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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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501.  横道世之介 《ネタバレ》 
あのころ、ほんとおれたちってバカだったよなぁ。ただ若いってだけで、頭の中は女のことばっかり、将来のことなんかこれっぽっちも考えてなかったし。そんなおれたちが、いつの間にか大人になってるんだものな。人生って、どうなるか分からないもんだよ、まったく。そう言えば、あいつ元気にしてんのか――。大学進学のために、長崎から上京してきた横道世之介18歳。見るもの聞くもの何もかも新しい世界で、彼は様々な人たちと出会い、年上の格好良い女性と同い年の女の子の間で揺れ動き、色んな現実を目の当たりにして、本人も知らないうちに少しずつ大人になってゆく…。吉田修一の新たな代表作とも言える青春小説を、穏やかで優しい空気の中に描き出す青春物語。普段、こういういかにもテレビドラマの延長のような邦画ってほとんど観ないのだけど、昔から僕がずっと愛読してきた吉田修一の傑作を映画化したということで今回鑑賞してみました。うん、なかなか原作に忠実に作られ、その数々の美点が巧く映像化されていて素直に良かったと思います。世之介役の彼を初めとする、役者陣の抑えたナチュラルな演技も味わい深かったですね(お馬鹿紙一重の世間知らずのお嬢様・祥子という難しいキャラクターを嫌味たらしくならずにちゃんと演じられるのだろうかとちょっと不安でしたが、祥子役の彼女けっこう頑張ってましたね)。いやー、今は反抗期の娘に説教しているお父さんも、昔はみんなこんな感じでふわふわ生きていたんだよね~。この映画を観ると、そんなあのころの自分が懐かしく思い起こされます。そして、あのころのバカだった自分たちでは想像すらしなかった、現在の大人になった自分や友達たちの生活を思うとまた切なさが込み上げてくる。観終わった後、優しさと切なさが良い余韻となって残る優れた青春映画であったと思います。以下余談。今作の原作者である吉田修一氏が僕は昔から凄く好きで、その代表作はほとんど読んでいます(現代の日本の小説家の中では最高に文章が巧い!と勝手に認定してるぐらい笑)。そんな氏の知的でスタイリッシュな筆致が冴え渡っている原作には、映画では語られなかったエピソードの数々が丁寧に書き込まれているので(映画では登場しなかった倉持の成長した娘もちゃんと出てきて良い台詞を残してくれるんだ、これが)、まだ原作を読んでいない方は是非読んでみることをお薦めしときます。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-23 18:16:34)(良:2票)
502.  隣人 ネクストドア 《ネタバレ》 
都会の平凡なアパートで恋人のイングリットと同棲生活を送る青年ヨーン。だが、とある些細な喧嘩をきっかけに彼は思わず暴力をふるってしまい、当然のようにイングリットは部屋から出て行ってしまうのだった。まだ彼女のことが忘れられない失意のヨーンは、ある日、偶然エレベーターに乗り合わせた怪しげな隣人である若い女性に声をかけられる。「あなた、未だ彼女のことが忘れられないんでしょう?壁が薄いからずっと聞いていたわ…」そう話す彼女に隣室へと招き入れられるヨーン。そこには、かつて3人の男たちに暴行されたという哀しい出来事をきっかけに引きこもりとなった妹も居たのだった。何もかも分かったような怪しい言動を繰り返すそんな姉妹たちに、次第に心を掻き乱されるヨーン。まるで深い迷宮に迷い込むように、彼はどんどんとその淫靡で怪しげな隣室へとのめり込んでゆく…。この後、「チャイルドコール-呼び声-」という、オチはちょっぴり残念賞だったもののその全編に横溢する暗鬱でミステリアスな雰囲気と全く先の読めないストーリーとでなかなか見応えのある作品を撮ることになる監督のデビュー作である今作。こちらも低予算ながら、いかにもこの監督らしい練られた脚本と随処にセンスを感じさせる映像とで不穏な雰囲気が濃厚に漂うダークミステリーの佳品に仕上がっておりました。いやー、良いですね、これ。いったいこのアパートは何LDKやねん!ってくらいあり得ないほど部屋がいっぱいあるこの隣室で繰り広げられる、過去と現在、愛情と性欲、サディズムとマゾヒズムが複雑に交錯するストーリーは今回も見応え充分でした。良い意味で、嫌~な余韻が残る胸糞悪いラストシーンもグッド!ただ…、オチはやっぱり今回も容易に読めてしまう凡庸なものだったのが少々残念でしたけど。この監督さん、風呂敷を拡げるのは物凄く上手いのに、それをたたむのがちょっと下手みたい(笑)。でも、このデビット・リンチを分かりやすくしたような、この監督らしいシュールな世界観は今回もなかなか堪能できたっす!次は、オチをもっと頑張ってね(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-28 09:11:30)
503.  ピアニスト 《ネタバレ》 
私は音楽一筋で生きてきたわ。覚えておいて、私には感情も欲望もないの。あるとしても、必ず最後は知性が勝る――。保守的で厳格な母親と2人で暮らし、ほとんど恋愛経験もないままこれまでずっと独身を通して生きてきた、40過ぎの生真面目な音楽教師エリカ。それでも抑えきれない性欲を満足させるため、一人で個室ビデオ店でポルノを鑑賞したり、他人のカーセックスを覗き見ながら放尿したりという、誰も知らない顔を隠し持っていた。そんな空しい日々を過ごすエリカの元に、ある日、情熱的な青年ワルターがわざわざ彼女にピアノが習いたいと名乗り出るのだった。いかにも軽佻浮薄な現代の若者といった彼に最初は反発を覚えた彼女だったが、授業を進めていくうちに、突然愛の告白をされてしまう。そして、それをきっかけに、エリカの長年心の奥底に溜め込んだ暗い澱のような感情と欲望が徐々に暴走を始めてしまうのだった…。恋愛にも、セックスにも、まして男にもなれていない、そんな誇り高い中年女性エリカの愛と性欲とプライドがいびつに交錯する、いかにもミヒャエル・ハネケ監督らしい歪んだラブストーリーでした。この監督の作品は何作か観てきて、その人間の酷い悪意や欲望、理不尽な暴力を圧倒的な負のエネルギーで映像化する作風には心底うんざりさせられることもしばしばだけど、それでもその高い芸術性は認めざるをえないので、カンヌで初のグランプリを取ったという本作を今回鑑賞してみました。うん、相変わらず鬱ですね(笑)。もう最後まで絶対に人に見られたくないような人間の恥部を、これでもかこれでもかと見せ付けてくれます。愛する青年のモノを欲望のままに咥えたものの馴れていないせいで思わず吐いちゃったエリカが、怒った青年に「お前、口が臭いんだよ!」と追い出されふらふらになりながら歩いて去るシーンなんて、あまりにも鬱過ぎて見てるこっちが吐きそうです。人間なんて芸術だなんだと言いながら、一皮向けば誰しもこんなもの…、なんという絶望的でシニカルな思想に貫かれた映画なのでしょう。それでも、最後にエリカの取った行動には、微かだけど(本当に本当に微かだけどッ笑)感情よりも知性が勝った人間の高尚な姿を見たような気がします。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-15 21:27:51)
504.  キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 
それはいつものように平穏な船路になる予定だった――。フィリップス船長率いる大型貨物船アラバマ号は、大量の積荷と20人の船員を載せてアフリカのソマリア沖を航海中、武装した4人の海賊に乗り込まれシージャックされてしまう。持てる限りの知略と勇気、そして普段からの訓練を活かしてそんな絶体絶命の危機を脱しようとするフィリップス船長だったが、決死の遣り取りの果てになんとか海賊たちを追い返すことに成功しようとした矢先、彼は人質として連れ去られてしまうのだった。同胞の命を救うため、直ちに現場へとやって来るアメリカ海軍。彼らと小さな救命艇に乗り込んで逃亡を図る海賊たちとの決死の攻防をスリリングに描き出すトゥルー・ストーリー。かつて、911で乗っ取られた飛行機に偶然乗り合わせた乗客たちと凶悪なテロリストの攻防をリアルに描いた政治アクションの佳品「ユナイテッド93」を撮ったグリーングラス監督、その海上版とも言える今作も、全編に半端じゃない緊迫感が漲る良質の社会派アクションドラマに仕上がっておりました。相変わらず、観る者をまるでその場に居合わせているかのように思わせる、息をも吐かせぬリアルな描写はさすがでしたね。止むにやまれず海賊行為へと手を染めざるをえなかった痩せ細ったソマリア人たちとでっぷり太ったアメリカ人船員との静かな駆け引きから、後半のいかにもお金かけたであろうアメリカ巡視艇との迫力の攻防戦へと一気に雪崩込む展開は見応え充分でした。政治的背景は匂わせるだけで、海賊たちとの戦いに特化した見せ方も良かったです。まあ、全編を覆うあまりにもアメリカ礼賛な空気が若干鼻につくきらいはあったものの、いかにも一市民然としたトム・ハンクスの演技も良かったし、広大な海上でうねるように波打つ美麗な水飛沫の描写も今にも潮の匂いが漂ってきそうだったし、うん、なかなか面白かったっす。暑い日が続き、夏本番を迎えつつある今日この頃、こういうのを見るとなんだか無性に海に行きたくなりますね(海賊とかは、マジ勘弁だけどさ笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-05 13:12:11)(良:1票)
505.  死霊館 《ネタバレ》 
高名な心霊研究家であるエドとロレイン夫妻。これまで科学では解明できない様々な難事件を見事に解決してきた彼らだったが、これは今まで誰にも語らなかった最も邪悪な事件を基に描いた実話である――。71年、アメリカのどこにでもあるような片田舎、格安で手に入れた一軒家に5人の娘と愛する妻と共に越してきたトラック運転手ペロン、だが夜な夜な恐ろしい怪現象がそんな家族たちを襲い始めるのだった。謎の死を遂げる愛犬、怪しげなオルゴールに夢中になる末娘、夜中の3時7分に一斉に止まる家中の時計、そして知らぬ間に妻の全身には謎の痣が拡がってゆく…。藁をも縋るような彼らの依頼を引き受けたエドとロレイン夫妻は、訪れたその館で恐ろしい魔女の呪いが今まさに家族を喰い尽くそうとしていることを知るのだった。かつて「ソウ」シリーズで一世を風靡したジェームズ・ワン監督が新たに挑んだのは、そんなびっくりするぐらいオーソドックスな展開が続く超ベタベタなエクソシスト作品でした。でも、なんでだろう、けっこう面白かったっすよ、これ。最初から最後まで既視感バリバリの怖がらせ演出が延々と続くのに、普通に最後まで観ていられるのは、恐らく監督のこの細部へのこだわりなんだろうね。いちいちセンスを感じるアイテムの数々(最初に出てくる人形の気持ち悪さったらもう!笑)や、凝りに凝ったカメラワーク、全編に横溢するピリリと冴えたホラー&グロ描写。うん、及第点レベルではあるものの、エンタメホラー映画としては充分に楽しめる作品でありました。まあ、実話を基にしたうんぬんのくだりは、恐らく本人たちが長年人に話したり講演したりしていくうちにどんどんと尾ひれが付いて次第にスケールが大きくなって本人が知らないうちに話が一人歩きして…、の結果がこれなんだろうけどね。実際は「あ、ネズミが出た。い、異臭がする。え、変な音が聞こえたよ、あぁ~人が居るような気配がする、きっとここには魔女が居るに違いない…(実際見たわけじゃないが…)」程度の話だったんだろうけど(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-02 20:01:27)(良:1票)
506.  悪の法則 《ネタバレ》 
麻薬組織と繋がりのある企業の顧問弁護士として、今まさに引き返せない悪の道へと手を染めようとしている男。何も知らない美しい彼の妻。金と女のためならどんな手段でも平気で行う強欲な経営者。淫乱で謎の多い怪しげなその彼女。そして、何もかも分かったように斜に構え全てを冷笑的に見つめる男…。果てしない欲望と愚かで醜い性欲を抱えたそんな彼らが互いに騙し騙され破滅へと向かってゆく姿をシニカルに描き出すピカレスクロマン。「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画の名作を数多く残してきたものの、「グラディエーター」辺りから世間での高評価とは裏腹に僕の中では確かにその映像の美しさやスケールの壮大さなどは認めるものの、いまいち心に響くものが乏しい作品ばかり撮ってきたリドリー・スコット監督。現代アメリカ文学の重鎮マッカーシーの原作を映画化したという今作も、やはり哲学的で難解な作品でありました。でも、この華がありながらちゃんと実力も兼ね備えた豪華な役者陣が織り成すミステリアスなストーリーと、 淫猥な雰囲気がこってり濃厚に漂うこのダークな世界観はけっこう良かったかも。特に、フェラーリのフロントガラスに無毛つるつるのあそこをねっとりぐっちょり擦り付けて絶頂を迎えちゃうキャメロン・ディアスの文字通りのカーセックスシーンはめちゃくちゃエロかったっすね~。久し振りに、映画を観ながら僕の股間がエキサイトしちゃいました(笑)。まあ、見事なまでに最低の人間ばかりが登場する、胸糞悪~い後味最悪な映画ではあったけど(最後に送り付けられるあのDVDの中身なんか、想像しただけで吐きそうやし笑)、全ての人間の根源には必ず悪があるという事実を冷徹に見つめながらもどこかコミカルでエネルギッシュに描いたこの作品、うん、けっこう見応えあったっす。リドリー・スコット、ちょっぴり見直したよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-01 08:40:18)(良:1票)
507.  デッドマン・ダウン 《ネタバレ》 
凶悪なギャング組織の一員として、ボスの命令なら簡単に人を殺すことも厭わないヴィクター。数ヶ月前から謎の脅迫を受けるボスの忠実なしもべとして組織の中でめきめきと頭角を現していた彼だったが、ある日、向かいのマンションに住む女性ベアトリスに人を殺すところを見られてしまう。「このことを警察に知られたくなかったら、あたしの顔を傷物にしたあの男も殺して!」と、飲酒運転によって彼女の顔に傷を負わせた男への復讐を強要されるヴィクター。しかし、彼もまた数年前に起こった悲劇的な出来事によって心に深い傷を負った復讐者だったのだ…。都会の片隅で孤独に生きる男と女の互いの過去と未来がスリリングに交錯する重厚なクライムサスペンス。全編に都会の夜の空気を緊密に漂わせた濃厚な雰囲気とまったく先の読めないストーリー展開とで、僕は最後まで充分楽しむことが出来ました。うん、なかなか良かったっすよ、これ。感情を必死に抑制しながら淡々と復讐をこなしてゆくコリン・ファレルの静かな熱演は見応え充分でした。彼が、組織の一員を演じながらビルの屋上から仲間を狙撃するというシーンは、まあベタっちゃあベタですけど素直に手に汗握っちゃいましたもん。そんなヴィクターに結果的に騙されてしまうことになる親友役を演じた、ドミニク・クーパーもいかにも情熱的な若いチンピラって感じでなかなか良かったです。まあ、あんなに綿密に考え抜いた作戦(いくらなんでも回りくど過ぎるんちゃう?って突っ込みはナシよ笑)が狂っちゃったからって最後は一人で乗り込んでいって、「オラオラオラ!!」って銃撃戦で力ずくで解決しちゃうってとこはあれでしたけど(笑)。それでも静かな怒りを胸に秘めた男の重厚な復習劇としてだけじゃなく、心に癒しきれない傷を抱えた孤独な男女の大人のラブストーリーとしてもよく出来ていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-29 19:39:16)
508.  路上のソリスト 《ネタバレ》 
LAタイムスという超一流新聞社で、多忙な毎日を過ごす敏腕記者ロペスは、ある日、路上でバイオリンを弾くホームレス・ナサニエルと出会う。その奇矯な言動と特異な格好とはうらはらに、彼の奏でる美しい旋律に興味を引かれたロペスは、思わずコラムで彼のことを取り上げるとそれが静かな反響を巻き起こすのだった。本格的にナサニエルの過去を調べ始めたロペス、するとそこにはかつてその才能を認められ将来を嘱望されながらも統合失調症によって悲惨な現実を生きざるをえなかった彼の哀しい人生があったのだった――。静かな正義感を胸に秘めた新聞記者と路上という自由で孤独な世界に生きる元ソリストとの、人生の再生をかけた友情を淡々と描き出すヒューマンストーリー。とにかく抑えた演出と全編を彩るクラシックの名曲群のおかげでとても美しい静謐な雰囲気に満ちた、ジョー・ライト監督らしい佳作だと僕は思いました。実話を元にしているということもあり、二人の友情物語が変にドラマティックに描かれていないところも好印象です。統合失調症を発症し、四六時中続く幻聴に次第に追い詰められてゆく若き日のナサニエルと、その後、心がすっかり壊れてしまいホームレスとなった現在の彼を見事に演じ分けたジェイミー・フォックスの熱演もなかなか見応えありました。それにしても、こういう適切な治療を受けられずホームレスとならざるをえなかった統合失調症患者は果たしてどれくらいの割合で居るのでしょう。ナサニエルのような哀しい人生を歩んでしまった人を少しでも減らすために、公的機関のサポートがもっと充実されることを願うばかりです。ただ、映画としては最後まであまりにも優等生な演出が続くためちょっとパンチに欠けるかなぁというところが若干気にはなったけど、この気品に満ちた作品世界に僕は最後までしっとりと浸ることが出来ました。ジョー・ライト監督とは、どうやら相性が良いようなのでこれからも観ていこうと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-24 19:04:54)
509.  チャイルドコール 呼声 《ネタバレ》 
夫の激しい暴力から逃れ、支援者らの協力のもと、小さなアパートへと越してきた親子アナとアンデシュ。新たな地で生活を立て直そうとする彼女たちだったが、異常なほど心配性のアナは、もう8歳になる息子のためにチャイルドコールを購入するのだった。ところがある夜、そんな無線機に息子とは違う子供の虐待される悲痛な叫び声が混線してしまう。当然のように困惑するアナ。そしてそのことがきっかけで、ようやく手に入れた彼女と愛する息子との安穏な生活は次第に壊れ始めてゆくのだった。忍び寄る夫の影、いつの間にか息子の身体に出来ていたあざ、何度も失われるアナの記憶、そして虐待していたと思しき隣人の怪しい行動…。冒頭から、そんな謎に満ちたストーリーと画面に横溢する常に何かとてつもなく嫌なことが起こりそうな不穏な雰囲気とでなかなか惹き込まれましたね、これ。こういう謎が謎を呼ぶミステリアスでダークな作品、もろ自分の好みっす。登場人物誰もがみんな怪しい悪意を隠し持っていそうな感じとか、けっこうじっとりとした怖さでゾクっときちゃいました。これでオチがしっかりしていれば傑作になるぞ!とワクワクしながら観ていたのですが、残念ながら最後に明かされるこのオチはさすがに強引過ぎますって(真相は実はお母さんの〇〇だった。でもだとしたら、これとあれの辻褄が合わんと思ったら、実は子供は△△だったのだって、おい!笑)。と、オチがちょっぴり残念賞でしたけれど、この全編を覆う不穏な空気と鑑賞後の(良い意味で)後味の悪~い余韻とかは充分堪能できました。大マケして7点っす。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-04 20:01:22)
510.  トランス(2013) 《ネタバレ》 
高級な絵画をオークションにかける会社で働くサイモンは、ゴヤの大作「魔女たちの飛翔」が落札にかけられるその日、仲間たちとある計画を実行にうつすのだった。それは大胆にもその高額な絵画の強奪。しかし、彼の予想外の裏切りによりそんな絵画は何処かへと隠されてしまうことに。当然のように怒り狂うリーダーの拷問にもなかなか口を割らないサイモン。なぜなら彼は、頭を強打されたことで記憶をきれいに失ってしまったのだった。仕方なく、リーダーは催眠療法士の美しい女性を利用して彼の失われた記憶を甦らせようとするのだったが、各々の隠された思惑と過去の出来事が複雑に交錯し、事態はどんどんと思わぬ方向へと転がり込んでゆく。催眠状態に陥った一人の男の隠された深層心理を極彩色でポップな美しい映像と軽快でノリの良い音楽とで、スタイリッシュに描き出す映像作家ダニー・ボイルらしい佳品でありました。いかにも賛否両論分かれそうな作品だろうけど、僕はけっこう好きですね、このまるで万華鏡の中へと紛れ込んだような独特の世界観。まあ、ストーリー展開や設定はよくよく考えたら突っ込みどころは満載ですけど、エンドロールが流れ始めるまで、このポップでサイケな映像で描き出された、一人の男の疾走感溢れる脳内トランスワールドに素直に酔いしれることが出来ました。ときおりはさまれるシュールなエログロ描写もなかなか良かったです(むちゃくちゃ顔の濃いヒロインの股間が全くの無毛だったという、なんじゃそりゃー!なフルヌードにはびっくり仰天ッ笑)。どことなく「エターナル・サンシャイン」を髣髴とさせるこの作品、うん、見事に僕の好みとマッチしておりました。ちょっぴりおマケして8点…、いや、やっぱ7点かな~。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-01 08:51:59)
511.  エリジウム 《ネタバレ》 
人口爆発により社会秩序が著しく荒廃した未来の地球。一握りの富裕層は、宇宙空間に建造した巨大な宇宙ステーション〝エリジウム〟に移り住み、何不自由ない豊かな生活を謳歌していた。反対に地球に残された人々は、ロクな医療も受けられない、ゴミと瓦礫と犯罪がはびこる世界で虫けらのような生活を強いられていた。元犯罪常習者のマックスもそんなごみ溜めのような街で、鬱屈した思いを抱えながら巨大企業の工場で働いていたのだったが、ある日、不慮の事故により有害物質を全身に浴びてしまう。「残念ながら君の命は5日ともたないだろう…」と理不尽にも解雇されるマックス。怒りに燃える彼は、凶悪な犯罪者の力を借りてそんな会社の社長を誘拐する計画を立てるのだったが、図らずもそれは理不尽なこの世界を変えるきっかけとなってゆくのだった。「第9地区」という、社会の貧困や理不尽な格差や差別を真正面から描きながら、内容はあくまで良質のエンタメSF映画(ちょっぴりB級っぽい)という、かなり斬新な作品で鮮烈なデビューをかざったブロムカンプ監督。満を持して放つ新作は、巨大予算&有名俳優陣を存分に使って製作したSF超大作でした。冒頭から、見渡す限りバラックが建ち並ぶスラムで懸命に生きる人々の隣に普通に銃を持ったロボットが闊歩していたり飛行船が飛び交っていたりという、この監督らしい猥雑な世界観に否が応にもテンション上がっちゃいました。いやー、良いですね~、この乾いた感じ。社会の底辺で暮らす人々のエネルギッシュな描写や細部にまで拘り抜いたSF愛、そして一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが織り成すスピーディーなストーリー展開、うん、充分面白かったっす!特に社長誘拐シーンでのスローモーションを多用した銃撃戦描写とかかなり格好良くて痺れちゃったよ~。ただ、さすがに気負いすぎたのか、後半から若干散漫な展開が続き、いまいちクライマックスが盛り上がらなかったところが残念でしたね(特にジョディ・フォスターの見せ場があんまりなかったとこが不満爆発!)。でもまあ、新鋭監督の次回作に期待を込めて7点っす。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-29 19:00:25)
512.  シェルタリング・スカイ 《ネタバレ》 
この美しい空を見上げてごらん、この茜色の大空はね、僕たちを守ってくれているんだ、宇宙という無限の虚空から――。結婚生活10年目にしてお互いの愛の微妙な擦れ違いに悩む夫婦キットとポートは、若い共通の友人ターナーを伴ってアフリカの大地へと降り立つ。「無計画こそが私たちの計画なの」と、原生的な生きるエネルギーに満ち溢れたアラブ人たちに混ざり、広大なサハラ砂漠をただ刹那的な愛を求めて彷徨うそんな夫婦の姿を雄大な大自然を背景に描き出す、ある愛の物語。赤を基調とした暖色系の美しい映像と情熱的で壮大な音楽(全盛期の坂本龍一教授の生み出す旋律が胸に染みます)とで、この倦怠期の夫婦が若い男を媒介に冷めた愛を再び燃え上がらせようとするというなんてことないストーリーなのに、なんだか哲学的で深い映画に仕上げてしまうところは、さすがベルナルド・ベルトルッチですね。とにかく砂漠の映像が美しいです。風が吹けばそこら中に砂砂砂、市場に行けば肉にたかる蝿蝿蝿、アラブ人はみんな髭髭髭、このひたすら濃ゆ~いのに何故か知的で高尚な雰囲気を漂わせる美しい世界観には、素直に酔いしれることが出来ました。ただ、そんな映像で綴られるストーリー自体はあまりにも淡々と進むため少々退屈なところはちょっぴり残念でしたね。それでも、このどんなに情熱的な愛であろうと崇高な人間の魂だろうと最後は何もかも無機質な砂へと呑み込まれて無くなってしまうんだと言わんばかりの無常観に必死で抗おうとする人間たちの根源的な苦悩を、ラクダが闊歩する雄大な砂漠のなかに象徴的に描いた、いかにもベルトルッチらしいなかなかの良作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-24 08:46:40)
513.  ランズエンド -闇の孤島 《ネタバレ》 
アルツハイマーを患う元刑事を父に持つ、兄弟ジョーとクリシー。彼らもまた現役の刑事として、多忙な毎日を過ごしていた。ある日、12歳の幼い少女が無残な惨殺死体となって発見される。すぐに容疑者として逮捕された男は、過去に猥褻事件を起こし、なおかつ被害者のベルトのバックルを保持していた。「こいつが犯人に違いない…」そう確信する兄ジョーだったが、決定的な証拠に欠けるため釈放されることに。人の親として我慢ならなかったジョーは、酒の勢いを借りて釈放された彼を夜の孤島へと連れ出し激しく問い詰めてゆくうちに激高して思わず殺害してしまう。裁きを下しただけだと自分を納得させ、弟と共に死体を処理したジョー。だが、その後、図らずも真犯人が発見されてしまうのだった――。罪の意識に次第に追い詰められてゆく兄弟の姿を丹念に描いた重厚なサスペンス作品。前半、ちょっぴり散漫で分かりにくい演出が続き、「うーん、これはどうなんだろ…」と思って観ていたのだけど、真犯人が逮捕される中盤辺りから徐々に緊迫感が増していき、なかなか良かったですね、これ。過ちを犯してしまう兄弟、崩壊の危機へと向かう彼らの家族や恋人たち、少しずつ疑いの目を向け始める同僚の刑事、そしてアルツハイマーによって意識を混濁させながらもそれでも息子たちを助けようとするお父さん…、各々の思惑が絡み合う先の読めないストーリー展開は見応え充分でした。特に印象に残ったのが、殺された容疑者の母親。かつて猥褻事件を引き起こした息子を、信じてやれなかった自分に自責の念を募らせてゆき、必死に息子を捜してビラを配る姿など見ていてやり切れないですね。次第に狂気じみてゆく兄の精神世界の描写もなかなか好みでした。主要テーマとなるだろう無人島描写が最後まで上手く効果を発揮していないところが、若干気になったけど、重厚なサスペンスドラマとしてけっこう面白かったっす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-11 00:14:13)
514.  アルバート氏の人生 《ネタバレ》 
19世紀、アイルランド。長年、ホテルの給仕として働いているアルバート・ノッブス氏には、とある秘密があった。それは、14歳のときに起きた悲惨な出来事をきっかけに女であることをひたすら隠し、ずっと男として生きてきたという悲しい過去だった。初老の域に差し掛かり、誰にもそんな事実を知られることなく、これから先も男として孤独に生きていこうとするアルバート氏。そんなある日、偶然にも同じような境遇で生きる男装の女性と出合い、彼女の幸せな生活に触れたことをきっかけに、アルバート氏は自分の孤独な生活を少しでも変えたいと願うのだったが…。数奇な運命を生きてきたある一人の女性の人生の晩秋を、淡々と描いた哀切な人間ドラマ。うん、地味ですけどなかなか良かったですね、これ。最初は多少の違和感が拭えなかったグレン・クローズの男装姿が、ストーリーが進むうちにどんどんと馴染んできてもう男にしか見えなくなってしまうのは彼女の熟練の演技力がなせる技なのでしょう(逆に中盤で見せる女もののドレスを着た姿の方が違和感ありまくりだったし笑)。そんな彼(女)が、ささやかな幸せを夢見て、騙されていることに薄々気付きながらそれでも必死で同僚をデートに誘おうとする姿は見ていて本当に切ないです。最後に、あの太った医者が思わず発する「アルバート、どうしてかくも哀れな人生を選んだのか…」という言葉に全てが収斂される、一人の女性の悲しい人生には深く胸打たれました。欲を言えば、もう少し彼女の悲愴感をドラマティックに描いてくれても良かったかなーとも思うけども、アカデミー主演女優賞候補も納得なグレン・クローズの抑えた演技が光るなかなかの良作だと僕は思います。アルバート、あなたの人生は決して哀れではなかったよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-10 19:01:39)
515.  魔女と呼ばれた少女 《ネタバレ》 
これから産まれてくるあたしの赤ちゃん、あなたには全てを知っておいて欲しいの。あたしがこの地で何をしてきたかを――。いつ果てるとも知れない泥沼の内戦が続くアフリカの何処かの貧しい国。両親と共に平凡に生きていた11歳の少女コモナもそんな現実の荒波へと巻き込まれてしまう。突如として現れた残虐な反政府ゲリラに捕まり、自ら両親を殺すことを強要されると、無理やり少年(女)兵として戦争へと駆り出されることに。そんななか、ジャングルの奥深くで出会った自分にだけ見える死者の精霊たちの導きにより、激しい戦闘から彼女一人だけが生き残るのだった。以来、ゲリラのリーダーによって魔女として崇められるコモナ。しかし、そこで知り合った同じく少年兵のマジシャンの無垢な性格に心惹かれていくという、彼女もまた普通の年頃の少女に過ぎなかった。だが、そんなコモナの初恋も過酷な現実によって容赦なく押し潰されてゆく。内戦に揺れるアフリカ最貧国を舞台に、少年兵たちの過酷なドラマを、ときに幻想的に、ときに青春ラブストーリーとして描く意欲作。一時、やたらと多作されたアフリカ内戦ものですが、今作は主人公が元はあくまで普通の少女というところがポイントですね。先行作品の例に漏れず、こちらも思わず目を覆いたくなるようなかなりショッキングなシーンが随処に出てきますが(冒頭から、いきなり11歳の少女に両親を殺させます)、途中で差し挟まれるコモナとマジシャンとの初々しい恋愛描写が良い対比となっていてとても胸に迫ります。そして、後半で妊娠してしまい(その父親が誰かもかなり悲惨です)母の顔を見せ始めるコモナの、残酷な現実に押し潰されそうになりながら、それでもここで必死に生きていこうとする力強い姿に感動を覚えざるをえません。若干、森の精霊描写がチープでいまいち意図が読み取りにくいところが残念ではありましたけれど、画面の端々に生きるエネルギーが横溢するなかなかの良作だと思います。コモナに、いつか平穏な日々をと祈らずにはいられません。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-05 19:21:36)
516.  終戦のエンペラー 《ネタバレ》 
昭和天皇の戦争責任――。この日本人にとっては極めてポリティカルでナイーブなテーマを、戦争犯罪を調査するある一人の若いアメリカ軍人の姿を通して描くシリアスな歴史ドラマ。「天皇を絞首刑にしろ!」などという、日本人にとっては口にするのも憚られるような台詞がばんばん出てくる(特に昨今の右傾化する風潮の中では)作品をアメリカ人が撮ったということで、かなり危険な地雷を踏んでるんじゃないかという懸念を持ちながら、この度鑑賞してみました。だったのですが、スタッフたちがかなり入念にリサーチしてから撮影に臨んでいることが窺える丁寧な描写に最後まで違和感なく観ることが出来て素直に好印象です。日本が大混乱に陥ることを承知で戦犯として処刑すべきか、焦土と化した日本を再建させることを最優先に無罪とすべきか、ここまでぎりぎりの判断があったとは大変勉強になりました。そして、タイトルに「エンペラー」とつけながら、終始シルエットのみの描写でほとんど出てこない昭和天皇が、最後に全国民のために厳かにその姿を現すシーンには日本人として深く胸に迫るものがあり、やっぱり感慨深かったです。ただ、そんな政治ドラマを優先させたからか、主人公と日本人女性アヤとの恋愛パートがかなり薄味となってしまったのが残念でした。アメリカへと帰ろうとする彼の乗った車を、「待って!行かないで…」と叫びながらアヤが追いかけるという超ベタなシーンには、ちょっぴり失笑です。それでも、かなりリアルに再現された終戦直後の焦土と化した東京描写や、敢えて加害者であるアメリカ側からあくまで真摯にこのテーマへと取り組んだという意義に、敬意を表して7点。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-30 11:25:46)
517.  イノセント・ガーデン 《ネタバレ》 
謎の交通事故により、愛する父親を突然失ってしまい、哀しみに沈む18歳の多感な女の子、インディア。何故か哀しみの色をみせない母親と共に、葬儀へと臨んでいたらそこに長年疎遠にしていたチャーリーという叔父が現れる。怪しげな雰囲気漂うチャーリーとしばらく共同生活を送ることになったインディア。しかし、そこから彼女を取り巻く現実が徐々に歪み始めてゆくのだった…。人とはちょっぴり違う現実を生きる、精神的に不安定な少女の不穏な日常を詩的でとても美しく、だがどこか怪しい淫靡な映像で描き出した、まるでいびつな宝石箱のようなダーク・メルヘン。いやー、良いですね、これ。いままで履き続けてきた大小様々な靴に囲まれベッドに横たわるインディアや、床を這っていた小さな蜘蛛が彼女の脚を伝い、そしてそのスカートの奥に隠された領域へと忍び込んでいったり…。そんな、常に何処かで大切な何かが壊れてゆくようなセンス溢れる映像&音楽にかなり惹き込まれました。他にも、まるで作り物のような目をしたチャーリーの突発的に露わになる狂気描写や、何かをひた隠すように振舞う母親のいかにも不穏な行動とか(ニコール・キッドマンが良い感じ!)、そんな徹底的に現実感を排除した大きな洋館の中で繰り広げられる怪しいストーリーを、イノセントな少女目線で描き出したこの秀逸な世界観には、中盤、若干の中だるみがあるとはいえ、素直に酔いしれることが出来ました。欲を言えば、インディアがもう少し幼い年齢でも良かったかなーとも思うけど(え、誰がロリコンだって?笑)、もろ俺好みのこのダークで淫靡な作品、うん、なかなか良かったっす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-30 07:52:41)(良:1票)
518.  偽りなき者 《ネタバレ》 
子供と酔っ払いは決して嘘を吐かない――。離婚して愛する息子と離れ離れに暮らしている保育士ルーカスだったが、それでも小さな村の中で仲の良い親友たちに恵まれ、同僚の素敵な女性とも恋仲になり、職場の保育園でも素直で純粋な子供たちに囲まれ、ささやかながらも幸せな生活を謳歌していた。そう、想像力豊かな女の子クララが、些細な嘘を吐いてしまうまでは。突然、幼児への性的虐待を疑われたルーカス、それまでのささやかな幸せに満ちた彼の生活は瞬く間に一変してしまう。仕事を首になり、村人たちから侮蔑の目で見られ、信じていた親友からも絶交され、さらには愛する息子との同居計画も白紙に…。少女の些細な嘘から、絶望のどん底へと墜ちてしまう、一人の男の苦難の遍歴を淡々と描いた痛切な人間ドラマ。いやー、暗かったっすね~。見れば見るほど気が滅入ってしまう暗鬱なストーリーなのですが、そんな人生の落とし穴がかなりリアルに描かれているため、決して他人事とは思えず最後まで惹き込まれました。それにしても、人間って何処まで愚かで残酷になれる生き物なのでしょう。独善的な正義を振りかざし、一人の男を何処までも追い込んでいく園長やスーパーの店員の姿を見ていると、あらためてそう思います(何の罪もない飼い犬にまで手を出すなんて!)。もし、僕が同じような状況に追い込まれたらきっと心が折れて自殺しちゃいますよ、こんな悲惨な現実。それでも必死に生き続け、ときには自暴自棄に陥りながらも、少しずつ信頼を取り戻していくルーカスの姿に、最後は一縷の希望を感じ取ることが出来ました。とっても暗いですけど、なかなかの良作だと思います。お薦め。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-26 10:52:34)(良:1票)
519.  フッテージ 《ネタバレ》 
デビュー作がベストセラーとなったものの、その後はスランプへと陥り、長い低迷期を迎えているノンフィクション作家、オズワルド。起死回生を図るため、未だ未解決となっている一家首吊り事件が起きた家を安く借り受け、取材も兼ねて家族とともにそこへ引っ越してくるのだった。しかし、屋根裏で謎の8mmフィルムを見つけたオズワルドは、そこに収められていた驚愕の映像に慄然とする。木の枝へと吊るされ無慈悲に動かなくなってゆく家族たち、さらにはぐるぐる巻きにされてプールへと沈められる家族や、車に閉じ込められ生きたまま燃やされる悲惨な家族たち…。すぐに警察へと通報しようとするオズワルドだったが、再びベストセラー作家となりたいという欲求に抗うことは出来なかった。どんどんとその凄惨な狂気の映像へとのめり込んでいくオズワルド、次第に彼の正気と現実が大きく揺らぎ始めてゆく。どこか「セブン」を髣髴とさせる不気味な8mm映像を中心に、リアルなスリラーとスーパーナチュラルなホラーとの狭間を絶妙のバランス感覚で描くこのセンスには、完全にやられちゃいました。いやー、怖かったっすね、これ。「も、もうやめて~」と何度も部屋の電気を点けそうになったし(それでも暗い部屋の中で最後まで観たのは、映画マニアとしての意地ですね笑)。じわじわと追い詰められていくイーサン・ホークの迫真の演技も良かったっす!最後、全てを操る存在がもろに姿を見せちゃうところはかなり蛇足感ありだけど、久し振りにこんな怖い映画と出会ってしまいました。これから観る人は、家族が寝静まったあとに、夜中に部屋を暗くして最後まで独りで観ることをお勧めします(笑)。 ほら、ぐっすり寝ているはずの家族の誰かが、暗闇であなたのことをじっと覗き込んでいるよ…。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-23 00:38:09)
520.  エスター 《ネタバレ》 
三度目の妊娠で子供を死産してしまったショックから、アルコール依存症となってしまったケイト。だが、愛する二人の子供たちと夫の支えによりなんとか立ち直れた彼女は、生きて産まれることが出来なかった子供へと罪滅ぼしするかの如く、孤児院からエスターという名の9歳の女の子を引き取ることに。家族も増え、更なる幸せへと向かうかと思われたケイトだったが、徐々にそんなエスターの奇行が目立ち始めるのだった。彼女のことをイジメていた女の子が滑り台から転落し、怪しんでいた孤児院のシスターが謎の死を遂げ、そして耳に障害のあるケイトの娘マックスにまで…。謎の少女エスターに追い詰められ、どんどんと崩壊していくケイトの幸せな生活をねちっこく描いた異色のスリラー作品。いやー、胸糞悪かったっすね~。観ながら、こんな理不尽なことが許されていいのか!と叫びだしそうになっちゃったし。でも、そんな胸糞悪い感じもけっこう嫌いじゃない僕としては、この全編を覆う常に何かいや~なことが起こりそうな雰囲気、なかなか楽しめました。とにかくエスター怖すぎっす!単純なサイコキラーとしてだけじゃなく、ちゃんと女の子らしい心理描写も随所に差し挟んでくるところとかも、いや~な感じをますます増幅させてましたね。それにエスターの描く、蛍光色を多用したグロテスクな絵の描写とかにもけっこうセンスを感じました。うん、なかなか面白かったっす(後味めっちゃ悪いですけどね笑)。あと、自他共に認めるロリコンの僕ですが父親を誘惑しようとするエスターの妖艶なドレス姿には何故か全然グッときませんでした。その後に明かされる、エスターの驚愕の真実を知って、僕のロリコンレーダーはやっぱり間違っていなかったんだと納得(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-13 00:22:24)(笑:1票)
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