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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  スター・ウォーズ<特別篇> 《ネタバレ》 
~A New Hope~新たな希望。“original trilogy(元祖・三部作)”だそうだ。 公開版と見比べるとOPテロップがかなり変わってた。いきなりローグ・ワンの活躍が語られて涙を誘う。'77の映画が、未だにキャストを一新してのリメイクをされること無く、40年以上たった今も、オリジナル設定、オリジナルキャストを活かしたままアップデートされてるのが凄い。こんな息の長い、拡張性の高い映画作品も他に思い付かない。 今回短期間に新旧両方を見たけど、旧作の特撮も充分に綺麗だなと思った。特別篇は古い特撮部分を当時の最新CGに置き換えたものだけど、オープニングのスター・デストロイヤーなんて、手を加える必要ないんじゃないか?って出来だし、ヤヴィン4を飛ぶX-ウイング編隊は…まぁ、公開から20年の技術の進歩は素直に認めるけど、思った以上に味があった。 特別篇はEP4が一番手を加えられてるかもしれない。新規追加はモス・アイズリーのドロイド、ジャバ・ザ・ハットとボバ・フェット。旧友ビッグスとの会話辺りか?タトゥイーン砂漠の龍みたいな骨とか、新規追加かと思ったけど、古いのにも出ていた。正直言って、ボツ映像だったビッグスとの会話以外は蛇足かな。技術的に出来ることと、作品として入れるべきものは違うんじゃないかと。 R2-D2の喜怒哀楽が伝わるビープ音。デス・スターのレーザー発射までの不安感を煽る音。砂漠だけにホコリまみれの服。宇宙のトルーパーは綺麗だけど、タトゥイーンのトルーパーは汚れてる。優勢な帝国軍はピカピカだけど劣勢の反乱軍のX-ウイングは煤だらけ。このリアル表現は公開当時からのもので、作り込みの細かさ、設定に対する制作側の熱意が感じられる。  EP4は他のシリーズより冒険活劇の要素が強く、レイア姫が銃を持ってグイグイ進んで、男顔負けの活躍をするとか、ゴミ粉砕機の潰されそうな感じとか、ハンが締まりそうなドアをくぐるとことか、観せ方が上手い。今回気がついたけどルークがレイアとターザンロープ(?)するシーン。あのワイヤー、トルーパーのベルトの装備なんだな。…あんなの普段何に使うんだろう? ハン「遅いぞ!」レイア「旧友とバッタリ…」既にもうSW。そして密かにアナキンとルークとレイアが同じ場所に大集合。 ルークとレイアが初めて会う時ルーク「スカイウォーカーです、助けに来ました」レイア「…だれ?」親子とか兄妹の設定って、当時は無かったんだろうな。 ここから戦争映画。ブリーフィングの緊張感、ローグ・ワンが繋いだ小さな希望。猛スピードで狭い溝に突入するスピード感は、ジェットコースターに匹敵する凄いアイデア映像。最後エースのウェッジでも先任のビッグスでも無く、なんで新兵のルークが小隊長代理なんだろう?たぶんプロトン魚雷積んでるのがルークだけだったんだろう。 公開当時からだけど、今回の映画とは直接関係のない、クローン戦争とか元老院が永久解散とかのキーワードも結構出てきてた。本作でルークはまだライトセイバーを使わない。ベイダーとの直接対決もない。壮大なシリーズの第一作として、なかなか思い切った引っ張り方だと思った。
[映画館(字幕)] 10点(2021-09-13 00:56:39)(良:1票)
22.  スター・ウォーズ 《ネタバレ》 
~STAR WARS~星!戦争!。 わざわざ訳す必要がないくらいシンプルなタイトル。世界中誰でも理解できる、絵文字やピクトグラムに匹敵する単純な組み合わせ。 “遊園地の代わりに家族みんなで観に行く劇場映画”。 ストーリーは子供でもわかる勧善懲悪のシンプルなもので、大人も満足できるジェットコースターに匹敵するアトラクションとして、家庭用の小さなカラーテレビでは体験できない、迫力の映像と音響を満足できる劇場映画の誕生。当時体験した人は大興奮しただろうな。  私のSWデビューは、水曜ロードショーのテレビ初放送だった。名前と存在だけは知っていた話題の映画。 それがいよいよ放映される。ただ我が家では“次の日学校がある時は、子供は22時に寝る”というルールがあった。けどその日は20時から前倒し放送だったから、最後までは無理でも、かなり後半まで観られるぞ!とワクワクしてTVの前に座ってたっけ。 C-3POとR2-D2がテレビ局をウロウロして芸能人と話をするという、どうでも良い内容がダラダラと続き、いつまで経っても始まらない本編にだんだんイライラ。結局本編が始まったのは21時くらい。せっかくのアドバンテージも台無し。大人って酷いことするわ。 それでもワクワクしながら視聴。OPのオーケストラとともに流れ行くでっかいタイトル。宇宙、星…そして画面上部を覆い尽くすスター・デストロイヤー!!「ぅわあーーーーー!!」って叫んでた。いま、目の前で凄い事が始まった。今まで生きてきた中で考えた事もないことが起こった。 あとはもう流されるまま…圧倒的な数の敵兵。砂漠を歩くロボット。用途の解らないロボットいっぱい。双子の夕日の美しさ。ホバーカー浮いてる。サンドピープル怖い見た目怖い。ライトサーベルの音カッコイイ。ガンダムのビームサーベルと全然違って熱そうでカッコイイ。お父さんたち(叔父叔母)が骨に。変な宇宙人いっぱいの酒場。ワープで星が流れていく。さぁ、お姫様を救いに宇宙へ! 「ちょっと、何時間見てるの?いい加減寝なさい!」これからって時にタイムアウト。 え?ちょっ!待ってママン!ってかお母さん。いま、大変なんだから!宇宙が!お姫様がっ!!  抵抗虚しく私のSWデビューはここまで。22時以降も起きていて良い兄は続きを観てる。悔しい… 次の日兄に『あの後どうだった?』って聞くと「う~ん…お前が寝る辺りまでが一番面白かったよ」と、いま思うと気遣いある回答を貰ったっけ。 この時は最後まで観てないけど、映画ってこんな凄い事が出来るんだって思った。このSWがキッカケで、私はマニアックな映画の見方をするようになったのかもしれない。最初のSWのストーリーなんてオマケもいいトコ。頭を空っぽにして映像と音と世界観を楽しむ映画。  今回SWシリーズを観直すに当たって、旧3部作を観てから新3部作、ローグ・ワンを挟んで旧3部作の特別篇を観ている。劇場版と特別篇がセットになった、昔のお得なDVDだけど、収録されている劇場版は“Episode IV - A New Hope”が付けられる以前のものだった。
[地上波(吹替)] 10点(2021-09-13 00:50:58)(笑:1票) (良:1票)
23.  ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
~Rogue One~はぐれ者(のひとり)。 他の中隊はゴールド2とかレッド5とか『色+数字』で名付ける法則があるみたいだけど、咄嗟に嘘を言うボーディ(帝国軍人)はそんな事知らないから“Rouge1”でなく“Rouge one”。 Rougeは他に“人を騙す”って意味もあるそうな。あと“反乱者”って意味もあるそうだから、EP5のローグ中隊は帝国から敗走中の状況から、本来そんな意味で付けたのかもしれない。だけど本作の主人公たちにもぴったりなネーミングだ。  SWシリーズ初の本格的なスピンオフとして作られた本作はEP4の前日譚、EP4のオープニングで、ほんの数行語られたエピソード。 旧3部作に思い入れが強い私には、まさに待望の作品。X-ウイングの活躍。AT-ATウォーカーとの白兵戦。迫力ある艦隊戦。ゲームの世界や、頭の中で想像するしか無かったSW登場兵器が、今の最新技術で映像化されている。デス・スターの破壊力がこれほど恐ろしく描かれたのも本作が初で、まさに最終兵器というヤバさが伝わってくる。ターキン提督、ゴールドとレッド各中隊長。モン・モスマ。EP3より年齢を重ねたベイル・オーガナまで。シリーズにしっかりと繋がる登場人物たちの配置の仕方も上手い。 後半のスカリフ戦からの畳み掛ける展開は、終始胸アツの鳥肌モノ。歩兵目線でAT-ATウォーカーを見上げる怖さ。劣勢の中ブルー中隊が来てくれた時の安心感。真ん中が空いたウォーカーの、あの薄いとこ撃ちたい感。ハンマーヘッド・コルベットのあまりに男らしい戦い方。沈むスター・デストロイヤーの重厚感。CGで何でも作れる時代だけど“観たいと思うものを見せる”のは結構難しい。この作品は本当によく練られてると思う。  最後に抱き合うジンとキャシアンが、最初観た時(?)だった。この2人に恋愛要素なんてあったっけ?と。 2人とも幼いときに両親と離れて、頼る相手もなく、自分が生きるために色んな悪事を働いてきた。ゲイレン暗殺は軍の命令だけど、お父さんを助けたいジンの気持ちがわかるから、キャシアンは撃てなかった。 ヤヴィン4出撃前に「最悪のときはいつも独りだったの」と言うジンにキャシアンは「welcome home(おかえり)」と返してた。あぁこの時から2人は、お互いにとって家族なんだ。やっぱりSWだから、本作も親子、家族の話なんだ。 「誰かに届いたかなぁ」「きっと誰かに届いてるわよ」 父親が残したデータは送信した。けど結果はわからない。もう生きて帰れないし、自分たちを待つ人もいない。2人の短い会話に涙が出た。 キスをするでもなく見つめ合い、恋人繋ぎをするでなく手を繋ぎ、そして親と再会した子供のように抱き合う。 そういうことだったのかって、自分の中でやっと納得しました。  フォースも使えない普通の人たちが、多くの命を犠牲にして繋いだ小さな希望。希望のための戦いは宇宙でも続く。スター・デストロイヤーに衝突して砕ける輸送船。劣勢の中、旗艦を守るため盾になる護衛艦。こういうシーンをサラッと入れようなんて、よく思い付くわ。 ダース・ベイダーの圧倒的な力は、シリーズ随一と言って良いくらい強くて怖い。脱出を諦め、手から手へと渡される希望。そして最後のサプライズ、若いままのレイア姫には驚いた。CGで何でも作れる時代なのに、思わず「おぉっ!」って声が出そうになった。 EP4、A New Hopeのオープニングに直結するエンディング。観た直後すぐにEP4を観たくなる。最高の完成度と、満足度の高いスピンオフ。
[映画館(字幕)] 10点(2021-09-10 15:48:00)
24.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 
大好きで何度も観てしまう映画。 公開当時は月に何度か映画館に通っていて、その際に千と千尋のCM(オープニングから両親が豚になるまでの冒頭映像)を観て、『宮崎監督、今度はオカルト映画を作ったのかな?』と、その世界観と、今までとは違う“美少女じゃない”主人公に引き込まれた。この時点でもうこの映画が好きになってた。 過去の経験から宮崎映画は子供連れが多い。今回レイトショーを選んで正解だった、静かに鑑賞できた。  日常の風景から早々に知らない世界に放り投げられる感。ナウシカもラピュタもそうだけど、架空の世界を作らせたら宮崎監督の右に出る者がいないと思う。 日本が舞台なだけに、初めて見るけどどこか懐かしい飲食店街。現実にありそうでない油屋の建物。山形の銀山温泉、群馬の四万温泉、愛媛の道後温泉、台湾の九份…ズバリここです!って場所がないぶん、却ってあっちこっち温泉地や繁華街から、良い意味での既視感が感じられ、日本の文化って、良いなぁって再認識させてくれた。※油屋の湯は沸かしの薬湯っぽいから、温泉じゃないと思うけど、ちょうどこの頃温泉ブームだったね。 八百万の神ってのも良い。見た目が怖かったりするけど、大根やひよこが神様っていう日本古来の神に対する考え方は、最強だったり奇跡を起こしたりの海外の神様と全く違って、発想がほのぼのしてて、穏やかだなぁ。たぶん私の根っこの部分がすごく共感したんだな。  「ここで働かせてください!」「私のことはハク様と呼べ」「おめぇ良くやったなぁ!」建前と本音、上司という存在、職場の友人…遊ぶための小遣い稼ぎのバイトではなく、生きていくために働くこと。私自身が社会に出て間もない頃だってのもあって、温々した学生生活から、突然社会に自分を合わせなければいけなくなった千尋の気持ちがよく伝わった。 初日震えながら知らない部屋の布団に入る千。後日その部屋で肉まん?を食べる千。自分の家じゃないけどホッと出来る部屋になってるのが良かった。そう、休憩室とか食堂とか、会社でホッと出来る居場所って大事なんだよ。 千の気持ちになって物語を楽しんだけど、失敗しながらも自分の力で努力する千と、何も積み重ねてないカオナシ。こういう中身のない大人いるよな…一歩間違えると私もカオナシだ。それと同時に自分の居るべき場所って大事だなって思った。カオナシはひとまず銭婆のもとに行けてよかった。 最後に湯婆婆を「お婆ちゃん」と呼ぶ千尋。退職した怖い上司が、ただのお爺ちゃんになっていたのを思い出した。社会の仕組みはどこも似たようなものでも、会社の関係は所属中だけのもの。あんな怖い湯婆婆も、外から見ればただのお婆ちゃんなんだな。  なんかすっごく話が反れてしまってるけど、仕事で辛い時、ここで頑張ってる意味を再確認したい時とかに観たくなる映画。 で、観た後は温泉行きたくなるんだよなぁ。
[映画館(邦画)] 10点(2021-08-09 22:23:50)(良:1票)
25.  ターミネーター2/特別編 《ネタバレ》 
~『ターミネーター2』のつづき~…続きってほどでもなく、単なる追加。  T2はLD発売当初に買ったけど、2年ほど前に買ったDVDが特別編で…ありゃりゃ、初めて観たかも?追加シーンの幾つかは知ってたのに、観た印象がない。これだけ大好きで数十回は観た映画なのに、私の中で公開版のアレで完璧だったから、何も足したり引いたりする必要性を感じなかったんだな。だから、たぶん今まで特別編を観てなかったんだわ。  印象的な追加映像…サラが毎日見る審判の日の夢。カイルが出てきたのは嬉しいけど、これを毎日なんて、まさに悪夢ではないか。未来の公園で子供と遊ぶサラは、良い歳なのにまだバーガー屋の制服を着てる。逆に言えば、そんな夢のない未来しか描けないほど、当時のサラの精神はボロボロだったんだろう。食事中ジョンに話しかけられても放心状態だったり、ダイソンに突然出産と兵器開発の違いを語ってジョンに咎められるとか、結構病んでるのがわかる。 リッチなダイソン家…まぁ、そこを掘り下げてもだから、カットもわかる。 T-800のチップ破壊未遂…特撮技術は凄い。これをカットするキャメロン監督の思い切りの良さも凄い。 T-800の笑顔…これは面白かったけど、公開時に入れていたら、コメディの印象が強くなりすぎたかも? 壊れていくT-1000…最初パトロール警官で登場したT-1000は、中盤からヘルメットとサングラスの白バイ警官に擬態。最後の工場では上半身はパトロール警官、下半身は白バイ警官になってた。受けたダメージの影響で、パーツが欠損していくんだろうか? ここまでは公開版も一緒だけど、特別編では手足が地面や柵と同化してしまう“エラー”が再現されていた。これらのシーンは弱点の無さそうなT-1000も弱ってきてる印象を与えるのと、サラが2人になった時、足のエラーで偽物を見分けたりと、公開版に入っていても面白かったかも?  上映時間がちょっと長くなったけど、面白さは遜色ない。だけど特別編を観たら、わざわざ公開版を見る必要性がなくなる気がするから、初見はぜひ公開版を。2度目以降は特別編での鑑賞がオススメ…って、こんなネタバレ・レビューで書いても意味ないか。  特別編とは関係ないけど、1のサイバーパンクな音楽に比べ、2の音楽は重々しい。なのに最後、ガンズンのハードロックが流れる。好きなバンドだけど、映画の世界観にはいまいち馴染めてない感じがして、そこだけちょっと引っ掛かってて、LDで観てた頃は歌の前に再生止めてたわ。今では歌も含めて好きだけどね。
[DVD(字幕)] 10点(2021-08-04 00:19:27)
26.  ターミネーター2 《ネタバレ》 
~JUDGMENT DAY~最後の審判の日。 一番好きな映画の続編という事で、2が公開されると知って、期待と不安の両方があったな。 期待出来たのは、引き続きキャメロン監督。更に、あのエイリアン2の監督だから、続編創りは上手いだろう。という一点。そんな期待以上に前作で『主人公が死に、サイボーグを倒したサラが、人類滅亡の嵐に向かって行く』という完璧な終わり方をしたので、続編は必要無いと考えていた。 それとキャメロンの前作『アビス』が、良い映画だけど自分的には満点の出来ではなかったので、T2も合格点、まずまずの出来で終わるんじゃないかなぁ?という不安があった。 『どんな出来でも、私が一番好きな映画を作った監督の作品。応援しなければ!』という変なテンションで、事前情報は極力入れずに向かった映画館。今は無き東宝日劇で初日に観賞…  あのドン臭い女子大生のサラが、強い意志と引き締まった身体、感情むき出しの表情で登場してビックリ。この作品に賭けるリンダの気迫を感じた。サイバーダイン社でSWATから逃げる時、天井に銃を連射する姿勢の格好良さ。物陰に飛び込んだ時、足で棚を蹴る受け身の取り方。役者さんというより訓練を受けた傭兵のように美しかった。 実年齢より大人びた不良少年のジョン。だけどどこか繊細で、守ってあげたい感が母性をくすぐる。笑顔の裏に影を感じるところがカイルの子って感じで、他に考えられないくらい、ジョン・コナー少年だった。 そしてまさかターミネーターが味方になるとは。これで驚けたのも、事前情報を入れてなかった功績。テーマソングのガンズ・アンド・ローゼズに掛けたであろう、薔薇を踏み潰しての登場、華麗なウィンチェスターのスピンコック…未来の殺人サイボーグが旧式として登場し、自分より高性能な新型と戦う展開は熱いアツい。 T-1000の非常識な性能と、足止め程度に銃が効く絶妙なバランス。倒し方が解らない絶望感…よくこんな敵を思い付くものだわ。 鉄格子を抜けて拳銃がカツン。道路転げてバールの腕がカランカラン!極め付けは至近距離からマシンガンで蜂の巣!そう、こういうのが観たかった! 少年とサイボーグの交流。人を殺さないターミネーター。前作と違いちょっぴりコメディ要素が入る。メキシコでふと『これ、あのターミネーターの続編なんだよな?』って我に返りかけた瞬間、サラの真面目なナレーション『ジョンと遊ぶサイボーグ…』私の心が読めるのか!?ってビックリしたわ。見事にハードな世界観に引き戻された。 映画史に残る別れ。炎に包まれるサムズアップ。観たいものをしっかり観せてくれた映画。続編の最高傑作。 後に雑誌で見たけど、どこかの劇場ではエンドロールで拍手が起きたそうな。その場にいた人羨ましい。あぁ私もあの日あの時、拍手すれば良かったな…  ~『ターミネーター2/特別編』にちょっとつづく~
[映画館(字幕)] 10点(2021-08-04 00:10:23)
27.  ターミネーター 《ネタバレ》 
~The Terminator~信号回路の終端抵抗。無機質でカッコいいネーミングだ。 レンタルビデオ屋に並ぶシュワルツェネッガーのポスターたち。コマンドー、ゴリラ、近くプレデターってのもやるらしい。そして人気急上昇の彼を、一躍ヒーローに押し上げた作品こそ、このターミネーターだ。 …という認識だったが、詳しい友人の話を聞くと、このターミネーターは悪者ロボットらしい。そして主人公は別の人で、シュワと戦って死んでしまうそうな…なんかイメージと違う。 初見は日曜洋画劇場だったと思う。そんなにお金の掛かっていない映画なんだけど、とにかく衝撃だった。 主人公カイル・リース。未来からただ1人、援軍も武器もなく、無敵のサイボーグから1人の女性を守るためだけに、身一つで過去に来た男。どこか影があり、疲れ切った表情を見せつつも、絶対不利な状況でも諦めずに戦うカイルは、今までのヒーローとは違う魅力を見せてくれた。 当初はシュワの活躍に期待していたが、物語が進むうちに、カイルとサラの逃避行が成功するように、祈るような気持ちで観てしまった。皮膚が破損し、焼かれ、骨だけになっても襲ってくるターミネーター。最後自分の身を呈してサラを守るカイル。自己犠牲。こんな悲しい結末ってあるだろうか?スカッとするSFアクションを観るつもりだったのに、私には最高に悲しい恋愛映画に映った。 同姓同名殺人事件に巻き込まれ、友達まで殺され、一方的な被害者だったサラ。当然ながらカイルの突飛な話は信じられない。一番安全なハズの警察署さえ襲う殺人鬼から自分を守ってくれるカイル。信頼関係と愛情の芽生え。終盤ボロボロになったカイルを鼓舞、最後は自らターミネーターにとどめを刺す。最初ドン臭い普通の女子大生で、守られるだけの存在だったサラが、最後は銃を手に嵐が来る未来へと旅立つ。こんな絶望的な結末ってあるだろうか? …余談だけど最後サラが南米に行ったのは、唯一生き残った(ハズの)家族、イグアナのパグちゃんを安全に逃がすためだろうと推測。 ノストラダムス、マッドマックス、北斗の拳…当時小学生だった私たちにとって、数年後の世紀末に核戦争とかで地球が滅びるのは当然の出来事で、避けられない確実な未来だった(半分本当にそう思ってた)。 核戦争が起きるキッカケは諸説あったけど、米ソの対立ではなく、コンピューターが人類に対し戦争を始めるという、ターミネーターの設定はリアリティーがあった。2029年にもなれば、人間そっくりなサイボーグはもちろん、タイムマシンの一つも出来て当然だろう。って。 カイルは死に、世界は近い未来滅びる事は変えられない。だけど小さな希望(ジョン・コナー)は守りきった。 悲しい結末なのに何度も見直してしまうこの作品の魅力。何十回、何百回と観ているうちに、そのうちカイルが生還する結末(タイムパラドックスだ)にならないかな?って、気持ちで観てたこともあったな。  いつまでも大好きな映画。
[地上波(吹替)] 10点(2021-07-31 23:38:20)(良:1票)
28.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 
~American Graffiti~アメリカの落書き。 舞台となる'62年、ルーカスは18歳で主人公たちと同じ年齢だった。当時の自分たちがどれだけ行き当りばったりで、輝かしくも前向きに、その場その時を大事に生きてきたことか。 いつまでも続く終わらない夜。異性と車のことで頭がいっぱいの若者たち。愛だのキッスだのいちいち甘ったるい歌詞のオールディーズ。ピカピカしたメッキグリル、丸みを帯びたボディのセクシーなアメ車。 単に懐古主義ではなく、未完成だけど当時のアレくらいが正解だったんじゃないだろうか?というアンサーと言うか、ハッキリと何が良い?とも言えない、まさに“落書き”と呼ぶに相応しい、素晴らしい青春映画だと思う。 精一杯背伸びしたキャロルの話題。夜中の中古車屋のセールスマンの大きな椅子。モテモテのウルフ先生とタバコ。デビーのクリクリした目。23:45の酒屋。湖の鈴虫の音色。壊れた冷蔵庫に溶けかけのアイスキャンディ。5時前のウルフマンのラジオ… そして最後に現実に引き戻される青空に浮かぶ写真とテロップ。最後の曲は'64年のオール・サマー・ロング。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争と、暗い時代に突入していくアメリカの最後の輝かしい日々。まだまだ行く末が見えない'73年に作られた映画。 毎年夏になると観る映画の一つ。この時代(産まれてないけど)、この年代の情熱と行動力が詰まったこの映画が、夏の暑さに負けそうな私に、一度きりの夜を楽しむ活力を与えてくれるのさっ
[ビデオ(字幕)] 10点(2021-07-27 22:35:32)
29.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
~Die Hard~頑強に抵抗する。思いつくイメージはゴキブリ。テロリストが悠々と通路や部屋を動くのに対し、マクレーンはダクトの中やエレベーターの隙間を煤まみれになって這いずり回る。ピッタリなタイトルだ。  リムジンに初めて乗るジョンが助手席に乗るのが面白い。この映画を単体作品と考えると、話し相手が欲しくて寂しいから助手席に乗ったと解釈できるし、シリーズものとして考えると、頼んでもいないリムジンに警戒している用心深い性格にも見える。最後はホリーと後部座席に乗るのも、どちらに解釈しても納得できる結末。上手いな。  そもそもホリーとの関係はどうなのか?私は悪いのはジョンだと考える。 日本の社風だからとジェナロ姓で働くが、本社はともかく直属の高木社長にはきちんと「夫はジョン・“マクレーン”」と伝えている。高木は彼女の立場を理解しているし、不仲の夫にリムジンを用意するくらいの立派な人物だ。 ちなみにナカトミの会長の名前はオズ。日本の古風な映画監督・小津安二郎と、エコノミックアニマル・日本だけに金の単位のOzも掛かっていると思う。…ってオズの魔法使を観て思いついた。 よりを戻したいホリーに対し、ジョンはカリフォルニアに着いても家に連絡入れてない。パーティだと言うのにラフな格好で来るし、パーティ中はシャワー浴びて部屋で一人でくつろいでる。なんか高木社長に失礼だ。家に泊まるよう誘うのもホリーから。ホリーも夫より仕事を選んだ負い目もあるんだろうけど。ジョンは卑屈で心の狭い内弁慶な人みたいだ。 ハンスの最後、会社からもらった腕時計をジョンが外す結末も、仕事より夫婦愛を選んだ象徴的なシーン。シリーズ化して2人は別れたが、単体として観ると、とても素敵なハッピーエンド。  ジョンのヒーローらしくない口の悪さ。窓際の自分に気が付かないパウエルに「スティービー・ワンダーかよ!」は酷いけど面白い。 この時パウエルが「雪よ降れ~雪よ降れ~」って歌ってる時に死体が降ってくる演出、これも酷いけど面白い。 音楽繋がりで、もしかしたらだけど、この映画の音楽は全部、クリスマス・ソングやニューイヤー・ソングがベースになってる?今回初めて気がついたけど、トニーが電話線を探すシーンの不気味な音楽、よく聞くと『Winter Wonderland』なんだ。…他のは知らんけど。 今回気がついたもう一つ、ジョンがガラスの散らばる部屋から逃げるけど、ダメージを減らすため片足だけを犠牲にしてる。片足ケンケンしたのか、大ジャンプしたのか…  TVの学者「これをヘルシンキ・シンドロームと言います」キャスター「スウェーデンの?」学者「…フィンランドです」ディレクター「…(ストックホルム)」ボインのポスター。違うほうのジョンソン。トゥインキーの味。こういう小ネタも面白い。 今から33年前の映画で、当時はタバコ喫煙やカセットテープが現役なのと、携帯がない事を除けば、時代を感じさせない映像とアクション。 ちなみに戦後43年目の作品となると、公開からどれだけ年数が経ったか、思い知らされる。 たぶん今から10年後も、アクション映画の代表作として君臨しているだろう。
[レーザーディスク(字幕)] 10点(2021-06-04 00:18:52)
30.  街の灯(1931) 《ネタバレ》 
Lightsを灯(ひ)って言うのが良いね。 1931年の街の夜はきっと、今より暗がりが多かったと思う。その代わり一つ一つの灯りが意味や役割を持っていた。 ぽつりと立つガス灯は安心感を与え、窓から漏れる部屋の灯りからは生活の温かみが感じられたことだろう。 盲目の娘にとって、手で触れることがものを見る方法。街の灯りは見えないが、ただ純粋に生きてきたんだろう。 目が治って、娘は“人の視線”というものも知ったはずだ。人が自分をどう見るか、自分が人をどう見るか。 客観的に見ると、娘は魅力的な容姿をしていて、男たちから…まぁ、好意的な視線を向けられていたことを知る。 人から好かれる事は、大きな自信に繫がり、娘は街角の花売から、花屋を持つまでに成功した。 浮浪者も自分に視線を向ける。純粋な娘は浮浪者の視線を嫌がるでもなく、新しい花と硬貨を与える。 浮浪者はずっと、娘の目を見ている。今、見えるようになった娘の目。 普段の男たちの、自分の容姿に向けられる好意的な視線と、自分の目を見ている浮浪者の視線の違いが解らない娘。 手の感触で浮浪者があの時の男だと知るとき、よく見てほしい娘の目はどこも見ていない。手が、娘の目になっているから。 ~“You can see now?”~(目が)見えるんですね? ~“Yes, I can see now”~はい、(手で触れた今、あなたが)見えます。 灯は人の気持ち、温かい心。それを見る方法は、なにも目だけじゃない。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2021-05-15 12:15:36)(良:1票)
31.  レインマン 《ネタバレ》 
チャーリーはシンシナティの実家から逃げて、今はロサンゼルスで働いている。 アメリカの地図を見ると生まれのオハイオ州は右上の方にあり、今いるカリフォルニア州はそこから一番遠い州。 この距離がチャーリーの気持ち、父との距離の現れだろう。父から何度か電話はあったが、出なかったチャーリー。 チャーリーがどのような経緯でロスに来たかは描かれていないが、飛行機で3時間の距離だそうだ。 それを陸路を3日も掛けて進む。大嫌いな父の車で、忘れ形見の兄を連れて。 自分が逃げ出した、避けてきた家族との距離を噛み締めながらの行程。  自閉症のレイモンド…自閉症の中のサヴァン症候群と言うそうだが、公開当時は大きなくくりの自閉症自体への理解も乏しかったためか、サヴァン症なんて言葉、後から知ったっけ。 レイの視線を表現したカメラワークが面白い。流れる電柱や道路の白線を見る目線。旅行の目的は観光地の絶景でも、行程の大半はレイが見るような“どうでも良いもの”を見てる。 この映画を見る少し前、たまたま修学旅行(人生初の長期旅行)で、行程の大半をレイと同じような“どうでも良いもの”を見ていた事に気がついて、一緒にアメリカを横断している気になれた。そんな個人的思い入れで、今でも一番大好きなロードムービー。  少ないお小遣いでLD買って、サントラCDも買って、今まで20回は見た映画だけど、カジノのブラック・ジャックの勝ち方がどうにもわからない。レイを使ってどうすれば勝てるのか…山に残っているカードが解っても、次にどのカードが自分に来るのか、どう解るんだろ?
[ビデオ(字幕)] 10点(2021-05-09 13:07:55)
32.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 
~Mulholland Drive~実在する通りの名前らしいけど、語源や意味はわからなかった。Mulhol-land? う~ん、解ったら追記します。 劇場で観たとき、チンプンカンプンだった。 ロビーでポスターの『公式10のヒント』を見ていると、知らない女の子に話しかけられた。一緒の回を観ていたんだろう。 「…意味わかりました?」 『青い箱が出てきた辺りから、解らなくなったと思う。』 「青い鍵が出てきて、カタチが違うのも幾つか出てましたよね?」 『殺し屋の鍵とテーブルの鍵は同じように見えたけど…』しばらく話し込んだわ。 パズルのピースの、どれとどれがくっ付くかは、何となく解るんだ。 だけどピースのカタマリ同士がくっつかなくて、一枚の絵に完成しない。こんな感覚は初めてだ。 鑑賞後に謎が解けてないからスッキリ出来ないんだけど面白い。 こういうの、好きか嫌いかで言えば大好きだ。  公開から20年。今でも数年に1度はDVDを引っ張り出して観る。 『来てみたかったんだ』「…ウィンキーズに?」『この、ウィンキーズだ』この映画で最初の意味不明なシーン。 「エスプレッソ」「ナプキン」どんな味がすりゃ、あそこまでの不快感を出せるんだ? 冗談としか思えない殺し屋のピタゴラスイッチ。 穏やかなのに不気味なカウボーイ。上手くやればもう一回会うだろう。間違えたら二回会うことになる。怖い。 そして極めつけがクラブ・シレンシオ。夜中の2時過ぎに繰り広げられる幻想的な謎のステージ。ここに行ってみたい。この雰囲気が堪らなく好きだ。  DVDの特典映像でリンチ監督は「すべて作品の中で語り尽くしているので、後から解説とかはしない」と。そして「迷ったら直感を信じること」だと。 年間に見る映画の本数が減って、パソコンでネットをやるようになり、多くの考察サイトがあることを知り、見てみた。 理解は深まって謎も多く解けた。なるほど、そんな意味があったんだ!と感心した。スゴイな、みんなよく考えるよ。 でも思った。謎解きは楽しいんだけど、この映画は謎が謎のままでも、充分に楽しいんじゃないか?って。 考察サイトを観ていなかったら、今でもチンプンカンプンなまま、時々今までとは違うパズルのピースが繋がったりして、この世界を末永く楽しみ続けていたかもしれない。
[映画館(字幕)] 10点(2021-04-24 21:05:18)(良:1票)
33.  ゾンビ/ディレクターズカット完全版 《ネタバレ》 
~DAWN OF THE DEAD~死人の夜明け訳が一般的。“ザ・デッド”の始まり、兆し。ゾンビ=リビング・デッドにわざわざ“リビング”を付ける必要もないくらいゾンビが溢れる世界。新型コロナウイルスにわざわざ“新型ウイルス”って付けない感覚。または人間という種の“死”の始まり。  鑑賞環境の選択項目に『店先』って無いのね。…そりゃ無いか。 当時小学4年生、夏祭りの昼間に、友達3人とクーラーの効いたそうご電器へ。AV家電コーナーで垂れ流されてた映画を見た友人(ホラー平気)が「あ、ゾンビだ」と見出した。きっとビデオかLDの展示だと思う。まだホラー耐性の無い頃だったけど、見栄張って「全然怖くないね」と言いながら見続けた。 「この人殺されるんだよ」とかイチイチ教えてくれる友人は、鬱陶しいというより怖いシーンへの心構えが出来た。 思ったほど怖いシーンもなく、ショッピングセンターで好き勝手する主人公たちにワクワクしたし、彼らの安息をぶち壊した暴走族に怒りを覚えた。そしてゾンビの捕食シーンが怖く、友人は「あれ豚の内臓だよ」とか教えてくれたが、そんな裏事情より、いつかノロノロ歩くゾンビに襲われたらどうしようと、しばらく怖かった。片足の神父さんの記憶があるから、追い出されもせずほぼ全視聴したんだな。緩やかな時代だ。  中学に入り、ビデオをダビングしたものを擦り切れるくらい見た。最近DVDも買った。 私が見てたのは、オープニングからゴブリンの印象的なテーマソングが流れる米国劇場公開版だったようだ。今回見たBSのディレクターズ・カット版とは、音楽の入り方が微妙に違う。ダリオ・アルジェント監修版は、もしかしたら見たこと無いかもしれない。  赤いゴツゴツした不気味な壁から始まるオープニング。心臓の音のような不気味な音楽。説明もなくガヤガヤした現場。役に立たないテロップ、少ない情報、受け入れられない専門家の話、仕事を投げ出すスタッフ、不満を見せながらも働くスタッフ。同僚の「our responsibilities finish(俺たちの責任は果たしたよ)」で終わる音楽…DC版より米国版が最高。このドキュメンタリータッチな臨場感がたまらない。 場面は変わりSWAT指揮官の「your responsibilities!(お前たちの責任だぞ)」に続く。責任。ゾンビが街をウロウロしてる現状、仕事なんかしてる場合じゃない。誰の責任とか言ってる場合じゃないなのに、人間は争いと収束行為を続ける。 牧草地の州軍とハンターの場面も秀逸。記録映画のような撮り方。あの歌、誰のなんて曲だろう?DVDを見出すと、OPとここは何度もリピートしてしまう。 給油所でゾンビに襲われるスティーブン達。「逃げろ!」と言われても逃げないフラン。逃げられない、助けられない、助けを呼べない、叫べない。ただ、ゾンビと格闘するスティーブンと、自分に向かってくるゾンビを交互に見ることしか出来ない、この何も出来ない感が凄い上手い。この世界のゾンビが唸ってノロノロ歩くから出来たシーン。ゾンビに叫ばれて走られたら、こちらも走るし、叫んでしまう。この違い、この見事な世界観。 ショッピングセンターのゾンビを一掃後、悲しげな音楽が流れる。あちこちに散乱する動かないゾンビ。こうなっては人間の死体と変わらない死体の山。言葉が出ない主人公たち。ゾンビを建物外に棄てるのではなく、冷蔵庫に埋葬する心境。 一生観続ける映画なので、続きはまた、そのうち
[ビデオ(字幕)] 10点(2021-02-14 14:19:28)(良:1票)
34.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
「…気持ち悪いですよ」「俺だって気持ち悪いよ」不条理ギャグ漫画が流行る以前の不思議なコメディ映画。 郷愁を感じる昭和の工業地帯、団地、街並みの夕暮れの景色がとてもとても綺麗。 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ  夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ  夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 茂之は吉本と会話するとき、常に薄ら笑い。学校ズル休みの時や、吉本にビンタ返しが決まった時の、したり顔がまた良い。近所の若い奥さんが来てるのにリビングでブリーフ一丁になるとか、いかにも当時の子ども子どもした中学生。 学校ではハラスメントとか気にしない、教師が偉そうにしていた時代。成績の悪い方から答案用紙を返すのは、なんか懐かしくて笑えた。今じゃやれないだろうな。 ブスでバカな浜本はそんなにブスじゃないが、ちょっと知能に問題あるのか?授業中紙袋被ってたり面白い子なんだけど、イジメでやらされてたのかな。当時の自分にはどう見えていたんだろう? 小~中学生は、ブスとか馬鹿とかクソ垂れ流しとか、そういうレッテルを貼られると、事実がどうであれ終わる。卒業まで言われ続けるから死活問題だろう。 ワンカットの合格祝いぶち壊し。父親が茂之は元々頭が良い。だの、私立の吉本が大したこと無いな。だのとデリカシーの無いことを言い出してからの吉本。サラサラのスープにスプーンを無意味にカツカツ打ち付けながらの静かな怒りが凄い。 最後のヘリコプターと昼寝。私も初見時(30年くらい前)、不気味だなぁって感じたけど、そう思った人、結構多いんだな。 当時は「睡眠性の毒ガスで、みんな死んじゃったのか?吉本が暴れてて、警察のヘリが来たのか?」なんて思ってたけど、今回見ても解らなかった。 戸川純が何かしたんじゃないか!う~ん…捻り過ぎて遠くなってる気がする。 死ぬまでにもう5回は見ると思うので、そのうち新しい解釈が浮かんだら書き足します。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2020-12-17 00:40:20)
35.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
これは戦国時代を舞台とした怪談(オカルト・ホラー)映画じゃないでしょうか。この映画から強く感じたのは“恐怖演出の巧みさ”でした。寂しい荒野に建つ『蜘蛛巣城跡』の木碑、野太い声の男性合唱が不気味。木碑が霧に覆われ、巨大な城に変わることで、観ている者を戦国時代に導きます。『乱』でも圧巻だった重さを感じさせる城。騎馬武者が駆ける力強さ。足軽の走る音。黒澤監督の描く戦国時代表現は、今観ても臨場感がありますね。 冒頭部分の合唱は、鷲津と三木が蜘蛛手の森で迷った際の、老婆の枯れた声の独唱と対になっています。予言を残し、忽然と姿を消す老婆と小屋から、不気味な怪談話へと誘導されていきます。藤巻が自害した“開かずの間”の、血の跡の生々しさ。時鳥の鳴き声。浅芽の歩く衣擦れの音。  この、映画館(私は部屋だけど)から戦国時代へ、更に怪談の世界へと誘導する演出が見事です。 物語を極力単純にする(それでいて飽きさせない)ことで、観るものに余計なことを考えさせない。=現実に引き戻させない。黒澤監督は映画を観るものを、自然とその世界に入り込ませる技術に秀でていると感じます。  終盤、戦に備える両陣営の豪華さと、鷲津の演説に盛り上がる戦演出。鳥の大群が場内に入る不吉な空気と、気が狂った浅芽の怪演出。 最後は娯楽映画として、きちんと驚かせてくれました。有名な無数の矢衾の画は圧巻です。 鷲津の最後は、戦のいち場面でありながら、観るものに恐怖を感じさせ、蜘蛛手の森が動くのは、鷲津の目には怪(道理がない話)でありながら…。凄い。  本作では『“戯曲”に“能”を取り入れる』試みがされていて、開かずの間で密談する場面、鷲津と浅芽の、能面のような、まばたきをしない演出が映えます。 後年の黒澤映画では、役者の顔に寄らない、いわゆる“引き”の画が多くなるため、何か『芸術作品を観せられている』感が強くなってしまったように感じたけど、白黒映画時代の黒澤作品は“娯楽映画”として、単純に楽しめます。 今回DVDで鑑賞。字幕があることで台詞の理解が補強されました。
[DVD(邦画)] 9点(2024-02-17 11:44:01)
36.  生きる 《ネタバレ》 
そのうちDVDを買おうと思っていたところ、BSで放送されて有り難く視聴。'50年代初期の日本の風景。戦後間もない、まだ簡素だけど生き生きと賑やかな町並みが、観ていて楽しい。 課長職で、立派な家に息子夫婦と住み、家政婦も居る。傍から見れば羨ましい限りの生活。病院で死を悟り、家に帰り、仕事に行くため目覚ましをセットする。もう死ぬのに、何で仕事を続けないといけないのか? 心のなかで何度も『光男、光男…』と叫ぶ様子がまた切ない。これからどう生きていけば良いのか。愛する妻に先立たれ、まだ幼かった光男を育て上げることは、渡辺の生きがいに違いなかったろう。今では光男も既に結婚し、西洋かぶれのベッドにガウンと、夫婦で好きなように生きている。一人息子からも必要とされていない今の現実と、死ぬことを言い出せない冷え切った親子関係。  志村喬の目の輝きがとても印象深い。働いて“死骸と一緒”の時は輝きのない目をしていて、死を受け入れて、どう生きるかを模索しだしてから、目が輝く。やせ細る顔と対象的に、生きることへの執着を表すようなギラギラした目。 まず飲む打つ買うと、今までと真逆の生き方をしてみる。残りの人生を自分のために使ってみる。ピアノ伴奏で歌いだす“ゴンドラの唄”。暗い歌が場にそぐわないのはもちろんだけど、どんどん伴奏とズレていくところが、娯楽では満たされない虚しさを感じさせる。暗い空気のタクシーの中で、娼婦が歌う“カモナマイハウス”。帰る家(家庭)など無い渡辺と、心情を察して涙ぐむ小説家の対比が見事。  小田切くんに靴下を買ってあげよう。一緒に遊んで、甘いものもご馳走しよう。残りの人生を若い女との時間に使うと思わせておいて、人が喜ぶ姿に生きがいを見出したんだと気がつく流れがテンポが良くて伝わりやすい。パタパタ跳ねるうさぎのおもちゃと「こんなものでも、日本中の赤ん坊と仲よしになれたような気がするの」そうか、目の前の人を喜ばせるだけじゃなんだ。という気付き。「やる気になれば!」「ワシにも何か出来る!」遂に生きがいを見つけた渡辺の後ろから“ハッピーバースデートゥーユー”。  本作の主題である、渡辺が『生きる』姿を観せず、通夜の席に飛ぶ流れは、今の目で観ても思い切った手法。全てが終わってから振り返る手法は『市民ケーン』のアレンジなのかもしれないけど、その後の職員たちの気持ちの変化が、当時のお役所仕事の風刺として印象深い。また『素晴らしき哉、人生!』とは異なり、自ら、あの状況で気が付き、出来ることをやりきった渡辺の姿は、映画の中のお話に終わらせず、どんな人にもやる気を湧かせたんじゃないだろうか。 ブランコで一人“ゴンドラの唄”を歌う渡辺の目に、生きていた時のような輝きはない。祭壇の遺影と同じように。公園という自分が生きた証を残し、満足して死んでいったんだろう。  台詞がよく聞き取れなくて、居酒屋で小説家に渡すアレが何か分からず。あと録画したものにテロップが入ってたので、やっぱ字幕の付いたDVD買うか。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2024-02-03 11:54:59)(良:1票)
37.  タンポポ 《ネタバレ》 
『死』のハウツー映画の後に『生』の根幹にある『食』をテーマにしてるところが見事。ショートコントみたいなサブストーリーを散りばめてますが、本作のメインテーマがラーメン。ラーメン歴40年の老人が伝授するラーメンの食べ方。いきなり口に運ぶのでなく、見て、箸で撫でて、心のなかでつぶやく…「何が『後でね』だよ~」って、私までラーメンを食べたくなってしまう。 この、口に運ぶ前に食べ物の情報を味わう事こそが、'80年代半ばから今でも続くグルメ・ブームの基本だと思います。そしてこのブームの最大の火付け役が、漫画『美味しんぼ』と、映画『タンポポ』だったと思ってます。 この2作品がキッカケとなり、「あの店の◯◯が美味い」なんて飲食店の情報がメディアで取り上げられるようになり、単に『美味い・不味い』だけだった味の追求に『何がどう美味いのか?』って理由・根拠が求められるようになり、一億総グルメ評論家となって、誰でも楽しめる娯楽として、お店に点数やランクを付けるようになっていきました。  さて、令和の時代に小説の老人が食べるラーメンを観ると、まるで社員食堂のラーメンだ。あれ?こんなだったっけ?当時は美味そうに観えたんだけどなぁ…このおよそ40年の間に、ラーメンってとんでもなく進化してしまったんだなって思う。言い換えると、この映画が発端のラーメンブームがあったからこそ、今のラーメンがあるんだろう。余談だけど40年前に大人気だった札幌のラーメン屋で、今でも人気なお店って少ないです。当時大人気だった玄咲は閉店。時計台は様変わり。味の三平や純連は頑張ってます。  ラーメンの次に出てくるのが、タンポポが作る朝食。おひつのごはん、豆腐の味噌汁、たまご納豆、ぬか漬けに鯵の開き。これがまた実に美味しそう。この40年で進化したものもあれば、変わらないものもある。食ってとっても面白い。 ここでターボーが言う「母ちゃんの作った料理は美味いからねぇ~。ラーメンも日本一だよね!」ここがもう、この映画の答え。伊丹監督が創った食ブームの答えなんです。 たとえ他人にはどんなに不味くても、母親が自分のために作った料理こそが、最高のご馳走なんだ。って。 やれ、あそこのラーメン屋が美味いだ不味いだなんてのは、お金が動く情報の世界の話だよね。って。  数あるサブストーリーの中で、きっと一番印象に残るのが、死に際にチャーハンを作るお母さんじゃないでしょうか? チャーハンをガツガツ食べる家族。それを見て微笑み、死んでいくお母さん。こんな短時間の物語から、食べることは、生きていくことなんだなって、改めて思わせてくれました。 そして“お母さんの母乳を吸う赤ん坊”で映画は終わる。どれだけお金を掛けたグルメも母親の味は超えられない。 余談だけど伊丹監督の次の作品は“看護婦の乳首を吸う死にかけの老人”から始まるマルサの女。人間の『欲』を扱った映画。 神がかってる。
[地上波(邦画)] 9点(2024-01-20 15:51:51)(良:1票)
38.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
“Edward Scissorhands”登場人物のフルネーム。 雪が降るなか灯りが落ちた夜の20世紀FOXロゴ。ちょっと不気味さのあるオープニング。小さな女の子の「雪はどうして降るの?どこから降るの?」って素朴な疑問から始まるおとぎ話。その答えの何とも悲しいこと… パステルカラーの家々、車、住人の服装。なんともポップでお洒落な町と、この町に似つかわしくない黒くて禍々しいお城。孤独に生きてきたエドワードが受けるカルチャーショック。手がハサミの奇妙な人物によって変わっていく町の変化が面白い。そのままの延長でハッピーに終わっても、きっといい映画だったと思うけど、ティム・バートンらしい“闇”が良い味付けになっている。  手より先に心が創られる悲劇。心を創られる前のエドワードは、工場の隅っこでセロリか何かを刻んでた。工場(というか博士の趣味)がクッキー作りになってから、エドワードは用済みになってたんだろう・・・ってあれ?博士がエドワードに本を読んで教育してる奥に、セロリのロボットいるぞ!?ふたりは別人??ってことは、博士はエドワードをゼロから、敢えてハサミの手を持たせて、創った??博士ひょっとして、そういう悪趣味な一面があった?  博士が亡くなってからのエドワードは、1人孤独に、誰も見る人のいないトピアリー(って言うんだと)を造り続けてきた。他にしてきたことは、ベッドのまわりに雑誌か何かの切り抜きを貼ることくらい(※『生まれつき目のない少年が手で字を読む』記事を貼ってるところがバートンらしい)。 好奇心旺盛なエドワードは頼まれてもいない犬のトリミングを初め、女性のヘアカット、遂には氷の彫刻創りへと、独創的なセンスを発揮する。  ほんの僅かな数日間、人と触れ合うことで広がってきたエドワードの創作意欲、新しい発想。お城に戻ったエドワードは、1人孤独に、あの一時の思い出だけを胸に、クリスマスに氷のキムを創り続ける。キムがお婆ちゃんになるまで、何年も何年も。 雪の降らなかった町に雪が降る理由を知りつつ、あの街で孫が出来るまで、何年も何年も暮らし続けるキム。 このロマンチックだけどアンハッピーな所も、おとぎ話として良く出来たクリスマス映画ですね。
[ビデオ(字幕)] 9点(2024-01-01 12:43:46)
39.  カラー・オブ・ハート 《ネタバレ》 
“Pleasantville”『プレザントヴィル』ってドラマのタイトル。地名で『愉快な町』とかって意味で、実際アメリカに幾つか同名の町があるので、きっとよくある田舎町の名前。 現実から異世界に行く&小さな町が主人公の影響で変わっていく映画というと、もう結構出尽くした感があったけど、こんなのも創れるんだって、かなりショックを受けました。私はケーブルテレビで遅れて観たけど、この作品、公開当時はどれくらい話題だったんだろう?もっと認知度高くても良いような、そんな印象です。  BTTFのように過去に行く物語の亜種として、視覚的にはカラーからモノクロの世界に行くんだけど、過去のドラマの“中の”世界。というのは面白い着目点です。紙は燃えないし、本は真っ白だし、メインストリートの先はメインストリートの始点。“本当の赤”みたく、お互いにモノクロなのも理解してます。カラーになったベティをファンデーションで助けるなんて、この世界観だからこそのアイデア。 デイビッドはバッドを演じ、ジェニファーはメアリー・スーを演じます。パターンとして、二人が時間が止まってる世界を壊さないように役を演じて、あれこれトラブルが有りつつも、最後は自分たちもモノクロ世界も壊さずに、無事現実に帰ってくるのが定石…だと思ってたところ、どんどんカラーが入ってきて、取り返しの付かない展開になっていきます。それも最初はカラーになっていくのがスカッと爽快で、だけどどんどん歪みが生まれていくのも上手いです。最初から最後まで『この先どうなっていくんだろう?』の連続でした。  最後も綺麗でした。古き良き'50年代から、世界が広がる'60年代へ。銀色の都市間高速バスが時代の変化を感じさせます。その後は退廃の'70年代に向かうのが想像できるけど、ドラマの世界の彼らはそんなこと知りません。一人残ったジェニファーも、たぶん詳しくは知りません(※今まで勉強してなかったのと、あの世界に未来の本は無いから)。だけど彼らの世界は私たちの世界とは違うので、同じ道を辿るとは限りません。プレザントヴィルがデイビッドが暗記するほど観てきたドラマの通りにならなかったように、彼らが向かう世界は素晴らしい'70年代かもしれない。 そして現実に戻ったデイビッドも成長しているのも嬉しいおまけで、あんな世界を体験しただけに、そこに説得力もあります。消えたジェニファーをどう説明するのか。あっちの世界もこっちの世界も、先のことはわかりません。だけどとても希望に溢れた終わり方でした。  結構完璧な作品です。完璧過ぎてアラが少ないのが、かえって“創りもの感”を感じます。エンディングのジョージがビルに変わるとことか、こういうのリメイク作でやるなら解るけど、ちょっと捻り過ぎかも。 あのテレビ修理の爺さんが何度か出てくるのは蛇足だった気がします。「おめーがリンゴ食ったからだー!」って言われても、いまいちピンときません。最初すぐ現実に戻ろうとしたけど戻れなくて、最後アッサリ戻ってしまうのは、リモコンの問題でなく爺さんの気分次第?1~2週間経ったから?う~ん… 『この先どうなるかわからない』映画なんだから。爺さんは最初と最後(帰っていくところ)だけで、あとは自分たちの選択した結果にしてほしかったかな。 ゲイリー・ロスの初監督作品。そのため力が入りすぎて、作品愛が溢れてしまったんだと思うところ。かなり好きな映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-02 09:50:10)
40.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
“One Flew Over the Cuckoo's Nest”どうやら『キチガイ病院から1人飛び出した』って意味のようです。 目がギョロギョロしたクリストファー・ロイドに常にニコニコしてるダニー・デビート。他の作品を観ていなければ、こういう人なんだと思えてしまうほどのリアルさ。決められたルーティーンで薬を飲んで、徘徊したりゲームをしたり。社会生活が困難な人たちを、一か所に集めてまとめて家畜のように管理する。そんな印象を受けてしまう。 意思疎通の難しい精神病患者たちと、患者を機械的に管理するラチェッド婦長ら看護側。患者相手にはフェアとは思えない多数決と連帯責任。詐病のマクマーフィ目線で、患者側から精神病院を観る。だけど強制入院と自由入院が混在していて、その中に刑務所から移送されたマクマーフィが居るのが不思議。自由入院のチェズウィックも電気ショック受けてるのもなんか不思議。  ワールドシリーズのテレビ観戦にバスを強奪しての釣り船ツアー。やってることはメチャクチャだけど、マクマーフィに影響されて患者たちが自分の意志でまとまっていく様子が何とも清々しい。喋れないフリをしていたチーフが、マクマーフィだけに対し喋ったときは「おぉ~~!!」ってなったわ。ってか、チーフの一挙手一投足に「おぉ~~!!」ってなってしまう。 このままマクマーフィと仲間たちで、何か凄いこと(?)を達成してしまうんじゃないか?って、方向性が解らないけど、彼らの中で何かが進展していく感じがとっても心地良い。クリスマスの翌朝の、まさに“祭りのあと”感。『あぁ、全部終わったんだな』って空気。ビリーの悲劇。ちょっとした歯車の狂いからすべてが終わってしまう重たさ。  2人で脱走しようと誘われるチーフ。かつて大きかったチーフの父親は、抑圧されて酒に溺れ、どんどん小さくなって殺された…チーフはそうは言わず、始末された。と。その話にピンときてないマクマーフィ。 かつてインディアンは広大な土地を追われ、狭い居留地に押し込められ過去がある。その後一転して、'50~'70年代には、都市移住計画という名の同化政策のもとに、居留地さえ追われることになる。移住した先は仕事もなく頼れるものもない、貧困と差別の世界。そんな時代にチーフは、見せ掛けの自由を手放し、精神病院に入ることを選んで、今に至る。 舞台は'63年とのことだけど“ロボトミー手術”なんて、あったんだなぁ。理論だけで実在しない施術だと思っていたわ。 手術によって物も言えず、体の自由を奪われたマクマーフィに、精神病院に自ら入ったチーフ自身を重ねたんだろう。病院のシステムに抗い続けたマクマーフィの精神を開放し、自分の力で自由を手に入れる。 『飛び出した』のは『1人』。だけどその1人はマクマーフィの精神であり、インディアンの精神でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2023-11-16 00:16:46)
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