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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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301.  聖の青春 《ネタバレ》 
これがもう少し身体性を伴う競技ならばまた違うのだろうが、表情や仕草・佇まいの再現を重視した演技設計ゆえに松山・東出の両者共に 精巧な模写の印象が強くなってしまうのがつらいところである。  ならば対局シーンはそれに徹して、顔と手のアクションで通してくれれば良いのだが、そこに屋外の情景や白鳥の心理的なショットなどを スローでインサートしてしまうのは、あまり効果的とは思えない。  新聞紙の上に切られた爪と髪の毛を見せてから、わざわざカメラを動かし手と頭まで証拠提示するような愚直でくどいショットもちらほら。  それでも窓外を静かに雪が舞う定食屋でテーブルを挟み語らう松山と東出の朴訥とした情感などは素晴らしい。 シーンの最後に、店外からのショットに引くリズムなどがほどよい緊張に満ちて胸に迫る。  筒井道隆、安田顕、柄本時生、リリー・フランキーらも味があっていい。
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-25 23:36:31)
302.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 
収監されるもあっさりザル警備の隙をついて脱出してみせるトム・クルーズ。それはいいのだが、序盤からこうもタスクの難度が低いと その後の展開に不安を抱いてしまう。アナログなりの知略をもう少し披露して欲しいところである。  ハロウィン・パレードの混雑の中、パトリック・ヒューシンガーを見つけ出し追跡するシーンも同様に今一つ盛り上がりきらない。 壁を伝って階上へと追っていくトム・クルーズのアクロバティックなスタントをもっと見せてクライマックスへ向けてのテンションを高めて欲しい というのは酷な望みか。地味なアクションを指向しているのは承知だが。 派手な銃撃戦からは、コビー・スマルダーズとの連携プレーを見せていくわけだが、アップの多すぎが逆効果になっている。  ラスト、一旦は別れた娘が踵を返してトム・クルーズに駆け寄り、抱擁を交わすのだが、このショットも想定通りすぎてあまり巧いと思えない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-11-18 23:54:21)
303.  溺れるナイフ 《ネタバレ》 
菅田将暉と小松菜奈が初めて出会う入江の波立つ情景などは観る側の心もゾクゾクさせてくれるのだが、そのロングショットと 小松の視線、水面の菅田のカットバックが少々ぎこちなく感じられる。 土手のシーンなども、二人の位置関係が不明瞭で、高低差が活きていない。  劇伴や挿入曲も過剰に感じてしまう部分が多く、地方の映画なら尚のこと河川や水路のせせらぎや波音などをもっと活用して欲しいところだが、 ロケーションをロングショットのフレームの中で良く活かし、俳優らを良く動かし、彼らを幾度も水に浸らせて頑張っている。  森の中を風のように駆け、海に浸かり、炎と共に舞う菅田も小松もさすがに達者だが、 これだけ映画への露出が多いと食傷気味にもなるが、本作では重岡大毅がなかなか新鮮なバイプレーヤーであり、ナチュラルな口跡が素晴らしい。 彼絡みのシーンに長回しが多用されているのも頷ける。  バッティングセンターのショット、カラオケバーのショットなど、緩急自在の呼吸でロングテイクを活かしていて感心だ。 快活さとナイーヴさを体現し、一部で科白を噛んだりしているのも逆に自然体の魅力を生んでいる。
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-05 23:37:45)
304.  インフェルノ(2016) 《ネタバレ》 
映画にブレーキをかけがちな謎解きを抑え気味にして、冒頭から一気に逃走劇に突入していく手際がいい。 記憶も不鮮明なまま事件に巻き込まれるトム・ハンクスが、ヒロインと共に複数の組織から追われる展開が主となり、なかなかにスリリングである。 そこにロン・ハワード的な落下や水のイメージが溢れ、観光映画の趣ともよく融合している。 が、アップのショットの多さは辟易するし、アパート裏口からの脱出や壁の乗り越えなど、危機突破の具体的描写が弱いと思う。 アイデアの貧しさ以上にアクションの撮り方の不味さである。  トム・ハンクスとシセ・バベット・クヌッセンが雨の中で見つめ合うメロドラマ的な回想パートは 水のモチーフとも相まって情感のあるシーンだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-10-28 22:37:59)
305.  何者 《ネタバレ》 
携帯端末がキーアイテムであることからしてもあまり映画向きとはいえないが、様々な視覚化の苦心はうかがえる。 ルームシェアによって手狭な部屋。エリアを仕切られた喫煙ルーム。窓外の見えない地下鉄車両内。隔絶と閉塞のイメージが続く。 有村架純が下車した後に残った佐藤健の姿を、電車のドアとホームドアが二重に遮断するというショットも酷薄な印象を強める。  タクシー後席に座る佐藤と菅田将暉の微妙な距離と、二人を照らし出す赤いライティング、 沈黙のアパート内に遠く響く救急車のサイレンなど、じわじわと湧き上がる不穏なムードは ラスト近く、それぞれの液晶パネルを光源として向かい合う佐藤と二階堂ふみのシーンで陰影演出の最高潮を迎える。  無表情な観客達の拍手の中、有村は特権的に輝きを放ち、佐藤は自然光と共に開かれたドアへと向かう。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-16 21:56:16)
306.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
映画に対する感動、というよりは実話に対する感動といった方がよい。 ラストも結局は実際のモデルに頼ったようにみえる。  まずは眉をしかめたトム・ハンクスの表情のアップの多さが気になってしまう。 夜間にジョギングする彼のシルエットの背後に影が覆いかぶさるようなショットなどにらしさがあるが、 トラウマのシーン以外、人物の顔に深い陰影を落とせないのは今回も実在の人物をモデルとしているからか。  簡潔に処理した二度の回想シーンなどはともかく、ビル群に突っ込んで爆発する妄想CGまで必要か、結構無駄を感じる。 わざわざコンピュータ処理に頼らずとも、誰しもがそれを連想するのだから。   隣席に同乗した女性の代わりに乳児を抱いてショックに備える男性客のエピソードなど、細部のドラマはさりげなく感動的であり、 ラストのアーロン・エッカートのジョークも爽やかでいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-09-25 20:09:30)
307.  10 クローバーフィールド・レーン 《ネタバレ》 
街の情景から窓辺にピントが移り、女物の服飾のデッサンから恋人同士らしきツーショット写真へとパンされる。 案の定、そこは女性の部屋で彼女は憂鬱そうな表情で誰かと何やら通話しており、荷物をまとめた彼女は酒瓶を手に取るが、 アクセサリーらしきものは残していく。 冒頭からタイトルの出る事故シーンまで、音声はスマートフォンから響く彼氏らしき男性の声のみだが、仮にそれがなくとも 二人の間に何らかの諍いがあり、家を出てきたことは彼女の表情から容易に想像がつく。 24時間営業の給油所で彼女の車の後から入場してくるヘッドライトも含めて、後の展開の伏線となる要素が 一切台詞抜きで画面によって効率的に提示されていく導入部がいい。  クロースアップの多さが苦にならないのは、俳優の表情が心理劇を一層引き立てると共に、閉鎖空間の強調効果を生んでいるからだ。 ダクト内を匍匐前進するヒロインをナイフが襲うショットではその閉塞感が生むサスペンスはなかなかである。 防護服を通して生き物の音が響いてくる、車の警報音が鳴りだすなど、音響の強弱も随所で効果をあげている。  アクションが絡むと途端に乱雑になるカメラワークが惜しい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-06-21 22:58:52)
308.  オオカミ少女と黒王子 《ネタバレ》 
相変わらず、親も勉学も完全消去された惚れた晴れたオンリーの陳腐な世界観。それが少女漫画なのだろうから文句は言わない。 どう見せるかが問題な訳だから。 とりあえず、開巻から二階堂ふみがよく歩き、よく走り、よく食べるので救われる。 新宿の雑踏を捉えた『さよなら歌舞伎町』の撮影も頑張っていたが、こちらも渋谷らしき街中で山崎賢人を追って歩く彼女をゲリラ的に撮影した長廻しなど、ロケーションを活かした移動が楽しい。その後も学校内で駆け回り、ピーカンの雨の中で走り、マンションからの帰り道を鼻歌交じりに歩くなど、長めの移動撮影によって映画は弾む。 山崎の言葉に傷つき、喫茶店を飛び出して歩道を歩く彼女は泣きながら、やはり後ろも気になってしまう。そんな彼女のいじらしい心情表現が達者だ。  ラストには今度は男の方が彼女を追って走る。のだが、その後が良くない。 彼との大切な思い出の品を探しまわる彼女の姿を目撃するものと思いきや、彼女がごみ袋の中を漁って探していたことを通行人の女性の台詞で処理してしまうのだ。中盤で山崎が風邪をひくエピソードは、彼の家で二階堂がおかゆを作るのをソファから窃視すること、そして二階堂が山崎の寝顔を窃視し、撮影することが重要なポイントであり、相手に見られていることを知らない素の表情を垣間見ることによって、それぞれが相手の本質を理解していったという事である。 であれば、やはりラストは彼女が無様ながらも懸命にマスコットを探し、それを見つけ喜ぶ姿を彼の眼で見つめさせるべきであり、あくまでその視線の劇を通して彼の恋情を提示すべきだろう。  ここでは俯瞰ショットとなる南京町商店街の広場はきちんと水が撒かれ、赤や黄のネオンを反射して画面を彩るという具合に美術も頑張っているのだから、 もう少し肝心な部分で台詞に頼らないなどの工夫が欲しい。
[映画館(邦画)] 6点(2016-05-28 23:25:07)
309.  64/ロクヨン 前編 《ネタバレ》 
男たちの黙々とした行動をまず提示し、後から徐々に状況を明らかにしていくスタイルで物語る。 記者クラブや他部署の男たちは露骨なまでに憎々しい表情と熱演を以て、佐藤浩市の広報官と対峙する。 中でも、北野映画でならした椎名桔平、三浦友和らキャリア組の凄みがいい。  前編のクライマックスはとりあえず記者クラブ相手の佐藤の弁舌とリアクションということで、 結局はひたすら彼の表情芝居の映画という印象が強いが、心情説明的な音楽をいれてこないのは幸いだ。  序盤の寒々しい曇天のルックもいい。
[映画館(邦画)] 6点(2016-05-12 22:50:09)
310.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
冒頭でまずレオナルド・ディカプリオがほとんど瞬きをする事なく銃を撃つショットに少し驚き、この映画で彼はほとんど瞬きをする事が無いだろう事を なんとなく予感しその通りに進行していくのだが、そのディレクションの意味も中盤でより明瞭となる。  スコープサイズ画面の半分を遠景、半分を極端なクロースアップで占める構図の多用によっても、人物や動物の見開いた眼へのこだわりは特徴的だ。  もっとも、目を瞑る度に妻や息子の回想シーンや気取ったイメージショットが頻繁に現れてはドラマを引き延ばしにかかる訳だけれど。  そうした中、アルフォンソ・キュアロン『トゥモローワールド』の長廻しからさらに難易度を高めたアクションシーンの機動的なワンショットは やはり圧巻である。 樹上からの人体落下、顔面を貫通する矢、林間の乱戦から騎馬戦への視点切り替え、それらを繋いでゆく高難度のカメラワークの合間に陽光を瞬間的に入れ込んで生々しさを際立たせるところこそルベツキの本領だろう。  評判のよい「美しい景観」のロングショットはただ美観にとどまる限り、それ以上のものにはならない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-04-29 21:37:01)
311.  セーラー服と機関銃 -卒業- 《ネタバレ》 
順撮りだろうか。序盤はあまりパッとしない橋本環奈も感情を発露するに従い、次第にさまになっていく感じはある。 が、ラストの雛壇にしてもヒロインの魅力を引き出しきれていないように見えるのは撮り方の問題ではないか。  荒らさせたカフェの中で橋本が大野拓朗、宇野祥平と共に語り合う長廻し、 長谷川博己と手を取り並び走る二人に雨を降り注がせる長廻しなど、シネフィル心をくすぐろうという魂胆が 見えなくもないが、相米慎二アプローチもしっかり踏襲し、おそらくは不得手だろうアクションシーンも 北野武などにはまるで及ばないながらも頑張って撮っている。  全編通して光にも気を遣っており、クライマックスの派手な逆光を始めとして、軽トラックでの逃避行から夜明けまでのシーン、 武田鉄也の行く手に集結するパトカー群の赤色灯など、よくドラマに寄与させている。  ちなみに、スクリーンでの武田鉄矢を今回初めていいと思った。
[映画館(邦画)] 6点(2016-03-05 23:53:14)
312.  サクラ花 -桜花最期の特攻- 《ネタバレ》 
夜の整備場内、夜の滑走路と先の見えない視界不良の場から続き、鹿児島から沖縄へと飛ぶ一式陸攻機内という限定空間を主たる舞台とすることで、 マクロな戦争スペクタクルを封じている。 沖縄まであと一時間半程度という台詞から、かなり実時間に近づけている事もわかる。  直前まで会話していた仲間が、突然の機銃音と共に血まみれになって即死する。 敵機に狙い撃ちされる度に機体に穴が空き、撃たれた隊員達は次々に身体から血を噴き出し、のたうつ。  低予算を逆手に取った風防外部の状況を示さない戦略は、より目前の戦場の惨状即ち人間が損壊し絶命していく痛みを際立たせている。  乗り合わせる隊員らの過去も多くは語られない。その事が一方ではサスペンスを生み、一方では桜花に乗り込み特攻していく十七歳の若者と 一式に残る若者の短いやりとりを感動的にする。  「ボタンの掛け違い」、「まさか時代がここまで急転するとは」といった科白の数々は今現在に向けられている。
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-03 21:47:58)
313.  ダイバージェントNEO 《ネタバレ》 
この壁に囲まれたエリアに生きる人々という世界観。邦画でも洋画でも最近よく見かけるのは偶然か。 その舞台となるデストピアの細密な描写力がなかなかで、瓦礫混じりの都市の俯瞰などに眼を奪われる。  ヒロインの脳内イメージシーンであることを前提として展開されるビル崩壊やアクロバティックなアクションにサスペンスなど無いが、 その瓦解のスペクタクルで乗り切ってしまう。  そのイメージの中で、髪を切ったシェイリーン・ウッドリーがその澄んだ瞳と、凛とした美しい表情をみせる。  ロベルト・シュベンケ監督となって、120分を切ったのもいい。前作からの説明もそこそこにドラマは進むが、把握には困らない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-25 20:31:40)
314.  マイ・インターン 《ネタバレ》 
アン・ハサウェイがオフィス内を自転車で颯爽と駆け抜けるという折角の設定な訳だが、それがエクササイズの為でもあるという説明には余念がない割に 肝心な画面的な面白さになっていかないのがもどかしい。ただ単に独特なキャラクターであるとの意味付け以上のものが見いだせない。  中盤のメール誤送信騒ぎのエピソードも、ドラマ上の重要性は薄い訳だから何らかのアクション的盛り上がりを狙ってのものと思うが、 それならそれでもっとコミカルなドタバタを躍動的に見せて欲しい。  というわけで、もっとアクティブな演出をみせてくれれば嬉しいが、かわりにカッティングの小気味良さは其処此処で光っている。 物流倉庫でラッピングを指導するヒロインと、それを見守る紳士との切り返しショットのさりげない印象付け。 教会でのサイレント的なユーモアもいい。  衣装の映画だけにアン・ハサウェイもロバート・デ・ニーロもその着こなしが素晴らしく、ファッションが俳優の魅力をさらに引き立てている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-15 23:37:14)
315.  バクマン。 《ネタバレ》 
漫画を題材として映画ならではの特性を活かすとするならば、要となるのは必然的に絵を描く行為の具体性、身体性という事になるだろう。 例えば、絵が姿を現していくキャンバスをそのまま捉えていくクルーゾーの『ピカソ』。 例えば文字を書く手と鉛筆の動きをアクションとして、表情として捉える柳町光男の『十九歳の地図』。  本作では、まず野蛮なまでに荒々しいペンの音が描き手の生々しい息吹を伝えてくる。 それだけで充分に格闘の具体的描写となっているのだから、ライバルとの格闘イメージシーンなどは逆に意味として概括してしまっているようで アクションが際立たないという転倒が起こっている。 入稿締切までのタイムリミットにも時間の具体的な提示が欲しい。  何しろ、逆光ショットの多用によってとにかく画面が暗いという印象がまず来るのだが、 学校の階段上、通路、病院のベッド際、暗い室内から見るテレビ画面内の上段と、 ヒロインの小松菜奈が特権的に光芒を放つという映画的な論拠もあるだろう。  『ゲゲゲの女房』に続いて、宮藤官九郎の漫画家像がいい。
[映画館(邦画)] 6点(2015-10-10 03:43:49)
316.  ガールズ・ステップ 《ネタバレ》 
非常に不入りらしい。確かに不入りだったが。同じJKものでも 馬鹿らしさに10分で退席した『ヒロイン失格』の方は大ヒットらしい。となると援護もしたくなる。貶しどころはそれこそ山ほどあるが。  思い入れたっぷりに抱き合っている5人娘の周囲を、エキストラの大人達が横目で見ながら行き交っている。 引きのカメラでそうしたドライな視点をふと採り入れたかと思うと、今度は海辺で一人一人をクロースアップしていく。 そして、次は青い海を背景に思い思いにはしゃぐ5人のロングショットへ。  ダンスシーンのカッティングと同様、感傷過多となりそうな表情アップとキャラクターから距離を置いた引きのショットが バランスよく織り交ぜられているので、個とチームのドラマとも調和している。  海を背に石井杏奈と磯村勇斗が自転車を押す坂道の望遠の感覚なども映画の図として無視し難い。
[映画館(邦画)] 6点(2015-10-01 23:37:14)
317.  GONIN サーガ 《ネタバレ》 
福島リラを土屋アンナが冷蔵庫のドアで滅多打ちする、桐谷健太や東出昌大の身体に銃弾が突き刺さる、その行為自体はバイオレントなのだが画面を通した痛覚はどうも希薄だ。映画のせいなのか、こちらが不感症なのか。  離れた場所にある拳銃を何とか手繰り寄せて反撃を、という状況も幾度か作っているが、これらも位置関係の提示が不徹底でサスペンスにならない。 監視カメラやなりすまし携帯メールを巡る駆け引きも、竹中直人の凄味で何とかスリリングに仕上がっている感じだ。  クライマックスも何やら物足りないと思っていたところで、抜かりなくスプリンクラーの雨が炸裂して一安心。『イコライザー』の後では分が悪いが。  エンディングの空撮夜景と濃紺の海が何より艶かしい、というのも少し寂しい。
[映画館(邦画)] 6点(2015-09-28 23:27:04)
318.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》 
仄暗い闇の中を漂うペンダント。その冒頭ショットの意味は主人公らの断片的な会話の中から次第に明かされ、 これは子供を守れなかった父親の復権のドラマであることが解ってくる。水難事故だというその過去のトラウマはイメージ的なショットのみで 詳しい経緯までは明らかにされないが、その時点で観客は映画のクライマックスにどういうシチュエーションが訪れるか、 ある程度予想がつくだろう。が、その娘を救うシーンがいまいちカタルシスに欠けるのはどういうわけか。  無闇に回想に頼らない語りは潔しだが、この場合はレニー・ハーリン『クリフハンガー』冒頭のようにある程度は具体的な描写を置くべきではなかったか。 同様の状況を反復するなかでトラウマを克服してこそ、再生のドラマの感動があったと思うが。  そもそも、のっけからドウェイン・ジョンソンの颯爽とした超人的活躍シーンが展開するわけで、 家族問題で心を閉ざしたとかいうキャラクターがピンとこない。  『ダイ・ハード』1作目のように、少し冴えない頼りなさげな主人公が衣装と身体をズタボロにしながら無謀なアクションを敢行し、今度こそ娘を守る。 欲をいうなら、そういう変化・変貌のドラマを見せて欲しかった。  この主人公ときたら(『宇宙戦争』のような)埃にも塗れない、汚れもしないのだもの。 その役割は、ブルーの瞳が印象的な娘と青年が担ってくれたが。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-09-17 23:43:39)
319.  虹色ほたる ~永遠の夏休み~ 《ネタバレ》 
一部に記号的すぎる仕草もあるにはあるが、よく動く少年達のしなやかで伸びやかな手足の振りがいい。 燈籠の灯りの中、もつれあいながらも少年と少女は手をつないで懸命に駆ける。  冒頭から携帯電話を手放せなかった少年は、手を触れ合うコミュニケーションを知る。 ノスタルジックな山あいの風景以上に、指切りの約束や別れの握手など、映画が強調して演出するのは接触の記憶と絆だ。  「握りかえす 手のぬくもり」「見つめ返す 瞳の中に」 それら作品のモチーフを的確に歌詞に落としてエンディングを彩る松任谷由実のセンスはやはり素晴らしい。  映画のラストを衆人環視のイベントとしたこと、安易なスペクタクルに依ったことが惜しい。
[映画館(邦画)] 6点(2015-08-25 23:58:33)
320.  愛を積むひと 《ネタバレ》 
同じ北海道でも、函館などの道南地区と美瑛などの道央地区では スクリーンイメージは大きく違う。 特にこの道央が舞台となると、ただただ自然の美観と悠々自適の快適ライフばかりが アピールされて生活感覚を欠いた映画が最近は多く、この映画も例外ではないのだが その景観の魅力は端正で安定感のある撮影でよく撮れている。  物語の大筋も感傷的でウエットなものだが、柄本明のユーモアと杉咲花の快活さが 随所でうまく補っている。  吹雪の夜のシーンで、自然な流れで佐藤浩市に娘のアルバムを持ち出させる契機とする 柄本の起用法など巧みだと思う。  樋口可南子を失った後の佐藤の暮らしぶりの変化を、トイレや鏡の描写で さりげなく示す演出や、野村周平の保釈後の流れなどなど、 台詞をかなり削ぎ落としているのもいい。  のだが、それらの寡黙なシーンになるとすかさず岩代太郎の雄弁な劇伴が ご親切にお世話してくれてしまう。勘弁して欲しい。
[映画館(邦画)] 6点(2015-06-21 20:17:05)
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