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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1920年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐 《ネタバレ》 
二部から先に見て欲しいくらい。というか、二部の方が面白い。 亡き者の墓の前で建てられる誓い、フン族の王たちの蛮勇を利用する計画、黒衣は復讐の決意。普段は傷を負った兵士たちを励ますが、瞳の奥には復讐の炎を燃えたぎらせる。  従者が見てしまった真実、クリームヒルトもそれを見届ける。雪の下の土に眠る“愛した人”を布に包む。遠景で一行が去っていくショット、娘の決意を黙って見送るしかなかった人々の辛さ、楽器を城壁に打ち付けて憤りを表す。  出撃して突っ走る軍隊の疾走感。木の上から飛び降り、馬に乗り換えて迎う伝令のスピード。木の周りを裸で踊る子供たち、彼等に金を振る舞う兵士たちの気前の良さ。 蛮族の前で堂々と屹立するクリームヒルトの存在感!それを迎える蛮族のダンス。  ラスト50分、修羅場と化す酒宴。 密かに渡される武器、合図と共に切りかかる!弓矢の一撃、斧の投擲、二重三重の悲劇。 死者を弔いながら行進する人々、凄惨な殺し合いはエスカレートしていく。何度も押し寄せる群衆スペクタクル、死者を弔う暇もない、焼き討ち、パニックになり当たった矢を1本1本抜く姿。既に火はまわっているのに。 階段を駆け下り、崩れ落ちる瓦礫にまきこまれ重傷を負う者、燃えた瓦礫の中に消えていく戦士たち。滅びを見届ける演奏者。死者へのレクイエムは、阿鼻叫喚の地獄の中でどれほどの人間に届いたのだろう。サイレント映画だからこそ、その想像を掻き立てられる。 門の前で“待伏せて”いた男の一撃、“首”が無言で語る絶望・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:59:04)
22.  チャップリンの給料日 《ネタバレ》 
工事現場で働くチャップリン。下から放り投げられたレンガを上で見事にキャッチしまくる。 工事現場のリフトが絶妙なタイミングで上下する。それはチャップリンに食事を運ぶため。 カステラ?とフランクフルトのサンドって美味いのかしら。  笛の音でキッチリ作業を止める。後の「モダン・タイムス」にも繋がるような描写。  夫の給料が心配で見に来る恐妻。黙ってついてくる怖さ、ごまかしがバレる。嫁怖ー。フィリス・アレンのインパクト。  下水に杖を吸い込まれる、落ちるようで中々落ちない名人芸、たむろには水をぶっかけろ、たむろも傘で応戦。  死なないのはギャグ補正、酔って傘と杖を間違う、吊革とソーセージを間違える、バスが来た瞬間に待ち伏せでもしていたかのようにブワ~と登場する群衆に弾かれる。  靴も猫も飛ぶように去っていく、やっと寝られると思ったら朝になってしまい仕事場へ。トホホ・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-07 15:38:39)
23.  魔女(1922) 《ネタバレ》 
デンマークのベンヤミン・クリステンセンによる驚異的な作品。 今見れば恐怖はまったく無いだろう。終始ゆったりした展開で退屈に感じるかも知れない。ただその映像の凄さに酔えるか酔えないかだけだ。 冒頭からしばらく流れ続ける不気味な悪魔のイラストや解説。悪魔に対する歴史的考察は中々勉強になる。 そこからオムニバス形式で悪魔に取り憑かれた人間たちの狂乱の連続。 悪魔に誘われ犯されていく女性たち、サバトの醜悪な宴、気の触れた修道女たちの醜態・・・異様な光景の数々。 その異様さは何処かユーモアさえあるのではないだろうか。 特殊メイクによって作られた悪魔の造形も凄い。 魔女狩りや異端裁判といった中世の呪われた歴史も絡んでくる。 傑作だ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-28 05:43:08)
24.  港の女 《ネタバレ》 
まずは、本作品のページ作成に御協力して下さいました総ての人に感謝してもしきれません。誠にありがとうございます!! 「港の女」は最初晴れた空から始まる。そこから雨季に入り雨が延々と降り始める。神父とサディ・トンプソンの“闘い”のゴングを打ち鳴らすように。 外は雨が降り始め、ホテルの中はトンプソンたちの乱痴気騒ぎ。最初12分はトンプソンたちの狂乱で笑わせてくれる。そして12分が過ぎ、いよいよ神父とミス・トンプソン最初の“闘い”が始まる。 熱烈な信仰者である神父は、自堕落で他人の迷惑も考えないトンプソンを放っておけない。彼は悪魔的に騒ぐトンプソンの心が病んでいると思ったのだろう。今にも二人の怒声が聞こえんばかりの迫力。 そんな神父を殴りつけるのはトンプソンを愛するオハラ軍曹。 粋な登場をしたオハラだが、この作品も粋な場面がいっぱいある。 煙草で“キス”する場面とか、雨が降りしきる中でトンプソンとオハラが会話するやり取りとか、オハラがトンプソンをおぶって走る場面とかユーモアもたっぷり。これらのシーンは「雨」でも描かれていた。 特に雨どい?でウォルシュと会話を交わすスワンソンの表情が色っぽくて可愛いのなんのって。 しかしあのアルバム写真はなんなんだよ。首の取って付けた感じが酷い(笑)…その直後にオハラの元に届く“手紙”との温度差。 オハラが中々トンプソンの元に来れなくなると、今度はデヴィッドソン神父がちょくちょく来るようになる。神父はトンプソンを“善人”にしようと彼女に働きかけ続ける。 しかしどんな手もトンプソンには通じない。物凄い剣幕で神父を罵るシーンの凄味といったら! しかし神父も“奥の手”を使ってくる。コレには流石のトンプソンもタジタジ。さっきまであれだけ喰ってかかっていた彼女の狼狽振り。 トンプソンは厚化粧を止め、髪もおろして“おしとよかな”女性に変貌。デヴィッドソン神父もまた、そんな彼女の生まれ変わった姿を見てすっかり彼女に“惚れてしまった”ような素振りを見せる。 そして、自分の役目が終わった事も悟っただろう。彼はトンプソンと“最期”の会話を交わす…。 どうやらこの部分のフィルムは失われてしまっているようだ。フィルムはスチール写真と字幕のみで語られていく。終盤の大部分のフィルムも失われてしまっているのか。うーむ、ラストのフィルムが残っていないのが惜しまれる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-01-28 05:40:11)
25.  風(1928) 《ネタバレ》 
この作品のリリアン・ギッシュはとにかく可愛いく、美しく、怖い。  列車からはじまるファーストシーン。外は猛烈な風が吹き荒れ、ちょっとでも窓を開けようものなら風がビュッーと砂を撒き散らして人々に襲い掛かる。  列車におけるレティとロディの出会い、 レティを迎えに来た兄のビバリーとお爺さん。奥さんが牛の解体をする傍らレティとコーラの子供たちはとても仲良く遊ぶ。あたしがこんな仕事をやっているって時にこの女は…とでも言いたげな表情。だからってそんな血まみれの手じゃ子供じゃなくたって驚くわ。  ダンスパーティー、レティを誘惑するロディの再登場、コーラの嫉妬の爆発、そこにサイクロン(竜巻)まで来る。避難所が常設されている辺り頻繁に来るのだろう。西部劇で竜巻に襲われる作品は貴重。幸いな事に竜巻で被害は出なかったが、レティが悩む度に画面に映される風は絶えない。  レティはコーラの虐めに耐えかねて家を出る。そして何を思ったか近くに住む荒くれ者のライジと婚約。ライジは喜んでレティを受け入れるが、レティはまだライジに心を許す覚悟をしていなかった。衣服を脱ごうとするレティ、ライジは既に夫になっているので遠慮はしない、レティはまだ恥ずかし気な様子。いやもうちょっと遠慮しろよライジ…抱きしめる時もちゃっかり胸に腕を回しやがって(終盤)。  ライジは不器用ながらもレティの夫になろうと努力するが、心が中々通じない事に苛立ちを募らせる。レティもまた吹き止まない砂嵐で徐々に神経をすり減らしていく。  二人の心が通じ合わず距離が開いた様子を足だけで伝える。レティは太陽が照りつける熱さ、砂嵐に怯えてどんどん神経をすり減らす。めまいがし、風で家が揺れ、窓ガラスが割れ、その衝撃でランプが倒れて火が付く!火の熱か音かレティは正気に戻って慌てて火を消す。もう彼女の精神状態は限界。そんな時に再びレティの前に姿を現す衰弱したロディ。それを運んできたのは兄のビバリーとお爺さんだった。ビバリーもお爺さんも去ってしまい、回復したロディはレティを再び誘惑する。レティは相次ぐ風、幻影、好色漢のショックで気を失ってしまう。  翌朝。嵐は去るが風は依然強いまま。レティは昨夜の出来事を思い出し、去ろうとするロディに向って…。ここからが怖い。埋めた筈の者が風によって砂の中から顔を出す瞬間…ゾッとする場面。男が扉を開け、レティに向う…!
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-01-19 18:30:03)
26.  結婚行進曲(1928) 《ネタバレ》 
まずは、私が投稿した要望に加筆・修正をして下さった鱗歌さんに感謝してもしきれません。誠にありがとうございます。  本作は個人的にシュトロハイムの映画の中で一番好きな作品。 「愚なる妻」のコメディタッチ版とも言えるこの作品は、自ら騎士の甲冑に身を包むシュトロハイムの姿で幕を開ける。 いつも通りシュトロハイムは好色な貴族として登場するが、今回は若く純真な様子も覗かせる。空中から映される市街と人の群れ、群れ、群れ、教会を行進する人々の群れを捉えた優美なショット。その部分だけテクニカラーのフィルムとなる。 またこの映画は“指”も象徴的に映される。 娘を物色する指、嫉妬で往復ビンタを喰らわす女の手の指、結婚が決まり期待と不安で胸を膨らます心理を表す指、指、指。 美しい平民の娘に心を奪われるシュトロハイム。零落の限りを尽くす男は何人もの女性と関係を持つ。部屋に散乱した女の服が昨夜の情事を物語る。 わざと事故を起こし娘を病院に連れ込みキッカケを作ってしまう周到振り。猛犬を餌付けで買収するなど手馴れたもの。肉屋の男と花をめぐるやり取りは爆笑。 月夜の晩に花が咲き誇る広場のなんと幻想的で美しい事。 二人の男の間で苦しむ娘は、激しく流れる川の向こうに黒い化身の幻影を目撃する。 まるで彼女たちの運命を嘲笑うかのように、甲冑に身を包み彼女そっくりな女性を腕に抱えて去っていく。その姿は彼女にしか見えない。 シュトロハイムも金目当ての政略結婚は嫌なようだ。結婚相手くらい自分で選びたい。 美しきその娘もまた、昔からの知り合いである肉屋の男が度々ちょっかいを出してくる。無理矢理キスするものならツバを吐かれる始末。ただ、次第に粗暴ながら自分の事を思う肉屋に心を動かされかける。 ラストの雨が降りしきる中での結婚式。 短いショットの連続で緊張感を高め、祝福と殺意が飛び交う会場。ピアノを弾く手が死神のような白骨に変わる。 シュトロハイムは自らの運命を受け入れ、娘もまた身を引く潔さ。 だが涙は嘘をつけない。暴力的だった肉屋の男も、ようやく優しく彼女を励まし支えていく決意を固める。 冒頭のシュトロハイム扮する騎士は、幻想に出て来た黒い化身に代わり幕を閉じる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-01-02 21:36:05)
27.  結婚哲学 《ネタバレ》 
それぞれの夫婦がくっついたり離れたりする二転三転のストーリー展開で暴れ周り、ラストはキッチリ収まってしまう見事なシナリオで描かれるセックス・コメディ。 セックスといっても、直接的な描写をしなくともそのエロティックな仕草で魅せてくれるルビッチ。  小物を使った上品な笑いの連鎖もたまらない。 特に夫婦が握り締める“花”がその時々の喜怒哀楽を表現するのが面白い。 そういやスピルバーグの「E.T.」も“花”が印象的な場面があったね。花は生命の象徴にもなる。 他にも帽子とか、美味そうなゆで卵とコーヒーでとか・・・何処までも上品、何処までも哲学的。 色んな解釈が持てる非常に愛らしい作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:42:45)
28.  三悪人 《ネタバレ》 
フォードのサイレント時代における最高傑作。 「三悪人」は文字通り三人の悪党が暴れて身を滅ぼしていく映画だ。 中盤における馬の群れが一斉に飛び出す迫力を見よ! サイレントとは思えない凄い作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:32:49)
29.  忠魂義烈 実録忠臣蔵 《ネタバレ》 
「実録物」の元祖?とも言えるマキノ省三生誕50周年記念の作品。 生涯で実に400本以上映画を撮ったと言われるマキノ省三だが、残念な事に現存するフィルムは数本のみで、しかも1時間以上残るフィルムは「雄呂血(製作総指揮)」「忠魂義烈 実録忠臣蔵」と「百萬両秘聞」ぐらい。 息子の正博(雅弘)との共同作「浪人街」も総集編として1時間足らずのフィルムが残るのみだ。 幸いにも「百萬両秘聞」は前後半合わせて100分以上も現存する貴重なフィルム。コチラも是非とも見たい作品だ。 前・後編それぞれ1000円もしないので、とてもリーズナブルな値段で入手できる。 本作「忠魂義烈 実録忠臣蔵」は2時間以上にもなる当時としては大作だったらしいが、マキノ省三は作品の出来に不満を洩らしてらしく、フィルムも編集中の火災でネガの半分を失ってしまう。 残ったフィルムを何とか繋ぎ合わせ、終盤の討ち入りシーンも焼失したので急遽正博が撮影し直した。 そのため「忠臣蔵」の1時間ダイジェストという出来だが、終盤の迫力ある戦闘は凄まじいものだ。 出演に嵐長三郎、端役に月形龍之介や山本礼三郎など後の実力者たちも名を連ねている。 本作は古典的な「忠臣蔵」のストーリーを映画化。 大胆なカメラワークで迫力あるドラマを魅せる。 中盤の忠臣たちが一斉に抜刀して誓を立てる場面。 カメラでぐるりと収めるようなショットが面白い。 吉良を欺こうと女遊びにふける内蔵助。 女人衆が「うきまさ」または「うきはし」の文字を作る。 つまらなくもないし、特にこれといった突き抜けるほど面白いというワケではない。 ただ終盤の戦闘。 正博が撮り直した場面だが、吉良邸に押し入る浪士たちの群れ、一斉に白刃を抜き討ち入る迫力は凄い。サイレント特有の超高速戦闘。 目にも止まらぬ速さで刃を交わせ敵を斬り倒していく。 修羅場と化す吉良邸、偽装工作と動かざる「額の傷」。 ラストシーンはフィルムの都合もあると思うが、あえて橋の上を渡る浪士たちの後ろ姿で締めくくる場面が良い。 逃れられぬ死の運命・・・最後まで戦う事を選んだ男たちの“死の匂い”を感じた。 今でこそ「忠臣蔵」は史実より脚色された「虚構」であり「神話」状態だが、主君の無念に体を張って応えた義侠心は捨てがたい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-14 21:11:40)
30.  キートンのスケアクロウ(案山子) 《ネタバレ》 
キートンは短編でも「文化生活一週間」といった傑作群があるが、本作「案山子(The Scarecrow)」もアイデアに満ちたそんな傑作の一つ。  太陽が昇り、虫歯に悩むキートン、それを見つめる太目の相棒。 相棒はキートンの虫歯とドアノブを繋ぎ抜こうとするが・・・この変のやり取りからして面白い。  その後の“朝食”シーンは笑いよりもそのアイデアの豊富さに脱帽。  レコード盤は朝食を焼くガスになり、上からはティーバックや塩やこしょうのオプションが降り注ぎ、ベッドはピアノに、イスは農場への肥料や水を運ぶ注ぎ口となる。  バターといったものも専用の“車”に入れられ移動し、酒瓶もヒモによって宙を飛ぶ。 「海底王」でもこれに近いギミックが後半出て来た。やっぱりキートンのアイデアは面白いし、見ている方も凄い楽しい。  後半はそんな家のアイテムを活かすシーンが少ないのだが、それでも農園の娘をめぐる父親とのやり取り、“狂犬”との追いかけっこが父親やキートンの事を思っていた相棒すら敵に回して大騒動、娘さんのバレエの真似をする可愛らしさ、家の内部での騒動も激しい出入りで3回に別けて脱出口を開いたり、藁の山に揉みくちゃにされてシャツとパンツ一枚になるキートン、怪我が絶えず不憫な相棒、“案山子”になって追っ手を交わすやり取り(その案山子から酒を拝借)、逆立ちで河渡り、“馬乗り”失敗、盗んだバイクで走り出し神父もかっさらってウォータースライダー張りの飛び込みで求婚とジェットコースターみたいな詰め込まれ振り。 車が一瞬いなくなった瞬間をすり抜ける時のスリルも地味に怖い。  家でのやり取りをもっと見せて欲しかったが、それを抜きにしても充分すぎる傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 05:38:01)
31.  朝日は輝く 《ネタバレ》 
溝口健二の初期のサイレント作品。  これは元のフィルムの四分の一しか残っておらず、「東京行進曲」同様ダイジェストみたいな作品だ。  光の洪水から始まるオープニング、 電光掲示板でタイトルを出す斬新さ、 新聞と地球儀の数で月日を表す、 当時としては珍しい空撮映像、 新聞を製造する機械のうなりが聞こえるよな映像とかなり凝った実験的な作りだ。 完全に朝日新聞の宣伝ですハイ。そっちの「朝日」かよ!  溝口健二も結構職業監督というか、国の政策で幾つか映画作ってたんだな。 こういう映画と他のサイレント映画もいっしょくたに国が管理してくれていたらよかったんだがなー・・・残念だ。  戦争みたいな映像や関東大震災後の東京をチラリと映す。 それを新聞の記事として執念で追う記者たち。 記者にとっては大事な仕事、ただ一般人には邪魔だよな。 それでも記者は命懸けでネタを追う。 船の事故の時も「後でたらふく助けるから先にネタをくれ」だ。 図太いんだか白々しいんだか。  あっという間の25分だった・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 21:20:33)
32.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
ムルナウというと「サンライズ」や「ファウスト」「最後の人」といった素晴らしい傑作を残してくれた監督で、この「吸血鬼ノスフェラトゥ」もまた退屈というものを感じさせてくれなかった。・・・しかし正直感想は微妙だ。 久しぶりに「今見ると大したことないな」という映画だった。 自分でもビックリだ。 これまで豊作続きだっただけに、尚且つ上で述べた作品で感動しただけムルナウだけに今作はちょっとガッカリと言えた。 ブラム・ストーカーの原作を下敷きに、ヘンリック・ガレーンといったドイツ映画家たちのアレンジを組み込んだホラー映画。 名前のアレンジはモチロン、ねずみ男のような不気味な風貌(実際ねずみだらけ)、原作とは違った結末など普通の吸血鬼映画ではない。 むしろブラム・ストーカーの世界観をまともに映画化したのがトッド・ブラウニングの「ドラキュラ」辺りからだったし、それまではカール・テドア・ドライヤーの「吸血鬼」みたいにまったく別物の吸血鬼映画が量産された。 屋敷までのやり取りが40分もあるのは展開の遅さを感じた。丁寧すぎる印象を受けた。 つうか馬車のスピード早すぎバロス。 原作にある程度沿ったストーリー、ただ少し違うのがヒロインだ。 原作は伯爵がヒロインを誘惑する。 ただ今作は「かかって来い」と言わんばかりに伯爵を呼び込む。 食虫植物の授業をする教授も真っ青なくらい。 つうか教授がマジで使えねえ。杭を伯爵にねじ込むとかそんな能動的な事はまったくと言って良いほどしない。 「血は生命なり!血は生命なり!」と叫ぶ伯爵の部下はいつも通り。ハゲ具合も教授と双璧だ。 いやー次から次へとブラム・ストーカーのファンが発狂するようなシーンばっかりだね。伯爵のハゲ具合とか。 自分の棺桶を一生懸命に運ぶ伯爵が面白い。 墓場が並ぶ海岸とか、崩れそうな古屋、影、吸血鬼=ペストとなって押し寄せるという演出も不気味だ。 ラストはぶったまげた。 何せヒロインが「身をもって」伯爵を誘い込む。 己の肉体と引き換えに伯爵を消し去る・・・こういう「ドラキュラ」もアリだと思った。 コッポラの「ドラキュラ」なんかヒロインみずからドラキュラ殺りに行くんだぜ? 凄すぎてドン引きしたよ(監督を)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:17:38)
33.  東京行進曲 《ネタバレ》 
溝口健二の初期のサイレント映画。  当時の東京の様子を上空から拝めるのは大変貴重だが、このフィルムも四分の一にまとめられたダイジェスト。 残りのフィルムは何処へやら。  溝口らしいといえばらしいが、普通の普通の作品。 たった25分だけでもそれが解る。  印象的だったのが、後ろの兜の影と男の影が重なり鬼のようになる場面。 そこに思いをよせる女の表情を重ねる。 これぐらいかな。  後はなんだかんだ言ってハッピーエンド。 船に乗り込み旅立つ・・・・てやっぱり船が出てくるのか。  溝口だな~。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-03 23:33:08)
34.  アンダルシアの犬 《ネタバレ》 
何を考えてんだかわけがわからない、でも何故か飽きないそんなブニュエルと言えば「アンダルシアの犬」。  個人的にブニュエルは「ビリディアナ」や「忘れられた人々」等メキシコ時代の傑作群で一目置く存在だ。 「よくこんな変な映画撮れるよ」と首を傾げながら拍手しちゃう監督だよ。  が、フランス時代の「アンダルシアの犬」はサルバドール・ダリ×ブニュエル・・・考えうる限り最高に意味不明な投げっぱなし映画が産まれないワケが無い。 ある意味映画を芸術(よくわからないけどとにかく凄いんだろうな)にしちゃったコンビです。 犯罪レベルで偉大な二人だ(きっと褒めてると思う)。  シュルレアリスムをテーマにした映画はジュルメール・デュラックの「貝殻と少女」を皮切りに マルセル・レルビエの「人でなしの女」、 ジャン・コクトーの「詩人の血」、 日本でも衣笠貞之助の「狂った一頁」などがある。 が、それよりも遥かに難解を極めた作品がブニュエルの「アンダルシアの犬」なのだろう。  映画は芸術?娯楽? 無論娯楽以外の何者でもない。 「映画=映像、無粋な言葉はいらない」という考えには大いに賛同する。  ただ、ストーリーを重視する俺は映画の芸術性や美しさというものは自然に生まれる存在だと思っている。 ダリやブニュエルも「自分の夢を映画にしたら面白いだろう」という発想からこの映画を作った。 だってブニュエル本人が剃刀男を演じてんだぜ? 100%本気でふざけています(褒めてる)。 ダリもそんな格好で何してんだwww  悪夢、手、乳揉みと後のブニュエル映画の要素が揃った短編。  眼球ぱっくり、 謎の手首、 虫がたかるほど臭い手、 おっぱい揉んで吐血、 謎のピアノにロバの死体、 掴んだ木の板を銃に変える謎能力、 脇ツルツルで感動、 とりあえず砂浜・・・意味不明すぎる。やりたい放題すぎだろ・・・(乳揉みも)。 凄まじい嫌悪感、病みつきになると抜け出せない魅力・・・それがルイス・ブニュエル。 「黄金時代」も酷い映画(賛辞)だったよ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-01 20:28:24)
35.  偽牧師 《ネタバレ》 
チャールズ・チャップリン短編時代の傑作の一つ「偽牧師」。  この「偽牧師」は「黄金狂時代」の前に撮られた西部劇の要素を含んだコメディだ。  チャップリンは「移民」や「犬の生活」辺りから優しさのにじみ出る映画が増えてきたが、本作はそんなチャップリンがブラックだった頃の面影を感じさせる。  今回のチャップリンは脱獄囚。  何で捕まったのかは知らないが、お腹が空いてホットドッグでも盗んだ(「犬の生活」)か、無銭飲食(「モダン・タイムス」)か、女性関係のもつれ(私生活ノンフィクション)で豚箱に入れられたかどれかだろう。  それよか下水道から脱走しただって!? 新聞にそう書いてあった。 後の「ショーシャンクの空」である(違います)。  そんでチャップリンは牧師の服を拾って偽の牧師と化す。  しかし運の悪い事に本物の牧師と勘違いされてチャップリンは街に居座る事となる。  教会でやりたい放題自由奔放なパフォーマンスを演じるチャップリン。  聖書を見て「宣誓!」の場面は爆笑したわ(裁判についての詳細はビリー・ワイルダーの「情婦」かシドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」辺りが解りやすいかな)。  踊って、笑って、騙してバタバタ・・・「黄金狂時代」への布石が散りばめられた44分間。  でも流石に帽子は食えなかったか。  泥棒仲間との再会でギクリ、スピーディーなスリ合い、「牧師」から「紳士」への早変わりなど見事としか言えない。  ラストが実にチャップリンらしい締めくくりだ。 ありがとう保安官。どうせなら銃撃戦の無い場所でほっぽってくれれば良いのだが・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 20:13:23)
36.  思ひ出 《ネタバレ》 
サイレント時代のエルンスト・ルビッチ最高傑作を1つ選ぶとするなら、俺はこの作品を選ぶだろう。 ドイツ時代に磨かれたエレガンスな雰囲気とエロティックなやり取り、そしてメロドラマの切なさ・・・。 この映画はルビッチらしい洗練された美しさを味わえる作品の一つだ。  主人公のハインリッヒ王子の成長を美しい“想い出”と共に語る悲しき恋の物語。 乳母に育てられた王子。 彼の理解者であるユットナーは、幼い王子の遊び相手でもあった。  成長した王子は同級生、そして想いを寄せる女性たちに出会う。 そのシーンが本当に素晴らしい場面ばかりでさあ。 例えば、握手を求められるシーンでどんどん弾き出されるユットナーの様子がコミカルに描かれるし、  女性が一生懸命話しているのにソッポを向く王子のやり取りも面白い。 「あたしの膝の上に乗って」とばかりにベッドに誘ったりする彼女の姿をシカトするシーンに笑う。 そこに睨みを利かす守衛とか色んな人間が絡んだりしてさ。 ドアを開けたらその守衛みたいなオッサンが居たりして思わずクスとなってしまった。  王子がパーティーに参加する場面でも、彼女が一気飲みするならこっちもイッキに・・・に飲めないのでチビリチビリと飲んでいく。   王子の幼少時代の場面も良いんですよ。 将軍に向って一斉に「乾杯!」するシーン、一斉に帽子を脱ぐシーン。 ドラムロールと人の脚が重なる演出、幼いハインリッヒ王子が大砲の音にビックリして電車の中に戻るシーンがカワイイ。 ユットナーと結ぶ絆も深い。  青春時代のコメディタッチが、その後に待ち受ける王子の運命、それに向き合う悲しき王子の姿をより際立たせる。 掛け替えの無い友人たちよりも、一国の王の跡取りとして友人たちへの想いを断ち切らねばならない哀しみ。  だが、王としての孤独を癒すのは、一瞬でも彼の心を満たしてくれた想い出なのです。 皆さんも若いうちに良い友達に会える事を祈ります。友人て良いもんですよ、本当。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:49:12)
37.  海底王キートン 《ネタバレ》 
いやーこんなアイデア満載で面白いのがまだあったとは。  発想に次ぐ発想とはこの事。  最初は少し淡々としているが、徐々に次から次へと事件が起こる面白さ。  “煙草”で出会う男女二人(頭に落ちてたらシャレになんねえ)、  缶が開かねえ? ナイフ、包丁、ドリル、あーあー貴重な食料が。  しかし物がどんどんブッ壊れる話だな。 食料→服→トランプ→船 キートンよトランプに何の恨みがwww  窓から覗く“男”が怖えー。  蝋燭?ダイナマイト!?  チャップリンの「移民」も揺れればこっちも揺れに揺れてイスをドボーン。  船内生活も慣れてくると快適だ。 ボイラー室?がベッドで缶きりも料理もピ・タ・ゴ・ラ・ス・イ・ッ・チ♪  あちゃー船が座礁だー。 おーっと、都合よく置いてある潜水服!何とご丁寧に取り扱い説明書まで!!行き届いてるわ~。  セットがいつも以上に豪華でワロタ。流石キートン。なんたってさらに“船”も“火砲”も“ロケット”まで出てくるんだから。  潜水服でタバコ吸うなよ(笑) 今回どんだけアホな回なんだよwww  当時ガチで水に潜った偉大なる先駆者の一人キートン。当時は超危険だったから、中に潜るだけで4週間かけたんだと。最高の役者馬鹿だぜ。  「危険です」 誰も行かねえよ!  キートン「あー修理がキツイ。猫の手も借りたいなー」  ロブスター「おい小僧!」  そしてカジキ、地元民とのスキンシップ(海戦)もルンルン。  船上での戦いが凄えぜ!馬鹿のバーゲンセールだ!!  行くぞ戦艦キートン!  潜水服=イカダ。  それにしたって海から現れるキートンのカッコ良さは以上。 ヒロインを助けるときも無駄に。あらやだ超カッコイイ・・・。 肺活量パネエー。  水抜きは切腹が一番。  しかし女というものはどうしてこう濡れると色っぽく(ry  最後の最後まで発想の勝利に次ぐ発想の連続、ツッコミが追いつかねえ。  お腹いっぱいで大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-29 22:48:39)
38.  知られぬ人 《ネタバレ》 
「フリークス(怪物團)」に先駆けた傑作。 生まれ付き“ある筈のもの”が無く、普通の人間とは違う生活を強いられてきた者の哀しみと怒り。  「フリークス」はそういう者たちの怒りが刻まれた傑作だったが、この作品は“ある筈の無い”苦しみを抱えた男の物語でもある。 どうころんでも文字通り自分を“締める”話は見ていて辛い。 「フリークス(怪物團)」はまだ、何も隠さなずありのままの自分たちを他人に堂々とさらして力強く生きる人々のドラマがあった。 が、この話は隠さなければならない不安と、ソレが後に大きな伏線となってくる演出の見事さが加わっている。  ブラウニングの演出には一切よどみが無く、クライマックスまで一気に見てしまった。  とにかくロン・チェイニーの怪演、そしてジョーン・クロフォードの眩いばかりの可憐さに尽きる傑作。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-05-21 18:58:47)
39.  港々に女あり
いやあ、こりゃ本当に楽しい映画だよ。 「女あり」ってタイトルだからルイーズ・ブルックスの魅力を堪能する映画・・・かと思ったらヴィクター・マクラグレンたち船乗りが泣いて笑ってド突き合って仲直りするという楽しい映画でしたよまったく。 流石ホークス、この頃からドッカンドッカン見せてくれる。  ルイーズ・ブルックスのキャラと、ホークス特有の女性の個を尊重する演出が上手くハマッている。余計に魅力的な女性像になっているぜ。 こりゃアメリカで勇名を轟かせるよ。やっぱホークスは女を発掘する達人だね。楽しい一時だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:27:43)
40.  ナポレオン(1927) 《ネタバレ》 
こりゃ驚いた。 サッシャ・ギトリの「ナポレオン」とタメを張れる・・・いやそれ以上の傑作だ。カーマインの音楽も素晴らしい。 フランス革命後の波に載って皇帝にまで上り詰めたナポレオン。 前半部分のナポレオンは差別や嫉妬、上司とのトラブル等に耐え、自己研鑽を続ける若き士官として描かれる。 この頃は野心に満ち好機を待ち続けた“兵士”だった。  嵐を乗り越え、議会の混乱を乗り越え、ギロチンに消える貴族たちを眼に焼き付けて・・・。  それが後半になると、様々な政治的困難に直面する“政治家”としての側面も見せてくる。革命で暴徒と化し自由を求めて歩む民衆を見て、ナポレオンは嬉しそうに笑みを浮かべる。 下積み時代の自分と民衆を何処か重ねてみているようだ。  そんな男が民衆の頂点に立ったと思ったら、最終的には民衆から命を狙われるようになってしまう・・・皮肉なものだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:16:44)
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