261. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 序盤からサイモン・ペッグが左遷されるまでのキレの良い展開と編集は目を見張る出来の良さ。特にケイト・ブランシェット登場シーンには大笑いさせられました。いろんなハリウッド製アクションのパロディが観られますが、「真面目で優秀な警官が田舎のコミュニティーでひどい目に遭う」というプロットにはあの『ウィッカーマン』へのオマージュがあるのでは。コメディとシリアスのバランスがこれまた絶妙な脚本なので、ハリウッドコメディとは異質のカタルシスが味わえて楽しいですね。でも、終盤あれだけガンをぶっ放しているのに、負傷しても誰も死んでいないというのは、これまたハリウッドに対する皮肉が感じられます。 それにしてもティモシー・ダルトンの最期はほんと痛そうでしたねー。あの悲惨な姿は『食人族』の串刺し以来の衝撃シーンでした(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-20 15:49:49) |
262. セクレタリー
《ネタバレ》 一言で評すと“変態カップルさんいらっしゃい!”となりますが、変態調教される秘書のマギー・ギレンホールが想像以上に艶めかしい演技なのでけっこう観られます。 変態弁護士ジェームズ・スペーダーが調教しているうちにだんだん秘書に愛情(?) を抑制できなくなってゆく姿がリアルです。あの“お尻ペンペン”シーンは、その手の趣味の人にはたまらんでしょうね。 弁護士事務所の中でストーリーが展開するわけですが、事務所の内装が非日常的な空間を作り出しているところはすごく気に入りました。ビデオショップではソフトポルノの棚に並べられていますが、けっこうドラマとしては丁寧に撮ってますよ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-16 21:12:32)(良:1票) |
263. ブッシュ
《ネタバレ》 ジョシュ・ブローリンは最近どんどん演技が上手くなってきたなー、とまず感心から。ブッシュ・ジュニアを真面目に演じればちょっとコメディアンみたいなキャラにどうしてもなってしまい、他の出演者のシリアス極まりない演技の中でちょっと浮いちゃってるのが残念でした。 ストーンがブッシュに愛着を持っているはずはないし、そもそも何でこの映画の監督なのか解せない部分もあります(脚本書いていないし、製作もしてないので雇われ監督だったみたいですが)ブッシュの在任中世界中を笑わしてくれたおバカネタは意外と使われていませんが、色んな制約がある中でストーンなりに精一杯ブッシュ批判を展開している気がします。ブッシュ以上に悪意を込めて撮られていると感じたのはチェイニー副大統領で、リチャード・ドレイファスの役作りはほんと素晴らしい。イラク開戦をブッシュと閣僚が野外で歩きながら相談するシーンがありますが、思わず『ブルジョアジーの密かな愉しみ』の有名なシーンを思い出してしまいニヤリとしてしまいました。 まあパパ・ブッシュやママ・ブッシュも含めて皆湯気が立つほどピンピンしているわけで遠慮がどうしてもあるのでしょうが、それなら始めから撮らなければ良いわけで、ちょっと製作するには時期尚早過ぎる題材かもしれません。 でも悔しいけど我が国ではこういう映画は絶対製作されないのも事実で、ハリウッドの奥深さを思い知らされました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-15 23:56:42) |
264. シービスケット
「涙の感動実話」と聞いていたけど、不思議と胸にグッとくるものがなかったのですが、なんでだろう? まず自分は競馬に興味がないということなのかな。それでも競馬シーンのカメラワークは迫力満点で素晴らしい。映画全体がきっちりし過ぎているので、もうちょっと遊びや余裕があると良かったと思います。 ウィリアム・H・メイシーの使い方は最高でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-14 22:18:28) |
265. ノーカントリー
《ネタバレ》 コーエン兄弟映画に特有のブラックなユーモアが全く観られない不気味な作品。唯一それらしいかなと思われるのは、ウディ・ハレルソンの役名がオーソン・ウェルズをもじったカーソン・ウェルズというところかな(ちょっと考え過ぎかも)。“No Country”ならぬ“No Music”で押し通すところも、今までどちらかと言えば「音楽過多」気味な作品が多いので、観客の不安をあおる語り口と相まってなんか居心地の悪さが感じられます。 それはもちろんコーエン兄弟の計算された構成が狙った効果だけど、アントン・シガーという映画史に残るモンスターキャラがあまりに強烈だからでもあります。このキャラが不気味なところは、劇中の会話がとってもピント外れで、他人とのコミュニケーションが取れていない、と言うかとろうとしない不条理さです。 私はこの映画はコーエン兄弟版の『ターミネーター』だと感じました。シガーが風呂に浸かりながら傷を治療するシーンは、まさに『ターミネーター』へのオマージュですよ。 しかし、こんな実験作でオスカー獲っちゃったコーエン兄弟の行く末が個人的には心配です(すでにその兆候が顕れている様ですが)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-05 12:30:13) |
266. フライボーイズ
《ネタバレ》 てっきり、J・ブラッカイマー製作でM・ベイが監督の映画をまた観ちまった!と勘違いさせられました。まあ、あのD・デブリンが製作ですから似た様なもんですが… 雰囲気は、第一次世界大戦版『パール・ハーバー』と言ったところでしょうか。登場する複葉機(三葉機)は飛行可能な実機も揃えて良く考証されています。空中戦シーンはもちろんCGですが、さすがにクラシックな複葉機が飛び回るのをCGで見せられても作りもの感が強すぎて興ざめでした。CGのレベルはけっこう高度な感じでしたが、爆弾が落下するところは『パール・ハーバー』と同じ主観映像なので思わず笑ってしまいました。 主人公と村の娘のサイドストーリーや墜落した僚機を救出するシークエンスは、M・ベイも脱帽する様なベタであり得ない演出で唖然としました。 「ちぇ、また駄作に出ちまったぜ!」と言った顔つきのJ・レノが見せるやる気のない演技は哀れを誘います。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2010-08-28 16:22:08) |
267. ザ・コンテンダー
《ネタバレ》 ジョアン・アレンが演じる上院議員が最後まであの蓮舫とイメージが重なって弱りました(笑)。父親が元知事でいかにも裕福なWASP出身といった設定の女性に、観る方としてはどうやって感情移入したら良いか困ってしまいます。 対するゲイリー・オールドマンはまるで落武者みたいな髪型のすだれハゲの陰謀家と言うのもあまりに判りやすい人物像で、なんか底の浅い脚本ですよね。公聴会で何十年も前の学生時代のご乱交や選挙スタッフと略奪結婚したプライバシーをほじくり返すところなぞ、パロディではなく現実のアメリカ政界で起こり得る話しなのでゾッとします。まして彼女が共和党から民主党へ鞍替えしたことを「忠誠心」を持ち出して非難するに至っては、そんなこと言ったら日本の政治家さんたちはどうなるの?、と叫んでしまいたくなる無理振りですよ。 本作では、そういうアメリカの政治状況をアイロニカルに問題提起する視点がないので、なんかとても薄っぺらいお話しになってしまいました。何でこんなキャラが登場するのか意味不明のクリスチャン・スレーターもマイナス要因です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-08-21 18:24:07) |
268. ゴスフォード・パーク
《ネタバレ》 もうまるっきりJ・アイヴォリーの世界なんですが、アルトマンらしさが随所にみられて面白かったです。寄席木細工のような巧緻な脚本には脱帽ですし、犯人が判らないミステリーというのも初めてで実に斬新でした。とてもじゃないけど一度観ただけじゃ登場人物の相関関係が判りませんが、それでもM・スミスとH・ミレンの両デイム女優はさすがに圧倒的な存在感です。観終わって久々に味わう至福感でした。 [DVD(字幕)] 9点(2010-08-12 00:05:58) |
269. デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~
《ネタバレ》 ジュリア・ロバーツには自分はあまり興味がないのですが、確かに彼女一時の輝きがなくなってきましたね。本作でもなんか惰性で演技している様な雰囲気で、この映画違う女優をキャスティングした方が良かったのでは。それにしても、こういうどんでん返しありのコン・ゲーム系映画は最近あまりに多くて食傷気味ですよ。スプリット・スクリーンを多用したりして工夫しているのは判りますが、テンポの速い展開や何度も繰り返す過去へのカットバックも、トリックやプロットのボロを隠す効果しかないのでは。 ポール・ジアマッティがどんどん怪優になってゆくのが、怖い…。 [DVD(字幕)] 5点(2010-07-08 00:56:12) |
270. フル・フロンタル
《ネタバレ》 実験的な映像というよりも、実験的な脚本の映画という感想ですね。悪評は聞いていたので覚悟して観ましたが、自分としては思ったより楽しめたかなと思います。ジュリア・ロバーツが鬘をとるのは確かに早すぎましたね、最後までとらなかった方が良かったのでは? 劇中劇と現実(らしきもの)が交錯する様になってからがこの映画のダメなところでしょう。デヴィッド・ドゥカヴニーの死にざまはちょっと理解に苦しむところでした。これって、あのデヴィッド・キャラダインが死んだのと同じ状況ということなんでしょうか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-06 00:05:27) |
271. コンフェッション(2002)
《ネタバレ》 うーん、残念ながらこれどこが面白いのか理解できませんでした。どうも自分はC・カウフマンの脚本とは相性が悪いみたいで、彼が関わった映画で面白いと思った作品にはまだ出会ったことがないのです。世間の彼への評価が高いことは判ってますがね。コメディ的な要素と結構シリアスな殺し屋稼業と妄想の世界が、全然調和してないのがとても辛い。S・ロックウェルはやはり脇にまわる方が良いのではないでしょうか、そういうポジションの俳優ですよ、彼は。 [DVD(字幕)] 3点(2010-07-01 01:31:27) |
272. 耳に残るは君の歌声
なんと言いましょうか、そう、無駄に豪華な出演陣だなぁというのが感想です。撮り方によっては結構波乱万丈の映画になる題材ですが、端折った様な終わり方をするエピソードをつないで淡々とした味わいを出そうとしてるのは判ります。ですけど、J・デップとC・リッチを使って撮る映画じゃないと思うのですがね。デップなんかほとんど演技なんかしてないんじゃないですか。 それにしても皆さんデップ目当てなんでしょうが、こんな地味な映画に100を超えるレビューが寄せられるとは(笑)。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-25 00:50:55) |
273. ザ・バンク -堕ちた巨像-
《ネタバレ》 随所にトム・ティクヴァらしさが感じられるカット割りが観れて嬉しいですね。クライブ・オーウェンが殺し屋の車を追いかけるシークエンスで信号待ちする車がズラッと並んでいるシーンは、「これぞ、ティクヴァ!」と唸らされました。この人『パフューム』で判るように大群衆を画面に生かすのが好きというか上手いのですが、本作でも俯瞰ショットを活用して得意技を見せてくれます。国際的な犯罪に加担する銀行と言えば破たんしたBCCI(この銀行もルクセンブルグが本店だったですね)の事件をモデルにしてるなと判りますが、国際金融をプロットにするならばもっと不条理なエンディングが良かったのではと思います。銃撃戦がやけに派手だなと感じましたが、なるほど制作総指揮がジョン・ウーだからですね。社会性よりもアクション重視の、ハリウッド風というか香港ノワール風になってしまったのはマイナスでしょう。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-20 01:38:27) |
274. シモーヌ
《ネタバレ》 アンドリュー・ニコルのコメディセンスが冴えた一品ですね。なにが可笑しかったと言えば、ウィノナ・ライダーのセルフパロディ的な演技ですね。彼女はコメディエンヌのセンスがいいので、今後もこの線で行って欲しいです。CGプログラムで俳優キャラを創造するアイデアは今観ても古臭くなっていませんし、PCでシモーヌを造るプロセスもなかなか良く作り込まれているのではないでしょうか。ただ好みがあるでしょうが、自分にはシモーヌが理想的な美女とは感じられなかったのですが…。 [DVD(字幕)] 8点(2010-06-19 01:24:00) |
275. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 この映画、もとは『ツイン・ピークス』みたいなシリーズものとして制作されるはずだったのにボツになってしまったTV用パイロット版なんですね。R・フォスターなんか出番はあの冒頭の事故シーンだけですから、いかにもこれからストーリーに絡むぞって雰囲気だったのにね。シレンシオ劇場からあとの部分が追加で撮った部分らしいですが、どうりで訳のわからない伏線が意味ありげに散らばっているわけです。いろいろな解説が存在してますけど、そもそもリンチという監督は絵描きなので、映画も自分の頭に浮かぶイメージをフィルムに焼き込んで撮っているから、何か意図があると思っちゃだめですね(ヒッチコックじゃないんだから)。三回は観たと思いますが、正直言ってだんだんはまってきました。 もう謎解きなんか止めてリンチワールドに浸るしかないって! [DVD(字幕)] 10点(2010-06-17 23:59:07)(良:2票) |
276. ブロークン・フラワーズ
《ネタバレ》 うん、この終わり方でいいんですよ。ただ、あそこでビル・マーレーの実の息子を出すのは、ちょっと反則技、楽屋落ちが過ぎると言うものです。マーレーは確かに上手いのですが(特に目線の動かし方は、もうサイコー、名人の域に達しています)、キャラがどこか『ロスト・イン・トランスレーション』とかぶっていて、彼はこれからもこういうオフ・ビートな役柄を期待されてしまってちょっと可哀想でもある。私はこの映画けっこうツボですが、なんか今までのジャームッシュとはちょっと作風が違うなと感じました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-14 00:34:41) |
277. ブラック・スネーク・モーン
《ネタバレ》 はげ親父S・ジャクソンがパンツ一丁姿のC・リッチを鎖で縛るポスターは大変扇情的ですが、エロ要素はたしかに強いがけっこう真面目なストーリーでした。リッチのエロカッコよさは相当なもんですが、あんまり露出が過ぎるとだんだん眼が慣れてきて終いには何とも思わなくなっちゃうものですね。本作はどうしてもエロに関心が偏っちゃうのですが、実はブルースが重要な要素になっています。ジャクソンが劇中何度も聴かせてくれるブルースは実に渋くて迫力がありました。出演者がほとんど黒人で、白人はホワイト・トラッシュのクズ白人ばかりというのが面白く、黒人目線でストーリーが語られるのが良かった。黒人たちの精神の豊かさとたくましさが白人たちのひ弱さとは対照的で、脚本の意図としては面白いところです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-06-13 00:32:38) |
278. デス・トゥ・スムーチー
《ネタバレ》 観始めた時点では、正直言って「これは拾いもの、大傑作かな」と思ったのですがね、途中からどんどん失速しちゃいました。わざとらしさが強すぎるE・ノートンの演技は、観なれてくると結構楽しめますし、邪悪な役柄のR・ウィリアムスも味があって良いのですが、C・キーナーがいけません。前半は『ネットワーク』のF・ダナウェイみたいな小気味よいやり手プロデューサーで、ノートンをいびるシーンは凄く面白いのですよ。最後までこのテンションで行けばよいのに、だんだんノートンに恋する普通の女に退化しちゃって、終いにはロビンまで改心していい人になるラストにはちょっとがっかりさせられました。もっとシュールでブラックな結末を期待してたのに…。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-11 21:47:32) |
279. ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー
《ネタバレ》 ナオミ・ワッツまぼろしの初主演映画にして、全編にわたりナオミ・ワッツファン感謝祭状態。なんせ、90分のうち確実に三分の二はナオミ・ワッツのアップショットなんですから。また、まるでお笑い芸人の様な彼女の顔芸の数々には苦笑させられます。しかしこれを観てつくづく感じるのは、ナオミ・ワッツって何でブレイクするのにこんなに時間がかかったのだろうということです。ハリウッドの俳優陣の層の厚さを思い知らされます。ナオミよ、大丈夫、君がオスカーに輝くのはきっともうすぐだから。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-06 12:29:54) |
280. 彼が二度愛したS
《ネタバレ》 そもそも、他人のケータイに出ちゃダメでしょ、ユアンくん。 とりあえずいろいろ突っ込みたいところはありますが、仕掛けがちょっと偶然に頼り過ぎというのがつらいかな。情けないんですけど、銀行でのジャックマンが預金解約に副署がいると気付くやり取りが良く判りません。口座開設の手続きしたのは、ジャックマンですよね、自分でやってて忘れていたってことなんでしょうか? 何でユアンはジャックマンになり済まして銀行に現れたのでしょうか、副署が必要なことを知っていたわけだよね??? 理論的に考えると、銀行口座にログインした時にユアンが条件を加えたのじゃないと辻褄が合わないのですが、そんなこと現実としたらあり得ますかね…。 まあ深く考えることないか、そんなたいした作品でもないし(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-01 01:41:00) |