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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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21.  ワイルド・バレット 《ネタバレ》 
2分で考えついたような安易な邦題が「どうせB級」という不当な先入観をもたらしている感があります。B級はB級ですけども、かなり一生懸命に練られた脚本で面白いですよコレ。 一丁の銃が次々と人の手に渡っていくにつれ広がる騒ぎと予想不可な展開。場面の一つ一つが手抜き無しに緊迫するし、次に繋がる伏線にもなるしで目が離せなくなります。少年が出会う娼婦の情の厚いこととか、チャズ・パルミンテリ扮する悪徳刑事の狡猾な存在感とかDVロシア親父がJ・ウェインに心酔のオタクぶりをまさかの場で発露するとか、脇キャラに至るまで強烈な個性を放ちます。 秀逸エピソードがベラ・ファーミガvsサイコパス夫婦の一幕。本筋とはほぼ無関係なこのくだり、無関係にもかかわらずしっかり作り込んでいてセットも役者も完璧に不気味。なぜここにこれだけ情熱を注ぐのか。良いなあ。ベラ姉さんの気っ風も麗しい。 ラスト直前の数分には複数回のひっくり返しがあります。わたしはどれも読めなかった。最後まで驚かせてやろうという気概を感じる気持ちの良い映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-17 23:21:49)
22.  リード・マイ・リップス
仏版トゥルー・ロマンスの感もちょっぴりあるけれど、でも男女の造型がクリスチャン&アラバマとだいぶ違う。カルラとポールは互いにツンデレを繰り返し、自分のために相手をうまいこと利用しようとする打算もあったりでカップルというにはとても危うい二人。こんな微妙な男女関係をサスペンスとミックスさせたラブストーリーに仕上げるとは、さすがにフランス映画だなあと感嘆。 特にカルラ演じたエマニュエル・ドゥヴォスが巧い。見た目は地味な事務員で職場の中でも軽んじられる立場に甘んじています。でもそれは外見だけで、理不尽なことにキレると反社会的行為スレスレ技で反撃をかますぐらい肝の据わったキャラなのでした。地味で非モテな女に案件をリードされて気圧されるヴァン・サン・カッセル、という痛快な構図が二度三度と繰り返され、まあポールもたいがい粗野で横暴なんだけどこの二人なかなか絶妙なバランスをキープしていて目が離せません。 現金略奪のストーリーもシンプルながらサスペンスフルなこと、冷や冷やの山盛りです。全般にわたって演出も構成も無駄が無くすっきりと観られる・・、と言いたかったところですが皆さんご指摘の通り「保護司のエピソードの唐突さ」がいかんとも。説明が極端に少ない分、びっくりの大きさも半端ないのではありますが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-06-10 23:42:41)
23.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
名匠トニー・スコットの勇猛果敢な手腕の光る一本。冒頭の船爆発に至るシークエンスからして迫力あって掴みは万全。鍵を握る女の水死体や留守電に残された自身の声といった謎要素は一級のクライム・サスペンス展開を予想させ、ぞくぞくします。 ところが、トニー・スコットのタクトは凡百が予想する「D・ワシントン探偵のサスペンスフルドラマ」という構図を振り切り、突如SFタッチな‶AI過去モニタリング”をぶち込み、勢いに乗ってタイムマシン(!)にデンゼルを送り込むというおよそ予測不可能な力技を披露するのでした。いや監督アンタ凄いよ。 一言でいえば「荒唐無稽」で余すところなく表現可能なのですが、そんなつっこみは野暮に感じられるほどに監督は自信にあふれ堂々と揺ぎ無くタイムワープで話を完結させました。 「どうだい面白いだろう?あの4日前とのカーチェイスは自信作でね」と熱く語られているような、創作魂がごうごうと燃えさかっている本作。SFよりもサスペンスの方が好きな客(=わたし)にも、とても面白かったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-05-16 23:10:40)(良:2票)
24.  K-19 《ネタバレ》 
非ロシア人であるハリウッド二大スターを使って旧ソ連海軍を描くとは難しい仕事だったと思います。しかし、言語こそ英語ですけど原潜内部のリアリティ溢れる造りはもとより、乗組員と政治士官との立場の差異など社会主義国ならではの政治事情もストーリーで説明できており、メイド・イン・ハリウッドということを気にさせない立派な作りです。画がちゃんと重くて渋い、ザ・共産圏の香りがします。 原潜内部で起きた異変の原因は、党が強いた突貫工事による整備不良や、正規品も間に合わない現場のとりあえず間に合わせた不完全な仕上がりによることは明らかです。K-19、この艦はドックから出たての処女就役なんですよね。この年1961年。1年目からこんな有様の潜水艦をソ連はその後老朽艦になるまで使い回し、冷戦終結後に明らかになった数字ではのち29年間で23件もの同様の原潜事故が起きていたと書物で読みました。 劇中非業の死を遂げた乗組員や艦長らの慟哭、非人道的な安全対策の不備がこの物語の後30年も繰り返されたとは旧ソ連という国家の非人間的なことに改めて衝撃を覚えます。 この映画の伝える恐怖は身体が震えるほどのリアル描写で、恐慌状態に陥ったP・サースガードが泣き叫ぶほどにこちらの気分も悪くなりました。 序盤まではリーアム・ニーソンとハリソン・フォードという主役クラスをどう両立させるのか、バランスの難しさを危惧しましたが杞憂に終わりました。特にH・フォードの新艦長がどういう立ち位置になるのか、とても興味深い出だしでした。ハリソンといえば、いつでも「正」側にいるイメージがついているスターですから‟無能艦長”の役回りで終わるとも思えなかったですし。 そう、もちろんボストリコフ艦長はこの就航が無理なミッションであることを分かっているのでした。しかしひとたび任に就けば艦内のトップとして職務全うにベストを尽くす。「訓練好きのコネ艦長」などではないのです。 副館長のリーアム・ニーソンはハマリ役で安定感抜群でした。部下に対しては温情型の彼が、しかしクーデターを許さず厳しい態度に出たことで原潜内の秩序維持の必須なことを思い知らされます。危険で特殊な環境下では組織のタガが緩む行為は許されない。たとえ意見は対立してもハリソンは艦長なのです。 ベテラン俳優二人の見事な組織人ぶりがドラマの重厚感をより引き立てました。どっと疲れるけれど、観るべき映画と思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-08 23:31:27)
25.  ロッキー・ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
“5”で散々な評価だったロッキーシリーズだけども、6作目に当たるこの“ファイナル”は良い。とてもとても良いです。何故って、ロッキー・バルボアがそこにいるからです。いつぞやの、全然そぐわない豪邸住まいなどではなく、古アパートの一室にやもめ暮らしのロッキー。昔なじみを無理やり思い出巡りに付き合わせ、経営するレストランでは客のリクエストに応えて何度でも同じ話をし、かつての知人の苦境にお節介を焼く。この朴訥さ、垢抜け無さ、ああかつてのロッキーその人だ。もちろん年月は過ぎていて、エイドリアンもミッキーももういないし、息子もナサケ無く育ってしまった。だけど、ここにきて、この年齢になって、欠けたピースを埋めなおすべくザ・ロッキー・ストーリーが幕を開けるのです。 息子の年ほどの現チャンピオンに勝ってはさすがに鼻白むし、かといってロッキーがダウンする姿など世界の誰も望んでいない。ここらの、客の期待のほどを巧くさじ加減した脚本はなかなかです。観終わってのこの胸の熱さは一作目にも劣らず、何枚もティッシュを浪費しながらワタシはふるふると感動したのでありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-12-04 00:29:30)(良:1票)
26.  マッチポイント 《ネタバレ》 
クラシックなオペラ歌曲にのせて展開するは現代のお話なれど、中身ははるか昔から繰り返されてきたであろう男女のいざこざ。不誠実な男と、責任を迫る女。ありがちな話がアレンにかかると「運」まで動員される。神の役回りはもちろん監督なんだが。大体神様が女好きだからねえ。 自分でも誰の立場で観てるのかちょっとわかんないまま、いつ男のハリボテがはがれるのかと変に手に汗握りながらの観賞だった。とにかく性格のひん曲がっている監督の手腕が凄いとしか。スカヨハ登場一発目のシーンからこの先の倫理違反は明白、「あれ?きのうの夕方お前を見たぞ」と証言する友人がやなとこで現われるしスカヨハはどんどんヒステリックになってゆくし、落とした薬きょうを「見せて」とウルサイ妻。小心者のワタシはまったく気が休まらない。極めつけは空に放り投げた老婆の指輪。欄干に当たって、そして「こちら側」に落ちる。もちろん思い出すのは冒頭の「運」のお話。ああ、そうなるのかと思いますよね。ついに引導を渡されるのかと。・・が、ところがなんですね。つくづく食えないジジイ監督だ。 ちなみにキャスティングも天才的に的確だ。ヨハンソン以外にも「育ちが良くて」「つまらない」妻E・モーティマー、温室育ちの坊ちゃん長男M・グード。うるさい割りに鈍感な義父母。駄目刑事。こわいほどにハマっている。やっぱり監督ただ者じゃない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-15 23:56:52)
27.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
あの急転直下摩訶不思議な処刑場のシーンになるまでは、絶対嗅覚シリアルキラーの変態人生物語だと思っていた。 違うんだ・・。 つまり彼は本当のところ人外の者(作中では天使だと言われていた)だったのですね。そう考えると、彼が去ると災いがふりかかるという座敷童的な現象や、体臭が全く無いこと、子供たちだけは彼の特殊性に気付いていた、というエピソードもすとん、と落ちるのです。 彼は愛を与えにやってきた天使。彼を糾弾していた最右翼のA・リックマンすら心溶かされてしまった。天の者にとっては死は単に生まれる前に戻るということでしょうから、人間規範での罪悪感など無いのです。 愛のかけらも無い生まれ場所へと戻り、自ら撒いた愛に包まれながらこの世を去った。食すという行為は愛の究極型といいますし。 まさか猟奇的な殺人行為が愛の話になるとは。こりゃもう常人では考えつかないトンデモな原作&脚本。 けれど、打ち捨てられた死体が妙に美しく撮られていたり、ローラが最後に見せる表情が全く怯えの無いものであったりと、伏線はたくさん張られていたような気もします。 美術は本当に見事で、18世紀のフランスの風俗そのもの。(いや知らないので多分だけど)話もびっくりだけど、眼でも楽しめる一品であります。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-16 23:48:16)(良:1票)
28.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
国家によって台無しにされた個人の人生を描いているけれど、重たくならず場面によってはコミカルに描いているその筆致に感服する。 どの人物も(脇に至るまで)きちんと人間が描かれていることに脚本の良質なことを感じる。母のために献身的にがんばる息子ダニエル、それよりちょっと現実的な姉、彼ら家族を生暖かく見守る周囲の人々と。 お母さん、大変な人生でしたね。幼子を連れてすでに当局に目をつけられている夫のもとへ亡命するなど、怖ろしくて勇気を奮い起こすことなど容易ではなかったことでしょう。反動で共産活動に精を出す、その気持ち分からなくもないです。こつこつ貯めた貯金が価値を失くしても、こんなにも愛のある息子さんが育ったではないですか。 人生の去り際に、わが子のしたことを悟って息子を見つめる母の眼差し。世の中の真実を知っても、皆が心配したようにお母さんは壊れたりしなかった。母の愛は真に強く優しい。 統一後の東側の混乱ぶりを市民目線で知るのは初めてで、勉強にもなった。道路わきに積まれた古い家具、(それもすぐには回収に来ない)我慢に我慢を重ねてきた市民らの思いの象徴のようだった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-09-03 00:05:04)
29.  アレクサンドリア 《ネタバレ》 
壮麗な古都のセットとレイチェル・ワイズの賢美なこと。見事な美術の中で展開されるのは人間が繰り返し起こしてきた宗教戦争の、うんと初めの物語。 他宗教に不寛容で、暴力を伴う諍いは二千年経った今でもそっくり同じことが起きている。聖典の言葉を都合よく解釈し、人類の財産である知や建築を破壊するその行為へ抱く憤りの感情は現在にも通じるものだ。 女性研究者として名を残したヒュパティア。R・ワイズが彼女のひたむきに真理を追究する姿をこれ以上のキャスティングは無いと思うほどに好演。”人権”の概念が無い時代ゆえ、彼女もまた奴隷を人間の男として見なしていない当時の支配層の感覚もきちんと描かれていて、歴史を扱ううえで公平な感覚を持った監督だと思った。 奴隷だったダオスのヒュパティアに抱く恋心も横糸として機能しており、最後に彼の想いは究極のやり方で彼女の魂を救う。フィクションではあろうけど、実に悲劇的なラブストーリーでもあり、この場面には切なくなった。 絶命間際にヒュパティアの瞳に映った天空。その刹那、求め続けた宇宙の真理が彼女の中に降り立ったのだと思いたい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-23 00:37:25)(良:1票)
30.  エリート・スクワッド(2007) 《ネタバレ》 
”シティ・オブ・ゴッド”の姉妹編のような本作は観るのにかなりの覚悟を要求される。観客は首根っこを掴まれ、顔を張られ揺さぶられ、足蹴にされる。猛烈に理不尽な暴力だが、ブラジルの現実だというんだから言葉も無い。 スラムの荒廃ぶりはシティ・オブ~でも克明に描かれていた。さらには警察の腐敗まで手の施しようが無い状況だと踏み込んだことが、今作のエッジをより鋭くした。死体を管区で押し付け合い、市民からピンハネした取り分を仲間内で奪い合い、車の部品はドロボーする。こんなことあっていいのか。 こんな警察にスラムのギャングなんか取り締まれる訳がない。そこへ登場するのがBOPE。ほぼ軍隊だ。治外法権並みの強権だ。ギャングとどっちが恐ろしいかって、どっちもどっちだ。こんなことあっていいのか。 頭がお花畑の金持ち大学生のNGO活動など、スラムの理屈(=暴力)にあっさり焼き殺された。これが現実だよ、と情け容赦の無さは限度を知らない。 とにかくすさまじいまでの重量級の圧を感じる、ハードムービー。 「偽善者め」と学生に叫ぶマチアスと気持ちが一致したのは、あまりの暴力のやり切れなさに私も半分キレていたからだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-01 18:26:56)
31.  永遠のこどもたち 《ネタバレ》 
怖いですが、悲しくも美しいお話です。 ”時を止めた子供たち”と”年をとるウェンディ”の再会のようでもあり、ネバーランドの新しい解釈のようでもあります。 ウェンディ=ラウラは愛を必要とする子供らの世話をしたがっていた。病気の子を養子に迎えたのも、彼女が生来庇護本能が強い人であるからでしょう。そして彼女の世話を、愛を欲していたのはかつての友人たちだった。子供のまま時を止めてしまった彼ら。一人の子の「ラウラだ・・大人になってる。ウェンディみたい。」の台詞に私はとても安堵したのでした。 もちろん、こちら側から見れば悲しい結末ではあるのですが、でもむこう側にはちゃんと死者の世界があってそこで会うべき互いが再会を果たすことができた、との癒しが存在するようにも感じます。 そして残された夫がラウラの残した聖人のペンダントを手にした時、彼にも安らぎが伝わったかのようなエンディングは大変綺麗でした。 ホラーな描写が怖がらせよう、と意図した撮り方でないのも良いです。不思議な誘導クイズも、だるまさんが転んだも、”むこうとの接点”が見え隠れするから冷やっとするのです。この慎ましくも純正な怖さ、品があって(?)惹かれます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-01 00:24:14)(良:1票)
32.  パンチドランク・ラブ 《ネタバレ》 
ああなんてシュール。序盤から道に転がり出るピアノ。しかもこの楽器、最後まで引き取り手も現われず何かの事件のきっかけにもならんという不思議な存在。何を言わんとしているのか分かる方、教えてください。 7人ものモンスターシスターズに自律神経をやられちゃってるA・サンドラーのやや瞳孔開き気味の面構えと、何故その色を?と誰もが思う真っ青のスーツとか、この妙な感性がツボにはまるかがミソ。 私はとても面白かった。こういう作品は脇もシブイ。ルイス・ガスマンとP・S・ホフマンですもん、すばらしい。ガスマンがあの顔で画面中央に陣取るあの場面、なんでまた彼女がアダムを食事に誘っているとこにあの配置。思い出すだけで笑える。執念全開のアダムが散髪中のホフマンと対峙するシーンなど、馬鹿馬鹿しくも勇ましい。こんなけち臭い役を(おそらく友情で)引き受けるホフマン、人間がでかい。 さえない人生を送っている男に、母性あふれる彼女が降ってわく。なんか男性にとってはおとぎ話みたいな展開だ。破壊衝動と、マイレージがたまるプリンの山が背景のおとぎ話。シュールでキュートなこんな傑作を、この監督以外、誰に撮れようか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-06 00:05:40)
33.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
うわあー、面白ーい、頭いいーっというのが、観た直後の感想。こりゃ楽しい映画です。冒頭でさ、マキちゃんが指輪を売るでしょ、「3000円だね」「えっ、それ、婚約指輪なんですけど」「・・・じゃあ3500円」のやりとり。ここで私はおおっとのけぞり、良い映画だと確信しました。掴みはOKというやつです。ヤクザも絡むけど内田コメディの極道さんたちはあくまでとぼけているので、マジ怖なこともなく安心です。 なんせ話が展開するにつれ快感ですもんね。端っこの展開図から見せられて、組み上がるにつれ えっ こことここが繋がって、こういう絵になるんだあって この巧みさ、物語を観る喜びでいっぱいになれます。お見事!
[DVD(邦画)] 8点(2014-11-10 00:41:37)(良:1票)
34.  ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
いやー、笑った。私は女なのでバチェラーパーティに参加できる要件を満たしていないけれど、そういうのにつきものの下品さをひっくるめても面白かった。 次から次へとよくもまあこんなに考えついたもんだ、と感心する非日常な出来事がノンストップ。ほとんどスペクタクルと言っていいような怒涛の展開だけど、その内容が実にしょーもない、というアンビバレンツな面白さ。とっ散らかった案件を、全て見事につなげてエンドロールと共に流れる救いの無いデジカメショットの数々。いやあ、粋なセンスしてるじゃありませんか、この脚本。 他人の失敗談というのは面白いと相場が決まってますが、こうも大ばかで身につまされないハッピーエンドな話は、爽快感すら漂います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-10-13 23:59:46)(良:1票)
35.  モーターサイクル・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
ゲバラの青春譚という前知識が無くても、心にしみるロードムービーに仕上がっていると思う。生真面目な年下の若者と、ややお調子者の8歳年上の友人コンビがとても良い。エルネストの、超がつく真面目さに時折辟易しながらも、その誠実ぶりに「すごいなこいつ」と驚嘆の表情を見せるアルベルト。で、かたや後年名高き革命家となるエルネストも、マスコミにちゃっかり誇大記事を売り込んだり、女の子が好きだったり、でもダンスが下手だったりとゲバラの若く青い一面を見られたのも意外で楽しかった。 純で誠実な若さの輝きを画面いっぱいに放ちながら進む二人が楽しそうで羨ましく、バイクで向かう先の広大な風景に、スクリーンの前の私も思わず大きく息を吸いました。
[映画館(字幕)] 8点(2014-06-12 00:05:10)
36.  ビッグ・フィッシュ
良かったです。幸せな作り話、傷つく者のいない創作は聞く者の心を暖めるのですね。E・マクレガーは若き屈託の無い父親像を好演しているし、T・バートン十八番の目に鮮やかな映像も美しい。そしてJ・ラングもこんなに素敵な齢のとり方をしたんだね。 「本当の話なんかつまんないだろ?“大きな魚”の方がわしは良いと思うがね」という老医師の台詞に大いに共感。“本当のこと”を知りたがっていた主人公だけど、楽しく暖かい父親の作り話で心が育まれてきたはずなんだ。だって、最後に父親の人生を締める彼の渾身の創作の見事なこと。そして、想像と現実がミックスしたラストの場面では予想外の感動に襲われてしまった。お父さん、見事な一生でした。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-23 00:02:37)
37.  アフタースクール 《ネタバレ》 
鮮やかに決まる仕掛けの数々に座布団をあげたくなっちゃう。目の前でパーツがかちかちとスライドパズルのように移動して、状況が組み合わさって見えてきたその絵に驚嘆。大泉、堺、佐々木、誰一人観客を引っ掛けようと演技しているわけじゃない。観てるこっちが勝手に誤解するようにリードされてるんだけど、でも痛快。 まさか大泉が全部持って行っちゃうとは思わないでしょうが。 世間ズレした佐々木探偵が完敗するとも思わなかった。 教室で大泉がすれっからしの探偵に言い放つセリフが実に真理で男らしい。正論をこのトボけたキャラクターが言うから直球になるんだな。 とにかく編み方の綺麗な脚本です。何度も観ました。
[DVD(邦画)] 8点(2014-02-09 23:46:27)(良:2票)
38.  シービスケット
一頭の馬と三人の男たちと社会の再生。ストーリーも感動的だけれど、俳優が皆好演していて快い。J・ブリッジスがこんなに味わい深く年をとるとはなんだか感激だ。包容力があって、レッドのささくれた心を癒してゆく場面にはこちらの心も温まる。“my son,何を怒っているんだ?”と心の根っこを指摘されたときのT・マグワイアのちょっとうろたえた表情が良かった。C・クーパーの職人気質ほとばしる名演技や、W・H・メイシーの箸休め的な存在も印象的。 演出も巧く、レース序盤はラジオに聞き入る人々の姿を被せる等、時折傷ついた米国の社会情勢をも織り交ぜながらシービスケットの走りと皆の元気をリンクさせてゆく。ビスケットがゴールする際はワタシの右手も高々と突き上がるのだった。 ラストは怪我からの復帰があまりにドラマチックすぎて、ちょっとやり過ぎかなと思ったのだけど実話と聞いてもうびっくり。この世の驚異に思わず1点UP。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-20 00:45:07)(良:1票)
39.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ゾンビ、走っちゃった。禁じ手だったのに。「遅い」から怖くない、ということには皆気づいてはいたんだけど。おかげでサバイバル数値が一気にUP。“速さ”と“数量”で今作のゾンビは相当手ごわい。生き延びるための必死感、切迫感が実に上手く演出されている。向かいのビルの男性を救出すべく行った犬作戦の顛末や最終脱出のトラックを囲む信じ難い数のゾンビ。この圧倒的な画面でああーこのトラックの中にいたらワタシはきっと正気の栓が抜けるだろうなあと絶望的な気分になる。正攻法で怖がらせようという制作側の術中にすっぽりとはまってしまっている。 おまけに自死を選んだ彼を映すラストシーンたら悲愴な上に美しい。オレンジの陽に包まれて小さくなって遠ざかる彼、遠くから迫る奴ら、響く銃声。ああ、“ゾンビ”で感涙しているってどうなんだワタシは。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-24 01:04:27)
40.  シャーロック・ホームズ(2009)
ガイ・リッチーの思い切ったキャラ造形が、ロバートとジュードという適材を得て生き生きと動いている、そこが一番の魅力。“結婚するのー?”“まじで?”とワトソンにちくちく嫌がらせを仕掛けるホームズ。全く12才のガキのようである。楽しい。見るたびにかちーんと固まっている受難犬トレッドストーンも可愛い。そして音楽と美術、こちらも優秀。19世紀のロンドンを全身全霊をこめて再現したかのような見事さ。女性のドレスは優雅で、男性のスーツは化繊のてろてろ感の無い上質さ、ああ眼福でした。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-11 01:10:18)
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