341. 愛と殺意
《ネタバレ》 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の長編デビュー作だそうです。この映画は彼の後期の作品と比べて比較的スマートで観易く、近いところでは同国のフェデリコ・フェリーニ監督の『崖』や『青春群像』などの初期作品群を思い起こさせます。前半は「ある女の過去を探る探偵、そこに秘められた一つの死」という感じで如何にも犯罪ミステリーの匂いを漂わせかなり期待させたのですが、後半以降は結局いつものアントニオーニ節でした。というか監督第一作目にして既に独自のスタイルを確立させていたというのが凄い!後半、主人公二人が突如女の夫の殺害計画を思い付くところなんてほとんど説得力無しなんですけど、それでもあのアントニオーニお得意の「FINE」の唐突さで何もかもが水に流されてしまった感じです。そんな訳でこのレビューもここで、FINE [地上波(字幕)] 7点(2005-10-19 18:07:40)(良:1票) |
342. ブロードウェイのダニー・ロ-ズ
《ネタバレ》 良いですねぇ~、これ。全編モノクロ映像の中に終始サングラスを掛けているミア・ファローがカッコ良い。語り口は毎度ながらのウディ・アレン調で、残忍な殺し屋が出てきても安心して観れてしまいます。まるで「例え落ちぶれてもハッピーならそれで良いじゃないか!」というアレンの声が聞こえてきそうです。そもそも物語自体がレストランに集まった芸人たちの嘘か真かも分からぬ回想話というのがこれまた効果的。観終わった後には心がポッと温かくなります。しかし本作の前には『カメレオンマン』を、後には『カイロの紫のバラ』を撮っているってやっぱりウディ・アレンって凄いなあ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-15 21:15:18) |
343. ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
ピンチになった時はウディ・アレンの顔を思い浮かべよう! [DVD(字幕)] 7点(2005-10-15 21:06:58) |
344. キートンのハイ・サイン(ザ・ハイ・サイン)
《ネタバレ》 まず冒頭の字幕から洒落ています。ストーリーの結合性なんてほとんど無いけど、一つ一つのギャグがしっかりと練られて作られているので安心して楽しめます。特に中盤に亘って繰り広げられる射撃ネタには笑いました。序盤、キートンがメリーゴーラウンドの客から奪い取った新聞を広げると、それがどこまでも広がっていくというシュールさも好き。後半の仕掛けたっぷりの屋敷の展開は如何にもキートンらしくて面白く、家の様子をそのまま断面図にして見せてしまうなんて彼ぐらいでしょう。この手のドタバタ短編コメディの中ではなかなか完成度が高い作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-14 17:05:18) |
345. マルクスの二挺拳銃
《ネタバレ》 カモったつもりが逆にカモられていたという、グルーチョらしかぬオープニングから始まるこの映画はマルクス兄弟の中でも異色の西部劇。とは言え舞台が変わったところでマルクス兄弟は腐ってもマルクス兄弟。時代設定を全く無視した言い回しや、駅馬車内での帽子の取り合い、そして拳銃の突き付け合いには笑わせてもらいました。終盤のやたら動きがカクカクした決死の列車アクションも必見です。 [DVD(字幕)] 7点(2005-10-12 16:02:50) |
346. 大地
《ネタバレ》 う~ん、プドフキンの二の舞…(泣)。昔のソ連映画って個々のショットは文句無く素晴らしいのですが、その反面ストーリーが結構チグハグで観ていてどうしても途中で集中力が途切れてしまいます。本作も例外ではありません(あくまで主観なのですが)。ただ先程も言ったようにウクライナの広大な土地の映像、果てしなく広がる青い空、風に靡く大草原、辺り一面に咲き渡るひまわりの花々と、自然風景の描写は美の頂点を極めています。特にトラクターによる稲の刈り込み作業のシークエンスは、もはや一大叙事詩と化しています(笑)。スポークンタイトルの反復表示、役者の鬼気迫る表情、クライマックスは観ているこちらが押し潰されそうになるくらいの圧倒的なパワーに満ち溢れています。雨上がりの後の宝石の如く輝きを放つ林檎のように、後世に伝えていくべきロシア映画が産んだ遺産です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-27 23:53:54) |
347. ハロー・ドーリー!
良くも悪くもお上品なミュージカルという感じ。公開当時莫大な製作費を投じて作られたものの、既に観客が求めていたものとは違い興行的に失敗に終わってしまったという、何ともお気の毒な作品。監督は「雨に唄えば」の天才ジーン・ケリー。大作なだけに物語も長尺で終始集中力を持続させるのにも苦労しましたが、何より主演のバーブラ・ストライサンドとウォルター・マッソーの掛け合いが面白く、また伝説のパレードシーンや高級レストランでのダンスシーンが観られただけでも満足です。偉大なミュージカルの先達たちに敬意を払い、7点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-24 20:15:48) |
348. 邪魔者は殺せ
《ネタバレ》 なかなか重厚な作りで良かったです。それから衛星放送で観た後すぐにレビューを書いておけば良かったと思えるほど、皆様と内容が被ってしまうのですがこれ以上被らない内にとっとと書いておきます(笑)。そんな訳で皆様の仰られる通り本作は「第三の男」同様、影に拘った演出とモノクロームの映像が実によく物語にマッチしています。結局は全部あの間抜けな主人公が悪いんだけど、様々な人に助けられ(いじくられ)ながら半死半生で生き延びていく姿は面白かったです。また他の仲間も警官に射殺されたり捕らえられたりしながらも、最後まであらん限りの抵抗をするシーンはスリリングで尚且つ哀愁を誘いました。余談ですが、鳥好きのシェルという男は見ていて個人的に「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムを思い出しました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-19 23:46:09)(良:1票) |
349. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 成る程、ほとんどの人が最後の部屋まで辿り着けないのは途中で眠くなってしまうからですか。と、冗談はさて置き、これほどしんどい映画もありませんでした…。恐らくはもう二度と観ないでしょう(とは断言できないものの)、本当にただ散歩しているだけの映画ですからね。↓【エスねこ】さんの仰る通りまさに命がけのピクニック。たまに横になってゴロゴロしたり、たかがトンネル如きでビクビクしてんじゃねえぞ!と思わず喝を入れてやりたくなりました。しかし物語前半の廃墟のイメージには思わず失神しそうになるぐらいの美しさ。ユーリ・ノルシュテインの『アオサギとツル』、もしくは『話の話』を彷彿とさせます。劇中にはハリウッド最先端のCGや超自然現象も無く、特別凄いセットが組まれているわけでもないのにそこには確かに"ゾーン"という聖域があり、その奥には何でも望みが叶う"部屋"が存在するという圧倒的なリアリティが備わっています。よくよく考えてみればこれほど馬鹿らしい話もありませんからね、大の大人三人が子供騙しのトラップゲームに参加する。それなのにここまで観客を自分の世界へと引きずり込んでしまうタルコフスキーってやっぱりヤバイ。最終的には自分もゾーンに魅せられてしまいました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-02 19:06:06) |
350. 男はつらいよ 純情篇
《ネタバレ》 これまでのシリーズの中では最もシビアというか、ちょっと物悲しい雰囲気が漂っているような気がします。故郷に想いを馳せる寅さん、とらやの面々もいつもと違い快く寅さん迎え入れてくれないところがちょっと寂しいです。何だか全体的に妙なホームドラマ仕立てになっていますが、今までの暴走さは影を潜め割かし落ち着いた作風に仕上がっています。何と言っても序盤の家出娘を故郷へ送り届ける件が秀逸で、ここでも寅さんの人情深さを感じさせます。特に「俺はそいつを殺すよ」というちょっとドキッとさせる台詞が印象に残ります。それにしても寅さんは偉い、そして凄い!普通あそこまで振られ続けたら恋愛恐怖症にでもなってしまうのではないでしょうか?それでもめげずに挫けずに、堂々と生きていけるような男になりたいものです。(相変わらずタコ社長の間の悪さは日本一!) [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-28 23:40:26) |
351. 猫の恩返し
画の作りが甘いとか、話が他愛も無さすぎるとか、本当に子供向けなんだけどそこが逆に猫の物語という感じで良い具合に気が抜けていて好きです。個人的には何故か序盤のボディガードっぽい猫たちが野良猫を蹴散らすところがツボ。上映時間も短く大した集中力も要らないのでサクッと観られる、まるで夏のそよ風のような作品です。たまにはこういう軽めのアニメも良いんじゃないでしょうか?ちなみに自分のお気に入りキャラはおっとり屋のナトルです、如何にも猫らしくて愛嬌がある。エンディングに流れるつじあやのさんの「風になる」もかなり好きです。 [地上波(字幕)] 7点(2005-08-27 10:39:03) |
352. ボディ・ダブル
《ネタバレ》 主人公のストーカー行為があまりにも大胆すぎてちょっと笑ってしまいました。しかもその後の彼女との熱烈なキスシーンが、これまた何の脈絡も無くて唖然。と言うか全編そんなのばっかりですけどね。ショッピングモールでの追いかけっこは「カリートの道」のクライマックスと同様、やはりこういう演出は卓越しています。元ネタでは主人公が高所恐怖症だったのが、こちらでは閉所恐怖症になっているのがユニーク。相変わらずシナリオはパクリですが、ポルノ館でのリラックスのシーンは「ファントム・オブ・パラダイス」みたいで面白く、また「エルム街の悪夢」のフレディのようなメイクをした悪役もB級感があって良いです。そもそも映画のタイトルの時点でネタバレをしているのが凄い。ビバ・デ・パルマ! [DVD(字幕)] 7点(2005-08-23 22:44:10) |
353. プラーグの大学生(1913)
《ネタバレ》 はい、観ましたよ。ビデオには総監修・淀川長治と書いてあったので、恐らく一番最初に作られた作品かと考えて間違いないと思います。まずオープニングの登場人物紹介の作りから洒落ていますね。全体的に観ていて、僕はエドガー・アラン・ポー原作のオムニバス映画『世にも怪奇な物語』に出てくる第二話「影を殺した男」を思い出しました。自らのドッペルゲンガーに悩まされ、やがては自滅してしまう男の悲劇…。特に鏡の中からもう一人の自分が出てくるシーンなんて、当時としてはかなり革新的だったんじゃないでしょうか。ただ残念なのは、主人公が恋する伯爵令嬢のマルギットが個人的に自分の魂を売り渡してまでモノにしたくなるような女に思えなかったことです。しかし個人的には作品自体よりも、過去に映画化された三作品全てを見尽くしてしまっているトナカイさんに脱帽。まさに『プラーグの大学生』の達人ですね(笑)。劇中三度に亘って表示される「俺は神でも悪魔でもないが、悪魔からお前と同じ名前を与えられた」という字幕が印象的。「お前の墓石の上に乗るまで」という言葉通り、ラストの主人公の墓の上に座る"もう一人の主人公"の姿は不気味です。丁度今の季節、暑い夏の夜なんかに観たらゾクッとした清涼感が味わえて良いんじゃないですかね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-22 18:27:58) |
354. リアリズムの宿
《ネタバレ》 冒頭のあの何とも居心地の悪い電話シーンから、いきなり「俺童貞ですから」とか無意味に告白をする件は笑いました。しかもその後もずっとそこを突いてくる友人が面白い。そうそう現実ってこんなものだよな~、そんな映画みたいに出会った瞬間からヒョイヒョイ友達になれるわけがない、と切に感じたり。それから確かにこの映画は小津やカウリスマキの持つ独特のテイストと似たようなものがありますが、僕としてはこの監督は更にそこから自分のスタイルを作り上げているように思えました(と言ってもこの人の作品はまだこれ一本しか観ていないので何とも言えませんが(汗)。作風自体はとてもユニークだけど、特別「凄い!」と思った箇所などは無いので平均の7点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-17 21:41:04) |
355. 親指トムの奇妙な冒険
限りなくグロテスク、観ていて体がムズムズしてくる。好奇心に満ち溢れたトムの動作と奇妙な生物のアニメーションが素晴らしく、また小人の世界と人間世界とが隣接しているという設定にも興味をそそられます。我が子を奪われた父親に「ロスト・チルドレン」のロン・パールマンを連想させ、更に世界観は「ダーククリスタル」のような薄気味悪さも感じさせます。ちなみにラストは「デリカテッセン」に似ています(笑)。その辺の作品が好きな方には是非どうぞ! [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-12 11:25:17) |
356. 幕間
ルネ・クレール=ヤン・シュヴァンクマイエル。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-11 22:39:45) |
357. 火垂るの墓(1988)
いや、普通に良いアニメだと思うけど、もしこれを子供の頃に観ていたらおそらくとんでもないトラウマになっていたでしょうね。敢えて見せてくれなかった母親に感謝。8月6日、原爆の日。無益な戦争の犠牲者となった方々のご冥福をお祈りします。安らかにお眠り下さい…。 [地上波(字幕)] 7点(2005-08-06 21:16:12) |
358. フェリスはある朝突然に
作品自体の面白さは別にしても、主人公の身勝手な行動に共感できるか否かと訊かれたら僕の場合は断然できると答えます。まず何よりも自分が主人公たちと同年代ということもあるし、「大人を舐めた小生意気なガキ」と考える方もいるでしょうが、自分にはそれが何より痛快でなりませんでした。そもそもあんな生徒も教師もやる気のない学校だったら、そりゃ誰だって逃げ出したくなるわな…。大人になってから見返したら「何だ!こんな馬鹿馬鹿しいもの」と思うかもしれませんが、とりあえず今の内はこれで良いのです。フェリスの言う「人生は短い、思う存分楽しまなきゃウソだ」という言葉にも納得できましたしね。おそらくPTAの方々は大激怒でしょうけど(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-05 14:16:26) |
359. ノーマ・レイ
《ネタバレ》 オープニングとエンディングに流れる歌が感動的。労働問題という重たいテーマを扱っていながらもそれほどお堅い内容ではなく観易かったのですが、正直言って個人的にはそれほど面白いとは思えませんでした。結局のところノーマ・レイ以外の人たちはほとんど何もしていないと思えてしまうからでしょうか?しかし"UNION"(組合)と書かれた札を掲げるシーンではハッと目が覚めました。「団結するって素晴らしい!」と。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-27 18:34:21) |
360. 少林寺
《ネタバレ》 初めは間違って少林寺案内の番組でも観ているのかと思ったけど、いざ映画が始まってみるとこれが兎に角凄い!人間の肉体の動きを極限にまで駆使した少林寺の技は、もはや芸術の域にまで達していると言っても過言ではないんじゃないでしょうか?中国人が自らを誇りとしている自国の拳法に対する敬意も感じさせます。ただ最後のバトルが「もういい加減にしろ!」というくらいしつこかったのと、僧侶たちが余りにも簡単に戒律を破りすぎていて「本当にそれで良いんかい」と思ってしまったので-1点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-22 16:43:55) |