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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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221.  たいむすりっぷメガネ 《ネタバレ》 
2011年から2014年まで活動していたアイドルユニット「AeLL.」(エール)が所属していた芸能プロダクションが製作し、メンバー4人が出演したアイドル映画である。主演の篠崎愛という人は巨乳だそうだがこの映画では隠している(脚は見せている)。撮影場所の山梨県南アルプス市というのは、このグループが地元と協力した農業体験イベント「AeLL.村プロジェクト」をやっていた場所らしい。  内容としては、地元眼鏡店(時計店)で作られた眼鏡をかけると一回だけ過去に戻れるという他愛ない設定をもとに、現代→高校時代(8年前)→また現代、という三部構成を作っており、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の矮小化版のようでもある。宣伝上は「ハートフルコメディ」とのことだが実際そう簡単ではなく、まず最初の現代を殺伐とした世界に見せておき、タイムスリップ後の高校時代ではその殺伐感を引き継いだようでいて微妙に笑わせる要素を取り入れながら、最後は映像効果付きのドタバタコメディにまで発展する。最後の現代はまた真面目な展開になり、普通にハートフルな内容にして最後を締めている。タイムスリップの効果としては、主人公の周囲の状況が著しく改善された一方、一番大事なことは結局何も変わっていなかったように見えたが、しかし外面的に変わらなくても本人の気づきがあった、というのが物語の落ちらしい。 導入部からコメディへの移行があまりスムーズでなかった気はするが、主人公が机の引き出しに片足を入れた場面など、真面目な顔で笑わせるような感覚は嫌いでない。コメディだと思えば、主人公が同級生に「老けた」と言われるとか、古典的スケ番の扮装が突っ込みどころというのもわかる。途中で何となく間が悪いようなところもあったが、結果的にはそれほど悪くないと思わされる映画だった。  ちなみに個人的にはこの映画で南アルプス市のイメージが向上するということは全くなかった。当初段階で地元に残っていたのがろくでもない連中ばかりに見えたのはともかく、市役所ぐるみで悪徳業者に騙されるなど全くいいところがなく、景観面でもそれほど美的なところはなかったが、地元の人々がこれで満足だったのであれば結構だ。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-08-24 15:07:32)
222.  スマホ拾っただけなのに 《ネタバレ》 
題名は見た通り「スマホを落としただけなのに」(2018)のパロディだが、中身は意外にも「カメラを止めるな!」(2017)に近い。登場人物の男3人が映画研究会なのも映画愛の表現といえなくはないが、要は洋物ホラーオタクなだけというのがレベルのほどを感じさせる。ちなみにオマージュ的な場面もあったようで、自分としても「シャイニング」(1980)はさすがに気がついた。  本家(カメ止めの方)がA-B-A'の構成とするとこの映画はA-A'-Bになっているが、問題なのは本家と同じく最初のAで見るのをやめたくなることである。どれほど低級映画に見えても一応ここは乗り越えなければならないが、さらにこの映画ではBを挟まないA-A'のため、すぐまた同じことを繰り返している印象があるのと、種明かしの面でもなるほどと思わせるものがなく、こういうところはやはり本家がうまく作ってあったということになる。なお一か所だけ、賞味期限の件は笑った。 最後のBはスプラッターになっており、これも大して面白くはないが、本家(スマホの方)にもあった遠隔操作を別の方法でやっていたのが目についたほか、序盤から予告されていたしつこい妄想展開が特徴だったとはいえる。少し和まされたのは素朴な恋物語をからめていたことで、これは基本的には悪くないと思ったが、終盤の悲惨な展開のあとに最後だけ暢気なのは呆れた(人が死んでいる)。 キャストとしてはヒロイン役(冨手麻妙)の胸と脚を目立たせているのが見どころだが、この女優が出るからには素直で可愛いヒロインで済むはずがない、と最初から思わせるのが重大なネタバレ要因になっている。また孫娘役の神田美優という人(熟女系AV女優とは別人、モデルの神田みゆとも違う人)は地元の群馬県桐生市出身とのことで、役者としての今後の活躍を期待したい。  以下余談として、この映画は劇場公開ではなく2019/4/17にDVDレンタル&配信開始だそうだが、劇中で「最近の老人は運転危ねえからな」という台詞があったのは、リリース2日後に発生した池袋の悲惨な事故を思わせる。ただこの映画では運転者側に落ち度はなく、また当時も言われていたように自家用車がないと生活が困難な地域の事例であるから、一概に運転をやめろと言って済む話ではない。東京都板橋区などは問題外として、地方での免許返納を促進するための支援や仕組みづくりが望まれる。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-08-17 09:56:53)
223.  時時巡りエブリデイ 《ネタバレ》 
カワイイ系女子が出ていないので事前の期待が高まらなかったが、主演の鳥居みゆきという人は独特な雰囲気で悪くない。また仁後亜由美という人が「かしこい狗は、吠えずに笑う」(2013)に出ていたのは最近見たので覚えていたが、覚えていたというだけで親しみがわくわけでもなく冷ややかに見ていた。それでも結果的には「なんだとー」という台詞が心に残った。 タイムリープの濫用で問題が起こるのは「時をかける少女」(2006)でも見られたが、今回はやっているのが女子高生でもなく可愛気もないため気分が乗らない。時間遡行に関する基本設定はよくわからなかったが、こういうのは真面目に考えるだけ損をする予感があるのでこだわらないことにする。主にタイミングの関係で突発的に笑わされる場面はあったにしても、基礎的なところでそれほど面白いと思わなかったので、平均点を落として大変申し訳ないがそれなりの点数にしておく。要は個人的に合わない映画だったということだ。 なお主人公の居住地は都市部だか農村部だかわからない微妙な生活環境で、映像的にもしょっぱい感じの印象を出している。撮影場所はよくわからないが、少なくとも主人公の家があったのは埼玉県草加市(東京都足立区に隣接)である。また登場人物同士が衝突した自販機のある場所は東京都板橋区だったようで、大体そういうところで撮影していたものらしい。
[DVD(邦画)] 4点(2019-08-17 09:56:51)
224.  黒蝶の秘密 《ネタバレ》 
低予算映画と思われる。題名に「黒蝶」とあるのは昆虫ではなく花のダリアの品種名だそうで、英題のBlack Dahliaと同じ意味らしい。 映画紹介では「ミステリーホラー」とされているがミステリーというほどのものとは思えない。序盤20分くらいのところでもう真相を匂わされるので、本当にそうだとすればかなり陳腐で俗悪な話だと思っていると実際その通りに終わってしまう。またホラーとして見た場合、よくあるヒトコワ系オムニバスの一編を87分に拡張しただけに見えるが、その手のものによくあるように、悲惨な結末にすることだけ考えて現実味や説得力や細部の作り込みを軽視しているのは観客に甘えた印象がある。ちなみに終盤、主人公が錯乱して荒い息の状態が延々と続くのは同じ監督の「デスブログ 劇場版」(2014)にもあり、特に褒める気にはならないが役者の関係で前回よりましになっている。 登場人物としては、主演俳優も見たことがあるがそれはそれとして、実質的には黒ヒロインと白ヒロインの2人が注目のしどころと思われる。個人的には白ヒロインの同僚女子が普通に可愛く見えていたあたりが好きだったので、主人公がいつの間にか黒ヒロインの方に惚れてしまった理由が不明で阿呆に見えたが、しかしここは設定上、「黒蝶」のせいで黒い女の虜になってしまったと理解すべきことらしい。あまり緻密な感じのしない映画でも、その程度の理屈は一応つけていたということである。 それにしても、実際どのくらいの本気度で作ったのかよくわからずに困惑させられる映画ではあった。個人的な相対評価としては、同じく永尾まりや嬢(まりやぎ、元AKB48)の出ている「リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム」(2014)と同程度ということにしておく。実際は2.5点くらいだが四捨五入ということで。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-03 08:29:22)
225.  名前 《ネタバレ》 
前に見た「ねこにみかん」(2013)の戸田彬弘監督の映画である。最初にタイトルを出したあとに出演者全員の名前を並べて(主演女優の字で)最後に「計25名」と書いていたのは役者を重んじる姿勢のようで、メイキングでも若い役者に焦点を当てていたのはいい印象だった。撮影は茨城県内が中心で、ロケーション協力には取手市・守谷市・つくばみらい市・利根町といった名前が出ているが、夜の町の風景は旧・水海道市(現・常総市)の中心街だったようである。 物語としては、要は中年男と女子高校生が出会って両方に変化が生じる話である。「ねこにみかん」ほど突拍子もない設定ではなく、性愛関係にもならないので安心して見ていられる。ミステリーというほど謎解きの要素もなく、登場人物と観客が同時並行で事情を理解していく感じになっている。  全体のテーマは演劇部での台詞が端的に言い表していた感じで、これが中年男と女子高校生の両方に共通するのだろうと思うが、人格形成途上の若年者はともかく普通の大人が直接共感できそうな話でもなく、一般人というよりは演技者向けかと思った。演技経験のない自分としては、職業的な俳優など外でも内でも常に演技している状態になって本物の自分がなくなるのではという疑問があったので、まずは自分をしっかり持たないと駄目だというのは初めて聞いた気がする。 2人の交流はほのぼのして笑えるところも多かったが、個人的に気に入らなかったのが同級生の男で、終盤で女子高校生が激白する場面では、何もこんなバカに向かって本音を吐露しなくていいだろうがと呆れた。しかしここは犬猫相手に愚痴をたれるのと同じと思えば言いやすかったのだろうし、また相手が単純バカだったからこそ都合のいい答えが簡単に得られたということかも知れない。  出演者に関して、W主演のうち駒井蓮という人は映画初主演とのことで、公開2年前の撮影とすれば当時高校1年生と思われる(現在は大学生とのこと)。超絶美形でもないがすらりとした長身で、人懐こいようなふてぶてしいような愛嬌のある顔を見せているが、演劇部の場面では本物の演劇部員のような演技もこなしていて感心した。物語自体にそれほど感動しなくても最後にいい印象が残ったのはほとんどこの人のおかげである。 また演劇部の場面では、熱意はあるが傲岸な演出家の役を金澤美穂さんがやっていたのが非常に面白かった。ここは臨場感があって好きだ。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2019-08-03 08:29:20)(良:1票)
226.  文福茶釜 《ネタバレ》 
「古美術ミステリー」の短編集を原作とした映画で、表題作の「文福茶釜」からマンガという要素を除き、代わりに「山居静観」の水墨画を加えて映画一本にしている。映画の舞台は大阪を中心とした関西である(敦賀は出ない)。 内容的には、騙し騙されというほど逆転続きの意外性はないが原作の雰囲気は表現されている。美術品に内在する普遍的価値どころか愛好者の主観的価値も問題にされず、専ら表面上の取引価格しか存在しないかのような世界観だが(「芸術」という言葉が一回だけ出る)、業界人同士の化かし合いは当然としながらも、素人は騙さないという点で一定の倫理水準を保っているのは原作由来のことである。  映画独自の趣向として、原作では登場人物が男(中高年)ばかりで極めて地味なのに対し、映画では女性の新人社員を加えることで華を添えている。かつこの新人を観客に近い存在として劇中世界との接点にしたらしく、顔だけで人を信用してはならないという初歩的な教訓を込めたオチを最後に付けている。ほか原作にはない主人公の生い立ちの話を加えて人情味も出しており、エンドロール後の場面は特に共感できるわけでもなかったが、その場面自体はあとに余韻を残すので悪くない。 少し困ったと思うのは、主人公の勤務先が美術雑誌の出版社という説明はあったが本業の場面がほとんどなく(冒頭の神戸は広告取り)、何で美大出の新卒がこんな会社に就職したのかよくわからなくなることである。この新人はとりあえず修羅場で真贋を見極める力を磨いてから、もっとまともな職場に移った方がいい。  演者については吉本興業の製作らしく関西芸人を揃えたようだが、それはいいとして根本的なところで問題なのは、大阪出身の小芝風花さん(むくれた顔がかわいい)を出しておいて東京言葉をしゃべらせるのはどういう了見なのかということである。自分としてはこの人が大阪弁で本領発揮というのを期待していたので多少の落胆はあったわけだが、それにしても素直で騙されやすい人物をわざわざ東京出身の設定にするのはいわば地域差別(逆差別?)のようなものではないか。真面目で正直な女性は大阪にもいるだろうが(多分いなくはない)。 そういうことで特に好みでもないが基本的には堅実な映画であり、原作ファンと小芝風花さんを見たい人々には見る価値があると思われる。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-07-27 12:59:22)
227.  スケート靴の約束 ~名古屋女子フィギュア物語~<TVM> 《ネタバレ》 
「テレビ愛知開局30周年記念ドラマ」とのことである。同種のものでは名古屋テレビの開局50周年記念映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、主演・有村架純)というのを見たことがあるが、内容的にはこっちが勝っていると断定する(圧倒的に真面目)。  物語としては「フィギュアの聖地」といわれた名古屋の大須スケートリンクで、母親に期待されてスケートに打ち込んできた娘(姉)が事故で引退せざるを得なくなり、今度はその妹が同じ道を進む話である。姉妹がそれぞれ自分の夢に向かっていくわけだが親が邪魔しており、特に母親は自分本位な押しつけ・決めつけが甚だしく、娘の意向のわざと反対を向いているようでもある。これを見ていると、コーチが言った“才能をつぶす手伝いはできない”というのは親にも共通のはずだというのが一つの主張なのかとも思われる。 一方で娘たちがまっすぐしっかり自分で考えているのは頼もしい。特に姉が妹に寄り添いながら妹自身の選択を促していたのはよほどちゃんとした母親のようで、終盤の「特別リンク」で手を離したところの演出は泣かされた。自分自身の意思が大切だということは、題名の「約束」が誰と誰の約束なのかという点でも表現されている。姉本人もまた本来の自分の指向性を生かした将来を考えていたようで、そのことは引退セレモニーでの選曲にも反映していたと解される。 なお姉が自分のことで泣く場面を出さないのはよかった。かわいそうな顔を見せて泣かすドラマではない。  出演者としては、主演・安田成美ということだろうが個人的には姉妹を軸にして見ていたので親は脇に追いやってしまった。お姉さん役の小芝風花さんは「魔女の宅急便」(2014)の少し前の状態で可愛らしいが、引退セレモニーでの厳しい表情は少し大人びたようで泣かされる。また妹役の本田望結という人(当時9歳とのこと)も愛嬌のある顔で和まされる。この人は当然として、小芝風花さんもフィギュアスケートを本格的にやっていた時期があるとのことで、劇中では単独あるいは2人で実際に演技する場面があって素直に感心した。 ほか妹のライバル役として実姉の本田真凛という人が出ており(当時12歳くらい、台詞なし実演あり)、また「野辺山合宿」というものの指導者役で伊藤みどり・浅田舞の両人が顔を見せている。特別協力の荒川静香という人は名前しか出ないが特別番組などで協力したという意味か。この方面のファンには見どころのあるドラマかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-27 12:59:19)
228.  馬の骨 《ネタバレ》 
「イカ天」というTV番組(1989.2.11~1990.12.29、TBS系)があったのは憶えていたが、フルネームが「三宅裕司のいかすバンド天国」だったことは忘れていた(「三宅裕司の」も忘れて相原勇しか憶えていなかった)。ちなみにその後に「エビ天」というのもあった(アシスタント・福島弓子)。 「馬の骨」というのは別にこの番組を代表するバンドでもなく、1回出ただけだったようで当然憶えていなかったが、当時の映像を見たところ、もしかして当時もこれを見たかも知れないという気がして来た(老婦人の姿に見覚えがある)。ほかにまともなバンドも出ていたのでこんな連中ばかりだったわけではない。 なお当然だが藤沢周平の時代小説「秘太刀 馬の骨」(映画化されていないがNHKのドラマになった)とは関係ない。  映画としてはその「馬の骨」でボーカルだった人物(俳優)が脚本を書いて監督もしている。自分として難点に思われたのは、熱烈なアイドルヲタが近場にいたことの匂わせ方が不足だったため登場人物の行動が変に思われたことと、またこれで最後に全てが前向きになって終わったというのがかなり適当に感じられたことである。そもそもこの曲でライブを盛り上げるには無理がある気もしなくはなかったが、このバンドにはこれ一曲しかないのであれば仕方ない(さすがにもっとあっただろうが)。 ユニークに思われた点としては、登場人物に自己変革を迫ったのが土砂崩れの危険だったということと、変化に立ち向かう決意を示す言葉が「バーベキュー行ってきます」だった??ことである。物語的にはライブの後にそれぞれの場所で今後どうなるのか確定的なもののない微妙な雰囲気だったが、最低限、娘のような年齢の主人公にあとを託して背中を押す形になっていたのはよかったと思うべきかも知れない。ボーカルのオヤジはやがて消えゆくにしても、最後まで前を向いたまま死ぬと解すればいいか。  キャストについては何といっても小島藤子さんが主演女優として光っている(書道をしている人なので題字も書いている)。歌唱力については何ともいえないが声の出し方は好きだ。しょうもない映画だと思いながらも最終的に悪くなかったと思わされたのはこの人の歌声のせいかも知れない。また粟田麗さんは最近お母さん役しか見ていなかったが、今回は泣き笑いの表情が切なく見える未亡人役だった。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-07-20 16:58:30)(良:1票)
229.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
個人的にはスマホ依存度の低い暮らしをしているので問題ないかというとそうでもなく、要はネット社会の怖さ全般を語っていたらしい。ちなみに紛失したことはないが落下させたことはある。 最初の方では複数の問題が同時並行していく感じでそれなりに見ていられたが、真犯人が正体を現したところは意外というより唐突で呆れた。また終盤で取ってつけたような真相が明かされて人物イメージの統一性が失われてしまい、これで普通にハッピーエンドというのは素直に受け取れない。最後はスマホのいいところとして「宝箱」というオチを付けたようだったが、そういうお宝をやたらにその辺に置いておけば悪用されるだろうがと当然言いたくなる。 ほかに気付いたこととして、プラネタリウムの中でああいうことをする映画が作られるということは映画館でやってもいいという考え方と思われる。主人公の彼氏は「三田大学」の出身とのことだったが、太陽が爆発してから8分間で何をするとかいう話をしていたのは主人公が(観客が)無知だからと侮っていたのか(因果律に反する)、それとも超光速通信とか何とかで知りえたというようなSFっぽい荒唐無稽な想定か。 そういうことで特に憎しみを覚えるほどのものでもなかったが、「劇場霊」(2015)よりましで「クロユリ団地」(2013)と同程度と思っておく。  なお続編が来年公開されるそうで、貞子はもう出さなくていいが、新米刑事はなかなか愛嬌のある奴だったのでレギュラー化するのも悪くない(が見ない)。それとは別に「スマホ拾っただけなのに」(2019)(主演・冨手麻妙)というのもあるようなのでそれもいいかも知れない。 出演者に関しては、岩井堂聖子・松山愛里の両人は知らない人でもないのでお疲れ様でしたと書いておく。粟田麗さんは最近お母さん役しか見ていなかったが、今回はまた幸薄そうな女性の役で、荒れた表情とともに優しいお母さんの顔も見せていたのでよかった。ほかエンドクレジットに菅野莉央さんの名前が出ていたが、もしかすると彼氏の会社の総務部にいた人だったかも知れない(台詞あり)。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-07-20 16:58:27)
230.  カランコエの花 《ネタバレ》 
大した動機もなく見たが結果的に心が痛い話だった。エンドロールからのラストに背景事情が集約されている。 男連中はバカなので無視することにして、女子の方も今どきの女子高生なので(昔も同じ?)ちょっとしたことで仲間を排斥して迫害し始めるということを平気でやるのではないかと思っていたらそうでもなく、主人公を含めて基本的には心優しい人々だったらしい。みんな善意の人なのに(バカ男は除く)何でこういうことになってしまうのかという思いだったが、この物語に即して考えれば、例えば誰かを好きになって相手に告げたら、相手は何とも思っていなかったので気まずくなってしまった、というようなことが性別に関わりなく普通に起こる状態が理想ということかも知れない。  基本的には養護教諭が元凶だったと思うしかないわけだが、そもそも月曜日に何であんなことを言ったのかという点は不明瞭だった。金曜日の段階でそういう雰囲気は全くなく、当面は引き続き話を聞いてやればよかったはずだが、例えば初めてLGBTに関わる相談を受けて一人で盛り上がってしまって土日の間に少し仕込み(7.6%という数字など)をして、別に期待されてもいなかった研究発表をしてしまったと思えばいいか。 自分として気になったのは、相談者に対し養護教諭が一方的にLGBTという枠をはめて追い込んでしまった面はなかったのかということである。正しい見解かどうかわからないが個人的には、あくまで人は一人ひとりであるから、予断なく個別の人間の状況を捉えて対応するのが、この場の養護教諭に求められる態度ではなかったかと思った。 ちなみに以前「スクールガール・コンプレックス~放送部篇~」(2013))という映画を見たことがあるが、女子高ならガールズラブ的に軽めに扱われるものが、共学だとLGBT(のL)ということになるのかと思ったりもした。  ほか映画の作り方として、役割だけ決めて役者の考えで演じる「エチュード」の方式を取り入れていたらしく、登場人物の発言やふるまいに自然な感じが出ている(広瀬すず関連は笑った)。主演女優は目玉が特徴的なようで、少し前に見た「罪の余白」(2015)でも端役ながら目玉は目立っていた気がする(最近は知らない)。また特に、お菓子づくりの好きな小牧桜(演・有佐)という女子の最後の表情が切なく見えて心に残った。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-07-13 10:55:43)
231.  かしこい狗は、吠えずに笑う 《ネタバレ》 
別にほのぼの青春ストーリーを期待していたわけでもないが、自分としても基本は娯楽志向なので、こういう延々とストレスを溜め込んでいく映画は正直嫌いだ。最初からチワワ女子が胡散臭く見えて、こんな嘘っぽい友情物語をどこまで続けるのかと嫌気がさして来たところでさらに胸糞悪い展開になっていくのではたまらない。 またラストに違和感を残す作りだったので、もう一度どういう話だったのかを真面目に考えてみる必要があるかと思っていたところが誤ってネット上でいろいろ種明かしのようなものを見てしまい、それでもう考える気がなくなった。自分としては意外な仕掛けがあったというだけで褒める気にはならないので(ミステリーなら別だろうが)何か普通に人の心を打つものがあってもらいたかったが、そういうことは特に意図していなかった(期待されてもいなかった)らしい。 ほかに何かよかったところを書きたいが見つからない。申し訳ないが自分にとってはハズレの映画だった。  なお好意的でない映画で細かいところに突っ込むのも馬鹿らしいが、映画の撮影地が主に埼玉県の東武東上線沿線と思われるのに対し、映像には監督の出身地である愛媛県をイメージさせるものが出ており、序盤の踏切の場面で「和食処 伊予っ子」(実在)の看板が見えたほか、庭にミカンの木のある家が普通にあったりもする。また劇中の「石神市」が現実の東松山市に相当するらしいのも愛媛県松山市にかけたと思われる。 ほか「東温女子高校」の「東温」は伊予国温泉郡の東部を意味する地名だが、これは監督の出身地である東温市そのものであり、女子高ではないが県立東温高等学校というのも実在する。一方でチワワ女子が進学するつもりだった「東高」というのが県立松山東高等学校のことだとすれば、旧制中学由来の県下随一の進学校ということになる(「坊っちゃん」「がんばっていきまっしょい」の学校、監督の出身校)。カワイイだけでなく成績も優秀で将来有望だったはずが、もと親友のせいで道を外れてしまった状況だったと取れるが、そういう読みも全体を理解する上で役に立つわけではないらしい。
[DVD(邦画)] 3点(2019-07-13 10:55:40)
232.  オンネリとアンネリのおうち 《ネタバレ》 
同じフィンランド映画の「ヘイフラワーとキルトシュー」(2002)と同時に見た。原作はマルヤッタ・クレンニエミ(1918-2004)という作家の児童文学で、シリーズ6作のうち2作は邦訳も出ている。映画はこれを含めて3本が製作されており、そのうち2作が過去に日本でも公開されているほか、第3作も今年5月から日本各地で上映されているらしい。ちなみに映画の撮影場所は首都ヘルシンキの西北西80kmにあるロヴィーサLoviisaという小都市である(2019/1/31現在で14,873人)。 なお英題は「Jill and Joy」になっているが、「ヘイフラワー…」と違って英題でなく原語を邦題にしたのは正解である。「ジルとジョイ」では話にならない。  内容としては「ヘイフラワー…」と登場人物の構成が似ていたりするが、よりファンタジー感の強い話になっている。主人公の少女2人は7歳の設定とのことで、小生意気な連中かと思っていたらわりと素直で良心的な児童だったので安心した。 題名の「おうち」は極端にメルヘンチックな作りだが、要は劇中にも出ていたお人形さんハウスのイメージらしく、主人公2人が場面ごとに違う華美な服装(着せ替え)で現れていたのが目を引く。ご近所の魔女?が庭で異様なものを栽培していたことなどを含め、荒唐無稽でユーモラスな劇中世界が色彩感豊かに表現されている。 主人公2人は自宅に戻れば普通に現実世界の住人のようだったが、「おうち」にいても夢ばかり見ているわけでなく家事も一応こなしていたようで、また近所づきあいを普通にやっていたのも感心した。最後のパーティ場面では本来の家族も客人として招かれていたりして、「おうち」での暮らしが早目の自立心を育てる効果があったようでもある。 そのほか大人が見ても笑わせる場面が多いのでけっこう楽しい映画だった。エンディングが騒がしく品がなかったのは少しマイナスだが、全体としては「ヘイフラワー…」よりかえって純粋に面白かったかも知れない。  以下雑談として、主人公2人が呑気な暮らしをしていられるのは夏休みだからで、劇中では白夜という言葉も出ていたが、主人公2人がまだ明るいうちに寝床に入り、深夜でも夕方の風景だったのは7月頃のことかも知れない。後半になると普通に月夜の場面があったりしたのは少し日数が経っていたということか。 ほか大したことではないが、序盤の警察署の場面で、2人が正直者と思われているかどうか知りたいかと警官に聞かれ、アンネリが”Joo.”と答えたのはフィンランド語で普通にYesの意味だが、オンネリが「ウン」と言ったのは日本人かと思った。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-07-05 21:30:02)
233.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 
前の2つを見たので一応最後も見たが、延々と宗教談義を聞かされるのであくびが出た。ちなみに劇中の鱗粉少女は人間でいえば中高生くらいに見えるが、客人(まれびと)から子種を採取するなどという風習に何歳頃から従事させられていたのかと呆れる。また生物学者の実況中継は昭和29年のアナウンサーのようでもある。  自分としては主人公の立場がどうなるのかを主に見ていたが、かろうじて終盤の吐露(「獣と一緒だ」)を聞いて、この人物の悲痛な思いを感じ取らなければならない気にはさせられた。カルトの英雄として祀り上げられるのは拒否したが、結局は地球の現実に裏切られて自滅した英雄未満の男の末路ということか。 少なくとも第1部の時点では、「人間としての最低限の誇り」を訴えて人類の存続を図ろうとするのが主人公の意図だったはずだが、最終的には単に個人的なプライドと私怨で勝ち負けを争っただけに見えている。実際そういう面もなくはなかっただろうが、失敗したことでマイナス面ばかりが際立ってしまう理不尽な状態の表現に見えなくはない。この主人公の物語として見た場合、他の例でいえばチャイコフスキーの交響曲第6番の終楽章に似た印象といえなくはないが、それにしても三部作の最初が頂点でその後は低落するばかりという構成には疑問を感じる。  またその一方、この映画から専ら感じられるのは<滅びたくなければ原始時代に返るしかない><人間は余計なプライドを持たずひたすら生殖に励むのが分相応で幸せだ>といった時代がかった悲観主義である。人類の未来がどうなるかなど実際なってみなければわからないものを、自分だけ高次元から見下ろしたように手前勝手に決めつける態度は気に食わない。人類も生物であるから生存が基盤になるのは言うまでもないことだが、それだけではないから人間なのだという主人公の思いをあえて踏みにじるのが制作側の方針なのか。 昭和29年の第1作は人類の存続を願うからこその警鐘であり、また邦画最後の「シン・ゴジラ」は、不安が絶えず先行きの見えない現代でも「まだやれる」との励ましが込められていたと思うが、人類全体の未来を個人的趣味で封じていい気になっているこの映画を、そのような先行作と同列に扱う気には全くならない。壮大なスケールの三部作の割に社会に向けてまともなメッセージを発するでもなく、作り手の一方的な自己表現にしかなっていない独りよがりで傲慢なアニメだった。期待して損した。
[ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-06-29 12:57:18)
234.  四月の永い夢 《ネタバレ》 
まず主演女優は好きだ。そうでなければ絶対見なかった。それ以外の誘因は全くない。2017年モスクワ国際映画祭で受賞したそうだがそういうことにも関心がない。朝倉あきさん好きだーーーとひたすら思いながら見ていた。 撮影場所は主に東京都国立市らしいが、町田市(制作会社の所在地)の方でも協力していたようなので注目されないと気の毒だ。また終盤で出かけた元彼氏の実家は富山県下新川郡朝日町と特定されていたが、主人公が降りた富山地方鉄道本線の内山駅は隣の黒部市にある。各方面の協力により製作されたようだが、それほどご当地映画っぽいところは見えなかった。  監督はもともと詩人だそうで、映画というのは小説というより詩に似ているという話(ネット上のインタビュー記事)はなるほどと思った。自分としては散文を読むようにしか映画を見られないわけだが、この物語に関してはだいたいのところはわからなくもなかった。ただ自分の話でないのでそのまま同調できないところはある。 少し引っかかったのは元彼氏の母親が“人生とは何かを獲得していくことではなく…”と語ったところである。この言葉は、すでに失った領域が広がってしまった人間にはぐさっと刺さるものがあるわけだが、母親が自分のこととして言うのはいいとして、まだ若い主人公に対して“獲得することではない”と言い切るのは言い過ぎだ。さまざまな方面や局面で獲得したり失陥したりしながらたえず自分を更新していく過程が人生だ、といった感じになるはずで、少なくともこの主人公に関しては、これから新しい局面で獲得していくものがあるはずである。 そのほか全体的には、控え目に見える主人公のおかけで優しく穏やかに物語が流れていく印象だった。踊るように歩いていて持ち物が少しひっかかって逸らした様子が楽しげに見える。監督によると男にとっては面倒くさい女性ということらしいが、金を払いたがるとかキャンセルを気にするとかは潔癖という意味では嫌いでない。それよりかなり前方に心理的バリケードを張っている場合があるとか、何かあると引っ込んでしまって接点が失われるタイプは困ってしまう。「一人で帰ってもいいですか」のところはやっちゃった感が出ていたが、ラストの一瞬の笑顔には和まされた。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:37)
235.  ごっこ 《ネタバレ》 
出演者のせいでお蔵入りになりかけたのを何とか公開にこぎつけた映画とのことで見たが、宣伝で「最高に泣ける」などと書いてあると要はそれが目的なわけかとかえって印象が悪くなる。ちなみに場所設定としては大阪ということになっているが(大阪市平野区と枚方市)、撮影は群馬県前橋市(千代田町の弁天通商店街)が中心だったのは制作上の事情だろうが少し意外感がある。  主人公の境遇について、孤立的で引きこもり体質というところまでは自分も同じだが、それだけで全面的に共感できるわけでもない。 自分を犠牲にして子どもを助けようとしたのは結構だが、その根底には犯罪で捕まれば自活不要という発想があったはずで、同時に育児放棄という面もあるのでそれほど褒められるものではない。またカレー屋の母親はいいとして(よくはないが)その娘までを結果的に捨て石にしたのはどうなのかということもあるが、これはそれほどまでに自分のところの子をかけがえのない存在と思っていたことの表現か。自分はどうせ駄目だがこの子だけはというつもりで、可能な限りの方法で最も大事なものを守り通したということではあるらしい。 最後の場面は、自分など他人にとっては無に等しい人間だと思っていたところ、実は誰かにとって大きな存在だったことを知らされた時の驚きと困惑と感激ということならわからなくはない。結果として「万引き家族」(2018)などよりは素直に心に響く映画だった。  出演者の関係では、主役の顔と子役の顔がとにかく心に残る。主役についてはラストの強烈に変な顔が目立つが、ほか個人的には普段の顔と、保育園で子役に笑いかけた顔のギャップが印象的だった。また子役の平尾菜々花という人は、別のところで見たときは躁状態でやかましくしゃべる女児だったが(“ここさけ”とNHKの土曜ドラマ)、今回は全くイメージの違う役をきっちりこなしている(目力あり、演技力あり)。優香はミニスカでないポリス役で今回少し色気を抑えていた。 そのほか商店街のおばさん役で鴨鈴女(かも すずめ)という役者が出ており、端役ではあるが顔を知っているのでどうしても目についてしまう。この人も本物の大阪人である。  追記:見たあと原作を読むと、かなりまともにきっちり万人向け映画としてまとめたことがわかる。主人公の人物像がかなり違うが、結末まで含めて現実寄りの映画にするなら最初からこれで正解と思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:35)
236.  カミングアウト 《ネタバレ》 
“LGBT”のうちのGayの青年が周囲の人々にカミングアウトしようとする話で、特に過激に思われる場面もなく穏やかな雰囲気で推移する。見たところ一般向け啓発ビデオのような印象があり、宣伝文では「きっと、あなたの価値観変わります」と書いているが、見ても特に変わった気がしないのは5年も前の映画だからかも知れない。 映画の作りとしてはどうも素人っぽいというか手際が悪く見えるところがあり、特に大学のサークルの場面は間が悪いようで笑える台詞も笑えなくなっているが、これはキャストというよりスタッフの問題ではないかという気がする。後半になるとそれほど違和感もなく、夜の静かな場面での虫の声などは効果的に思った。  物語としては、まず前半で主人公が人間関係に悩みながら覚悟を固めていき、後半でごく近しい人々に対し順次カミングアウトを敢行することになる。なおいわゆるアウティングに関する問題は捨象されているらしい。 相手の反応のうち、特に母親の嘆き(孫の関係)は単に無知とか偏見では済まされないことなので心が痛むものがあるが、これは他の劇中人物が言っていたように「人生にはままならないことがある」と思え、ということか。どうしようもないのはお互い様だということもあり、またLGBTだけが原因になるわけではないということもある。 今回は親しい人間に限定して実行していたわけだが、主人公としては今後も対象を拡大していくつもりだったらしい。一体どこまでやらなければならないのかと部外者としては正直思うが、ここはこの映画の持つ啓発ビデオの役割を主人公に負わせていたということか。社会の受容度が高くなれば当事者があえてハードルを越えようとすること自体が不要になるのは間違いない。 ちなみに親友に対しては告白が2段階になっており、2つ目はあえて言わなくてもと思わなくはなかったが、この映画として淡い恋物語の結末が必要だったということかも知れない。  なお監督・脚本は犬童一利という人物だが、著名な犬童一心監督との関係はわからない(年齢は約26歳差)。知っている役者はあまり出ていないが、高山侑子という人が主人公の後輩で普通に可愛い女子大生をやっている。ほか「協賛」としてNPO法人の名前と「Alfa Romeo」「TENGA」という企業名が出ていたが、後の2つは実際にLGBTに関わる社会活動をしている会社のようで、劇中でもそれぞれの製品を見せていた。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:18)
237.  少女ピカレスク 《ネタバレ》 
まず前半ではウェブ配信と自撮り映像を多用して、地下アイドル3人の日常に「ちーちゃん」なるものが忍び寄る過程を見せられる。ここまではホラー風味が強く結構面白いと思っていたが、しかし後半ではその「ちーちゃん」が前面に出て来て種明かしを始めるのでサスペンス風味は失われる。あとは残虐行為が中心になるがおふざけ感が非常に強く、そういうものの愛好者がどれだけ面白がるかはわからない。 また並行して、精神状態に問題が生じていた主人公(題名によれば少女)の「嫉妬、憎悪、憧れ」が異常な形で噴出し、これを通じて人の真実の一側面が表現される映画と取れなくはない。しかしリアリティ皆無の茶番じみた展開で制作側の本気度が疑われ、こんなものを誰が真面目に見るのかとしか思えない。自分としては馬鹿らしいのでもう勝手にしろということで投げた。 エンディングのPV(劇中で撮影したのがこれか)では地下アイドルの光と影、表と裏といった感じのものも見せられたが、個人的にはろくでもないものを見てしまったという思いだけが残った。こういう作風の監督なのか。  登場人物のアイドルに関しては、見た目は年齢不詳で中高生のようだが演者はみな成人である。主演の椎名ひかりという人は実際に極端にユニークな人物らしく、これはもう本当にこういう人なのだろうと思っておく。 また「日菜子」役の長澤茉里奈という人は童顔で中学生のようでもあるが、天使と呼ぶなと言っていたあたりが実情を示しているものか。これまで見た範囲では「咲-Saki-」(2017)で鶴賀学園の初心者役をやっていたが今回かなり印象が違っており、この映画の方が地の状態に近いのかも知れない。もう一人、「亜依」役の神門実里という人は大写しにすると味のある顔で、たれ目気味なのは愛嬌がある。 また人気モデル役で出ている武田玲奈さんは、途中で写真だけ見えていたが本人の出番はラスト12分程度のところまで延々と待たされる。友情出演とのことで、この映画としては大御所のような扱いで貫禄も見えていたが、演者の実年齢ではこの人が一番下である。自分としては何でこの人がこんなバカ映画でウソ泣きまでして真面目に演技しているのかという気分だったが、しかし見えないよりは見えた方がいいのでこの人だけでも点数が若干上がる。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-06-01 10:25:15)
238.  罪の余白 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。この映画を見てから読む気にもならなかったので原作紹介の役目は果たしていない。悪役のフルネームが手羽先に聞こえるのは原作のせいか。 見たところ、視覚的なところと音楽には力が入っていたようだが中身がついて来ていない印象がある。魚や牢屋といった要素が馴染んでおらず、二重拘束というのも最後のこれがそうだったのか?という程度で印象が薄い。また悪役が一本調子の悪人面のせいか、愚かしさとか悲哀といったものが感じられずに憎々しいばかりで、思考や心境の変化も伝わって来ないところがある。終盤も偶然だか意図的だかわからない展開で都合よく決着を付けたようで爽快感がない。  特に個人的に困ったのは、これだけ胸糞悪い話を見せられて溜まった不快感をどう処理すればいいかわからないことである。学校とか千葉県警とか児童相談所を憎んでも仕方ないので、自分としては登場人物や映画自体を憎む結果になった。 まず自分は当事者ではないが、娘を殺された父親の立場であればもっと過激にやってもらって構わない。コンビニの前で殴り倒したのは単なる馬鹿だが、どうせ暴力的にやるのならこういう機会を捉えて殺せば簡単に終わるだろうし、そうすれば小悪人の方も小便漏らすどころでなく精神的に立ち直れなくなって一生終わりだったはずだ。死者が望むかどうかなどはどうでもいい。 また芸能事務所(吉本興業かと思った)で「映画と同じぐらい価値のある人間か」と問われたところは笑った。映画製作にはそれなりの元手が必要だろうからその値段の話をしていたのかも知れないが、それにしても毎年大量に生産されて消費されて忘れられる商品と同様の価値しかない人間と言われるのは屈辱的ではないか。 ちなみにこの映画のせいで悪役の女優にはかなりの悪印象がこびりついた(「渇き。」の小松菜奈に匹敵)。役者に罪はないとか作品に罪はないとかいう言い方はあるが、罪はなくても感情問題として嫌悪するのは仕方ない。劇中の台詞としては「いい脚本といい監督さん」なら何でもいいとのことだったが、本人が嫌われてしまってはまずくないか。エンドクレジットの間じゅう静止画で顔を映し続けていたのが極めて不快で、今後この女優の顔を二度と見たくなくなったが、そんなことを思わせるのも映画の力ということだ。 なお葵わかなさんや武田玲奈さんに当然ながら罪はない。谷村美月嬢が可愛らしいので救われる。
[インターネット(邦画)] 1点(2019-06-01 10:25:12)
239.  空母いぶき 《ネタバレ》 
公開前から叩かれていたので笑ったが一応見て来た。 原作に含まれている各種要素のうち、この映画では「戦争」と「人命」に絞って基本的なところを表現していたようで、うち「戦争」については敵に関する設定との関係なのか独自の定義をしていたらしいが別に悪くはない。ただ戦争映画として面白いかは何ともいえないものがあり、侵略された島に行こうとしたら途中で敵が攻撃をしかけて来て原作にある出来事が起こったというだけで、戦術的な駆け引きのようなものは特にない。また自分としては原作12巻までの間で3回くらい出た「当事者として」という言葉がなかったのは不満だが、それは日本国民にはまだ早いという判断か。  そのほか映画独自の部分として、ネットニュース記者の「燃えています」の場面は、意図はよくわからないが少し泣かせるものがあった。この人物はジャーナリストというよりも、戦闘の現場をじかに見てしまった一般人の位置付けのようでもあるが、あるいはこの映画としても既成のマスコミに期待するものはないと考えているのかも知れない。 また人命に関わることとして、救助された敵兵が逆上して自衛官を殺害してしまい、同僚が報復しようとして止められるエピソードが入っている。ここは敵とはいえ未来のある若者を、殺してしまうのでなく改心させるのが大事という意味かも知れないが(いわば少年法の精神?)、しかしそういう目的のために柿沼1尉を犠牲にしたのは絶対に許せない。自分がこの場の責任者でも止めるだろうからそれは仕方ないにしても、こういう話をわざわざ入れるこの映画を憎まずにはいられない。本当に守ろうとするのは誰なのかを厳しく考えることもなく、八方美人的に綺麗事を言ってみせる映画など全く求めてはいない。 なお最後に紛争を終結させた驚愕の出来事は、もしかすると日本国憲法前文でいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとの理想を表現したものではないか。ここは専ら憲法を愛する人々へのサービスのようでもあるが、そもそも敵に関する設定が原作と違って荒唐無稽なため現実的な切迫感もなく、何か異世界ファンタジーのようなものを見せられた気もした。  そういうことで原作読者として満足できるものでもないが、最低限、原作の存在を世間に知らしめるという意義はあるので、世間の評価はどうでもいいからとりあえず話題にはなってもらいたい。ちなみに原作は今年中に完結とのことで期待している。   [2019/12/07追記] DVDで再度見たが、やはり柿沼1尉の件は許しがたい。わざわざ妻子の顔を見せて「替えは利かない」と言わせておいてから死なせるなど極めて悪趣味で、制作側には人の心というものがないのかと疑わせる。 また公開中は少し遠慮していたがあえて書くと、最後に取ってつけたように外交の心得だか極意のようなものを説明するのが煩わしい上に、大きい国が小さい国を追い込むな、などと突拍子もなく語らせるのは不快感を催した。こういう誰の意向を斟酌したのか不明な主張で話を逸らしてしまうのは、映画というメディアの不自由さなのか作り手の独善性なのか。 もう一つ、公開時に見て気になっていたのは、ラスト近くの「こんな時間に開いてる店あります?」「何でもありだよこの街は」というやり取りである。これがどこまで現実味のある話なのかわからないが(東京だとあるのか)、そういうのこそが世界に誇れる日本の底力だ、と言いたいのなら話はわかる。 [2020/02/13変更] ニュージーランド映画「米中開戦 20XX年:悪魔のシナリオ」(2019)との相対関係でマイナス1点とする。 [2020/07/27変更]「みんなのコミックレビュー」に原作のレビューを掲載したので、この機会に映画の方をさらにマイナス1点とする。
[映画館(邦画)] 3点(2019-05-25 10:53:16)
240.  旅猫リポート 《ネタバレ》 
大変申し訳ないが全く好きになれない映画だった。 まず、映画ならときどき見るがTVドラマは見慣れていないので、笑えないドタバタとか過剰に苛立たしい人物表現が気に障り、序盤の30分くらいで好意的に見ようとする気が完全になくなった。ドラマとしても底が浅いようだが、とりあえず登場人物が声をあげて泣くことで観客を泣かそうとするのはやめてもらいたい。 またアニメならともかく動物の擬人化を実写でやるのは嫌いだ。ネコの姿をしていても、人と同じようにものを考える生物などネコとは思えない。ネコとヒトは違う動物であるから考えることも違うと思うのが基本であって、それでもちゃんと接点が生じるから家族扱いされるのである。少なくともうちのネコ(2匹)は絶対にこんなことを考えていないと断言するが、このように人間側の思いや都合をネコに投影しようとするのが世間の常識ならこっちが野暮ということになる。 ちなみに最後まで責任をもって飼うという発想も登場人物にはあったようだが、野良化させてもいいというのでは厳しさがない。自分としては、戸が締まった家の中で食い物がなくなって仕方なく腐乱死体を食って腹を壊すようなことがないように、ネコ(2匹)より先には絶対死なないことが人生の目標になると思っている。ネコに看取ってもらうなど筋違いだ。  以上により、2点は少し厳しすぎるかも知れないが好きになれないので仕方ない。 なお細かい点として、足元にネコがいる(という想定の)場所でヤカンを落とすのはやめてもらいたい。またあの墓園(若松区)から南西方向に虹は出ないのではないか。好きな女優は特に出ていないが、広瀬アリスという人は最近嫌いでない。高校生役は無理があるがそれをいえば他の男連中も同じだ。
[DVD(邦画)] 2点(2019-05-18 09:57:30)
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