Menu
 > レビュワー
 > R&A さんの口コミ一覧。12ページ目
R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
   「」

   
     










    


  










  


 












表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435
>> カレンダー表示
>> 通常表示
221.  アキレスと亀
『監督・ばんざい!』でも触れたが『TAKESHIS’』公開時の監督の談ではまず『TAKESHIS’』で俳優をぶっ壊し、次の作品で監督をぶっ壊し、最後に映画そのものをぶっ壊すと言っていたように思う。この『アキレスと亀』という作品がはたして「映画の破壊」を表現しているのかは私には解からなかった。もしかしたら当初の考えからテーマを変更したのかもしれないけど、どちらにしても「三部作」の2作目と3作目は私にとってつまらないものだった。たしかに少年期の落ち着いたカメラワークと昭和の背景の相性は抜群かもしれない。たしかに青年期の友人たちとのあれこれは貧乏青年にも青春があったのだと思わせる瑞々しさを描き出している。たしかに中年期の夫婦コントは大笑いさせてもらった。そしてたしかにこの映画にはなにやら「ものを作ること」の純粋な何かが描かれてもいる。でも『TAKESHIS’』にはあった魅力的な画が無い。ただその一点において私はこの映画を楽しめなかった。おそらくこの三部作は「北野武の映画史」においては重要な位置を占め、中でも『アキレスと亀』は最重要作品ということになるのだとは思う。
[映画館(邦画)] 5点(2009-09-01 14:57:03)
222.  アズールとアスマール 《ネタバレ》 
極私的2007年映画館鑑賞作品ナンバーワンです。点数はあげすぎのような気もするのですが、すでに極私的2007年映画館鑑賞作品第2位の『長江哀歌』にすでに9点をつけているのでこれに準じました。なぜ1位かって?長女(当時5歳)との映画館デビュー作品だからなのだ(ニコニコ)。というわけで個人的なメモリアル映画としての価値が評価の大半を占めるのですが、幸運なことにこの作品はその記念碑としてうってつけの良作でもありました。極彩色豊かでとにかく綺麗。切り絵とCGを巧みに合わせた映像に感じる懐かしさと新しさの同居は実に新鮮でした。人種差別という深いテーマが内包されており、物語は肌の色の違い、言葉の違い、宗教や文化、生活習慣の違いからくる偏見がいかにバカバカしいものかということに帰結するのですが、押し付けがましい説明が一切無いのがいい。だから子供も楽しめる。一方的にアラブ移民を差別してきたヨーロッパの地と、無知からくる差別を見せてもモスクと教会を受け入れるアラブの地。そして大団円で見せるカップリングの妙はあまりに明け透けで、且つ明瞭に過ぎる気もするけど、このストレートさ、シンプルさがまた良かったりする。きらびやかな大団円シーンは幸福感に溢れ、手を繋いでいた娘は今にもいっしょに踊り出さんばかりに体を音楽に合わせて動かしていました。劇中のアラビア語は訳されずに原語のまま話されていて、そこには「違う言葉」であることを明確にする意図があるらしいが、映画にとって「言葉」の存在意義がさして重要ではないことの証明にもなっている。
[映画館(吹替)] 9点(2009-08-31 18:32:38)(良:1票)
223.  幽霊VS宇宙人 (2002)
去年(2008年)劇場公開されたのは実はシリーズ第三弾で、第一弾と第二弾が当然先にあって、どうやらこれは第一弾と第二弾を合わせて劇場公開したものらしい。いかにも低予算。幽霊と宇宙人が対決するのではなく、幽霊ものと宇宙人ものの短編が収められたオムニバス。作品ごとのレビューは置いといて、幽霊もののほうが断然面白く感じるのは宇宙人ものを監督した豊島圭介よりも幽霊ものを監督した清水崇のほうに才があるからではなく、いやもしかしたらそれもありうるかもしれないけど、幽霊もののほうが絶対面白いものが出来る要素を持ってるからってことのほうが大きいかも。基本、どちらもコメディなんだけど、幽霊自体は怖いわけで、例えば「怪談 こっちを見ないで…」なんてほとんど「漫才」なんだけど、それをしている片割れがものすごく怖い形相をしている幽霊なので、ただそれだけで「面白い」と「怖い」が同時に襲ってくるという奇妙な現象が生まれるのだ。元々ホラーでの実績に文句の無い人なんだから視覚的恐怖演出はお手の物なわけだから、当然のように面白いわけだ。でも映画として物足りなさを感じてしまうのは単に「低予算」からくるものだけではないような気もする。逆に低予算ならではの綻びがないというか。妙に完成されててつまんないというか。そのわりにやっぱり安っぽいというか。
[DVD(邦画)] 5点(2009-08-28 15:48:25)
224.  モンスターVSエイリアン
3D版を見ました。最近子供向けと思われる作品によく感じるんだけど、これもやっぱり子供連れの大人に向けた作品のように感じた。かといって「子供向けですから」と逃げをうつことができる作品。例えばゲップとかオナラとか、古典的なボケとツッコミとか、ドアに挟まれてぺちゃんこになっちゃうとか、もっと単純なのだとただずっこけるとか、そんな単純な笑いがもっと欲しい。その単純な笑いを提供してくれるのがゼリーみたいなボブだけというのが面白くない。一方、大人に向けたサービスということなのだろう『未知との遭遇』やら『E.T.』やら『ビバリーヒルズ・コップ』やら『ザ・フライ』やら『モスラ』やらのパロディもなんかムリヤリ。あと、「3D」に関してはもっと凄いのを期待していたので拍子抜け。
[映画館(吹替)] 5点(2009-08-27 15:07:46)
225.  エイリアンVSヴァネッサ・パラディ 《ネタバレ》 
楽しめてしまった。アメリカ南西部の片田舎っぽい場所にフランス語というギャップがまず興味をひく。主人公の男のいきなりの懲役133年というあり得ない刑罰も、コメディとして消化されない妙な信憑性を持っているから厄介だ。湖面に映る浮遊するエイリアンを一瞬だけ見せるというのがまたうまいから困っちゃう。けっこう丁寧なのだ。いや、かなり丁寧だ。なのになぜ犬はどこから見てもぬいぐるみなのだ。かと思うと田舎町のおじいちゃんがなんの脈絡もなくいきなりエイリアンがやって来るのをずっと待っていたのだと宇宙服を着込む。それでもエイリアンと共に飛んでる手裏剣みたいなのがスパンスパンと首チョンパしまくるパニックシーンは迫力ありスピード感ありと文句なし。プロデューサーがなんで真っ黒なケムール人みたいになっちゃうのかよくわからんがそろそろクライマックスだなと思ったらいきなりパラディ嬢がお空に吸い込まれちゃう。お!ここでスタントマンという設定が活きてくるのか!と主人公がバイクでジャンプ!で、その後・・・・なんですか?この妙に哲学的ともとれるわけわからん世界は。置いてきぼりのまま終わる。でもなぜか怒りはない。結局のところ、永遠のロリータ・ヴァネッサ・パラディのプロモーションだったのだろうか。たしかにジョニー・デップとの間に子供を二人もこしらえたとは思えない可愛らしい容姿にはプロモーションの価値はあるかもしれないが。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-26 13:49:42)
226.  AVP2 エイリアンズVS. プレデター 《ネタバレ》 
宇宙船が地球に落ちる。ああ、なんで見に行く。ああ、なんで子供。そんなのじっくり描かんでもいい。この親子が映画の中で重要な役回りとして生き続けるならいいが。で、その後も次々とその町の住民たちが紹介されてゆく。いらんて。その住民たちが大活躍するならまだしも、住民たちを含めた三つ巴どころか結局はエイリアンとプレデターのバトルがメインなのだから。そのメインだが、画面が暗くてなにがなんやら。これはおそらくDVDのせいであって映画館ではちゃんと映されていたと思いたい、のだが、明るい場所でもわかりにくいアップと早いカットで作られる今どきなバトルシーンを夜の街で黒い生き物を対象にやったら、多少画質が良くなったとしてもなにがなんやらなんじゃなかろうか。病院内で「エイリアン」らしいグロ映像があるが『エイリアン』のような怖さがないのが惜しい。最後は街ごと破壊という、もうこの手のモンスターパニック映画のお決まりパターンが持ち出されるわ、なになに?3があるの?的な勿体つけたエンディングとか、節操なしですな。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-25 15:47:59)
227.  エイリアンVS. プレデター
『エイリアン』『プレデター』という作品とは全く関係なくキャラクターだけを借りてきた、いかにもな「企画モノ」なのだが、ちゃんと「企画モノ」の責務は全うしている。エイリアンとプレデターを引っ張り出してきた時点で成功と言ってもいいくらいなのだが、その商品価値の優位に溺れずに、元来持っているキャラクターの魅力を損なわずにちゃんと見せている。プレデターにいたっては魅力を倍増させている感すらする。ポール・W・S・アンダーソンはきっと両キャラクターを好きなのだと思う。好きこそものの上手なれ。辻褄を合わせたエイリアンとプレデターの歴史背景もその説明にくどくど時間を費やさない。見所はアクションと心得ている。とは言うものの「企画モノ」につきものの安っぽさはどうしたって拭えない。それは最初から分かりきった事。サスペンスやホラーなんて期待しちゃいけない。そこを割り切って見ればそこそこ楽しめる。作り手も割り切っている。これは「企画モノ」なのだと。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-24 18:50:24)
228.  DEMONLOVER デーモンラヴァー 《ネタバレ》 
アサイヤスとの出会いは『レディ・アサシン』というまるでアメリカのB級アクションのようなタイトルの映画だったのだがこれが凄かった。それよりも5年も前に製作された『DEMONLOVER デーモンラヴァー』をさらなる期待を持って見てしまったために衝撃を受けるまでには至らなかったが、それでも短いカットでも計算しつくされているのだろうと思わせるカメラの動きに見惚れ、かと思うと緊張が画面にへばりついたような長いワンシーンにぞくぞくさせられた。ソニックユースが作り出すノイズミュージックも緊張を煽る。産業スパイというどこか作り話的なものがビジネスの世界という現実的描写で描かれる前半から一気に映画が動くのが「人が死ぬ」シーンだ。その唐突さがいい。突如として転がり込む「死」のどこか虚構じみた感覚が怖い。勿体無いのがそこから先が長いこと。長いとまた形勢逆転という展開を期待してしまうのだが、それがないから後味悪し。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-20 18:00:58)
229.  デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ 《ネタバレ》 
スローモーションでしっかり見せるむさいおっさん2人の取っ組み合いで掴みはOK。おっさんの一方はジアマッティというキャスティングが実はネタバレぎりぎり。それでも騙された。久しぶりに清清しく騙された。途中、時系列の移動と繰り返される同じ台詞に頭が混乱しかけたがクライマックスのドキドキとオーラスのどんでん返しが素晴らしいのでまあいいかと。恋愛というのは得てして相手を疑い、一方で信用し、それでもどこか心配で、でもやっぱり信頼し、という葛藤と駆け引きがぐるんぐるんと回っているもの。主人公二人が騙しのプロってところでこの恋愛につきものの葛藤と駆け引きを人一倍大きく見せてゆく。ここを面白おかしく描きながらも手を抜かずに見せているのが最後に効いてくる。(超ネタバレ→)主人公たちがしてやったりというエンディングではなく、してやられるエンディングなのにどこか清清しいのは、そのせいでもあろう。もちろんそのトリックの、騙した相手を賞賛したいほどの完璧さがあってこその清清しさでもあるが。あと、主演二人が常にクローズアップされた作品の中で、けして目立たない脇役陣が実に良かったってことに最後のネタバレシーンで気付かされる。ここは脚本の妙。
[映画館(字幕)] 7点(2009-08-18 16:16:59)
230.  カンパニー・マン 《ネタバレ》 
オープニング・・・顔を映さずに近未来をうかがわせるブルーとシルバーを基調とした涼しげな映像にスッとキャスト、スタッフの名前が入る。センスいいなあ。手の込んだ洒落たタイトルロールと言えばヒッチコックの『北北西に進路を取れ』。物語後半にあきらかにこの『北北西に進路を取れ』を意識したシーンが登場する。なるほど全体の流れもまたヒッチコックお得意の「巻き込まれ型サスペンス」だ。もしかして原題の「CYPHER」が「PSYCHO」と似ているのはお遊びか?しかしヒッチコック映画のようにぐいぐいと引きつける力がない。少々のトリックでは驚かない現代の観客を相手にするというハンデを克服するための二転三転の展開がかえって映画を退屈にしてしまっている。二転三転の展開が早すぎて先読みしながら見るのが面倒くさくなってくるのだ。しかしまあ、よくがんばってると思う。オチがイマイチ不評なようだが私は好きだ。たしかに誰が誰だったとかという展開そのものはどんでん返しとしては弱いんだけど、(超ネタバレ→)謎の女に助けてもらってばかりの主人公の行動が実は全て女のためだったって、それまでの妙にシステマチックな、それこそ『キューブ』的展開から一気にメロドラマ、とまではいかないまでも人間味に溢れててホッとするというか、映画の世界観がごろっと変わっちゃうところにどんでん返しの極みを見たというか。良かったよ。あのオチは。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-17 15:05:53)(良:1票)
231.  デビルマン
あまりの酷評ラッシュに「ビー・バップ」の学ランがデビルマンコスチュームに変わっただけみたいなのを想像してしまってたので原作漫画を彷彿させるCGデビルマンのグロテスクなかっこよさに正直驚いた。いいんじゃないのと。ストーリーも原作漫画に沿っている。が、シリアスなテーマを含んだ漫画の世界観を壊さないようにしているためかやたらと説明台詞が多い。そのうえその台詞の棒読み演技に唖然とさせられる。ここだけでも改善してくれればかなり見れるものになったと思う。唯一の好評と言っていいシレーヌだが、不満である。オッパイが隠れてる。多くのカメオ出演もいらん。大沢樹生はとくにいらん。密告は嫉妬を引き金にする必要はなく、密告者は変質者である必要はない。密告者はどこにでもいる人間であり、多くの人間のなかに埋もれなければならない。でも実はカメオ出演者によるマンガチックな味付けは永井豪的世界観だったりもするから厄介だ。ミーコと少年のエピソードもいらん。人間の差別心や暴力性を見せるのは牧村家襲撃で十分果たしている。エピソードを極限まで削いで、台詞も極限まで削いで、そうしたら必然的に浮かび上がってくるだろう飛鳥了と不動明の同性愛的ストーリーを示唆することができれば、、、面白いだろうなあ。
[DVD(邦画)] 3点(2009-08-11 16:09:42)(良:1票)
232.  ウィッカーマン(2006) 《ネタバレ》 
謎が少しずつ解明されてゆくという面白さは無い。全く解明されずに最後まで進む。いらいらする。よほどの結末でなきゃ承知しないぞ。で、いよいよ最後。いったいどんな結末がドーンと来るのか。まさかそれはないよね。それだけはないよねっていう結末がドーンときた。んな無茶な。孤島のオカルトチックな儀式にその儀式のための計画の壮大且つ緻密さが全くそぐわないというのもあるが、結局この話は主人公のピンチも希望も横道にそれるのも伏線めいたものも全て計画どおりだったってところに面白みがないのだ。73年版がえらく評価高いのが気にかかる。見てみたい。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-10 18:21:19)
233.  TOKKO―特攻―
日系アメリカ人が撮ったからどうのといったことはあまり感じられなかったけども、特攻隊の生存者だけでなく特攻を受けた戦艦の生存者の証言映像があるのはインタビュー形式のドキュメンタリーとしての強度を得ている。はたして特攻隊とはなんだったのか。そこに狂気はなかったのか。特攻隊の生存者の一人が言う。天皇がもう少し早く降伏してくれてたらと。今だから言えるのかもしれないし、そう感じる人だからこそ生きて帰ってきたとも言えるかもしれない。つまり、生存者の証言では特攻に狂信めいたものはないのだが、特攻で命を落とした者もそうとは言い切れないってこと。私の祖父は戦死している。私の父は、内心では天皇なんかくそくらえ!と思っていると母から聞いたことがある(ここで言う天皇とは個人ではなく、戦時の概念としての)。でもそれは今生きている父が思うのであって祖父がどう思って死んでいったのかはわからないってこと。だから何もかもがこの映画でわかるわけじゃない。もしかしたら偏った伝え方になっているかもしれない。でも少なくとも証言者は「死にたくない」と思っていた特攻隊員だったのだ。別の生存者が映画終了間際に言う。語り継がなければいけないが、謙虚にしゃべらなきゃならないと。重い言葉だと思った。
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-06 15:00:50)
234.  ホタル(2001)
昭和天皇崩御の後に戦友の自殺。夏目漱石の「こころ」の明治天皇崩御と乃木大将の殉死と先生の決断の関係によく似ている。昭和天皇に対する思いと明治天皇に対する思いはおそらく全く違うものだろうけど、ひとつの時代の終焉とともにその時代の象徴するものに殉死するという意味で同じだと思う。この映画は「特攻隊」を題材にしているが、主題は過ぎ去ってゆく時間の中で過去とどう向き合ってゆくのか、どう落とし前をつけてゆくのかということだと思う。「二人でひとつ」という理想的な夫婦のカタチを見せてくれる二人にとっての落とし前のひとつが妻の初恋の人の遺品を家族の元に届けること。21世紀の訪れとともに夫婦の結晶とも言うべき漁船を燃やすのもまた一つの時代の終焉に伴う落とし前。「戦争」や「特攻隊」は向き合うべき過去のひとつに過ぎない。でも、遠い昔にあったらしいことと割り切れちゃいそうな「過去に起こったこと」を描いているのではなく「過去と向き合う今」を描いているからこそ立派な反戦映画にもなっているのだと思う。戦争を語り継ぐのに映画は最適な媒体の一つだと実感する。
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-05 19:06:57)
235.  俺は、君のためにこそ死ににいく
政治家が脚本と製作総指揮までやっちゃってる映画なんてその時点でダメだろうと思ってもよさそうなもんだけど、この人は政治家の前に作家だったわけで、もしかしてという小さな期待を持って見てみたのだが、いきなり「特攻」の必要性というか言い訳を伊武雅刀がダラダラとやっちゃうもんだからガックリだ。個人の思想・哲学でガチガチに固めたってべつにかまわない。しかし政治家としての彼は一応主張だけは入れてはいるんだけど、作家としての彼はそれなりの平衡感覚をもってこの映画を描こうとする。だから主張の部分も、それを否定する部分もものすごく理屈っぽい。というか政治って理屈が大事なのでそういうことになっちゃうのだろうか。説明のつかないようなことまで説明しようとしている。隊員とそのまわりの人々それぞれにドラマがあることを丁寧に、それでいて誰かをクローズアップせずに見せてゆくのは好ましいのだが、ときたま発せられる言葉だけが妙に目立ってしまうので台無し。インタビューとナレーションと時々再現ドラマだったら良かったかも。
[DVD(邦画)] 3点(2009-08-03 14:42:26)
236.  ユメ十夜
10人の監督がまさしく十人十色に漱石「夢十夜」を描く。  ■「第一夜」顔を極端に暗くする一方で空間を目一杯眩しい光で満たす。斜め構図も幻想世界の構築に貢献している。なんてったって先頭バッターですからこれぐらいの突飛さはあってしかるべしなんだけど、世界観の構築だけで終わってるような。 ■「第二夜」市川崑はモダンなモノクロをベースにサイレント、細かいカット、ストップモーション、パートカラーと手が込んでいる。大御所が「一」「二」と続くんだけど、作品は全く大御所っぽくない。何やったって安定感だけはあるんだけど。 ■「第三夜」夢そのものだけでなく、漱石がその夢を書くところを入れることでオムニバスの一編に終わらない一本の作品として成り立たせている。この夢は元々清水崇監督と相性ぴったし。 ■「第四夜」えらいドラマチック。長く感じた。 ■「第五夜」スプラッターアクションだ。一番強烈な印象を残す。 ■「第六夜」みんな自分流に好き勝手にアレンジしまくってんだけど、ぶっ飛び具合が最も激しいのがコレ。だけど内容は最も忠実だったりする。ワロター! ■「第七夜」アーティスティックなアニメーション。このアーティスティックな部分が鼻につくかつかないかで好みが割れそう。 ■「第八夜」なっ、なんのこっちゃ!こんな話あったか?どえらく改変されてんだろうな。原作読み直したくなってきた。 ■「第九夜」前が前だけにものすごくふつう。ふつうなんだけどなんかやってくれそうなオーラが緒川たまきから発散されている。そこがミステリアス。 ■「第十夜」最後にこれかよ!くだらん!マンガチックにアレンジは全然かまわないがオフザケが過ぎる。  ◆<総評> 監督の順番変えて欲しい。 でもまあ、個性的な監督が一同に介する企画ものは好きです。甘甘の6点。
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-24 19:33:54)
237.  クジラの島の少女 《ネタバレ》 
何人かの方が触れられていますが、私も『風の谷のナウシカ』を想起しました。伝説の再現という現象もさることながら画的にもそっくり。・・・伝統を守り続けるということは伝統を継承するということであり、伝統とは生活、習慣、行事、全てに伝統はあるわけで、族長は男でなければならないというのはその一部にすぎない。それでもそこに拘る族長はえらく保守的とも思えるが、必要以上に保守的にさせているのが欧米生活の急激な進出とその合理性が持つ力への警戒心なのだろう。男尊女卑的にも見える慣わしではあるが族長自身の孫にあたる主人公の少女に対する愛情の深さはそんじょそこらのおじいちゃんには負けない。この二人の関係が目立たず、しかししっかりと描かれているから少女がおじいちゃんの意思を継ぎたいと思い、無理を承知で懸命に族長を目指す展開に信憑性を持たせている。同時に作品の持つ小難しいメッセージ性よりも癒し系の色合いを濃くしていて好感が持てる。クライマックスのいわゆるナウシカなファンタジーは先進文明下では起こりえない現象としてアリだと思うし、美しい画づらともども感動的でもあったのだが、その後が駆け足にすぎる。ラストの画が映るまでに病院シーンのしんみりした余韻をもう少し味わいたかった。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-17 17:27:44)
238.  スラムドッグ$ミリオネア
ダニー・ボイルはデビュー作『シャロウ・グレイブ』から一貫してスタイリッシュな映像の中に風刺を色濃く潜ませてきた。その風刺の矛先はいつも人間のエゴである。娯楽と割り切ったような『28日後...』ですらそこは変わらない。エゴへの風刺がそのまま娯楽へと転化されるストーリーだといいのだが、むりやりにエゴへの風刺を入れた『28日後...』には不満が残る。もっと単純に行こうよと。小難しい風刺劇なんていらんよと。そしてこの作品だが、見るまでもなく物語の背景には「貧困」があり、当然そこには人間のエゴが浮き彫りにされているはずである。そう。ムリヤリ入れる必要がないのだ。そのことで実に活き活きとした作品に仕上がった。ダニー・ボイルのスタイリッシュな映像が少年時代の波乱に富んだ人生をリズミカルに見せてゆくことに貢献する。重くなりそうなシーンの連続もスリリングな逃亡と同化することで重さを軽減する。疾走する列車の屋根に立つ少年をとらえた画がそのバックに映される広大な空とともにものすごく印象に残っている。現代のシーンだけで構成される後半からクライマックスにかけてがやや停滞ぎみだが、最後のダンスで盛り返す。インド映画に欠かせないダンスで締めるのは、世界一映画が多く作られ世界一映画が多く楽しまれるインド映画界に対する敬意の印なんだと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2009-07-14 11:28:37)
239.  スコーピオン
カジノで派手に強盗。その金を巡ってのあれやこれ。大好物の展開である。冒頭のCGアニメによるサソリのバトルからも想像できるようにカート・ラッセルとケビン・コスナーのワル二人の対決がメインとなっている。はずなのだが、子持ち女が絡んできたせいでカート・ラッセルが主人公でその敵役がケビン・コスナーという構図で展開される。ところがケビン・コスナーを単なるワルにはできない何かがあるのか、プレスリーの隠し子であるという素晴らしくも馬鹿げた可能性に真実味を持たせて、冷酷非道な悪党に映画の主人公が持つべく哀愁を漂わせてしまうから困ったことになる。敵キャラが主役を食うのは全然オッケーでむしろ大歓迎なのだが、そうじゃなくてこの映画の中の極めて重要なモチーフである「エルビス・プレスリー」を全て敵方のケビンにだけ与えているところに問題がある。だからといって先に書いたように主役はあくまでカート・ラッセルってところがこの映画のどっちつかずな中途半端さを生んでいる。だいたい二人ともむちゃくちゃやってるようで時々人並みの感情を見せたりするからますます中途半端に感じてしまう。エンドロールはサイコーである。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-10 17:52:52)
240.  スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 《ネタバレ》 
けっこう面白かったス。出てくる人間、どいつもこいつも主役になれそう、というか誰が主役かわからんのは確信犯か。誰もが映画の中で我を張りながら殺される駒としての可能性を秘めているのがこの映画の面白いところであり怖いところである。映画はそのことをまずベン・アフレックを使って宣言するのだ。あとはかっこいい女二人組に感情を移入させようが、非情な殺し屋が最後まで残るというお約束を信じようが、いやいやFBIもなかなか見せてくれるような展開だとか思ってみたところで、どこか疑わしくもあり、そしてやっぱり微妙に裏切ってくれるのである。漫画チックにすら見えるかっこいい構図も荒唐無稽なストーリーによく合っている。惜しむらくは狙われているご本人が影が薄く作品内の駒として一人だけ蚊帳の外にいること。それとオチ。カラクリはまあアレでよいとしてもダラダラと描きすぎ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-09 14:23:30)(良:2票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS