと奮闘する。反ヒトラー派といってもその思想や思惑は人それぞれであって、当然そこには確執やら葛藤やらというドラマがあって、政治的なあれこれも絡んでくるはずなのだが、そこんところはあんまり描かない。極力、シンプルに。極力、事象だけを見せようとする。結果、面白かった。でも物足りなさもある。ドキドキはいっぱいあった。計画はうまくいくのだろうか。などと思ってドキドキするわけではない。計画がうまくいかなかったことで何が起こるのかでドキドキするのだ。じゃあ何が物足りないのか。おそらく「謀」を面白く見せることとドキドキさせることに関して完璧に過ぎるのだ。怒りとか恐怖とか執念とか、そういった人間的な感情が希薄、、いや違う、そんなもんいらんか、もっと、この映画に不似合いないかがわしいものでこの完璧さにひびを入れて欲しい。って思うのは変か?
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-17 16:40:14)
227.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 
人気ラッパーの名前がアルパ・チーノってのが元ネタの人の昨今の大袈裟な台詞回しを揶揄しているのかどうかは知らないが、きわどいなと。映画はまずこのラッパー出演の清涼飲料水のCM、そしてユニバーサル配給のいかにもハリウッドアクション大作のシリーズ新作のCM、それからこちらはニューラインシネマで、特殊メイクを駆使して一人で何役もこなすというどこかで見たことあるようなコメディ映画のこれもシリーズ新作のCM、最後はフォックスで問題作であることをウリにした真面目を装った映画のCMが流れる。要するにこの4本のCMに登場する個性豊かな4人が一つの作品を作り上げてゆくということになるのだが、この4人という数に問題がある。多すぎる。実際映画はほぼ2人に絞って見せてゆくのだが冒頭の対等さからすれば編集の段階で切られたんじゃなかろうか。ここまで切るんなら、あるいはそもそもそこまでの役ならば少なくともジャック・ブラックはいらんでしょ。一方ちょい役ながらトム・クルーズの存在感は際立っていた。むちゃくちゃ楽しそうに見えるし。エンディングなんて独壇場にしちゃってるし。てかエンディングを独壇場としてあけわたしたベン・スティラーもいいセンスしてる。
[DVD(字幕)] 6点(2009-12-11 15:30:14)
228.  ヴィーナス(2006)
どおってことのないお話なんだけど、見ている間はけっこう心地良かった。触れたい、匂いたい、そんな下心を全く隠さないのに紳士的で人間としての懐の深さを大いに感じさせる老人と、大都市集約の弊害なのか悪しき環境をもろに被った田舎の小娘の掛け合わない掛け合いが面白かった。老俳優の、あるいはかつての色男のプライドをズタズタにするような辛辣な言葉をさらっと受け流す老人。一方ですぐに図に乗る老人。図に乗って下心を見せようものならすかさずばしりと手が出る娘。漫才だ。声に出して笑った箇所がいくつもありました。単に老人が若い女に惚れるというお話ではない。人生を終えようとする者がこれから人生を謳歌しようとする者を正しい道へと導くというお話でもある。でも老人も男であって、やっぱりこれはラブストーリーであって、だからちょっとせつなかったりもする。ドボルザークのスラブ舞曲がこのせつない気持ちを煽るのだ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-12-09 15:42:46)
229.  あんにょん由美香
既に亡くなられた人のことについてその人と関わりのあった人たちが語り合う所謂インタビュー集という体裁のドキュメンタリーというのはよくあるが、そこに映し出されるのは語られている人ではなくカメラを担いでる監督の気持ちであったという点が異色であり、また親近感に似た感覚を覚えさせている。AV・ピンク映画界においてその名を轟かせた林由美香その人を私は全く知らないのだが、『あんにょん由美香』で語られる林由美香はどんな男をも虜にする女の可愛さと、どんな男をも納得させる人としての素晴らしさを持っている。実際のところは知らない。監督・松江哲明の林由美香に対する尊敬の混じった恋心、これがこの作品のほとんど全てと言っていいと思う。しかしこのドキュメンタリーの大半と言っていい『東京の人妻・順子』というカルトな韓国産ポルノを執拗に追う理由がいまひとつ理解しがたい。この作品に満ちた純粋な想いとは裏腹な作為的なものを感じずにはおれない。だからムリヤリに集めた韓国スタッフらと撮りあげたラストシーンにもなんの感慨も持てなかった。林由美香のことをよく知る男たちの誰もが知らない顔を知ることで少しでもその男たちと肩を並べたかったのだろうか。そう考えると分からないこともないか。
[映画館(邦画)] 6点(2009-11-30 18:10:57)
230.  ピンポン 《ネタバレ》 
映画は漫画ほどにキャラクター造詣に幅を持ち得ない。絵ではなく人間が演じるんだから当然だ。べつにキャラクター造詣に拘らなくても画が動くことで得られる感動とそれを効果的に見せる脚本で映画はいくらでも優位に立てるわけだが。しかし『ピンポン』はこのキャラクター造詣に拘る。絵に負ける部分を脚本が補足する。わかりやすく特徴付けられた主要なキャラたちがそれぞれの個性を発散させる。20代後半のARATAも30歳の中村獅童もこの漫画的世界ではじゅうぶん高校生だ。CGもこの世界に映える。ヒーローがヒーローとして登場するクライマックスを頂点とするストーリーをしっかりと映画の尺に収めたことも評価できる。それにしてもここまでキャラ重視でしてるのに何故に卓球部監督は毎度おなじみ竹中直人なのだ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-20 16:03:47)(良:1票)
231.  フィクサー(2007) 《ネタバレ》 
冒頭の数十分は何が起きているのかよく分からず、分からないままに明るくなりつつある夜明けの空をバックに美しい馬が登場し男前の主人公が車から降りて馬に近づくと車が爆発という実に謎めいたシーンが映し出され、ここで唐突に過去シーンへと変わる。この冒頭シーンが再登場するのは映画が終わりに近づこうとしている頃であって、結果から言っちゃうとここから主人公はようやく戦うことを決心するというか、せざるを得なくなるわけで、かと言ってここから映画が始まるわけではもちろんなく、この後あっという間に終わってしまうわけである。要するに映画の大半で主人公はどっちつかずの曖昧な立場にいる。曖昧な立場でいる様々な理由がこの映画のほとんどを飾る。金とモラル、組織の中の一人であることと一人の人間であること、そして父親であることの間で揺れる主人公。たしかにそれらの葛藤はじゅうぶんにドラマとなる。だけど退屈なのだ。冒頭の爆発シーンのせいでいらぬ期待を抱いてしまっているせいだ。あれが無ければこの主人公の決断にいたる過程を楽しめたのではないだろうか。殺し屋登場の乾いた恐怖感はもっと増していただろうし、何よりも謎を共有する主人公にもっと共感できたであろう。脚本家ギルロイ、脚本に溺れる。そんな感想を持った。ティルダ・スウィントンが光っていた。
[映画館(字幕)] 6点(2009-11-09 17:08:16)(良:1票)
232.  ソラリス
緩やかな水の流れに対する窓ガラスの雨の雫。感情を押し殺したかのような静寂。地球からソラリスへの移動の省略。ソダーバーグは明らかにタルコフスキー『惑星ソラリス』を意識している。意識したうえで、タルコフスキーがソラリスが起こす現象を映し出したのに対し、ソダーバーグはその現象が主人公に及ぼす影響と心の葛藤に焦点を合わせる。亡き妻への固執の原因を事細かに見せる。何度も行ったり来たりする過去のシーンと現在のステーション内のシーンを『トラフィック』でも有効に使われたコントラストの違う画面によって時空を自在に飛び超えてゆく。「ソラリス」を利用した男女の悲しいドラマを実にうまく見せていると思う。タルコフスキー版とは違ったオチもなかなかにショッキングだし、何よりもこの男女のドラマに相応しいオチだと思う。総じて満足できました。しかしタルコフスキー版はこの長々と語られる男と女のドラマを映すことなく男と女のドラマを想像させたし、男の心の風穴がちゃんと描かれていたのだということを忘れてはいけない。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-29 14:05:44)
233.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
デンゼル・ワシントンが犯人でジョン・トラボルタが地下鉄職員なのかと勝手に思ってて勝手に期待に胸膨らませていたのだが、蓋を開けてみるとまるっきり逆であったことにガッカリしてしまったのだが、犯人がどうやらウォール街でビシバシいわせてた金融マンだったという設定ならば致し方ない。地下鉄職員というよりも名探偵のような落ち着きぶりを見せたオリジナルのウォルター・マッソーに比べると脛に傷持つしがないサラリーマンのデンゼル・ワシントンのほうがはるかにリアルで、だからこそ犯人とのやり取りも必然的に緊張が高まってゆく。しかしオリジナルは単調になりがちな展開ゆえにカーアクションが冴えたのに対し、リメイク版のド派手なカーアクションはあまりにもアホっぽい。劇中で市長が何故ヘリを使わないのかと呆れるぐらいだからこのアホっぽさは狙っているのだと思いたいのだが、ただでさえガチャガチャしたトニー・スコットの映像が余計に慌しくなってしまっているような気がする。早々にある男が殺されてしまったことでラストシーンが当然全く違ったものになるのは分かっていたが、これだけは超えることはないだろうオリジナルのストップモーションを軽々と超えたエンディングにはやられた。しかもストップモーション。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-27 15:01:02)
234.  3時10分、決断のとき
オリジナルほどの男同士のせめぎあいに見られる緊張感を持ってはいなくとも観客が喜びそうな派手なガンアクションは見せてくれる。この安易な展開になぜか心躍るのである。「西部劇」を新作で見る。ただそれだけで嬉しいと思わせてくれる。主人公が信念を貫こうとする源泉に「家族」がいる。オリジナルはその中でも「妻」こそにこの男気を見せようとする。リメイク版ではそれが「息子」に変わる。ただ変わるだけでなく息子が帯同することから生まれるドラマが加わる。このあたりはいかにも現代の映画だなと。正直くどい。主人公の無謀な行動を観客に納得させるためのあれこれを匂わせているのだが、元来「西部劇」の衰退は、何故殺すのか、何故奪うのか、何故決闘するのかをいちいち説明しなくちゃならない現代の映画環境のせいというのもあるんじゃないかと思ってるんだけど、いくらその説明をさりげなくやったとしてもそれは「父と息子」のストーリーを面白くさせるだけで映画が面白くなるわけじゃない。一方ラッセル・クロウの描き方がいい。何をするにも説明がほとんどされない。されなくてもなんの問題もない。また悪党として魅力的な顔をしている。何はともあれこれを切欠に絶滅したはずの「西部劇」が復活してくれたら嬉しい。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-26 17:35:54)(良:1票)
235.  ロッキー・ザ・ファイナル
回を追うごとに落ちてゆく「ロッキー」を侮っていました。見くびっていました。元々このシリーズを1作目以外は映画館で見続けてはいても特に思い入れがあるわけでもなく、今回も全く期待していなかったんだけど。シリーズ最高傑作です。まずもってスタローンがアクション俳優であると同時に立派な映画監督であることに気付かされました。まだ明るくなりきらない朝と、街灯のオレンジをこれ以上ないほどにうまく使った夜のシーンがとにかく素晴らしい。地味に素晴らしい。過去のフィルムの挿入というおなじみのシーンも大袈裟に感動を煽る試合のシーンよりもエイドリアンとのささやかな日常に重点を置くことで「これで本当にお終い」なのだという感慨を煽っている。ただしんみりするだけに終わらず、しっかりと燃える闘志をトレーニングと試合のシーンで表現するエンターテイメントぶりも健在。減点対象はスタローンの老いた顔くらい。肉体は驚くほどの筋肉を身につけてはいるが顔の老いは隠せない。もちろんスタローンはあえて隠さなかったのだと思う。堂々とアップで顔を晒している。そこにリアルな年齢を見せつけ、無謀ととられるほどの挑戦を表現したかったのかもしれない。不可能は無いということをより感じてほしかったのかもしれない。でも、垂れ下がった瞼がよりいっそう垂れ下がった状態は美しくない。ごまかす必要はなくてもアップで見せる必要もなかったと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-16 17:18:37)
236.  ランボー/最後の戦場
ミャンマー政府を非難したものでもなければ軍事政権を非難したものでもない。勧善懲悪の悪として登場できれば敵は誰だっていいのだ。これはランボーが戦場で敵を殺しまくる映画なのだから。しかしシリーズを締めくくるにあたって「戦争とは」という問いに対するある一つの答えを用意している。戦争とは・・・人殺しである。戦争では自国が善であり敵は悪なのだ。この作品は敵を悪と強調したうえで敵を殺しまくるのだが、その死に様が凄まじい。生きていた者が肉片と化す。動いていた者が止まる。その瞬間、悪である敵もまた人間なのだと思わされるのだ。さらに今回ランボーは誰の命令でもなく自らの判断でこの殺戮を行う。しかも実に個人的な理由で、と言っていいだろう。戦争において兵士は上官の命令で人を殺す。もっと言うとその人殺しには国のため、あるいは正義のためという大儀を得ている。そのことで霞んでしまうもの、それが人を殺しているという事実なのだ。この映画はイヤというほど戦争が人殺しであることを見せ付けている。こんなにも惨いことを国家が国民に強いるのが戦争なのだ。反戦ベースの1作目とシリーズの流れを加味すれば順当な帰結と言えるかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-15 16:26:58)
237.  しんぼる
悪くない。映画じゃない映画がはびこる昨今にあって少なくともこれは立派に映画だ。言葉不要の笑いは映画だけが持ちうる特権なのだ。松本人志は映画を知っている。スイッチが天使のおちんちんというのは、常人とは違う何かを持つ者の発想なのだろう。大まかなストーリーは実に幼稚なような気もするが、言い換えれば素直さといったものが作品に溢れているようにも思う。元々、常識人の見識でしゃべる人ではなく、まるで幼児のような馬鹿げた想像力を武器にしている人。けして何かのパロディではなく、おそらく純粋な創作なのだと思う(もちろん無意識に土台となったものはあるでしょう)。根底に流れる子供っぽさはやはり同じくSFという括りに入る『大日本人』以上に表出している。だからオナニー映画などと批判もされるのだろうが、オナニー映画の何が悪い。人が満足するものを模索する人は商売人。自分の満足するものを人に提供するのがアーチスト。松本は明らかに後者。この道を進み続けてほしい。
[映画館(邦画)] 6点(2009-09-25 15:07:38)
238.  大日本人
驚いた。出来るだけ前知識を得ないようにしていても強引に入ってくる情報から奇抜さだけが取り得の作品という印象を持っていたのだが、奇抜どころかオーソドックスと言ってもいいほどに実に手堅い演出が目白押し。インタビューの会話と差し込まれる画によって徐々に正体を露にしてゆく展開の巧さといい、「スポンサー広告は腰は絶対ダメ」の次のカットは当然腰に広告出してる、あるいは匂ウノ獣の「誘いに乗らない」から一転というお約束古典ギャグの抜群の間の取り方というか間の無さは絶妙だ。インタビュー中に子供の話題が出たときにフッと子供の靴の画を挿入させるところなんて丁寧だなあ、しっかり作ってるなあとひたすら感心。4代目の新聞の見出しを利用したボケとツッコミも巧い。さて問題はラスト数分なのだが、ここははっきり言って映画じゃない。映画じゃないんだけど一番面白いから厄介だ。おそらく松本監督本人もここは大爆笑のシーンのような気がする。テレビでお馴染みの爆笑する松本人志が想像できて実に楽しい。マジメに映画かと思いきやラストでテレビのお笑いにしちゃうあたりを曲者と見るか曲者と見られるための演出と見るか。どっちにしても(映画じゃなくてもってことも含めて)、それでも怒りを覚えずに許せちゃうのは単純にオモロイからであって、そう考えるとオモロイってのは最強だなと。
[DVD(邦画)] 6点(2009-09-24 13:54:04)(良:1票)
239.  松ヶ根乱射事件
イタイ。映画がイタイのでなく、自分の中のイタイ部分を露にされたような感じ。オープニングのガキがいい例で、雪原に女が横たわる『ファーゴ』を彷彿させる深刻ぶった画が映し出されたと思ったらガキが出てきて胸をまさぐる。いかにも深刻をスカした山下節なのだが、それ以上に現実に目の前に女の死体があるというあり得ないシチュエーションをけして夢見なかったとは断言できないというイタイイタイところを突いてくるのだ。と、告白するのも恥ずかしいのだが、この映画は全編でこういった内なるイタイ部分を露呈させてゆく。「やったのか」と詰め寄る息子に対しはぐらかしながらも「あれはやったって言うのかなあ」なんて言葉を吐いてしまう父。その父にえらそうに怒鳴りつける息子だって自分もやってることがバレてないと思ってるから大きな態度でいれる。バレなきゃいいの典型がひき逃げ。あるいは自分のやましさを隠す話のすり替えや責任転嫁を巧みにこなす変なカップル。カルト性から万人受けに徐々に垢抜けてゆく山下作品の展開から原点回帰したかのようなシュールさを持っているが、実は初期作品以上にウケを狙わないキツイシュールさで覆われている。それでもどんなに辛く厳しい人生も喜劇にしてみせる、その構成自体が人生賛歌となっているようにも思えた。単なる意地悪かもしれんが。
[DVD(邦画)] 6点(2009-09-16 14:59:11)
240.  サン・ジャックへの道
コメディとリアルヒューマンドラマの融合具合が絶妙で、個人的にはもうちょっとコメディよりにしてもいいのにと思うところもあるんだけどおそらくはこれがちょうどいい塩梅なんだ。やり過ぎると面白くなくなる。三人兄妹のキャラクターがハッキリしすぎの面もあるけどここもあまりリアルにしすぎると退屈になっちゃうからこれでいいのだろう。体力的に過酷な長旅を共にする面々が徐々に打ち解けてゆく展開はベタベタなんだけど、こういう旅って絶対そうなるんだろうなあという説得力があるから気にはならない。女教師が「教える」という本業に目覚めるクダリは感動的ですらあった。キリスト教の聖地巡礼の旅を描いているのに、願い事を大幅に改ざんするシスターや露骨な人種差別、宗教差別をする神父とか出てくるあたりを見ると、「1500キロ(ほとんど本州縦断!)を歩く旅」がいいのであってキリスト教自体はむしろ否定的にとらえられているようだが、その描き方も深刻ぶっていないのが好感が持てる。物足りなさもあるんだけど気持ちのいい映画です。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-10 14:47:51)
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