21. 幸せのちから
パンチのないアメリカンなサクセスストーリー。盛り上がるべきドラマを主人公の独白が邪魔している。いや、邪魔しているのは主人公ひとりの見地から書き連ねた原作そのものか。映画なんだから大胆に料理してほしかった。 邦題について。日本の通念では浅ましさのほうが際立つから避けたのだろうが、原題まんま訳したほうが内容に即している。 いつも思うのだが、ウィル・スミスの涙には、胸を打つ何かがある。 [映画館(字幕)] 4点(2007-02-13 14:47:27) |
22. エラゴン/遺志を継ぐ者
大人は楽しめないファンタジー映画。 筋書きも設定も陳腐なので、子どもにとっても、深く記憶に残る映画とはなりえないんじゃないかな。感触でいうと、『ドラゴンハート』が節操なくなった感じ? 主人公たちの葛藤も成長も、敵との対決も、すべてが想定の範囲内に終わる。物語自体に魅力がないのか、製作者側の手腕に問題があるのか、原作を読んでいないので想像の域を出ないけど、この出来はちょっとひどい。特に製作者側、描写の端々に『ロード・オブ・ザ・リング』の影響が露骨に見て取れるんだけど、気持ちはわかるがあそこまでできないなら慎んだほうが…。ドラゴンと一体化するっていう設定は、もっと活かすせるんじゃないかな。ちゃんと作ってください。がっくり。 [映画館(字幕)] 4点(2007-01-06 13:15:20) |
23. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 アニメならではのファンタジックな描写と、主人公の仕事と、人生の物語があまりにもアンバランスで、作品として破綻していた。残念なことにアニメーションである必要性が微塵も感じられなかった。 不可解な点はいろいろある。なぜその時代設定で、わざわざきわめて裕福な一握りの人間の、しかも天才の、そのうえ時代錯誤な悲恋の物語にしなければならなかったのか。とか、「省略の文化」にかこつけて、小説のセリフを薄っぺらくなぞっただけで終わらせたのか、とか。色々な事情が省略されすぎて、「生きねば」の説得力が皆無だったとか。 実はいやな予感は冒頭からあった。 冒頭、震災のシーン。蠢く大地の迫力と、肉声の効果音の気味悪さに、これを3.11の後に撮ったのだ、と監督のクリエイターとしての誠実さみたいなものも感じた。が、すぐに失望した。 大火事が起こって大勢の人間が死んでいくその日に、親友は本を運び出して「ひどい日に戻ったな」。主人公はタバコ吹かして、白昼夢。家が倒壊して大火事になればどれだけの人死にが出るか、成人した人間は想像がつく。 創作にそんな感情を持ち込むなと言われても、あれだけ力を入れて地震を描写しておきながら、こんなシーンが出てくるわけだから、この登場人物たちには下界のことよりよほど大事なことがある、つまりは「殿上人」だと宣言しているわけだ。胸糞悪いったらない。 ヒロインのはた迷惑ぶりもすごい。結核の女が見ず知らずの家に居候。うつったらどうすんの? 身内からも忌避される、あの時代、そういう病気でしたよね? 挙句の果てに忙しく立ち働いてる家人のそばに来て、「散歩に出る」神経がいっちゃってる。何不自由なく搾取してきた金持ちの発想そのものだよね。 いちいち引用される詩も、あまりにひとりよがりで失笑。主人公は極めて自分に都合の良い人間関係の中でだけ、生きているんですね。それがあの天才だったに違いない、監督の人生観かな。若くしてあれだけ成功したら、そうなっちまうのも当然かもしれないね。 とうとうこんなものを作ってしまったか。これが全世界で公開されると思うと、正直ぞっとする。莫大になりすぎたジブリブランド、駿作品の影響力の大きさをマイナスの意味で危惧した。好き放題やりやがって! [映画館(邦画)] 3点(2013-07-24 00:55:06)(良:5票) |
24. MW-ムウ-
《ネタバレ》 玉木宏のプロモーション映画。 美しい。その力だけで引っ張った決断力は清々しい気がする。 草刈正雄の『沖田総司』を思い出した。 面白いのは、演じている役柄の違い。 劇中軽々しくも「モンスター」という言葉が出てきたけれど、 現代人は劇中の結城のような人物にヒロイズムを感じるのか。 刑事役がのっけからガチガチに主人公をマークしていて笑った。 さらにあまりに中途半端な賀来の役回りにも笑った。 玉木宏は非常に細長くスタイルがよく、どの場面でも美しかった。 湖に潜るシーンと殴るシーンが微妙で残念。 個人的には若き日の草刈正雄の方が好みだ。 [映画館(邦画)] 3点(2009-07-13 15:11:39) |
25. ウォーリー
《ネタバレ》 アニメーションがキレイでかわいい! が、とにかく気持ち悪い。 何がって、ロボットたちに至れりつくせりのサービスを受けて労働のない日常生活を送り自立歩行できなくなった人間たちの奇妙な善良さ。おそらくそれもテーマなんだろうけど、皆さま何か思い出しません? というわけで、ラストも絶句。おーい、開拓時代の黎明期の争い(どこで内輪もめが起こって誰が死んだか等々)を歴史博物館で詳細に解説するあの精神はどこに行った~? [映画館(字幕)] 3点(2009-02-17 12:14:45) |
26. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 こう、なんというか、ひどいもんですな。 映画というフィクションの楽しみ方を承知しつつ、野暮を敢えて言うなら、 暴力とか死体とか痛みとか、そんなスタイリッシュなもんじゃないですよ。 どんな怪我も全快する風呂に曲がる弾丸、秘密結社という設定等々、 いわゆる御伽噺なわけですが、ちょっと悪趣味すぎるのでは? 上映開始30分でどん底の評価&気分になったので、 どうまとめるのかどう運ぶのか落ち着いて見届けることができた。 的外れでセンスのないラストの台詞も駄目押しで、妙に納得。 音の聴こえ方や文字の追い方など、神経症的自覚症状(のちに高い心拍数による驚異的な肉体能力の発露と判明)の描写は面白かったが、非常に耳障りなので、いつ区切りがつくのか心待ちにしていた。これが結構長かった。 ジョリーさんが拒食症気味の頃の撮影ですか? 明らかに痩せすぎで、食餌シーンが却って痛々しかった。最初の戦闘シーンの鬼気迫る凄味ある表情は、まあよかった気がする。 マカヴォイの冴えない陰鬱な表情もね。 だが如何せん映画本体として、どうなんだろう。R15とはいえ、大作映画の持つ影響力にナーバスな時世にあって、こんなもんにスター俳優使って全国公開すんなよ、と思ったわけです。個人的な不快感から1点!と叫びたいところですが、プロモ効果というか前評判もあったし、パッケージソフトは割と売れるんだろうなあ。 [映画館(字幕)] 3点(2008-09-24 12:10:37) |
27. 憑神
《ネタバレ》 浅田次郎特有の、凝った設定の中にぶちこまれた、消え行く美学とかご身分礼賛魂とか戦争とか、そういう要素をまんま映画にしただけで、 何がしたいのかよくわからなかった。特にラストは萎えた。あー、もったいない。 [映画館(字幕)] 3点(2007-07-18 16:13:05) |
28. 300 <スリーハンドレッド>
《ネタバレ》 見所は、鍛え上げられたカラダと特殊効果? ストーリー性、ドラマ性は極めて貧相。あんまりな超人ぶりなので、圧倒的な戦力差の闘い→裏切り→奮闘虚しく討死、の流れに説得力がない。つうか、起承転結とか緊迫感とかそんな惰弱なものはない。能天気な筋肉映画だ。それでいい気がしてきた。どーでもいいといっちゃあいいんだが、裏切る男にゴラムを、個性豊かな敵の軍勢に「北斗の拳」や「男塾」の世界を見た。 [映画館(字幕)] 3点(2007-06-27 19:55:08) |
29. トランスフォーマー/リベンジ
1作目を見ずに2作目を劇場で観ました。 映画はフィクション、御伽噺である。 そんな一面を逆の意味で再認識させてくれる作品。 最先端の技術とご都合主義と破綻した物語を詰め込んで 飽和ギリギリで垂れ流し続ける勢いは大したものかもしれません。 娯楽映画として非常に厳しかったですね。 …こんなものが評価されるとは、世も末でございます。 と思ったら、マイケル・ベイの文字が現れて納得。 CGは凄まじかった。 [映画館(字幕)] 2点(2009-07-13 14:59:23)(良:1票) |
30. エアベンダー
《ネタバレ》 映画の概念を根底から覆されるような、トホホなつくりだった。 こう、ハコ書きしようとした小説がつながらなかった感じ? 冗長でなぜ描写されているのかわからないシーンが多く、グダグダだった。 冒頭から嫌な予感がしたが、序盤の土の国での対決シーンなど、ハラハラし通しだった。ってか、3者入り乱れた中で、順番に台詞を言ってお行儀よく殺陣がはじまるとか、学芸会を思い出しました。こう、場面として崩壊してるってば! さて、興味深かったのは、キャスト。 それぞれの国に、人種が入り乱れていて、説得力がない。冒頭からして、欧米人の兄妹たちに混じって、モンゴロイドっぽい人々がいたんだもの。火の国はインド、土の国はアジア、気の国はインド+ミャンマー?? とりあえず、どの国も何かしら混ざってる。カオスを感じた。 さらに、印象に残る役者がいなかった。正直、演技力に難アリだと思った。 だが、もしかしたらもしかすると、ナイト・シャマランの逆襲かもしれない。ハリウッド的人選とハリウッド的演技に異議を唱えたということなのかもしれない。 実は行った劇場が混んでいて、仕方なくこの映画を観たのだけれど、うーん第一章とか銘打ってありましたが、続くの? 3Dの超吹替え版とやらで観たんだけど、この吹替えもグダグダ>< 苦笑するほかなかった。 [映画館(吹替)] 1点(2010-08-02 16:27:53) |