321. 太陽の帝国(1987)
《ネタバレ》 2時間半を超える長編ですが、型破りな主人公の少年役クリスチャン・ベールの素晴らしい演技を追っかけているだけであっという間に時間が過ぎていきました。 まあ、旧日本軍が出てくる外国映画ということで、その描かれ方に注目して観たのですが、主人公のスタンスが非常にニュートラルなこともあって変な偏りもそれほど無く上手く描かれていたように感じました(主人公の家から軍人が怪しげな格好で出てくるシーンは謎でしたが・・・)。 当時の上海や収容所の様子や戦闘の描き方も、リアルさと映像美が見事に融合したものとなっているところなんかはさすがスピルバーグです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-09-22 11:31:34) |
322. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 子供向けアニメと侮るなかれ。この合戦シーンの描写は中々リアルで見ごたえがありました。ストーリーも戦国時代の非情さを、ギャグを交えながら大人にも子供にも分かりやすく伝えるもので面白かったです。 [地上波(邦画)] 8点(2009-09-21 00:29:59) |
323. Orz ボーイズ!
《ネタバレ》 タイトルはちょっとorzな感じ(インパクトは抜群ですが)ですし、最初の方は完全な子供向け映画風だったのですが、映画が進むにつれ、徐々に大人たちの思惑や都合に振り回されてしまったりするような少年時代の陰の部分がリアルに描かれるようになってくるんですよね・・・。観ているうちに、自分の少年時代のいろいろな思い出(楽しいこともそうでないことも)が甦ってきたりして、すっかり心を掴まれてしまいました。 ちょっとビタースウィートですが、不思議と観終わった後元気になれる映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2009-09-18 09:26:05) |
324. ミュージックボックス
《ネタバレ》 非常に難しいテーマを興味深い手法で描いています。 戦争犯罪、特に罪のない市民の虐殺は絶対に許すべきものではないということは当然の事ですし、その犯罪に携わった人間は厳しく罰せられるべきであるということも十分わかっています。ただ、自分がジェシカ・ラングの立場に立ったときに同じ行動を起こせるかというと、正直なところ難しいですね。 ただ、これはホロコーストの問題に限らず、自分が生き残っていくため、仕えている国家や企業、そして自分の家族を守るため嘘を貫き通し秘密を墓場まで持っていく人間というのは確実に存在しているということは良く理解できました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-30 13:34:54)(良:1票) |
325. 13デイズ
《ネタバレ》 シビリアン・コントロールの重要性を思い知らされる映画でした。あの時ホワイトハウスに冷静な判断を下すトップがいなかったら、今頃この世界はどうなっていたのかと考えると恐ろしくなりますね。 ホワイトハウス内の緊張感が最初から最後まで観ている側まで伝わってきて非常に見ごたえのある映画でした。 [地上波(吹替)] 8点(2009-08-25 09:46:04) |
326. バーダー・マインホフ 理想の果てに
《ネタバレ》 60年代から70年代にかけてのドイツ赤軍の動向がドキュメンタリータッチで淡々と描かれていて非常に興味深く観ることができました。正直、現在の感覚で観ると、疑問や嫌悪を感じる部分も多かったです(ただこの「現在の感覚」というのはこういった事実を消化した上に成り立っているのですが・・・・・)。 序盤のテロ活動のシーンなんかは妙に格好よくて、こういった集団に憧れる若者が出てくるのも無理はないなと思いましたね。それ故に、その理念よりも「格好よさ」に惹かれた第2・第3世代が暴走していくのが本当に良く理解できましたし、必要以上に神格化された第1世代の戸惑いや脆さが上手く映し出されていたと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-24 18:47:32) |
327. KT
《ネタバレ》 なんというか、平和で平穏なように見える日本でも裏ではいろいろあるのだなということに気付かせてくれる作品でしたね(まあフィクションが含まれてはいるのですが)。事実に基づいた作品ということで、非常に興味深くそして面白い映画でした。この拉致された金大中氏が後に大統領となり、さらにはノーベル賞まで獲ってしまうのですから何とまあドラマチックな人生なんでしょうか・・・・。 残念なのは、佐藤浩市の立ち位置がもろにフィクションな感じでリアリティのあるスリリングな展開に水を差している事ですね・・・・。 個人的には、阪本監督に「日本のコスタ=ガヴラス」の称号を差し上げたいです(たぶんそんなもんいらんと言われるでしょうが・・・・)。今後も、社会派エンターテインメント作品をどんどん撮っていってもらいたいです。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-23 01:33:17) |
328. 縞模様のパジャマの少年
《ネタバレ》 ネタバレになってしまうかもしれませんが、とりあえず頭をハンマーで殴られたかのような大きな衝撃を受けましたね。マーク・ハーマンが監督だとか、ポスターの雰囲気とかから、ちょっとビタースイートな少年映画かと思ってたのですが、まったく違いましたね。 この映画が伝えようとしているのは、ホロコーストはもちろんですが戦争という名の殺し合いの現実の中にファンタジーなんてものは全くもって存在しないということ、そしてその現実から目を背けても事態は決して良くはならないということではないかと感じましたね。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-23 00:12:03)(良:1票) |
329. 太白山脈
《ネタバレ》 一つの民族が2つのイデオロギーに引き裂かれ、悲惨な内戦へ進んでいく過程がある町を舞台に克明に描かれています。朝鮮戦争については、いろいろな書物やドキュメンタリー、また「ブラザーフッド」のような映画も出ていますが、そこに至るまでの時期についてはあまり知る機会が無かったので非常に興味深い作品でした。 昼間は主流派であっても夜になれば反動分子として処刑されてしまう不安定な情勢の中、日和見が許されない状況の恐ろしさはいかばかりであろうかと考えるだけで、背筋がゾッとします。 非常に見ごたえがある作品ですが、観る前に軽く予習をしておいた方が良いかと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-20 18:47:46) |
330. グラン・トリノ
《ネタバレ》 イーストウッドが「男の生きざま」や「男の美学」を教えてくれる映画でしたね。本当に、こんな風に年をとっていきたいなと思わせるような名演技でした。 そして、どんどんおかしくなっているように思える現在のアメリカ社会の姿も映し出されていて非常に興味深かったです。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-13 16:09:52) |
331. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 イスラエルの普通の人々の日常のドラマを、幻想的な映像を時折交えて詩的に温かく描いた良い映画でした。幻想と現実の場面の組み合わせ具合が非常に絶妙でしたね。脚本や映像の構成、出演者の演技も見事でした。 また、イスラエルがさまざまな国からのユダヤ人移住者によって成り立っていることや、フィリピンなどの海外出稼ぎ労働者が多く働いていることが描かれているのも興味深かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-10 09:37:57) |
332. 蒲田行進曲
《ネタバレ》 ちょっと、強烈に辛辣でネチっこい「格差」の描き方にはちょっと「もうわかりましたから・・・」といいたくなりましたけど、それでもやっぱり面白い映画であることは間違いありません。 風間杜夫・平田満・松坂慶子のキャスティングも見事にはまっていて、非常に見ごたえがありました。 しかし、封切当時はこの作品をみて「芸能界って凄い世界だな・・・」と他人事のように思っていたのが、今見ると「世の中ってやっぱこうなんだよな・・・・。負け組は勝ち組のおこぼれを預かって、なおかつ階段落ちみたいな一世一代の大ばくちを打たなきゃ這い上がれないんだよな・・・。」という感想に変わってしまったのですが、これって不幸なことなんですかね? [ビデオ(邦画)] 8点(2009-08-04 20:00:06) |
333. 帰郷(2004)
《ネタバレ》 これは、じんわりと心に来る小品ですね。世の中や人の心をわかっているように見えて、実はそれほどわかっておらず、まだまだガキの部分が残っている30代の姿を、西島秀俊が上手く演じています。片岡礼子の振り回す女っぷりも良かったですね。 ストーリーのところどころに隠された「肩すかし」が非常に心地良くて、心がほっこりと暖められました。 舞台が自分にとって馴染みのある地域(おどやが出てきたときはびっくりしましたw)だったので、知ってる場所を探すのも楽しかったです。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-27 10:19:07) |
334. 恋文(1985)
《ネタバレ》 冷静にみれば、ショーケンは身勝手だし、倍賞美津子も高橋恵子も尋常ではないのですが(振り回された小林薫と子役がかわいそうです・・・・)、その行動の根底にある思いや愛情の深さには本当に惹きこまれてしまいました。 はちゃめちゃでドロドロとして醜い物語であるはずなのに、美しさすら感じてしまいました。 出演者すべての演技が素晴らしいです。 [ビデオ(邦画)] 8点(2009-07-16 13:38:50) |
335. アフリカの光
《ネタバレ》 ストーリーは多くの設定説明が省かれたまま進んでいくため、正直良くわからない部分が多かったです。ただ、スクリーンに映し出される北の海、アフリカの大地、冬の港町の風景、そして出演者たちのパワー漲る圧倒的な演技(ショーケンと田中邦衛の個性がうまい具合にぶつかりあっています)に惹きこまれ、あっという間にラストまで行ってました。 刹那的でありながらどこか温かい雰囲気につつまれた映画でした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-07-14 08:54:21) |
336. 1900年
《ネタバレ》 イタリアでなぜファシズムが生まれ、国中を席巻していった過程を見事にドラマ化していますね。長編なんですが、まったく飽きることなく観ることができました。まあ、ドナルド・サザーランドの役はちょっとデフォルメされているような気もしますが。 しかし、ラストのまとめ方は本当に常人の想像を超越した見事なものでしたね(こうくるか・・・という感じでした)。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-05 00:52:52) |
337. ぐるりのこと。
《ネタバレ》 橋口監督の繊細な人物描写は見事ですね(これまでの作品はテーマ的に敬遠していましたけど、今後の作品は見ていきたいと思いました)。木村多江とリリー・フランキーのキャスティングも見事にはまってました(理想的な夫婦関係ですよね・・・)。それと、90年代の不気味で世紀末な世相をうまく取り入れてたのも良かったです。 見終わった後、確実に心がやさしくなっている・・・そんな作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-03 18:31:28) |
338. レット・イット・ビー
《ネタバレ》 「ザ・ビートルズ」という奇跡とその終焉を記録した貴重な映像作品です。伝説のアップル本社屋上ライブは鳥肌が立つくらい格好よかったです。20世紀を代表するミュージシャンの華やかな舞台の裏の地味さも非常に人間くささが出ていて興味深かったです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-06-30 22:13:55) |
339. シベールの日曜日
《ネタバレ》 インドシナ戦争で現地の少女を殺してしまったかもしれないピエールと父親に捨てられたシベールが出会い、それぞれ失ってしまったものを補おうとするかのように親密になっていく様は仲の良い本当の親子のようで微笑ましくもありましたが、当然ながら世間の目はそこにある純粋さなど気付くことなどないんですよね・・・。非常に切ない物語なのですが、この破滅的な美しさには不思議と惹かれていきますね。パトリシア・ゴッジの演技の素晴らしさも印象的でした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-06-26 00:29:58) |
340. ペッピーノの百歩
《ネタバレ》 地域社会に深く根付いてしまっているマフィア組織に立ち向かっていくことでさえ非常に勇気がいるものなのに、そのマフィアの身内のような家庭に育ちながらもその存在に疑問を持ち反マフィア運動へ足を踏み入れたペッピーノの正義感には感服しました。そして、みんな誰かが声を上げることを待っているなかで、その「誰か」になろうとする意思の強さは見習いたいものです。(まあ、世話になった義理は大事にしなければならないとは思いますけれども)。 一方で、「殉教者」が出てはじめて人々が動き出すシーンからは、マフィア問題の根深さが見て取れましたね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-06-07 22:03:19) |