Menu
 > レビュワー
 > ミスター・グレイ さんの口コミ一覧。2ページ目
ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

-------------------------



表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  エド・ウッド 《ネタバレ》 
無条件に本作が好きなのですが、それは何よりティム・バートン監督の映画への愛が画面から滲み出ているからです。もうジョニー・デップが登場するまでの映画の物語に相応しいオープニングシーンから既にタマりません。  〝ワンダーキッド〟のオーソン・ウェルズではなく〝史上最低の〟エド・ウッドの物語であるからこそ余計に愛しく、デップが女装をバッチリ決めて演じていることからもエドに好意的なのは当然なのですが、他の役者もみんな良く、特に棺桶から登場し棺桶で退場してゆくマーティン・ランドー演じるベラ・ルゴシの素晴らしさは格別です。  ルゴシが子供たちを驚かそうとマントを羽織るシーン(「市民ケーン」みたいに天井を意識してる?)、タコと格闘する前にひっそりとモルヒネを打つシーン、あるいはエドがルゴシの家を訪ねるシーンはいつだってゾクゾクします。バートン監督はエド・ウッドと同様にルゴシのことを愛し、さらに敬意を表しているのでしょう。故にルゴシの生前のラストシーンで道端で演技を始めるとローアングルから仰ぎ見る。それは恐怖の演出ではなく尊敬の眼差しであり、彼の退場後はややつまらなくなると言ってしまっても良いほどです。  そして、さらに最高に感動的なのはエドがルゴシの最後のフィルムを見ているシーンで、この至福の空間の訪れに涙が出そうになるのです(このルゴシのシーンにナレーションをかぶせちゃってるエドはやっぱり最低だ!)。
[DVD(字幕)] 10点(2005-11-15 23:52:41)(良:1票)
22.  キス★キス★バン★バン 《ネタバレ》 
大人になりきれない男のための小粋でオシャレなファンタジー作品。もう大好きなんですよ。どれくらい好きかというと、ベタベタな展開が全く気にならないほどです。フィリックスとババの立場が逆転する別離際の台詞が良いですね。普通の幸せや人を愛する事の素晴らしさが伝わってきます。禁煙パッチ等のコミカルな場面も、ハワイに行ったつもりで遊ぶ重病なのに明るいフィリックスの父親の描写も、そして音楽も良いです。しかし何と言ってもフィリックスのキャラクターに尽きます!男の美学でしょうかダンディです。よ~し、オレもこれからは「ウィスキー、ノーアイス、ノーウォーター」でって・・・オレは下戸でした・・・。
[DVD(字幕)] 10点(2005-11-15 17:11:47)(良:3票)
23.  用心棒 《ネタバレ》 
これぞ娯楽時代劇の傑作!あまりの凄さに幾度も見返してしまいました。駆け引きしつつ困っている弱者を助け、宿場に巣食う悪人どもを一掃してしまうストーリーもさる事ながら、やはり何と言っても三船敏郎でしょう!かっこ良過ぎです。あの物腰、剣さばき、ぶっきらぼうの中にある優しさ、そして後姿!私も似合わないとわかっていながら、何度と肩をいからせてみたことか。もう彼のような俳優は出てこないでしょうね。時代だといえば仕方のない事なのですが、時代劇ファンとしては残念です。・・・ところでもう一人の用心棒、本間先生も良い味出していますね。これは私の想像の域なのですが、本間先生は別にただビビッたりインチキだったから〝昼逃げ〟をしたのではないと思うのです。ちょっと悪党から小遣いをくすねてやろうという気持ちだけで、もともとこんなヤクザの出入りに加勢する気もなけりゃ、まして命を張る気なんて毛頭なかったからなんじゃないでしょうか。だから去り際に振り向いてニンマリと笑顔を見せる。そんな本間先生に一瞬手を上げ挨拶しそのまま御髪を直す三十郎。無言ながらの二人のやりとりが心憎いです。   
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-11-11 17:41:11)(良:2票)
24.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
レッドはアンディに「希望は絶望より危険だ」と忠告しますが、希望と絶望とは表裏一体、メビウスの帯のようなものだと思います。絶望から一歩踏み出せれば、そこには希望が生まれ、希望が募りすぎて一歩足を踏み外せば、そこには絶望が口を開けて待っている。アンディだってもしあの穴が見つかって20年近くの月日が無駄となり、厳しい罰を受けたら絶望するだろう。でもきっとアンディなら、しばらく経てばあの何食わぬ顔で登場し、別の熱中するものを見つけていると思います。そう思うのも希望です。希望って素晴らしいね。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-09 18:40:40)
25.  フェイク 《ネタバレ》 
レフティはうだつの上がらないマフィアの世界で家族を想いながら、ドニーは囮捜査官として正義を貫こうと、異なる世界で互いに必死に生きている。だがレフティもドニーもマフィアと警察、それぞれの歯車にしか過ぎず何も出来ませんでした。二人は強い絆で結ばれていたのに…。そこが悲し過ぎる哀愁漂う作品です。本作には極限状態にあるからこそ考えさせられる人間の性、友情、家族、仕事、社会と人間の表裏、そして〝信頼〟が描かれています。ですがやはり一番の見所はアル・パチーノとジョニー・デップの名演です。二人にはこういう悲しい役が良く似合います。特にパチーノ!ラストの家をあとにするシーンは圧巻の一言に尽きます。最期の時までドニーを信じきった、やる事なす事すべてがダメな情けないレフティが最高にかっこいいです。割りと地味な作品ですが隠れた傑作だと思います。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-06 11:58:39)(良:2票)
26.  スモーク(1995) 《ネタバレ》 
とにかく好きです。ヘビースモーカーがタバコを吸うように何度も何度も観返してしまいます。ラシードはポールという偽名を使い父親と再開を果たし、ルビーはオーギーの娘だと真実とは分らないことを言い、娘を救う。オーギーも孫だと嘘をつき、おばあさんに最後のクリスマスを楽しませた。そしてたとえオーギーのクリスマス・ストーリーが作り話だったとしても書けない作家ポールを助ける事になる。皆が嘘をつき、それがうまい具合に運んで行くというおかしさ。クリスマス・ストーリーはもちろん、氷漬けになり息子より若くなった父親の話、タバコの煙の重さの話、4000枚の写真の話など一つ一つの小話も素敵です。ゆっくりした時間の流れ中で、じっくり味わうように観たい作品です。オーギーみたいなタバコ屋さんが近所にいたらいいのになぁ。・・・オレは吸わないけど・・・。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-02 17:40:55)(良:3票)
27.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
実話が基になっている銀行強盗が主役の話にもかかわらず、哀しい結末に切ない心持になってしまったのは巧妙な作りだからに他なりません。もうのっけから巧い。一人は怯えて逃げ出し、ソニーの銃を取り出す姿は不恰好。観客もまるで人質となったように強盗と警察のやりとりにグイグイ引き込まれてしまう見事な展開。確かにソニーたちは犯罪者に過ぎませんが本当は悪人どころか気のいい彼らの人格が徐々に明らかになるにつれて、心動かされ銀行を取り囲む警察や群衆がどんどん敵に見えてきます。そうして強盗せざるを得なくなってしまった社会背景が浮彫りになってくる。戦争の帰還兵サルは海外逃亡先を尋ねられると国内である「ワイオミング」と答える。ろくな教育を受けていない彼の生い立ちが想像でき悲しさを誘います。本作は弱者を生み出す社会に対し問題提起し、英雄を仕立て上げるメディアを皮肉った社会風刺の利いた作風なものの、難しいわけではなく娯楽色もあるのでただ楽しむこともできます。そしてそれはアル・パチーノに寄るところが大きいです。パチーノは悲哀に満ちた役が底抜けに巧い。彼は負のキャラクターでも観客を〝いざない〟共感させられる俳優だからです。そんなこんなでついつい見入ってしまうのです。  ・・・ところで原題の日本語訳は〝うだるような暑い日〟。〝狼たち〟とは明かに誤訳と思われる邦題ですが、そこにはソニーたちが社会に食らい付いて何とか生きようとしている必死さがありますね。 
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-01 11:35:43)
28.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 
とにかく理屈抜きで本能レベルで感動してしまいました!好きなシーンがいっぱいあります。個人的にベストと言っても良い作品です。(※注・以下トルナトーレ監督他作品のネタバレあり)トルナトーレは「一生地に足つけず、夢を追い続けてもいいのではないか」と言っておりましたが、このテーマは『ニュー・シネマ・パラダイス』や『みんな元気』でも描かれていたと思います。船が象徴するものは『ニューシネマ~』のトトにとっての映画館であり『みんな元気』の老人にとっての耳にしている子供達の姿だと思います。この前二作品ではトルナトーレは主人公を下船させ、厳しい現実への直面で無残さを味わわせましたが、本作ではついに1900を下船させなかったのです。1900とトトたちとの違いは実は外の世界を〝ある意味では〟知っていたという事でティム・ロスの物憂げな表情がそれを物語っています。彼の奏でるピアノが型破りなのは人間の無限性を、完膚無きまでに叩きのめされるジェリーの登場は陸の限界を匂わせ、想像には敵わない事を暗示させます。そして大勢の客を乗せる船は言わば小宇宙であり、そこを1900の全世界とする事により陸への思いを唯一の夢、欲望としています。それは同時に下船が全ての満ちたりと共に生きる目的、活力の喪失である事を意味するのです。本作には世界の大小に関わらず夢や欲望を喪失してはならないというメッセージが込められているのではないでしょうか。悲しくもロマンティックな美しい物語です。
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-30 15:20:16)(良:1票)
29.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
「夕陽のガンマン」に続きイーストウッドは今回もおいしい所を持っていかれてしまっています。役得だったのは“The Ugly”のイーライ・ウォラックでキャラクターの面白さはもちろんのこと、彼には最大の見せ場が用意されています。ここで言う見せ場とはウォラックが不戦敗に終わるラストの三すくみのガンファイトシーンではなく(この緊張感も半端ないが)、その前にウォラックがお目当ての墓を目指して疾走するシーンです。どんなに動体視力が良くても、あのスピードでは墓標を識別できるわけないなどというヤボは言いっこなし。あの走りはお宝にたどり着くには必須のダッシュなのだ!
[DVD(字幕)] 9点(2012-06-30 11:47:29)
30.  死刑執行人もまた死す 《ネタバレ》 
いつの間にか極めて不幸な事態に追い込まれていく感じは、かのヒッチコック監督ですら“参りました”と諸手を挙げて降参するのではないかと思うくらい凄まじく、ヒロインが退っ引きならない状況に陥ってしまうのに心を痛めるのはもちろんのこと、後半に一転して裏切り者のチャカが嵌められていく姿ですら可哀相になってくるぐらいです。  その恐怖の演出は巧みで、集団に一人取り囲まれていくリンチはもちろん、八百屋のおばさん?が拷問にかけられるシーンの地味な過酷さまで圧倒的で、常に被害者側の立場に感情移入させられハラハラドキドキしてしまいます。  しかしその一方で、例えばゲシュタポ側ながら探偵の如く推理するグリューバー刑事のキャラクター造型は魅力的で面白く、銃の引き金を引くことなく指をパッチンと鳴らしたりしていると愛嬌すら感じます(むしろ彼を殺してしまう側の方が恐ろしい)。 シュプレヒコールがあるところなど政治的なシーンは別の意味で怖くなってしまいますし、ウォルター・ブレナンの登場シーンの深刻さは(どのシーンも素晴らしいが)厳しく、決して無視することはできないのですが、単純に娯楽サスペンスとしても超一級の作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2011-10-12 18:46:14)(良:1票)
31.  山猫
最も豪華な、最も優美な、あるいは最も壮大な映画は何か?と問われれば、それは「山猫」であると答えるでしょう。 画面の隅から隅まで、いやおそらく映っていない外側の部分でさえも雅であろうと思えるほどで、その一部たりとも隙のない華やかな世界で落日してゆく貴族をバート・ランカスターが見事に体現しています。本来なら全く興味が湧かない貴族社会の舞踏会の様子が永遠と描かれているのに退屈せず、特に心理描写があるわけでもないのですが、涙をながすランカスターに訳もなく泣かされてしまうのですから、これはもう凄いとしか言い様がありません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-13 18:43:30)
32.  バットマン リターンズ 《ネタバレ》 
シリーズ最高傑作と言い切ってしまっても過言ではない本作は、キャットウーマンもイイですが、やはり徹底的にデフォルメされた敵役ペンギンの魅力に尽きるでしょう(口から出てる黒い液体は一体なんだ?!)。暗黒面よりも滑稽さや物悲しさを全面に押し出した異形の怪物ペンギンを一度は水没させ退場させたにもかかわらず、わざわざ復活させ筋書き上では何をさせる訳でもなく、動物のペンギンたちによる愛らしくも荘厳な水葬までしてみせたのは、ティム・バートン監督がペンギンというキャラクターを愛していたからに他なりません。それに応えるようなダニー・デヴィートの怪演。こんな立派な退場シーンをもった悪役はそういない。
[DVD(字幕)] 9点(2011-07-19 18:33:54)(良:2票)
33.  レスラー 《ネタバレ》 
現実感を求めミッキー・ロークを背後から捉え擬似ドキュメンタリーのようにしていますが、それでいてクローズアップやロングショットなど単純で少々面白味に欠けながらも情動的な場面も挿んでおり、物語にしても娘に嫌われ、彼女にフられ、残るプロレスで死に向かってゆくではダメ男に虫歯ができるほど甘過ぎるのかもしれませんが…、それでもファンの前では強靭なヒーローであり続けロッカールームで孤独にクタビレ果てた傷だらけの肉体をさらすロークに、寂しそうに公衆電話をかけるロークに(ケータイより断然イイ)、文字通り必死にラム・ジャムを決めようとするロークに、泣かずにはいられないのです。 そしてもう一人、過激にポールダンスを決めるマリサ・トメイも感動的です。
[DVD(字幕)] 9点(2011-06-10 18:40:22)(良:1票)
34.  郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942) 《ネタバレ》 
白黒とはいえ綺麗に撮ろうと顔に当てられた光が強過ぎて、今見るとかなり不自然に見えますし、ジーノとエスパニョールの絡みや、のど自慢の件などの前半部はやや退屈で冗長ではないかと思いますが…それを差し引いても完璧と言わざるを得ないほど1カット1カットが驚くほどバッチリ決まっており圧倒されてしまいます。 例えば、これから男女の過ちが100%起きますよと言わんばかりの雄弁な出会いシーンの素晴らしさ。あるいはダンサーとの束の間の恋愛が描かれる場面では、ドキドキしてしまう美しいキスシーンがあるのはもちろん、彼女の部屋から辺り一帯の町並みの設計、人物の出し入れまでが鮮やかで見事としか言い様がありません。 ヴィスコンティ監督は処女作から次元の違いを見せつけてくれます。
[DVD(字幕)] 9点(2011-05-31 18:51:41)(良:1票)
35.  第十一号監房の暴動 《ネタバレ》 
これぞ決定的に刑務所の映画だと思わせるのが、ズラッと並ぶ監房の前の一本スッーと細長くのびた閉塞感が漂う廊下の使い方です。オープニングショットからその廊下の表情が映し出され、まず最初に、監房から抜け出した囚人が看守を追い詰める場面でその力を発揮し、看守にグングン走り迫って行く囚人を後ろからハンディカムで捉え恐怖を感じさせます。そしてクライマックと言っても過言ではないのが爆破を中止させる電話をのシーンで、鳴り響く電話を取るために長い廊下の奥も奥から囚人たちが全速力でドッと駆けてくる…受話器を早く取らなければ爆破されてしまう一刻を争うドキドキの緊張感を、廊下の長さを使うことによって見事に表現しています。こういった単純に走る場面であっても見せ方により、実際に暴力シーンや派手な爆発シーンなど見せずとも十二分にスペクタクルを起こせるのです。まさに純度100%の紛れも無い刑務所の囚人のパワーを描いた映画。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-06-23 18:40:36)(良:2票)
36.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
もとのフィルム状態が悪いのと私の録画したビデオ状態が最悪なことで、台詞が聞き取れない部分が多かったのですが(〝河内山の女房だ〟〝初めて人間になれた〟などなど良い台詞があるのに!)、画面を見ているだけでほとんど分かってしまうぐらい作りが完璧です。原節子さんが身売りを決意する場面は言わずもがな、狭い通路を使ったチャンバラシーンも、走り去って行くシーンも、いずれをとっても素晴らしく列挙していたらキリが無いほどで、アッと言う間の凄まじい82分間でした。これが山中貞雄監督の初体験だったのですが、てっきり残念ながら夭折してしまったことや、作品が三本しか現存していないことが手伝って神格化されているのだと思っていました。が、実際に見てみて度肝抜かれるとはこのこと。しかも後に、これを撮ったのが二十代半ばと知り再び肝を抜かれました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-06-16 18:33:13)(良:1票)
37.  殺人捜査線 《ネタバレ》 
手際よいアクションシーンから始まり、湯気が立ち込めるサウナや鏡を使って見せる屋敷での見事な射殺シーン、高所からの二度の落下と見せ場には事欠きませんし、人物造型も秀逸の一言に尽きます。特に印象深いのはダンサー(イーライ・ウォラック)と髭の男(ロバート・キース)のコンビと運転手の絡みで(マイケル・マン監督の「コラテラル」はこれがモトかも?)、何気ない会話がとてつもなく面白いです。そして登場人物たちの各々の〝顔〟が良く、抜け目の無さそうな犯罪者たちや精悍な面構えの刑事たちはもちろんのこと、端役に到るまでバッチリ決まっていて、黒幕のマンは車椅子に座り無言で何食わぬ表情というだけの僅かな登場シーンながら、その恐ろしさは容赦ないダンサーたちが小悪党に見えてしまうほど強烈です。また、マンに死の宣告を受け顔面蒼白となったダンサーのもとに、望遠鏡のお礼を言いに来る満面の笑顔の少年を挿むところなど演出も冴え渡っています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-10 18:07:49)(良:1票)
38.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
口笛に笑顔で振り向くブロンド美女の視線の先には、男ではなく空を舞っている無数の鳥がいた…。いかにも高慢ちきな女が、これから鳥に襲われるんですよという始まり方からしてもう巧いのですが、最初の方はコメディかと思ってしまいました。つがいの鳥がハンドルを切った方向に仲良く体を倒すのはモロですが、例えば誕生パーティー襲撃シーンなども転んでジタバタする女の子をカモメが突っつく様なんてのは滑稽に見えました。しかし、暖炉から一羽のスズメが現われるや否や間髪入れずにドバッーと大群を投入してくるあたりからは圧倒的です。襲撃後、あの神経質そうな母親が割れた食器を片付ける様子が意味ありげに撮られていますが、次にダン宅に行った際、取っ手だけのコーヒーカップが映った瞬間、もうここは襲撃済みなのだと悟らせるもので見事に緊張感をもって死体まで誘導させられます。そこからはもう畳みかけるようなのですが…クライマックスともいえるティッピー・ヘドレンが実際に襲われるシーンになると、当時の技術では仕方ないのですが、やはりチャチに見えてしまいます…。しかし本作における恐怖は鳴き声や羽音など前触れの時点が最高潮なのであり、それはCG不用の見事さなのです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-04-22 18:06:50)(良:2票)
39.  見知らぬ乗客 《ネタバレ》 
特に印象に残ったことを三つばかり…。まず、殺される主人公の女房が掛けている野暮ったいメガネです。彼女は次々と男を引っ掛ける役所であるのに、あのメガネは絶対に掛けない方が良いじゃないかと思っていたら、あれは殺人を映し出す装置として存在し、さらに上流階級の妹がやっぱりどうして野暮ったいメガネを掛けて登場した瞬間、これが鍵になるのは間違いないというサスペンスの道具として機能しているのです。  二つ目は証拠をかけて殺害現場へ向かわねばならぬ一刻を争う事態の場面です。単純に両者の行動を見てみると、ガイは負けりゃ済むはずの試合を必死に勝利を目指しプレーし、他方のブルーノはブルーノでライターを排水溝に落として必死に手を伸ばす…という何ともつまらない出来事で足留めをくらい互いに独り相撲もいいところなのですが、まるで横綱同士の大一番並に緊張感に満ちているのです。これはもうヒッチコックの手腕に他ならないでしょう。  そして三つ目はガイが夜中にブルーノの家に侵入する場面。個人的にはここが最もドキドキしたシーンで、あそこに犬を登場させるあたりはズルいとすら思ってしまいます。  …三つと言いながら思い出したのでついでに四つ目、排水溝に落ちているライターのカットがとても印象的で、こういうカットがあるからこそ物語的には怪しいライターの重要性にも説得力が出てくるのでしょう。ということで本作は映画を作る人は必見というような作品です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-02-09 18:19:00)(良:1票)
40.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
ホームレスをリンチした少年の帰宅シーンにおいて、少年の帰宅からタケシがやって来るまでのショットが固定されていて何やら不穏な空気が満ち満ちており、頭っからもうこの映画はただ事ではすまされないぞという予感をさせます。事実、ただ事ではすまされず、例えば我妻と岩城が最後に会っているシーンでは会話を完全に省略してしまっていますし、妹についても全く説明がありません。しかしそんなこと説明せずとも物語はちゃんと成立していますし、映画としては素晴らしい出来栄えなのです。 例えば歩くシーンが頻繁にありますが、タケシさんの歩き方というのは別して格好良いものではないですし、カッポカッポいう靴の音にしたって響きが素晴らしいわけではありませんが、ここでは凄まじく魅力的です。・・・ただ、ラストに悪人を殺しても何も変わらないというオチをもってくるは良いのですが、菊地刑事がまるで我妻のように歩くショットを挿んでしまっているので、彼が我妻ではなく岩城の代わりになるのは妙な気もします。
[ビデオ(邦画)] 9点(2010-02-03 18:14:44)(良:1票)
000.00%
100.00%
210.18%
340.71%
491.59%
5519.03%
67613.45%
715527.43%
817330.62%
96812.04%
10284.96%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS