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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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321.  髪結いの亭主 《ネタバレ》 
-Le Mari De La Coiffeuse- “美容師の夫”。美容師を髪結い、夫を亭主にすることで、味気ない訳になるところを、独特の雰囲気を出しています。まるでおとぎ話のような、リアルじゃない世界。 え!?あのプロポーズ受けるの?? から2人の生活がスタートし、 えぇーーーー!!!?という結末。 時々、黒バックに悲しそうなアントワーヌの映像がインサートされてたから、ず~っと幸せって話じゃないとは思ったけど。  シェーファー夫人の最後。手編みの海水パンツ。ブルドーザーの思い出。ウエディングドレスで髭剃り。オーデコロンで乾杯。これだけのアイデアを一本の映画に詰め込むなんて。極めつけがアントワーヌのダンス。あの変なダンスに子供メッチャ魅了されてる。なんて素敵な時間だろう。 美しいマチルド。ジャン・ロシュフォールとアンナ・ガリエナの年齢差24歳。この幻想的とも言える奇妙な物語には、きっと“童謡、実は怖い歌詞の意味”みたいな、違う一面があるようにも思える。 でもな、何かこう、そういうのは知りたくないというか、映画で観せられてる世界で完結したいって気持ちになってしまう。 2人で過ごした期間、マチルドもアントワーヌも、最高に幸せでした。みたいな世界で、この場合は良いんだと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-05 16:32:11)
322.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 《ネタバレ》 
あの旧劇場版から10年経ってたのか。当時はそこまでの時間経過の感覚がなく、ほとぼりが冷めた頃合いにポッと作られた印象。しかもあの話の続きではなく、リビルド作品とのことで『え?またエヴァンゲリオンやるの?…もう良いんじゃない?あの終わり方で』って感じだった。 まさに三度目の正直。あの25話と26話を作り直したいんだろうな。それなら1話から作り直す必要ってある?って思って、公開当時は食指が動かなかった。もともと序盤はあまり好きではなかったし。だけどTV版の最後で失望してエヴァから離れた友人(旧劇場版は未視聴)には高評価だったっけ。  金曜ロードショーで観た。映像は綺麗だけど、まるで間違い探しのようにTV版の内容をなぞり、海が赤いとかちょっとの違いと、カヲルくんとかちょっと後半の展開を入れた感じで、リビルドの必要性は感じられなかった。 う~ん、エヴァ以降TVアニメも観なくなったし、極端に興味を失っていた時なのかもしれない。  再視聴は去年BSでやっていた時で、不思議と面白かった。およそ10年、一切エヴァを観なかったことで、懐かしさと新鮮さが感じられたのだ。 アスカが出てくる前の、スカッとしないシンジとレイの、ちょっと影のある雰囲気。しっとりした音楽がTV版を観ていた当時(うわ24年も前だヤッバ)の自分を思い出させてくれた。 そしてグルングルン動くラミエルの美しさ。ここ全然覚えてなくて、まるで初めて見るような新鮮さを感じた。それほど初見時は適当に観流してたってことか?きっと前回観た時は、エヴァに懐かしさを感じるほど、自分の中で消化しきれていなかったんだ。 宇多田ヒカルの歌も良かった。これ金ロー版では流れてなくて、たまたまエヴァと関係ない何かの動画で聞いていて、いい歌だなって思ってた。エヴァの歌だったんだ、新劇の雰囲気とメッチャ合ってる。 この作品だけでは、新たに作り直した意図は汲み切れないけど、次も観てみたいかなって思えた。   余談になってしまうけど、このまえ「エヴァを観てみたいけど沢山あって。どれ観れば良いの?」って聞かれたんだけど(私に聞くことか?) 例えば“鶏の丸焼き”というのを、一回で良いから食べてみたいとして。 ①コストコなんかで出来上がったやつを買ってきて、それが旨くても不味くても、とりあえず丸鶏を食べられれば良いや。って人は、 新劇だけ観ればいいよ。たぶん「あぁこういうのがエヴァかーなるほどねー(良い作品だけど○○の方がインパクトあったな)」とかって感想になるかと。 ②生きた鶏を買ってきてバサッと捌いて、きちんと下処理して焼いて食べるって人は、 旧劇と新劇を観るといい。人によっては「う…コレが噂に聞いたエヴァか、ちょっと無理。味は良いけど、しばらく鶏は食べられないな…」ってなるかな。 ③ひよこ連れてきて大事に育てて、ひよこと鶏の中間の可愛くないのも体験して、大きくなったら捌いて焼いて食べる。そんな人は、 TV版と旧劇と新劇を順番に観てみよう。コレが私たちが24年前からリアルタイムに体験してきたエヴァ。ひよこが最後どうなるかなんて、考えもしないで観始めた作品。でも私たちがエヴァで体験したことって、こんな感じの事だと思う。 彼女は①を選んだようだ。
[地上波(邦画)] 7点(2022-01-30 12:24:52)
323.  007/スペクター 《ネタバレ》 
-Spectre- specterのイギリス読みで“幽霊”。タイトルを象徴するようなお祭り『死者の日』から始まるのがまた格好いい。 今回でクレイグ・ボンド・シリーズ最後のレビューです。シリーズ共通だけど、5作品とも前半に印象的で派手なアクションシーンが入り、今回の007スッゲー!!ってなり、後半のアクションは平凡なのか、あまり記憶に残ってなくて、再見して『あぁ、こんなだったな』ってなるパターンだったと思う。  007シリーズの魅力は、派手なアクションはもちろんだけど、世界各地の美しい映像を流して、まるで世界旅行をしている感覚を味わえる事。今回はメキシコの死者の日。有名なお祭りだから、なにかで観たことはあるけど、流石にあの巨大な骸骨の山車を中空正面から捉えるカットは旅番組レベルでは観た記憶がない。そこから5分強のワンカット撮影で、異国のお祭りの賑やかさ、路上の雑多感、イベントを楽しむ観光客なんか観ながらの旅行気分を。美女を放っておいて屋上を軽やかに移動するボンドの格好良さと、任務の緊張感をいっぺんに味わえる。屋上にて、さっき路上で観たお祭りの続きが観えるのも、その世界に入り込んだ感覚を味わえて、シリーズイチ素晴らしいオープニングだったと思う。 ・・・と、ここまで書いてあの死者の日のパレードが、2016年から始まった新しいイベントだったと知った。つまりメキシコ人がスペクターを観て、「映画のアレ、カッコよかったから、死者の日に実際にやってみるべ!」ってなって開催されたと知った。あのパレードももっと昔からあるモンだと思ってた。外国の映画をそのまま自分たちの文化に取り入れるって、メキシコ人凄い。 OPのメキシコはもちろんだけど、ローマの街をスーパーカー2台が駆け抜けるカーチェイスは豪華だし、アフリカの列車の旅は絵葉書のように美しい。雪山の上のガラス張りの病院(レストランだそうな)は、雪国育ちには光熱費が心配になる建造物。世界って広いな。  悪の組織の会議、怪力男、ボンドカーや腕時計などの秘密兵器、ネコ、タコ…本作は前作以上に歴代007のオマージュ、ある意味スパイ・アクションの王道的な描写が多い。カジノ・ロワイヤルがリアル路線で成功したことを考えたら、前作スカイフォールくらいのほうが、バランスは良かったかもしれない。 オーベルハウザーは優しそうな容姿のせいか、ボンドを苦しめる強敵の印象が弱い。あの痛そうな拷問の効果(結局ノーダメージだったの?)もイマイチわからない。最後のヘリの撃墜から逮捕の流れも、そこに行くまでもうひと絡みくらい欲しかったし、スペクターという組織の根の深さを伝えるために、もう一作くらい作ってほしかった。 引退したボンドがボンドガールを隣に乗せて、DB5で去っていくエンディングは、シリーズの締めくくりとして、とても良かったと思う。このあともう一作出来たけど、この終わり方が私の考える理想的な最後だった。
[映画館(字幕)] 7点(2022-01-13 23:54:39)
324.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
-The Birds-“鳥”シンプルで想像力を掻き立てられる良いタイトル。よく“ヒッチコックの鳥”って呼んでたっけ。 ホラー映画耐性の弱い子供の頃に観て、目をくり抜かれたダンの死体が脳裏に焼き付きました。他のどの映画の登場人物名は忘れても、『鳥のダン』だけは忘れなかったな。 数年前整骨院に通ってた頃、まだ20代後半の先生が「こないだ電線にカラスがグジャグジャって何十羽と固まって居て、もうホント“うわっ…鳥だっ”てなって…」と、平成生まれの子が例えに使うくらい、今でも有名な映画なのかな。 動物パニックホラーの先駆け。白バックにカラスが飛び交う羽音だけのオープニングの不気味さ。鳥は人間の友だち≒ペットショップの鳥コーナーから映画が始まるところ。“鳥”のあと、沢山の類似ホラーが作られたけど、1963年のこの映画の時点でスタイルが完成されていたのが凄い。  鳥のホラー映画だけど、最初にカモメに襲われるまで約26分と結構引っ張る。パーティ会場を襲うカモメの大群から本領発揮。身近な生き物だけに怖さが増す。暖炉のエントツから部屋の中に入ってくるスズメとか、木の板を貫くクチバシ攻撃とか、ワンパターンにならない工夫と映像のインパクトが素晴らしい。 小学校のジャングルジムに無言で集まるカラスたちの映像の怖さと言ったら…そもそも、あの映像どうやって撮ったんだろう? 鳥が人間を襲う理由がわからない。そんな鑑賞者の疑問を鳥の専門家が答える。「鳥に集団で人を襲う知能はない」ますます意味がわからない。「鳥は世界に1000億羽いるのよ」…当時の世界人口は30億人くらいかな。1人40羽くらい倒せば…なんて考えてると、部屋で20羽くらいのカラスやカモメに襲われるメラニー。あぁ無理だ。こんなの10羽でも倒せないや。身近な生き物が死物狂いで襲ってきた時の絶望感。 家の周りを取り囲んだ鳥たち。あの時襲いかからない理由も解らなくて、逆に怖さを演出していた。その鳥たちを刺激しないように、ペットのラブバードは連れて、そぉ~っと車で逃げ出すエンディング、謎が謎のまま終わるエンディングがまた秀逸。  目をくり抜かれて死んだダンもそうだけど、ガソリン・スタンドで焼け死ぬ男とか、直接的な痛々しい死(死体)を見せるあたり、ヒッチコック映画らしくないかもしれないけど、サイコ、裏窓に続くレビュー数(≒知名度)から、存在感とインパクトは抜群なんだろうな。
[地上波(邦画)] 7点(2022-01-09 16:24:36)
325.  エクスペンダブルズ 《ネタバレ》 
-THE EXPENDABLES-“消耗品”。 かつて映画ファンを熱くさせたあのヒーロー達が、当時の世界観のままに年齢を重ねて登場。まるで同窓会の会場で扉が開く瞬間のような、そんな映画。 もうね、ドルフ・ラングレン≒イワン・ドラゴって刷り込まれてる世代には、スタローンとラングレンが再び共演するってだけでワクワク。そんなに出番は無いっちゃ解っていても、シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスも登場するってなったら、もうフェスティバルのカーニバル。更にリー・リンチェイにミッキー・ロークと容赦ない豪華ラインナップ。もう2000年代のアクションスター、ジェイソン・ステイサムでさえ小僧に見える。 夏休みのまんが祭りの『マジンガーZ対デビルマン』や『ウルトラマンVS仮面ライダー』、畑は違うけど『U.S.A.for AFRICA』や『猪木VS馬場』みたいなモンで、内容がどんなに塩っぱくても、薄っぺらくても良いんです。もうこの、本編を見る前の期待感から、映画は始まってるんです。  最近のバリッとした2010年のアクション映画だけど、薄~いメッキを剥がしたら、あらら80年代のアクション映画そのまんま。 自虐的なタイトルから連想されるように、全盛期からおよそ20年以上も経って、当時と同じことをしてる馬鹿馬鹿しさ。 話次第では将軍と協力して共に戦う事も出来ただろうに、アタマは使わず己の肉体だけを使い、ただただ敵を倒す単純さ。 この映画を観ると、自分たち(アメリカ)の正義を一方的に押し付ける80年代のアクション映画が、どうして廃れたのかが見えてくる。 そこまで含めての自虐映画だと思う。 スタローンがこの映画を作ってくれたことに満点を付けたいけど、5~7点を目指して作られた映画に10点は失礼なんで(そうか?)、7点にさせて頂きます。
[地上波(吹替)] 7点(2022-01-09 14:48:07)(良:1票)
326.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
-Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo-“善玉、卑劣漢(私の観たのでは無頼漢だった)、悪玉”語呂の良さから悪玉が先にくる訳が多い。 もう全然違う邦題で、続編でもなければ、夕日も出ない。賞金稼ぎ詐欺師のイーストウッドのどこが善玉か!って思ってしまうけど、イメージ的に“オイシイ奴、ブザマな奴、ヘタこいた奴”って感じの意味かもしれない。  前作(って書き方で良いのかな?)同様、イーストウッド(ブロンディ)とリー・ヴァン・クリーフ(エンジェル・アイ)が2大主役かと思いきや、物語はイーライ・ウォラック(トゥコ)中心に深堀りされている。音楽や文字の入り方なんか、いかにも懐かしい古典的な西部劇って感じで、この埃っぽい世界観に3時間は、最近の映画に慣れた、西部劇に不慣れな人にはハードル高そうだけど、案外退屈しない作品に仕上がっている。 マカロニ・ウエスタン=低予算のイメージがあるけど、“今度は戦争だ!”と言わんばかりに後半、南北戦争の戦場が舞台になったり、大規模な橋の爆破があったりと賑やか。私の中で西部劇はカウボーイとインディアンの映画で、南北戦争は戦争と家族の映画なイメージがあって、1作品に両方が入っているのは、今回初めて観るかもしれない。  唯一、名前で呼ばれてるトゥコ(他の字幕だとテュコ)だけど、処刑シーンでブロンディが“通称ネズミ”と呼んでいて、やはりこのシリーズは表向き名無しのガンマンの映画になっていた。 このトゥコ、兄との会話から過去が想像できたり、ガンショップでのマニアックな分解→再組み立てのシーンも格好良く、意外や銃の腕もある。状況によってコロコロ態度を変えるのも親しみを感じるキャラクター設定で、最後の戦いから首吊りのシーンは、思わず“助かって欲しい”と思ってしまった。なので最後、ブロンディのワンショットはスカッとさせてもらった。良かったね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-12 16:32:38)
327.  天国は待ってくれる(1943) 《ネタバレ》 
-Heaven Can Wait-マイケル・ジャクソンの曲…じゃなくって邦題のまま。オープニングの刺繍ドット文字が可愛らしい。 先日「地獄に落ちるわよ」でお馴染みの細木数子さんが亡くなったけど、西洋での天国と地獄はどのような所なのか。ヘンリーの審判をする者が“閻魔大王”って訳されてるけど、階級は-Excellency-“閣下”らしい。最上級じゃないけど位の高い存在。  いきなりの床の仕掛けにびっくりした。そういうコメディ映画か?と思いきや、ヘンリーの生涯を回想する内容で、奇をてらわないしっかりとした作りだった。第二次大戦中にこんな作品を作る余裕があることがスゴい。 “女の子にカブト虫をあげると喜ぶ”“体調不良には胸にニンニクを塗り込む”聞いたことのない文化・風習が逆に新鮮。 26歳でブラブラしてて、親にお小遣いをもらうダメ人間だけど、いとこの婚約者を奪って駆け落ちするようなヒドイ奴だけど、妻に内緒で女遊びを繰り返すような最低な奴だけど、地獄に落ちるほどヒドい人間かは疑問。もちろん現代の価値観でだけど。  夫婦仲の悪いストレーブル家はジャスパーの手腕で平和なこと。牛のメーベルちゃん。お茶目な祖父ヒューゴ。憎めないキャラがたくさん出てくる。 ケーキ。ケーキ。ケーキ。ネクタイ。ネクタイ。ネクタイ。時間の経過の表現が素敵。 25年目のマーサの告白「実は怖くなかったの。“もっと早く歩いて”って。」最後の誕生会のダンス。 ヘンリーが本棚から偶然手にする本が『夫を幸せにする方法』にホロリ…こういうジーンとさせる観せ方が上手いなぁホント。 結婚式のときもヘンリーが死ぬときも歌ってたクーパー・クーパー婦人って何歳なんだろう?って思いつつ、天国でマーサに会える可能性を秘めた粋なエンディングも秀逸。 古い映画だから、シンプルだし色々てんこ盛りな内容じゃないけど、こういうのを、観て良かった映画って言うんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-22 16:02:41)
328.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 
-Oldboy-“男子卒業生”…いわゆる“OB”ですね。 和製英語だけど原作が日本の漫画とのことで納得。あと“中年の男”って意味にもなるそうな。 いやいやいやいや…なんとも痛々しい映画だわ。肉体の痛みはもちろんだけど、精神的にズンと来るものがあった。 そしてオ・デスの復讐劇に見せて、彼の行動がウジンの復讐になっていたという、見事なシナリオ。 ミドと結ばれるのは、ある意味理想的な…というか、よくある展開だな、と思いきや、あんな気持ち悪い復讐が用意されていたなんて…  このウジン、姉と相思相愛だったのは置いておいて、オ・デスに姉の死の責任を全部おっ被せるのは、八つ当たりとしか思えない。八つ当たりだけど、復讐を生きる糧にして、そのためだけに生きてきたのが、ウジンの最後も含め、悪役ながら悲しいものがある。 そもそもあんな公共の場所でコトを始めたあんたら姉弟が不用心だったんじゃ…?だけど大好きな姉が目の前であんな死に方されちゃ、心を病んでも仕方ないか。最後に写真を撮るシーンなんて何とも言えない美しさがあった。  ミドの所に箱があると知った時のオ・デス、ウジンと姉への心からの謝罪からの行動というより、自分とミドの関係を守るための行動に思えてしまう。そして最後の催眠術師への依頼なんてどう考えても自己保身からで、今後ミドと、親子ではなく恋人のままでいようとしたと思うと、まだ学生だったウジン姉弟より気持ち悪いかもしれない。どうしてミドから自分の記憶(中年男を好きになったこと)を消してもらおうとか、もっと常識的な依頼にしなかったのか。そして抱き合うオ・デスの表情が笑顔から悲しみに変わることから、催眠術は失敗したんだと思う。父親である自覚を持ったまま娘のミドを愛し続ける。地獄だ。 何とも恐ろしく悲しく、そして気持ち悪い。でも、正直言ってスゴい。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-11-19 19:07:30)
329.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 
-The Towering Inferno-“そびえ立つ地獄絵図” カメラが捉えた決定的瞬間とか、そういうので見たビル火災。ジョエルマビル火災の映像は子供の頃のトラウマだ。炎や煙から逃げる為に、助からないと解っているのに飛び降りる心理状態。将来住むなら一軒家だなって思ったね。 そんなジョエルマビル火災と同じ年に、この映画が公開されたことを後から知って、とても驚いた。当時の人はどんな思いでこの映画を見たんだろう?とか、興行的にマイナス要因じゃないか?とか。そもそも、ビル火災を娯楽として観るのってどうなんだ?ってなってしまいそうだけど、いやいや、そこは映画なんだからどんどん観よう。  OPの空撮が結構長い。サンフランシスコのビル群が街の巨大さを実感させる。その中でも当グラスタワーの高さが別格で、未来の建物って感じがする。それと当時日本ではまだ30階建てのビルが数本あった程度だそうだから、あの映像だけで、ほえぇ~~ってなっただろう。 当時のパニック映画の中で、ポセイドン・アドベンチャーと双璧と言える本作だけど、乗客自ら移動して活路を見出すポセイドンと比べ、こちらのゲストはジッとして動かない。主役が消防士(救助する)側だから、あまりゲストに勝手に動かれると困るというのもあるだろう。また本作では、活路を見いだそうと最初の場所(パーティ会場や寝室)から移動したら、ことごとく被害に遭うというのも、作品比較として興味深い。そしてポセイドンと違い、女性陣がほぼ役立たず。ゴンドラ乗ってから感傷に浸ってないで、もっとテキパキ・黙々と逃げろ。あとエレベーターでパワーズ隊員が宙吊りになった時、足掴むとかしてくれよって思った。そんな役立たずな女性陣の中で、一番頑張ってたリサには助かってほしかった。だけどあの“普段なら絶対乗りたくないゴンドラ”に、一部の男どもが助かりたいがために我先に群がり、理性を持って止めに入った人たちを蹴落とす地獄絵図は、凄惨の極み。  チーフ・オハラハンの感情を抑えた静かな言葉。冷静で重く、頼りがいがあって、メッチャカッコイイ。エレベーター救助の後、避難所で休んでる姿はボロボロ。それでも呼び出しがあればスッと立ち上がる姿が、またカッコイイんだ。上司にしたい度高し。 貯水タンク爆破のメチャクチャな提案。これ命令じゃないんだ。隊員の安全・避難経路が確保できないから、上司も提案は出来ても命令は出来ない。だからオハラハンは単身、自己責任で行かなきゃいけないし、パーティ会場で消火活動をするスコット隊員(ロボコップのオムニ社のジョンソン)も連れていけない(=命令になるから)。ここは消防士の労働基準をタテに民間人のロバーツを活躍させる、映画として上手い運び方だと思う。  高層ビルなのに椅子を投げて簡単に割れるガラスとか、壁に沿ったエレベーターにヘリからオハラハンを降下させるには屋上より上からじゃないと無理とか、あのヘリで3トン以上あるエレベーターを持ち上げられるのか?とか、色々思う所はあるけど、当時はあんな高層ビルが燃えること自体が想像の産物だったろうから、少々脳内でリアリティの補完が必要。 流石に時代を感じるようになってきたけど、未だに災害の恐怖と様々な教訓を与えてくれる本作。2回目の視聴になると、あのOPの実在するビル群に、いつかグラスタワーのような火災が起きるんじゃないかと思えるようになり、恐ろしく思えるようになった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-31 15:43:39)
330.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 
~Trainspotting~鉄道マニア(Trainspotter)が自分が観察した車両を記録すること≒些細なことに夢中になること≒ドラッグだけでなく女、007、サッカー、ケンカなんかも。またスコットランドではドラッガーが廃鉄道基地を溜まり場にしていたことから付いた隠語。  '90年代当時“クール・ブリタニア”ってムーブメントがあって、古くてカビ臭いイメージのイギリスから、若くて才能ある人々が台頭して、クールなイギリスを世界にアピールしてきた。ブレアは若干43歳で首相になり、オアシスやブラーがブリット・ポップとして音楽業界を席巻。映画界ではドラッグと向き合ったこのトレイン・スポッティングが、不活性な映画業界を引っ張った。 余談の余談だけど、このムーブメントに影響を受けたクール・ジャパンに足りなかったものって、客観的な視点と正しい自虐感だと思った。  快楽のためには座薬ドラッグをケツに入れて、汚い便所に手を突っ込む。社会に出ないでダラダラ・ズブズブとドラッグにハマるレントンを、ブリット・ポップに乗せて、奇妙な友人たちと共に描いている。ドラッグの禁断症状シーンの表現がまた素晴らしいんだ。どう考えても汚らしく格好悪いこんな所まで、スタイリッシュに描けるセンス。  仲間内ではマトモだったトミーは(セックスを自撮りする時点でマトモではないが)ドラッグにハマり、猫のバイ菌で死ぬ。カッコイイ大人の女ダイアンが、まだ学生だった制服姿のショック。育児放棄の犠牲になる赤ちゃんなんて、誰の子か解らないグチャグチャな状況。 レントンはドラッグを断って真面目に働く矢先、悪友に付きまとわれてドラッグの取引に手を染める。最後はその金を独り占めして悪友との縁を断つ。これで良いのか解らない結末。でもあくまで明るく、辛くても楽しげに、その日その場を生きる若者たち。イギリスが内側から壊れていく様子を、自虐的とも開き直りとも取れる魅せ方で表現したところがこの映画の格好良さだと思う。  初見時は私も20代前半だったか。あぁもっと若い時に、多感な時期にレビューしたかったな。この映画を初めて観た、あの当時の衝撃ときたら…手近にドラッグとかがなくて、本当に良かったと思う。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-28 12:37:38)
331.  夕陽のガンマン 《ネタバレ》 
~for a few dollars more~あとほんの数ドルの上乗せのために。 私がもう一回りくらい世代が上だったら、きっと子供の頃に西部劇を楽しんでいただろう。だけど子供の頃は刑事モノやSF、カンフー映画なんかが流行っていて、西部劇はロードショーとかでも滅多に流れなかったから、名作と言われるものも、ほぼ観た記憶が全くない。最近になって、ようやく数作品観るようになったくらいで、マカロニ・ウエスタン鑑賞はこの作品が初めて。  モンコ(これ名前じゃないみたい)の泊まる宿の子供やマダムがもっと話に絡んでくるかと思ったけど、主題に関係ない描写をバッサリ切り取る、この潔さも良いと思う。バイオレンス・アクションが多めで、生活感が薄め。普段なに食ってんだ?とか、どうでも良い生活に絡む設定、必要じゃない情報や描写を削って、描くべきアクションを全面に出す描き方って、北斗の拳とかのアクション漫画なんかにも活かされていると思う。また勧善懲悪とも言い切れない、賞金稼ぎという立場も良い。  まだ若く、それでいてふてぶてしい貫禄がある、イーストウッドの格好良さを堪能する映画。とも言えるけど、ライバル•ポジションのリー・ヴァン・クリーフも格好良いではないか。影のあるモーティマーの過去。敢えてセリフで語らず、懐中時計とインディオの回想で結びつける描き方が、想像力を掻き立てて印象深い。 モーティマーの妹夫婦を襲ったインディオ。突発的な強行ではなく、実はずっと思いを寄せていたんじゃないか?とか…殺しの場面で懐中時計を使うのは、精神的な自傷行為に近いんじゃないか?とか…インディオにも単なる悪党で片付けられない魅力があるから不思議。 モンコとモーティマーの2人が最後に戦う展開かと思ったけど、復讐と賞金で2人の目的を棲み分け。カッコイイ主役2人をどちらも立てる展開は、後味が良くて素直に素晴らしい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-19 22:43:05)(良:2票)
332.  007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
新型コロナ感染拡大により、公開予定から1年半以上も延期となった本作。確かに、コロナはどこかが作った兵器じゃないか?とか、ワクチンを打つと後々まで人体に影響が出るんじゃないか?なんて、不安が広がっている時期の公開は、避けたい内容かもしれない。  イタリア・マテーラの美しい景色。そこを舞台に繰り広げられるド派手で豪華なカーチェイス。序盤から『これこそ007』と言える満足度。ノーミの“ウワサ”は耳に入っていたけど、やはりショック。MI6本部のネタは面白かった。今回のボンドガール・パロマはとてもチャーミングで、もっともっと出番増やしてほしかったな。監督に日本人の血が入っている為なのか、サフィンとボンドが対面するシーンは、メトロン星人を彷彿とさs…あっセブンだからか!  私の中ではジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグなんです。強さ、格好良さ、不器用さ、弱さが視える、本当に素晴らしいボンド・シリーズだったと思う。本作が最後と言われていたので、どのような結末になるか期待と不安が両方あった。他の007シリーズは1話完結感があるので、いつ終わっても、いつまで続いても大丈夫な創りだった。だけどクレイグ版は1作目からストーリーが続いているため“最後”と言うからには、次には続かない終わり方をするんだろうなって。そういう意味では前作の終わり方でも良かったとは思う。もう、続きが気になるとかでなく、クレイグ・ボンドが観られるなら、それだけで観に行きます。って感じ。…愛なのか?  タイトルは『死ぬ暇はない』なんだけどTime to DieをNoで否定してるんだと思う。ので、 ~No! Time to Die~死に時は今じゃない。って感じだったりね。 おぉ、たまたまだけど現時点(私でレビュー25人目)で平均点7.00。なんかスゲー!
[映画館(字幕)] 7点(2021-10-17 02:08:58)
333.  八つ墓村(1977) 《ネタバレ》 
「祟りじゃ~~」幼少期、犬神家と共に“日本の映画=怖い”と刷り込まれた原因の一作。こんなののCMが夕方のテレビで頻繁に流れてたんだから、油断も隙もない時代だったわ。 石坂金田一を散々観てからの鑑賞だったので、時代設定が現代なのに違和感を感じる。だけどジャンボジェットや当時の都会の町並みを見せてから、延々と時間を掛けて辺境の八つ墓村に行く過程を見せることで、まるでタイムスリップしたような感じを味わえた。もっとも、'77年の大阪や岡山の街の風景、村の商店や墓地、東屋の家屋も雰囲気アリアリで、美しいメインテーマと相まって懐かしく魅入ってしまった。  本作はショッキングな殺人シーンが多い。毒殺するだけで良いだろうに、徹底的に痛めつけられる落ち武者…これは呪われても仕方がない。この映画のメイン、要蔵による32人殺しも目を覆いたくなる惨状。真っ赤な血と人形丸出しな村人なんか、今の目で見るとリアリティが弱いかもだけど、行われてる内容が恐い。特に32人殺しは、後々モトになった事件の存在を知って更に怖くなった。ハラハラと不安を煽る曲と、夜の桜の下を走る要蔵の美しさは、今どんな技術を駆使しても撮れない画じゃないかなぁ。 鍾乳洞で辰弥を追いかける美也子の怖さ。あの声が頭にこびりつく。要蔵と美也子に追い掛けられる夢を2日連続見たわ… 村娘を座敷牢に監禁して手篭めにするなんて、戦後なのに人権や常識が通用しない田舎の怖さを感じた。双子お婆さんとか、祟りのお婆さんとか、128人の村であんな個性的な老婆が居ると、恐いなぁ。  大虐殺の恐ろしい回想シーンに対し、現代の殺人は毒殺ばかり。そして主役のハズの渥美金田一が物語の中心でないことも予想外。犯人を特定するのは見事だけど、実際、具体的にはどのように殺人が行われたのか、最後の謎解きを見てもピンとこなかった。最初の殺人はどのタイミングで毒を?とか、祟りのお婆さんとかどうやって?って思うし、小竹婆さんは「小梅さんが、鎧武者に捕まえられ…」と言っていたけど、誰が鎧武者だったんだろう? 後半は鍾乳洞の中ばかりで、もっと風景が見たいと思ってしまったのと、春代にしても美也子にしても辰弥に会おうとしたら会いに行ける鍾乳洞の構造。回収も検死もされない小梅と久野の遺体。そこに隠れる辰弥。 何年も見つかってない要蔵の死体の謎。そもそも劇中の32人殺しって、犯人行方不明の未解決事件なのかな。 本作は推理モノではなく“祟りを悪用した財産目的の犯行…と見えるように仕組まれてるけど、実は尼子の祟り”という怪談モノ。祟られた要蔵も美也子も顔が真っ白だけど、あれは顔が真っ白になって死んだ尼子義孝の祟り・憑依みたいなものなんだろう。 ちょっと気になったのは、最初の祟りの村の長・庄左衛門は、村人7人を殺してから自殺して8人。 今回も祟りなら、最後の美也子とその後の小竹お婆さんで9人になるのでは…あ、32人殺しも要蔵入れたら33人か?
[DVD(邦画)] 7点(2021-10-11 01:31:25)
334.  病院坂の首縊りの家 《ネタバレ》 
オープニングのジャズ、スタッフ紹介の文字の大きさから、今までのシリーズらしさ(悪く言えばマンネリさ)を払拭しようとしたんだろうか?統一感は薄い。そして黒いマントを纏った金田一が、今までの事件に振り回される感じでなく、一歩引いた落ち着いた感じで、何とも格好いいのだ。それら脱マンネリ策に、最初見た時は違和感を感じたけど、2回目視聴の時には、これも良いなって思ってしまった。お約束のセリフ、仕草はしっかり健在で、等々力警部は粉薬の大サービス。  家系図がとっても複雑で、劇中まんま家系図メモを見せるくらいだけど、それでも充分に理解できたとは思えない。弥生の娘と孫が…という解釈で良かったろうか?もう人間関係が女の髪のように複雑に絡み合っててドロドロだよ。千鶴がなんで天井裏に隠れて暮らしてたのか、劇中聞いてたのに忘れたんだか… 夜中の廃屋で挙げる結婚はミステリアスで、視線の定まらない由佳利の演技はなかなかのモノ。その後の生首事件に繋がる下りは、戦後の怪談としても不気味で興味を惹かれる。謎解きのキッカケ、意外な人物の意外な裏の顔も、ミステリーとしてしっかりした作りに思えた。電話を使っての“誰が誰と話してるのか?”を混乱させる撮り方も上手い。  弥生がもう不憫で不憫で…15の頃から猛蔵に写真で縛られ、写真乾板をネタに脅迫され続け、結婚写真を使った敏男の法眼家への復讐は、法眼家に人生を狂わされた弥生に向けられる事になるハズだった。結果的に娘を2人も失い、そしてあの結末。原作と違い弥生を殺害に関与させたのは、あまりに一方的に不幸過ぎる生涯だったからだろうか。弥生の由佳利に対する想いが今ひとつ掴みきれなかったと思うけど、襖を挟んで小雪と話す弥生の姿に、由佳利への思いも込められていたのかもしれない。  これで石坂金田一を5作品+1を製作年順に続けて観た。前作から1年3ヶ月ほど経っての公開。舞台は昭和26年。んん?年代的に5作品のちょうど真ん中だ。真ん中だけど金田一が渡米(?)を前にして起きた最後の事件ということ。う~ん、作品ごとの関連性が見えるかと思ったんだけど、キャラクター設定は一緒でも、他作品との繋がりらしいワードは一切出てこなかった。 作品ごとに完成度にムラがあるけど、犬2006を除く5作品(女王蜂も除いて4作品でも良い)を、年代ごと(獄→犬→病→(女)→悪)に、脳内で補完しながら観ると、テンポよく観られるかも?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-10-06 22:33:07)
335.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 
EP8→ソロ→本作。この流れはマズイと察知したのか、EP8公開直前にEP9の監督交代劇があったようで、再びJ.Jが監督。 EP8のリカバー(尻ぬぐい)と、J.Jが頭の中で描いていたEP7の続きと、SWサーガの結末を組み直す作業。私の気持ちも新作にワクワクと言うより、最後だけど、どうオトシマエを付けるんだろう?って感じだったかな。  結論から言うと、あの厳しい流れから、よく1本の映画にまとめたものだと思う。あの密度ならいっそハリー・ポッターのように『EP9を前編・後編にする作戦』を使ってほしかった。でも興行成績の悪かったハン・ソロの後だし“SW疲れ”から“SW離れ”を招きかねないので、2本ぶんの内容でも1本で行くしかなかったんだろう。その一番のシワ寄せが冒頭の“パルパティーン復活”。こんな重要なエピソードを文字で見せるなんて。黄色い液体に入った操り人形スノークたち…あんなシーン、エヴァで観たなぁ。 ルークのセイバーをレイアに返したり返されたり。チューイが死んだり生きてたり。C-3POの記憶が無くなったり戻ったり。ちょっとキャラが被ってるゾーリとジャナ。ベンとレイの戦いが3回も。このへん前後編に分けるとスッキリしたと思う。パルパティーンの復活とレイの秘密を前編の最後にして。 時間さえあれば、懐かしいタナヴィーⅣがレジスタンスの旗艦になった経緯、ナイン・ナンとランドの再会、ウェッジも旧型X-ウイングで活躍させられたかもしれない。パッとしなかったレン騎士団。アッサリしたハックスの退場「私がスパイだー!」はぶっちゃけ過ぎ。笑ったけど。  フィンは本作でベンの気配さえ感じ取れるようになった。彼がレイに言おうとしたことは、たぶんフォースが使えることだと思うけど、彼がジェダイの血筋の者なのか、ホウキの少年と同じ一般人かは不明のまま。 ただ、レイアの死期が近いことレジスタンスの人たちが察知しているような描写もあり、フィンは後者の可能性が高いかも。 こんな終盤に修行してるレイ。自分で壊したマスクを直すベン。ホルド提督のワープ特攻は100万分の1の成功率。ルーク「ジェダイの武器にはもっと敬意を払え」と、EP8の尻ぬぐいは続く。「ここに残れって言われた」大幅に出番が減ったローズ。最後チューイ(SWオリジナル・メンバー)と抱き合ってるのは、この映画のために苦労させられた彼女への、制作側に出来る最大限の謝辞に思えた。  レイ「私には不可能です」レイア「不可能なんて無いわ」レイ「えぇ、不可能なんて無い」…レイア、フォースで丸め込んでないか? チューイ救出の時に撃ち殺されたトルーパー、たぶん7人くらい女。人材不足なのか、ポリコレに対するJ.Jの回答か。 アイテム探しとお遣いイベントが続く。たまたま流砂にハマって、ヘビを助けたら先に進むとか、限られた上映時間にRPGみたいな要素を入れたのは謎。 一方で回を重ねるたび、メキメキと魅力が増していくベン。デス・スターでのレイとの戦いも、レン騎士団相手のセイバーさばきもカッコ良かった。EP7を彷彿とさせる父ハンとの対話。レイに生命を分け与え、母レイアとともに消えるのも良い。 ベンが死の間際にシリーズで初めて笑顔を見せるところ。この時ベンの顔の右半分しか映さない。笑うときに口角を上げる、ハンの面影を見せる上手い演出。ここ最高にカッコイイ。  最後のシス・パルパティーンの血を引き継ぎ、最後のジェダイ・ベンと生命を分け合ったレイ。自分の杖を改造して作った黄色いセイバーは、もうジェダイ(ライトサイド)もシス(ダークサイド)も無いという意味だと思った。レイはジェダイを引き継いだのではなく、“フォースのバランスを正す者”スカイウォーカーの起源=~The Rise of Skywalker~となったんだろう。タトゥイーンに沈む夕陽で終わった前日譚に対し、昇る朝日が後日譚を締めくくる。  物語の最後は駆け足だったけど、42年にも渡って創られた壮大なサーガが終わった。私の長~いSWレビューも、ここで一旦おしまい。 続3部作に対し賛否はあると思うけど、この作品群でキャリー・フィッシャーが、彼女の代名詞とも言えるレイア姫を演じて他界されたこと。彼女が過去の人ではなく、歳を重ねてもなお気品あるプリンセスの姿を私たちの目に焼き付けてくれたこと。そして改めて、ルークやハン、レイア姫の当時の活躍を観たくなったとしたら、このタイミングでこの続3部作が創られた意味もあったと思う。スピンオフに新シリーズ、今後もSWの世界は広げられていくだろうけど、それはソレとして、生きているうちに全てのエピソードを観られて、本当に良かったと思う。
[3D(字幕)] 7点(2021-10-01 00:29:21)(良:3票)
336.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 
犬神家の舞台が昭和22年で、本作は昭和27年の物語。 犬神家の続きものと言ってよいのか、同じ俳優が別な名前と役柄で出てくるから、慣れないと結構ややこしく感じる。橘署長は別人の立花刑事の役だから、金田一と初めて会った時の首を傾げるのが可笑しくて。 今回は山あいの村が舞台。自然の美しさと静けさ、夕方から日が落ちるのが早く、とても寂しげで怖さも感じる。  登場人物が多く、4世帯に女4人、娘4人、息子が3人?最初の方、名前が出る時に細かく顔がカット・インするの、便利で解かりやすいと思ったけど、覚え続けるのが大変で…鑑賞3回目にして金田一みたく家系図を作ってみたので、今回は何となく関係が解ったかな。 他人の話をべらべら喋る女中がザル屋なのを聞いて「ピッタリじゃ」には吹き出した。他にも金田一と磯川警部のやり取りが絶妙で面白く、自転車の二人乗りなんて何とも微笑ましい。 このシリーズの影のヒロイン草笛光子。殺人を問い詰める方言がなんか可愛い。 総社の宿でおはんが去年死んだと知らされる時とか、大瓶の中の大きなサンショウウオとか、恩田の写真を見る女3人とか、見ていてゾッとする演出が上手い。  極め付きが村娘を表した手毬をする日本人形。あんなの、子供の時見ていたらギャー!!だよね。 葡萄酒作りとか、田舎のモール詐欺とか、弁士の失業とか、あの時代ながらの問題・話題がなんかリアル。  同い年の仲良し村娘4人組に、これまた闇深い事実が隠されていたけど、子を思っての犯行って考えたとしても、あまりに突飛な動機。そんなの感情論で妨害するなり、口で上手く説明すればって思う。手毬唄にちなんだ殺人は、ご隠居以外に知っている人が居ないマイナーな唄なのに、どうしてその唄に合わせる必要があったのか?…まぁそういうの全部、犯人の心が病んでいたって思うとスッキリか。 でも源治郎と恩田の、村人との関係がどうもシックリこない。20年経った今なら過去のことだけど、当時はリアルタイムの人間関係があった筈で、それなのに、あんな小さな村で夫婦生活するなんて、当時の彼は何でそんなリスキーな事をしたのか。…もう一回くらい観れば何か掴めるかな? 犬神家同様に、戦後の怪談話として、観てる間“ヒエぇ~~…”ってなれる、とっても趣のある懐かしさと怖さ。
[DVD(邦画)] 7点(2021-09-27 02:19:22)
337.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 
チャラっ!軽っ!薄っぺら! 今ほどドライでなく、昭和期ほど汗臭くもなく、平成バブル末期の大学生の空気が懐かしい。良くも悪くも楽な時代だなぁ。 貴乃花がまだ貴花田だった頃、若い人にも相撲が大人気だったけど、当然自分で取るより観るものだった。宮沢りえの“ふんどしカレンダー”が話題になったあと、ジャニーズのモックンがフンドシを締めて相撲を取るって、すごい時代だなって思ったわ。…はいマワシね。 「潰れるー…」『辛抱~。辛抱~。』昔から変わらない印象の竹中直人が、この映画では見るからに若くてツヤツヤしてた。オーバーすぎる下痢芸は見事。 完敗しての打ち上げの空気…穴山先生に変わって川村くんがOBに言い返したのも、青木の涙を見て秋平がブチギレるのもカッコイイ。 弱いから当然負ける→悔しくて練習頑張る→善戦。という大会もの映画の黄金パターン。解っちゃいるんだけど、観ていて熱くなるね。 ただ序盤の取り組み結果が4連続で3勝2敗、同じ人だけ勝つパターンなのは、もうひと工夫欲しかった。 3部リーグ優勝の打ち上げの、楽しそうなことと言ったら。青木の初勝利に嬉しそうなOBが良い。こっちまで嬉しくなる。 TVで見る本物の相撲取りに比べたら全然細いんだけど、モックンも竹中直人も良い身体しているし、みんなきちんと相撲を取っている。 日本のコメディ映画も、真面目に作ればここまで面白く出来るんだ!って、当時生意気にも感心したっけ。
[地上波(邦画)] 7点(2021-08-20 19:44:02)
338.  トータル・リコール(1990) 《ネタバレ》 
~Total Recall~しっかり記憶し、しっかり思い出す能力。へえぇ~。 オープニングの印象的なテーマソングとともに流れるクレジット。もう壮大で格好良くて懐しくてワクワクする。 シュワの身体は最高に脂が乗っていて、表情にも人気者の余裕がある。夢の愛人に焼きもち焼く奥さん役のシャロン・ストーンが可愛い。 セーフティゾーンのレントゲン保安システム。ネイルペン。テニスの立体ホログラム。発信機取りだし器。2週間よオバサンはSF映画の名シーン。こういった夢の近未来道具の数々も素敵。 バーホーベンと言えば架空のTVCM。同僚が「リコ~ルリコ~ルリコ~ル♪」って歌うのが大好き。なんか架空の世界に厚みをもたせてる。でそのリコール社、タイトルの“Recall”でなく“REKALL”社だった。…意味は特に無いみたい。 未来の世界、タクシー運転手が会話もできるロボットなのに、ダグの仕事は手持ちのハンマードリルで岩崩しの違和感。このへんとってもバーホーベン。 リコール社で暴れるダグ。トラブルが起きて慌てるスタッフの臨場感も、バーホーベンの十八番に思う。  さて、この映画は結末がハッキリせず、見た人の想像に任せられる作り。 ①ダグは火星を救った。 ②全てリコール社のプログラムだった。 ③リコール社のプログラムに事故があり、ダグは夢から帰られなくなった。 …③な気がした。リコール社のプログラムが『火星の青い空』で、結末も青い空で終わる。①だとするとシナリオがプログラムに沿い過ぎてる気がする。 ②だとしたら、途中で奥さん殺しちゃうのはマズイから駄目だろう。 やっぱりドクター・エッジマーとローリーが来たときが、ダグ生還のターニングポイントだったんじゃないか?って。 本来はエイリアンの遺跡を見つけて、謎の遺跡を発動させると火星の空は青くなるかもしれないぞ!?続きは本物の火星で!!くらいで終わるシナリオだったところ、ダグが夢から出られなくなり、空が青くなるまで行き着いてしまったと… 前回見たときは①だと思った。観る度に結末予想が変わるのも、毎回楽しめてる証拠かな?
[地上波(吹替)] 7点(2021-08-17 21:07:50)
339.  わが谷は緑なりき 《ネタバレ》 
~How Green Was My Valley~私の谷はなんと青々としていたことだろう。おんなじ意味です。良い邦題だと思う。 炭鉱、長屋、坂、山。平べったいスタジオ撮影でなく、空気まで伝わりそうなロケが美しい。モノクロなのも郷愁を誘う。 ロケーション、シチュエーション。他の映画で観たような場面がチラホラあることから、かなり影響を与えた映画なんじゃないかな。 古き良き大家族。夕食はみんなで一つのテーブルを囲み、お祈りをして、お父さんから食べる。父は家族の頭で、母は家族の心臓。家の中で家長として偉そうにしてる父親と、実際に偉いお母さん。満たされる家族の時間。 世間の追い打ち。賃金低下からスト。子は父を思うけど、父は習慣を重んじるために生まれる対立。災難は母と末っ子のヒューに。 仕事が減り自らアメリカに発つ兄たち。姉が炭鉱主の息子と結婚したのにクビになる兄たち…少しは優遇されてもと思うけど。 ボクシングを習っていじめっ子と闘い、ムチで打たれるヒューに、ハンカチを「強く噛め」と言ういじめっ子にほっこり。 長男が事故死して、未亡人になった初恋の兄嫁ブロンと同棲するヒュー…役者が変わらないから、時間経過が掴みにくいけど、学校を卒業して炭鉱で働くとかしてるから数年が経ってるんだろう。成長したヒューとの、ふわふわした話にもなりそうだけど、ここもうちょっと観たかったかな。 心を病んで離婚して実家に出戻るアンハードと、牧師との関係に陰口を言う谷の人たち。自分の教えが無駄だったことに心を痛めて谷を去る牧師。序盤の父親のいない子を生んだ女性に対する厳しい扱いといい、田舎の陰湿さが出てる。この谷のどこがどう“緑なりき”なのか。牧師の最後の説教がグサッと刺さる。 世界地図を見てバラバラになった兄弟を指し示す。ヒュー「母さんはみんなを照らす星だよ」母『地図なんか見なくても、子どもたちは家の中よ』教養がなくても母は母だなぁ。 谷=生まれ育った場所。故郷。家。母と家族の絆がある限り、産まれた家は永遠に“緑なりき”なんだろう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-17 13:13:03)(良:1票)
340.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
~About Time~時間に関して。だろうけど、『遅すぎ』『そろそろいい(頃合い)でしょ?』的な意味にも使われるそうで… 面白い設定のタイムトラベル。そんな楽しい能力があったら人生変わるわ。でもどう変えようか??なんて想像力が膨らむ。 出だしから冴えない主人公がタイムトラベルを繰り返して、徐々に魅力的な好青年になっていく。 登場人物がみんな良い人で魅力的。就職して家を出るティムの車のボンネットに、ベタァーって寂しいアピールするキットカット可愛い。やり直しで最適ルートを生きるティムと違い、ジミーとの腐れ縁でどんどん泥沼にハマっていくキットカットが不憫でならない。せっかく用意された紫のカップケーキに手を付けないくらい余裕の無さが、実家にいた頃の元気なキットカットを見ているだけに痛々しい。付き合う人によって、人生って大きく変わるんだよな。 一族の男が全員持っているタイムトラベルの能力。このトンデモ設定がどう活きるのか気になっていたけど、最後の父親との別れのためだけだったのね。 同じ日をもう一回繰り返す。見方を変えたら良い一日…になるだろうなぁ。 タイムトラベルが転じて、普通に日々を大切に生きようって結論も、もったいない気もするけど、確かに一番贅沢な生き方かもしれないって思わせてくれる。 登場人物たちが日常を過ごしてるエンディングも綺麗。 細かい設定を気にしちゃいけない映画だけど、タイムトラベルしてる最中も老化は進むのか、ちょっと気になった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-13 01:24:49)
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