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21.  過去のない男 《ネタバレ》 
カウリスマキ万歳!このゆるさ。このトホホ感。なのにこんなに優しい気分になれる。この人にしか出来ない荒技があるんでしょうが、それをうまく言葉にはできそうもありません。魔法が使えるとしか思えない。たこ焼きの材料しか使わずにとんでもなくおいしいフランス料理のフルコースが作れてしまうような。いや逆かな、フルコースに使う食材を全部使って、夏祭りで食べたあのたこ焼きの懐かしい味を再現してしまうような。出て来る人がもういちいちみんなにこりともしないで最高にイカす(!あえて、イカすって言いたいのです!)会話を交わす感じがたまりません。警備のおっさんと強盗社長がとくにいいなあ。でもそうはいっても実はとってもかわいいラブストーリーでもあって、それはそれでにやけちゃいます。”おもしろうて、やがてかなしき”そんな言葉を思い出しました。アイデンティティーと幸福なんてほんとは何の関係もないのかもよ、そう、アイデンティティーみたいなものと日夜格闘してる、自分や自分のまわりの人たちに言って歩きたくなりました。未払いの給料を配り歩くみたいに。みんな頷いて、黙ってそれを受け取ってくれたらいいのに。ね。 音楽も最高!まさかフィンランドの映画で、ブラインド・レモン・ジェファーソンとクレイジーケンバンドが両方聞けるとは!こうやってふいに自分の好きなものが重なりあうのって映画の楽しみの一つな気もします。
8点(2004-03-29 03:45:23)(良:1票)
22.  25時(2002) 《ネタバレ》 
優しい映画だなあ、そう思いました。スパイク・リーがどこまでも優しくニューヨークを見つめながらモニターの前で座ってる感じがして、なんだか切なくなりました。鏡の前でノートンがニューヨークという街自体に、罵詈雑言を叩き付けるシーンがなんとも切なくてやるせなくて、愛情に溢れてて、たまらないです。自分をここまで育ててくれた街に、自分ならここまで想いをぶつけられるだろうか、そんな風に思いました。あのシーンと、友人二人のグランドゼロを見つめながらの長回しが、この映画の肝だった気がします。最後の最後で、本当はそうありたかったはずのアメリカが限りなく美しく描かれます。でもそれであぶり出されるのは、力に満ちあふれてるからこそ、その力の使い方を見いだせずにもがいてるほんとのアメリカなんでしょう。傲慢なこともほんとはわかってる、でも傷ついてることを誰かにわかっていて欲しい。永遠に傷ついてしまったニューヨークという街の正直な叫び。スパイク・リーはとても正直な立ち位置に立ててるなあ、この場所から声を発し続けて欲しいなあ、そこから発する声はきっと世界に届いて行くんだろうなあ、そう、思いました。 
8点(2004-03-28 02:02:52)
23.  バーバー
こういう、身につまされて笑えない滑稽さ、みたいなのを不気味な話に仕立てるのが、コーエン兄弟はほんとに上手ですね。ものすごくグロテスクなのに、ものすごく詩的で、下手したら神話的とさえいえるぐらいな描写をしながら、なおかつ、小馬鹿にされてるような、笑うぎりぎりで脇腹をくすぐられてるような感じがたまらないです。この余裕が多分だめな人はだめなんでしょうけれど、僕にはいつも他の誰も与えてくれない、人生についてのある視点、みたいなものを見せてくれてるような気がして、すごく心地よかったり、逆に生きてる事自体の居心地の悪さを思い出させてくれたりして彼らの映画から離れられません。それになによりも、ビリー・ボブ・ソーントンって、ほんと何をしてても、いや、何もせずに画面に居るだけで、なんだか何時間でもだまって観ていられる、そういう人なんですよね、僕にとっては。それにカメラ!ディーキンス!素晴らしく美しい!震えるほど美しいカットが満載です!救いの無い悲劇を喜劇としてみせられる、その凄みを感じるいい映画だと思います。
8点(2004-03-11 02:06:32)
24.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
 生真面目な、けれどすごく可愛らしいファミリードラマでした。きっと旧東ドイツで育った観客はうんうん、にやにやとしながら観たんでしょうねえ。小ネタのきいた微笑ましいエピソードを積み重ねていくうち(ピクルスの瓶探しがかわいいなあ、特に)、やがて息子が母親のため、っていう元々の行動原理を超えて、自分自身が不意に失ってしまった、安心して将来を委ねてきた社会主義の理想像を自分の手で語る事にのめり込んでいきます。最後にうそニュースでかれだけの輝ける東ドイツの指導者となる彼の元ヒーローの口を借りて語られる理想はけれど、社会主義も資本主義も超えて、若い優しい男のもっともっと素朴な理想像のキラキラ輝くスケッチです。それを優しく見守るすべてを理解した母親の優しい笑顔にはやはりほろりとさせられます。けど、何より素晴らしかったのはやっぱり、あのレーニン像のシーンです。取り払われた旧世界の理想のイコンが太陽に照らされて輝きながら優しく手を広げて新しい世界の訪れを告げる。滑稽なんだけどかなしい、厳しい世界をまざまざと見せながらも優しく受け入れる。何となくみんなのなかに印象的なニュース映像としてあったあの画をなんと鮮やかに甦らせたことか!あのシーンがラストシーンでもよかったのに、とさえ思っちゃいました。あれを思いついた瞬間がこの映画の創り手の勝利の瞬間でしょう。映画全体のなんとなくのぎくしゃく感を忘れる素晴らしいシーンだと思います。あ、あと。えー、ララちゃんかわいいっす。惚れたっす。
7点(2004-12-19 03:43:53)(良:2票)
25.  スターシップ・トゥルーパーズ 《ネタバレ》 
いやぁ、実に悪趣味、実に不愉快、実に馬鹿馬鹿しい、でも実に周到、実に計算ずく。バーホーベン!屈折しまくった理論派の皮肉屋がハリウッドの巨大バジェットを握りしめて創った痛烈な皮肉映画でしょう。批判、ではないと思うんです。アメリカだったり、帝国主義だったり、全体主義だったり、戦争だったり、暴力だったりをこれでもかってくらい皮肉ってます。でも一方的な批判ではないんです。そのそれぞれに、そうはいっても抗いがたい魅力があるし、盲目的に従うことでもたらされる興奮や高揚や、時によっては幸せさえもがありかねないことも描いてみせます。実際、バーホーベン自身も、暴力や(特に人体を生きたまま損壊すること)、全体主義の様式美に魅せられている自分自身をしっかり見せちゃってます。それに、戦場を支配するルールはただ一つ、恐怖という感情だけ、という事実をこれほどまでに巧みに描けた映画は実はそうそうないでしょう。最後におぞましい脳みそ虫を捕まえて思考を読み取った情報部野郎が叫びます。”恐れてる!恐れてるぞ!”それを聞いて歓喜する兵士達の叫びのなんとおぞましいことか!その笑顔のなんと無邪気なこと!一匹の虫に無数に群がるおぞましい二本足の獣たち!こんなにも皮肉に満ちた、おぞましい人間性の描写を僕は今まで映画で見たことがありません。そして最後は、この映画のストーリー自体が只のプロパガンダ用に作られたことを改めて皮肉に示して、ガツンと終わります。ストーリーが薄っぺらいことを減点にしてる方がずいぶんいますが、これに関しては完全に意図的です。ご都合主義も、キャラの薄さも、ヒロイン(どっちだ?)がちっとも魅力的じゃないのも。大枠の馬鹿馬鹿しさ(核爆弾もワープ航法もあるのに人海戦術!)に精緻なディテールをほどこすことでその皮肉が痛いほど伝わって、もはやB級バカSFの枠を超えた妙なパワーを持ってしまってます。バーホーベン、変態です、この人、間違い無く。そして実はすごく冷静。今、この時期だからこそ、もう一度この映画を見て世の中どんな反応を示すかが見たい気もします。ちょっと怖いけど。普通に、大多数の人がこれを楽しんでしまう世の中になってるのだとしたら。おっかないです。
7点(2004-06-08 02:25:32)(笑:1票) (良:2票)
26.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 
ちゃんと映画撮ってやんの、タラさんたら。vol.1ほどぶっ壊れずに、割と普通にお話を追ってて、これは前作を受け付けなかったひとも割とすんなり楽しめるかも。爆笑度は前作より減ったけれど、にやにや度はアップしてます。タラさんやりたい放題。パイ・メイのチャプターなんてもう。早いズームインと、ヒゲをさすって”ひゅん”ってSEが入る度ににやにやしてました。もうこの微妙なまったり感は『ジャッキーブラウン』を思い出しました(実は大好きなんです、僕)。会話のやり取りがすごく心地いい。お話としてうまく着地できたとは決して思えないけど、楽しませていただきました。でも僕ちょっと閉所恐怖症なので、あのシーンは厳しかったです。トラウマになりそう。音がね、もうすごくヤなわけです。ダリル・ハンナはしかし最高だなあ!前回アイパッチに赤十字で悶絶したのに続いて今回も!かっこいいぜ!憎々しいぜ!マメにメモだぜ!あと、ユマ様!それは日本じゃ北斗真拳っていうんですよ!いつユマ様が”オマエハモウ、シンデイル!”って言うかと思ってドキドキしたじゃないですか!
7点(2004-04-27 00:37:10)(良:1票)
27.  小さな中国のお針子 《ネタバレ》 
なんともかわいらしい。お針子も、おじいちゃんも、村長さんも、メガネも。もちろん、下放政策って現実にはもっと厳しい側面もあったんでしょう。でも、十九二十歳の生意気で血気盛んで変に知恵と知識がついて芸術と西洋文化に理想と憧れを持った、都会の若者ふたりが、車も通れないような山村でしなやかにたくましく笑って生きている美しい少女に出会ってしまったら。もちろん一生忘れられない恋に落ちてしまうでしょう、二人とも。エピソード一つ一つがすごく可愛らしくて微笑ましくて、いかにもフランス映画的ですが、風景や小道具の仕掛けは濃厚に文革当時や今現在の中国を映し出してて、その微妙なずれ、みたいなものがファンタジックだったり、ノスタルジーを醸し出したりして、いい感じでした。一度でも友達の彼女に惚れてしまったことのある男の子は身につまされるかも。女の子って時に残酷。でもだから好きになるんだよね。たくましいのはいつも旅立っていく女の子で、僕らは呆然とそれを見送ってなんとか想い出を美しくするのに必死になるのが関の山なんです。何も知らないのは結局頭の中を本の知識でいっぱいにした僕らの方なんです。でも、読んだことないバルザックを読んでみたくなったかな、少しだけ。ホント言うと、お針子が、10年前好きだった娘にすごく似てて、なんだかざわざわしっぱなしでした。いやはや。
7点(2004-04-04 23:39:58)
28.  ターミナル 《ネタバレ》 
 うーん。観ている間はよどみなく楽しめたコメディの小品でした。これを小品、なんて言ってしまえるのはスピルバーグだからでしょうけど。ハンクスは若かりし頃のように楽しげにコメディを演じてるし、ゼタ・ジョーンズはちょっと驚くほどなんともキュート。脇役のみなさんもお約束かもしれないけれどそれぞれうまい位置で生き生き描かれるし。でもね。04年のアメリカ映画なんです、これ。その映画がです、ニューヨークの大空港を舞台にこんな能天気でファンタジックなハートウォーミングコメディの形をとることに感じる違和感。もちろん、映画はその映画そのままの大きさで楽しまれ、語られるべきでしょう。映画が語るものをいたずらに大きくしていくことは僕もいいことだとは思いません。そうやって語られる映画はものすごくつまらないですもんね。それに社会性、みたいなものと映画をあまりに強く関わらせていくのは危険だと思うんです、僕。いや。きっとスピルバーグは、今だからこそあえて、ニューヨークの大空港を舞台にこんな映画を創りたかったのかもしれません。そうすることで、アメリカが失おうとしている何かをもう一度取り戻したいのかもしれません。でもね。やっぱり僕には、あまりにものんきで、あまりにも内向きにすぎるように思えるんです。主人公の”約束”が慎ましいものであること、彼の求めた愛が結局は報われないこと。その選択はすごく素晴らしかったと思います。小さな物語にしようとして、実際小さな物語になってます。でもそこに込められたであろう思いまでもが小さく、内側に向かって閉じたものになってしまってる気がします。スピルバーグが描くアメリカは、今もまだ、世界中が淡いあこがれと苦々しさを同時に抱いてる若い20世紀のアメリカです。素晴らしかった頃のアメリカの良心。のんきすぎるんです、それでは。父と子の小さな物語が、世界とひとりひとりの人間との対話につながるようなもっともっと開いた物語を、スピルバーグには描いて欲しい。この手腕と予算があるんだから。そう思っちゃいました。ディテールが素晴らしいだけに余計に。 あ、吉野家ってほんとにJFKにあるのかな?あのセットどれくらいそっくりなんでしょうかね?行ったことある人に聞いてみたくなりました。丸ごとセットだってんだからすごいよね。その力を有効に使って欲しいとアジアの片隅で切に思う訳です。
6点(2005-02-07 03:37:14)
29.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード 《ネタバレ》 
はじけきらなかったなあ、残念ながら。意外と生真面目なんだな、ロドリゲスさん。どうせなら、もっともっとバカ銃撃戦をみたかった。お友達のタランティーノ(どっかに出てましたか?僕はわかりませんでした)ほどはじけきれなかったなあ。意外と話がしっかりしてて、割と丁寧に話を追ったりしちゃってくれて、しかも話しの軸がいくつかあるのをきっちり見せるので、バンデラスの決めポーズを期待して見に行った僕としては消化不良です。でもそうはいってもやっぱり、ロドリゲスとバンデラスはいい!ほんの少しぎこちないのを残したままの荒唐無稽でけれん味溢れるアクションシークエンスにはしびれちゃいます。でもやっぱり、僕のような見方をしてると、ジョニー・デップはどうだったのかな、と思わずにはいられません。かっこいいのは一人でいいじゃないですか、ロドリゲスさん。しかもあんなにかっこよくてあんなくせ球放る人入れたら、そりゃかすみますよ、主人公が。すっかりデップさん楽しんじゃって、おかげでバンデラスさん無駄に真剣に復讐にいさんでるみたいに見えちゃって、すっかり浮いちゃったじゃないですか。たまにきらめくロドリゲス節を楽しんで、にやにやしながら観れたのでいいんですけど。二発しか撃てないショットガンの弾を込め直すバンデラスがいちいちかっこいい、みたいのが肝だったはずなんですよね、このシリーズ。ちょっと残念。残念と言えば、やっぱり最近エンドロールで席を立つお客様が多すぎませんか?観てあげましょうよ。最近のエンドロールが長過ぎるのも悪いけど、それでもねえ。最後に何か待ってることもあるしね。この映画は特にロール中も、何回ロドリゲスの名前が出てくるのか観てるだけでなんだか楽しいですよ。とにかく何でもやってんだ、このひと。笑っちゃいますよ。アフレコのミキサーとか。やんねえだろ、ふつうそこまで。
6点(2004-03-11 01:41:03)(笑:2票) (良:2票)
30.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
意外と面白くてびっくり。でも好きかと聞かれたら、好きじゃないです、ってはっきり言える。そんな映画でした。きっとすごくいっぱい日本のことも勉強して、脚本も練って、美術も凝って(美術は特に素晴らしかったと思います)、きちんと作り上げてるのはわかるんです。でも好きかって言われたら、好きにはなれない。なんでしょうね。うまく言えませんが、武士道って絶対にこういうことではないと思うんですよ、僕は。この映画で描かれる武士道って、どこかで滅びの美学、みたいなものにすり替わってる気がするんです。そしてすり替わってしまった武士道が、自己犠牲を美化してて、何かに殉じて死んでいくことを称揚している気がするんです。それって全然武士道ではないと思う訳です、僕は。武士道って、そんなことだと履き違えるからこそ、滅びてしまった概念だと思うんですよね。いかに生きるかをがむしゃらに突き詰めていったはずの考えを、滅びていくものへの哀惜みたいなものに巧みにすり替えてしまうことへの違和感が最後まで拭えませんでした。滅びる事への限りない哀惜はたとえば、「ワイルドバンチ」(最高に好きな映画です)みたいな形でしか現れないと思うんですよ。つまり何かに殉じて死ぬなんて何の意味も無いばからしいことだ、そんなのわかってる、それでもそれを全部わかった上であえてその醜さにに踏み込んでいく。滅びていくことってそういうことだと思うんです。この映画で肯定されて、美しく描かれているものって、大げさかもしれないけど、結局、アメリカが振りかざす正義とか、アルカイーダやオウムやパレスチナのテロリストが振りかざす正義につながってしまうものだと思うんですよ。美しさと正しさを、それと気づかずに混同してしまうことはやっぱり僕は違うと思う。まあ、そんなでかいこと言わなくたって、細かく言えば笑っちゃう突っ込みどころ満載なんですけど、この映画。いや、しかしトムクルーズ。彼がいなきゃこの企画自体成り立たなかったんでしょうけど、それにしたって、彼のポジションはあくまで狂言回しなんだから、それに徹して欲しかったです。チューすんなよ!小雪ちゃんと!最後も予感で終われよ!顔で終わんなよ!それじゃただのスター映画だろ!結局この映画のほんとのサムライは渡辺謙さんでも真田さんでもなく、日本一の切られ役、福本さん(ボブ!)だったなあ。そう思っちゃいます。
5点(2004-03-12 23:48:26)(良:2票)
31.  デビルマン 《ネタバレ》 
 遂に観てしまいました。しかも記念すべき2006年の一発目です・・・。ものすごく後悔。いろんな評価を観て、きっと史上最低レベルのバカ映画として、気軽に笑い飛ばしてしまえるかな、って思ったんです。忙しい上に寂しい新年のもやもやをまぎらわせるのに最適かな、って。暗澹とした気分です、おかげさまで。バカ映画ですらなかった。一言でいうと、ものすごく不憫な映画です。僕は正直、原作にしろテレビアニメにしろ、何の愛着もないですし、この監督さん(というかこの監督脚本夫婦)の映画もこれ以外一つも観たことがありません。だからこそ、一つの映画作品が、というか、もっと大きくいうと、ある程度巨額の予算をかけて造り上げられようとしている一つのプロジェクトが、自らの重さでがらがらと崩れていく様を見せられているような、寒々とした同時にものすごく腹立たしい気持ちになるばかりでした。きっとそれぞれのセクションの人間は、このプロダクトをなんとかいいものに仕上げようと頑張ったんだと思うんです。少なくともこれに関わった大部分の人たちは、多かれ少なかれ、各分野のプロだと思うんです。けなすのは簡単です、脚本も演出も演技も撮影もCGも照明も編集も音効も何もかもなんだかどうしようもありません。とりわけ脚本はまったくひどい。もうどうしようもなくひどすぎる。でもね、このあまりのひどさの出発点はきっと、監督や脚本家の能力のなさだけではないと思うんです。どうして各部門で、この程度のレベルのものでOK が出て、一つの作品が完成してしまうのか。ものを創りあげようとする”熱”みたいなもののここまでの欠如はいったいどうしたことなのか。「出来るなら俺だってこんなのには関わりたくないよ、でも関わっちまったからには、最低限俺は出来ることをやるよ」、そんな声が、映画全体から聞こえて来るようです。あまりに不憫でしょう。マーケティング、アドバタイジング、コンテンツビジネス、トレンド、損益分岐点、そんなうつろな言葉しか、この映画からは聞こえてきません。どうしてこんなものに嬉々として原作者が出演してるのか。映画という産業の、旧来からあるものと新しく興きてきたものの両方の悪しき部分だけが、結びついてしまったような印象があります。不憫。かつ、この上なく不愉快。一点は一生懸命さだけが伝わるふたりの若い女優さんに。かわいそうすぎる。もちろん、富永愛はのぞく!
[DVD(字幕)] 1点(2006-01-03 07:48:37)(良:6票)
32.  ドッグヴィル 《ネタバレ》 
 どうして観ちゃったんだろう。こんな嫌な、いいや、嫌とも違うな、こんなどうにもならない怒りを覚えるのがわかってたら観なかったのに。トリアー!出てこい!スクリーンの後ろで超然としてねえで!何が人間の醜さだ!弱さだ!アメリカの暴力だ!権力だあ?性欲だあ?嫉妬だあ?猜疑心だあ?偽善だあ?答えがないだあ?バカにするな!この変態野郎!出てこい!誰の手も届かないところで隠れていながら”にんげん”や”せかい”を無表情で描くな!ふざけんな!いや、ふざけろ!はぁ、はぁ、はぁ。観た直後の僕はを文字にするとこんな感じです。映画は凄まじい完成度と言っていいでしょう、たしかに。うわさのセットも役者陣の素晴らしいお芝居も、照明や撮影の繊細さも。観ている側を否が応でも映画の(いや、映画が示してみせる世界観の、か)内側に取り込んでいく映画作家としてのトリアーの技術には舌を巻くしかありません。でも僕は許せないのです、きっとひとりの人間としてのトリアーが。マウスの実験を冷徹に観察するかのような彼の目線が。もちろん彼の目線はしばしば、トムという仮面をかぶって映画のなかにも降りてきているのでしょう。いや、そういうことではないのです。”人間性に対する共感がない”なんて安っぽい批判をするつもりもありません。所詮、人間なんてみんな自分の目線から見たようにしか世界を見つめることが出来ないもんです。いや違うな、自分の言葉の知らなさに苛立つばかりです。素晴らしい。けど許せない。この映画の転がしてみせる世界のあり方には、僕は絶対に組したくない。この世界にはきっともっともっと怒りが満ちあふれているから。それなのにこの映画は誰一人怒りを表さないから。僕はそれが許せないんだと思います。彼の立ち位置が。
0点(2005-01-11 04:13:12)(良:1票)
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