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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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501.  インサイド・マン
スパイク・リーお得意の人種差別という負なるテーマを極力抑えて、アクション娯楽映画に徹しながらも最適なさじ加減で人種差別ネタを絡ませるあたりはさすがにうまいなぁと思った。オープニングのリズミカルかつ異国感漂う音楽がまさにそんな「スパイク・リーのアクション映画」を表現しているようだ。でもでも、なんなんだろうなぁ。もう一回見たら感想変わるかもしれないけど印象が非常に薄い。人種差別ネタのパロディのような使われ方は良かったけど、ストーリーのキーとなる銀行の会長の過去というものが社会派の風味を増してくれるものと思ったら増すどころか単なるストーリー上のキーで終わってて、もちろんそれはそれでいいんだけど、それなら娯楽作としてジョディ・フォスターとかウィレム・デフォーという超の付く有名俳優はもっとあばれてめだってくれなきゃと思う。この二人の役は無名俳優でしてくれたほうが作品の風味を活かせたと思う。
[映画館(字幕)] 5点(2006-07-24 19:22:38)
502.  SONNY ソニー
ニコラス・ケイジ初監督作から勝手にイメージしたものとは大きく逸脱したもので驚いた。オープニングこそごくありふれた色調だったが主人公の住む世界に入ってゆくごとに独特の色を配してゆく、いわゆるアート系の作品の臭いを持っている。戦争から帰還し家の扉を開けるオープニングシーンもただのお話のオープニングというのでなく、ちゃんと物語のキーとなる「自分の殻」の象徴として登場し、エンディングにもリンクしている。俳優の演技が作品の評価を左右するほどの人物偏重の描き方は監督が俳優だからでしょう。でも俳優陣はその重責を全うした演技を見せてもいます。とくにジェームズ・フランコの表情の作り方は絶妙です。ただしやっぱり脚本の盛り上がりの無い構成や、先にあげた人物偏重の描き方が不満に残る。
[DVD(字幕)] 5点(2006-07-21 14:57:51)
503.  歓楽通り
男が女に対して尽くしまくる無償の愛を幻想的に描く。たしかに現実的ではなく、感情移入など出来るはずもない設定ですが、映画は現実的でなければならないものではなく、むしろこの映画は非現実的で大げさな設定を用意することでその中から男女の淡い恋心を紡ぎだそうとする。もともと娼婦たちの思い出話として始まるこの物語は皆がかわいがった男の愛を究極に美化したものだと捉えることが出来る。だからどこか切なく、そして美しい。思い出話にしては本人たちにしか知るよしのないストーリーも大いに展開されますが、これも想像の産物と捉えれば幻想的な映像美とともに納得。娼館が廃止され路上で客引きをする娼婦たちの良き時代を懐かしむ美しい思い出話として。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-18 19:17:06)
504.  シャーロット・グレイ 《ネタバレ》 
戦争を背景とした恋愛劇といえばかの名作『ひまわり』がありますが、列車から見える一面のラベンダー畑は『ひまわり』を意識した描写なのでしょう。しかしひまわりが墓標との対比で象徴的に映し出されたのに対し、あのラベンダーは平和の象徴というより時系列上での戦争後を意味するものとしか表現されておらずあまりあの美しい紫が効果的に使われていない。戦争が終わるまでひたすら待ち続けたソフィア・ローレンに対し、ケイト・ブランシェットはその愛の強さ、、というよりも人間としての未熟さゆえ、また戦争に対する無知さゆえに行動をおこす。そして目の当たりにする戦争の現実。この現実の中で変貌を遂げる女というのは『ひまわり』でのマストロヤンニ。しかし戦争によって引き離された二人というのは同じだが、この作品ではそれが悲しいこととしては描かない。むしろ前向き。これが戦争を背景にしたものでなければそれもいいだろうが、あれだけ悲しい現実を見せておいてあのエンディングは無いでしょ。しかも「あれだけ悲しい現実を見せておいて」といってもストーリー上で悲しい出来事があっただけで、映像は全然その悲しみを伝えていない。父を売る葛藤はもっとじとーっと描いて欲しい。そしてなによりもこの作品にはあって然るべきの「恐怖」がない。
[ビデオ(字幕)] 3点(2006-07-04 18:23:41)
505.  M:i:III
「Ⅰ」も「Ⅱ」も監督のそれぞれの味が出ていてそれなりに楽しめた。そしてこの「Ⅲ」の味はどうだったか。冒頭で涙を見せるイーサン、、彼はスーパーマンではなくて人間なのだという新しい「M:i」に期待させられるシーンから始まり一般人役のミシェル・モナハンがアクション映画とは不釣合いの初々しい笑顔を振りまく。ここまでは良かった。あとは怒涛のアクションがひたすら続く。そのひとつひとつは確かによく出来ているし見応えもあるし楽しいものだった。しかしそのどれもがこれまでにどこかで見たことのあるものを最新技術をもって映像化しているにすぎない。またクライマックスの連続のような展開も、例えば『レイダース』のように合間に笑いを入れるとか、あるいは笑いじゃなくてお色気でもいいんだけど、なにか小休止的なことをしてくれないと疲れるし、それぞれのアクションが印象に残らない。けっきょく面白くなりそうなシーンをつなぎ合わせただけの金のかかったテレビドラマみたいなものになってる。監督はエンターテインメントに徹したつもりだろうが、その手法はあまりにも幼稚じゃないですか?
[映画館(字幕)] 4点(2006-07-03 14:09:32)
506.  オーシャンズ12
ぜったい面白くないだろうと思いながら観たせいか、『11』よりも楽しめた。思えば『11』はかっこよすぎたんです。こちらはいきなりメンバーが「なぜオーシャンズ11なんだ?」と一匹狼的その筋のプロの集まりがなぜオーシャンのグループのような名前なんだという我々も感じていた疑問をパロディとして『12』は『11』のアラを提示する。その時点でこの作品には「余裕」を感じます。そしてかっこいいの手前でかっこ悪さを見せるクルーニーとピットのリアクションが楽しい。たぶん撮影も楽しかったに違いない。泥棒対決なんて筋はチープこの上ないわけですが、ソダーバーグの仲間内(凄いセレブな仲間)で撮った洗練された和気あいあい映画としてじゅうぶん楽しめました。一人だけ「余裕」を感じさせないデイモンがまたかわいい。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-26 15:26:41)
507.  パッション(2004) 《ネタバレ》 
イエスを描いた映画は、そのほとんどが聖書に沿ってイエスの生涯が語られる。その中にあって「受難」のみを描き、それ以前のエピソードをフラッシュバックというカタチで見せてはいても「受難」のシーンに絡んでくる事柄以外はばっさりと切り捨ててしまったこの作品はそれだけで異色であり、他とは違うという一面において意義があると思う。私はキリスト教徒でもなんでもないが、これはイエスを描いた映画ではなく、キリスト教の心理を描いたものだと思った。目を覆いたくなるような拷問をひたすら受け続けたイエスが「彼らを許してください」とつぶやく。迫害されれば迫害するものを愛しなさいと言う。この「受難」のエピソードは知っていても「受難」の過酷さはなかなか伝わらないものだ。でもこの作品は拷問が激しければ激しいほどにそれを受け入れることの尊厳さが際立つ。イエスの「奇跡」だとか「復活」だとかは置いておいて、今世界の、特にアメリカのキリスト教徒たちに向かって「許す」ことの偉大さをあらためて提示しているのだと思った。ただもう一回見ようとは思わない。それほどに痛々しい。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-19 16:58:19)
508.  モーターサイクル・ダイアリーズ
個人的にはもうちょっと淡々としたものを期待していました。旅すがらのエピソードをつなぐバイクと景色、こちらのほうこそをメインにしてほしかった。延々と美しい南米の景色をバックに走る、その美しい景色に目を移す主人公、それだけで南米に愛しみを覚える主人公を表現できるしできていた。鉱山の仕事を求めて人々が群がる様を見つめる主人公、それだけで主人公の心の内に芽生えた疑問を表現できるしできていた。旅の距離や時間が伝わりづらいのも、また字幕に頼らざるを得ないのもストーリーを重点的に描いたから。旅の中で何かが生まれ何かが変わるということをうまく見せてはいるけども、感動的なエピソードはなくてもそれは達成されているのだ。そんな感動話よりも、もっともっと疾走する二人の顔、笑っている顔、困っている顔、何かを考える顔をひたすら見たかった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-16 16:10:24)(良:1票)
509.  猟人日記(2003) 《ネタバレ》 
自由を満喫するでもなしにただただ自由を持て余しながら怠惰な生活を送る主人公が妙に今の一部の日本の若者にかぶるように感じた(というオヤジ発言に歳を感じる)。主人公が言うように作家として大傑作でも書き上げようものなら、その生き方は「ビートニク」なんてかっこいい呼ばれ方でもされるのだろうが(原作者はビートニク作家として有名)、主人公は異端者でもなく反逆者でもなく、たんなる身勝手な放浪人でしかない。それは自らの良心に動揺する後半の心理に見て取れる。終始薄暗い灰色の空が主人公の内なる孤独感とリンクしているようで印象に残る。時間軸を動かしながら見せてゆく作りに、女が海に落ちるシーンまで気づかなかったのは私の至らなさだろうか。もうちょっとわかりやすくしてくれたらサスペンスの面白さが出てきたと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-14 11:50:43)
510.  ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月 《ネタバレ》 
自らは成長せずにまんまと彼氏をゲットした前作の続編にして前作のパロディ。常に一作目の笑いにリンクした、主人公同様に成長の見られない構成は安易ではあるがわかりやすくて好感が持てた。今回は「ありのまま」を愛してくれる奇特な彼氏に対し、愛してくれるだけではなくそれを行動に示せという、女の子特有のわがままを成就させる。続編らしくちょっと度を越えた展開も見せながら都合の良い現代のシンデレラ・ストーリーをけして主人公の成長というありがちな展開に逃げずに見せきっている。レニーのおデブちゃんぶりも凄い!役のために太るといっても男と女じゃ覚悟が違う。1点上乗せするほどでもないけど前作よりも落ちるとも思わなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-13 13:51:38)(良:1票)
511.  ブリジット・ジョーンズの日記
べつに仕事に生きているわけでもない、ただ婚期を逃しただけの、それでいて考えることは良きパートナーにめぐりあうことという、まあごく普通のどこにでもいそうな、かといって威張れるようなものではない女が主人公のロマンスコメディ。自らは成長せず、でもいいオトコは欲しいという都合の良い欲求を持つこと自体は、そんなに悪いこととは思わないが、映画の主人公には不向きなキャラ。それを堂々とやってのけた潔さは時代の援護があったとしても0.5点くらいの加点価値はあるかも。ただしのっけからけっこうなモテモテぶりなので主人公が傍目からも魅力的なのか、そうではなくて傍目はダメなんだけど実はいい娘なのかがよくわからん。台詞に多々出てくる「ありのまま」というのはけして努力しなくてよいよ、ってことじゃなく、繕わなくても「ありにまま」の中に素敵な部分がありますよ、ってことなんだと思う。あと、一番面白かったのは冒頭の「オール・バイ・マイセルフ」。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-12 17:24:26)(良:1票)
512.  スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする 《ネタバレ》 
オチ以外は結構気に入っている。愛する母が酒場の娼婦と重なり、少年は母の人格を二つに分けることでそのことを否定する。妄想は少年にとっての現実ではあってもけして本当の世界ではないという、主人公にとってのみ辻褄の合う世界をうまく見せている。とりわけ本物の娼婦の振る舞いと母の振る舞いに共通点を見出させる様は、主人公の混乱と共に観客をも混乱させる。少年が見るはずのないシーンがあるので比較的歪められた記憶であることがわかりやすい作りになっている。よってオチには驚きも無いし、主人公が記憶の歪みに気づくということ自体に主人公の性質上、不満が残る。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-06-06 14:40:32)
513.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』・・「暴力の歴史」から連想するのは「戦争」。この作品で戦争が語られることはない。でもその根源となる暴力のアメリカにおけるスタンスが露呈されていると思う。そもそも暴力によって獲得した地、、アメリカの歴史は暴力と切っても切り離せない関係にある。暴力が描かれているのに嫌悪感を抱かせないつくりになっている「西部劇」の構成をそのまま現代へ転化させ、家族を守るという大儀を与えられた主人公がとてつもなく強いガンマンさながらに超人的強さを見せつけながら敵を倒してゆく。冒頭で見せたモーテルでの暴力の醜悪さとは異にする「正しい暴力」によって。しかしこの映画は暴力を肯定していない。『許されざる者』のイーストウッドがそうであったようにモーテンセンの顔もまたただの人殺しの顔だ。暴力の世界にいた者は暴力に誘われる。暴力には暴力で解決させることしか出来ない。アメリカが抜け出すことの出来ない暴力の連鎖が描かれているように感じた。息子の「暴力の目覚め」もまたアメリカの抱える遺伝子の継承を意味しているのかもしれない。ラストシーンは感動的だ。しかし暴力を許さざるをえないアメリカを象徴しているようでもある。
[映画館(字幕)] 7点(2006-06-05 12:16:49)(良:3票)
514.  ディボース・ショウ
ジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズというハリウッドを代表する二人の共演とコーエン兄弟との組み合わせに違和感を感じたものの、見てみればそこそこに楽しい作品ではないかと思ったので、ここでの低評価にちょっとびっくり。ハリウッドのドル箱ジャンルでのスター俳優起用ですから、おのずと二人がメインに描かれる。で、コーエンだってちゃんと二人を輝かせている。そのうえで脇がポイントポイントでいい味を出してる。ただ、会話が多いわりにはスクリューボール・コメディたるテンポの妙を味わえない。コーエン兄弟のコメディって全部そうなんですけど、テンポよりもキャラの面白さを目指しているところがあって、面白いんだけど少し物足りないと思ってしまう。
[DVD(字幕)] 6点(2006-05-30 11:31:33)
515.  レディ・キラーズ
コーエン流ブラックユーモア、と言いたいところだが、オリジナルの『マダムと泥棒』がそもそもかなりブラックなので本作で感じる毒はすべてオリジナルプロットが持つもの。むしろこのリメイク版はオリジナルよりもライトに仕上がっている。ライトに仕上がっていること自体は現代的で良かったと思うし、後半の展開の速さはオリジナルのイライラ感というかイジイジ感というのが廃されて、これも今風で良かった。ただし犯人グループのキャラが弱いのはコーエン兄弟らしからぬ失点。冒頭でそれぞれのバックボーンがコミカルに描かれるがそれ以降は終始トム・ハンクスの独壇場。オリジナルではそれぞれのバックボーンなど語られることもないかわりにリーダーのアレック・ギネスを食う勢いの強烈な個性をそれぞれが発揮していた。まあ、オリジナルはともかくとして脇のキャラが魅力的であることがコーエン兄弟の映画でもあったはずで、その部分では非常に残念極まる作品。ハリウッドに染まってきたのか?兄弟!
[DVD(字幕)] 5点(2006-05-29 13:08:47)
516.  さよなら、さよならハリウッド
よくまあ毎回毎回同じようなものを作ってくるなあ。もうそれだけで評価しちゃってもいいくらい感心します。相変わらず病的なねちっこさと過敏で多感なキャラが全開で、とくに元妻とのディナーでのお見事な二重人格ショーの長回しが圧巻。そのときのティア・レオーニのおちついた会話の返しも絶妙。映画界を揶揄したコメディの中でさりげなく恋愛ドラマを見せてゆく。この恋愛ドラマの中に、いつもちょっとした展開にちょこっと現れる「せつなさ」が無いのがチト不満。ニューヨークはいつものアレン映画どおり美しかった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-05-18 12:47:20)
517.  ラストシーン
邦画が元気だった頃とテレビに汚染された今の映画環境を露骨に比較しているが、肝心のこの映画に元気がない。過去の光を知っている主人公はけして今の映画がダメだとは言わず、「ダメかどうかは観客が決めること。自分は一生懸命仕事をこなすだけ。」と言う。その言葉に、今の映画環境に不満を持つ麻生久美子と共にハッとさせられるものの、一観客としてやっぱりこれは面白いとは思えない。「環境よりも、良いものを作ろうとする気持ちの問題」だというのはもっともなんだけど、なぜ劇中で急にスタッフの気持ちが入っていったのかも解りづらい。ほとんどがスタジオ内という設定のせいか陰影に乏しく安っぽい画が続き、かといって外のシーンに開放感もない。台詞が棒読みの人もちらほら。そのせいで女優陣のうまさが際立っていました。
[ビデオ(邦画)] 3点(2006-05-16 14:38:42)
518.  カミュなんて知らない
『黒い罠』のトップシーンが3分、『ションベンライダー』が6分半、『ザ・プレイヤー』が8分だけど実は2カットをうまく編集してる、あるいは『元禄忠臣蔵』のカット数の少なさなんかを学生たちに語らせながら主要登場人物が次から次へと映し出される本作のトップシーンの長回しが面白い。喫茶店に入れば、ゴダールの『男性・女性』のカフェでの長回しが語られ、「殺人の名場面映画」として『サイコ』や『サムライ』のタイトルが語られ、挙句の果てに大学教授のあだ名が「アッシェンバッハ」だったり妄信的に彼氏を愛する女は「アデル」と呼ばれたりと、映画ファンにはたまらない引用やオマージュに溢れている。しかも映画ファンを喜ばすだけに終わらず、いや、どちらかというと映画ファンを困惑させるように現代社会が「映画」に馴染めない環境であることを露呈させてゆく。「アッシェンバッハ」は美を眺めながらの死を許されずに美が妄想であることを思い知らされ、「アデル」も夢に生きることなく現実に戻ってくる。莫大な映画知識は「オタク」と笑われる。若者特有の「軽さ」、そして現代社会と映画との冷めた関係が描かれる。その中で町を走り抜ける学生たちを上空から捉えたシーンなんかパリを疾走するトリュフォーの画を彷彿させ「若さ」の瑞々しいところが描かれ、映画を通して次第に熱くなってゆく学生たちの描写は、けして「冷め切った」関係ではないことを見せてくれる。いいかげんな自由恋愛が横行するかと思えば、そのことを悔い、涙する女が映される。若者に対する凝り固まった概念を解凍しながらとらえどころのないリアルさを持った青春映画に仕上がっている。ラストの「映画」と「現実」の曖昧な境界線で見せる切りかえしはなかなか圧倒されるものがあった。中盤の中だるみがおしい。
[映画館(邦画)] 6点(2006-05-15 17:56:15)(良:1票)
519.  コーヒー&シガレッツ
うん、たしかに面白くない。でも面白い。どっちやねん!と言われても困る。 この映画に登場する人たちにドラマチックな現象は襲ってこない。ただひたすらに人と人が織り成す日常が流れるだけ。それはいつものジャームッシュなんだけど、この作品の日常は究極に単調。その中で人間のおかしさや愛しさ、心情の些細な変化を露にしてゆくこの作品はジャームッシュの真骨頂といえる。ストーリーは面白くない。だってストーリーは無いんだから当然だ。面白いのはストーリー不在の中から日常的に揺れ動く感情の波がぞくぞくと伝わってくること。さらに画面がやっぱりかっこいい。でも、個人的に11篇は多すぎた。なぜ多いと感じたかは、たぶん私自身の問題だ。心に余裕があればもっと楽しめるはず。
[映画館(字幕)] 6点(2006-05-09 18:04:00)
520.  ブロークン・フラワーズ
お話の設定といい、ジェシカ・ラングといい、ヴェンダースの新作にあまりにも似ているのは偶然なのだろうか。おまけにラストでくるりと回るカメラって、もろヴェンダースだ。といっても作風はまるっきり違う。こちらはヴェンダースよりもはるかに勝っているコメディセンスを擁したジャームッシュ流、、と言いたいところだが、『コーヒー&シガレッツ』でのビル・マーレーが大いに笑わせてくれたようにこの映画の笑いの大半もまたビル・マーレーその人にあったりする。誰かと遭遇することで、あるいは共に行動することで内面に別の何かが生まれるという展開はまさにジャームッシュの展開でありながら↓のお二人さま同様に「らしさ」を感じないのは、主人公があまりに鮮やかに変貌をとげるからだろうか。それともあまりに変貌をとげるに必然の出来事をわかりやすく並べてしまったからだろうか。どちらにしてもこのことでジャームッシュの「らしさ」の根本である「インディーズ」は喪失し「メジャー」な要素を多分に含んだ作品となっているように思った。それでも楽しめたのはやっぱりセンスがいいのかなぁ。  (すぐさま追記)「らしくない」じゃなくて「物足りない」と書かれておりました。失礼。
[映画館(字幕)] 6点(2006-05-08 14:08:01)
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