21. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
《ネタバレ》 六ちゃんの結婚はまあいいけど、茶川家の騒動はゴタゴタしているし見苦しい。どうも無理やり感がする。無理やりといえば、宅間先生のセリフも無理やりというか、とって付けたみたいというか、あまり座りがよろしくない。もう新作は作らないでしょうから、もう少しスッキリしたエンドにしてほしかった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-04-23 19:49:31) |
22. ヒッチコック
《ネタバレ》 この映画はどの程度事実を反映しているのでしょう。作品のキーポイントが『サイコ』のメイキングではなく、ヒッチコック夫妻の絆を描くところにあるわけですから、アルマがシナリオ作りで現場から離れるというのが重要になってくるわけですが、それが実話なのか、映画用に脚色されたのか判然としない。それで評価がまた異なってくると思うのですが。ヒッチコックの心理描写としてエド・ゲインを出したりしていますが、成功したのかどうか。登場場面も全体的に暗すぎて見にくかったです。 『サイコ』製作の裏話としてもそれなりに面白く、特にスカーレット・ヨハンソンはよく似てるなぁと感心しました。アンソニー・ホプキンスは雰囲気はありますが、やはり似せるのは無理ですね。あくまで映画の中のヒッチコックということで。しかし先にも書いたように夫婦の物語がメインであり、その辺も丁寧に拾っていて好感が持てますが、そちらも特にいいということもありませんでした。私はヒッチコックの作品は好きですが、監督本人には関心がありませんから。「ヒッチコック劇場」を模した最初と最後は、なかなか洒落ていてよかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-02-06 22:19:19) |
23. マザーウォーター
最後の30分はなにやらそれらしいのですが、それまでがおそろしくつまらない。脚本家が完全に勘違いしているようです。その最後の方にしたって、そうたいしたことを言っているわけでもありませんし。 一応京都が舞台ですが、必然性はゼロ。京都はたしかにいい水が多いのですが、かといってこの内容なら京都以外でも成り立つでしょ。そもそも主要人物全員が京言葉はおろか、それらしい関西弁すら話さないというあたりに、製作側のいい加減さが見て取れます。風呂屋も最近よそから移住してきたのか? そんなにやる気がないのなら、最初から作らなければいいのに。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-10-27 20:33:06) |
24. ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声
《ネタバレ》 音楽映画としては悪くないですし、示唆に富む箇所もいくつかありました。が、少年と老人の成長物語としては、かなり物足りない。もっぱら話の筋を追うだけで、人物の心の移り変わりが十分には描かれていないと思います。たとえば主人公のステットくんは、はたして音楽を好きで歌っていたのか、合唱することに喜びを見いだしたのか、はっきり言って最後まで判然としません。これでは最後まで見てきた意味があるのかと思えてしまいます。このステットくん、優等生ではないがすれっからしのワルでもないという、なんとも中途半端な設定。まあ主人公なのであまり悪くはできないということなのでしょうが、この中途半端さが作品全体に漂っていたように感じられます。ただ、子どもが音楽に目覚めてうまくなってよかったというだけでなく、大人の事情もいろいろと描いていたところは評価できます。それも見方を変えれば中途半端ということになるのかもしれませんが。 [映画館(字幕)] 6点(2015-09-21 22:11:06) |
25. おとなのけんか
《ネタバレ》 私の好まない「不毛な言い争い」の話ですが、登場人物が4人でそれぞれの視点から語るためか、それほどつまらないとも思いませんでした。ただし物語の展開にあまり変化がないので、実際の時間の割に長く感じるのはマイナス。まあ、もっともらしいことを言っている人間の本性を暴くという点では、成功していたのではないでしょうか。あんまり笑う場面もなかったのですが、携帯電話を花瓶にドボンするところはウケました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-20 16:25:12) |
26. ファミリー・ツリー
《ネタバレ》 原題の意味は「子孫たち」っていうんですね。つまり単なる家族ものではなく、先祖から受け継いできたものが大事であるということ。具体的には土地なのですが、それとはもう少し違った、目に見えない精神的なものも含まれているように思われます。そうしたものを大切にすることが、家族を大切にするということなのだというあたりが、通常の家族再生映画にひねりを加えていてよかったと思います。長女役のシェイリーン・ウッドリーが好演で、本作でかなりの映画賞にノミネートされたのも納得です(ほかに候補者もいなかったんでしょうけど)。水着姿が多かったから高評価だったわけではないと信じたい(笑)。チャラい彼氏もなかなか面白いです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-30 20:28:15) |
27. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 2時間程度の上映時間に、家族と動物園の再生をうまく織り込んだ作。動物園のスタッフはやや簡略化されていますが、全体としては過不足なくバランスよく描かれています。これだけならまあ普通なのですが、本作の真価はやはり最後のレストランの場面でしょう。亡き妻への思いを胸に秘めつつ、その死を乗り越えたということが伝わってきましたし、なんといっても全体を締めるあのセリフにやられました。おみごとな幕切れです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-23 21:12:43) |
28. ロビン・フッド(2010)
《ネタバレ》 なかなか楽しめました。いまわの際に騎士から託された願いをかなえるため、王冠を届けたあとノッティンガムに向かうロビン。こうした行動が彼の誠実さを現しており、その後の展開をなるほどと納得させるものとしています。ただ、ロビンの出自が重要なポイントとなってくるところは、ちょっとご都合主義かと思わせます。しかしそれも、それまでの話の流れが自然でスムーズに来たゆえでしょう。ただ、ロビン役にラッセル・クロウが適切だったかどうか。この人にはやはり、弓よりも剣が似合ってます。マリアン役のケイト・ブランシェットは、芯の強い役を好演していたと思います。ただ、最後の戦闘に加わるのはどうかと思いますが。 終盤、ノッティンガムと海岸での戦闘が続いて、見ていてちょっと飽きてきました。特に海岸では乱戦で敵味方が判別しにくいし、マリアンが参加でちょっと変な展開になるし、ゴドフリーにとどめを刺すやり方も作りすぎという感じだし、戦闘場面はあまり面白味を感じられませんでした。それまでのドラマが面白かっただけに残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-17 21:22:26)(良:1票) |
29. はじまりのみち
「木下惠介生誕100年プロジェクト」の一環としての意義はあると思いますが、一本の映画として評価するのなら、「だからどうした」と思ってしまうような作。主人公が木下惠介であることに、おんぶにだっこ。「映画監督木下惠介」の映画であることから、一歩も出ていない。そういうものは、正直見ていてつまらないのです。母親の顔を拭くシーンとか、河原での便利屋との会話とかいいところもあるのですが。ただ、『陸軍』からの引用は、必要とは思いますが長すぎ。最後に戦後の作品が出てくるところも、純粋に映画としてみれば、どうなのか。ああいうものを挿入しなければいけないところに、この映画の欠陥が如実に現れていると思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-05-22 21:53:23) |
30. 世界の果ての通学路
《ネタバレ》 世界各地で、長時間かけて学校に通う子どもたち。その姿を追ったドキュメンタリーという触れこみなのですが……。象から逃げる子供の“走る先”にカメラが待ちかまえていた時点で、「これは本当にドキュメンタリー?」という疑問が浮かび、以降そういう視点で見てしまいました。そうなってくると、4組それぞれがトラブルに見舞われるのも、どうも都合がよすぎという気がしてきます。あの子どもたちが学校に通っているのは事実でしょうし、それを映像に収めたこと自体はそれなりに意義があると思いますが、どこまで“映画作品”を意識して作っているのかということがということが気になります。 それぞれの子どもが、兄弟や友達と一緒に学校に行くことも共通しています。これも映画製作面から考えると、1人だと会話もないので黙々と歩くところを撮るしかない、それでは話にならないということなのでしょう。どうもこういうところに、映画作品の限界を感じてしまいます。そういうことで、あまり高くは評価できませんでした。それなりに意義はあると思いますが。 [地上波(吹替)] 5点(2015-01-29 19:23:59) |
31. 武士道シックスティーン
《ネタバレ》 なかなかユニークな青春ドラマでした。性格の違う2人が刺激しあい、成長するというのは定番ですが、本作では2人の性格づけが面白い。特に磯山は、ある種まっすぐで純粋なのですが、それがかなり突き抜けているところがよかったです。お気楽早苗も楽しいですが、この2人の場合、演じた役者さんに負うところも大きかったと思います。成長物語としては、2人を取り巻く人たちが適材適所という感じで、うまくアドバイスして導いていたのもよかったと思います。ただ、ある意味うまくいきすぎていて、ちょっと作為的なものすら感じてしまいました。 もっともよかったのは、やはりクライマックスでの“巌流島の決闘”です。なんだか見ているこちらも嬉しくなるような展開でした。早苗が引っ越すとわかってからは、明らかに2人とも決着をつける気がなくなってるあたりもよし。とはいえ、ここに持っていくまでの話の運びも、うまくまとまっていました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-12-08 20:44:26) |
32. 劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日
《ネタバレ》 NHKの番組は、気になるテーマの回だけ見ています。「歴史に名を残さなかった人々の生活を取り上げる」というコンセプトは好きです。この劇場版でも、そのあたりはとりあえずキープできていたようで、その点はよかったです。 が、映画となるとやはり何か「大事件」を起こさないといけないようで、タイムスクープ社の社員が茶器を手に入れようとする展開になるのですが、無理やり感があってちょっとどうかと思います。これに伴って沢嶋たちが他の時代にもワープするわけですが、いちいち現地の人間と騒動を起こすのも、単に騒々しいだけでした。島井宗叱の改心など、お話としてはいい部分もありますが、全体としてかなりご都合主義の展開で、まあ半分コメディと思えば楽しめないこともないでしょう。出演者では、上島竜兵とカンニング竹山のお笑い2人がいい味を出していました。 結論としては、やはりテレビの30分の方が面白いと思います。作品のフォーマット自体が映画向きではないと思うんですよね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-11-04 21:04:48) |
33. 舞妓はレディ
《ネタバレ》 周防監督、京都が舞台だからということで薄味にしたんでしょうか(?)。そこそこいいんだけど、ちょっと物足りない。 おそらくいちばんの原因は、主要人物全員に歌や踊りの見せ場を作ったためでしょう。それだけでかなり印象が分散してしまいます。歌と踊りそのものはけっこうよかったのですが。皆さんおっしゃるように大原櫻子のシーンは秀逸だし、草刈・高嶋の知恩院の場面も楽しい。なにより主役の上白石萌音ちゃんがかなり頑張ってました。 ストーリー的にも、舞妓修行一本に絞らずちょっとした話があれこれありましたが、あらずもがなという気もします。そもそも舞妓修行自体もテレビのドキュメンタリーでもありましたし、題材として珍しいものでもない。本作では訛りを直すというのが大きなポイントなわけですが、通常の修行よりも重点を置いている割には、やはりインパクトが弱い。あとこういう物語では、人間としての成長を描くのも常道です。本作では終盤、大学の研究室の場面がそれに当てられているのでしょうが、これももっとパンチを効かせてほしかったところ。最後に岸部一徳との会話もありますが、これは歌や踊りのついでみたいになってしまいましたしね。 ということで、あれもこれもと詰め込んだあげく、どこにもポイントを絞りきれなかったという感じです。なんか、一本通った筋のようなものが欠けている気がするんです。それなりに楽しい作ではありましたが。あくまでそれなりで。 [映画館(邦画)] 6点(2014-09-19 21:42:58) |
34. 花嫁と角砂糖
《ネタバレ》 最近の映画は多くがデジタルっぽくなってしまったのですが、これはフィルムの質感が出ていて(特にロケの場面)、なんだかなつかしい気分になります。そのせいかどうか、ドラマの方も日本の昭和時代を思わせるところがありました。大家族が舞台なので、誰がどういう関係なのか、判然としないところがありましたが。特に後半、軍から帰ってきた青年と嫁いでいく女性の間には、何かあるのかと思わせるような雰囲気がありありましたが、よくわかりません。 悲喜こもごもの2日間という感じで、撮り方はドキュメンタリーっぽいのですが、ある種群像劇の要素があるので、それでよかったと思います。撮影自体もなかなか美しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-09-07 17:05:56) |
35. 風の音、愛のうた
《ネタバレ》 監督が三人で3つのエピソードが平行して描かれるということは、もしかして製作費がなくて合作したのか、あるいは一本の映画として作るには短すぎるからなのか。どちらにしろ、エピソードを組み合わせる必然性は感じられませんでした。原題の"Loving You, Loving Me"がテーマだと言ったらたしかにそうでしょうが、それだと扱う範囲が広すぎると思いますし。一応メインの(?)音楽編は、人物設定もあってそれなりによかったです。靴屋のおじいさんも悪くないですが、あまりにもありがち。母子ものは今ひとつピンと来ませんし、父親の扱いに意外性を持たせたのでしょうが、普通の映画ならともかく、ほかの話を並行して進めているためか、ややこしくなってひねりすぎだと感じました。あと軍人さんをやたらと讃えていたり、最後に「国王の長寿を願います」というメッセージが出たりするのは、政治的な意図があるのかと気になりました。そんなこともあって、高く評価できません。 そうそう、ポー役の女の子が、上野樹里というか、彼女が演じた「野田恵」にそっくりなので、その点話のネタにはなるかも。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-31 18:13:25) |
36. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 2D字幕版で鑑賞。正統派のモンスター映画で、かなり楽しめました。ただ、タイトルがゴジラなのにムートー中心でゴジラの出番が少ないことが、やや不満。そのせいかどうか、「これ、別にゴジラでなくてもいいんじゃない?」とも思えます。ムートーとは逆に、生態がほとんど説明されていないので、実質「正体不明の存在」ですが、デウス・エクス・マキナとしては、それでもいいかと思います。あっさり核爆弾を使うのがいかにもアメリカ的で、正直いい気持ちはしませんが、これは特にゴジラ映画だからというわけではなく、どんな映画でも一日本人としてそういう思いを抱くことでしょう。 以下余談。当サイトでの低評価のレビューを読んで、ゴジラ映画が日本でダメになった理由がなんとなくわかりました。ゴジラというものに固定観念を持ちすぎなんですね。どうも近年、60年前の第1作をことさらに持ち上げる、ある種神格化するような気配が感じられますが、個人的には賛同しかねます。たしかにあの映画は傑作だと思いますが、それがゴジラのすべてではない。日本のシリーズ自体、『キングコング対ゴジラ』以降の娯楽路線や、東宝チャンピオンまつりでのヒーロー化など、時代と状況に合わせてゴジラ像が変化してきました。それが当然でしょう。だから、いつまでも第1作にこだわっているというのは、いいことなのか。ミレニアムシリーズはことごとく第1作を前提とした物語になっているようですが、それは大きな問題ではないのかと思います。 やはり2010年代には、その時代にふさわしいゴジラ映画が作られるべきでしょう。本作は、その一つの例をきちんと示してたという点で、高く評価したいと思います。 原発の崩壊や津波の場面など、製作側としては日本での公開にいろいろ思うところがあるのかもしれませんが、こういう映画を作ってくれてありがとう。東宝チャンピオンまつりで育った世代の日本人から、お礼を申し上げます。 *東宝チャンピオンまつり世代というのは、1969年から1975年までの間に、昭和ゴジラ映画の大半を劇場で見たわけで(リバイバルは短縮版ですが)、今振り返るととすごい経験をしたものだと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2014-08-13 22:22:12)(良:2票) |
37. グランド・ブダペスト・ホテル
《ネタバレ》 普通に面白かった。一応ミステリー仕立てですが、むしろグスタヴとゼロとの師弟愛が根幹にあるようでした。それに殺人やロマンスがからみ、時にはアクションがあったりとサービス満点で、なかなか楽しめました。コメディとしてはブラック・ユーモアの味が強く、その意味ではそれほど笑えるところはありませんでした。撮り方や音楽の使い方にクセがあり、そこで好みが分かれるかもしれません。基本的には気楽なエンターテインメント作品だと思いますので、私は合っていたと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2014-06-12 19:57:50) |
38. 8月の家族たち
《ネタバレ》 某映画館の割引チケットを持っていたのですが、いつまで待っても見たい映画がかからない。これならまだ見られるかと思ったのですが、思いっきり地雷でした。もう「千円返して~♪」と歌いたい気分。 家族の間の不毛な言い争いを見せられただけでしたね。しかも話が進むにつれて、次から次へと問題が明らかになる。ここまで連続すると、ご都合主義もいいところ。私がもっとも嫌う「不幸のバーゲンセール」系の作品でした(ただし本作では、不幸というのはちょっとニュアンスが違いますが)。これなら、ワイドショーや週刊誌のネタにされてる話の方が、まだしもと思います。とにかく登場人物ことごとくに親しみが持てないし、他人事ととしては、まったく興味のない話ばかりが続きました。 これを見て高く評価しそうな人は、主に2種類に別れるでしょう。作中人物と同じような経験をして“身につまされる”タイプか他人(特に親族)が問題を抱え、罵りあうのを楽しむ“他人の不幸は蜜の味”タイプか。幸いにも、私はそのどちらでもなかったようです。 それと、これは「コメディ」なんでしょうか? アメリカ人はこれを見て笑ったりするんでしょうか。まったく理解できませんね。笑ったりするのだとしたら、背中になにやら薄ら寒さを感じます。 [映画館(字幕)] 5点(2014-05-01 11:05:41)(良:1票) |
39. うさぎドロップ
《ネタバレ》 基本的にはよかったのですが、大吉の妄想とか、カズミと彼氏の扱いとか、妙にちぐはぐな部分があります。なんか大人の男に媚を売っている感じなんですよね。それが他の部分とかみ合っていない。最後の行方不明事件に至っては、話を盛り上げようとしたのか盛り下げようとしたのか判断に困るくらい。お墓の前で泣く2人を見て、こちらも泣きたくなりました(情けなくて)。 で、こちらのレビューを読んでみたら、ダメなところはことごとく映画オリジナルらしい。原作通りに映画化する必要はないですし、オリジナルな要素を加えることも悪いとは思いませんが、物語の基幹である原作とうまく溶け合うようなものでなければぶちこわしです。オリジナルでない部分はなかなかよかっただけに、たいへん残念でした。PUFFYの主題歌も合ってたし。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-02-24 22:41:37) |
40. パシフィック・リム
《ネタバレ》 3Dは『アバター』で懲りたので、2D版で鑑賞。事前に「怪獣映画」だという評判を聞いていたので、その点はがっかりしました。これは「戦争映画」でしょう。倒すべき相手は怪獣ではなく、それを送り込んでくる異世界人。怪獣はしょせん兵器にすぎません。ロボットも当然兵器。ストーリー的にも怪獣戦争が10年以上も続いているという設定ですし。怪獣と巨大ロボットを使っても、結局戦争映画になってしまうあたりが、いかにもアメリカ製です。逆に言うと、私が子供の頃親しんだような怪獣映画は、日本独自の感性が生んだものであろうということが確認できて、嬉しく思いました。 さて、肝心のイェーガーVSカイジュウですが、これもがっかりするところがあります。あまりにも怪獣が没個性的。まあ兵器だからということかもしれませんが、ロボットの方はまだ識別できます(とはいえ、キャラ立ちしているとも思えない)。しかし怪獣とロボット、両方とも魅力があってこそのバトルシーンだと思います。そもそも本作では、怪獣の全身すらまともに映す気もないようで。単なるヤラレ役なら、往年のブチメカの方がまだ個性的で魅力があるでしょう。申し訳程度に酸を吐いたり空を飛んだりしても、主人公に見せ場を作るためだとしか思えません。この点でも怪獣映画にはほど遠いです。 ではストーリーはどうか。これも終始怪獣戦争の枠内にとどまっていて、そこからはみ出すことがない。まったく架空のお話だからこそ、現実に生きているこちらにも届くようなドラマを見せてほしいのです。いや、そういう点もないではないですが、ちょっと弱いです。定番的すぎて引かれるところがありません。2人の博士とかは面白かったです。 ということで、それなりによくできているとは思いますが、あまり称揚しようという気にはなりません。普通に面白いですが、一度見れば十分です。私が見たいのはあくまで映画であって、テーマパークのアトラクションもどきではないのです。 それにしても……なぜハリーハウゼンと本多猪四郎なのでしょう。そこは普通に考えれば"Eiji Tsuburaya"だと思いますが。こういう感覚からして理解できません。 [映画館(字幕)] 7点(2013-09-06 21:45:09)(良:2票) |