21. 黒水仙(1947)
5人のシスターの中で、フローラ・ロブソンのフィリッパ(字幕ではフィリップ)は年配、ジュディス・ファースのブライオニーは太め、ジェニー・レアードハニーは笑顔のシスターとそれぞれ特徴があってすぐ判別できる。ところが主人公デボラ・カーのクローダとキャスリーン・バイロンのルースはどちらも若く美しいのでどうかすると見間違えてしまう。しいて言えば品のある美しさと病的な美しさの違いか。この二人がデヴィッド・ファーラーのディーンをめぐって対立するのだが、シスターといえど生身の人間、微妙な感情表現など目を見張るものがある。 [DVD(字幕)] 7点(2014-09-23 10:36:58) |
22. ギルダ
リタ・ヘイワースの魅力だけでもっているような映画で、彼女を除いてしまったら何が残るのだろと思うほどだった。特に後半はだらけてしまったような気がする。 [DVD(字幕)] 5点(2014-05-14 20:09:03) |
23. 踊る結婚式
アステアのタップの芸はお手のものだし、お相手リタ・ヘイワースもなかなか良い。しかし私にはミュージカルよりコメディの印象が強くおもしろかった。帽子の重さが2Kgとは信じられないが・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2014-05-13 14:45:19) |
24. 紐育(ニューヨーク)の天使
横領男、ペテン師、ダンサー、劇作家と役者は揃っており、どうなるのか展開が期待される映画だが終盤がどうも物足りない。ハラハラさせておいて、あっさり終わってしまうのは、映画中の劇作家の尻すぼみの脚本そのもの。もう一工夫ひねりがほしかった。リタ・ヘイワースが目当てだったけど、トーマス・ミッチェルの飲んだくれが印象に残った。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-24 06:27:51) |
25. わが恋せし乙女(1946)
上映時間が短くしかもシンプルなストーリー、それでいてやはり木下恵介、情のこもった映画である。血の繋がらない兄妹、ゆくゆくは夫婦にという母や兄の願いむなしく「私好きな人がいるの」と捨て子の赤ん坊だった妹、よくある物語なのに感情表現が細やかで心打たれる。この映画の主題歌を歌っている栗本尊子、今も90才を超えて美声を持つ奇跡の歌い手である。 [DVD(邦画)] 7点(2014-02-26 17:44:26) |
26. 破れ太鼓
朝から夜まで鳴り通す破れ太鼓、阪東妻三郎の雷親父をもじって歌っているのだが、それを終盤のシーンで聴き直すのが良い。ストーリーの展開としては甘いと思うけど、ネクタイ背広の阪妻もなかなか見られるものではない。森雅之が長男役というのはちょっと気持ち悪かったけど音楽担当の木下忠司までが出演しているのには大変驚いた。 [DVD(邦画)] 6点(2014-02-21 22:08:34) |
27. 王将(1948)
《ネタバレ》 昔三国連太郎主演の「王将」を見ていたので、ストーリーはよく覚えていたし名作だとは知っていた。しかし念願の阪東妻三郎版を見てみると、単なる名作どころか大感動作である。夫の勝利を祈る「南無妙法蓮華経」が、 映画のラストでは危篤の妻へ回復を祈る願いとなる。そして握りしめられた王将の駒、これ以上に私の心を動かすものはなかった。 [DVD(邦画)] 9点(2014-02-17 07:55:18)(良:1票) |
28. 風の中の牝雞
小学校のすぐそばに曖昧宿があるとは大変驚きだが、小津映画らしからぬ異色さを発揮する内容にはさらに驚き。しかし「あんなことをなぜ」に代表される「あれ」「これ」「それ」がふんだんに出てくるのもやっぱり小津映画。戦後ほどない混乱期、女が一人で生活して難しさがわかるような気もする。 [DVD(邦画)] 5点(2014-02-06 21:03:22) |
29. アリババと四十人の盗賊(1944)
「開けゴマ」の合図で洞窟の扉が開く、子どもの頃童話で読んだアリババの物語。40人の盗賊が出てくるのは同じだがどうも筋書きが違う。映画用に筋書きを変えたのだろうがまずまずおもしろい冒険劇。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-24 08:28:20) |
30. アラビアン・ナイト(1942)
王妃になるためには相手は誰だっていいシエラザードや、ランプをこすれど何も起こらないアラディン、昔の航海の思い出にひたるシンバット(シンドバット)、おもしろい登場人物たちだ。可もなく不可もなくといったところか。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-18 08:37:33) |
31. 西部の王者
バッファロー・ビルの一端を知ることはできるが、この映画だけではなぜ人気があるのかや名誉勲章を受けた理由などがよくわからず不十分。白人がバッファローを乱獲しインディアンを苦しめたことはわかるのだけど・・・。リンダ・ダーネルももう少し絡めてほしかったし、流れが断片的。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-06 06:06:11) |
32. 情婦マノン
《ネタバレ》 逆さに担ぎ上げて歩くなんて、そりゃあ誰もが驚くだろう。しかしそこまでする意味がどうもわからないけど・・・。アベ・プレヴォーの原作は若い時読んだが情熱的だった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-27 09:55:46) |
33. みかへりの塔
《ネタバレ》 非行や盗癖、虚言癖など、問題を抱えた児童を集め、厚生と社会復帰を目的とした学院が舞台で、30代の笠智衆や20代の三宅邦子が登場する。先生がお父さん、保母がお母さんとなって、10人ほどの子どもたちと家庭を築き教育を行うのだが、実際の学院長と小説家豊島与志雄の共同原作を元に清水宏が監督した映画だ。だが子どもたちが非行歴があって手に負えないほどには見えず、キャンプか何かの集団レクレーションくらいに感じてしまうのは私だけだろうか。学院が一丸となって水を引く工事を行うところなどももっと盛り上げてほしかった。深みがいまいち [DVD(邦画)] 5点(2013-11-16 06:57:55) |
34. 織田信長 (1940)
うつけ者の織田信長が政略結婚によって濃姫と夫婦になり、父の死後の跡継ぎ問題や忠臣平手政秀の自害など、ストーリーとしては子どもの頃見た市川雷蔵の「若き日の信長」とほぼ同じでおもしろい。そして所々に入る町人農民の歌と踊りは、いかにもマキノ映画風だし、信長の半生を知る上でも良い。ただ重みのある片岡知恵蔵の信長は少々立派すぎ、結婚したり家督を継いだときは十代だったはずだから、もっと若い俳優が演じるべきだったのかも。なおDVDは戦後改題され再公開された90分版。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-29 06:37:58) |
35. 信子
夏目漱石ぼっちゃんの女性版スタイルをとりながら、痛快さでなくほのぼのとした人情味で綴るのはさすが小説家獅子文六。それを描くのが清水宏監督なのだから、物語の方向性は自ずと決まる。だが主人公の田舎から出てきた女性教師を、都会風の高峰三枝子が演ずるのがとても意外。女学校はこんなものだったかなと少し首をかしげるけど・・・。前半が特に音声が聞き取りにくかったけど字幕もついていたので安心して見られた。ところで大発見、高峯三枝子が女生徒細川頼子を演じた三浦光子より歳が下だったとは。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-25 06:55:58) |
36. 父ありき
静かだが実に細やかに進む物語、音声は所々聞き取れなくても展開はよくわかる小津監督らしい映画だ。ここで登場するのは父と息子、教師と生徒、卒業生などほとんど男ばかり、原節子らの女優陣が出てくる他の映画とは少し雰囲気が違うが、情感はほぼ同じ。物語の展開が早いのとあっさりしすぎがやや気になるが・・・。親子二人の釣り姿、同時に動く竿が印象的。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-17 05:55:34) |
37. 死刑執行人もまた死す
死刑執行人の異名を持つナチスの総統が暗殺された。ゲシュタポによる暗殺者捜しは、事件に関係ないものまで逮捕し拷問するという冷酷さだが、逮捕者を人質として暗殺者が見つかるまで処刑を続けることに大変な戦慄を覚える。映画は中盤までゲシュタポと地下組織の闘いや関係者の動揺や不安心理を描いておもしろい。だが終盤はどうも勧善懲悪の美談の匂いが強すぎて好きになれない。密告者が出るのが真実の姿であり、密告者=悪人という図式はしてほしくなかった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-11 06:25:11) |
38. デデという娼婦
シモーヌ・シニョレが目当てで鑑賞、若い頃の彼女は陰影のある独特の美しさを持つ。映画は暗く重苦しい雰囲気のなかに進んでいき、なかなかすっきりしない。相手役の男性フランチェスコがもう少し魅力的なら良いのだが・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2013-09-14 06:20:57) |
39. 陸軍
ラッパに合わせ行進する軍隊、はためく日の丸、昭和19年製作の陸軍省後援の映画だ。およそ内容は見当つくが、それでもお国のために身を捧げる精神や本心では我が子のことを案じながらも、表だってはそうはできないという当時の世相がよく現れている。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-07 06:07:22) |
40. 戦火のかなた
前半の3話はそれぞれが戦争の悲しさを表現していて印象深い。それに比べ後半の3話は、だから何なのだと突っ込みたくなるほどパッとしない。前半7点の後半5点。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-03 11:14:37) |