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 > 飛鳥 さんの口コミ一覧。14ページ目
飛鳥さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1679
性別
自己紹介 今まで観た映画の記録を整理したくなり、レビュー開始。
物忘れが良いのでメモを残しておかないと、印象薄めのものは内容をすっかり忘れていたり、前に観た映画も初見かと思って後半にようやく気づくなんてことも。
備忘録を兼ねているので、ほとんどのレビューはネタバレで書いてます。

10 至高の殿堂入り
9 心に残る傑作 
8 もう一度観たい佳作
7 面白い
6 そこそこ面白い
5 普通
4 それほど面白くはない
3 面白くはないが見どころがなくはない
2 全然面白くない
1 酷い駄作
0 呆れ果ててもはやネタレベル

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261.  チェイサー (2008) 《ネタバレ》 
犯人の異常性にジュンホがようやく気づいていく演出が巧い。姉家族の脳に障害を負った子供を観たとき、ジュンホは弟の仕業だと察してその異常性を初めて実感する。ゴミと携帯に登録されていたほどクズ男に見えたジュンホが、だんだん変わっていくのがいい。最初はミジンが逃げたと思って捕まえるために探してただけだったが、ミジンの娘に心を動かされてからは、捜索する動機がまったく違ってくる。子供のためにミンジ救出に暴走する姿はカッコいい。  犯人のアジトでの格闘はまさに死闘。ミンジの悲惨な姿もあって、グロとバイオレンスのクライマックス。 ラストは病院でミンジの子供の幼い手を握るジュンホの抜け殻のような顔が余韻を残す。病気で渋るミンジに無理に仕事に行かさなければこんなことにはならなかった。ジョンホはその十字架を一生背負って生きていかなければならない。  その一方で犯人を釈放させた検察は何の責任も取らないだろうことが、余計にやるせなさと腹立たしさを募らせる。権威主義で無能な検察、警察、市長への皮肉がいたるところにこめられている。韓国の警察事情がどんなものか詳しくは知らないが、殺人事件の容疑者があまりにも簡単に釈放されている。警察の無能っぷりがひどくて、まるでザルのような捜査に力が抜ける。市長への糞投げを最優先するような体制への批判も込めて、徹底した無能に描いている。  この映画には生々しい韓国がところどころに顔を覗かせるのも面白い。狭い路地での違法駐車の列。風俗チラシだらけの繁華街。市長への人糞テロ。警察の権威主義。極度の警察不信。韓国社会が抱える暗部を詰め込んだような映画。華麗な韓流映画やK-POPとはまた違った側面を見せてくれる。  サイコパスを描いたら、韓国映画は凄みを見せる。憎々しいほどにリアルで生々しい。ハ・ジョンウは前にドラマ「H.I.T」で観たときは印象が薄かったが、こういう悪人のほうがハマってる。それと、韓国の子役の上手さには感心する。日本とはレベルが違う。  キム・ユンソクは最初は次課長の河本に似てるという印象だったが、カッコよくなってからはまったく別人に思えた。 他の誰かにも似てると思ったがなかなか思い出せない。甲斐よしひろにちょっと似てると気づいて、どうでもいいけどなんだかスッキリ。
[インターネット(字幕)] 7点(2015-01-17 01:54:41)(良:1票)
262.  TOKYO TRIBE 《ネタバレ》 
おもしろい。『IWGP』が好きならオススメ。 ブクロのチーム、そして窪塚も似たようなキャラで登場となれば、あのドラマを彷彿する人も結構いるような。 チーム間の抗争を劇画タッチに描いていて、そこに園子温らしいエロとバイオレンスの毒気が効いている。 原作の漫画は未読だが、いかにも漫画的な世界観がうまく構築されていて、原作をぶち壊さずに表現できたことをうかがわせる。 ミュージカルが大の苦手なのだが、ラップがこれほどミュージカルに合うとは。 いつものアレルギー反応も出ずに楽しめた。  キャスティングもよく、特に清野菜名が印象に残った。 初めて見たが、タイプは違うけど、今や国際的女優となったペ・ドゥナや、すっかり人気女優の吉高由里子の初見と同じくらいのインパクト。 キュートで透明感がありながら裸も辞さない思い切りの良さに加えて、アクションもできる逸材で、園監督のお眼鏡にかなっての抜擢も納得。 満島ひかりに通じるカッコ良さもあり、そういえば吉高も満島も園監督が見出したと言われるだけに、今後が楽しみ。 鈴木亮平は変態仮面のイメージが強かったのだが、それも一変、凶暴な敵役のメラが板についていた。 ストーリー自体は特にどうということもないものの、スタイリッシュでカオスな雰囲気は好き。
[DVD(邦画)] 7点(2015-01-11 22:27:36)
263.  バラキ 《ネタバレ》 
裏切り者とボスに誤解されて消されそうになったバラキが、マフィアのオルメタ(沈黙の掟)を破ることで復讐し、FBIとの取引で家族や自身の身を守ろうとする。 髭のないブロンソンに慣れてくるにつれて、ストーリーにのめり込んでいく。 組織の幹部が初めてマフィアの実態を証言した実話ベースで、マフィアの実在の人物が実名で描かれているのが興味深い。 バラキとジェノヴェーゼが獄中で死んでからようやく制作にGOサインが出たようだが、完成までにマフィアからの脅迫など紆余曲折があったというのもうなずける。 実話ベースの作品にありがちな淡々とした流れで、珠玉の名作『ゴッドファーザー』に比べるとドラマ性は低いが、ドキュメンタリー的な生々しさはある。 実話ものといっても2時間の映画にまとめる上で割愛されているエピソードも結構あるようだが、マフィアの大まかな実態は掴めるし、マフィアものが好きなら見て損はない。
[DVD(吹替)] 7点(2015-01-06 23:25:56)
264.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
油田火災を爆薬で消火するため大量のニトログリセリンを運ぶという、いたってシンプルで地味っぽい話。 ところが、これがおもしろい。 少しでも衝撃があると爆発するという緊張感が伝わってくる。 怖いもの知らずと思われたジョーが、意外な醜態をさらしてマリオに罵られる姿が切なかった。 挙句の果てには、油の沼を抜け出すのに足を轢かれてブランブラン、もう人生散々の大暴落状態。  一人大金を手にしたマリオが浮かれて調子に乗った蛇行運転をしていたので、これは事故ると思っていたら案の定。 壮絶なサバイバルゲームを勝ち抜いたにしてはあまりにも幼稚でバカっぽくて、もう少しマシな死に方がなかったか。 序盤が少しだるかったのと、ラストが違っていれば傑作になったのに。 スーパーマリオのモデルだったとは知らなかった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-12-22 22:29:37)
265.  真実の行方 《ネタバレ》 
法廷で対決した女検事は、弁護士の元同僚で元恋人。殺された大司教には裏の顔があって、セックステープを作っていた。それが犯行動機と推定されるが、アーロンに多重人格障害の症状が表れて――。 白熱した法廷での攻防。ラストはどんでん返しが読めてしまったので驚きはなかったが、最後まで目が離せない。 多重人格者を装う詐病が真相となるサスペンスものは、この作品以降他にも見かけたが、本作が一番面白かったような気がする。役者も良くて、特にエドワード・ノートンは見事。  ただ、少し冷静に考えると現実味のないストーリーで大きな穴がある。最初からアーロンという人格が存在しないのならば、過去の言動を調べたらすぐにロイの人格としてのものが出てきたはず。何年も周囲に隠しきれるものではなく、少なくとも警察はアーロンの身元調査で把握できる。映画ではアーロンがどういう人物なのか聞き込み等でまともに調べるシーンがないが、調べてないというのは本来ありえないこと。ラストでどんでん返しをしたいがために、説明しがたい無理が生じている。  法廷戦術の巧拙によって、有罪無罪が左右される。そこに真実や良心は関係ない。あくまでビジネス。法廷というゲームで勝つことだけを考えている。そんな辣腕弁護士に嫌悪感しか沸かない。 二重人格や精神病を装った詐病は、無罪になるために現実にも使われている手段。サイコパスは息を吐くように嘘をつき無罪を手に入れる。弁護士はその共犯者となる。弁護士は信念をもって良かれと思ってやったこととはいえ結果的に悪魔を野に放ってしまった罪は重い。新たな被害者が出ればどうやって責任を取るつもりなのか。いや、たとえそうなっても責任を問われないことが釈然としない。間違った善意と信念の人というのが最もタチが悪い。 現実社会での裁判で、どうしようもない悪人を助ける弁護士の主張には、首をかしげるような例も多い。弁護するのが仕事とはいえ、どうにも割り切れない不満が蘇ってきて、愕然とする主人公の姿にもだから言わんこっちゃないという冷めた気持ちも。
[DVD(吹替)] 7点(2014-11-21 22:40:51)(良:1票)
266.  パラサイト 《ネタバレ》 
ハイスクールを舞台にしたB級クリーチャー・ホラー。 誰がエイリアンに寄生されているのか疑心暗鬼になる様子など、『遊星からの物体X』を思わせるが、それよりは作りが粗い。もっと簡単に人間を殺せる場面でも、攻撃が甘くて泳がせているような状態。怪物化すればドアでも破れるし、皆殺しにもできるのに、そうしないのは話が終わってしまうからという事情が見えてしまう。 事件解決後に何組かカップルが誕生したようだけど、なんとも不思議な組み合わせ。その他にも突っ込みどころは満載だけど、ジャンクフードのようなクセになる魅力がある。 ボスさえやっつければ寄生された人間も元に戻るという極めて都合の良い設定なので、ボスを見つけ出すまでの攻防がポイント。 鍵を握る転校生のローラ・ハリスは、どこかで見た顔だと思っていたら『24』に出てたテロリストだった。
[DVD(吹替)] 7点(2014-11-21 01:03:30)(良:1票)
267.  縞模様のパジャマの少年 《ネタバレ》 
ラストが衝撃的という情報だけは知っていたが、少年がパジャマで収容所に潜入する計画を立てたところでイヤ~な予感。 でも、子供を使ってまさかそんなあざとい最悪の終わり方はしないだろうと思ったら、そのまんまで終わってしまったので唖然。  主人公の少年、父、母、姉、祖父、祖母の対ユダヤ政策に関する立場や考え方の違いがしっかり描き出されている。 脇役であるコトラー中尉、お手伝いの女性、使用人のユダヤの老人も、物語にうまく絡んでいる。 もちろん、物語の軸となる二人の少年の演技にも引き込まれる。  なので、あえてあの賛否が分かれそうな後味最悪のラストにしなくても良かった気がしないでもない。 あのラストにしたいがために、ストーリーの中でかなり無理が生じている。 収容所の警備が子供が簡単に入り込めるほどザルで、大人のユダヤ人収容者たちが子供が紛れているのに放置状態。 しかも、処刑場まで大人の陰に隠れてドイツ兵が誰一人子供に気が付かないということだから。 ベルトコンベヤーに無理やりのせて衝撃的なラストに持っていくような強引さを感じる。
[DVD(吹替)] 7点(2014-11-19 20:54:57)
268.  麦子さんと 《ネタバレ》 
なんてことのない手垢のついたようなストーリーなんだけど、泣けてくる。 親子というのは人間関係の最も基盤となるもの。 誰にでも思い当たる経験の中での普遍的なものに訴えかけてくるからだろう。 テレビを集中して見たいのに、空気を読まずに話しかけてくる母親のうざったさ。 個人的に思い入れのあるものを勝手な判断でゴミとして捨ててしまう無神経さ。 本気で何度も腹を立てて怒鳴った覚えがあるが、全然懲りずに同じことを繰り返すのが子供心に理解できなかった。 当時は嫌がらせでもしているのかとずいぶん憤ったが、今思い返すと、呆れると同時にかわいそうになってくる。 親のうざったい行為は死ぬまで変わらない。 変わるのは子の受け止め方だけ。  子はいつか自分の親にも若い時代があったという当たり前のことに思い至る。 夢があり、挫折があり、恋をし、子供を産む。 親の昔の写真を見て、何ら自分たちと変わらない一人の人間であることに気づく。 そうして初めて子(自分)を育てる親に思いを重ね、親としてダメな部分、不満な部分も飲み込めるようになる。 それが、ガキから大人になるということなのだろう。  掘北真希は良かったが、余貴美子がうざったい母親を演じ切れていない。 一般人の母親はもっと小汚くくたびれていて色気がないが、やっぱりそこはキレイ系の女優なので芸能人オーラが抑えても漏れ出てしまう。 もっとうざったくて頭にくるような本物のババア感を出さないと、リアルな切なさが生きてこない。
[DVD(邦画)] 7点(2014-11-16 22:44:36)(良:1票)
269.  HK/変態仮面 《ネタバレ》 
「これはこれで…」 何発もの銃弾を受け殉職した父の最期の言葉。 最も悲痛な事件をも、一言でコメディに昇華してみせるこのセンス。 それで冒頭からグイっと鷲づかみにされる。 愛すべきバカ映画だ。  こういうコメディは演出次第で空寒くもなるけれど、福田雄一監督が上手い。 これで監督が井口某なら、同じバカ映画でも全然違っただろう。 下品なようで下品じゃない。  偽変態仮面の確固たる変態哲学には感服する。 実写のほうが面白い漫画というのも珍しい。 ただ、この内容で100分超えると少し飽きる。
[DVD(邦画)] 7点(2014-11-08 23:00:27)(良:2票)
270.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
自己改善より自己破壊。 「俺たちは歌って踊るだけのこの世のクズだ」 世の中にはびこるクソのような価値観の破壊。 創造のための破壊とも言えるが、主演の二人にあんなネタバラシがあったとは。 振り返ってみると、不眠症や上司の前での一人殴られ芝居など、別人格の前フリはあったわけだ。 暴走を始める自分自身との葛藤が見応えあり。 フィンチャー監督のメッセージ性の強い作品で、現代社会を批判するメタファーに満ちている。 メタファーはあまり好みではないのだが、それほど難解ではないのでエンターテイメント性も感じる。 閉塞感をぶち破りたい、今の社会や自分自身をぶち壊したい気分のときにはオススメか。
[DVD(吹替)] 7点(2014-10-28 00:47:27)(良:1票)
271.  フルメタル・ジャケット 《ネタバレ》 
前半は海兵隊養成所、後半は戦地のベトナムが舞台になるが、前半の出来栄えが見事。 微笑みデブの人格が破壊される過程がとてもリアル。 殺戮者を育てるための海兵隊での洗脳教育。 人間性を捨てなければ、立派な殺戮者にはなれない。 教官の下品で卑猥な罵倒にさらされ、イジメを誘発するような環境の中、穏やかだったデブの顔つきがすっかり変わってしまう。 連帯責任を強いる教官のせいで仲間からも嫌われ、どこにも逃げ場がなければ、銃と話をするようになっても仕方がない。 訓練の目的通りに完全なる殺戮者になりきっていれば結末は違っていただろうが、そこまで自分を捨て切れなかったことが哀れを誘う。 何が起こるかわからない緊迫感に、思わず見入ってしまった。  教官は憎まれ役だが、実は理不尽な人間ではなく職務に忠実なだけで、認めるべきところはちゃんと認めていた。 卒業してから実は優秀な教官だったと教え子たちの思い出話になったかもしれない。 でも、歯車が狂えばこういう惨事も起こりえる。 孔子が弟子の性格によって教え方を変えたように、人に応じた教え方があったはずで、一律の古い軍隊教育が生んだ悲劇。 もっとも、職務自体が人間性の破壊という狂気をはらんだものだから、個人の責任とはいえないけれど。  前半はパーフェクトだったが、後半のベトナム戦地編では明らかに失速。 どこかで見たことのあるような戦場風景で、前半のようなインパクトがなかったのが残念。 後半にも戦争の狂気がハッとする切り口で描かれていたら、不滅の大傑作になったかもしれない。 瀕死の重傷を負った女狙撃手にトドメを刺すくらいでは、狂気漂う前半と均衡がとれず、ドラマとして弱い。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-26 22:49:05)
272.  夏時間の大人たち HAPPY-GO-LUCKY 《ネタバレ》 
小学生の頃を懐かしく思い出させる映画。 子供なりに感じる疑問、悩み、成長など、うまくストーリーに絡んでいる。 担任の学級会での強引な仕切り方や、子供の将来を決め付けるような自信たっぷりの説教がとてもリアル。 この手の教師って学校にたくさんいたような気がする。 大人と子供を完全に分けて考え、大人が上に立って子供をコントロールするものだと信じている。 決して悪い人間ではなく、あながち間違ったことも言ってない。 良かれと思っての指導なのだが、子供の心を理解することはできない。  この担任と両極にあるのがアツオの両親で、アツオと同じ立ち位置にいる。 子供の頃の気持ちがまだ残っていて、子供じみた馬鹿もやってしまう。 でも、大人も子供も同じ人間なんだということを教えてくれる。  だからといって、ああいう教師が不要とは思わない。 社会にでればこの手の人間など山ほどいるし、納得できないこともたくさんある。 そうした経験を社会の縮図としての学校でしておくことは、けっして無駄ではないのだろう。 大上段に物を言う大人がいて、同じ目線でものを言う大人がいて、それが子供にとっては健全な場なのかもしれない。  妹にめちゃくちゃにされた絵が入選してしまったり、本当は巨乳好きなのに貧乳の同級生を好きになったり。 一筋縄ではいかない世の中に戸惑いながらも、子供たちは大人への道を歩んでいく。 これといった大事件が起こるわけでもなく淡々と進んでいくが、ノスタルジーに浸って温かい気持ちになれる。 中島哲也監督の『嫌われ松子』『下妻物語』も好きだが、これもいい。 この監督は時間軸の行き来が巧いし、目線に優しさとユーモアを感じる。  ペチャパイ夏子のヌード掲載雑誌を身内が懸命に買い占めようとしたのに、あの大きな看板。 呆然とする姿が可笑しかった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-20 21:31:15)
273.  ファンダンゴ 《ネタバレ》 
ロケット花火の戦争ごっこに、学生時代の夏休みの思い出が蘇る。 ところが一転、戦死した若者の墓に愕然とした二人に、花火がベトナムでの戦火に重なってくる。 当時のアメリカの若者が置かれていた状況がはっきりと伝わってくる。 バカ騒ぎの裏に垣間見えるシリアスな現実。  故障した車を列車に引かせようとしたシーンや、スカイダイビングの件は傑作だった。 洗濯物と人で必死に作った文字が「GO ON」になってしまったのは笑えたし、あのファンキーでパンクな飛行機野郎も最高。  5人の個性が際立っていて、中でも寡黙な巨漢が地味におもしろい。 ある意味、主人公よりも人間的に魅力を感じた。 他に、メンバーの一人がずっと酔いつぶれていてほとんど出番がなかったのもユニーク。  友情を感じる爽やかな青春映画に仕上がっているが、ひとつ引っかかったのは息を吐くように嘘をつく主人公の手馴れたやり口。 口八丁で騙しているのが人の良い老人や田舎者というのがちょっと…。 詐欺師の才能があるようで少し引いてしまう。 5人の消息を紹介するようなエピローグはなかったが、主人公が悪徳商法に手を出して検挙される絵がふと浮かんできた。 もしそれを描いていたら、コメディとしてはアリだけど、青春映画としては台無しかな。 当時30歳のケヴィン・コスナーは、貫禄がありすぎてとても学生には見えなかったのが残念。  再鑑賞。 グループ結成を祝ったドン(ペリ)に会いに行くのはちょっと動機が弱い気もするけれど、別れと旅立ちの卒業旅行の切なさが出ててやっぱり良かった。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-18 21:49:51)(良:1票)
274.  チョコレート・ファイター 《ネタバレ》 
タイ映画でジャッキーばりの本格アクションが見られるとは。 考えてみればムエタイの本場なのだからおかしくはない。 なんといっても主演の少女が逸材で素晴らしい。 といっても、撮影当時23、4歳というからビックリ。 十分中高生で通用するほど幼く見える。 テコンドーの選手だったらしいが、何年も前からこの映画のために受けていたという訓練にふさわしい仕上がりで、一流アスリートのキレと輝きがある。  シリアスな緊張感ばかりではなく、ちょっとズッコケ気味なシーンも。 少女がブルース・リーの真似を始めたときは、コントのようでどうなることかと心配に。 ハエだらけの肉処理場は、笑えるけれど確実に食欲をなくす。 マフィアの手下がニューハーフだらけというのもタイっぽい。 阿部寛の決めのナレーションは、臭すぎるし取ってつけた感もあって思わず失笑。 全般的に阿部寛がかなり浮いて見える。  エンドロールの前にメイキング映像があったが、これが撮影現場の凄まじさを物語る。 アクションシーンで何度も当たっていたり、落下で打ちどころが悪かったりとケガ人が続出。 やられ役も含めて相当危険だったことがわかる。 それだけ真に迫っており、日本の女優の付け焼刃のようなアクションなどお遊戯に見えてくる。  NHK制作のドキュメンタリー「闘え!ジージャー」で特集されていたが、あどけない笑顔からは想像できない格闘技選手のような修練と、いつも救急車が待機するような危険と隣り合わせの現場が印象に残った。 自ら何度もダメ出しをして、納得がいくまでストイックに完全形を求める姿は、まさにアスリートそのもの。
[DVD(吹替)] 7点(2014-10-18 21:23:55)(良:2票)
275.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
主人公のキャラがいい。 冒頭からクソガキどものホームレスいじめで不快指数を上げられる。 それを、主人公の刑事がクソガキの家に上がりこんでをボコボコにすることで溜飲を下げてくれる。 妹に手を出した男を苛める様子がどこかお茶目で微笑ましい。  ところが、後半になって暴力は陰惨にエスカレート。 躊躇なく銃口を敵に向ける、殺るか殺られるかの世界。 狂気と狂気がぶつかる武と白竜の対決は見応えがあった。 マワされてシャブ漬けにされた妹を射殺する主人公に凄みを感じる。 破壊願望を持って、死に向かってひた走っているかのよう。 何もかもが壊れてしまうラストに虚しさが余韻となって漂う。  ただ、ヘタレキャラの菊池を岩城の跡を継ぐ悪党にしたのはやりすぎ。 野沢尚の脚本にしては作中意味のわかりにくいシーンがあると思ったが、武が勝手に改変したようだ。 北野作品にしばしば見られる省略表現(例えば、岩城と我妻の会話の内容)のため、野沢作品とはまた違った印象を受ける。 基本的な作り方が全然違うので、ドラマツルギーに従って緻密に積み上げたものを変えられて野沢尚は相当頭に来たのではないか。  粗も見えるが、それでも初監督でこれなら大したもの。 北野カラーがちゃんと出ている。 当初は深作欣司が監督をする予定だったらしく、深作監督の『仁義なき戦い』を彷彿させるバイオレンスでもあったが、それよりも乾いたインパクトを与える。 『仁義なき戦い』は野心や欲望が渦巻いたものだったが、本作は憎悪や怒り、暴力への衝動に徹している。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-13 22:31:53)(良:1票)
276.  仁義なき戦い
一時期このシリーズにハマったが、なんでハマったんだろう。 暴力的な猛々しさへの無いものねだりか。 それぞれの欲望や思惑が錯綜し、陰謀、裏切りの終わりない抗争に不毛な虚しさが漂う。 今や大御所となった面々が、みんな若くて面構えがギラギラしてる。 梅宮&菅原の兄弟分の男気あふれる暴れっぷりと、対照的に金子信雄演じる山守組長のクズっぷりが見事。 戦国時代の権謀術数を見るようでおもしろい。
[ビデオ(邦画)] 7点(2014-10-12 21:55:20)
277.  サマータイムマシン・ブルース 《ネタバレ》 
よくよく考えるとやっぱり矛盾はあるんだけど、たとえば99年前に戻ってカッパ伝説を作ったことで過去を変えてしまっているはず。 すべて辻褄を合わせているように見せて、実は合ってない。 でも、ストーリーの流れにどんどん乗せられていくので、その勢いで矛盾を検証する間もなくサッと通り過ぎてしまう。 矛盾を感じなくて済むように脚本も上手く練られている。 そもそも軽いコメディタッチなので、真剣にパラドックスを考えるような作品でもない。 タイムマシンもコントレベルの装置だし、頭をからっぽにしてただ楽しめばいい。 瑛太と上野樹里のラブストーリーの行く末にニンマリ。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-06 20:51:58)(良:1票)
278.  フィギュアなあなた 《ネタバレ》 
石井隆作品らしくエロスと暴力の世界。 ヒロインの佐々木心音は決して美人ではないのだがコケティッシュ。 着エロ出身の恵まれた肢体をフルに生かして、壇蜜の存在も完全に吹っ飛ぶほど、ほとんど裸で通してフェロモンを振りまいている。 主人公はなんとも情けない男。 会社では閑職に追いやられるし、悪酔いしてレスラーのような女にボコボコにされるし。 フィギュア相手に一人芝居しながら腰を振る姿がアホっぽくて失笑できる。 前半はチープなVシネもどきかラブコメディと思いきや、妄想とファンタジーの切なさも絡み合って意外と最後まで楽しめた。 『空気人形』の切なさには勝てないけれど、思わぬ善戦といったところ。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 22:00:42)
279.  ブレイカウェイ 《ネタバレ》 
ギャングの下っ端がボスを裏切り金を奪っての逃亡劇。この4人がグダグダで人間味たっぷり。揉めてばかりいるが、奇妙な友情でつながっていて破綻することはない。それは少年時代からの長い付き合いだったからか。 挿入される回想で、一緒に道を外していった過程が想像できる。居場所のなかった少年4人が出会ったシーンは、哀愁があって良かった。そこからの見えない絆が、大人になってからも感じられる。 非行の影には必ず家庭の問題がある。問題があっても立派な社会人になる人間はいっぱいいるからそれが免罪符にはならないけれど。この4人にははね返す強さはなく、ギャングの下っ端にまで堕ちていったのだろう。  血生臭い暴力もあるけれど、ところどころにコミカル&爽快な要素もあって緩和剤になっている。ギャングに殺されそうになった時、思わぬ助っ人のイカれた大活躍が面白かった。トーキッドが無神経でウザい女にパンチを食らわせたのも胸がすく思い。料理の不味いおっさん4人のレストランが流行るとは思えないけど、一度行ってみたい気はする。やっと居場所を得た不器用なおっさん達の姿が微笑ましい。  しばらく後に再鑑賞してみたが、やっぱり良い。 家庭に居場所のなかった孤独な少年4人が出会って、今に至る絆が微笑ましい。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-02 19:10:47)(良:1票)
280.  わが心のボルチモア 《ネタバレ》 
出たばかりの白黒テレビを大家族で見る――日本でいうなら1960年頃の風景だろうか。 1914年に渡米した移民一世、その息子、孫世代が集まる家族会が壮観。 孫は楽しいだろうけど、大人はいろいろ面倒臭そう。 アメリカ移住の先駆けとなった爺さんが、七面鳥を切るのを待ってくれなかったと自分の遅刻は棚に上げていつまでも根に持っているのが笑える。 そんなつまらないことがきっかけで兄弟絶縁にまで発展してしまうのが馬鹿馬鹿しいが、珍しくはない類の話でもある。 くだらないことで争い憎み合っている兄弟など五万といるのだから。 夢と希望に満ちて渡米した男が、寝小便をするほどに老いた姿に世の無常を感じてしまう。 子供の火遊びで出火させたマイケルが、大人になって自分の息子を連れて、施設に入った祖父の見舞いに訪れるシーンは感慨深い。 世代が移り変わっていくことへの一抹の寂しさとともに余韻となって残る。 三代記なのに味気ないダイジェスト的にもならず、この時間でうまくまとめたものだ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-30 23:32:32)(良:1票)
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