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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  ならず者(1943) 《ネタバレ》 
「ならず者」をググると、撮影当時から上映に至るまでの良からぬエピソードが、まぁ出るわ出るわ。 けど、そんなに言われるほど悪くはないかと思います。 例えば、影を巧みに操り画面にアクセントを加えたりするところなんかは結構好きな演出。ラッセル嬢が両手を縛られているのが影で写し出されていたり、山で野宿した時の帽子のシルエットから本人が出てきた時などは面白い方法だと思いましたし、部屋の中で人物が画面から消えた後も影が通り過ぎるまでちゃんとカメラを回し続けるショットが何度も出ていたところは、ちょっと地味ですが渋くて良いと思います。 また、最後にリオがビリーに抱き付くショットとパットが柱を抱えるショットとの対比を強調するかのように二つのショットを被せたシーンなどを見ると、一部のセットでの撮影と思われるシーンはあったものの、画面を作ることにまでしっかりと意識を向けていたことが伺える作品であると思います。 他にも、モノクロ映像の光の当て方なんかは一級品で、西部劇なのでテンガロンをかぶった人物が多く、顔に対しては上から光を当てるわけにもいかず、かと言って下から光を当て過ぎてしまえばホラー映画のような顔つきになってしまうところ、上下から射す光のバランスひとつ取っても良い塩梅になっていますし、野宿のシーンや馬房のような暗闇での撮影も不自然に明るすぎたりもせず、かつ要所要所にのみ光が当たっていたりするところを見るに、映像に関しては総じて良い出来栄えであると感じました。 ストーリーは決してテンポは悪くないと思うのですが、途中でインディアンが都合良く出てきたり、ドクとビリーとの間に仲間意識が芽生えるまでの描写がやや足りないところなど、確かに変なところは見受けられたと思います。 オープニングで、部屋の手前から扉を開けて中に入る一連の長回しから、カメラの動かし方にこだわりを感じ期待を持って臨んだのですが、部屋の中からこんな風に仰々しく登場するパットが、前半の途中辺りからヘタレキャラが顔を覗かせてしまっているところを見るに、折角のこの良く出来たオープニングも過剰気味と言うか無駄な演出のような気がして、ちょっと勿体無く思えてしまいました。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-16 23:09:48)
22.  石の花 《ネタバレ》 
原作はもちろん知らないんですが、たぶん冒頭で出てきたようなロシアの一地方で代々語り継がれてきたような説話か何かでしょう。 物語の雰囲気や映像面の気合の入り方なんかを見ても、そんじょそこらの映画とは格が違うというか、気品すら感じさせる作品に思えます。 ただ、ちょっと細かい部分にアラが見えてしまうのが非常に惜しく、結婚を決意した時の思いつきのようなモノローグの流れとか、石の花を見たいと願い洞窟の中に行ってから出てくるまでの会話の内容とか、物語をおかしくしてしまうような箇所が他にもまだまだありましたし、それと若干音量が大きすぎたのとオフレコが耳障りだったのも良くなかったです。 ロシア映画の伝統なのか分かりませんが、とにかく映像が非常にしっかりしていて、瞬く間に花が一面にパァーッと咲くところや、湖面を映したフィックスの映像で季節の移ろいを表現したシーン、洞窟内の煌びやかな映像など全てセットでの撮影でありながらも・・・と言うよりは、セットだからこその美しさが全開に出ていたと言って良いでしょう。 リメイクは、確かにストーリーは良くなるかもしれませんが、映像面の格は落ちるでしょうから難しいところですね。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-09 00:32:10)
23.  サリヴァンの旅 《ネタバレ》 
オープニングの劇中劇が終わったところからの超長回しはインパクト絶大! 前半、旅に出るたびに(ダジャレではありません)再び戻ってきてしまうくだりは面白かったのですが、後半以降がやや失速気味。 最初、道を歩いている時に少年の車に乗せてもらってカッ飛ばすシーンのアクションは必見で、カーアクションは一部映像の合成があったもののそれでも十分に見ごたえのあるシーンでしたし、またバスの中のハチャメチャ振りも実にコミカルに撮れていたりする抜かりのなさは、流石スタージェスと言ったところです。 後半の5ドル紙幣を配って歩く辺りからが少々落差が出てしまっていて、特に気になってしまったのが、教会でディズニーのコメディアニメで大笑いする観客→「世界に幸せをもたらすのはやはりコメディなのだ!」の流れ。ちょっと安直でストレートすぎる風に思えましたし、更に詰めると、サリヴァンを襲った浮浪者が靴を含めて自分の着ているものと交換した描写がなかったのも良くなかったと思います。 よく考えると、冒頭の映画は何故コメディ映画じゃなかったんだろうとか、最初に向かうのがスラム街ではなく何故農家で仕事を手伝っていたんだろうとか、色々と疑問が湧いてきてしまったりして、粗さあり落差ありで少々勿体ない作品のような気がしました。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-06 22:43:29)
24.  ミニヴァー夫人 《ネタバレ》 
“ワイラーに外れなし”の法則を見事に打ち破ってくれた一本。 序盤に出てきた夫婦揃っての浪費ネタが後に生きてない。 ドイツ兵が現れたネタも、後に生きてない。それに、夫に報告しようとせず隠す理由も不明。 軍艦に全く迫力がない。 タイトルが内容と一致していない。孫娘も結婚したらMrs.Miniverになるのだから、二人のMrs.Miniverとバラの花とを絡めたストーリーでないとこのタイトルは不自然なものになってしまう。 序盤で、ミニヴァー夫人がバスを下車するシーンがダメ。帽子屋に戻る時の方向がバスが進むのと同方向になってしまっている。 キャロルが品評会の辞退を頼みに来たシーンのカメラワークがダメ。ヴィンとのツーショットになるように思わせ振りに右方向にパンしたショットは、ここはカットを割ることでヴィンを会話に入り込ませるべき。そもそも二人が口論するシーンは不要で、最初から仲良くなっていても全然問題ない。 プロパガンダだか戦意高揚だか何だか知りませんが、とにかく自分の知っているワイラーではなかった事は確か。
[映画館(字幕)] 4点(2013-01-02 01:14:17)(良:1票)
25.  名犬ラッシー 家路 《ネタバレ》 
Lassie Come Homeで邦題を名犬ラッシーとしてしまいそうなところ、敢えて「家路」としたセンスは見事。 前半のスコットランドに行くまでのストーリーは、家庭内の環境や親子関係の描き方などにアラが出ていてちょっとお子様向けな印象があったのですが(公爵がやたらと高圧的だったり、金がないと言いながらもモリモリとおやつを食べている)、その一方で後半の「家路」を突き進むラッシーの描写は良かったです。 道中の過程で4つのプロットが挿入されていて、羊飼いの犬とのバトル、老夫婦に助けられ、行商人に女王様扱いを受け、ビルの窓から飛び降りて怪我を負いながらもはるばるとヨークシャーの自宅まで辿り着くまでの過酷な旅は、どのプロットにもハラハラドキドキさせられたりホッコリと心温まるような物語があったりと非常に見ごたえのあるものだったと思います。 この映画のラッシーは出てきたどの人間にもなつこうとはせず余り愛想が良いとは言えない雰囲気を出していて、誰にでもすぐになついてしまうような犬もそれはそれでまた可愛らしくて良いのですが、ご主人様の所にのみ近づいて行って愛情を受けようとする姿はまさに忠犬ぶりを感じさせて格好良かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2012-12-22 10:39:00)
26.  第三の男 《ネタバレ》 
“一発屋の一本は駄作”という法則が自分の中にあるのですが、このキャロル・リードという監督の人気の出た作品はこれ一本のみだそうなので、今度こそその法則に例外を…と願っての鑑賞でしたが、やはりダメでした。 まず、オープニングから流れる音楽ですが、小さい頃からよく耳にする曲で元ネタに出会えて嬉しかったのですが、映画とマッチしているかと問われれば、ハマるどころか、かなり場違いな印象を与えていると言わざるを得ないほどのミスマッチな曲だと思います。しかも出てくるタイミングが悪く音量もストーリーを邪魔するほどの大きな音で流れてくることが多々あり、これはもう最悪なレベルと言ってもいいくらいでしょう。 更に最悪なのが、前半のストーリーを台無しにするかのようなハリーの存在。 映画前半は、事故で命を落としたハリーを運んだのが二人か三人か、即死かまたは会話が出来るほどの容体だったかなど、異なる複数の証言から真相を究明していくストーリーで進んでいくはずだったのが、ハリーの登場によってこれが根底から覆されてしまうという実に馬鹿げた急展開。 それまでの流れを一掃し推理を全て気泡に帰すようなこのストーリー展開は、今までの自分の推理は一体何だったんだというやり場のない怒りしか残らず、作る方も見た自分も、もうアホかという感情しか出て来ず。 細かい箇所もおかしなシーンばかりで、冒頭でホリーがハリーの自宅を訪ねたシーンで階上の住人からハリーはたった今死んだと聞かされるのも、妙にあっけらかんとした言い方ですし、車で講演会場に連れて来られたシーンも存在意義ゼロの無駄なシーン。 また、モノクロ映像が絶賛されているようですが、目を奪われるようなカメラワークは特に見当たらず、それどころか部屋の中のシーンでカメラを傾けて撮ったシーンも一番重要なワンショットのみに抑えれば効果が出たはずのところ、3回4回と無駄に多用してしまっていて作品を駄目にしているし、ストーリーに関係のない路上の人を何度もアップで捉えるのも意図が見えません。 遊園地を舞台にしたシークエンスはかえってサスペンス感が増すような効果を出していて、ここがこの映画での唯一の良かった所でしょうか。 それと、ラブストーリーの側面もあるようでしたが、自分は3人の誰にも共感は出来ず、どのような見方をしても良いところが見い出せない映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2012-11-04 22:39:11)
27.  チャンピオン(1949) 《ネタバレ》 
映画序盤のウエイトレスの女とのラブシーンが綺麗だったので、撮影は誰かと調べてみたらフランツ・プラナーという「ローマの休日」や「大いなる西部」を撮った人だと知って、流石だなぁと思いました。 特にシルエットのキスシーンが芸術的に美しく彼女との愛に“本物”を感じたのですが、中盤に差し掛かった頃になると幾度となく他の女に目移りしてしまっていて、マネージャーを乗り替えたり兄貴と喧嘩したりといったストーリー上の展開はもちろん、映像における象徴的なシーンを裏切るところからも、カーク・ダグラス演じるリッジの人となりが伺えると思いますし、またそういったシーンを敢えて作ることで映像面においても落差を出すように描いた監督の手腕には脱帽させられます。 全体的なストーリーは、教科書通り一人の単純男のサクセスストーリーで、こいつならここで乗り替えるだろうなとか、試合にも勝っちゃうんだろうなとか、電報の内容が母親の病気か何かだろうなとか、特に大きなサプライズもないままエンディングに向かうのですが、最後に劣勢だった試合を逆転して勝ってしまったり、試合後に倒れてしまったりという軽いどんでん返しが2回あったのが良かったと思いますが、逆に、序盤辺りの会話で殴り殺してしまうかもとかいう話が出てきていたので、兄貴がラストで死んでしまうことで伏線の回収をするのかと思っていたらそうではなかったのですが、トータル的には楽しんで観ることができたと思います。 ボクシングの映画ではなくあくまで人間ドラマを描いた映画なので、素人からチャンピオンになるまでのトレーニングなどが程よく端折られていたのも良かったですし、それでいて、リング上ではしっかりと迫力のあるボクシングのシーンが描かれていて、ツボを心得ているなぁと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-04 00:23:05)
28.  恐怖のまわり道 《ネタバレ》 
この映画の公開が1945年となっていますが、現代の感覚で観ると、おそらく急性心筋梗塞か何かで死んだのだろうから死亡解剖をすれば罪を着せられることはないので、女に脅迫されている間は早く自首してしまえと思いながら観ていましたが、当時はまだ死亡解剖の考えはなかったのでしょうか? それはさておき、途中で乗せた女が眠りから覚めた所はビビりましたが、その後ずっとその女の金切り声を聞かされるシーンの連続で、それまでどうしても主人公の男に感情移入してしまっていただけに、あまり気持ちの良いものではなかったです。 映画の序盤、道でヒッチハイクをしていた次のシーンで「俺はここで曲がるが、おまえはどうする?」「じゃあ、ここで降ろしてくれ」と、パッと車の中の会話のシーンに切り替わる鮮やかさや、霧の中を恋人と二人で歩くシーンなど良いところはあったものの、オープンカーで走っているにもかかわらず髪の毛がほとんど風になびいていなかったり、最後のモノローグも少々くどい感じがありましたし、また終盤近く、それまでの立場が逆転して主人公の方が女を脅迫するシーンが一瞬出てきましたが、もう少しそこを上手く掘り下げてストーリーを組み立てれば更に良くなったと思います。 それと、タイトルは邦題の勝ち。
[映画館(字幕)] 6点(2012-09-29 14:19:18)
29.  緋色の街/スカーレット・ストリート 《ネタバレ》 
ストーリーは、パッとしない初老の出納係が悪女にのめり込んでいってしまうという既に何度か見たことのある話なんですが、序盤から主人公クロスの人物描写のきめ細やかさには目を見張るものがあり、興味を引かれるところであります。 雨の中、友人を傘に入れてあげたり警察を呼びに行ってあげたりするだけでなく、傘が破れているところをさり気なく入れてみたり、金庫から金を取ろうとして思い直したりするところや、エプロンをつけて家事をする姿なんかは滑稽を通り越して悲哀な印象すら覚えるほど。一方、悪女キティの方も、タバコを投げ捨てるだけでなくその先の流し台の中までも描くところなんかも唸らさざるを得ないようなワンショットだと思います。 人物の描写は丁寧で好きなのですが、やはりストーリーにアラが目立つのが難点でしょう。 一番気になってしまったのが、遠近法がメチャメチャと言われた絵が何故か高値で買い取られてしまったのと、金を工面するシーンが出てきたにもかかわらず最初に出てきた懐中時計がキーアイテムとしてその後に全く活用されなかった事なんですが、他にも、キティが主人公の台詞を借りて堂々としているにもかかわらず彼女は自分の絵に自信がないという設定で押し通そうとしていたり、殉職したはずの元夫と夫人が再会した後から裁判で証言をするシーンまでの過程が描かれていなかったりといった所もツメの甘さを感じました。 しかし、サイレントの影響を感じさせる音響演出なんかは好きですし、決して悪くはない映画だと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2012-09-28 00:56:03)(良:1票)
30.  南部の人 《ネタバレ》 
アメリカ南部で土地を開拓し、降りかかる困難に耐えながら逞しく生きる家族を通し、労働の尊さ、家族愛、自由とは何かを描いたルノワールの傑作。 トータル的なストーリーとしては、南部の土地に移住してきた一家族が様々な苦境を乗り越える話で、息子が栄養失調で病気を患ったり隣人との仲違いが刃傷沙汰にまで発展したり洪水に見舞われたりと、起承転結の転が3回も続くストーリー構成に当時の開拓者の苦労がうかがい知れます。 映画の序盤、近隣の住人に井戸水を分けてもらいに行った時の会話から、この映画はパイオニアvsニューカマーの物語なんだと思い、数々の苦労を乗り越え道を切り開いてきた先駆者に対し、その切り開かれた道を易々と通り「困った時はお互いに助け合おう」などとのたまう新参者に、両者の間で起こるであろうただならぬバトルの予感を感じずにはいられませんでした。 この映画の核と思われる場面は、息子の栄養状態の悪化で妻が大地に倒れこんで泣きじゃくる姿から、サムが「屋根で空も見えないようなところで働けと言うのですか」と都会での労働を見下すような言葉を空に向かって言っていた所までの一連のシーンでしょう。 この流れは終盤の大洪水の後の友人との会話に繋がっていて、「都会の人間は俺たちが作ったものを食べて生きている」と農業至上主義的な考えを崩さなかったところに「農業をやるにも農具がいるし、狩をするにも銃が必要だ。それらは都会の工場で作っているんだぜ」という友人のひと言や、「俺は絶対に命令なんかされたくない。自分の好きなように自由でいたいんだ」「都会にいれば好きなものを食べられるし、どこだって遊びに行ける」というやりとりにも考えさせられるものがあり、友人と会話をする中で少しずつサムが人間として成長していく姿を描いたストーリーが際立っていたように感じました。 映画の中で、当時の生活環境や栄養状態が克明に描かれていたところや、また豪雨の後の辺り一面を水に浸された土地の様子を撮影したスタッフの苦労、特に長期間豪雨を待ったであろう忍耐力には心底感服させられます。 一方で、農場で綿花が育ち、その中を手を繋いで歩く二人の姿は幸せそのものですし、ストーブの火で照らされた家族の暖かい表情は、お決まりの手法ながらも感動的なワンシーンでした。
[映画館(字幕)] 9点(2012-09-09 16:54:05)
31.  凸凹フランケンシュタインの巻 《ネタバレ》 
アボット&コステロの映画は初めて観ましたが、何となくダチョウ倶楽部っぽい(笑)。太っちょのコステロは上島、ノッポのアバットは肥後、ついでに言うと狼男が寺門か? それはさておき、タイトルからしてキチッと正座をして観るようなシロモノとは思えず、ユル~く構えて見るべきでしょう。笑いのパターンはへちょちょさんの仰るとおりベタベタのコテコテ。しかーし、これが面白い!典型的ギャグ上等上等! ギロチンの模型にぶつかって落ちた頭をコロコロ…と落としたり、上島じゃなかったコステロだけが怪物たちを目撃して相方に話を信じてもらえなかったりって言うのは、なかなか古典的で好きで、特に地下室の回転扉(壁?)を使った一連のギャグシーンが一番面白かったです。 また、ギャグシーンだけでなく、こんな映画には勿体無いくらい(失礼!)の美人女優が出ていましたし、鏡の使い方も上手、難しい夜のシーンの光加減なんかもそつなくこなしていましたし、何と言ってもオープニングのアニメーションが秀逸だったのと、ストーリーの中でも上手くアニメーションを活用していた所が印象的でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-17 23:23:17)
32.  黄色いリボン 《ネタバレ》 
原題邦題共にタイトルがダメ。原題は仕方ないにしても、配給会社はもう少し映画の内容に相応しい邦題を考えるべきだったと思います。 「黄色いリボン」というくらいだから、それがキーアイテムとなるかと思いきや、それにまつわる話はほんの数分しか出て来ず、しかもオープニングからインディアンとのそれまでのバトルの進捗状況が暫くの間ナレーションによって語られるため、本来のメインテーマであるジョン・ウェイン演じる大尉の出番が遅くなってしまい、彼にまつわるストーリーがサブプロット程度のものにしか捉えられない状況を作り出してしまっていると思いました。 メインのストーリーはそこなのだから、何よりもまず先にジョン・ウェインの存在感を出してからストーリーを進めるべきであって、中盤辺りに差し掛かった頃では軍曹らを交えた軽妙なやりとりが始まったりして、本題そっちのけの随分と悠長な映画だなぁなどと勘違いをしてしまったほどです。 ただ、やはりオープニングでのフルショットで見せる馬の疾走やラストの馬の大群のシーンなど迫力あるシーンはさすがジョン・フォードと唸らされるショットですし、人情味のあるシーンも随所にあって、彼の特色が出ていて面白かったです。 中でも、軍曹に変な問題を起こさせまいと私服を着させて営倉に閉じ込めようとする大尉の粋な心配りや、隊長の命令に文書で抗議するワンシーンなんかは、絶対服従の軍隊の中でのビジネスライクな対応で、ここは印象に残りました。
[映画館(吹替)] 6点(2012-08-13 00:19:39)
33.  桃色(ピンク)の店 《ネタバレ》 
自分も、邦題にツッコミを入れようと思いましたが、中身の方に集中させていただくとして・・・この映画のストーリーの肝は、主演二人がそれぞれに文通相手がいて、目の前の同僚なんかとは比較対象にもならないほどの立派なお人という時点で、お互いの文通相手がこの常にいがみ合っている相手同士なんだろうなということが予測できないわけがない訳で、序盤は映画を観ている我々が、そして中盤以降はクラリックとその同僚を加えた人々が真相を知らないクララの行動を傍目から観察して楽しむという構図でしょう。 見終わって、それをラスト近くまで如何に引っ張れていたかを考えてみると、シガレットケースのネタも面白いとは思えませんでしたし、脇を固める店員たちも影の薄かった男が社長夫人との不倫関係にあったりといった中途半端な個性の持たせ方でしたし、クラリックが店主になってから不倫相手だった歳上の店員を解雇するくだりも社長のやり方と対比させる意味がわからないですし、やはり何よりも女性がまくし立てる場面が多すぎたのが大幅減点の材料で、映画の大半をクララが一喜一憂する姿を見て楽しむのに費やすのはちょっと無理があったように思えました。 序盤の、重曹を二人続けて買って来てもらって飲むシークエンスもいまいちでしたし、最後のO脚かどうかというのも、映画を締めるネタとしてはクオリティに欠けていたと思います。
[映画館(字幕)] 5点(2012-08-12 20:48:25)
34.  赤い子馬 《ネタバレ》 
ロバート・ミッチャムは、自分の中ではLOVE&HATEのイメージだったので、この映画を観てガラッとイメージが変わりました。 また、子役のボー・ブリッジスは初めてですが、学校の友達にいじめられたりしているときも気丈に振る舞う姿を上手に演じていましたし、おじいちゃん子な可愛い一面を見せたりして、こちらも名演だったと思います。 そのロバートとボーの、親子とも見分けがつかないくらいの二人の関係が、馬を通して心を通じ合わせ、また紆余曲折を経ながらもとても丁寧に描かれていて好感が持てました。 一方で、夫婦役の二人は、夫が抱えている問題(兄の手伝いをするために土地を離れる云々)の掘り下げが弱かったり、また登場人物の中で夫が一番存在感が薄いような感じもして、やや手を抜いていた感が見え隠れしている気がします。 主に、人間関係がメインのストーリーでしたが、馬が出てくる事もあり、もう少し多く大自然の雄大さを描いたシーンが出てきてもいいのではと思いました。
[映画館(吹替)] 7点(2012-01-13 00:44:25)
35.  失われた週末 《ネタバレ》 
前半は酒が欲しくなり、後半は酒を飲むのが怖くなる映画。 最初のうちは、主人公ドンの手を変え品を変えながら酒にありつこうとする様を見て、よくこんなことやるなぁとか思いながら半分笑って見ていたのですが、そのうち必死に酒を求めるドンの姿を見ていると笑ってもいられなくなり、手の施しようがないのが分かるだけに見ていて辛くなってきてしまいました。 ドンがカウンターで飲んだくれている時に飲んだ量をテーブルにできた輪の数で表現したところは上手い表現だなぁと思いながらこの辺までは楽しく飲んでいた感じで、タイプを質に出そうと彷徨うくらいから深刻さがジワジワと出てきたような雰囲気がします。 まぁ、アル中患者にしてみれば、酒は精神安定剤なわけで。 “薬”が切れると極度の不安感や恐怖心に駆られ、あらゆる手段を使ってでも酒を欲するので、ドンのように犯罪紛いの行為に走るケースも多々あるらしい。酒が大好きだからという理由ではなく、酒を絶たれると恐怖で身が持たなくなるから周囲の忠告を受け入れてたら発狂してしまう。(現在は病院で治療出来ますが。) まぁ、余り丁寧にドンを弁護し過ぎると、もっつぁれらはアル中らしいとか思われそうだからこの辺でやめます(笑)。 それと、回想シーンで椿姫を観ている時のドンの表情は、ひょっとしたらクレショフの実験と同じかも。 もし酒を飲みながらこの映画を観ていたとしたら、顔だけの演技で酒が飲みたくてたまらないという心情がとても良く伝わってきました、なんて書いてしまいそうですね。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-29 23:57:17)
36.  黒魔術(1949) 《ネタバレ》 
催眠術師カリオストロ(ジョセフ・バルサモ)役にオーソン・ウェルズを配したのは大正解。 監督のグレゴリー・ラトフという人は初めてこの映画で知りましたが、オーソン・ウェルズの迫力の演技とそれを引き出した監督とのタッグが奏功した良作と言っていいでしょう。 勿論、デュマの原作が優れていたのも要因として挙げられるわけで、バルサモのフランス王宮を手中にしようと計を謀るストーリーは存分の見応えがあります。 自分としてはやはり何と言っても、下から光を当てて独特の妖しい雰囲気を作り出した照明テクニック、そしてオーソン・ウェルズの目力に特に興味を引かれました。彼の目力なしにはこの映画は成立しなかったでしょうし、ズームインを的確に用いる事で彼の目に集中させるカメラワークも良い仕事をしていたと思います。 生まれつきや幼少時に辛い経験を味わい社会に復讐しようとするが失敗に終わり見る側の涙を誘う、というストーリーはこの時代ではよくある話なのか、この映画でもまたまたデジャヴが・・・。 しかし、テンポ良く進む快活な物語はそれだけで貴重で、是非また機会があれば観てみたいと思わせる一本です。
[映画館(字幕)] 7点(2011-12-23 16:11:14)
37.  自転車泥棒 《ネタバレ》 
街の廃れた感じ、質屋のシーツのストックから、この時代がいかに貧しかったのかがわかります。 冒頭で職安の係員が主人公の名前を呼んだときに後ろの方で地べたに座っている主人公を捉えるショットがありますが、その背後に映っている更地の何と多いこと。わずかに建っている建物も相当古い感じで、戦後間もない時代を思わせますし、また自転車一台買うにも身を削らないと買えないという貧困ぶり。しかも、質屋の倉庫に山積みになっているシーツを見るに、このような経済事情の人は主人公一人ではないことも見て取れるでしょう。 自分が好きなのは、教会で大勢の人が祈りを捧げるシーンだとか、子供と一緒に食事をするシーンなんですが、ここはイタリアの日常が出ていて結構好きなシーンです。 最後に主人公が自暴自棄になって自転車を盗んでしまい逃げるシーンは、必死になって逃げる自転車のスピード感やそれを捕まえようと追いかけ回す人々の多さからくる臨場感がとてもスリリングなシーンになっていて、それまでの市井の人たちを描いていたゆったり感とのギャップもあって、非常に見応えのあるシーンで良かったと思いました。 また、イタリア人って「うちの息子はローマで一番の働き者」とか「うちのママのパスタは世界一」とか言ったりして、母子愛がかなり強い国民性らしいのですが、そんなシーンもちゃんと出ていたりして、いろいろと面白かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-28 15:10:49)
38.  ポーリンの冒険 《ネタバレ》 
映画の本筋であるポーリンの半生と恋愛話のストーリーは特に面白いとは思えず、むしろ、彼女自身の強烈なキャラクターによる縫製工場の上司とのやり取りや、急にステージに立たされた時の度胸の良さなどの方が彼女の魅力が出ていて、見ているとスカッとして面白かったです。 連続活劇「ポーリンの冒険」のラストシーンがずらずらと出てくる場面があるのですが、本当にいろいろなタイプのピンチがあるんだなぁ~という感じで、映画の本筋とは関係ありませんがここは面白かったです。 一番好きなのが、舞台出身の役者がボソボソと台詞を喋っているところを監督が演技指導をし、そのお陰で期待以上に豪快な演技をカマしていたシーンですね。役者の登場シーンからしてインパクト絶大で、指導の前後で余りの驚愕の変貌に思わず吹き出してしまいました。 また、サイレント映画の撮影現場の雰囲気も知ることが出来たりと、“本筋以外では”なかなかに楽しい映画でした。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-17 02:34:33)
39.  天国は待ってくれる(1943) 《ネタバレ》 
ルビッチはカラー映画になってパワーダウンしてしまったような気がします。 冒頭の閻魔大王のいる部屋のあの妙な違和感。オレンジがかった赤い柱やボタン一つで足元の床が開く装置が凄く不自然な感じがしたのですが、ここは天国に行くかか地獄に行くかの審判が下される場所で、誰もが漠然と先入観を持っていると思われるシーンなので、カラーでハッキリと映像化されてしまうとそのギャップに違和感を感じる場合もありうるので、ここはモノクロでも良かったのではと思いました。 また、ストーリーが、ただ一人の男の女性遍歴を語るというごくありふれたストーリーで、特に驚くようなことするわけでもなく、また死後の世界を舞台に持ってくる必然性もみられないと思います。一人一人の台詞が多すぎて少々鼻につくところもあり、しかも、ルビッチお得意の小物使いもすっかり影を潜めてしまっているところが非常に残念でした。 最初のフランス人のメイドが十分に個性が出ていたにもかかわらず、最初しか出てこなかったりといった中途半端なキャスティングも問題ですし、やはり、決定的にコメディとしての面白さに欠けるというのが致命傷でしょう。 そもそも、一人の男が過去の女性遍歴を語るというストーリーで面白かった試しはないです。
[映画館(字幕)] 5点(2011-04-16 02:06:19)
40.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
天使が出てくるまでが長いと言われてますが、確かに長い。けど、冒頭で天使の存在を出さずに最後の方でいきなり川に飛び込ませる方が何となくシックリこないような気がするので、これで良かったのだと思います。映画の中盤、如何に天使の存在を忘れていられるかがポイントでしょう。 映画全体を見ると、脚本にかなり凝っている印象で、軽快過ぎるテンポやウイット含みのやりとりがやや鼻に付くというか、いかにも“作った感じ”が出すぎているのが自分の好みではないです(アメリカ映画って本当にこういうのが多い)。 途中出てきたダンスのシーンで、床が開いてプールが出てくる場面がありましたが、その後でびしょ濡れになって外を歩くシーンを撮りたかったという理由であのセットを作ったようにも感じられ、ここはちょっと過剰な演出のようにも思えます(ていうか、お金の使い方これでいいのか??)。 最後の方で天使と出会って、自分が存在しない世界を見せられるのですが、そこには薬屋の親父も犯罪者になってるし、いるはずの弟も凍った池に落ちて亡くなってる。戦死した友達もいれば、ジョージと結婚したはずのメアリーは独身のままときた。 こんな世界を見せられてジョージが何を思ったかといえば、自分自身が冷たくあしらわれ悲しくなってしまったのはもちろん、それ以上に、自分がいないことで周りにいた人をどれだけ不幸にさせてしまっているかということなのだと思います。自分を取り巻く人たちに対する思い遣りや彼らに尽くす気持ちが、元の世界に戻して欲しいと思ったのでしょう。 元の世界に戻してもらい、家に帰れば、階段の飾りは外れてるし、子供のピアノの音がうるさく感じられてしまうこともあるし、単純なスペルを繰り返し聞いてきたりする。けど本当は、こんなごく普通の日常が幸せなんだと気づかせてくれる。こんな風に思えるのってすごく羨ましい。やっぱり、今のこの世の中には天使が必要だなと思いました。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-19 23:38:19)
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